(133)58 「努力の方向音痴」
『紫煙』って能力っぽい
「よく難しい言葉知ってるね」
「そんな感じで、新しい技を考えたんです」
「……よく分かんないけど聞いてみようかな」
「えっと、まず、煙草を吸います」
「あなた未成年でしょうが」
「煙草じゃなくても良いんですけど、煙をたきます」
「はぁ…」
「で、煙がいっぱいになった隙に、姿を消します」
「うん……え？」
「そして相手が驚いている間に、後ろに回り込んで殴ります」
「なんでしょう」
「いろいろツッコミたい」
「小田さんの能力とちょっと近いですよね。“時間編輯(タイムエディティング)”とこの紫煙のリゾナントを」
「うん、とりあえず私の話を聞いて」
「はい」
「まず、なぜ煙をたく？」
「え？だから煙で私の姿を消して…」
「煙たいてる間に敵が襲ってくるよね」
「日本のアニメであるじゃないですか。ヒロインの変身中は敵が襲ってこないお約束。あんな感じで」
「アニメと現実を一緒にしない。それに、絶対キミの場合、煙で目が痛くなって泣いちゃうでしょ」
「ちゃんとゴーグル買います！」
「そこじゃない…それに、煙たくって、実際何を使うの？」
「……爆竹？」
「煙関係なくなっちゃったね」
「毎回それを常備して闘いに挑むの？」
「うー…せっかく良いアイデアだと思ったのに…」
「なんか、あれだね、キミはホントに方向音痴だね。努力の方向音痴」
「いじめないでください……」
「叱られたわんこみたいにしょげないの」
「……小田さんの能力とリゾナントしたいんです」
「……じゃ、もっと強くなってくれなきゃ」
「………なります、絶対に」
「ふふ、待ってるよ、ちぇる」
投稿日時：2016/10/16(日) 23:54:49.69
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