リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第50話(ミラー)
≪第51話(ミラー) ≪過去ログ一覧≫ 第49話(ミラー)≫
1 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/11/24(水) 12:10:36.24 0
例えば、これから何日が過ぎても今日という一日の記憶を忘れることがないように
この先の未来に何が待ち受けていようと、私たちは変わらない、色褪せない。
私たち9人がいつまでも強い絆で結ばれた仲間であり続けること。
それは“未来”ではなく、“不変の事実”なのだ。
「リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第37話 185『Have a good day!9~夜空、彩る~』」より
前回のお話はこっちデース!↓
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第49話
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1286668898/
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ@wiki
http://www39.atwiki.jp/resonant/
まとめサイト
PC:http://resonant.pockydiary.net/index.html
携帯:http://resonant.pockydiary.net/index.cgi
まとめサイト Ver.2
http://resonanter.blog47.fc2.com/
リゾナントブルーAnother Vers(ry 暫定保管庫(まとめサイト3)
http://www35.atwiki.jp/marcher/
掲示板 (感想スレ、作品題名申請スレ、あとがきスレ他)
http://jbbs.livedoor.jp/music/22534/
テンプレ>>2-7ぐらいまで
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/43.html
高橋愛
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/12.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_ai.jpg
新垣里沙
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/13.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_risa.jpg
亀井絵里・道重さゆみ
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/14.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/15.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_sayueri.jpg
田中れいな
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/16.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_reina.jpg
久住小春
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/17.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_koharu.jpg
光井愛佳
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/18.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_aika.jpg
ジュンジュン・リンリン
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/19.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/20.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_junlin.jpg
リゾナンター派(多数派)─┬─ダークネスと闘う超能力少女たちだよ派(鉄板路線派)
│ ├ダークネスは悪の組織の名前だよ派(暗闇=敵だよ派)
│ │ └ラスボスの名前でもあるよ派(ダクネチュ様派)
│ ├実は前身となる正義の組織があったんだよ派(OGメンはかつての味方だよ派)
│ │ ├方針転換して悪の組織になったので新組織を立ち上げたよ派(見解の相違派)
│ │ └組織はつぶされ現メン(の一部)が生き残ったんだよ派(正義の組織再興派)
│ └前身はなく愛ちゃんが一から始めたんだよ派(OGメンは最初から敵だよ派)
│ ├最初に見つけた仲間はれいなだよ派(同居人優先派)
│ ├最初に見つけた仲間はガキさんだよ派(娘。加入順優先派)
│ ├最初に見つけた仲間はガキれな以外の子だよ派(基本にとらわれないよ派)
│ └愛ちゃんは美少女コレクターだよ派(百合愛好派)
│
├─モーニング娘。をやりつつ敵と闘うよ派(鉄板路線派「かなしみ戦隊」系)
│
├─政府直属の能力者集団だよ派(独自路線派「共鳴者」系)
│
└─その他(各種独自路線派)
リゾナンダー派(少数派)─┬─戦隊モノのヒーローなんだよ派(特撮愛好派)
│ ├各自のイメージカラーが個人の戦隊カラーになってるよ派(LLはどうなったの派)
│ └リゾナンカーとセットで使いたいよ派(とことん特撮派)
│
├─スレが始まった時はこっちだったんだよ派(原理主義)
│
└─その他(各種独自路線派)
“ター”でも“ダー”でもどっちでも派(穏健派) ─┬─面白ければなんでもいいよ派(内容重視派)
│
└─シリアスとギャグで使い分けるよ派(こだわり作者派)
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守(みまもり)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス)
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
詳しくはこちら
ttp://www39.atwiki.jp/resonant/pages/35.html
ジュンジュン獣化参考画像
ttp://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
喰らってくたばれ!
必殺!
ttp://resonant.pockydiary.net/file/helpme.gif
リゾナンカー
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/car.jpg
リゾナントロボ…
発……
ttp://resonant.pockydiary.net/file/robo.gif
間取り
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/142-1.gif
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/784-1.jpg
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/785-1.jpg
本日のランチ
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/155-1.jpg
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/156-1.jpg
タウン誌紹介文
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/383-1.jpg
【TV・映画イメージ】
リゾナンターEDイメージ(字あり提供入)
http://jp.youtube.com/watch?v=ijT95qkTqfA&NR=1
リゾナンター予告イメージ
http://jp.youtube.com/watch?v=wSVKqpCYrQs
リゾナンター予告編・i914Ver. ※血液等の映像が含まれますので苦手な方は見ないほうがいいです
http://jp.youtube.com/watch?v=TEsl4BjQ8sA
リゾナンターの予告編パート2/映画風
http://jp.youtube.com/watch?v=9Rvh02cQQoI&fmt=6
リゾナンター/共鳴セヨ
http://jp.youtube.com/watch?v=3m65hxrvduY
リゾナンター予告編/ダークネスVer.
http://jp.youtube.com/watch?v=OkFqDKBJUBg&fmt=6
イントロダクション
リゾスレ一周年記念動画
The loneliness of the girls
リゾナンターOP
http://jp.youtube.com/watch?v=EXNriFUNuUY
【初代まとめサイトで投稿日順に読む裏技】
まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)
ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません
このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも
※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(1)123)を拾ってしまうためです
【まとめサイトVer.2で投稿日順に読むには】
タグでスレごと(第○話)の作品群を見ることができます。
登録日の順になっているのでそこからたどっていけばおk
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載してほしい
・レス数多いから掲載を手伝ってほしい
など
転載する人は必ず投下する旨をアク禁スレに宣言していってください
(投下かぶり防止のため。宣言が同タイミングなこともあるのでリロード&しばらく待つのも大事)
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するやよ
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
作品投稿の際、10レスを越える場合は連続投稿規制(バイバイさるさん)がかかるので注意。
それから1レス当たり最大32行までしか入らないのでそれも注意。
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_coming.jpg
君の作品を待ってる
<※初めてスレを訪れた方へ>
お勧めの作品やわからない用語については遠慮なく質問してみてください
スレに何人もいるであろう「生き字引」が24時間以内に答えてくれるでしょう(多分)
運命の第50話ですなあ
リゾナンタークライシス作者をお送りする特別話はダクネチュ様降臨後にお届けします。
スレ立てありがとうございます
>>9
新スレ早々意欲的ですなあ
ノ|c| ^e^)<はい!本当におめでとう御座います!
ダクネチュ)<そういえばこのリゾナントブルーの歌詞ってどうだったっけ…確か
凄い 凄い 物凄い♪
ダクネチュ天才♪
…だったな うむ
ノlc| ・e・)<違いますよ~
ダクネチュ)<そんでこうかな
怖い 怖い 直視しない♪
下腹~出て来たよ♪
( ・e・;)<だから違うってって…酷いなそれ…
もうっ私も何か分かんなくなってきちゃたじゃないですか~
かんぶぅ;)<あぁ またあの2人がしょうも無い事を・・・ふう…私は
辛い 辛い 今すぐに♪
組織を抜けたい♪
…ですよ ……トホホ
かんぶぅはつらいな
ダクネチュ様もう普通にオメ!とか言っちゃうようになってるんですねw
50話記念なのに気の抜けた感じが笑えるw
1000 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2010/11/24(水) 22:21:22.67 0
_, ,_
ノlc| ・e・)<1000ならCだから!!Cだからー!!
ある日、リゾナンターが忽然と姿を消したのだ。
これはリゾスレ研究家の中ではあるものはダークネスとの一大決戦を控えるために山梨の保田圭の研究所にいった。
またあるものは光井愛佳の予知で見たビジョンを防ぐために戦いに行き、命を落としたという。さらにまたあるものはダークネスか暴走したMに捕まったというものもいる。
さまざまな憶測が飛んでいるがどれも確証を得るに至っていない。
私はリゾナンターが忽然と姿を消した原因を探るために今まで彼女たちが関わったとされる人々にインタビューをしてみようと考えた。
まずは彼女たちのすべての原点ともいえる場所・喫茶リゾナントだ。
ここではリゾナントの常連さんたちにインタビューをすることができた。
ひとりは近くの大学で講義をしており、リゾナントの常連のひとりであるパーカー教授だ。
「あなたは喫茶リゾナントで高橋愛さんと最後に会ってますね。」
「ええ、マスターが急な用事で店を開けるので店番をしてほしいとのことでした。」
「それであなたは店番をした。それでマスターは戻ってきましたか?」
「いいえ、結局は戻ってきませんでした。仕方なく預かった鍵で店を閉めました。」
「あなたはよく田中れいなさんと喧嘩をされていたとのことですが。」
「喧嘩というよりは何だか敵のスパイを探しているみたいな目をしているんですよ。正体を現わせとかもう来るなとか言ってきて、俺は客だぞって思いましたよ。」
「そして喫茶リゾナントは閉店した状態だったのですね。」
「ええ、俺が行った時に突然、閉店の張り紙があったんです。」
「なるほど、そこでひとつ気になることがあるのですが?」
「なんでしょう?」
「あなたは店の持ち主が手放した土地をわざわざ買い戻してこの喫茶店を続けてますよね。そして教授も店に通い続けている。どうしてですか?いくら馴染みの店だからってここまでするとは。」
「自分でもよくわかりませんが、なんかこの店を守りたいと思ったんです。」
「私もこの店はなくなってはいけないと思ったんですよ。もしかしたら彼女たちが戻ってくるかもしれない。」
どうやら喫茶リゾナントの常連たちはあの店を特別なものと思っているらしい。
おそらくそれはリゾナンターたちにとっても同じだろう。となると余計店を閉めて行方をくらました理由が気になる。
これに関して一部の専門家は激化するダークネスとの戦いに周りを巻き込まないためとしている。
たしかに考えられるが、だがそれは彼女に極端に支援者が少ないことに関して言えることだと思う。
私の調べる限り、Mや警察にも何度かお世話になっているみたいだ。
さらに言えば、もし閉店の張り紙が誰かの偽装工作だったら・・・考えているときりがない
警察なら何か知ってるかもしれない。
警視庁取調室
なんで取調室に連れて行かれたのだろうか?
「あなたがリゾナンターについて取材を申し込んだ人ですか?」
「ええ、そうです。」
「はじめまして特殊課の矢島です。」
「国際テロリズム課の野沢です。」
おお、まさかこのふたりにあえるとはさっそく取材だ。
「あの、野沢さんは以前リゾナンターのロサンゼルスでの事件のきっかけを作られたと聞いたのですが?」
「ええ、ロサンゼルス市警のハイラム刑事課長からの要請で。まさかあれほどすごい戦いになるとは思いませんでしたが。」
「私もあれには驚きました。矢島さんはまだリゾナンターとは面識は・・・」
「職務質問をしたことがあります。何かを探っている様子でしたけど高橋愛の瞬間移動で逃げられました。それと捜査依頼も・・・」
「ところで矢島さん以前に防衛省で働いていませんでしたか?」
「はぁ?私はずっと警察に務めてますが?」
「そうですか、失礼しました。」
一部では矢島舞美は実は防衛省付きの能力者だという憶測も出ていたが、今はその真偽を確かめるべきではない。
「実は私も彼女たちのことを心配しているんです。ロスの一件もロス市警の能力者が殺されたり行方不明になった事件だったのでまさかとは思いますが。」
「ダークネスでしょうか。」
「まだわかりません。」
「矢島さんはどうでしょうか?」
「私は彼女たちのことは野沢さんほど詳しくないのでわかりません。ほんとうのところ、あなたも彼女たちのこと、よくわかっていないんじゃないんですか?」
実を言うとリゾナン史の中には全容が解明されていない事件がたくさんある。
これがリゾナン史研究をより難しくしている要因ともいえる。確かに私もリゾナンターがわかっていないのかもしれない。
結局のところ、警察ではあまり手がかりになるようなことは聞けなかった。
それならば今度はリゾナンターの私生活から失踪の謎を追ってみよう。
「夏子ちゃん、よろしくお願いします。」
「お願いします。」
「さっそくだけど、光井愛佳ちゃんについて知りたいんだけど愛佳ちゃん最近学校に来ていないね。」
「うん、でもそれは一度じゃないの。時々体調を崩して学校を休む時があったの。
でもひどいのはね。愛佳がインフルエンザで休んだ時に愛佳がずる休みをしてるって言っていた子がいたの。ひどいと思いませんか。」
「ひどいねぇ。(それってもしかして高橋愛が粛清人Aと戦って重傷を負った時じゃないよね。) 他に何かあるかね?」
「あっ、時々悩んでいたみたい。特にひどかったのが修学旅行の時。」
「大阪・京都の修学旅行に行った時に私の見おぼえない人たちが勝手をするから愛佳かなり悩んでいたみたい。」
「そう、頭がよくてまじめな分、悩むことが多かったのかな?」
「そうかも、でも愛佳はいじめっ子に立ち向かってから強くなったと思う。だから私はちゃんと愛佳が学校に来る気がするんです。」
光井愛佳。どうやらいじめ問題も解消され、夏子ちゃんのような親友もいるから戦い以外で学校を休むことはなさそうだ。だがそうなると余計に心配になる。
よし、今度は村西芸能事務所に行ってみよう。久住小春の調査だ。
私が到着した時、村西社長は不在だった。
しかし久住小春、いや月島きらりのマネージャーである雲井かすみさんに話を聞くことができた。
「それでうちのきらりについて何か?」
「ええ。」
「あのどうなんでしょうか。普段のきらりちゃんの様子は。」
「あの子には仕事以外に関して何か強い信念があるように感じます。理由はわかりませんが、あの子は体調を崩して、仕事に穴をあけることもありますが。私は何かほかに大きな理由があるように感じます。」
「どうしてそのように感じたんですか?」
「覚えてますか、以前きらりが舞台に出た時に劇場がテロリストに占拠された事件を。」
「ええ、よく覚えてます。あの時の行動できらりちゃんに一時期強いバッシングがありました。」
「でもあの子の人気はさらにあがりましたよね。」
「そうですね、あれほどのバッシングがあったにも関わらずいまだに大勢の人々がきらりちゃんを支持し続けています。」
「あの子のあの時の行動に何か人々が惹かれるものがあったのかもしれません。」
「なるほど、そういえばきらりちゃん、ここ最近仕事をされていないようですが。何かあったのでしょうか?」
「いえ、お気になさらないでください。あの子は必ず帰ってきますから。」
久住小春。芸能生活での悩みでの失踪ではないだろう。そういえば以前久住小春が相撲取りになったみたいな変な話があったな。
真偽が定かではないが、もしかして失踪に関係が?でも、それならリゾナンター全員が消えるなんてことがあるわけがない。
今は月島きらりは長期休業中となっている。いつでも戻られるように村西社長が手を打ったのだろう。部外者の私には真実を言えないのかもしれないが。
グウー!
おや?もうお昼かお腹も減ってきた。
どうしようかな、リゾナントでは朝飯を食べてから昼は・・・
そうだ、あそこにしよう。
「リゾスレ50話突破記念 消えたリゾナンター (1) 」
どうもリゾナンタークライシス作者です。
改めまして50話突破おめでとうございます。
今回、50話になるに至って、何か特別な話を書いてみようかと考えていたら、ふと見ていた某刑事ドラマの
総集編を見て、このテーマにしてみました。
一応、全三回を予定しています。
少々、内容が悪いかもしれませんが、お許しを・・・
話としての整合性はともかく色んな設定を辿っていく件は楽しいな
「風のために」も含めて続きを待ってます
続き楽しみに待ってます
ウィキナンターレベルじゃないか?w
あれクソワロタよ
前スレ落ちたと思ったら普通に1000いってたのかw
すごいな
明るく行こうぜ…笑えよ……ははは……
_, ,_
ノlc| ・e・)<1000ならCだから!!Cだからー!!
コハハハハ
そう思って聴いてみたら泣きっぱなしだったw
明るいニュースになるかな
ノ|c| ・e・)<ちょっと愛ちゃん気持ちは分かるけど口悪すぎ
制服姿で、一人プラットホームに佇む。
また今日も帰りが遅くなってしまった。
今日は、靴だ。
同級生に隠された靴を探していて学校を出るのが遅くなった。
昨日は古典のノートで、その前は通学鞄だった気がする。
こうも立て続けだと、もはや“悲しい”という気持ちは消え失せて“面倒くさい”という気持ちが上回る。
靴やノートの代わりなどいくらでもあるし、そんなものは無視して帰ってもいいと思うのだが、
単純な彼らは無視されればこちらがそれに気づいていないと思ってさらに行為をエスカレートさせるに違いない。
イタチごっこはごめんだ。
とはいえ、相手にすればそれはそれで彼らに喜ばれて、結局行為はエスカレートしていくものなのだが。
「ふぅ・・・・・・」
愛佳は嘆息した。
いつまでこんな日々が続くのだろう。
家庭でも学校でも厄介者扱いされ、常に一人ぼっち。
居場所なんてどこにもない。
希望が、見えない。
その時だ。
次に来る電車が隣の駅を出発したという主旨のアナウンスが構内に響いた。
ふらふら、ふらふら。
愛佳は、少しずつ前に出る。
自殺願望があったとか、そういうわけではない。
雨で増水した川の様子が気になったり、今にも崩れそうな崖を眺めたくなったりするのと同じだ。
人は危険を恐れるが、それと同時に危険に強く惹かれる心も持っている。
白線を踏んで、線路が見えるまであと一歩というところまで来た。
足を止め、そっとホームの下を覗き込む。
――――大丈夫。
愛佳には、この件は決して大事には至らないという確信があった。
それもそうだ、すでに愛佳はこの出来事を“一度経験している”のだから。
ここで「本当に飛び降りたらどうなるんだろう」と思ったところで、“あの人”が愛佳に声をかけてくれる。
そして名刺を差し出して、愛佳に生きる希望と居場所を与えてくれるのだ。
だが。
「う、わぁっ!?」
愛佳の目に飛び込んできたのは、一面の闇と無数の手。
ホームの下には線路ではなく底なしの暗闇が広がっていた。
そこからおびただしい数の手が伸びて、愛佳を闇に引きずり込もうとする。
よく見ると、手の向こうには顔がある。
手の持ち主は愛佳の同級生たちだった。
小・中・高は関係なく、愛佳が覚えている限りの同級生たちの顔が闇の中でうごめいていた。
「なんでや!なんで愛ちゃんがおらんねん!?」
愛佳は、戸惑いと憤りを隠せない。
無理もない、“現実”ではこの場面で高橋愛が現れるはずなのだ。
なのに、彼女は来ない。
なぜ?
どうして?
「やっ!ちょ、離してって!」
闇に連れていこうとする無数の手を、必死になって振り払う。
なぜ愛は来ないのだろう。
まさか、あれは夢だったのだろうか。
高橋愛と出会うほうが夢で、ホームの下に落ちてしまうほうが現実?
今までの自分は夢と現実を取り違えていたのか。
夢と現実の境界がわからない。
もどかしい気持ちを叩きつけるように身体を強く動かす。
その動きによって愛佳の視線は亡者たちから外れ、反対側のホームに向いた。
そこで愛佳は信じ難いものを見つける。
「・・・愛ちゃん!?」
反対側のホームには、他の誰でもない高橋愛が立っていた。
しかし、彼女は虚ろな視線を向けるだけで愛佳を助けようとする素振りはまったく見せず
大事そうに右腕を左腕で抱え込んだまま動かない。
愛佳はもう一度、今度はすがるように叫んだ。
「愛ちゃんっ!!」
それでも彼女は動かない。
空虚な視線もそのまま。
愛佳は絶望した。
愛に助けてもらえないことで、本当に希望を失くしてしまった気がした。
ここで彼女が手を差し伸べてくれたからこそ、愛佳の心は闇に堕ちずにいられたのに。
※
亀井絵里は巨大な迷宮の中を彷徨っていた。
迷路でなく迷宮。
右か左かに曲がる廊下だけでなく、上にも下にも進める階段まで用意された立体的な迷いの館。
いったい、これまでいくつの分かれ道を通ってきただろう?
立ち止まってはいけないと思うから、とにかく前に進んで。
だけど道を一つ選ぶそのたびに、後悔の波が押し寄せる。
本当にこの道でよかったのかと。
もしかしたら進むべき道を間違えているのではないかと。
怖くなる。
しかし、誰も答えを導き出してはくれない。
「人って、みんなこうなのかな・・・・・・」
人は皆こうして、一人で歩いているんだろうか。
悩んで、迷って、苦しんで。
たった一人で答えを出して、先の見えない迷宮を進んでいく。
それなら、まだいいのだけど。
「絵里だけだったら・・・・・・どうしよっか?」
もしも、迷宮で一人悩んでいるのが自分だけだったら。
他の人には、一緒に答えを探してくれる人がいるのだとしたら。
――――ひとりぼっちで歩いているのは私だけ?
みんなだって、見えないところで一人頑張っているのかもしれない。
聞いてみればすぐにわかることなのかもしれない。
けれど、それを誰かに打ち明けるのは不安で。
打ち明けて、もしも孤独に歩いているのは自分一人だと思い知らされるだけだったら・・・?
また悩む。
迷う。
そして選び・・・・・・悔やむ。
迷宮を進む絵里の前に、新たな分かれ道が出現した。
この迷宮は、絵里がおよそ二十年の人生で溜め込んだ心の迷いそのもの。
絵里の心に迷いが生じるごとに迷宮内の分岐点は増えていき、
立ち止まらない絵里の心はやがてこの中で永久に彷徨い続けることとなる―――――
※
久住小春は街の往来に立っている。
賑やかな雑踏の中で立ち尽くす。
誰もが小春に気を留めない、そんな空間の真ん中で。
人々は慌しく街を横切るだけで、そこにいる小春のことなど気にも留めない。
世間には目に見えるだけでもこんなにたくさんの人がいるのに、“小春”に関心を示す人は一人もいなかった。
それでもいいと、小春は思っていた。
こっちだって街を歩くその他大勢の人間には興味がなかったし、本当の自分をわかってもらおうとも思わない。
小春が自分のことをわかっていてほしいと願うのは、小春自身が心から大切に思う人たちに対してだけだった。
だから世間の人に“小春”を見てもらえなくたって平気だった。
景色が、変わる。
気がつくと、今度の小春はいつもの見慣れた風景の中にいた。
そこは小春にとって一番居心地のいい場所。仲間たちの集う場所。
喫茶「リゾナント」。その店先だ。
まるで夢をみている時のような、急激な場面転換がなされた。
「じゃあね、小春。元気でね。またいつでも遊びにおいで」
「はーい!みなさんもお元気でー!」
大荷物を抱えた小春が、見送りに出た仲間たちに手を振り去っていく。
その光景を、小春は別の誰かの視点から見ていた。
旅立つ小春を、“誰か”の中に入った小春が見送る奇妙な感覚。
あれ今の私はジュンジュンだっけいやでも感覚が田中さんあぁそう田中さんだよだから小春が小春を見送って―――
小春は自分を田中れいなだと思い込み、れいなの視点から小春が去る姿を眺めていた。
こんな場面、見たことない。
そもそも本物の小春は大荷物を抱えて店を出て行った経験なんてないし、
よく見れば店の周辺の風景だって微妙に異なっている。
この時になってようやく小春は、自分が夢をみているのではないかと気がついた。
夢だから、摩訶不思議なことばかり起こるのだと。
旅立つ小春を見送った一行は、やれやれと息をついて店内に戻る。
当然、れいな化した小春もその輪に加わった。
「『またおいで』とは言ったけどさ、来るかな、あの子」
訝しげに愛が問う。
仲間たちは口々に返答した。
「来てほしーです。でも・・・・・・」
「久住さんて、独りでも生きてける人やしなぁ・・・」
「私がいる時には来ないかもねー。私、小春に嫌われてるし」
なんだ、それ。
――――ちょっとジュンジュン。「でも」ってなに、「でも」って。
――――みっつぃーも。なんで「独りで生きていける」って決めつけるんだよ。
――――新垣さん。いつ小春が新垣さんを嫌いって言いました?
――――そもそもなんでそんな質問するのさ、愛ちゃん。
世間の人に本当の小春をわかってもらえなくたって構わない。
小春自身が心から大切に思う人たちにさえ、わかってもらえれば。
だから小春は傷ついた。これが夢であることも忘れた。
自分のことをわかっていてほしいと思う人たちに自分を誤解されたのが何よりも悲しかったから。
「・・・れいな?どうしたの?」
小春の世界から、光が消えた。
※
「愛佳ちゃんと小春ちゃんは『ifの世界想像型』で、亀ちゃんは『潜在意識の具現化型』か。
この三人は割とオーソドックスなほうかな」
そこまで分析したところで、紺野は一つ息をついた。
今の紺野の状況を例えるなら、9分割されたディスプレイがすべて異なる番組を映しているのに、
それらを一度に視聴し把握しようとしているようなもの。
やはり精神は相当に疲弊する。
しんしんと雪の降り積もる雪原。
そこが紺野の本体がいる世界だった。
だが、本当に雪原にいるわけではない。
これは紺野の心象風景。
さすがに現実世界から彼女たちの夢を確認する技術は開発できなかったため、自らも眠りにつかざるを得なかったのだ。
動けない自分の代わりに、彼女たちを夢の中へ誘う役目は信頼のおける4人の仲間に負ってもらった。
私室に置いてきた生身の身体は、今頃すやすやと規則正しい寝息をたてていることだろう。
しかし、この夢の世界で何かが起きれば現実世界で寝ている身体も無事では済まない。
ここでは心がむきだしの状態だ。
一度大きなダメージを受ければ回復はほぼ不可能に等しく、現実世界の自分は二度と目を覚まさない。
そしてそれは、夢をみている10人全員に共通する条件だった。
「・・・よし。もうひと頑張りしますか」
紺野の心に降る雪は、徐々にではあるものの勢いを増していた。
雪はある程度までなら観賞に適した自然現象だが、程度を超えればそれはもう災害と言っていい。
大自然の脅威の前では人間の力などひとたまりもないことを、紺野はよく知っていた。
――――終わらせる。この“雪”が、“雪害”になるまでに。
確固たる決意のもと、紺野は改めてリゾナンターの夢に意識の照準を合わせた。
『ダークブルー・ナイトメア~3.闇のカタチ(1)』
何か間違えてる気がしなくもない
でもこんな感じで続きます
あと、最初にこのシリーズを12月15日までに完結させたいとか言ったんですが
無理そうなので諦めます
別にリゾスレがその日で終わりなわけでもないし、いいかなと
もう少しお付き合いよろしくお願いします
――――――――――――――
以上代理投稿しましたデスよ
愛佳の駅のシーンはやっぱり凄く引き込まれるね
他のメンバーの夢も気になる
あと代理乙です
あのPVの愛佳は印象的だったもんな
作者さん代理ンター乙です
9人を罠にはめたはずのマルシェも夢に取り込まれかけてる感じが不気味ですな
続きが楽しみです
おもしろい!
物悲しい恐怖…とでも言いますか静かに這い上がってくるような不気味さに引き込まれました
「危険」と同じく「孤独」にも ひどく恐れながらもどこか抗い難く惹き付けられてしまう部分があります
主としてスレの初期作品に多く見られたその空気が含まれているのも個人的に魅力ですね
紺野さんの「夢」の類型化分析もおもしろいし彼女自身も危険を犯しながら何を目的としているのかということも気になります
「なくもんか」が織り込まれていたりその辺もいいですね
是非ともゆっくり納得いくものを仕上げてほしいです
乙の一文字だけでも励みになるねんで
真野ちゃんが人の心読む能力者役やってる
なぜ~ガキさんじゃ~ないんょ~~
、、、でも可愛かったからいっか♪
わたしは通りすがりのニィ原ガキ山なのだ!
