(106)181『秋氷』2
なんや?
大っきな音がした
思わず閉じた眼を開ける
「樹が、もう1本?」
倒れて来た樹を止める様に、別の樹が支えている
コレ、どっから来たん?
根っこ丸見えやから、どっかから抜けたって事?
「何やっとんねん! 遊んでる場合か!? 早よケリつけんかい!」
「アホ! あの樹を動かしたんは俺とちゃうわ! 」
「ハアッ!? じゃあ誰がやったっちゅうねん!?」
なんかわからんけど、取りあえず助かってる?
おっさんらはケンカしてるし、逃げるなら今のうちや!
「っておい! 逃がさへんぞ!」
──念動力──サイコキネシス
ベキベキベキッ!
走って逃げるウチに向かって、次々と周りの樹が倒れて来る
こんなん反則やー!
って言うか、どんな手品やねん!
大道芸か!?
イリュージョンか!?
もう訳わからんわーっ!
──シ+念=カナ ──〓〓〓キネシス
ドドドドドドッ!
「「なんやて!?」」
「へ?」
さっき支えになっとった樹が、ウチの頭上を越えて周りの樹を一気に吹っ飛ばした
「いい加減にせえっ! さっきから何しとんねん!?」
「ちゃうわ! あの樹を動かしとんのは俺やない!」
「まさか、あのガキが?」
ガキって、ウチの事?
しかないわな
恐る恐る振り返ると、おっさんBがウチを睨んどった
こわっ!
って言うか
「ウチ超能力なんて持ってへんで!」
「とぼける気かいな。ま、ええわ。予定変更や。連れて帰ってじっくり教えてもらうで」
投稿日時:2015/07/03(金) 12:41:12.83