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(132)131 『Chelsy』36

埃まみれの薬を払いもせずに飲み込んだ・・・
飲み込まないようにしようと必死に口を動かし、爪が食い込むほどに手を握り締めていた
それでも抵抗する千佳は打ち負け、水とともに薬は流れていった

飲み干すと同時に力が抜けたのだろう、千佳は床に倒れこんだ
それを見て慌てて、後ろを追っていた私服警察官が駆け寄ってきた
「千佳ちゃん、大丈夫か!?何があったんだ」
「わかりません、薬を飲んだら、急に力が抜けたように倒れたんです」
「安定剤は飲んだのか。千佳ちゃん、ここがどこかわかる?言ってごらん」
「・・・図書館。大丈夫立てるわ」
千佳はゆっくりとスカートの裾を払い立ち上がった。しかし足元はふらつき、呼吸が早まっていた
「ほら、私の肩に手をかけて。君、申し訳ないけど車椅子を持ってきてくれないかな?」
「は、はい」
私が車椅子を用意している間に警察官は携帯で報告を始めた

タクシーの乗降口に車椅子を押しながら、考える
警察官にはわからない、といったが本当はわかっている
体調が悪くなったのは薬を飲まなかったからではない、薬を飲んでしまったから、だ。
警察官は安定剤と言っていたが、あれは安定剤ではない
何か、特殊な薬の可能性がある。いわゆる覚醒剤のようなものなのか

到着したパトカーに乗せられ病院へと向かう千佳を見ながら、私はさらに考える
いや、違う、依存性のある薬なら、飲まないと落ち着かないはずなのに。逆だ
飲みたくないのに、飲まないといけない。そして飲みたくない気持ちは保たれ、体も抵抗はできる
それなのに、あたかも、自分の意思と反する『何か』に操られているかのように

そして、最近私の頭を悩ませる存在のことを思い出した
あの薬がウルの可能性は有り得ないのか? 
私は気が付けば駆け出していた  (Chelsy


投稿日時:2016/10/06(木) 00:35:23.01



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