私が今いるのはリンリンが住み込みで働いている中華料理店だ。
ここの店主なら何か知っているかもしれない。
「あのご主人。」
「何か用かな?」
「あのここで働いているリンリンさんについて話を聞きたいんですが?」
「ああ、リンリンちゃんのことか。今、いないんだけどね。」
「あの彼女の行先について何かご存じですか?」
「いや、でも彼女が何日か休んでも雇ってくれるように言われているんだよね。ここだけの話だけどこの店はすごい援助をしてもらっててね。その人、リンリンちゃんがお気に入りのようなんだよ。」
「へぇ、どんな人ですか?」
「リンリンちゃんと同じ中国人で若い人を4人連れてここで一度食べていたことがあるんだ。その人たちの話題がリンリンちゃんだったんだ。それからだよ、ここにすごい援助が入ったのは。
まぁ、何日か休んでもリンリンちゃん、その分の倍以上に働いてくれるからねぇ。俺も何かとあの子をほおっておけないんだろうな。」
(そうか、おそらくその人は刃千吏総統の銭氏。つまりリンリンのお父さんだ。そして取り巻きの4人はリンリンの養成所時代の仲間たち。たぶん、リンリンの腕試しに総統が来日してきた時の話だ。
あの人、雰囲気と違って親ばかなところあるからな。まぁ親としては当然って言われるかもしれんが。この店の主人も失踪に関係しているわけではなさそうだ。)
「ありがとうございました。また来ます。」
しまった!ジュンジュンについて聞くのを忘れてた。リゾナン史の史料ではジュンジュンはリンリンと同じ場所に住んでいた時期があったことを忘れていた。
ご主人には申し訳ないが話を聞きに戻ろう。
すると私の目の前に男たちが・・・
「ちょっとこい。」
「えっ、ちょっと待って!」
私はとあるビルに連れてこられた。
「あの一体誰なんですか?」
「リゾナンターについていろいろ聞いて回っているようだな。」
「はい。(うん?この感じ、日本人じゃないぞ。) 私はリゾナン史の研究家で。」
「そうか、それなら私の顔も知っているだろう。」
男は私の方に振り返った。
「あっ、あなたは刃千吏総統の銭氏。なぜあなたがここに。」
「あなたの目的と一緒ですよ。」
「では、あなたも娘さんの居所を探しているのですか。」
「刃千吏のできる限りの人員を動員して探しています。神獣でもある李純もともに行方不明ですから。」
「お辛いでしょう。娘さんがいなくなって。」
「いえ、あの子はいずれ刃千吏を継ぐ強い子だ。李純も強い子だ。いずれ帰ってきますよ、刃千吏のみんなが信じている。」
「あの、リゾナンターが消えた理由に心当たりは?」
「わかりません、これだけは言えるかつて私は李純を瀕死まで追い込んだことはあるが決して刃千吏は関わってはいない。」
続いては田中れいなについてだ。
彼女には能力者社会でも珍しい能力がありダークネスに狙われることが多々あった。
しかし彼女の両親はもういない。彼女の両親の研究所の場所もわからない。誰か話を聞けるような身内は・・・いた!
私は急いでお台場のテレビ局に向かい、ある人物に無理やりにアポを取った。
「お待たせしました。れいなのことについて聞きたいと。」
現れたのは某局の人気アナ・斉藤舞子さん。
実はれいなの生き別れたお姉さん。
「えーと、舞子さんはきらりちゃんの行きつけの店の取材で偶然、れいなさんと再会されたんですね。」
「ええ、なんかあった瞬間に気になってしまいまして。その後、また店を訪れた時に確信を得たんです。」
「その後、ふたりはどうされましたか。」
「お互いの近況を話しあいました。本当は一緒に暮らしたいんですけど、私も忙しい身ですし。れいなにはれいなの生活もありますから。でも時折あの店に訪れているんです。」
「こんな事を聞くのは大変申し訳ないのですが、れいなさんが失踪したことについて何か心あたりは?」
「あの子がいまどういう立場なのかはわかっています。必ず元気な姿で帰ってくると信じてます。何にもできないけど今できるのはただ祈るばかりです。」
「そういえば、れいなさんは孤児院で過ごしていたと聞いたのですが?」
「ええ、私もあの子がいなくなった頃に一度訪れました。でも院長先生や子供たちの話では最後に訪れた時には何も変なところはなかったみたいです。」
次はあそこに行こう。そう、亀井絵里・道重さゆみ・田中れいなの出会いの地に
亀井絵里の入院していた病院。一説によればさゆみの両親の病院ということであるが、もしチャンスがあれば彼女の両親にも話を聞いてみよう。
「あのすいません。」
私に病院の婦長さんと思わしき女性が話しかけてきた。
「何か?」
「リゾナン史の研究家・リゾ蔵夫さんではないでしょうか。」
「そうですが、あなたは?」
「わたくし、道重さゆみの母です。この病院の婦長をしています。」
「あなたが・・・でもなんで私の事を。」
「実は数時間前に亀井原雄山先生がお見えになりまして、絵里ちゃんについていろいろ聞いていかれたのです。お帰りの際にあなたが来るだろうと言われていたので。」
「亀井原先生が・・・」
亀井原先生も亀井絵里の事を心配しているのだろう。何せいい年をしてえりりんと呼んでいたために奥さんが出ていき、息子の史郎君とは絶縁状態になるほどの人だからだ。
「はい。」
「ここが亀井絵里さん、道重さゆみさん、田中れいなさんの出会いの場所だと聞いたのですが。」
「ええ、絵里ちゃんが入院した頃、さゆみも病院に時折顔を見せていました。その時に顔を合せて意気投合したようです。その後猫を守ろうとして不良と喧嘩して大けがを負ったれいなちゃんが絵里ちゃんと同じ病室になったのがきっかけであの3人が仲良くなったんです。」
「なるほど、お母さん。実はこんなことを聞くのはあれなんですが絵里さんの心臓の様子はどうなんですか?」
「高橋さんたちと出会ってからだんだんと良くなっています。でもまだ完治していませんのであんな戦いに身を置いていてはいつ病気がひどくなるか。あの子たちが突然いなくなってとても心配しています。」
確かに亀井絵里、道重さゆみのふたりに関しては身体能力に関して著しく低い。
何か大きな事件に巻き込まれたのならとても心配だ。
「それで失踪について何か心あたりはありますか?」
「わかりません、でも親の勘ですけどあの子たちは生きてます。必ず・・・」
そういえば失踪事件の直後、リゾナン史研究家の若い連中が妙なことを言い出したのを思い出した。
「新垣里沙はまだダークネスのスパイで彼女にリゾナンターは嵌められたんじゃないか」というものだった。
おそらくそれは「スパイの憂欝」などをはじめとする文章からの推測なのだろう。
確かにあの文章の中での彼女はスパイとしての生活に嫌気がさし始めているようにも感じる。そのストレスが爆発してリゾナンターを失踪させたというのだろうか。
この可能性はともかくとして彼女のスパイとしての立場に関してある人にインタビューをしてみようと思う。
警視庁科学技術局
そう、新垣里沙が関わったとされる大事件「ペッパー事件」
リゾナンターのデータをもとに生まれた心をもったガイノイドをめぐる攻防。
新垣里沙にとってみれば悲しい事件だったかもしれない。
ここにあの事件の関係者がいる。
「はじめまして、阿久博士。本当なら戸倉博士や生き残ったふたりにも話を聞きたかったのですが・・・」
「申し訳ない。彼らは今アメリカに行ってましてね。」
「あっ、そうでした。失礼しました。ところで博士。今回のリゾナンターの失踪にはどのような考えを持っておられますか?ダークネスの可能性は」
「確かに彼らが関わっている可能性は十分あります。彼らがあの子たちに目をつけたのもリゾナンターの力の大きさに興味があったともいえますから。」
「他に可能性は?」
「あるとしたら私の知る限りでは秋元博士でしょうか?彼女たちの活躍のおかげで一番被害をこうむったのは彼なんですから。」
「彼は今、どこに?」
「職をはく奪されて、その後は私にもわかりません。」
「ちなみにあなたは事件の最中、新垣里沙がスパイである可能性を指摘されましたが、あなたは今でも彼女がダークネスのスパイだと考えますか?」
「それはわかりません。ですが、彼女は信頼における人間だと信じています。彼女はあの子たちのために必死になってくれましたから。」
私は阿久博士にインタビューした後にあるところに電話した。
それは伝説の温泉「凡奇湯」がある温泉旅館だ。
リゾナンターが失踪した理由のひとつとして新垣里沙の個人的な欲求のためにリゾナンターを洗脳して枯れ果てたボンキュを掘り起こそうとする恐ろしい可能性を確かめるためである。
「いいや、今年はまで来てへんな。毎年必ず何かやらかすからこっちも備えて待っとったんやけどなぁ。」
「そうですか、ありがとうございます。」
これも違ったか。今度はリーダー・高橋愛の調査だ。だがな、彼女の祖母はすでに亡くなっているし。ましてや出生についてもいろいろ憶測があるしな。
グゥー!
もうこんな時間か。夕飯を食べないとな。今日は家でピザでもとるか。
と思った矢先のことだった。
「ねぇ、うちらの基地でごはん食べる?」
と言われた途端、私の体は宙に浮いた。
よく見ると私の体を抱えている女性は背中に翼を生やしている。まさか・・・
「後藤真希!」
「リゾスレ50話突破記念 消えたリゾナンター (2) 」
どうも、リゾナンタークライシス作者です。
50話記念とは言ってますが、全三話ですべてを振り返るのは無茶があると自分の
文章を見て、感じました。
一応、次回で完結してからは「風のために・・・」の続きをお送りしたいと思います。
しかもここでごとおさんの登場はワクワクしますね しかし最後にはどう決着がつくんでしょうか?
乙です
次はダークネス編なのかな
どんな結末に着地させるのかちょっと楽しみ
乙
自分の作った設定というか話は使われてなかったw
50話を祝うっていう気持ちが詰まった作品だね
いい?
いくよ?
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/02faca7a_640.jpg
えずきの共有~ォェッ
綺麗な二重だなぁ
こんな美人の目をしてて
衣装には食べ物のシミがあったりするんだろうなぁ
地味な共有だね(うまい)
スピンオフ的な話でリゾナンターはなんら出てこなくて申し訳ないのですが…
あと新アルバムともなんら関係ありませんごめんなさい
<以下注意点>
・上記の通りスピンオフ的な内容でスレタイからはかけ離れています
・一部残酷な描写を含みます
・聞いたこともない人たちがのっけから何人も出てきます(モデルは存在しません)
「ここまでくればもう……」
相変わらず強張った顔でハンドルにしがみつきながらではあるが、思わず漏れ出たらしい菊沢のその声には微かな希望の色が滲んでいる。
「まだ気を抜くな。そんな甘い相手じゃないことくらい身に沁みて分かっているだろう」
助手席から警告するようにそう言った市ノ瀬も、その言葉とは裏腹にやや緊張が緩み始めている自分を感じていた。
先ほどまではまったく感じなかった、煙草を吸いたいという欲求が甦ってきたのもその証拠の一つだろう。
“組織”を逃げ出してから数時間。
4人の乗るステーションワゴンは、夕刻に差し掛かった山道をひとまずの目的地に向かって順調に走っている。
1時間ほど前からは、“組織”からの追っ手はおろか自分たち以外の人間の姿さえ見かけなくなった。
「でもなんか正直拍子抜けって感じです」
「ほんとだよね」
沈黙が破られるのを待っていたかのようにして発された里美と真由の声に、市ノ瀬は思わず内心苦笑した。
後部座席で縮こまり、対向車とすれ違うたびに目を閉じて震えていたつい先ほどまでの自分たちの姿は、もう記憶の片隅にしまわれたらしい。
だが、彼女らがつい軽口を叩きたくなる気持ちは市ノ瀬にもよく分かった。
忠実に任務をこなした直後の、そして敢えての白昼の脱走は、“組織”の裏をかいた自信があった。
いったん人目につかないところで十分にほとぼりを冷ましてからの海外逃亡というプランも、おそらく“組織”の目を欺けるはずだ。
飛びつくように向かった空港で“組織”の出迎えに遭った“脱走者”を、市ノ瀬は何人も知っていた。
国内に留まることのリスクは当然あるが、そのことを思えば、人目の届かないところにしばらく潜んだ後での高飛びの方がむしろ安全だと思われた。
前もって市ノ瀬が当たりをつけておいた、その当面の逃亡先である山中の小屋まではあと10分もかからない。
住み心地がいいとは到底言えないだろうが、自らの命と天秤にかければそのような贅沢な感情が介入する余地などあるはずもなかった。
何よりとりあえずの身の安全が確保されるという、これ以上ない贅沢が迎えてくれるのだから―――
「油断して得るものなんて一つもないぞ」
目前に迫ったその“贅沢”に思いを馳せながらも、市ノ瀬が厳しい表情を後ろに向けてそう言いかけたとき……不意にその体を衝撃が襲った。
「あっ!?」
「きゃあっ!」
後部座席の2人が、弾け飛ぶようにして自分たちの座る背もたれにぶつかり、悲鳴をあげたことで、市ノ瀬は今の衝撃の理由を知った。
「どうした!?」
ダッシュボードに手をついて体を支えながら、急ブレーキを踏んだ理由を問い質すべく運転席の菊沢へと向けた市ノ瀬の表情が凍りつく。
蒼白な顔で目を見開き、一点を見据える菊沢のその顔は、明らかに最悪の事態が到来したことを告げていた。
知らず、市ノ瀬の視線は菊沢のそれを追って前方へと向けられる。
その先―――フロントガラスの向こう側で茜色の陽に照らされた景色の中に立つ、一人の女。
「“R”―――」
菊沢が喘ぐようにその名前を口にしたとき、市ノ瀬は先ほどまでの微かな希望が絶望へと変わってゆくのを否応なく感じた。
「菊沢っ!踏め!思い切りアクセルを踏め!」
次の瞬間、市ノ瀬は半ば無意識にそう叫んでいた。
「え……!?」
「いいからやれ!やらなきゃこっちがやられる!死にたいのか!」
「は、はい!」
呆けたようになっていた菊沢が慌てて足を踏み替える。
ガクンという衝撃と同時に、一瞬車体は前進し……再びその動きを止めた。
「何してる!踏めって言ってるんだ!」
「ふ、踏んでます!踏んでるんです!」
悲鳴のような声でそう返す菊澤の右足は、確かにアクセルをいっぱいに踏み込んでいた。
「な……?」
言われてみれば、エンジンが甲高く唸る音や、タイヤが激しく地面をこする音はずっと聞こえ続けている。
それらの意味することに市ノ瀬が気付いた瞬間――4人の人間と少なからぬ荷物を積んだ大型のワゴンは軽々と地面から浮き上がった。
「うわあっっ!」
「きゃあぁぁっっ!!」
窓の外の景色がぐるりと回転する。
続いて、激しい音と衝撃が襲い掛かってきた。
一瞬息が詰まり、目の前が暗くなる。
光が戻ったとき、市ノ瀬の目には景色がさっきまでと違った角度で映っていた。
ひび割れ、横倒しになったその景色の中で薄く微笑む“R”――“組織”の粛清人の姿は、まさしく絶望そのものであると言えた。
「くそっ!!」
その絶望を殴りつけるかのように、市ノ瀬は手を前に突き出す。
既にクモの巣状にひび割れていたフロントガラスは、市ノ瀬のチカラによって粉々に砕け散り、弾け飛んだ。
「早く外に出るんだ!」
重力の方向が変わってしまった車内で他の3人に怒鳴るようにそう言い、市ノ瀬は今しがた自分が砕いたフロント部分から車外に這い出た。
そこかしこに打撲や切り傷はあるが、幸いどれも大したことはなさそうだと自己診断しながら、前方の敵へと視線を投げつける。
粛清人“R”―――
“組織”において知らないものはいないだろう、裏切者を抹殺する役割を負った“死神”
レベル「E」の“念動力―サイコキネシス―”を持っているという、人間の形をした“悪魔”
その姿が今まさに自分の前にあるとは信じたくなかった。
だが、紛れもない現実であるということをたった今思い知らされた以上……もはや市ノ瀬たちに残された道は2つしかなかった。
「市ノ瀬誠、菊沢真吾、小原里美、高坂真由―――以上4名、社命により“消去”する」
或いは唇から血を流しながら、或いは肩の辺りを押さえながら……横転した車から全員が這い出て来るのをじっと待った後、“R”は嫣然と告げる。
その短い言葉の中に、4人もの命が……それも自分自身の命が含まれているとは思いたくない、淡々とした軽い口調だった。
「俺と里美のチカラを合わせて何とか一瞬でもあいつを抑え込む。菊沢、お前はその一瞬を絶対見逃さず…“撃”て。それから――」
早口で囁く市ノ瀬の言葉に、微かな頷きが返る。
残された道は2つ。
死ぬか―――生き残るかだ。
もっとも、既にあの圧倒的な力を見せられた今、後者の道が本当に存在しているのかどうかは疑問だ。
だがどちらにせよ、黙ったまま“消去”を受け入れるなど絶対にしたくなかった。
せめて目の前の“敵”に一矢報いてからでなければ、死んでも死に切れない。
素早く無言の合図を出すと同時に、市ノ瀬は自身の“念動力―サイコキネシス―”を全力で解き放った。
寸分違わぬタイミングで、里美からも同様にチカラが“R”に向かって放たれる。
血走った市ノ瀬の目には、一瞬眉をしかめる“R”の表情がスローモーションのように映った。
――“撃”てっ!!
市ノ瀬が心の中でそう叫ぶよりも早く、菊沢は先ほど拾っておいたガラス片を、最大数の4つ“射撃―シューティング―”していた。
思念でコーティングされたガラス片は、違うことなく一直線に“R”へと向かう。
次の瞬間――市ノ瀬たちは信じられない光景を目の当たりにした。
「バ―――」
驚愕の表情を形作って何かを言いかけた菊沢の顔の真ん中に、たった今自身が放ったばかりのガラス片が深々と突き立つ。
直後、“R”の目前で静止していた残りのガラス片が、見開かれた菊沢の目と口を続けざまに埋めていった。
ゴボッ―――
ゆっくりと倒れてゆく菊沢の無惨な姿を目の当たりにした里美の口からは、本人が発しようとした悲鳴の代わりに奇妙な音が漏れた。
次いで、どろりとした赤いものがそこから溢れ出す。
思わず手でそれを受けた里美は、朱に染まった自分の手をしばらく不思議そうに見つめた後、もう片方の手を胸のあたりに当てた。
そこが大きく陥没していることを、里美が認識できたかどうかは分からない。
それを最後に、里美はその体勢のまま前のめりに倒れて動かなくなった。
――化け物……だ……
こちらの命がけの反撃を歯牙にもかけず、一瞬にして2人の能力者を屠った“R”に、市ノ瀬は改めて絶望を突き付けられた。
今となっては万に一つの可能性を期待したことさえ、あまりにも愚かであったと言わざるを得ない。
だが、それでも最後の最後まで市ノ瀬は足掻くつもりだった。
「頼みがある。最期に一本…喫わせてくれ」
胸ポケットのシガレットケースを指し、静かにそう言ってみる。
答えがないままに殺されるかもしれないという覚悟はあったが、意外にも“R”はあっさり「どうぞ?」と手の平を上に向けた。
「恩に着る」
ゆっくりとシガレットケースから煙草を抜き出して咥え、ライターで火をつける。
できる限り時間を稼がなければならない。
せめて、真由だけでも逃げ延びさせてやるために―――
“幻影―ファントム―”で作り出した虚像を置いて、真由はあの合図の瞬間からこの場を離れていっているはずだった。
あとは自分の死を少しでも引き伸ばして、真由が逃げ切れることを祈るしかできない。
「火、あたしにも貸してもらえる?」
「……?ああ、構わないが」
煙草を吸い終えた後はどのようにして時間を稼ごうかと頭を回転させていた市ノ瀬は、“R”の思いがけない言葉に戸惑いながらも頷きを返した。
“R”が煙草を吸うなんてことは知らなかったし、なんとなく意外な気もしたが、市ノ瀬にとってその申し出は時間を稼ぐまたとない好機だった。
だが―――
「どうも」
「―――!?」
その言葉と同時に“R”が取った行動は、市ノ瀬の想像とはまったく違っていた。
唐突に、市ノ瀬の右手の中にあったロンソンのバンジョーが、何かに弾き飛ばされたように宙を舞った。
反射的にそれを追う市ノ瀬の視線の先で、シルバーのボディに空の茜色が鈍く映し出される。
夕景に染められながら弧を描く銀色のオイルライターは、いつしか同じ色の炎を点していた。
放物線の頂上を越えたそれは、ゆっくりと落下の方向へと転じてゆく。
その先には、横転したステーションワゴン――破損した燃料タンクからガソリンを漏らす、危険な物体があった。
「―――ッッ!!」
その意味を理解した市ノ瀬が、咄嗟に両腕と自身のチカラで防御の体制を作りつつ車の反対方向へと走り出した一瞬後――ライターは漏れ出たガソリンに濡れた地面に落ちた。
小さな銀色のボディに点されたささやかな炎が、瞬時にその凶暴性を剥き出しにする。
あっという間に地面を伝った炎はワゴンへと到達し、その車体を包み込んだ。
「―――――!!」
「!?」
市ノ瀬が思わず振り返った刹那―――激しい爆音が静かな山道の空気を震わせた。
次いで、大小の破片を伴った爆風が市ノ瀬を襲う。
爆風に押し倒されたことも、飛来した破片に肌を切られたことにも、気付いていなかった。
市ノ瀬の頭の中は、爆発の直前に聞こえた声のことでいっぱいだった。
呆然と体を起こした市ノ瀬の視線の先で、一人の女が全身を炎に包まれて絶叫を上げている。
「真由……」
炎の中、その手にダッシュボードに入れてあったはずのベレッタが握られているのを認め……市ノ瀬は理解した。
いったんは市ノ瀬の指示通り逃げ出したのだろう真由が、菊沢と里美の死を見て引き返してきたのだということを。
2人の仇を討とうとしたのか、それとも市ノ瀬を助けようとしたのか……それは分からない。
だが、確実なことが一つだけある。
時間を稼ぐための方法をあれこれ考える必要は、もうないということだ。
炎の中から聞こえていた絶叫は、既に途絶えていた。
無惨に崩れ落ち燃え続けるその姿からは、いつも勝気な笑みと共に湛えられていた魅力的なエネルギーの痕跡さえ感じられない。
変わり果てたその真由の姿を映す市ノ瀬の瞳の中にも、いつしか激しい炎が燃え盛っていた。
――必ず一矢報いる。こいつらのためにも……!
“R”を出し抜いて一人だけでも逃がすという「反撃」は、果たせずに終わった。
ならばせめて、今まで一滴の血も流したことが無いという噂の「鉄の女」にかすり傷の一つでも負わせて、自分たちと同じ赤い血が流れているか確かめてから死にたかった。
――レベル「C+」の念動能力者にすぎない自分が“R”を相手にそれを為し得ることなど絶対に不可能だ――
普段ならばそう即断したであろう、現実的な思考の壁は、今の市ノ瀬には存在しなかった。
ただ、あっさりと命を奪われた3人への思いと、目の前の“敵”への激情だけがあった。
「うおおおああああっっっっ!!!!」
体の内側から突き上げてくる「何か」に任せ、市ノ瀬は大きく吠えながら自らのチカラを解き放つ。
かつて経験したこともないほどの巨大なエネルギーが自分の中から放出され、“R”へと向かうのを市ノ瀬は感じていた。
自身の限界を越えたチカラの放出に、全身が激しく軋み、そこかしこで毛細血管が破裂するのを認識しながら、市ノ瀬は“R”へと向けた視線を逸らさなかった。
そして、眼底出血によって滲む視界の中―――市ノ瀬は見た。
「化け…物……め……」
表情一つ変えずに立つ“R”に向かって悔しげに発したその言葉が、市ノ瀬の最期の台詞になった―――
* * *
「任務完了」
市ノ瀬の首を“念動力―サイコキネシス―”でへし折り、その死を見て取った後、“R”――石川梨華はポツリと呟いた。
直後――噎せ返るように咳き込んだその口から、赤い液体が飛び散る。
市ノ瀬が最期に放ったチカラは、ガードを突き破り、梨華に小さからぬダメージを与えていた。
「アバラが2、3本イッたわねこれ……」
負傷した箇所を手で抑え、痛みに顔をしかめながら梨華は血に汚れた口元を拭う。
今回の任務でここまでの負傷を負わされることになるとは正直思っていなかった。
正直、詰めを誤ったと言わざるをえない。
それでも、なんとか“粛清人”としての役割を果し終えたことに安堵とも不快ともつかない思いを抱きながら、梨華は今しがた“消去”したばかりの男を見下ろした。
「粛清人たるもの、対象に満足したまま死なれたんじゃ任務を果たしたことになんないからさ」
そして、どこか言い訳するような口調でそう言うと、任務完了の報告を入れるべく携帯電話を手にする。
「“R”だけど。今終わったとこ。うん、もちろん4人間違いなく。後始末よろしく」
傾き、暗さを増してゆく赤に染められた景色の中、“粛清人”の表情からはすでに感情の色は消えていた――――
>>139-147
『粛清人 石川梨華』
以上です。
リハビリになったのかは正直疑問ですが、とにかく途切れたままの続きを書かなきゃなという思いを取り戻すために書きました。
ほんとスピンオフ過ぎてごめんなさい。
蛇足ながら、車爆発炎上の場面は無粋な科学的ツッコミなどせずに“演出”と受け取っていただければ幸いですw
いきなり知らない人ばかり出てきたのに引き込まれました
タイトルがスピンオフっぽくていいですねw
知ってるようで知らない人たちだw
第三者の視点からだとRの強さが際立つね
おもしろかったー!!
読み応えがあってグイグイ引き込まれました!
粛清人強くてカッコイイですね!
途切れたままの続きも大・大・大期待しながらお待ちしてます!
粛清人Rの「肉体」サンプル動画貼っときますねw
これはダークネス最強?選抜部隊ですが
「本編」も楽しみです!
逃亡者の四人が小さい力を合わせて戦うところはマジでワクワクした
市ノ瀬が最後に放った一撃に感動した
渾身の一撃!
市ノ瀬さん・・・あんた良いリーダーだったよ
明日会社でゆっくり読むわ!
ひゃっほおおおおおおおおおおおおおぃ!
