(124)34 『Chelsy』6
「完璧だろ?」 
 悔しいが完璧と納得せざるを得ない・・・気になっていたアームサポーターの可動域も解消されている 
 「腹部の衝撃吸収素材も新しくしてみたんだ。前よりも繊維の密度を高め、水も通しにくくなったよ 
  それからシューズのブースターのジャイロシステムも改良を加え・・・これはね、新しい武器でね・・・」 
 キラキラと目を輝かせているジョニーは少年のようだ 
 
 彼と最初に出会ったのは2年、いや3年も前になるであろうか 
 ひたすらに基礎訓練を受け、実技試験で機関での最高記録を更新した頃だったろうか 
 機関から次のステージにあがる、すなわち現場へ行ってもらうと指示された 
 その時の仕事のパートナーとして紹介された技術犯の一人が彼だった 
 
 彼もまたその時は一介のエンジニアに過ぎなかったが、すでに才能はずば抜けていた 
 優秀な彼に興味を持たれるのは正直意外だった 
 「君が今度の作戦の担当者??ふーん、チェルシーっていうのか」 
 そんなこと、どうでもいい、というぶっきらぼうな発言だった 
 
 「じゃあ、世を忍ぶ仮の名前は?」 
 「ミキ。のなか みき」 
 「ミキ!! OH! いい名前だね~」 
 なにがどう気に入ったのかわからない。どこにでもある名前だと思うが、彼のテンションは明らかに上がった 
 ジョニーに言わせると「知り合いの仲間にそんな名前がいた」とのこと 
 
 誰よりも大胆で、そのくせ誰よりも綿密で、誰よりも慎重な彼を私は信頼している 
 だって、それは私を認めてくれた彼の優しさだと思うから 
 「・・・これが新しい、磁力スーツの全てさ」 
 一回では当然使いこなせない。でも負けられない。だってこれは私のために造られたone and only なスーツ 
 「もちろん、色はミキにお似合いのパープルだよ」 
 ・・・戦場で目立つから、それはどうなのかと思うのだが 
 「僕はずっとこの支部で君の活躍をみているからね!!がんばって」 
 親指と人指し指で輪っかをつくり、覗き込むポーズをするジョニーに反論などできない。それが信頼ってものでしょ?   (Chelsy
更新日時:2016/06/23(木) 22:12:48.68