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(110)11 『True "R" is L0ve』3

女の人の声で目を開ける
床にはたくさんの砂があった

「怪我は無い?」

身体を起こして真莉愛から離れる女の人
頭や背中からは、たくさんの砂が落ちている

「大丈夫、です……」

天井を見ると崩れた跡がある
でも、床には砂しか落ちてない

破片は、どこに行ったの?

「間に合って良かった。にしても」
(ちょ……さ…う…をつ……よ!)

何、この声?
この人の声?

でも、耳から聴こえてるんじゃない
胸の中?
真莉愛の身体の真ん中に響いて来るみたい

そういえばさっきも

「さ、ここから出るよ」

立ち上がり、真莉愛に手を差し出す女の人
真莉愛は差し出された手を見つめたまま、動けない

「どうしたの?」

女の人は、真莉愛に不思議そうな表情を向けた

「〝助けて〟って真莉愛ちゃんが呼んだでしょ?」

呼んだかな
呼んでたかもしれない

「でも真莉愛は、ここに居なきゃいけないんです」
「どうして?」
「だって……」

真莉愛は、ここに居なきゃいけない
真莉愛は、外には出ちゃいけない

「そう言われてるから」
「誰に?」
「ここの、施設の人に……」

外には真莉愛の居場所が無い
でも、ここなら居て良いって言われた
それは

「真莉愛の居場所は、ここだから」

ここが
この狭い部屋が
真莉愛のたった1つの

「全然そう思ってないでしょ」 


投稿日時:2015/12/03(木) 20:53:27.62



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