川=´┴`)<あんたがやっとんのや
どうぞお許しください
「かーっちょいーぜかっちょいーぜ!ヘイ!FUFUFU!」
機嫌がいいあまり、今は亡き某グループの歌など口ずさんでいる。
サビのこの部分以外の歌詞は正直うろ覚えだったが、「かっちょいー」という響きがなんとなく気に入っていた。
あと、それに合わせて拳を突き出すのが楽しかった。
ちなみに機嫌がいい理由は特にない。
機嫌よく歩く夜道の方が気分がいいからであって、それ以上でも以下でもなかった。
「かーっちょいーぜかっちょいーぜ!ヘイ!FUFUFU!」
人通りのない住宅街で、そこしか分からないものだから延々その部分を繰り返す吉澤ひとみ。
そんな彼女の前に、一つの影が現れた。
「ええかげんにせぇいうとんねん!ほんまお前らは揃いも揃って!」
「おう、何だよお前かよ」
関西風のイントネーションに、ドスのきいた声。
宿敵リゾナンターの一人、光井愛佳である。
光井はミナミの帝王バリの眼光で吉澤を睨みつけていた。
「暦はもう12月に入っとんねん!受験も最後の追い上げの時期なんや!3丁目の和也君が浪人したら責任取れんのか!」
「はぁ?受験だ?」
「大体なんやねんその歌!あんなエロみっともないオバハンらの歌よう恥ずかしげもなく歌えるわ!」
「ちょ、待ていくらなんでもその表現はダメだろお前」
「アホか!2ちゃんねる行ってみぃ!もっと腐れた言葉が飛びかっとるわ!例えばなあ――」
「あーわかったわかった!わかったからそれ以上言うな!」
「ネットでアイドル叩くことでしか自己主張できひんカスどもにどうこう言われる筋合いないんじゃボケ!」
「だからわかったって!その辺でやめとけって。っつーかオレ関係ねーじゃん。何でオレ絡まれてんだよ」
「言うとくけど2ちゃんでボロクソ言われた八つ当たりちゃうからな!」
「イライラすんのがわかってんなら見なきゃいいだろうが!っていうか見んなよJK」
「大体あんたはセコいねん!」
「な、何がだよ」
「リゾスレのあんたのキャラ、いっつもええ役ばっかりやないか!何いっつもシリアスにカッコよく決めとんねん!」
「なこと知らねーよ!別にオレが頼んだわけじゃないっつーの」
「時にはリゾナンターを影から見守ってみたり、ときには容赦なく圧倒してみたり、終いにはあろうことか単独でクールに主演張ったりしくさってからに!」
「だから知らねーってんだよ!ってかオレよりミキティや梨華ちゃんの方がずっと出番多いだろうが!」
「あの人らの扱いがどんなんか知らんのか?そらたまにはええ扱いもあるけど酷いもんやで?あんただけや、ええ思いばっかりしとんの!」
「オレだって裏切られて殺されたりなんだかんだしてんだよ!」
「その後幽霊になって後輩見守るとか復活して魔女に復讐するとか結局かっこええやないか!『魔女狩りの時間だ』やて?痺れたわボケ!」
「お前だって名言いっぱいあんだろうが」
「当たり前や!スレタイ読まんかいスレタイを!っていうか誰がいじらめられっこやねん腹立つ!なんやねんその設定!」
「今さらそんな根幹部分に文句つけてどうすんだよ…」
「しかも予知能力者て!未来予知て!地味やねん!愛佳かってサブマシンガン両手に構えて『魔女狩りの時間だ』言いたいいうねん!」
「だからんなこと2年半も経ってから言ってもよー」
「あ!そや!あれもや!あの某シリーズの中で梅酒飲むシーン!かっこよすぎんねん!あんたどんだけええとこもってくんや!愛佳酒飲むシーンなんて一回もあらへん!」
「いや、お前未成年だろうが」
「やかましいわ!テキーラ灰皿で飲ませんぞコラ!こちとら人間国宝様や!」
「うぉい!やめとけってそういうの!色んな意味で!っつーかそんな超時事ネタ、まとめサイトで後から読んだ人さっぱりわかんねーだろうが」
「そんなささいなとこやなくて全体的にわからへんわこんなもん!大体まとめサイトに入れてもらう気でおるんがおこがましいわ!」
「そりゃまあ確かにそう言われりゃ返す言葉もねーけどさ…」
いい加減うんざりし始めた吉澤の様子を素早く見て取り、光井はしゅびしいっ!と指を突きつける。
「ほら!また!自分だけちょっと冷めた感じでクールにキメようとしとるやろ!そういうとこがセコいんやっちゅうねん!セコイヤチョコレートやっちゅうねん!」
「古っ!読者の8割方知らねーよ」
「狼板のオッサン率舐めんな!」
「なあもうカンベンしてくれよ……」
「出た。ほうでっか。慣れへんコメディタッチのお話はやっぱり疲れまっか。さすがシリアル路線の人は言うことが違いまんなあ」
「マジうぜーこいつ……」
「ほんならそろそろ白黒つけたるわ!」
「勝手に絡んできといてそれかよ。まあいいや、この無駄な時間を終わりにできるんだったら」
「竹内力さんが…ちごた、萬田銀次郎はんが言うてはった」
「……は?なんだよいきなり」
「『ワシ等の歩くゼニの道は並みの人間の歩める道やない…狼が牙をむきあうけもの道でんねや』……いうてな」
「だからなんだよ!今それ関係あんのかよ!」
「愛佳かってかっこええ名言がほしいんや!爽やかなんやなくてイカツイ系の名言をリゾスレに刻みたいんや!」
「だからって何の関係もないタイミングでしかもパクった名言を刻もうとすんな!っていうか刻まれねーよ!」
「せいやっ!」
「うおっ!あぶねー!何すんだよ!おま、それチェーンソーじゃねーか!」
「何回言わすんや!これは我が家に代々伝わる破魔・除霊道具の『キラーソー』や言うとるやろ!」
「知らねーよ!ってか都合が悪くなったからっていきなり振り回すな!ご先祖様が泣くぞ?」
「や、やかましわ!昔のエライ人がこう言うてた。『悪党はなぁ、存在するだけで罪なんや。悪党に人権はない』……いうてな」
「お前が言ったんじゃねーかそれ!ふざけんなよ!っていうかむしろお前の方が悪――」
「せいやっ!」
「うわっ!だから都合が悪くなったからって……ちょまっ!待てって!」
そんなこんなで。
今日も街の夜は静かに(?)更けてゆく。
もちろん、3丁目の和也君の勉強は今夜もはかどるはずはなかった。
『よしざーさんの災難』
…上げ終えた今、各方面に土下座をしております
特に『粛清人Rたんの災難』http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/167.htmlの作者様ほんとごめんなさい
あれ大好きだったんでつい…
作中に垣間見えた作品の作者様方にも陳謝します
本当にスミマセン
でも別の書き手によるもんだとは思わなかったわ
オモシロイw
「少し待ってるっぽ」と彼女はリゾナン史での激戦を繰り広げたとは思えないようなのんきな言動をしていた。
とにかく私は実験室と思われる部屋で待つこととなった。
私は冷静にも部屋の中を観察していた。
机の上に置いてある資料にはからあげステップのメモやグラビティカーテンの設計図などのリゾナン史で聞いたことのある名前の書いてある紙がたくさん置いてある。
「お待たせ、はい夕飯のピザですよ。」
Dr.マルシェ。ダークネスの科学者だ。一説によるとリゾナンターの高橋愛と新垣里沙とは親友の間柄だったとか。
彼女が持ってきたのは私のお気に入りのピザ店の一番好きなメニューのLサイズだ。
「まっ、食べながら話しましょう。」
マルシェは芋をほおばりながら私に話しかけた。
「ではDr,担当直入に伺います。今回のリゾナンター失踪にあなたがたダークネスが関与しているのでしょうか?」
「うーん、どうだろうね。たとえ知っていても教えられないけど。」
そんな事だろうと思った。いくらなんでも一般人に組織の情報をペラペラ話すわけがない。
だが、そんなことではあきらめないぞ。
「たしかに私たちが愛ちゃんたちを捕まえたのならそこに監禁している可能性はあるわね。でもこれだけははっきり言える。組織は海上の孤島を破棄したの。」
「破棄?それはもしや新垣里沙を奪還するときにリゾナンターのよって陥落したからでしょうか?」
「リゾナン史の研究家ならそれぐらい常識だと思うけどな。」
「確かに海上の孤島の陥落を記した資料は大量に発見されていますが、私は海上の孤島の事件についてはどれもバラバラでこれだといえるものがないことに気付いたのです。
あなた方は巧みに情報を操作して、海上の孤島についてはあいまいにしている。だからあなた方の島を破棄したという話もそう簡単に信じるわけにはいきません。」
「そういう見方もあるわね。でもそれはあくまで可能性の問題ですよね。」
さすがはDr.マルシェ。そう簡単にしっぽを出さないようだ。
すると部屋に構成員がひとり入ってきた。
「マルシェ様、お届け物です。」
「はい、御苦労さま。」
「失礼します。」
なにやらあの構成員、何やら不満そうな顔をしている。仮にも幹部の部屋の中でそれはまずいだろうと。だが私は彼の事を知っているような気がするが・・・・
(まさか、あの男がかの有名な「俺」か?ダークネス幹部会にも出席したとも言われる下級戦闘員。)
「あのさっきの彼に話を・・・」
「だめですよ、あなたがここにいるのを知っているのは私と後藤さんと彼だけです。ほかの幹部に見つかったらあなた殺されますよ。」
「他の幹部?誰ですか?」
「幹部のメンバーを把握しようとしても駄目ですよ。ほかに聞きたい事は?」
「高橋愛さんについて何ですが。彼女がi914であることはほぼ間違いありません。」
「それが何か?」
「考えたくありませんが、リゾナンター失踪の影に彼女の忌まわしい過去が関係していて、i914としての能力が狙われたのか。それとも彼女も闇に落ちたのかという仮説が出るのですが?」
「確かに愛ちゃんの強大な力を狙う人はたくさんいるかもしれない。れいなの共鳴増幅やリゾナンターの共鳴による力も同様にね。愛ちゃんが何か今の世の中に不満を持ったなら私たちと同じ道を歩むかもね。
どのみち、あなたにとって一番の容疑者はダークネスということになるのかな?」
「あなたがた以外に考えつかないものでね。」
「最後にひとつ、愛ちゃんたちの失踪にダークネスが関わっているという固定概念は捨ててくださいね。」
「それは一体どういうことです!」
するとマルシェはマスクをつけた。何やら眠気が・・・まさか催眠ガス!
私が目を覚ますと公園のイスに座っていた。
とても貴重な体験だった。リゾナン史の偉大な研究家たちもダークネスの基地に行ったことはないだろう。全容が解明できていない組織の中に一時期でもいたのだから。私は興奮してやまなかった。
ダークネス側にはうまくはぐらかされてしまったが、たしかにマルシェの言うことには一理ある。リゾナンター失踪=ダークネスは少しパターンにはめすぎているのかもしれない。
そこで私はふと思い出したことがある。
それはリゾナンターの体調である。リゾナン史の記録には亀井絵里の心臓病以外にもリゾナンターのメンバーに身体的な負担が見られる。
たとえば高橋愛の視力である。彼女の能力はすべて光が関係している。そのため視力が失われ始めているという話と能力増幅薬を服用したことによる副作用。
そして久住小春の能力同時発動による失明。
もしや彼女たちの失踪は能力使用の過度による身体的な異変が原因なのだろうか?
だが、これは本人たちを見つけるか正確なデータがない限り証明するのは不可能だろう。
こうなればあそこを探るしかないだろう。
そう、Mの日本支部だ。
私は翌日霞が関にあるM日本支部に向かった。
その途中、私は本屋でパラレルワールドに関する著書に目が行った。
パラレルワールド
確かリゾナン史の史料に高橋愛がいくつものパラレルワールドを渡ったという未確認の記述がある。もしもそれが事実なら今度はリゾナンター全員でパラレルワールドに冒険に行ったのだろうか。
そんな事をふと思っているとM日本支部に到着した。
これからが本番だ。と思ったのだが・・・
追い返されてしまった。
全く思った通りだ。リゾナン史研究家の間ではMとダークネスに関しては組織の内部や構成員の把握ができていないから信用するなとよく言われていた。
一体だれがダークネスで誰がMの幹部か資料がごちゃまぜ状態になっているからだ。
まぁもともとアポなしできたから仕方がないけど・・・
行き詰った私は釣り堀に足を運んでいた。
そういえばこの釣り堀は願いが叶うことで有名だったな。
確かリゾナン史によると道重さゆみ、田中れいな、リンリンがバイトをしていたとか。
そんな事をふと思いながらつりをしていると隣で猫が釣りをしている。
そうかここは猫も釣りを・・・猫が釣りを!
よく見ると二本脚で立って、普通に釣りをしている。
なぜだ!
「あんた、リゾナン史研究家・リゾ蔵夫やろう。」
「しゃべった!」
「驚くことはないやろう。あんたらの研究している世界では普通のことやろ。」
「まさかあなたはボスですか?」
「そうや。」
「どうしてここで釣りを。」
「わいもここの常連なんや。暇な時は釣りをするもんや。」
「何をのんきなことを言っているんですか?リゾナンターが行方不明なんですよ。Mの指揮官のひとりであるあなたがのんきに釣りなんて。」
「あんた、Mがリゾナンターと協力関係にあるなんて誰が言いましたんや。
それはあんたが見つけたリゾナンタークライシスの系列の資料中でのことやろ。ほかの資料ではすでにMは崩壊していたり、終いにわいは死んだことになっている資料があるというやないか。資料を読みあさるだけですべては見えしまへん。」
「はい、すいません。」
私はリゾスレの世界を自分の足で追いかけたのはこれが初めてだった。
いつも紙に書かれたことのみで検証していた。研究者として私は未熟だったのかもしれない。
「ただ、これだけは言える。わしも全力であいつらを探している。それだけは信じてくれ。」
釣り堀から家に帰る途中、ふと公園の中を見るととても大きな木が立っている。
なんの変哲もない木のはずなのになぜか興味をひかれる。
待てよ、確かこの公園は喫茶リゾナントの近く。
まさかあのダークネスを共鳴して暴走したあの木ではないのか。
私は何を感じたのか木に耳を当ててみる。
なぜかわからないが木の気持ちがわかるような気がした。
なにかさびしげな印象を受けた。君もリゾナンターがいなくなってさびしいのか?
私はとぼとぼと帰路についていた。
あっちこっちに歩き回って疲れがたまっているようだ。
すると目の前に人影が・・・
「あなたは高橋愛さん?」
「2011年2月5日。」
「いったい何なんですか。その日付は?」
「あなたが追っていた事件の真相がわかる日です。私たち未来で待ってるから。」
そう言って高橋愛は姿を消した。
今のは幻覚なのだろうか。
来年の2月5日。何がわかるというのだ。
だが、私は信じよう。その時、彼女たちがいつもの笑顔で帰ってくることを。
「リゾスレ50話突破記念 消えたリゾナンター (3) 」でした。
どうも、リゾナンタークライシス作者です。
なんとか完結編をお届けできました。
事件の真相は・・・明らかにしませんでした。
これはあえて真相は作らずにリゾスレのとてつもない想像力やそれぞれの作者さんたちの作品の世界での
解決というのがリゾスレの今後にもつながるのではないかと考え、このようなエンディングにしました。
最後の場面はみっついにしようか迷ったのですが、ここはリーダーを出しました。
ちなみに最後の日付はリゾナンター出演の某映画の公開日です。某映画の発表が今回の作品のきっかけのひとつともいえます。
私は今月忙しくなるのでもしかしたら今年最後の作品投稿になるかも・・・
面白いの一語に尽きる
もし興が乗れば魔女編も読みたいものですが
>.>>175
乙です
いつごろからこのスレと出会ったのか判りませんが実に色んな話を読まれてるんだなあと感心させられました
結末がちょっと物足りないけどこれはこれでリゾスレらしい
>今年最後の作品投稿になるかも・・・
いやそれはないでしょうw
記念話完走乙でした
話の整合性はともかくとしてw本当に色々な過去作品を細部まで読んでいるんだなと感動に近い思いさえ抱きました
そしてなるほどこの結末はこれはこれでこのスレ的におもしろいですね
映画の公開が楽しみです
またリゾナント作が生まれたりするといいですね
>>176
魔女編は是非あなたの手で…w
元作者さんがお怒りでなければですが;
乙
ちょっとゴチャゴチャしすぎの感もあるけど未来へと繋げるラストが何か希望を感じさせるな
作品読んだら作者さんのこのスレが好きなんだという気持ちが凄く伝わってきたよ
こんな話あったなぁと思い出しながらスラスラ読めた
2月5日に何があるんだと思ったら映画公開日なんだねwまた来年もよろしく
http://www.pal-ep.com/dbf/_img/1289192593.jpg
しかしこれをネタに誰か物語を作ってくれそうな気がするw
光井さん何してはるんですかw
戦隊ものも「ディケイド」するらしいね
リゾナンターも出ないかなあw
忘年会シーズンなのかな
「復讐と帰還」
「Diveintothe“FUTURE”」
あたりの話を読み返していただけると分かりやすいかもしれません
シリーズ最終章『R-Infinity』
鷹揚のご鑑賞をどうぞよろしくお願いいたします
承前
初めに闇があった。
闇は「光あれ」と言った。そして光が生まれた。
光は闇と分かたれ、光は闇から隠された。
予言者は言った。
一つの光、九つの光。一つの心、九つの心。
光と心はいつか、闇へ帰るだろう。
第1話 もしも出会いが奇跡なら
1
左腕が熱い。
痛みが熱を帯びて、まるでそこにだけ別のいのちが息づいているかのように、左腕がうずく。
シャワーの熱が汗を洗い流していく中で、里沙は左腕を見つめ、微笑を浮かべた。
(強くなった……本当に、あの子……)
里沙の左腕に熱を刻み込んだのは久住小春の蹴りだ。鞭のようにしなる良い蹴りだった。
横浜での戦いを経て、小春は人が変わった様に訓練に熱が入り、戦士としての階段を一気に駆け上がっている。
格闘戦に限れば、小春が高橋愛や田中れいなにも引けを取らない実力を身につける日もそう遠くないのではないだろうか。
(もし、その日が来たら……)
里沙は思った。
その日が来たら私達は――リゾナンターは――もっと強くなる。
もっと強くなれば、リゾナンターは勝てる。
勝ち目がある。そう思うたび、里沙の心はあざやかな驚きで震えた。
里沙がリゾナンターに身を投じた時点では、ダークネスとの戦力差は懸絶していた。
その気になれば卵を握りつぶすほどの容易さで、ダークネスはリゾナンターを粉砕できたのだ。
結果としてそうならなかったのは、ダークネスがそれを欲しなかったからにすぎない。
高橋愛の中に眠る『光』と呼ばれる生物兵器i914の力を手に入れるため、ダークネスは里沙を派遣し、悠長とも思えるやり方をとった。
だから私達は今日まで生き延びられたのだと、里沙も愛もそう考えている。
(でも……どうして?)
確かに『光』と呼ばれる力は強い。
完全に『光』の力を御しきる事が出来るなら、ダークネス二つの頂点安倍なつみの『ホワイトスノー』と後藤真希の『念動力』にすら肩を並べるだろう。
しかしいくらこの力が強いとしても、ダークネスという組織にとってそれがリスクを負う程のうまみ、手に入れる必要性がある話かどうかは別問題だ。
安倍、後藤という二人の最強の能力者にそれを加えてまで挑まねばならない敵など、ダークネスに存在するのか。
現在、リゾナンターがダークネスにとっての脅威になりつつあるが、それは高橋愛の『光』と『完成されたサイコ・ダイバー』新垣里沙ありきの話で、
第一『光』の件がなければ里沙だって組織を離反しなかったのだから本末転倒である。
では、何故組織はここまで執拗に『光』を手に入れようとしたのだろうか?
この疑問がどうにも里沙の心に引っかかっていた。
加えて、組織の重鎮であった予知能力者飯田圭織の精神に封じ込められた『闇』が一体何を意味するのか。
里沙には己が巨大な運命の輪の中で漂っているような感覚があった。そして、ふと安倍なつみの闇色の瞳が脳裏をよぎった。
「安倍さん……」
里沙がこぼした呟きは、シャワーの水音に飲み込まれながら、闇の中へ流れ落ちていった。
2
そこにだけ柔らかな春の日差しが差し込んでいるような部屋だった。
取り立てて何か変わった所があるわけではない。
この部屋の主の作りだす空気が、訪れた者にそういった印象を与えるのだろう。
「なっち」
黒のドレスに身を包んだ妖艶な女が、ソファーに腰掛けている部屋の主――安倍なつみに背後から声をかけた。
なつみはドレスの来客――後藤真希に振り向き、ソファーの隣の席を促した。
後藤は振り向いたなつみの顔を見た時、少し意外そうな表情を浮かべた。
「ずいぶん機嫌が良さそうね」
「そう見える?」
「なっちが笑ってるの、久しぶりに見たわ」
傍目には平素と変わりないようだが、見る者が見れば、なつみの頬にほんのかすかな微笑が浮かんでいるのが分かるのだろう。
後藤には、その微笑の見当がついていた。
ダークネスという組織は今、異常事態に見舞われている。
リゾナンター高橋愛と新垣里沙討伐のため送り込んだ粛清人AとRが敗北し、
その復讐戦のため粛清人を継いだ吉澤ひとみも、新兵器「戦獣」を全て失った上に敗走した。
ダークネス恐怖の象徴と喧伝される粛清人が、三枚とも落ちるなどあっていい事ではない。
特に吉澤のケースは深刻であった。
吉澤は先の二人のように激戦の末の決着ではなく、サイコ・ダイバーとして新たな地平に立った新垣里沙に一蹴されたのである。
粛清人を一蹴できる存在などこの地上に安倍なつみと後藤真希しかいない筈だったのだ。
と言う事はつまり新垣里沙は――なつみが上機嫌な理由はこの辺りにあると後藤は踏んでいる。
「強くなった……本当に、あの子……」
「何がどうなってあんなに強くなったのか知んないけど、まさかあの新垣がねえ……」
「今日はよく喋るわね」
「そう?」
「私ね、ずっと考えてたの。あの子を送り出してからずっと」
「何を?」
「もし、その日が来たら……って」
「その日って、どの日?」
「目覚める日」
高橋愛が『光』の力に目覚め、そしてその力を完全に我がものとして受け入れられる日をずっと待っていたのだと、なつみは続けた。
その力が組織を貫く牙となろうとも、絶対にそれが必要なのだから。
「でも……どうして?」
「ねえ、春と、夏と、秋と冬だったら、後藤はどれが一番好き?」
「え?」
「私はね、全部好き。晴れの日も、雨の日も、曇りの日も、雪の日も、みんな好き」
そしてなつみは後藤の目を見つめ、「手を貸してほしい」と言った。世界を守るために。
3
「明日出かけるから、今晩泊めて」
と、風呂上りにいきなり言われた。目の前に愛が立っている
里沙はタオルを頭にかけたまま、目をぱちくりとさせ、そしてため息をついた。
「なんやお風呂入っとったんか」
「びっくりするからワープして部屋に入ってこないでって前から言ってるでしょ。玄関から来て」
「何か飲む?愛ちゃん」
「お酒、ある?」
「梅酒ならあるけど……何で割る?」
「ガキさんと同じのでええよ」
「じゃあロックになるけど」
「ちょっと薄めてもらった方がええかのう。二日酔いで跳ぶと行き先間違えるかもしれんし」
「そんなに量飲まなきゃいいじゃない」
「この前なんて新宿に行こうとして新橋行ってしもうたからなあ」
愛は何かちょっと面白い事言ってやった的な顔をして里沙を見つめている。
まともに相手すると厄介そうなので、里沙はその視線をかわしながら手早く準備を済ませ、愛にグラスを渡した。
「薄めにしといたから」
「あっ、ガキさん、そんな事より髪の毛早よ乾かしなよ。風邪ひくで」
「あんたねえ」
里沙がドライヤーを当ててる様子を肴に、愛は梅酒のソーダ割りをちびちびやっている。
ゆったりとした時間が二人の間に流れた。
「ガキさんが作ってくれたの、ちょうどええなあ。おいしいよ」
「あんまり飲み過ぎちゃ駄目よ。明日は遠くまで跳ぶんでしょ?」
「え?」
「明日でちょうど、十年だもんね」
「……憶えてて、くれてたんか」
「愛ちゃんの事だもん」
そう言って里沙は、独特のちょっと困った様な笑みを浮かべた。
どうしようもないいとおしさが胸の中に広がっていくのを感じながら、愛は十年前のあの日に思いをはせた。
あの日のかなしみから、十年。私は、失ったものに代わりうる何かを得ただろうか?
「え?」
「あたしにはガキさんと、みんながおる。あたしの十年は幸せやった」
そう言って愛は、少し照れたようにしてグラスに口をつけた。
隣に座る里沙も同じように口をつけ、「おいしいね」と呟いた。
4
「どういう事だそれは」
怒りに震える声で吉澤ひとみはそう言って、小川麻琴に詰め寄った。
小川は吉澤が――というよりも人間が――これ程までの怒気を発するのを初めて目の当たりにしていた。
教える時期を早まったかもしれない――小川の胸中に不安が湧きあがってくる。
「一応、お耳に入れといた方がいいかと思いまして」
小川がそういった瞬間、ガン!という衝撃音が部屋に響いた。
吉澤が壁を殴ったのだ。黒煙を吹きだしそうな程の怒りが、吉澤の全身を震わせている。
「それが……戦って死んでいった者に対するやり方か……」
「上の判断ですから、私には何とも――」
「冒涜だ!」
吐き捨てるようにそう叫び、部屋を出ていこうとする吉澤を小川は慌てて呼びとめた。
「吉澤さん!どちらへ?」
「決まってんだろ、潰しに行くんだよ。その計画ってやつを」
「上の判断だと、申し上げた筈ですが」
吉澤ひとみは、横浜での戦いで新垣里沙達リゾナンターに敗北したためその発言力が弱まっているとはいえ、
粛清人と諜報機関の長を兼ねる組織の幹部であり、その権限は相当に重い。
吉澤の権限が及ばない程の上層部に属する人間などかなり限られてくるだろう。
少なくとも、小川麻琴の属している生物化学研究所が単独で進めている計画ではないという事になる。
「……まさか、あの人が絡んでるのか?」
「その辺りはご想像に」
「気にいらねえな」
そう言って吉澤は、壁に視線を送りしばらく黙りこんだ。
小川はその様子を注意深く見つめた後、頃合いを見計らい「くれぐれも無茶だけは」と言い残し部屋を去ろうとした。
その時、
「おい、お前のボスに伝えとけ。手を貸してやるってな」
背後から吉澤の決然とした声が響いた。
振り向いた小川の心中を貫くように、吉澤の冷たく、鋭い視線が放たれている。
その凄味は、彼女がダークネス諜報機関の長である事を改めて小川に思い知らせるに十分であった。
5
「なあ……ガキさんは、どう思う?」
「どうって、小川さんの事?」
「信用してもええんかなあ」
そう、二杯目のソーダ割りを作っている里沙に、愛は問いかけた。
一瞬、里沙はその手を止め、またすぐに作業を始める。
「じゃああの話、受けた方がええかな」
「愛ちゃん」
里沙は愛に向き直り、言った。
「小川さんが信用できる人でもね、あの人が所属している組織まで信用してもいいって事にはならないと思うの」
「そうかのう……」
意外な事に、どうやら里沙はこの計画にあまり乗り気でないようだ。
現実家としての新垣里沙ならば、利用できるものはとことん利用すべきだと考える筈だ。
普段はとことんお人よしのくせに、時折冷たい刃のような鋭さを垣間見せるのが新垣里沙ではなかったか。
「彼らにとっては私達もダークネスも似たような物だもの」
「でも、いつかきっと分かってもらえる時は来るよ。それにあの人らの助けがあれば」
「ねえ愛ちゃん、私達強くなったよね」
横浜での戦いで、里沙と愛は超共鳴によって以前とは比べ物にならない程の力を得た。
超共鳴。心の一番奥深くで心の一番濃い部分が響き合って起こった共鳴。
二人がその力を得たのは様々な要因が関係し、そのうちのどれか一つ欠けてもそれは起こりえなかっただろう。
「あの共鳴はまるで、奇跡」
まさに奇跡であった。
奇跡は、他人の精神に潜るサイコ・ダイバーである里沙と、i914としての自分を心の奥底に封じ込めた愛の二人だったからこそ、
里沙と愛の間に決して切れない絆があったればこそ起こったのだ。
もしも二人が出会わなければ、愛は、『光』は、どうなっていただろうか。
「見て、愛ちゃん」
里沙は愛に梅酒を手渡し、左の袖をまくった。
里沙の細い腕が赤く腫れあがっている。
「トレーニングでね、小春に」
「さゆに治してもらいなよ、痛いやろ」
「小春ね、強くなったんだよ。多分次やったらガードできないね」
里沙は愛の目を見つめて、言った。
「きっとね、もっと強くなる。みんな」
「みんなにもあたしとガキさんの間で起きたような事が起きるって事?」
「それは分からないけど、でも」
里沙は一拍置いて「もし、奇跡がまたあるのなら、それを信じたい」と、静かな声で言った。
愛は里沙の言葉を噛みしめるように、梅酒を口に含んだ。
翌日、愛は朝日とともに目覚め、まだ静かに寝息を立てている里沙に「おはよう」と言い残し空間を跳躍した。
6
風が吹いている。
風はやわらかく丘の上を吹きとおり、愛の前髪をゆらした。
「ばあば、来たよ」
辺りを見下ろす小高い丘の上に、ひっそりと墓標が立っていた。
かつてここには小さな村があったが、現在では過疎が進み、この地にすむものはいない。
たった一人、かつて愛を育ててくれた祖母がこの丘に眠っている。
「この辺りもだいぶ変わったなあ」
墓標に語りかけるように、しみじみとした口調で愛は言った。
愛の胸には十年前のあのかなしみが去来している。
かなしみをそっと撫でるように、愛は瞼を閉じた。
あの日祖母は言った。仲間を見つけろと。
真に心を通わせる事の出来る仲間を見つけ、そしておのれの運命と戦えと。
「運命を越えて、生きろ――愛」それが、祖母の最後の言葉だった。
「もし、本当に運命なんてものがあるとしたら、今日この日が来たのはまさにそれかもしれないわね」
突然、愛の背後から、声が聞こえた。声の主はすぐ近くにいる。
優れた精神感応能力者であり、戦いの中で研ぎ澄まされた感覚を持つ愛がまるで気がつかなかったとはどういう事だろうか。
振り向いた先には、頬にかすかな微笑を浮かべた女が立っている。
「何者や、あんた」
「名前くらいは、あの子から聞いたことあるんじゃない?」
「まさか……あんたが」
「初めまして。あなたに会える日が来るのを、ずっと待ってたのよ」
まるでそこにだけ春の日差しが差し込んでいるような人――里沙から聞いていた話と目の前の女の印象は完全に一致している。
間違いない。
この女こそがダークネス最強の能力者、安倍なつみ。
「なんでこんな所におる」
「その人が亡くなって、今日でちょうど十年だもの。きっと来ると思ってたわ」
「なんでばあばの事……!」
「その人から聞かされてなかったの……そう、気の毒ね」
愛に注ぐ視線を微塵もゆるがせる事なく、なつみは言葉を続けた。
静かではあったが、強い意志を感じさせる口調だった。
「その人は、ダークネスの生みの親なのよ」
瞬間、視界が闇に包まれた様な感覚が愛を襲った。
『R-Infinity(1) もしも出会いが奇跡なら』
お目汚しでございました
なるべく話が進むように細かく分けたら読みにくくなってすいません
この先どうやったら面白くなるか今考えているところです
一応最終的な決着まで……と思ってるのですがそこまで辿り着けますかどうか
うわー気になるー
もう終わっちゃうと思うと寂しいけど早く続きが読みたい
新章遂にきましたか!
