(106)982『春水』5
「うおっ!?」
上体を後ろに反らして一斗缶を避けた
つもりやったけど
「掠った! 今ちょっと鼻の先を掠ったで!?」
「遊んでる暇は無いんだよ」
──精神干渉──
春水の腕時計を握る傀儡師
その手には、力が入っていた
「おい! アカンって! それは春水の
バキィッ!
傀儡師の手の中で、腕時計が砕けた
春水の腕時計が、壊れた
よくも
よくも!
──油念動力──オイルキネシス
樹の間から大っきなドラム缶が飛んで来て、傀儡師に向かって行った
「ようやくか」
──精神干渉──ライン・マニピュレート
傀儡師に向かっていたドラム缶は、軌道を変えて春水達から離れた場所に落ちた
「まだまだやぁっ!」
──油念動力──オイルキネシス
ドンッ!
ドラム缶から液体が溢れ出す
あれは
「油とちゃうんか?」
「あのドラム缶の中身はガソリン、一応は油だ」
傀儡師がワイヤーをしまい、春水から離れる
確かに臭い
てか、油やったらなんでも操れるんやろか?
いや、細かい事は気にしとれん
とにかく今は
「逃がさへんで!」
溢れたガソリンと一緒に傀儡師に迫る
「……あたしらの結論、教えてやるよ」
更新日時:2015/08/24(月) 00:13:30.18