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(125)208 『ズッキの決意(仮)タイトル募集中。。。』8




「ただいま~ってあれ、れいなは?」
片付けを終えて作戦会議をしていたところに道重が帰ってきた。
「さっき出かけました。遅くならないように帰るって」
譜久村が代表して質問に答える。
「・・・・そう。
で、みんなで今なにしてたの?」
一瞬思案顔になった道重だが、すぐに整えて3人に問う。

「香音ちゃん、最近元気ないじゃないですか。
だからえりたちなんかできんかなって考えてて。
で、パーティみたいなことしたらどうかなって」
「パーティ?」
「はい。香音ちゃん食べることが好きやけんいっぱい食べたら元気になるかなって。
たこやきパーティなんかいいんじゃないとって今3人で話してたんです」
生田が説明をする。
「いいんじゃない。そういえばみんな入ってからばたばたしていたからそういうことしなかったね。
歓迎会も兼ねてたこやきパーティしよっか?」
道重は和やかな笑顔で賛成した。

そして道重も作戦会議に加わり、
決行日から材料などの手配ならびに中の具までも次々と決めていった。
歓迎会という名目上主催は道重と田中で、
当日の手伝いのみリゾナントに来た順に加わることになった。

「今週の土曜日に歓迎会をします」
リゾナントでみんなが夕食を終えたとき、「注目」と一声かけた道重が改まった口調で告げる。

「かんげーかい?かんげーかいってなにー?」
「新しい人が来た時にその人によく来たね~とか
その人のことをもっとよく知るためにご飯食べたりするんだよ」
「ご飯ならはるたちだいたい毎日一緒に食べてんじゃん」
「歓迎会ってなんで今更しようと?もう一緒になってけっこうたつやん」
「あの・・それって私たちの歓迎会ですか?」
「何屋さんで歓迎会するか楽しみなんだろうね」
ざわざわとみんなが一様に話し出す。

「はーい、静粛に~」
道重がお玉で鍋蓋をコンコンとたたき注意を促す。

「ふくちゃん、生田、りほりほ、鈴木、飯窪、石田、佐藤、工藤」
急に名前を呼ばれた面々は短く返事をし話を聞こうと姿勢を正した。

「この8人の歓迎会をします。場所はここ、喫茶リゾナントを臨時休業にしてやります。
遅くなってごめんね。
愛ちゃんがいたときはたまにみんなで豪華なご飯作ってたりしてたんだ。
そういうのなくなっちゃって・・・。
さゆみがね、寂しく思ったから・・だからするの。
れいな、いいでしょ?」
道重の言う通り以前は敵と戦ったり何かイベントごとがあるたびに
いつもより豪華な食事を用意しみんなで食べた。
それが楽しくなかった・・わけではない田中は唇を尖らせつつも頷いて見せた。

「れいなも良いということなのでやりまーす。
みんなは学校があるので土曜日までの準備はさゆとれいなでするね。
だけどさすがに2人で全部をするのは難しいから土曜日、
朝起きて用意ができた人からリゾナント集合。
飾りつけや準備の手伝いをしてほしいな」
道重の要請にメンバーは「はーい」と元気に声をあげる。

「それでは質問がある人ー?」
「はいはーい。かんげーかいってどんなことするんですかー?」
「これから考えます。はい、次?」
「はい。放課後とかうちらほとんど帰宅部じゃけえその時に手伝うことは出来ませんか?」
「放課後は個人がそれぞれしなきゃいけないことをしてほしいな。
それにリゾナントのお留守番してもらうことは増えるからそれはお手伝いだよね。
してくれる?」
「もちろん!・・・します///」
手伝いを頼まれたことが嬉しかった鞘師は大声で返事をしてしまい羞恥で真っ赤になってしまった。

「他には?ないね?
では、かいさーん」
道重の号令でメンバーは挨拶をして各々の部屋へと戻って行った。



「それでれーなはなにすればいいと?」
ため息をつきながら田中は道重の近くまで行き椅子に座る。
「おっ、れいなやる気じゃん」
そう言って茶化す道重を田中は睨む。
やると決まった以上、田中はきちんとしたいのだ。
「ごめんごめん。はい、これ飲みながら決めよ?」
道重はそう言ってホットココアを渡す。
その隣には自分用にコーヒーだ。
カウンターから出て田中の隣に座る。


「鈴木がね、ちょっと元気ないじゃない?
だから他の3人が元気づけたいんだって」
「それで歓迎会?」
「うん。ほらしてなかったでしょ、こういうこと。
それに意味もなく急にいろいろすると鈴木だって気付いて負担に思っちゃうだろうし」
「そうかもしれんっちゃけど・・鈴木はなんで元気ないと?」
田中の問いに道重は少し考え口を開く。

「わかんない。私たちより一緒にいる他の子たちが分からないんだから・・・。
でもりほりほは小さい時から修行みたいなことしていたし
他の子たちだって多少なりとも自覚していた部分はあったじゃない?
佐藤はまぁ、ああいう性格だし。

でも急にお父さん亡くしちゃって信用していた人にも裏切られちゃったから辛いんじゃないかな。
それまでは別に能力で差別されてたわけじゃないし、
気を付けていたら普通の生活も出来ただろうし。
それがここに来て安全ではあるけれど毎日嫌でも能力を感じて
能力によっていろんなことをしなきゃいけなくなっちゃった。
鈴木にはまだ踏ん切りがついていないんじゃないかな」
道重は自分なりの答えを田中に伝える。

「ふーん。まぁいいっちゃん。
でもれーな忙しいけん、そんなになんもできんよ」
田中は事もなげに言う。
「・・・・・れいなさ、最近なにしてるの?」
道重は鈴木と同様、いやそれ以上に田中が心配だった。
田中は頻繁に行先も言わず外出する。
少し前までは新しく入ってきたメンバーの練習にも付き合っていたのに、最近は全くだ。

「なにしてるって?」
田中は鋭い目つきで道重を見る。
それは出会った時の田中の目つきに似ていて道重は少し怯えた。
「最近しょっちゅう出かけるじゃない。
なにも言わないし・・・一人でいると危ないよ」
道重はそれでも精一杯の想いを込めて田中に言った。

田中の性格上、しつこく聞けば嫌がられる。
一人でいることの危険性は田中も承知の上だ。
それは田中のプライドをとても傷つける。
一般時相手には無敵の田中もこと能力者と相対してしまうと・・・。

「別に。さゆが心配するようなことはしてないと。
それより土曜日のこと決めんと。
れーなもちゃんとやるけん」
田中は先を促した。

失敗した。
道重はそう思った。
田中は自分が何をしているかもう教えてくれないだろう。

「そうだね。
まず何をするかだよね。
ジュンジュンとリンリンがいれば面白くしてくれるのになぁ―――」
田中が教えてくれないのならば仕方がない。
道重は歓迎会を楽しくするために田中と相談することに集中した。


※ 


更新日時:2016/07/16(土) 10:47:26.50

作者コメント:
ズッキの決意(仮)作者です。
軟弱な体が悲鳴をあげ療養を余儀なくされました。
あげるだけあげて途中でストップしていること申し訳なく思います。
体調が回復して時間が出来ればまた再開します。
待っている人がいるかどうか分かりませんが、一応決意表明としてカキコミさせて頂きまします。
願わくばこれ以上現実に波乱が起きないことを願います。
そして新シリーズやちぇるのお話を楽しみにさせて頂きます。 



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