引き込む力の圧倒的さは相変わらずですね…!
魅力的な人物描写といい息詰まるストーリー展開といい痺れまくります
そしてやはり各作者さんが思い描く世界の深部が描かれるのはゾクゾクしますね
続きを…そして結末を楽しみにしています!
面白い!先が気になる!
安倍なつみが愛の『光』を?!世界を守るために?!
吉澤が激憤した組織の計画とは?
それに手を貸す吉澤の狙いは?
愛の祖母がダークネスの創始者だって?!
気になり過ぎる!!!!!!!
いいですね
作者さんの中にあるリゾナンターの根元の部分が他の書き手のそれと繋がってる部分も窺わせたり
独自のシリーズでありながら一つの王道を描かれてる感が素晴らしい
焦らずじっくりと完結にこぎつけて欲しい一編です
パソコンで再読w
読ませるなあこれマジで
目まぐるしい場面転換がまったく気にならず 逆に引き込まれる要素になってるのがスゴイ
「もしも出会いが奇跡なら」…このキザッたらしいサブタイトルがまたイイなあ
このシリーズ内で…そしてリゾスレ内で積み上げられてきたものが甦ってきて…
めっちゃ胸高鳴ります
ノ|c| ・e・) ∩
ノ从*^ー)Γ
〆 ノ
┛┓
ミヤ…助けに来てよ、お願いだから
★ ★ ★ ★ ★ ★
久住がリゾナントに着いたのは日付が変わる頃になっていた
「高橋さん、話は聞きました。で、でも道重さんが誘拐されたなんて、小春信じられません」
仕事終わりの久住はセレブサングラスにばっちりメイクで、芸能人オーラがビンビンと放たれている
「そうなんだよね…で、疲れているところ悪いんだけど、小春、早速力を使ってちょうだい」
「もちろんです。えっと、何を写せばいいですか?」
久住の力は3つ。一つは『発電』、最近はこれを使用することが多く、文字通り電気を自在に操る能力
もう一つは『幻術』、幻覚を発生させる力で、プライベートで人ごみに紛れることに使っている…らしい
そして残った一つが『念写』、写真のように思念を視認する形で焼きつけることができる力
未来は写せないが過去に見た姿、及び今の姿を写すことができる
すなわち、高橋が久住に頼んでいるのは、事件現場および道重の連れ去られた場所の『念写』
道重をさらった犯人の特徴を掴み、連れ去られた場所を特定しようとしているのだ
「まず、この携帯電話を見つけた場所を写して。何者がさゆを連れ去ったのか知りたいから」
現場に落ちていた道重の携帯と白い模造紙が久住に渡された
「時間はいつごろでしたか?」と尋ねる久住に高橋は自分が跳んだ時間を伝える
「小春、お願い!早くサユを見つけるっちゃ!」
れいなも不安そうでいつも以上に久住に対して気づかいを示した。
緊急事態なのでもちろんリンリン、ジュンジュンも呼び出されている
「道重サンが無事ならいいデス…」
「久住、頼むゾ!」
「エリ、ちょっとは落ち着くっちゃ!不安なのはわかるっちゃけど、小春の邪魔になるとよ!」
「う、うん、ごめん」
れいなに怒られても亀井は指をくわえたり、視線が常に動いて落ち着かない様子だ
「こら、カメ。いくらカメが焦ったってさゆみんが早くみつかるわけじゃないんだから!
今は小春に任せることにしようね」
肩に手を置き、新垣がそっと優しく声をかけたので、亀井は幾分落ち着きを取り戻した
「神様、さゆを守っていてください」
亀井は胸の前で手を組み祈り始めた
「大丈夫ですよ、亀井さん。さっき視えましたから、亀井さんが道重さんを笑顔で抱きしめ合っている姿が」
「本当かいな、愛佳!・・・あ、ごめんっちゃ」
嬉しさのあまり大声を出してしまったれいなは久住が集中しているのを思い出しみんなに謝った
それからしばらくして久住が椅子から立ちあがり、高橋に写真を手渡した
「道重さんはやはり黒づくめの男に連れ去られたようです」
写しだされた写真には黒塗りの高級車に連れ込まれようとしている道重と犯人の姿が写っている
「そして、多分、犯人はここにいると思います」
そういい久住は古びた工場が写された一枚の念写写真を差し出した
「確かに同じ車が写っているね。ナンバーも一緒だし、小春、ありがとう」
久住から写真を受け取った高橋は細部に他に何か写っていないか注意深く目を凝らした
「愛ちゃん、それがどこか見当付いたと?」
「うん・・・多分、ここは○○区だね。この外観に見覚えがあるがし・・・よし、みんな、行くよ!」
八人は表に飛び出し、高橋が手を上げた
「ヘイ、タクシー!」
「…愛ちゃん、リゾナントカーさ、やっぱりみんな乗れるように改造しようよ」
目的の閉鎖した工場には男達が集まっていた
「どうだ、道重の様子は」
「静かに眠っています」
男達はみな黒いスーツに身を包み、サングラスをかけている
その中で一人の男だけが椅子に座っていた。雰囲気から推測すると彼が男達の首領なのだろう
「そうか、引き続き道重、他の能力者及びその卵を監視し続けろ。いいな」
一斉に男達が立ちあがり敬礼の姿勢を取り、足早に飛び出した
部屋を飛び出していった男の一人が走りながら隣にいた仲間に向かって言った
「おい、今日の獲物、すっげえ美人だと思わねえか?」
「ん?ああ、『みちしげ』とかいう女か。確かにめちゃめちゃ可愛いな」
「お?お前もそう思うか。昨日のJKもすげえ可愛いかったけど、今日のもめっちゃ上玉だよな」
更にもう一人の男が後ろから会話に割り込んできた
「今時珍しいぜ、あんだけ長くてストレートの黒髪なんて。くう~たまらねえぜ」
「・・・オマエ、何考えているんだ?少しでも手を出したら・・・」
厳しい目つきで男が仲間を睨みつけたので、睨まれた男は焦って「冗談、冗談」とかえした
「俺達はただボスの命令に従うしかないんだからな、ヘタなことしたら消されるぞ」
「わかってるって、さっきのは冗談だってw・・・チッ、もったいね」
男は小さく舌打ちをして、道重を監禁している部屋へと向かった
★ ★ ★ ★ ★ ★
リゾナンターを2台載せたタクシーは目的の場所へ向かって走り始めた
一台目には高橋、久住、光井、リンリン、二台目には新垣、亀井、れいな、ジュンジュンが乗り込んだ
落ち着いていられない亀井を新垣に託し、光井が助手席に座り、目的地を運転手に伝えた
久住は少し疲れたのだろう、すぅすぅと寝息を立てて眠り始めた
椅子に座っていた男の持っていたグラスにワインが注がれた
「どうだね、道重は能力に目覚めているのか?」
「いえ、まだその方は確認できておりません。幾分、連れてきたのがほんの数時間前のことでして」
「そうか、あの方がこられるまでに確認しておくようにな」
男がワイングラスに口をつけたその瞬間、突然部屋の電気が消えた
「なんだ?どうした?ちょっとお前たち、調べに行ってきなさい」
男の指示に従い、数名が懐中電灯を手に部屋を出ていった
停電になるとどうして人間は静かになるのであろう、そして一段と音が響いてしまう
普段なら気がつかないような他人の息遣いの粗さや足音が耳に触ってしまう
ドタッ
何かが倒れた音が部屋の外から響き、次いで「だ、だれだおま・・・」と先ほど出ていった男の声が・・・
男達は立ち上がり、椅子に座っている男の椅子のまわりに集まり警備を固めた
静かにコツッ、コツッという音が近づいてくるとともに、部屋が揺れているような感覚に男達は陥った
「大丈夫です、我々がついていますから」
靴音が男達のいる部屋の扉の前で止まり、静かにドアが開き、黒い影が現れた
男達はしゃがみこんで一斉に黒い影に対して銃口を向けた
「動くな。静かにその場でひざまずくんだ」
黒い影は忠告を無視し、男達のもとへと近づいてくる
「!! 撃て、ソイツを止めるんだ!」
合図とともに無数の弾丸が放たれた。
黒い影は小さく笑みを浮かべ、掌を前に突き出した
数十分ほど揺られ、リゾナンターは工場の前に到着した
タクシーの運転手の記憶を消し終えた新垣から領収書を受け取りながら高橋が全員に注意を呼び掛けた
「いい?みんな、小春の念写の通りならここにサユがいるはず。もしかしたら他の被害者も。
でも、それは同時にここに犯人がいるということを意味している。気をつけて行動してね」
「もしかしたら相手は能力者かもしれないし、さゆみんがいないと傷も治せないんだからね」
「あっ!ちょっと待ってください!」
建物の内部に突入しようとした仲間を制止したのは光井だった
「光井サン?どうかしましたカ?」
「・・・視えました。田中さん、気ぃつけてください
田中さんに全力で向かっていく人影が見えます。髪が長くて…茶髪…これは、女の人?」
愛佳の予知にれいなは静かに頷き、気を引き締め直した
「愛佳、他に視えたものはない?」
「・・・視えたのは、それだけですね。すみません、高橋さん」
「いや、愛佳の予知のおかげでれいなの負傷を避けられるかもしれないんだから十分やよ」
高橋は満足げに頷き、先頭を切って入口のドアの近くへと駈け寄っていった
まったく灯りの点いていない建物の中の様子を探ろうとドアに耳を当ててみた
「・・・まったく音がしない。小春、体力残ってる?中の様子を写せない?」
振り返った高橋が目にしたのは、すでに地面に念写しようとしている久住の姿であった
「久住さんなら、もうしてはりますよ。愛佳ももう一度視てみようと思います」
その間に残りのメンバーに作戦を伝えた
「いい、まずなるべく犯人との接触は避ける。負傷を今回ばかりは避けないといけないでしょ
だから行動するときは必ずぺアで行動して。
エリはジュンジュンと、ガキさんは小春と、れいなはリンリンと、愛佳はあっしと一緒
もしなにかあったらすぐさま助けを呼んで、勝手に戦わないで、いい?」
高橋はみんなを一旦見渡し、特段強い目で再度れいなを見つめた
見つけたら『警察に連絡しました』とかいって安心させてあげてね」
「それから・・・」「高橋さん!」
いきなり久住が大声を上げた
急いで久住のもとへと高橋と新垣が駈け寄り、「大きな声だしちゃダメじゃない」と注意した
「でも、これみてください」
久住は地面に映った念写の像を指差した
地面にはかすかな砂で構築された風景が写されていた。といっても単色で非常に分かりにくい
「みんな来て!小春が今、これに幻覚で色を付けます。しっかり見てください!」
「なんや、小春?っていうか、あんな大声だしたら犯人に勘付かれるやろ!」
文句を言いかけたれいなの脳裏に鮮明な小春の幻覚が貼りつけられた
「!な、なんや、これ・・・」「!!!」
高橋が何も言わずに一目散に扉へと駆け出し、そのままの勢いで工場内に侵入した
用意しておいた懐中電灯で照らしながら手当たり次第にドアを開けていく
「愛ちゃん、待って!」という新垣の声をものともせずに進んでいく
バタン「違う」 バタン「ここじゃない」 バタン「ここでもない」
「ここや・・・」
ドアを開けた高橋は、中の様子を見て茫然とした
そこに7人が追いついてきた
「ガキさん・・・これ・・・」「小春の念写通りの光景・・・」
8人がいるのは会議室のようにだだっ広い部屋。机なり壁なりが全てボロボロになっていた
壁や床が血で濡れていることはないが、妙に部屋の中が埃っぽく、まるで台風が過ぎ去った後の光景だ
壁には大きな穴があいており、建物を支えているのであろう鉄筋が剥き出しになっている
2本しか脚がない椅子や不自然な形にえぐられたテーブルなどが散乱し…先ほどまで人がいたように感じられない
高橋が懐中電灯の光を当てて、本物かどうかを確認するためにれいなが近づいた
怖々ながら指先で触れたそれはまだほんのりと温かく、ゴムのような弾力があった
「愛ちゃん・・・・これ、本物の人の手っちゃ。指輪はめとるし・・・」
れいなはそれ―肘から上の腕を手に取った
「どういうこと?愛ちゃん、ここが犯人のアジトなんだよね。一体誰が」
新垣もその腕を見ながら、自分の中で考えを巡らしている
「そういえばみっつぃの予言当たらなかったね。どこにもいないじゃん
未来を視たから変わったのかもしれないね~結果的にはよかったですね★田中さん」
「おかしいわ・・・愛佳しっかり、この眼で視たんやけどなあ」
「亀井さん、大丈夫デスカ?元気ないぞ」
「・・・え、何?ジュンジュン何か言った?」
「・・・」
ジュンジュンに引っ張られて歩いている亀井は心ここにあらずといった感じである
ドスン
「愛ちゃん、今の音なんやと思う?上から聴こえて来たとよ」
れいなが天井を見上げながら言った
「みんな、誰か上にいる。行くよ!」
八人は二階へと続く階段を探しだし、その音の出所へと走り出した(一名は引きずられてだが)
「誰がいるんだと思う、愛ちゃん」「普通に考えるなら敵だね」
そんな会話を走りながら交わしているが、頭の中には不吉なことばかりよぎる
階段を登っている最中にも再度何かを叩きつけるような音が聴こえて来た
「多分、あっちやね。みんな、気をつけて」
八人は気配を悟られないように細心の注意を払ってその音の出所へと近づいていく
「ここやね。ガキさん、まずあっしと二人で飛び込むよ。みんなはバックアップよろしくね」
高橋と目を合わせ新垣がウインクした。二人の間で通じる了解のサインだ
薄暗い部屋の中を新垣がもっている懐中電灯が照らす
部屋の中心に女が座り込んでいた
いや、正確に言うならば床に倒れ込んでいる男の胸倉をつかみ、しきりに揺さぶっていた
「いい加減、教えろよ。知ってるんだろ、本当は!」
荒っぽい口調で男をやたら床に叩きつけている
「・・・」
何も言えずに高橋はその光景を見ていた
そして、新垣は「こっちに全然気付かないんだけど」と唖然の表情で固まっていた
「ん?」
ようやく二人がいることに気がついたようで、こちらを振り向き、「あ」と言った
振り向いたその顔を高橋、新垣は知っていた
気まずい沈黙がしばらく続いた後に高橋が恐る恐る口を開いた
「・・・みやびちゃんだよね?ここで何してるの?」
「・・・高橋さん、新垣さん、お久しぶりです」
「愛ちゃん、なんかあったと?」
れいなが心配そうな声を出しながら入ってきた
高橋、新垣、そして雅、3人の瞳がれいなを捉えた
「!! 田中さ~~~ん!!」
雅が目の色を変えてれいな目がけて全力で飛びこんでくる
「え?なんでミヤがおるかいな?」
雅の目はハートマークになり、れいな以外視界に入っていないようだ
れいなが飛び込んでくる雅の顔に振りぬいたパンチをクリーンヒットさせた
「アウッ」
れいなの気持ちのこもった拳をくらった雅はれいなまであと少しというところで膝から崩れ落ちた
「ミヤ、次会った時、一発殴るっていっとったやろ!まだれいなは許していないとよ!」
その一部始終を見ていた光井が誇らしげに言った
「やっぱり愛佳の予知は当たってましたね。どうですか、久住さん!」
「みっつぃ、凄いけど・・・そんなドヤ顔で言っている場合じゃないと思うよ」
久住は幸せそうな笑顔で気絶している雅を指差しながら言った
亀井はそんなちょっとした騒動を離れた場所でぼんやり見ていた。そして静かな声で呟いた
「サユゥ、どこにいるの?」
『Vanish!Ⅱ~independent Girl~』(3)
ちょっと内容が分かりにくいかな?
忙しくて、今を逃すと50話に参加できずに終わってしまうかもしれないので(汗
さて、50話おめでとうございます★
去年の今頃はクライシスさんのようにたくさん書いていたんですよね
今は『書きたいこと』じゃなくて『伝えたいこと』を作品に丹念に込めてます
きっかけは「かなしみトリビュート」の企画で原版を読みこんだことでした。
私の考えるリゾスレの魅力はシンプルなテーマをいろんな作者が色々な方向から書いてることです
サボティさんの繊細な筆遣い、禍刻さんの圧倒的な描写、P線上さんの春風のような文章、ぺっぱぁさんの構成力etc
個性的でどれもこれも読んでいて心躍りますし、一作者として尊敬しますし、一読者として楽しみです
そんなリゾスレが大好きです★長文失礼しました
スピーディーな展開に引き込まれた
熱い語りともども乙ですw
リゾスレは住人さんの愛で成り立ってここまで来てるなと改めて思います
先が見えそうではっきりと見えない展開は「Ⅰ」のとき同様で引きがありますね
「伝えたいこと」が形になっていくのを楽しみにしています
「みんな、行くよ!」→「ヘイ、タクシー!」の流れちょっと吹いたw
乙です
読む側の想像力に甘えることない細やかでテンポのいい描写がイイですね
さゆをさらった組織やその組織を襲った黒い影の正体が明らかになる時が待ち遠しい
>『伝えたいこと』を作品に丹念に込めてます
それはかなしみさんトリビュートやVanish!を読めば伝わってきます
でもmotorさんがスレに貼られた画像を元に書いた掌編も好きなんだよな
自分に言い聞かせる
うええおええぇぇ……
そういうのって凄く難しいんだろうけどねー
昨日の恨みは忘れんぞ
見事なスレたてやがって!
怖いよー
どっちにしろその日は来ちゃうんだから
せめて晴れやかな気持ちで送ってやれるようにしたらいいよ
リゾナンター参上!
Σノリo´ゥ`リ<レッド取られてるじゃん!
Σノリ#`ゥ´リつ<リゾナントレッドの座は渡さないッ!!
http://aewen.com/momusu/kusumi/img/aewen2805.jpg
ジュンジュンも皆さんと同じく今のモーニング娘。が大好き
もちろん久住小春さんも含めての9人娘。
そんな私たちと皆さん-永遠の絆です..
・゚・(ノД`)・゚・。
最後にするのよこの涙
http://deaimail.from.tv/up/src/up3388.jpg
ノノ*^ー^)<梅干はどこかなー
第30話846『復讐と帰還(11) R-again(後)』 より
「少なくともあたし等に敵意は無いようね」
「それはどうかしら?」
「全部聞こえとるよ。…小川麻琴さん」
http://blog.oricon.co.jp/_images/niigakirisa/image/2010-12-06T13:10:08-1.jpg
…ごめんなさい
小川www
第49話 270 『妄想コワルスキー』(前編)より
「Cだからっ。 私、Cだから!!」
http://aewen.com/momusu/niigaki/img/aewen7702.jpg
あれ?逆じゃねー?wwwぐおぉ
よくこういうの見つけてくるねw
第49話 457 『タイトルなし(偽田中会)』より
「あんたが田中れいなさん?」
女が立っていた。暗くて顔がよく見えない。
「そうとよ、何か用?」
「あんたの強さ確かめようと思ったけん。」
女が近づいてくる。
「腕試しと?なら、ケガしてもしらんと!」
パンチを女に繰り出したが・・・
ガシッ!
近づいてきた女は片手でパンチを止めた。
http://stat001.ameba.jp/user_images/20100427/19/tanakareina-blog/02/1d/j/o0179032010514398353.jpg
∑从*` ロ´)<めっちゃくらっとーやん!
ノ|c|#・e・)<ってかなんで偽田中っち役がわたしなわけー?
だって50話だもんね
逆なら書きかけの話に使えたんだけどなあ
そしてかけさがるホゼナンター
○ ゲホッゴホッゴヒャッ…ハァ…ハァ…
<ロ ̄
八
ヤッパリネルナンター…
○⌒つ
 ̄ ̄ ̄ ̄
早く良くなりますように
○
彡(_へ シマッタホゼンシナキャ
 ̄ ̄ ̄
○ *
o (_へ >>292サンアリガトホ…
 ̄ ̄ ̄
だ、誰だ貴様!
朝なのかな…?
ほんとに目が覚めてるのかな…?
以下より転載↓
++++++++++++++++++++++++
山なしオチなしですが、あったかさを目指しました
リゾナンター大好きだ。・゜・(ノД`)・゜・。
6レスほどお付き合いください
この季節、吹きさらしの駅のホームは堪える。
すっかり陽が落ちてしまったホームで、愛佳はマフラーを鼻先まで上げて電車が来るのをじっと待った。
コートのポケットに手を入れる。出番がなくなった小銭が指先に当たった。
ひんやりとした硬貨を避けるようにして、愛佳は少しでも暖を取るためポケットの中で拳を握る。
暗いホームにポツリと明るい光を放つ自動販売機
吸い寄せられるように近づき、財布から必要なだけの小銭を取り出したが投入口に入れるのを躊躇う。
あったか~い、の赤い文字。その上に並ぶ文字通り温かな飲み物
どれも嫌いではなかったが、愛の作るカフェオレに比べればどれにも物足りなさを感じる。
温かな缶を両手で包み暖を取りたい、という誘惑とは戦ったが
リゾナントへ着いたときのことを思うと、それは簡単に抑えられた。
ラッシュ時間とはずれているためか、人はまばらだ。
愛佳はいつもの場所へ座り、過ぎ行く街並みをぼんやりと眺めた。
電車を降りると再び冷たい風が愛佳にまとわりつく。
車内が暖かかった所為で余計に冷たく感じる。
ぶるぶる、と震えた後肩をすくめ、そしてまた指先に息を吹きかけリゾナントへ急いだ。
吐き出す息はすっかり白くなり、そして街はイルミネーションで彩られている。
不規則に9色に変わるイルミネーションに目を細めながら、愛佳はリゾナントの扉を開けた。
「ただいま」
温かい空気が愛佳を包む。オレンジを基調としたリゾナントの照明は、悴んでしまった愛佳の身体をほぐしていく。
温かさと、そして安心感で愛佳は扉の前で動きを止めた。
「おかえりぃ。寒かったやろ」
いつもの場所で愛が声をかけてくれる。愛佳はうん、と頷くのがなぜか精一杯で
そこに佇んだまま首を縦に振った。
「愛佳寒すぎて固まっとぉ」
厨房でれいなが悪戯っ子のような笑みを浮かべながら愛佳を覗き込む。
寒さで頬が真っ赤になっていた。
「愛佳、早く奥おいで。絵里のとなりすっごいあったかいよ。あの子一人で暖房取ってるから」
さゆみが席を立ち、絵里の隣を指差す。今年買ったばかりの遠赤外線ヒーターを絵里は見事に独り占めしていた。
さゆみが愛佳の手を取る。あまりの冷たさに思わず息を呑んだが、すぐにその手を包み込んだ。
「すっごい冷えてるじゃん!手袋、もってる?」
さゆみの体温が愛佳の手をじんわりと温めてくれる。
あまりに自分の手が冷たくて申し訳ない気持ちになったが
どうがんばっても離してくれそうになかったので、手を包まれ引かれるままに絵里の隣へ腰を落とた。
「あー!愛佳ちゃんほっぺ真っ赤じゃん。超寒そう」
ヒーターが当たるように絵里は暖房器具の角度を変えた
そして真っ赤になってしまっている愛佳の頬を手で包む。
「耳も冷たいよぅ。かわいそーに」
亀井さんってこんなに手のひら大きかったっけ?
耳から頬にかけて全体を包まれている。
愛佳はぼんやりとそんな事を思いながら、絵里の体温をじっと感じた。
「温まるまでジュンジュンの上着かしてアゲルよ」
「マフラーもういっこいるですか?」
ばさり、とコートの上にジュンの持っていたコートをかけられ
そして絵里の手のひらと一緒にリンリンのマフラーを巻かれる。
「はいよ、みっつぃー。愛ちゃんからのカフェオレ。早く飲んであったまりなー」
里沙の姉のような、母のような、そんな笑顔を見上げ愛佳は笑顔で頷く。
カフェオレは飲みたい。だけど、自分にこんなに良くしてくれるみんなの好意を離したくない。
もこもこのジュンジュンのコート
れいなのさり気無い心遣い
頬を暖めてくれる絵里の手
手を温めてくれるさゆみ
温かく大きく包み込んでくれる里沙
愛がここに居るという安心感
愛佳は嬉しくて仕方なくなり、でもなんだかすごくくすぐったくて
頬を包んでくれる絵里の手をそのままに肩口に額を押し当てた。
「すっごい、すっごいあったかいです」
頬にあった手が離れ、頭を撫でられる。そうかと思えば、突然髪の毛をぐしゃぐしゃにされ
そして絵里特有の甘い声が降ってくる。
「がんばって帰ってきたね、愛佳ちゃん。おかえり」
顔を上げると嬉しそうに笑う7つの顔がある。
守られている、愛されている。自惚れではなくそう思えることがどれほど幸せか
愛佳はだれよりも理解しているつもりだった。
「オムライス作ったで食べなー。みんなもゴハンにしよかぁ」
看板がCloseに変えられる。
愛の持つ皿には黄色いふわふわ卵のオムライスが溢れんばかりに盛り付けられている。ひとつのテーブルをみんなで囲った。
そしてそっちが多いだの、ジュンジュンは取りすぎだの、れいなはもっと食べるべきだの、さゆみは心もち控えめにすべきだの
そんなことを言い合いながら賑やかな夕食が始まる。
冷たい風が窓を揺らした。小春の務めるアニメチックな天気予報によると、明日からさらに冷え込むそうだ。
愛佳は口いっぱいオムライスを頬張りながら、明日雪が降ることをこっそり願った。
そうすればみんなと、もっとずっとぎゅっと傍に居る事ができるのに。
50話の記念に上げられてよかった!
なんの捻りもないですが、バトルものが書けないので
これからもこっち方面で行きたいと思いますw
++++++++++++++++++++++++
↑以上転載
この寒い日に心をじんわり温めてくれる素敵な掌編でした
一文一文からあたたかさが沁み込んでくるようで
>不規則に9色に変わるイルミネーション
ここでおーと思っていたのに小春は出てこないの?と思いきや……最後までニヤリとさせられました
是非また今後とも「こっち方面」でスレを温めてください!
作者さん代理投稿された方乙でした
リゾナントはこうあって欲しいという願望が見事に具現化してて良かったです
小春の登場の仕方もさりげなくて頬が緩んだ
小春が大声で泣くとハットリシンゾウみたいな涙パワーでやられるぞ
細やかな心情が丁寧に書かれてるな
こういう話を1本でも書きたいものだが
帰宅する仲間たちを見送り二階へと上がったれいなは、リビングの風景がいつもと異なるのに気がついた。
「なんこれ?こたつ?」
「そーそー。物置の整理してたら出てきてさ」
リビングの真ん中に見慣れない布団つき机が陣取っている。
愛と二人で暮らし始めて何年か経つが、こんなものがこの家にあったなんて今まで聞いたことがない。
初めて間近でみるこたつにれいなは興味津々で近寄った。
「これ、いつ買ったと?今まで見たことないっちゃけど」
「あー・・・・・・だいぶ前に買って、そのままずっと仕舞ってあったからね。知らないのも無理ないかも」
苦笑いを浮かべる愛だが、その目にはどこか陰が差しているように見える。
なにか事情があるのだろうと思ったが、れいなは敢えてそれを尋ねようとはしなかった。
話すべきことなら愛は自分から言ってくる。
そうじゃないことなら、特にこちらから聞き出す必要はない。
そんなことより、まずはこたつだ。
「ね、入っていい?」
「まだ電源入れていないからあったかくなってないよ。それでもいいなら」
「失礼しまーっす!」
いざ、こたつに飛び込まん!
れいなは勢いよくこたつ布団をめくった。
が、そこで。
「ちょーっと待ったぁー!!」
鳴り響く甲高い声。にぎやかな足音。
小春を先頭に、仲間たち7人がリビングへなだれ込んでくる。
「田中さんひとりでぬくぬくしようったって、そうはと・・・と、と、と?」
「問屋がおろしまへん!」
「そうそれ!」
「ワタシ田中さんの隣座るー!」
「いーないーなー。ボクもこたつに入りたいんだーなー」
「れいなは詰めが甘いよね。こたつ独占とか許されると思った?」
「日本の冬はヤッパこたつだよネー」
「なに日本人より日本人らしいこと言ってんのアンタ」
あっけにとられるれいなをよそに、次々と自己主張する仲間たち。
正直、やかましくて仕方がない。
「なんでまだおると!さっきみんなで帰りよったやろーがっ!」
「いやー小春が忘れ物したとか言い出してさー。みんなで取りに戻ったら、今度はカメが『サプライズしてこー』とか言って」
騒がしい集団を代表して、里沙がこの状況の説明をしてくれた。
要するに原因を作ったのは小春で、悪ノリしたのは絵里ということか。
驚いたには驚いたが、このサプライズはあまり嬉しくない。
れいな夢のこたつ入りの時間が遠のいてしまった。
「一度には入れるのは四人か。・・・よーっし!こたつ争奪選手権を始めるぞー!イェイイェイ!!」
「やけんなんでそーなると!」
「ルールはー?ねぇルールはー?」
「なんでもいっすよ。なんか案ある人ー?」
「早口言葉!」
「百人一首!」
「ピャーピャー!」
「ツイスターゲーム!!!」
「乗り気!?」
そもそもの当事者である愛とれいなを差し置いて議論が進められていく。
もはや抵抗は無意味だろう。
ツッコミに疲れたれいなが愛のほうを見ると、愛もしょうがないという顔をしてみんなを眺めていた。
「いっくぞー!こたつバトル、スタート!!」
「おー!!!!!」
「・・・・・・おー」
れいなは、小さく右の拳を突き上げた。
…………
「で、なんでこうなっちゃったの?」
「おっかしなー、こんなはずじゃなかったんだけどなー」
「もー、小春のばかぁー!」
こたつ権をめぐるバトルは、すったもんだの果てに終結した。
仁義なき戦いに勝利した愛、里沙、愛佳、そしてれいなの四人がこたつの中に収まる。
「はー、あったかい。眠くなってきたっちゃん」
「え、寝るの?寝るの?寝ちゃうの?指くわえてこたつを見つめてるかわいそうな絵里たちの前で眠っちゃうの?」
「ひどいよれいな!人の痛みをもっと考えて!」
「小春もこたつ入りたいー!みっつぃー交換しよう!」
「え~、いやですぅー」
初めてのこたつでまどろむれいなには、外野たちのさえずりすら心地良い。
誰になにを言われても、れいなはこのベストポジションを譲る気がなかった。
「詰めたらいけるだよ!田中さん、いれてー!」
「ちょ、やめっ、このアホジュン!あんたでかいけん無理!」
「じゃー私小さいだからダイジョブ!ハッハッハ!」
「無理!狭いー!!」
れいなの右隣にジュンジュンが、左隣にリンリンが割り込んでくる。
一人ならまだなんとか平気だが、二人となるとさすがにきつい。
快適だったはずのこたつが途端に熱くなってきた。
「ぬ、そういうのアリ?んじゃ、おじゃましまーす!」
「コラー!小春ー!」
「とぉーう!」
「うお!びっくりした!」
「あ、乗り遅れた」
「道重さん、よかったらここどうぞ」
里沙の隣に小春が。
愛の隣に絵里が。
愛佳の隣にさゆみが入り込む。
一つのこたつに九人。
明らかに定員オーバーである。
「ねー、愛ちゃん。狭いんだけどー」
「うん、狭いな」
「いいじゃんいいじゃんガキさん。細かいこと言わないのっ」
「絵里はもうちょっと細かいこと気にしたほうがいいと思うよ」
「そんなことより暑い!」
「田中さん暑い?ジュンジュンがふーふーしてあげよっか?」
「きもっ!ジュンジュンきもいよ!」
「あー、耳がキンキンなってきたー」
「ハハハ、みんな仲良しだ!」
狭いし、暑い。
このまま寝たら風邪をひく。
終電の時間も過ぎる。
お風呂にだって入りたい。
それでも、今この瞬間こたつから出たいと思う者はいなかった。
いつまでもいつまでもこうしていられたらいいのに、と誰もが思っていた。
『こたつの夜』
「正直スレ」よりアイディアを拝借
---------------------------------------ここまで
したらばの【アク禁】スレからの転載でした
最後の2行はホントその通り
乙でした
正直スレに貼られてた炬燵のAAにはいなかった小春がいるのも良かった
このスレではリゾナンターは9人なんだなあ
自分は帰宅してからでないと無理なので
コタツバトルとか可愛すぎるんだけどw
クリスマスかぁもう12月かぁと感慨深げに思っていると、なぜだか胸がトクンと高鳴った。
あれ……?知ってる。知ってる雰囲気が近づいてくる。
けど、ここに現れるなんて。
普段はしていないフチ有りの大きなメガネをかけているが、あれはまさしく
「……カメだよね?」
「うへへ、カメイのお出ましだよーん」
「てか場所教えてないし……なんでいるの?」
このビルで働いていることは、メンバー全員知らないはずだ。
動揺を隠せない私を見て、にやりと笑う亀井絵里。
「それはぁーこの前ガキさんのおうちに遊びに行ったじゃないですかー。
そしたらエリ見つけたんですよ、カバンの中から覗くガキさんのテーキ入れを!
これはと思ってガキさんトイレ行ってるうちに超高速でメモって~。
だって見つかったらエリ絶対怪しいから!見つからないようにささっと書いたの。
で、ここのどこかだろうなーって思ったから、かいてんちゃく……
開店直後から探してたってわけ♪」
いつもの私なら、最後の最後で噛んじゃったね~、残念!と真っ先につっこむ。
だがそれよりもこの駅直結型ビル【FIVE☆STERS】の開店時間は朝10時だ。
「うぇ~~今夕方じゃん、4時じゃん!暇だね~~!相当暇人ですよ亀井さん!」
「まぁ逆に?暇つぶしにガキさん探してたって感じ?」
「でたよ上から目線ー。あ、また靴下屋で靴下買ったの?袋でかくない!?」
「まぁまぁまぁ。それは置いといて、お願いがあるんです」
「見ての通り仕事中なんだけどなぁ」
再び、にやりと笑う亀井絵里。
「せーの、亀井絵里に似合うコーディネートを考えちゃおーう!」
そう言って拳を天に突き上げれば、まるでどこかの深夜ラジオのようなコーナーが始まった。
「ガキさんにはですねぇ、エリに似合うコーディネートを考えてもらいます」
「それさっきも聞いたよ」
「じゃぁ行きますよ~、ヨーイスタート!」
「はやっ。ちょっと待ってよ考えますから、あなた何が着たいの?スカート?ワンピ?パンツ?なに系?」
「そうねぇ~ワンピースが良いわ。デート風にお願いできるかしら?Tokyo Walker的な、雑誌のね」
「いきなりのマダムキャラでTokyo Walkerと来たか……でもすごい良くわかる」
平日のこの時間は人が少ない。
お願い=お仕事だったし、他のスタッフも今までのやりとりで「新垣さんのお友達なのね」と察しているだろう。
しょーがないなぁ、ここはカメに付き合って、ガキコーデってやつを見せてやろうじゃん!
「てかなにデート行くの?カレシぃ~?、は有り得ないから、分かったさゆみんでしょ~。
あ、そうそう……オススメはこれなんだけど」
持ってきたのは、紫色のひざ上ワンピース。ぶっちゃけうちの商品で一番可愛いのだ。
「きれいな色ね~」
「でしょー。インナーは黒のタートルネックかな。あとファーとか巻いてさ、」
ライトグレーのラビットファーマフラーを巻いてみせる。
「あらいい感じ……いーじゃなぁぁぁい♪」
「うおっ。きまプリ好きだねぇ。でもね、周りがびっくりしちゃうから、歌わないで。
ま、とりあえず着てみよーよ!試着室はあちらでございまーす……違う、レジ入っちゃダメ!!」
「いーじゃなぁぁぁい♪」
「良くない全然良くない!」
暴走するマダム亀井を試着室に放り込み、その間に次なるアイテムを用意する。
よくよく考えると、いつもお茶したり戦いに行ったりしてる仲間を接客するのは、妙な感じだ。
でも楽しいなぁ~!
カメは、同性の私から見てもスタイルが良くて可愛い。(本人の前では決して言わないが)
色んな服を着せたくなるのだ。
ガチャっと扉が開く。
「ねぇ見て可愛くない?!ガキさんさすが!ごいすー」
もうマダムキャラは飽きたみたい。
「ダテにアパレル店員やってませんから~☆
可愛いじゃん!今履いてるショートブーツも良いけど、こういうのも似合うと思うよ」
「なるほどー!これも履いてみていい?」
スッキリとした黒のロングブーツ。うんうん、脚長に見えるね。
ついでに試着中に持ってきていたコートも羽織らせた。ツイード素材だからファーマフラーと相性◎だ。
「はぁ~~なんかエリむかついてきた」
「え!?何でよ」
「可愛すぎ。ガキさんセンスありすぎ。天才」
「分かりにくいから!もっとストレートな表現プリーズ!」
「ごめぇんこれが精一杯!」
「はいはいはいはい。で、どうすんの?亀井絵里に似合うコーディネート考えたわけだけど」
「あ、そうですねぇ。じゃぁ発表しまーす!ガキさんは……ガキさんは……合格~~!!亀井絵里は……満足~~!!
あのーこれ全部ください。着て帰るんでタグも取ってください」
おおっ、良いお客さんだ。ありがとカメはん。でもね、合格発表のときの顔、やばかったよ。
ワンピース \15,750
タートルネック \ 6,930
ツイードコート \35,700
ファーマフラー \12,600
ロングブーツ \18,900
「5点で89,880円でございまーす」
「カード……2回払いで!」
「こちらのカードは止められてないですか?お客様」
「ちっちっちっ。お姉さん安心しなせぇ。もーあんなヘマはしませんぜ」
「破産するのだけはやめてよね」
会計が済み、元々着てきた服をショップ袋に入れて、店の出口まで見送る。
時刻は17時を回ったところ。あっという間に一時間経っていた。
「うへへ、ありがとーございました」
「いやこちらこそだよ。楽しかったし。最初カメが来たときは何事かと思ったけどね」
「ガキさんまだお仕事?」
「私は7時上がりだから、あともーちょい頑張る。カメはこれからデートかぁ~いいなぁ~私も遊びたいよー」
「エリ待ってますよ」
にこりと笑う亀井絵里。
「エリ待ってますから、残業しちゃダメですよ?」
「えっ?ちょっと……」
カメはそう言うと、私の話も聞かないで歩き出してしまった。
どこで待ってるとか教えてよ。まったく適当なんだから。
なんか顔が熱い気がするのは……うー、やっぱり気のせいってことで。
仕事を終え、外の空気に数時間ぶりに触れる。
街路樹のイルミネーションが遠くまで連なっており、きれいだなぁもう12月だなぁと感慨深げに思っていると、
胸がトクンと高鳴った。
知ってる雰囲気が私を待っている。
それが嬉しくて、私の心もイルミネーションされたみたい……なんつって。
あー今のなし!なしね!
すると知ってる雰囲気が、心底小ばかにしたような口調で絡んできた。
「ガキさん今超サムイこと考えてたでしょ」
「うっさいなぁ~。あれはなしになったの」
「あ、このあとどうしますか?ノープラン亀井です」
「名前になっちゃったよ。てかその言葉聞くといつも思うんだけどさー、もしプランあったらプラン亀井ってこと?」
「ほんとだー!このあとはご飯食べて寝るだけ。プラン亀井です。てことですよねー!」
「そうなんだけど……私もいるんだからプランに組み込んでよ」
しばし考えるプラン亀井。
「このあとはガキさんのおごりでご飯を食べるプランの亀井です」
「それもなんか違くない?」
「つべこべ言わない!行きますよ!」
「え、走るのー!?」
胸の高鳴りは響き合い、冬の夜を駆け抜けた。
☆☆☆☆☆
ノノ*^ー^)・e・)おわり。
初投稿というか今年の夏から娘にハマった者です。
ガキカメのラジオなど参考に、普段の会話を想像するのが楽しかった!
以上、したらばの【アク禁】スレからの転載でした
こちらも可愛らしい話ですね
女の人なのかな
弾むような会話が小気味良いですね
現行の8人やリゾブルの9人の中でも濃密な組み合わせであるガキカメを堪能させて頂きました
もし気が向けば別の話を
暖まるねえ
それにしても昔は「ガキさんは服のセンスがヤバイ」て言われてたのに成長したもんだ・・・
こないだも音流で自分が昔言われてたことをまんまリンリンに言ってたしw
…久しぶりに言ってみた
ガキさんのおっぱい!
どういうキッカケで今年の夏から娘にハマったのか知りたいw
スタンド使いはスタンド使いに引かれるのと同じ
おお!ブラボー!
みんな見てるかい?
アドレス踏むの怖いんだけどw
リゾナンターのうち5人が出てたラジオの公開録音のユーストリーム放送
繰り広げてないってのが逆に不思議だよね
世界の破壊者 高橋愛 その瞳に何が映る?
★
「お客さん、高速使いますけどよろしおまっか」
不意に呼びかけられ戸惑う愛。
気がつけばそこはタクシーの後部座席。
高速道路の料金所の前に停車している。
「…あの、私どこでこの車に乗りましたっけ?」
「何や、お客さんまだボケるには早すぎるんちゃいまっか」
制帽を深々とかぶった運転手はコテコテの関西弁を操る。
何か旅をしていた気がする。
そして誰かが私を読んでいたような気がと話す愛に運転手は…。
「人生は長い旅と言いまっさかいになあ。 お客さん頑張って気張ったんやね」
気さくな態度で話しかけてくる運転手にええ、まあと相槌を打つ愛。
「でもね、疲れたときはお客さん。 がんばらなくてもええねんで」
強い語気、消える気配。
制帽を脱ぎ捨てた運転手が、狡猾そうな顔を曝け出した。
「悪う思わんとってや。 ワシもこれがこれなもんやさかい色々と物入りやねん」
小指を立てて、腹が大きいジェスチャーをした男は高笑いを残し、スキップしながら闇へ消えていく。
爆発する料金所。
見渡せば道路を何かが逆走してくる。
ロビタ型のロボットの肩口にロケット弾の発射装置が見える。
ドアを開けようとしたが、異能の力で封じられたのか開かない、そして瞬間移動のチカラも封じられ…。
…あんな奴に騙されるなんて。
運転席に乗り移りハンドルを握るが、ポキリと根元から折れてしまう。
バックミラーに映る光。
目を凝らせば装甲機動車の車群が見える。
…挟み撃ちなんて念入りなことやざ。
でも、やられてたまるか。
シートの背もたれを掴むとサイドウインドに蹴りを叩き込むが、異様な硬さが返ってくるばかりだった。
ロボットからロケット弾が放たれる。
…ここまでか。
一瞬目を瞑り最期を迎えようとしたが、せめてもの抵抗とばかりに見開いた愛の目に映ったのは、装甲車の部隊がタクシーを取り囲むように停車した光景だった。
1台の装甲車にロケット弾が着弾した。
車軸が破壊され傾く車体。
装甲車の中からは迷彩服を着用した兵士が降り立ち、火器で応戦している。
隊長らしい兵士が指示を飛ばす。
タクシーのドアに何かを取り付ける。
下っていろというジェスチャー。
青白い炎、鈍い爆音、破壊されるドア。
「何か怪しげな文様の封印が施されていたな」
「あんたらはいったい?」
「俺たちは保全部隊」
隊長の口から状況が語られる。
自分たちはダークネスの残党の企てにより開戦した人類対共鳴者の戦争を最小限の被害で終結させる為に動いている。
その作戦の最中に空間の歪みに巻き込まれて気がついたら罠にはまっているあんたに行き当たったっていわけだ、と。
ありがとうと礼を言い、ロボットに反撃しようとする愛を手で制した隊長は…。
「いいから行けよ。 あんたは急いで行かなきゃいけない場所があるんだろ」
隊長の言葉に感謝しながらも、彼らの装備ではロボットに敵わないのではと話す愛。
「確かにな。 でも俺たち保全部隊は敵を倒すのが仕事じゃ無い。 守るのが仕事だ」
「守る?」
「そう大事な何かを守るのが仕事だ。 あんたが逃げおおせたら俺たちもさっさと撤退する」
だから、と愛を促がす隊長の言葉に愛も頷きその場を後にする、何度も振り返りながら。
「…准尉、これでよろしかったのですか。 あの高橋愛を助けるなんて」
「俺たちの認識している高橋愛は、世界を異界で満たそうとした反逆者だった。
そして俺たちはそんな高橋愛を倒すという田中れいなに協力した。 その選択に一寸の後悔も無い。
しかし高橋愛にも正義はあった。 次の世代の共鳴者のための世界を作るという正義が」
ですが、と反論する部下を押し留めると准尉は言った。
「百人の人間がいれば百の正義が存在する。
共鳴者のための世界を作るという高橋愛の正義。
その為に無辜の人命が失われることを防ごうとした田中れいなの正義。
いずれの正義も実現しているとは言えず、世界の存在すら危うくなっている現在、俺は自分の正義を貫きたい。
それに異論があるものは今すぐこの戦線を離脱してくれて構わない」
准尉の言葉に従うものは誰一人いなかった。
「お前ら、勇敢と命知らずは別物だぞ」
「俺たちドンパチがやりたくて自衛隊に入ったんですよ」
弾数気にせず撃ちまくれるチャンスを逃せますか、と笑う部下たち。
「新手が来たぞ。 ここから先には行かせるな」
激しくなる攻撃。
★
料金所から1キロは離れただろうか。
銃声の音は遠くなった。
危機を救ってくれた兵士たちの安否を気遣いながらも、愛は自分を呼んだ声の主が誰なのか思いを巡らす。
あの声は聞き覚えがある。
私に救いを求めてた。
あの声は間違いない……ちゃん。
大きな爆音がした。
料金所の方だ。
炎が立ち煙が昇っている。
兵士たちの顔を思い浮かべた愛は踵を返し、今来た道を戻ろうとするが…。
軽快な音と共に打ち上げられた信号弾の軌跡が目に入った。
それを目にした愛の瞳に強い光が宿る。
瞳に呼応して全身に光を抱いた愛は救いを求めてきた声のもとを目指し跳んだ。
空には保全部隊が打ち上げた信号弾が青く光っていた…。
モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「旅の途中」
登場してくる保全部隊は『共鳴者~Darker than Darkness~』仕様
誰得?のWingspan 編は今日一日を費やして書き出して200行に達するも未だ終わりは見えず
ホゼナンターキター!!
熱い!カッケー!
さすが50話までスレを守ってきただけあるぜ!
リゾナンターRもこのスレもまさに「旅の途中」ですね
高橋愛の旅の行方を楽しみにしつつこれからも現場の保全に努めるであります!
個人的には愛ちゃんを罠に嵌めた関西弁の運転手の正体が気になりますな
Wingspanも首を長くしてお待ちしております
wikiの「リゾナンターR」の項目は作者さん本人の手に拠るものではありません
故に書かれている内容は勝手な憶測によるものを多く含みますので予めご了解くださいw
知らなかったw
第三者が書いてるなんて相当このスレ熟知してないと出来ないよね
凄くいい感じだわ
今頃になって急に実感沸いてきた
リゾナントブルー聴く度にリゾナンターの悲しい過去とかを思い出して泣きそうになる
おめでとうございます
したらばの【アク禁】スレに作品が来てたので転載したいと思います
「いくら歩いても建物なんて見えないの。」
「さゆ、だらしないとよ。」
「さゆみはれいなみたいにはなれないの。」
「そうだよ、れいなは鍛え方が違うんだから。元病人と運動音痴には無理だよ。」
ガサガサ!
茂みの中で何かが動いている。
「ふたりとも気をつけると。」
ガサ!でてきたのはヒョウだった。
違いがあるのはさっきの鳥と同じく頭に機械がつけられていることだった。
「あのヒョウも実験体?」
「たぶん、れいながやるけん。ふたりとも下がってると。」
ヒョウが飛びかかってきた。れいなはヒョウに負けない素早さでかわしていく。
しかしヒョウの爪がれいなの顔をかすり、少し血が流れた。
「やったな!」
れいなはすかさずヒョウの顔面に強烈なパンチを喰らわせた。
ヒョウは気絶した。
「終わったと。」
「見た感じは普通のヒョウみたいね。機械がついてる以外は・・・」
「あの男の考えがよくわからないの。」
ドドドドドド!
何かの大勢の足音が迫っている。大勢だけでなく重い感じだ。
3人は嫌な予感がして、振り返ると・・・・
頭に機械をつけた大量のサイが3人にめがけて突進してきた。
「逃げると!」
3人は全速力で走ったが、さゆみは2人に遅れている。
「さゆ、早く!」
絵里がさゆみの手を掴み、引っ張る。
しかしサイの大群と3人の距離は縮むばかり。
「このままじゃあ、追いつかれるの!」
「絵里に任せて!」
絵里がかまいたちを使って、大きな土煙りをあげた。
その隙に3人はジャングルの中で身を潜めた。
サイは3人を見失ったらしくそのままどこかへと走り去っていった。
「助かったの、絵里やるじゃない。」
「うへへ、絵里はやればできる子なんですよ。」
「少し休んでから、建物を探すとよ。」
れいなが体を休めようとすると・・・
ドン!背中に何か当たった。
「うん?岩かな?」
れいなが後ろを確かめようとすると絵里とさゆみが後ずさっていることに気付いた。
「二人ともどうしたとよ?」
「れ・・・れいな。後ろ、後ろ!」
「うん?」
れいなが振り返ると後ろに黒い毛が見える。
そして上を向くと・・・やはり頭に機械をつけたゴリラがいた。
ゴリラはれいなの頭を掴み、投げ飛ばした。
「「れいな!」」
ゴリラは続けてさゆみの方に殴りかかった。
「きゃあー!」
さゆみの前に絵里が立ち、ゴリラの拳に飛ばされた。
絵里は近くの岩に叩きつけられた。
「絵里!きゃあー!」
さゆみはゴリラに頭を掴まれ、持ち上げられた。
するとれいながゴリラの頭にとびかかった。
「さゆを放すと!この!」
れいなはゴリラの頭の機械を手でたたき壊した。
するとゴリラはさゆみを放し、その場に倒れた。
「さゆ、大丈夫と?」
「うん、そうだ。絵里は!」
ふたりは絵里の元に駆け寄った。
「絵里!絵里!」
「イタタ、足をくじいちゃったみたい。大丈夫だって、それ以外は大したことないから。」
「れいなが肩を貸すけん。」
「うん、ありがとう。」
れいなが絵里を支えて、3人は再び歩き出した。
そしてジャングルを進んでいると・・・
「あっ、建物があった!」
さゆみが指差す方向に建物が見えた。
「待つと、つり橋があるけん。れいなが先に行く。さゆ、絵里を頼む。」
つり橋は鉄で作ったものではなく木で結ばれたものだった。
れいなは先に橋を渡って橋の耐久性を調べようとした。
「じゃあ、行くとよ・・・」
れいなはゆっくり橋を渡り始めた。
橋は足踏みをするたびにぎしぎしといっているが、なんとか渡れそうだ。
「さゆ、絵里!大丈夫とよ。」
「絵里、行こう。」
「うん。」
さゆみは絵里を肩に乗せたまま、橋を渡り始めた。
相変わらず橋はぎしぎしといっている。
「さゆ、ごめんね。迷惑かけちゃって。」
「いいのよ。」
なんとか橋の半分を越えた。
「絵里、もうすぐよ。」
ブチッ!何か嫌な音がした。
ふたりはその音を聞いて、後ろを振り返ると橋の縄が切れている。
「絵里、さゆ!早く来ると!橋が壊れる!」
絵里とさゆみは急いで渡ろうとするが、橋が段々バランスを失い、動きずらくなっている。
そしてついに・・・橋が崩れ、さゆみと絵里の体が川に投げ出されようとしている。
「絵里!さゆ!」
「絵里、掴まって!」
れいなはかろうじてさゆみの手を掴み、絵里の手をさゆみが掴んだ。
「ふたりとも、しっかりつかまっとると。今、引っ張り上げるけん!」
れいなは力任せにふたりを引き上げようとしているが、なかなか上がらず逆にれいなが下に引っ張られそうになっている。
絵里はそれを下から見ていた。
(このままじゃあ、3人とも落ちる。)
すると絵里は自分の手を掴んでいるさゆみの手に片方の手を伸ばした。
さゆみがそれに気付いた。
「絵里、なにするの!」
「このままじゃあ、3人とも落ちるよ。誰かが落ちなきゃだめだよ。」
「何言ってると!3人で生きて帰ると!」
「そうよ、馬鹿なことを考えないで!」
「大丈夫、絵里たち今まで何回も奇跡を起こしてきたじゃん。絵里は落ちても大丈夫。」
絵里はさゆみの手を掴み、無理やり外そうとした。
「やめて!絵里、やめて!」
「絵里、やめると!そんなことするとれいな、愛ちゃんたちに怒られる!」
「そうね、特にがきさんは怒るだろうね。だから、怒られないようにちゃんと生きて帰るから。」
絵里は涙目でありながらも笑顔だった。
絵里はさゆみの手を振り払った。
「「絵里!」」
絵里は川に落ちていった。
さゆみはれいなの手によって引き上げられた。
ふたりとも涙が止まらなかった。
「え・・絵里が・・・絵里が・・・」
「ばか絵里!なんで、あんなことを!」
ふたりは顔をあげて、その場から見える建物を睨みつけた。
「許さない、絵里をあんな目に合わせた。あいつを絶対に許さない。」
「さゆ、れいなたち今度という今度は・・・・人を殺してしまうかもしれん。」
「覚悟はできてるの。」
ふたりは建物に向かって歩き出した。
「風のために・・・ (2) 」
こんな時期にこんな内容の物語を投稿してどうもすいません。
15日までには続きを投稿しますのでよろしくお願いします。
------------------------------------------------------ここまで
以上【アク禁】スレからの転載でした
これはドキドキする話だわ
話の構成とか展開がうまいな
どう決着をつけるか
楽しみにしてます
一人で…
したらば掲示板が活用されてることからも明らかですが
今もしたらばに1本転載待ちの話がw
初ですが投下します。
とにかく共鳴中心にスポットをあてました。
一応卒業(直前)記念ということでお願いします。
キーンと鼓膜に響くような寒さに身体が震える。
この国の10人に1人が息づくこの街も、大通りから少し離れればネオンの瞬きだけが静かに天を彩る。
ひんやりとした空気が肺を満たし、役目を果たしたものたちが白い影をともなって吐き出される。
それは一瞬視界をぼやけさせたが、周囲の空気に混じり、街は元の明瞭なネオンを取り戻した。
まるで私のようだ、そう思った。
とうとう眼前にせまった卒業という刻限。
8年間過ごしてきた空間から出る、ということの本当をまだ実感していないし、できてもいない。
ただ現実として、数時間後には今まで延々と掲げてきた“モーニング娘。”という肩書きを失うのだ。
寂しくない、というのは嘘だ。時間よ止まれ、とも思う。
事実、卒業を決めてからかけられた言葉たちに心が揺さぶられたこともある。
しかし、世の中というのは上手くできているものなのだ。
ツアー中に脱退メンバーが出ても、あっという間にリーダーが変わっても、
未来のエースが誰より早く飛び立とうとも、このグループは存続してきた。
だから卒業直前のこのどうしようもない空気も、その日さえ過ぎてしまえば、
たちまち自浄作用が働いて“モーニング娘。”は通常運転に切り替わる。
コツ、コツ、とヒールが地面をつく音だけが耳に届く。
狭い路地の冷えきった空間も手伝って、幾重にも周囲に響きわたる。
かすかに喉を震わせてみた。
その口が紡いだのは初めてちゃんともらったソロパートだった。
たった一行。そのたった一行を何度も何度も練習した。
「今まででいちばーん」今までで一番。
今まで一番震えちゃった瞬間。
そのことに気づいたのは突然だった。ある日いきなり、メンバーの感情に心が揺さぶられるようになった。
戸惑いがなかったと言えば嘘になるけれど、それでも私たちはこの“心の震え”にきちんと向き合ってきた。
『共鳴~リゾナント~』と名前を付けて。
おさえていた声がどんどん大きくなる。たった一行のフレーズを口ずさみ続ける。
あれから7年が経った。終わりなんて想像もしなかったあの頃に比べれば、
自分なりにいろいろ考えるようにはなったし、ソロパートだってたくさんもらえるようになった。
それでも私が口ずさむのはいつだってこのフレーズで、いつだってあのドキドキ感を思い出す。
7年前と今と。変わらないものはずーっと変わらないのだと改めて気づく。
変わらないもの。
“絵里~大丈夫かぁ~?”いつも気にかけてくれるリーダー。
“このぽけぽけぷぅがぁ~”いつも面倒見がいいサブちゃん。
“えり、ほんとに大好きなの”毒舌で愛情深い大親友。
“ちょっ、えりやめるっちゃん”ヤンキーでヘタレな博多っ娘。
“亀井さーん、小春にも梅くださいよぉ”手のかかるミラクル娘。
“亀井さん、実はしっかりしてますもんね”いちばん大人な最年少。
“亀井サン、バナナありマスカ?”実はしっかり者の暴走娘。
“ハーイ、亀井サン今日もカワイイデース”素直なバッチリ娘。
私のなかで変わらないもの。
感情が溢れ出す。ネオンがぼやけて見えるのは白い息のせいか、
まつげに溜まるあったかいもののせいか。
溢れた感情が響き渡る。
『こんな時間にえりが起きてるなんてめずらしいの』
私の心の揺れにいつも敏感なこの子は今日も一番だった。
『しかもなんかドラマみたいなことになってるし、親友ながら気持ち悪いの』
『相変わらず言うね~、えり、明日卒業しちゃうんだよ?さみしくないの~?』
『さみしいけど…悲しくはないの。だって卒業しても共鳴するんだからずっと心にいるようなものだし、
実際離れるつもりもないの』
遅れてきた仲間たちも、さゆの言葉に“共鳴”する。
『たしかに絵里がおらんくなるのはさみしいし、ジュンジュン、リンリンも中国に帰ってまうけど…
ずっと繋がっとるし大丈夫やざ』
『まぁね~、カメが卒業するのはもうどうしようもないけど…ま、私たちはずっと待ってるから』
『えりならやれるっちゃん。れなはちゃんと信じとぉけんね』
『大丈夫っすよ、亀井さん!小春今でも共鳴できますし!ほら、ほら!』
『亀井さん、さみしかったら愛佳いつでもパンプキンになりますんで』
『みんなジュンジュンのコト忘れてナイ?でもジュンジュンさみしくナイヨ、ずっと一緒ダカラ』
『ミナサン、ほんと…バッチリンリンデース』
あいにく満天の星空が輝く夜空、とはいかなかったけれど、目尻をつたって頬をぬらす雫にネオンが反射して綺麗な9色の光が視界を彩る。
『…ほんと、大好きだバカやろぉー…』
『…ねぇ、えりの一番好きな歌、うたってほしいの』
しばらくたって響いてきたのはそんなリクエスト。
『え、今?』
『あたりまえだのまえださんなの。ほら、えりはやるときゃやるんでしょ?』
想い浮かぶのはあの曲しかなかった。
私が何を歌うかなんてもうみんなにはバレバレのはず。
それでも何も言わず待っていてくれる仲間が愛しくて仕方がない。
思い出は生き続ける。誰か一人の心に残っている限り。
息を吸い込んだ。目にうかぶのは8人の笑顔で。
「今まででいちばーん」
『『『『『『『『『震えちゃった瞬間』』』』』』』』』
以上したらば【アク禁】スレからの転載でした
でも卒業を明日に迎えたこのタイミングで何か形にしたいという思いは伝わってきた
これも共鳴なのかな
おっさんを泣かすんじゃないよ
でも……
時に温かく僕らを包み 時に厳しく僕らを苦しめる
淀んだ空気を取り払う時も 止まった空間を引き寄せる時もある
そうそれは 風 ―掴みどころのない存在
掴もうとした瞬間にするりとこの握りしめた掌から逃げていく
掴もうとすればするほど風はカタチを変えて僕らを翻弄する
追いかけようとしても決して追いつかない 捕まえられない
必死になって追いかけても気付けば風は違う方向に吹いている
純粋に、ただ気ままに、自由に流れているんだ、風は
どこにいった?なんて辺りを見渡せば 眩しい日の光と共に姿を現す
そしてまた僕らは風を追い掛けて走り出す
僕らはいつまでもいつまでも風の通う道を追い求めている
決して見つかることなんてないとわかっているのに
だって風はいつでもどこでも吹いているから
昨日も今日も明日も、遥か遠くに、そう、僕らが見たことない景色でも、見たことない未来でも
そして風は止まないんだ
春には美しい桜を届け 夏には木陰に涼しさを運び
秋には紅葉にダンスを踊らせ 冬には氷の衣を纏って暴れる
でも穏やかな風も激しい風もなんら変わることはない―全ては同じ風の持つ表情なんだから
風は吹き続ける いつまでも どこまでも
感じるんだ その心で 風を
いつまでも いつまでも
「The wind never 『Vanish!』」(亀井)です
『Vanish!』は間に合わなかったから短編書きました。あっちとは無関係な作品w
最後の日、切ないけど・・・涙なんて見せないで笑顔で3人を見送るんだ!
現場には行けないけど…中継も見れないけど…応援しているから現場の人その姿を目に刻んでくれ!
そうですね
その場に居れる人はいけない人間の思いも含めて送り出してあげて欲しいですね
まさにこれぞカメって感じやね
勇壮な一文だけどでもやっぱ切ないんだ
大切なものが去ってってしまう寂しさが少しだけ柔らだ気がする
『Vanish!Ⅱ』も続きを待ってますよ
したらばの【アク禁】スレに作品が来てたので転載させてもらいます
「所長、あのふたりが研究所に向かっているぞ!どうするつもりだ!」
「落ち着きたまえ。あの3人の誰かが命を落として、残りのふたりが我を忘れてここに来ることも計算通り。」
「どういうことだ!」
「まぁ、見ていてください。」
研究所内ではれいなとさゆみ、いやさえみによって研究所内の兵士たちが倒されていく。
命は奪っていないものも、もはや瀕死の状態といえる。
「撃て!撃ち殺せ!」
兵士が銃弾を浴びせてもさえみの物質破壊で銃弾はすべて消滅していく。
「化けものだ!」
兵士の隊長格がおびえて後ずさっている。
その首をれいなが掴み、持ち上げる。
「ここの責任者はどこと!れいなたちを連れてきた張本人はどこにいると!」
所長室では男がなにやら準備している。
バーン!扉が勢いよく開き、兵士が投げ入れられた。
「ふふふ、ようこそ。私がダークネス石垣島研究所の所長です。」
「あんたがこの事件の黒幕やな!もう許せんたい!」
「あなたには償いをしてもらうわ。」
「どうやら、私の計画は成功しそうだな。」
ポチッ!
所長がスイッチを押すと動物たちにつけていたものと同じ機械がれいなとさえみの頭に強制的につけられた。
ふたりは何とか外そうともがく。
「私の計画は機械による人工的な洗脳だ。ダークネスの幹部たちは最近、頼りなさそうだったのでね。
ダークネス最大の敵・リゾナンターを思うがままに操ろうと考えたのさ。冷静な君たちなら無理かもしれないが、怒りに我を忘れた君たちを操るのは簡単さ。」
所長は別のスイッチを押した。
どうやらつけられた機械が作動したらしく、さえみとれいなは苦しんでいる。
「君たちの意識が飛ぶ前に伝えておくが、つり橋が壊れたのは偶然じゃない。私が遠隔操作で破壊したんだよ。
君たちが怒りに我を忘れさせるように。ふふふ、傑作だったよ、亀井君を失って怒りで我を忘れる君たちの顔はよかったよ。」
所長は完全に機械に抵抗をしなくなったふたりに語りかけていた。
「さぁ、これから私と一緒にダークネス本部に行こう。ついてきたまえ。」
するとれいなが急に所長の襟を掴んだ。
「どうした!私の言うことを聞け!」
「れいなたちをそう簡単に操られると思っていたと!」
「あなたはさゆみたちの強さを甘く見てる。」
するとさゆみとれいなの頭についた機械がばらばらになった。
「どうして!」
「お姉ちゃんが機械をあなたにばれないように物質破壊してたの!」
さゆみは所長の顔にパンチを喰らわした。
「覚悟すると!絵里を死なせたお前を生かすわけにはいかんと!」
れいなも強烈なパンチを所長にぶつけた。
「ひっ!助けてくれ!」
「ここには他の仲間はいない。誰もれいなたちを止めれんと!」
「他の兵士たちは死なない程度に痛めつけたけど、あなたはそうはいかないの!」
ふたりは所長の顔を何度も殴りつけた。
所長の顔はボコボコで血が大量に流れている。
だが、ふたりは殴るのを辞めない。
「「これは絵里の分!」」
ふたり同時に所長を殴った。
所長はすでに意識はない。おそらく次にふたりの強烈なパンチを喰らうと死んでしまうだろう。
「死ね!」
またふたりが拳を振りおろそうとすると・・誰かに腕を掴まれた。
「もういいよ。もう十分だよ。」
ふたりはその声で思考が止まった。
なぜならもう聞けないと思っていた声だったから。
ふたりはゆっくりと振り返った。
「ありがとう、絵里のために怒ってくれて。」
「「絵里!」」
ふたりは絵里に抱きついた。3人の目には涙が流れている。
「絵里、どうして!さゆみ、てっきり川に落ちて死んじゃったかと。」
「うへへ、それはね。あの子のおかげ。」
絵里が首を後ろに向けると・・・部屋の前に大きな鳥がいた。
「あの鳥、もしかしてれいなを襲った。」
「うん、絵里が川に落ちる寸前にあの子に助けられたの。あぶなかったよ。」
「洗脳を解いてくれたお礼なのかもね・・・事情はわかったわ、まずはお仕置きをさせて?」
「えっ?」
「そうね、お仕置きが必要とよ!」
ふたりは絵里の顔をそれぞれ掴み、頬を引張った。
「いった―い!なにするの!」
「あんなことをした罰とよ!れいなたち本気で絵里が死んだと思ったけん。」
「何のためにさゆみたち涙を流したかわからなくなる。さゆみたちの涙を返して。」
「そんな、絵里には最善だと思ったのよ。」
「まっ、こいつもやっつけたし、リゾナントに帰ろう。でも、ここ石垣島とかこいつ言ってたけど、どうやって返ると?」
「あーしに任せるやよ。」
「「「愛ちゃん!」」」
いつの間にか愛がそこに立っていた。
「どうして、ここに?このあたりには結界が貼ってあるって。」
「みんなで共鳴して、なんとかここを探り当てたんやよ。もう、終わってたみたいやけど。」
「でも、愛ちゃんが来てくれて助かりました。」
「そうや、絵里。3人で話しているのを聞いてたんだけど、絵里また無茶したみたいやな。その話が共鳴しているあーしらにも聞こえてたで。」
「えっ、それってもしかして・・・がきさんも聞いてる・・・」
「そうやな、たぶん帰ったら説教が待ってるやよ。」
「ええ、そんな・・・」
絵里への説教は確定だが、3人の顔は笑顔に満ち溢れていた。どんなことになってもこの3人は最強で不死身なんだとわかったのだから。
「風のために・・・ (3) 」
どうもリゾナンタークライシス作者です。
一瞬ヒヤッとする場面もある作品でしたが、6期三人は最強です。
-----------------------------------------------------------ここまで転載
ちなみに
風のために・・・ (1) http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/239.html
風のために・・・ (2) >>392-398
柔らかさと強さとが同居したカメちゃんらしい素敵なポエムですね
3人も旅立つのは本当にさみしいけれど絆は消えない…そう改めて思いました
乙でした
ある意味定番というか予想通りの結末ではあるけどそういう話が一番強いんだろうね
ただ最強は5期ですからw
6期への愛情が感じられる話だった
この3人がリードする娘を見てみたかった
みんな今日に合わせて溜めてたのかな
それとも
すべてはそういうことだよきっと
http://pic.2ch.at/s/20mai00333164.jpg
ダークネスに裏切ったのかと思ったw
http://a.yfrog.com/img612/2870/87war.jpg
でも新たな始まりの日
このスレが出来た頃からのメンバーが4人もいなくなっちゃったのは辛いねやっぱ
モーニング娘最高!!
リゾナンター最高!!
改めて素晴らしいって思った
繋がっている空
他スレ見てると最近は7時間放置でも大丈夫な時あるよw
狼自体が人減ったのと大規制頻繁なせいもあるんだろうけど
ちょうど真ん中に映って嬉しいだろな
最終話の絵って感じ
http://aewen.com/momusu/group/img/aewen3180.jpg
当たり前ながら小春がいないけど…
これ誰が書いたの?すげえ
http://img.barks.jp/image/review/1000066476/mo030_s_www_barks_jp.jpg
ついに究極の奥義バルスを使ったのか
自分の思う世界をこれからも綴りたい
想像もつかないね
いつもの日々。
いつもの時間。
でもそれは、何処かで誰かの心を、誰かの空を灰色に染めて行くらしい。
遠くを見下ろす影。
目下には、この地域で二番目に大きくて、川が流れる。
其処には橋が架かっているが、さっきからずっと誰も通らない。
なんといっても寒いから。
テレビでは、昨日からこの冬一番の寒さだとか言っていた。
実際、少し風が吹くだけで、肌に痛みを感じる。
羽織るコートでめいいっぱい頬を覆う。
尖った鉄の様な風が、鋭くなる。
亀井絵里は、見下ろす。
どうしようもなく小さく感じていた街は、こうして見下ろせば、意外にも広い。
そもそも、小さいのは自分の方なのだ。
気付かなかっただけ。
多分、寒いせいだ。
「寒いのは好きじゃないのに冬が好きって、思えば矛盾してるよねぇ」
言葉をはくと、すぐに白くなった。
息が凍える。
夜は近い、いつもなら、いつもの晴れた空なら、オレンジ色の夕焼けが見える筈なのに。
でも、誰も見る事は無い。
――この景色を見れるのは、"自分"だけだから。
無数の線に繋がれる鉄塔は、こんな何もないだだっ広い野原にさらされている。
だから、彼女はのぼったのだろうか。
こんな所に、自身の"チカラ"を使って。
絵里が見下ろしているのは、自分の住んでいる街だ。
何かの建設予定地だった筈の此処は、土地の権利者が経営不振に陥って
全てを失った平地として残ったもの。
そして、その土地の一部だけが電力会社によって購入された。
出来あがったのは、ここじゃない何処かの街に電力を送るための鉄塔。
草木が野放しに生えた空き地同然の場所。
そこに立つ鉄塔は、夕方になると、真っ赤に染まった夕陽が現れる。
だが誰もそれを知らない。
誰もこんな所に来て鉄塔に登るような用事なんて持ち合わせないから。
そんな所に、彼女は居た。
風使い(ウィンド・マニピュレート)
風を利用して自らを此処に導くのは多少の度胸を要した。
何故なら彼女自身、高いところがそれほど得意ではない。
中腹まできた時点でかなりの高さだったし、鉄塔に組まれた足場は本来、人間が
歩くための鉄材でもなかった。
正直に言えば怖かった。
それなのに、こうして、鉄の骨にこしかけているうちに、感じていたものは
何処かに失せていく。
冷たい風が吹くとまるで身ぶるいしてるように鉄塔が微かに震えている。
「ごめんね、自分を守ることでせいいっぱいなんだ」
一人呟いて、風力を少し"調節"してやる。
すると鉄塔の震えは少しずつ収まっていったが、冷たさは残ったまま。
こういうとき、髪が長いとずいぶんと体感温度も変わるんじゃないかと思う。
昔、入院生活が長い時などは黒髪をそのまま伸ばし続けた事もある。
今も人並みには長いが、カラーリングをして今は茶髪だ。
時間の経過を感じる。
ほんの些細なことにそうして思えるのは、少しでも大人になった証拠だろうか。
昔、此処には「オバケが出る」という噂が流れた。
経営不振という理由からなのか、いろんな形になってそうなってしまったのだろう。
そんなはずないよ、と笑っていたにも関わらず、近付かなかった自分は子供だと思う。
老人というのは嘘をつかない人達で、何でも知ってるもの
なんだとなんとなく思っていた。
でも本当は、嘘をつかない人なんて居ない。
老人も、大人も、子供も、みんな嘘をつく。
赤ん坊だって、母親の気を引くために嘘泣きをする。
それを知ってるだけでも、あの頃よりは成長してるような気がした。
世界は嘘で。
嘘で覆われた世界に、絵里は手に持った"翼"を掲げた。
いつぶりか分からない、紙飛行機。
昔、病院で出会った子供達と一緒に誰の紙飛行機がどれだけ遠くへ飛ぶか競った事がある。
遠くへ飛ぶように作った、と思う。
いろいろと形を変えればそういうものになっていくんだろうけど、あの頃は普通に
折れば当たり前に飛ぶと思っていた。
今、この手のひらにあるのもそう。
何処まで?遠くまで。でも見える所まで。
あっちの方。
「ほっ…」
変な声が出たのはお構いなしに、絵里の手から紙飛行機が離れた。
話されて行ったと言っても良い。
こんなにも高いところから飛ばした紙飛行機は、風に乗らなくても、どんどんスピードを増して行く。
"チカラ"は使っていない。
"調節"すれば簡単に届いてしまうのだろう。
でも、それはしちゃいけないんだ。
まっすぐじゃなくて、ゆらゆらと散歩でもするように。
晴れない冬空の下を飛んでいく。
一人で。
あの街の中にある、何処かへ。
でも知ってるんだ。
届かないことなんて、あんな遠いところまで。
だから飛ばした。だから、彼女は其処に居た。
「あ…」
紙飛行機が、強い風にあおられる。
飛ばされる其れを助けようと腕を伸ばし――止めた。
絵里の目で追えなくなり、恐らく、この野原の何処かに落ちたかもしれない。
また鋭い風が吹き、油断する絵里へと襲いかかった。
目を細め、口をゆっくりと開く。
「結局、そうなるよねぇ」
そうなるといいな、そうならなければいいのに、そう思ってしまう。
でも結局、紙飛行機は堕ちて行った。
永遠になんか飛んでいかない。
そんなに遠くなんか行けない。
そう思い込んでたのは、単に"チカラ"でそう思わせてただけ。
自分をごまかしてただけ。
そしてごまかすように、絵里は紙飛行機を作る。
帰る時に大変だな、そんな事を考え、それでも飛ばす。
飛ばして飛ばして、ごまかす。
風に上手く乗ったり、ぐるぐると同じ所を廻ったり、煽られたり、少しも飛ばない。
流れのまま、そう、ただ流されるだけ流されて、堕ちて行く。
紙を折る音の中に鼻歌が混じる。
"あのお店"の有線放送から流れた何処かの女性グループが歌った曲だ。
絵里はそれが好きだった。
耳に残る、自分には転んでも逆立ちしてもどんなにつくろたって出ない。
とてもとても素直で可愛らしい澄んだ声。
IT'S SO BEAUTIFUL! EVERYDAY...
それはとても美しい日々。
この主人公は、新しいものへの期待感が凄いと思う。
それは、この先にあるものが自分にとって大切な一歩だから。
どうしてそこまで自信が持てるんだろう。
どうして笑顔で居られると気付いているんだろう。
歌の中の現実。
現実の中の歌。
絵里は、最後の紙飛行機を放つ。
遠ざかっていく紙飛行機は、ゆっくりと地上に、重力に引かれて堕ちて行った。
「作り物の翼と、本物の両手-Swans and ducks to shine-」(前半)
一度では少し長くなりすぎるので、少し分けさせてもらいます。
後半も少ししたらしたらばの方に上げてもらいますので
しばらくお待ちください。
-----------------------------------------------------ここまで
したらば【アク禁】スレからの転載でした
相変わらず漂う空気感やリリカルなリズムの文章が独特で引き込まれます
そして……胸と涙腺にきますねこれは…
IT'S SO BEAUTIFUL! EVERYDAY...
この曲の使い方も素晴らしいとしか言いようがないです
思い出深い紙飛行機の織り込み方も
……って前半?ウソでしょ?
もうこの時点で涙溢れてるんですけどほんと…
後半すごく楽しみに待っています!
すみません言い忘れました
物凄く劇的な展開は無いんだけどそこに能力という要素が加わることによって不穏な日常が広がっていくという
時期的にも胸に浸みる話ですなあ
思考がぐるぐるする。
巡って、はっきりしない。
はっきりしないで、まるで糸が絡まる様にグチャグチャ。
何がしたいの?何がしたかったの?
誰も気味悪がって近付かない鉄塔になんか登って、飛ばない紙飛行機なんて作って。
小さいと思っていた自分が暮らす街は、意外にも大きかった。
だって、こんなちっぽけな自分を受け入れてくれるほどなのだから。
それでも、いつも味方だった風が、今はこんなにも痛い。
何が違うんだろう、何が普通なんだろう、今までの私は…。
「――亀……ン」
それはとても突然で、自然だった。
風に遮られながら、それでもいつもの呼び声、聞き慣れた声、下を向く。
真下、あの足場に二つの影。
絵里が躊躇した不安定な足場を全く気にする様子も無く、まるで重力に
引かれていないかのように、風が吹いても平然としている。
「亀井サーン!」
今度はちゃんと聞こえた。
それに弾かれるように、ぼんやりと見つめていた絵里の目が見開く。
「…エッ、何…やってんの?」
そのせいで、数秒もためて、絵里は二人に驚く事になる。
恐怖を感じる前に、何処かに逃げようとして、ここが鉄塔の上なんだと気付き。
また、何故逃げる必要があるんだと自分を説得する。
その二人は、あのジュンジュンとリンリンだからだ。
「ヨイショ…やっぱり亀井さんダタッ、リンリン、亀井サーン!」
「おー亀井サーン!聞こえますかー!?HAHAHA」
最初に現れたジュンジュンが腕で引き上げられたリンリンの笑い声が響く。
二人はさも当たり前のように現れ、ジュンジュンはいきなり絵里の手を包んだ。
「手、冷たいヨ?ジュンジュンの手袋貸すダ」
「ホントダ!よし、ならあたたかくシマショウ!」
そう言って何をするのかと思えば、リンリンはコンビニの袋からお茶を取り出す。
其処には大量の紙が顔を出していた。
―― 絵里はその紙飛行機を見て息を呑む。
「さっきコンビニに寄ったダカラまだあったかいデス、ハイハイ」
「これから『リゾナント』行くダ、亀井サンも一緒に」
「ちょ、ちょっと待ってよっ、二人ともなんで?というか絵里ここの事ダレにも…っ」
「コレ見つけタ。デモ亀井サン居るなんて思わなかったケドネッ」
「…全部、拾ってきたの?」
「マダあるデスカ?ならまた下りて」
「や、いいっ、いいよ、ごめんね、その…」
絵里はまた下りようとするリンリンを引きとめながら、その紙に視線を送る。
書かれた文字を見て、軽く髪を掻いた。
「…二人とも、読んだ?」
「読んでナイッ、ホントだよッ、始めの所が見えチャタだけダカラッ」
「亀井サンの大事なモノ、私達ハ勝手に見れないデス」
「大事なモノ…か。うん、でも、もう良いんだよ」
ロマンチストでもない自分が紙飛行機を飛ばすなんて事をしていた理由。
"捨てようと思っていた想い"。
いらなくなってしまったモノをゴミ箱に入れるように、捨てたんだ。
叶わない願いを、そうすることでしか処理できなかった。
それなのに、どうして飛ばしたんだろう。
「良い、デスカ?」
「うん。だってあれは、絵里の"未練"だから」
「ミレン?」
「でもこうして戻って来たってことは、やっぱり直接言えって事だよね」
「誰に何言うですカ?…あ、スミマセン」
「ううん、もう、良いから。ねぇ、二人とも」
夏の匂いがする。冬なのに。
胸が苦しいのは、あのむせかえるような空気の所為で、呼吸が難しくなってるからだ。
コートのボタンを外し、首に巻かれたマフラーを緩めると、冷たくなった指先が、喉に触れる。
何にも感じない。
指先が麻痺してるから。
何にも感じない。
怖い。
寒くて、凍えそうで、感じられなくなってしまう。
「―― 絵里、このまま、心もなにも感じられなくなったらどうしようっ」
分かっていた。何もかも、"チカラ"を頼らないで紙飛行機を飛ばしたかった理由も。
もう"一つのチカラ"を使わなくなった事も。
だから不器用ながらも想いを綴ったはずの言葉は、全てがわがままのように思えた。
形だけでも独りになって考えようとして、鉄塔に登ってみたのに。
逆にそれが、絵里にとってあの行動を取らせた。
「―― 亀井サンの心はずっとここにあるデスヨ」
ジュンジュンは自分の手袋で絵里の手を両手で包むと、両目が交差する。
気付いたら、泣いていた。
涙が、頬に触れて、すぐに冷たくなる。
「ココロって形がないモノ、デモ、ジュンジュンは、亀井サンのココロをタクサン感じタヨ?
ちゃんとアルものがココロじゃなくテ、言葉とか、行動とかデ、初メテ生まれると思いマス。
亀井サンは、ジュンジュン達のココロ、分かるカナァ?」
絵里の両手にはジュンジュンの手袋と、お茶が握られている。
冷たかった筈なのに、じんわりと暖かくなってきているのが分かる。
分かると言うことは、感じていると言うこと。
「うん、そうだね…そうだね…っ」
手袋に涙が滲んでいく間、ジュンジュンは頭をポンポンと撫でた。
リンリンは紙飛行機を、少しずつ、燃やしていく。
絵里がそうして欲しいと言ったのだ。それは決して無かった事にするワケではない。
初めから決められた言葉は無いから、人は言葉を用意する。
でも"心"までは用意できない。
だから彼女は想い悩んで、全て捨ててしまおうと思った。
その"心"が今、自分から届けようとしている。
だから言葉達よ。
次の1ページを捲れるように、"心"の中で生きよう。
「それじゃあ行キマショウ、『リゾナント』にっ」
「あ、待って、こっちの方が早いよ」
「エ?ウオ!?」
ジュンジュンとリンリンの腕を取ると、絵里はふわりと空中に飛んだ。
そしてゆっくりと、重力に引かれながら降りて行く。
左右の二人が少しずつ慣れるように。
気付けば、三人は空中を歩いていた。
鉄塔はそんな後ろ姿を見送る様に、いつまでも其処に建ち続ける。
空には誰も知らない星と星が引かれ合う。
そして白く大きな翼は、彩られた地上の星へと降り立っていった。
「作り物の翼と、本物の両手-Swans and ducks to shine-」(後半)
以上です。
内容的には今回の事に関しても繋がるかもしれませんが
詳しいことはあまり書きませんでした。
カメさん視点でお届けしましたけど、もしかしたらまた違った所で
あの二人のことも書けたらなぁ、と思ってます。
ちなみに最後のは、あの会場内のそのまんまの光景です(笑)
ありがとうございました。
----------------------------------------------------ここまで
したらば【アク禁】スレからの転載でした
美しい…!
色んな意味で美しく素晴らしいお話でした!
そして思いました
やっぱり3人とも大好き
現実の出来事を題材にしながらこれだけ幻想的な光景を描き出すのが素晴らしい
詳細な事情を明らかにしないのも想像力を刺激されますな
ここなんかハッとさせられたなあ
ジュンジュンほんとにこういうこと言いそう
(46)764『“未来”への反逆者たち ―闇と光(1)―』の続きを上げさせてください
間が開きすぎで覚えていない方も多いかと思われますが なんとかお願いします
その他にも過去に書いた話の中からのエピソードがそこかしこに出てきますが…なんとかお願いします
時系列は前回の終了時よりやや遡っています
(※注 前回=田中れいなVS吉澤ひとみ)
「れいな……」
薄暗い光の下、愛は静寂に満ちた無機質な廊下に立ち尽くし、小さくその名を呟いた。
しかし、それに応える声は返ってこない。
ほんの今まで隣に在ったはずのれいなの姿は、どこに視線をめぐらせても存在しなかった。
―独りだ
―また……独り
そんな孤独と寂寥に満ちた言葉が、愛に絶望を与えようとするかのように覆いかぶさってくる。
"お前は最初からずっと独りだったのだ"と言わんばかりの静けさが、ひしひしと押し寄せてくる。
「独り……?…違う。そうやない」
だが、しばらくして再び呟いた愛の口元には、絶望とは程遠い感情に満ちた微笑みが浮かんでいた。
小さな明かり取りの窓から仄かに射し込む月光が、その横顔を照らしている。
いつだったか、れいなと2人で絵里の見舞いに行った日のことが…そのとき噛み締めた思いが、愛の脳裏に甦る。
闇の中に独りきりだと思い込み、見上げることすらしなかった自分の頭上には、月が明るく輝き、静かにずっと見守ってくれていた。
それと同じように、どんなに淋しさに押し潰されそうになっているときでも、人はきっと本当は独りきりではない。
そう思い込むことこそが、本当の孤独なのだ―――
―どんな闇にも、光は射している
―どんな絶望の中にも、希望は輝いている
それを愛に教えてくれたのは、かけがえのない仲間たちだ。
たとえ離れ離れになったとしても、心が繋がっている限り、二度と独りきりになることはないのだと教えてくれたのは。
薄暗い廊下に一人佇む愛の胸の中に、仲間たちの温かい笑顔が溢れる。
―れいなも、里沙ちゃんも…きっと後から来てくれる。自分はそれを信じて先へ進もう。
柔らかい微笑を浮かべる愛の瞳からは、完全に迷いの色は消えていた。
それでいて―――そこには、同時に覚悟の色が浮かんでいた。
必ず後から来てくれるという2人の仲間への信頼と共に……もう二度と会えないかもしれないという、覚悟の色が。
―――!?
瞬間、その相反する思いを内包した愛の瞳が僅かに見開かれた。
その視線の先で、景色の一部に裂け目が入っている。
「……久しぶりやな、愛ちゃん」
「あんたは…」
切り裂かれた空間の隙間から現れたのは、いつかの廃倉庫…れいなとの出逢いのきっかけとなった場所にいた女―中澤だった。
忘れようもない威圧感が、シンプルにまとめた衣装に身を包んだ全身から発散されている。
だが、あのときよりもおとなしめの髪色とカラーコンタクトを外した目は、どこか淋しさめいたものも感じさせた。
「あんたがれいなをどっかに連れてったんか?」
「そうや。聞くまでもないやろ」
「…なんのために?」
「この次会うときは命のやりとりになるかもしれん……あのときウチはそう言うたはずやで?」
だが、愛の問い掛けに対して静かに返される中澤の言葉には、ただ鋭さと冷たさだけが湛えられている。
「里沙ちゃんを襲わせたんも…あんたの指図か?」
真っ直ぐに視線を返しながら、愛は問いを重ねた。
即座に同じ言葉が返ってくるかと思いきや、中澤の視線が僅かに揺れる。
そのことは、あの件がおそらく辻の勝手な単独行動だったのであろうことを窺わせた。
「…あいつも…辻もかわいそうなやつなんや」
直接愛の問いに答えることはせず、その代わり中澤は心なしか言い訳の色を含んだ言葉を返した。
「人とは違うチカラを持って生まれたせいで、人のことを信じれんようになった人間はいっぱいおる。理不尽に疎外されてな」
中澤のその言葉に、仲間たちと初めて出逢ったときのことが再び愛の脳裏を過ぎった。
“普通”ではないというだけで孤独の闇に押しやられ、助けを叫んでいた仲間たちの悲痛な声が…表情がフラッシュバックする。
その愛から僅かに視線を逸らすようにしながら、中澤は淡々と続けた。
「そやけどな。あいつは…辻はもっと悲惨や。『自分しか信じられへん』のやない。自分さえ信じられへんのや」
「……え?」
「あいつの能力は知ってるな?“擬態能力―ミミックリィ”…他人に自在に変身できる能力のせいで、あいつは自分で自分自身の本当の姿が分からへんようになっとる」
「本当の姿が?」
「もちろん能力を解除すれば元の姿に戻る。そのとき鏡に映っとるんがほんまの自分や。そやけど……あいつは自信を持ってそれが自分やと言い切れへんのや」
その言葉の意味が、愛の胸に重く圧し掛かってくる。
辻希美の抱いているであろう孤独が、そして恐怖が、背筋を寒くさせた。
鏡に映る自分、今ここにいる自分の存在さえも信じることができなければ、一体どこに足をつけて立てばいいのだろう。
何を拠り所にして生きていけばいいのだろう。
「そやから…あいつにとっては“組織”だけが、自分とこの世界を繋ぎとめておけるものなんや。それを守ることだけがあいつにとっての…“正義”なんや」
内心の愛の問いに答えるように、中澤がそう言葉を継ぐ。
愛の中には、つい先ほどの生々しい一瞬の映像が甦っていた。
「死ね、裏切り者――」
辻のあの言葉は、そして行動は、彼女自身にとっては確かに紛れもなく“正義”だったのだろう。
自分にとって全てである“組織”――それを裏切った里沙は、辻にとって“悪”でしかないのだから。
だけど―――
「正義とか悪とか、元々あんなもん人間が神さんに無断で勝手に決めたもんや」
口を開きかけた愛の機先を制するように、中澤は言葉を重ねた。
「…ちゃうな。神なんておらへんからこそ誰かが決めなあかんのや。そやったら…それを決めるんはウチらでもええはずや。そやろ?」
そう問いかけておきながら、中澤は愛の答えを待つことなく話し続ける。
だがそれは、自信に溢れた主張故というよりもむしろ、中澤の不安や迷いの表れであるように愛には感じられた。
「そうせん限り、ウチらはいつまで経っても暗いところに押し込められたままや。そやから…それを変えるんがウチにとっての“正義”や。…どんな犠牲を払ってもな」
その言葉と共に向けられた中澤の鋭い視線にも、恐らくは意図的な敵意にも、愛はただ悲しげな…しかし強い決意を秘めた色を湛えた瞳で応える。
「どんな犠牲を払っても……あんたのところのあの予知能力者さんも…何かを“視”たんか?」
そして、数瞬の沈黙の後、唐突な問いを投げかけた。
それに対し、中澤は再び視線を僅かに揺らす。
愛の問いが意表を突いていたからというだけではなさそうだった。
「……カオリは……死んだ」
少し間を置いて、中澤が短く答えた。
「死んだ……?どうして……?」
そう問い返しながらも、愛はどこかそれを予感していた自分を感じていた。
おそらくは……れいなが休みを取って出かけたあの雨の日、愛佳を訪ねて「リゾナント」にやってきた予知能力者を見送ったあのときから――
「どうして…か。ほんまの意味で何でかはウチにも分からん。誰にも分からんやろな。ただ……もし分かるとしたら、ウチらやなくてあんたらの方なんかもしれんな」
中澤の声に、僅かな苛立ちとも焦燥ともつかない感情が混じる。
「いつやったか、カオリは愛ちゃんとれいなのことを『変数』や言うてたよ。あんたらに関する“未来”は無限に拡散するって」
「あーしらが『変数』…?“未来”が拡散?」
「カオリの予知では、れいなもあのときウチらのとこにくるはずやった。それから…久住小春も。そやけど……その“未来”は来んかった」
「やけど、“未来”は……」
「そう、予知能力者の“視”る“未来”は絶対やない。そやけど、カオリの予知があそこまで大きく狂ったことはなかった。あんたらに関してのこと以外は」
「だから、あーしやれいなが“未来”にとっての『変数』……だと?」
「“神”が言うんやから…間違いないやろ」
そう言いながら口元に皮肉な笑みを浮かべる中澤の声は、それとは裏腹に飯田圭織のその言葉を胸に刻みこんでいるようにも聞こえた。
「……中澤さん、あーしは思うんよ」
しばらく視線を合わせて沈黙した後、愛は言葉を選ぶようにしながら口を開いた。
「あーしらが『変数』って言うなら、きっと誰だってそうなんだと思う。“未来”は誰にだって変えられる。特別な何かを持っていなくても」
「誰にでも?ウチにでもか?その辺で遊んどる子どもにでもか?そら多少は変わるかもしれん。そやけど――」
「できるよ。変えられる。“未来”を絶対に諦めず、真っ直ぐ立ち向かう勇気さえあれば……きっと誰にでも」
「………」
愛の脳裏に、駅のホームにたたずむ一人の少女の姿が映し出される。
あのとき……“未来”に押しつぶされそうになって俯き、助けを叫んでいたその少女――愛佳は、今では愛の中で堂々と胸を張り、笑顔を湛えていた。
―“未来”は変えられる……でも未来は一つやと思うんです。
愛佳はそう言っていた。
一人ひとりの人間が、今の自分にできるだけのことをして……そして確定するものが未来なのだと。
“未来”が“視”える愛佳の思うところとは、もしかしたら違っているかもしれない。
でも、愛もきっとそうなんだろうと思う。
現在(いま)を生きている世界中の誰もが、“未来”を変え得る『変数』なのだと。
「カオリさんも、きっとそれに気付いたんやない?だから……」
「すまんけど、話はそこまでや愛ちゃん」
訴えかけるような…そして自分自身にも言い聞かせるような愛の言葉を、中澤は感情のない声で遮った。
「待って…!お願い!」
話を打ち切り、立ち去ろうとする気配の中澤を、愛は懸命に呼び止めようとする。
だが、中澤は静かに首を横に振った。
「もう、こうするしかないんや。今さら道を踏み変えたら……」
――今まで犠牲にしてきたものはどうなるんや?
思わずこぼれ出たらしきその“声”を最後に、中澤は再び空間の裂け目の中にその姿を消した。
無機質な廊下に立ちつくす愛を一人残して―――
>>510-516
『“未来”への反逆者たち ―闇と光(2)―』
以上です
結局何一つ話が進まないおもしろみのない内容で申し訳ないですが…
ともかく……今は自分の中での「共鳴する9人」の物語をなんとか最後まで形にしたいと思ってます
できるかな…
<※以下 本作中に「そこかしこに出てくるエピソード」元>
自作
(35)281『Lonely virtual “IMAGE”』
(29)300『The first “RESONANT”』
(45)307『We are Darkness』(動画)
(36)844『静かな夜―Presentiment―』
(11)296『未来に選ばれし者たち』
(30) 59『Wavered two “MIND”』
(28)571『Departure to the “FUTURE”』
(05)479『未来はこの手の中に』
他作者様作品
(09)803『Memory 未来に射す光』
(01)282『予知能力者』
乙
二人のリーダーの交錯しない思いとかやるせないわ
でも読みたいそんな話だ
乙でした
スレの創生期から描かれてきた壮大な流れの結実する時が近づきつつある
そんな空気が醸成されているような気がします
姐さんには姐さんの正義があったんでしょうねえ
http://net.blt.tv/goods/hp_tshirts_03/img/pic_mm_01.jpg
シリアスな世界観だねー
リーゾスレ オイ!
【前回までのストーリー】
湾岸の石油精製施設がテロリストによって占拠された。
未曾有の惨事を防ぐべく、出動したMの特殊部隊“フィフス”。
精神感応と瞬間移動の能力で犯人グループを翻弄する高橋愛。
突出しがちな高橋を側面からサポートするマインドコントローラー新垣里沙。
テロリストが仕掛けた起爆装置を解体した紺野あさ美は治癒能力者。
小川麻琴は攻撃のダメージを転移する“反射”能力で仲間を守る。
事件は麻琴を化け物呼ばわりしたテロリストに、あさ美が鉄拳制裁を加えるという暴走劇で幕を閉じた。
まだ本当の悲しみを知らなかった幸せな時。
――数年後、壊れかけた世界を旅するドクターマルシェこと紺野あさ美と新垣里沙の姿があった。
Mが変容した組織ダークネスのメンバーだった二人。
組織を裏切った里沙は制裁として、人間を生ける死者へと変えるC3細胞を投与され苦しんでいた。
あさ美はそんな里沙を救うために組織を裏切った。
逃亡を続けていた二人に迫る黒い影。
身体の自由が利かない里沙を守るために、妖しの人形遣いと戦うあさ美だったが、それは二人を分断する罠だった。
複数の獣が融合した魔獣の肉体を持つ能力者の手に落ちた里沙。
魔獣の狙いはあさ美の天才的な頭脳だった。
自分の肉体に空翔る翼を移植する改造を強要する魔獣。
科学的見地からこれを拒否したあさ美だったが、魔獣の能力メンタルテレパシーによって精神的に追い詰められていく。
かつて自分が進めていたキメイラ生命の研究が、C3細胞の開発に利用されていた事実を突きつけられて動揺するあさ美。
Mの系譜に連なる能力者に敵愾心を剥き出しにする魔獣は、追い討ちをかけるように衝撃的事実を明かす。
C3細胞の浸食は里沙の肉体に止まらず、精神までも侵している、と。
絶望的な逃避行の中で見出していた一筋の光を打ち砕かれたあさ美をあざ笑うかのように放たれた魔獣の爪。
自分の間近に打ち込まれた生体ロケットの衝撃にも無反応な里沙。
衝撃で舞った土煙と光のフィルターから現れたのは。
「私は高橋愛。 全てを破壊する。 でも、今は里沙ちゃんとあさ美ちゃんを助ける」
「弾け! マスター・オブ・パペット!!」
予期せぬ愛の登場に一瞬たじろいだ人形遣いだったが、冷静に次の一手を打つ。
傍らに待機させていた2体の人形を愛に差し向けると、周囲に展開させていた人形の部隊にも集結する指令を下す。
「こいつはとんだ大物が飛び込んできたよ。 お嬢ちゃん、気を引き締めてかかりな」
今倒すべきは高橋愛。
広範囲にわたって人間の精神と感応するテレパシー。
自らの肉体を粒子化させ光速で移動するテレポーテーション。
位相の異なる複数の能力を高レベルで発動できるチートな能力者。
容易に倒せる相手でないことはわかっている、たとえ二人がかりでもだ。
ならばどうすればいい。
強者には強さゆえの弱点が付きまとうことを知っている。
高橋愛もまたその例に漏れない。
自らの力への過信からか、それとも無自覚からか、高橋愛は時に無防備な姿を晒す。
その傾向は守るべき仲間がいるとき、最大限に顕れる。
新垣里沙と紺野あさ美。
今この戦場にいる高橋愛の仲間二人はどちらも戦うことが出来ない状態にある。
そんな二人を守るためにやってきた高橋愛ならば、絶対に隙が生まれるはすだ。
やれる。
もとよりたった2体の木偶人形で高橋愛を倒せるとは思っていない。
だがあの2体には仮初めの生を与えた際に鋼の防御力を付与している。
周囲に展開させている人形たちが集結するまで、そして何より相棒が高橋愛の仲間を抑えて優位な状況を作り出すまでの時間稼ぎは出来る…。
女の思惑は一瞬で破られた。
脆くも崩壊した2体の人形。
鉄壁の防御を誇るはずの傀儡の呆気ない最後に気を取られた女は警戒を怠ってしまった。
背後に降り立った愛の気配に気付いたとき勝敗は決していた。
脇腹に打ち込まれた拳。
「引っ込んでろ」
押し殺したような野太い声は花のような美貌に似つかわしくないな。
薄れゆく意識の中で女は思った。
★
なんで愛ちゃんは此処に来たんだろう。
傷を負った里沙を抱きながらマルシェは思う。
私は愛ちゃんのことを呼んでいないのに、どうしてこの場所にやって来れたんだろう。
一瞬で崩壊した傀儡人形の残骸。
地に倒れ伏したパペットコマンダー。
瞬間移動の能力を敵への攻撃に活用した愛の早業はキメイラ形態の女を戦わずして制圧した感がある。
金縛りに遭ったような魔獣の腕が小刻みに震えているのを見ながらマルシェは思う。
私は愛ちゃんに助けを求めなかった。
なのにどうして愛ちゃんはここに来れたんだろう。
お嬢ちゃんなんて呼ぶなって言ったじゃん。
倒れ伏した人形遣いの姿を見つめながら異形の女は誰にも聴かれぬ心の声で自嘲する。
オバサン…パペットコマンダーの女は強い、
もし自分とあの人形遣いが戦ったなら…。
物理的な攻撃の破壊力なら自分が遙かに上回っている。
正面からやりあったなら遅れをとることはない。
だがそれは正面からやり合ったらということであり、パペットコマンダーは万が一にもそんな状況を作らない。
手兵の人形たちを最後の一体になるまで何のためらいもなく捨て駒にして、対峙した者の息の根を止めにかかるだろう。
経験に裏打ちされた狡猾さと冷酷さを併せ持つ女。
そんな女が手もなく愛に捻られた光景を受け入れたくない。
用心深いオバサンが身近に侍らしていた2体の人形は鉄の防御を誇ることを知っている。
だからそれを瞬時に破壊した愛の力に底知れない脅威を抱いてしまう。
念動力、それとも衝撃波? いや違う。
2体の人形はまるで内部に爆薬を仕掛けて解体されるビルのように崩れていった。
内部からの破壊、どうやって?
どこかあどけなささえ感じさせる愛の底知れない能力を測ろうと愛の精神にアクセスを試みる。
精神系の能力者としては拠って立つステージが違いすぎることはわかってはいたが、そうせずにはいられなかった。
燃えたぎるような憤怒の感情の渦の中垣間見た氷のように冷え切った戦闘のスキル。
瞬間移動、空間座標、並列演算、粒子状態、実体化、破壊…。
拾い上げた幾つかのキーワード。
こいつ、粒子状態にした自分の肉体を人形たちの胴体に透過させて、内部の核を破壊したのか。
クソッ! 戦闘の概念が違いすぎる。
どんなに守りを固めたって、どんなに激しく攻め立てたって、こいつはそんなものを易々と跳び越えて喉元に必殺の剣を突き立てる。
こいつの前じゃボクたちはとことん無力だ。
相棒と頼んだ女、パペットコマンダーは倒れたまま動かない。
ほんの十数秒前、愛に倒される直前に伝わってきた女の声には敗れることへの恐れなど微塵も感じられなかった。
なのに今は惨めな敗残の姿を晒している。
ボクもあんな姿を晒してしまうのか。
イヤだ。
まともな死に様を晒せるような生き方なんかしてきてはいなかった。
ベッドの上で死ねるとなんか思っていない。
だけど、こいつらMの残党の手にかかるなんて絶対にイヤだ。
空を舞う鳥に啄まれる地を這う虫のように敗れ去るなんて絶対ゴメンだ。
パペットコマンダーの女は何かを伝えようとしていた。
…強者に付きまとう強さゆえの弱さ。
…守らなくてはならない仲間の存在。
なるほど、そういうことか。オバサン、あんたの言いたいことはわかったよ。
やつらに一矢報いることが出来そうだよ。
恐怖、赫怒、憎悪で濁ったキメイラ獣の目に里沙を介抱するマルシェの姿が映っていた。
「やめろ!」 キメイラの女の意図を察した愛がそれを制するが…。
『ハッ、何でやめなきゃいけないのさ』
魔獣の左腕は里沙を介抱しているマルシェに対して向けられていた。
その先端には生体ロケット弾として機能する羆の爪が鈍く光っている。
『オバサンよりもボクの方を先に倒しとくべきだったね』
異形の女は余裕を取り戻している。
『キミがいったいその力でどれだけ遠くからここまで跳んで来たのかしらないけど、かなり無理をしちゃったんじゃない。
なのにキミときたら着くなりオバサンと親衛隊を倒すために更に無理を重ねちゃった。
だからキミの友達が吹っ飛ばされようとしてるこの肝心な時に、何も出来ず指をくわえて見てるしかない』
くっ。 惨劇を防ごうと能力を発動して女の懐に跳ぼうとする愛。
その身体は蒼白く光り粒子化したものの、瞬時にプロセスが逆行し元の状態に戻る。
相次ぐ瞬間移動の連続で座標計算の為に酷使した脳細胞は過負荷状態に陥り、能力の発動を拒否してしまった。
「やめろ。 あんたの仲間も気を失ってるだけや。
里沙ちゃんとあさ美ちゃんが無事やったら、あんたらをどうこしようなんて…」
『おやおや、それはそれはお情け深いことで』
里沙やマルシェを狙えばそれを庇おうと愛に隙が出来るのではと考えていたが、この様子では予想以上に消耗してるようだ。
今全力を注げばあるいは愛を倒せるかもしれない。
そんな考えも湧いてきたが、愛により深い絶望を味あわせたいという暗い願望には勝てなかった。
『人のことを高いところから見下しやがって。 自分の仲間が木っ端微塵になるのを見て絶望に打ち震えな』
「やめろ。 そんなことをしたら…里沙ちゃんが、里沙ちゃんがあんたのことをただじゃおかん」
アハハハハ。 狂気に満ちた女の思念が愛を刺す。
『新垣里沙がボクをどうするって。 あんな廃人に一体何が出来るっていうのさ』
「お前なんかに里沙ちゃんの何が判る。 新垣里沙は誰よりも強い。 その魂は気高く今も戦い続けてる」
『じゃあその強い強い里沙ちゃんと賢いマルシェちゃんがミンチになるところをその目に焼き付けなよ』
羆の爪=生体ロケットの残弾2発。
愛との戦いを考えれば温存しておくべきだろうが、もう構わない。
一気に2発使ってやる。
高橋愛というMの系譜に連なる最強の能力者に友の無残な死を見せつけてやる。
生体ロケット発射の命令を脳に下すと、愛を注視する。
どうせ里沙やマルシェには凶弾を回避することなんて出来ない。
ならば悲しみに愛の顔が絶望と悲しみに歪む瞬間を拝んでやろう。
…愛の表情が変わった。
しかしそれは女が期待していたものとは少し違っていた。
絶望でもなく、悲しみでもない。
驚き、諦め、憐れみ?
何が起きているのか里沙たちのいる場所を視界に納めようとした女の身体を激痛が走る。
ヒィッ、何なのこの痛み。
皮膚を焼かれ、肉を斬られ、骨を砕かれ、神経を分断されたような痛みが全身を走る。
激痛の嵐に耐え切れず、女の巨躯は崩れ落ちていく。
倒れながら視界に入った里沙の瞳が蒼く光ったのが見えた。
…女は闇に堕ちていった。
暗い暗い暗い闇の中をもがきながら漂っていた。
痛い痛い痛い感覚に苛まれながら漂っていた。
何も見えないのは、瞼を開いてることができないからか、現実の闇に包まれているからなのか判らない。
断続的に続く激痛は、五感を確実に蝕み始めている。
このまま全ての感覚が麻痺して、意識がブラックアウトすれば楽になるのだろう。
だが意識の中の何%かの領域は醒めた状態で残り、激痛に苛まれている自分の状況を冷静に見ている。
新垣里沙の光る目。
もしも自分をこんな状態に陥らせたのが新垣里沙だったとしたら。
この痛みの原因は現実の肉体の損傷ではない。
マインドコントロールによる幻痛だ。
克服できる筈だ、この精神の煉獄の抜け道さえ見つけだせば。
それにしてもクソいまいましいのは新垣里沙だ。
肉体的にも精神的にも再起不能の廃人同様だと思っていたあの女にこれだけのチカラが残っていたのか。
それとも腕一本、指一本すら自分の自由にならない。
メンタル・テレパシーによる呼びかけ―正常な人間ならば発狂しかねない精神の絶叫に対して全くの無反応だった精神。
全てが偽装だったというのか。
何てヤツだ。
流石はフィフスの一員としてその名を…
(違う…)
声帯から発せられた音でなく、精神から精神へ直接意思を伝える心の声。
(あんたは私たちのことを買いかぶりすぎている)
『何が違うって言うんだ? お前は誰?』
(私は…私はあんたたちが言うところの新垣里沙の残骸)
『やっぱりお前だったのか。 薄汚いマインドコントロールのチカラでボクをこんな目に遭わせたのは』
(違う)
新垣里沙の声はキメイラの女に語りかける。
今現在の自分は癌細胞の性格を持つC3細胞と均衡状態を保ちながら辛うじて生きながらえている状態に過ぎない。
もしも女を制圧するためにマインドコントロールの能力を発動させれば、活発化した脳細胞がC3細胞の攻撃対象になってしまうということを。
(私はマルシェのことを守るために最小限のことをした。そう私自身の精神のロックを解除しただけ。
そのためにさっきあんたが私の心に踏み込んできたときからわずかに繋がっていた精神の糸を通じて、痛みがあんたに流れ込んでいった)
『だからそれこそがマインドコントロールそのものだろうが』 自分を罵る女に対して里沙は…。
(マインドコントロールは私の精神で創り出した感覚や思念をあんたの精神に認識させる。
でも今あんたが味わっている苦痛は私が実体験した苦痛そのもの。いや、今現在も苦しめられているC3細胞の進行に伴う痛み)
里沙の告げる事実に戸惑う女。
(C3細胞が私の体内に根付き活動を始めてから私はこの痛みに苛まれ続けてきた)
キメイラの女は驚きを隠せない。
これだけの苦痛に二年以上も耐えきれるなんてあり得ない、と。
(つらいのには慣れてるからね)
淡々とした様子の里沙を女は問いただす。何のためにそんなことを…。
「私が苦しんでいる様子を目にしたらマルシェが苦しむ。私が死んでしまえばマルシェも生きてはいない」
C3細胞と共存してマルシェと旅を続けるにはこんなやり方しか無かった。と告げる里沙。
里沙の姿が見えた。
それは女の目に映ったのではなく、女の脳裏に浮かんだ里沙の精神体の姿だった。
光り輝くその姿に心を奪われかけた自分を戒める女。
『で、こうして惨めなボクを笑いに来たというわけなんだ。精神の高みから間抜けなボクのことを見下すために…』
(違う)
女の心に響く里沙の精神の響きは沈痛でかなしみに満ちていた。
(私はあんたを助けに来た)
『ハアッ?』
自分と違って女の肉体にはC3細胞は根付いていない。
自分の経験した苦痛を精神感応で追体験したに過ぎない女なら救い出せると思った、という里沙の思いは女を惨めにするばかりだった。
そして…。
(でも手遅れだった。 あんたの精神は鋭く尖っていてあたしのことをなかなか寄せ付けなかった。
突破するのに手間取っている内に、あんたの脳は苦痛を拒否することを選択した)
女の脳はシャットダウンを開始したという。
だからこそ私もここまでこれたようなもんだけど、と声を落とす里沙。
(あんたの精神はあとわずかで死ぬ。 悪いけどもうあたしにはどうすることも出来ない)
女の苦しみを自分のことのように哀しむ里沙の様子に、女の感情は爆発する。
『だからなんでボクのためなんかにそこまでするのさ。 ボクがキミたちに何をしたか覚えてるだろ。
なのにそうやっておためごかしで哀れんでみせて。 それが強者の傲慢ってやつさ。 これだからMの連中は嫌いだ』
(強くなんかない。 Mに属していた能力者で私たちよりも上の世代。
粛清人、魔女、綱翼の悪魔。 二つ名を名乗ってた能力者はどの人もみんな強い)
だからみんな単独で活動していた。
あの人たちがチームを組んで行動しないのは、馬が合わないとか仲が悪いからなんかじゃない。
強すぎるから。
手にしたチカラが強すぎるから、同じ戦場で戦えば仲間のことを傷つけてしまう。壊してしまう。蝕んでしまう。
(そんなあの人たちにくらべて、私たちはどうしようもないくらいちっぽけで、泣きたくなるくらい愚かだった.
だから私たちは手に手をとって、助け合わなきゃ生きていくことなんかできなかった)
『手を取り合って助け合う? そんな奇麗事で生きていけるだなんてオマエらは』
(生きてきた)
自らの価値観を否定された女はせめてもの反撃を見舞おうとする。
里沙の精神を傷つけようと…。
『生きてるだって! 今のキミが生きてるだって!
キミは自分で自分の身体を見たことはないのか。 やせ衰え生気を失った惨めなその身体を見たことはないのかい』
肉体だけを見れば今の里沙は死んだも同然だ、とまくしたてる女に対して里沙は…。
(判っている。 今の私の目は光を感じることが出来るぐらい。 だから自分の身体の衰え具合を目で確認することはできない。 でも…)
でも自分の身体の中で何が起こっているかは把握している、と話す里沙。
(私はもう自分の足で大地に立つことも、仲間の顔を見ることも、手を握ることも出来ない)
そんな状態が改善される可能性が皆無だということも判っているという里沙の心の声は静かで揺るぎなかった。
(そんな私と逃亡の旅を続けることはマルシェにとってもつらいことだと思う。
でも人はつらい日々の中にだってささやかな幸せを見つけることができる。
どんなに他愛のないことでだって、マルシェが笑ってくれたならそれでいい。
彼女は十分苦しんだ。 そして自分の身の危険も顧みることなく私のことを助けてくれた。
だからもしマルシェが一人で生きていけるくらい強くなって、そのときに私のことが足手まといになるようなら…私は自分の命を絶つ)
C3細胞の侵食を受け容れてね、と静かな様子の里沙に女は気圧されてしまった。
改めて高橋愛が言ったことを思い出す。
「新垣里沙は強い」
今ならその言葉を素直に受け止められる。
もう話すことも尽きた、という里沙の言葉に何故か寂しさを覚えてしまった。
(私は現実の世界に戻らなくちゃいけない。 そして壊れつつある世界でもう暫くはマルシェと生きていく)
じゃあ、という思念を残して里沙の精神体は飛翔していった。
その背中に光り輝く翼を生やして。
その姿を見守りながら女は思う。
私たちはちっぽけで愚かだって。
ふざけるな。
お前は強い・・・。
辛うじて侵食を免れていた精神の領域が壊れていくのを感じる。
精神が死ねば、やがて肉体も滅びるんだろうか。
淡々と滅びを受け容れつつある自分。
…ねえ、オバサン。
聞こえてるなら返事をしなくてもいいからボクの言うとおりにしな。
ボクたちはやっぱり地を這う虫だった。
鳥に啄ばまれる運命だった。
悲しいけれどね。
でも鳥の羽ばたく空が高ければ高いほど見つかる危険も少なくなる。
やつらは強い。
ボクたちが敵う相手じゃなかった。
虫らしく振舞って息を潜めていれば、命までは取られないよ、きっと。
オバサンとの約束は果せそうもないのは悔しいけどね。
相棒に最後の言葉を送った女は飛び立った里沙の精神体を見上げる。
本来なら見れる筈もないのに、何故か鮮明に見える。
アイツ、あんなに高く飛べるのか………………チクショウ
「里沙ちゃん」
抱いていた里沙の肉体に反応が戻った。
それは微弱で頼りないものだった。
視線は虚ろで定まらいままだ。
だが確信をもってマルシェは話しかける。
「愛ちゃんをここに呼んでくれたのは、里沙ちゃんだったんだね。 私のことを助けるために」
里沙の口から声が洩れる。
それはアーアーという呻きでしかなかった。
「私が里沙ちゃんのことをずっと守ってきたと思っていたけど、それは違ってたんだね。」
瞼が熱くなり頬を涙が濡らす。
「里沙ちゃんが私のことを守っていてくれたんだ…」
--続く--
以上モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「Wingspan の世界:友情は翼に乗って」
【次回予告】
再会を喜び合うフィフスの3人。
その陰で恐怖に打ち震えるパペットコマンダー。
相棒を失った怒りと憎悪が恐怖に打ち勝ったとき、回避不能の攻撃がフィフスを襲う。
「みんな砕いてしまえ! マスター・オブ・ビースト!!」
仲間を守る為に絶望的な戦いを挑もうとするマルシェ。
「彼女との決着は私がつける!」
追い詰められたマルシェの脳裏に浮かんだのは…。
「私は自分の意志でこっち側を選んだ」
モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「「Wingspan の世界:闇の翼」
全てを繋いで、絆を取り戻せ!!
大作ですなあ
前回までのストーリーのとこは24風に読んでいけばいいのかなw
長いわ
でも台詞というか会話が多いのがドラマっぽくて思いのほか読みやすかった
次の展開も楽しみです
もはや一シリーズを形成しているといっていいくらいの大作ですね
物語世界の背景といい登場人物たちの関わり合いといい圧倒されるボリュームと練られ具合で
またフィフスがそれぞれカッコイイ……!
それぞれの弱さの描写がそれを一層引き立てていますね
「5期最強」に一票を投じつつ どのように物語が収束するのかものすごく楽しみにしています
番外編はこれまで概ね後味がいい結末を迎えてきましたが今回は果して……
やっと感想書けた
規制なんとかしてほしい…
凄えなこの大作感
翼を求めたキメイラの女の心情にここまで筆を裂くとはw
第2話の頃のシンプルな構成も好きだけど読み応えバッチリの今回の話も好き特に
>新垣里沙は誰よりも強い。 その魂は気高く今も戦い続けてる
ここのところが好き
続きが楽しみ
横アリ行ったんだろうか
横アリもイッタヨ
orz
まあうらやましいことはうらやましいが
946 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/05/12(月) 22:58:54.34 0
都会の人間どもの話はムカつくがし
これだな?w
生きてたのかwwwww
それにしても本当に長く続いているスレだね
サボティ乙!(久々に言ってみた)
サボリン乙です!
ついったーでバリバリつぶやいてるし
みんなサボティが好きなんですよきっとw
呼ばれるとすぐに飛び出てくれるところも嬉しいw
狼なら「美貴様・・・」だな
2008くらいにうさPで悲トワ流れた時に裸で書き込んだw
内容は作品への感想だったかと
ここは1スレの終わり頃
一気に投下したいけどこの前別の話で長いって言われたので前半部だけを投下
吐く息も凍る夜。
ビルとビルの谷間を縫う高速道路を1台の車が走る。
車種は中型のワゴン車。 白い車体には”神の仔の病院”という文字が塗装されている。
車内には数人の男と一人の少女。
男たちの一人は牧師の装束を身につけ、残りの男たちは病院職員用の白衣姿だ。
少女の浅黒い肌は異国生まれであることを窺わせるが、通った目鼻立ちは日本人の血が入っている可能性を物語っている。
「クソッ、あの女とんでもないやつだ。 どうだ、まいたか?」 らしからぬ口調で牧師が毒づいた。
「大丈夫のようです」 助手席から車外を窺っていた男が答える。
「それにしてもあんな女の潜入を許すなんて、日本支部のセキュリティはどうなってるのですか」 心なしか余裕が戻ってきたのか、牧師の口調が丸みを帯び出した。
「面目ありません。 ですが本部から発給された証明書の様式は完璧に整ってましたし、IDカードも…」
「言い訳は止めなさい。 もうあの支部はダメです」
牧師の詰問に男たちはうなだれる。
「ですが。これも神の思し召しなのかもしれません。 これで近々受けることになっていたアムネスティの視察に対する工作を行わなくてもよくなったわけですし」
「あの女が暴れ回ってる様子は防犯カメラに収めています」 職員の中でも年長者が報告する。
「動画のデータは本部に送りました」 車内に搭載していたPCを操作していた男。
「つまり我々神の仔の病院は正体不明の女の襲撃を受けた哀れな被害者というわけですね。 もっとも動画の方は編集しなくてはいけないかもしれません。
映ってはならないものまで映している可能性があるわけですから」 含み笑いをしながら話す牧師。
一斉に頷く男たち。 ここで牧師が思い出したように少女に言葉をかけた。
「大丈夫でしたか。 怖い思いをしましたね。 でももう大丈夫ですよ。 米軍基地に着けばそこからジェットでグアムまで3時間足らずです。
グアムで旅客機に乗り換えてLA経由でフランスに行き、パリ支部であなたは務めを果たします。 偉大なる神のお導きによる生命の樹を完成させるという務めを。 嬉しいですか」
「ェェ」
問いかけに対して少女は虚ろな答えしか出来なかった。
すると忽ちのうちに牧師の表情が険しくなり、拳を握りしめると少女の顔を打った。
「このクソガキがぁぁ! 私の言ったことにはちゃんと返事をしろとあれだけ言っただろうがぁぁ!! 」
自分の言葉に激昂したのか更に強く少女を殴る。
少女の口からは消え入りそうな声でゴメンナサイと言う言葉が洩れてくる。
「おやめください。 あの混乱の中で折角連れ出したのに、もし何かあれば」
年長の職員が牧師の腕を取り制止した。 落ち着きを取り戻し、拳を下ろす牧師。
「これは見苦しいところをお見せしましたね。 恥ずかしい限りです」
その言葉に安心した職員が牧師の腕を放す。
「でも良いのですよ」
再び握りしめた拳で少女の顔を思い切り殴った。 少女の口からすすり泣きが漏れる。
「大切なのはこのガキの心臓だけなのですから」
ようやく気が晴れたのか牧師は少女を解放する。
「それにしても天の配剤というのは恐ろしいものですね。
フィリピンのゴミ集積所でゴミを漁り、刹那の快楽のために男に身を許していた淫売のクソガキ。
その心臓が、移植ドナーを待っていたロシアの石油王の娘とマッチするとは」
「ですがそれを言うなら異端者の突然の襲撃にもかかわらず、その事実に思い至りこの娘のみを連れ出すよう指示された神父様の慧眼ぶりこそ偉大なる父の賜というべきでしょう」
普通の人間なら却って気を悪くしかねない見え透いた追従だったが、牧師はあっさりと受け入れた。
「確かにあの女、謎の能力者による襲撃で我が神の仔の教団が被った損害は甚大なものになるでしょう。
ですがこの娘の心臓の代償として我が教団に入る献金はそれを補って余りあるものです。
それを損なうことが無かったのも私の指示に冷静に対応した貴方たちの存在があってこそです」
牧師と病院職員。 聖職に携わる物同士の不穏な会話。
「ですが、あの女は一体何者だったんでしょう」
「さて。それは判りかねますがあなたたちの送った画像を元に本部がその正体を白日の下に暴き出すことでしょう。
そしてそれを元に愚かなる異端者と背教者の群に怒りの鉄槌をくだすことでしょう」
最後は静かに言葉を締めくくった牧師は職員の一人の様子がおかしいことに気がついた。
「どうしました、あなた。 私は今結構大事なことを言ったつもりですが、あなたまるで心ここにあらずの状態じゃないですか」
声をかけられた職員は車窓の外を指さし言った。
「飛んできます。 あの女が飛んできます」
飛んでいる。
血で汚れた白衣をまとった女が飛んでいる。
世界中に支部を擁する神の仔の病院の日本支部に潜入し、決して外部には明かすことの出来ない暗部に乗り込もうとして警備員たちと交戦。
たった一人で数十人の警備員を撃破し、日本支部を壊乱させた謎の能力者が宙を飛んでいる。
実際は飛んでいるのではない。
空気中の水分を瞬間的に凝縮させて発生させた氷塊をステップに跳ねているのだ。
氷塊のステップからステップへと人間離れした跳躍力で飛び移る。
役目を終えた氷塊は地上に落ち、砕け散っていく。
そのスピードは男たちが乗っている搬送車に比べれば劣っているが、建造物や道路のカーブをショートカットしている所為で少しずつその差が縮まっていく。
「化け物か。 あの女」 常識では考えられない事態に動転する男たち。
彼らに出来ることは車のスピードを上げて、逃走用のジェットが待っている米軍基地へ急ぐこと。
だがそうして手をこまねいて見ているうちに、女はワゴン車の上空に達すると、天井部分に舞い降りた。
車体に伝わる衝撃は男たちを緊張させた。
拳銃を取り出しボンネット越しに撃とうとする男たちを牧師は制止した。
「お止しなさい。 この車はただの車じゃない。 撃っても装甲に跳ね返されて、私たちに当たるだけです。 それよりは」
ドライバーに車を蛇行させて車体に取り付いている女を振り落とすよう指示する。
スピードを保ちながらハンドルを左右に切るドライバー、やがて…。
「落ちたぞ、今確かに何か落ちたぞ」
「確かですか。 確かにあの女が落ちたのですか」
「ハッキリとは見えませんでしたがおそらくは…」
車内を満たし始めた安寧の空気を打ち破ったのは、突如としてフロントウインドウに逆さまに映った女の顔だった。
美しい。
通常の状態で見れば心奪われかねない美しい顔も今の男たちには恐怖の対象でしかない。
「逃走って言葉があるだろ」
窓を締め切っている車内に何故か聞こえる女の声。
逃走って言葉があるよな、逃走。
逃げて走るっていうのはわかる。スッゲーよくわかる。
逃げるのにチンタラ歩いてなんかいられないからな。
今のお前らを見てたらよくわかる。
だがよっ、闘争っていうのはどういうことだぁぁ~~っ!
闘って争うってスゲー勇ましい言葉じゃんかよ。
ナメやがって。
逃走と闘争。
180度違う意味の言葉が同じ響きなんてどういうことだ!
チクショーッ。
どういうことだ!どういうことだよ!!
クソ!クソ!
舐めやがって超イラつくぜぇ~~っ!!
逃走、闘争。白黒はっきりつけやがれこのどチクショーが!!
「くそ、振り落とせ」 牧師の指示が車内に響く。
「ダメです。 前方にアイスバーンが!」
ワゴン車の前方数十メートルの路面が氷結していた。
急ブレーキの音が響く。
「馬鹿! 一気に突っ切るんだ」
制止の声も空しく、タイヤをロックさせたワゴン車はコントロールを失い、道路の側壁に激突して停止した。
衝撃で後部のハッチバックドアが開く。
この事態を引き起こした女はというと、車がコントロールを失う直前に飛び降りていた。
減速していたとはいえ、かなりのスピードで走行していた車から飛び降りたにも拘らず、かすり傷一つ負っていない。
女は悠然とした足取りでワゴン車に近づき、その隔たりが十メートル前後になったところで歩みを止める。
「オイッ! クソガキ! 生きてるんだろう。 死にたくなかったら、さっさと出てきな」
反応が無いことにイラついた女の声が荒くなる。
「いいか、もしもお前がお伽話のお姫様で、アタシが白馬に乗った王子様ならお前は何もしなくていい。
黙って目を閉じて王子様の腕に抱かれたら、あとは夢の国。 お目覚めはデッカイお城の自分の部屋の豪勢なベッドの上だ。
ところがお前ときたら、ゴミ溜めで育ったドブネズミで、アタシはアタシで年中不機嫌な魔女ときたもんだ。
お前が生きていくには自分の足で歩くしかないんだ。 いいか5つ数えるうちに出てくるんだ。 さもないとその車ごとお前を…」
緩慢な動きでハッチバックから出てきた少女の姿を見て女は口を閉じた。
しかし自分の元に歩み寄る少女の動きがあまりにもゆっくりとしているのを見ると、おらっ、さっさとしろと罵声を浴びせる。
それでも少女が女の近くにやってきた頃、男たちも車内から出てきた。
皆身体のそこかしこを痛めたらしくしかめっ面をしている。
「待てっ。 お前の狙いは最初からその娘だったのか」 牧師の声が夜空に響いた。
答える必要はないねとうそぶく女。
「一体何の為に。 財産もなく教養もない。 身寄りすらいないそんな娘の為に何故?」
「身寄りはいるさ。こいつには国に母親がいる。」
店で知り合った男と所帯を持ち娘を儲けたはいいが、帰国した男に捨てられたことが判ると自分も娘を捨てた最低の母親。
挙句の果ては男の残していった金で手を出した薬が原因で感染したHIVが発症したために、マニラ市内の病院で死を迎えるばかりの女」
そんな屑みたいな母親しか身寄りのない娘を一体何の為にと心の底から不思議がる牧師。
「確かにコイツの母親は今現在、HIV患者対象のホスピスにいる。
しかし病状が悪化する前は、他の重症患者の身の回りの世話を親身になってやったらしい」
その中にあっちの裏社会の大立者がいたらしい、と話す女。
「コイツの母親の献身に痛く感じ入った大立者は、何か望みは無いかと母親に言ったらしい。
母親は言ったのさ。 自分の捨てた娘に一目会いたいってな」
自分の傍らに立つ少女に目をやりながら女は続ける。
「大立者は裏のルートを通じて依頼を出した。 娘を探し出せっていう依頼をな」
その依頼が回りまわって自分のところにやって来た話す女に対して牧師は…。
「一体その依頼を幾らで請け負ったんだ、お前は」
その言葉を聞くと女の顔は憂鬱極まりないものになった。
「これが実にショボい話でね、おっさん」
おっさんと呼びかけられた牧師の顔が一瞬怒りに歪むが、女はそれを気にもかけず…。
「そりゃあ、大立者が現役だったらそれなりの報酬は出しただろうさ。だがよ…」
病状が悪化しホスピスに入った時点で、そいつは裏社会の権益を全て取り上げられた。
後に残ったのは身につけてた僅かばかりの小銭だけってわけさ。
女の言葉は嘆きにしか聞こえなかった。
「だから、お前はこの件で一体いくら手にするんだ」 何の思惑があるのか、女の受け取る報酬の額を気にする牧師。
「そいつは流石に言えないねえ。 ただアタシが今耳にしているこのピアス。 これ一つでこのガキ百人分の命にはなる計算かねえ」
と話す女の耳にはパールのピアスが。
「そんな僅かばかりの金でお前は我が神の仔の病院を襲い、あれほどの騒ぎを引き起こしたのか」 牧師の声には間違いなく驚気の響きがあった。
「アンタらには悪いことをしたねえ。 ま、これがアタシの性分ってやつでね。 でも安心しな。
アンタたちのやってることに口を挟むつもりなんてサラサラない。 世界中に広がった病院ネットワークを活用した臓器売買」
女と対峙する男たちは一様に息を飲んだ。
「スラムの傍に病院を建設し、住民たちの健康診断を無料で実施する。
臓器移植を望む顧客とHLA検査が適合した住民は、病院という檻の中に囲い込みじっくりと料理する」
アタシからすれば随分とまどろっこしいやり口だけどねえ、と嘆息する女に対して牧師は商談を持ちかける。
「お前がこの件で幾らの報酬を受け取るのか私には判らない。 だがそれを五倍、いや十倍にしたくはないか」
女の顔に満面の笑みが浮かんだ。
「ほうっ。 そいつはまた豪勢な話じゃないか」
女の反応に気を良くしたのか牧師は更に…。
「大体お前ほどの実力を持った人間をそんな安い金で動かそうというのが虫のいい話だと私は思う」
とりあえずここまでで
逃走と闘争のくだりのために書いたようなものです
ですから目的は達成しました
もし罰当たりなという苦情の声があれば後半は差し止めます
乙です
美貴ッチョですな
個人的には続きを見てみたいですが
こんな中途半端に終わられてもね
空中を失踪する魔女見てえ
続き待ってます
ごめんなさい変換ミスです…orz
>>581-588の続きを
注意書きというほどのものではないですが登場人物が露悪的な台詞を口走ります
心のきれいな方はスルーを推奨します
「黒い羊」を100とすると7程度の残虐な描写があります
ご注意くだされ
牧師の言葉を聞いた女の顔は綻び、両手を揉み合わせ始める。
「アンタ、話がわかるねえ」
「ああ、今からでも遅くはない。 そんなしみったれた依頼はキャンセルして私たちの為に働け。
私たちにはこれからもお前のような強い人間の力が必要だ」
「依頼をキャンセルっつーのは、このガキをアンタたちに引き渡せってことなのかよ」
「そうだ。 その娘の心臓には法外な程の高値がついている。 だが、おかしな考えは起すなよ。
それを金にするには私たちのネットワークが必要…」
牧師の提案は女の一言で拒絶された。
「悪いな。 パス」
「何故だ」 信じられないという表情で女を見つめた。
「お前は言ってたじゃないか。 ショボい依頼だと。 お前の装飾品の百分の一に満たない報酬でしかないと言っていたではないか」
なのに何故自分の申し出を断るのかという牧師に対して、首を傾げながら女は答えた。
「あんたら、善人面した人間。 神の仔を名乗る人間っていうのはイイよな。 間違いを犯したって神が許してくれる。
契約を破ったって、神の前に額づいて許しを乞えばいい、ところが…」
大きな溜息をつくと女は言った。
「ところが、アタシみたいな輩は誰も許してくれない。 誰も守っちゃくれない。
私を守るのは私自身しかない。 私は自分を守る為に私の信条を守る、そう契約者との契約は命に賭けて守るという魔女の信条をな」
「ではどうあっても、私の申し出をお前は受け容れないのだな」
「ああ、このガキは渡さねえ」 間髪入れず女は応える。
「そうか、それは残念だ。 凄く凄く残念だ」 意味ありげに繰り返す。
「ぐっ」 激しい痛みが女の全身を走る。
「テ、テメー」 少女が手術用のメスを女の左脇腹に突き立てていた。
「本当に残念だ。 私は本気でお前のことを誘ったのにな」 勝ち誇ったように言うと、少女に呼びかける。
「よくやった。 それでいい。 今この場から逃れたところでお前に生きる場所など存在しない。 こちらに来な…馬鹿が止めるんだ。
もしあのガキに当たったらどうするんだ」
職員たちが女に銃口を向けていた。
痛みに耐え切れないのか、女は傷口に手をあて跪いている。
「ですが、神父。 あの女は只者ではありません。 早くとどめを刺しておかないと」
「それは私も判ってる。 だがあのガキがこちらに来てからやるんだ」
職員たちの顔には恐怖の感情が窺われたものの、組織内での地位の上下関係が物を言ったのか不承不承銃口を下げた。
満足げに口を開く牧師。
「このガキは渡さないだと。 一体何様のつもりだ。 自分がヒーローにでもなったつもりか。
お前みたいな奴が誰かを守れると本気で考えていたのか」
「・・・ねえ」
「思ってなんかいねえ。 アタシは誰かを守れるなんて初めから思っちゃいねえ。
アタシの持っているチカラは誰かを守る力じゃねえ。 誰かを傷つけ、壊してしまう」
女の顔色が夜目にも白く映る。
「ならばどうして」
「・・・ねえ」
「だから何を…」
「もうお前なんかと話す舌は持ち合わせてねえ。 ガキ、お前はどうしたいんだ」
フラフラとした足取りで歩く少女は女と男たちの隔たりの半ば辺りまで来ていた。
しかし自分自身が傷つけた女から呼びかけられたことで脅えたのか震えだし、その場で立ち止まってしまう。
そんな少女に男たちは自分たちの方に来るよう怒声を上げるが、自分たちから少女の元に歩み寄ろうとする勇気は持ち合わせていない。
「お前はどうしたい。 そいつらと一緒に行って心臓を盗まれて神の国に行きたいのか。
それとも生きて、このクソったれの世界で生き続けたいのか。 お前の望みを言うんだ」
「笑わせるな。 薄汚い仕事に手を染めるいかがわしい人間が何を言うか。
そのガキの口の中を見たか。 歯が溶けて無くなってるだろう。 シンナーの所為だ。
そのガキは食い扶持を稼ぐために出かけたゴミ捨て場で、シンナーの味を覚えたんだ。
最初は缶の底に残っていた建築用の塗料で満足していた。
だがより純度の高いトルエンを手に入れる為にこのガキはどうしたと思う。
ゴミの収集の作業員に身を任せたんだ。 まだ12歳だというのにな。 本当に大した淫売だよ」
「やめろ。 テメーの腐った言葉なんか聞きたくねーんだよ」
「そんなこいつを私は救った。 そう病院で保護して検査を受けさせて適切な治療を施させた」
「臓器売買のドナーとして飼うためにだろうが」 女が苦しげに洩らす。
「ああ、そうだとも。 だが私は感謝こそされても非難される覚えはないね。
いいか私たちのおかげでちっぽけで無意味なこいつの命は巨大な生命の樹の一部になれるんだ。 こんなに素晴らしいことはないだろう」
「…イキタイ」 しゃくり上げるように泣きながら少女が思いを言葉にした。 「イキテイタイ…」
その言葉を耳にした女はニヤリと笑い…。
「いいだろう。 その願い叶えよう」 傷口を押さえていた右手を路面に叩きつける。
路面には女の手形が残る。
血の手形は魔女の刻印となり、刻印は生きているかのように路面を滑ると銃を構えている男たちのほうに向かった。
そして男たちの足元に達すると…。
「ぐわぁぁっ」 「うぉぉー」
男たちが口々に苦悶の叫びを上げた。
男たちの足元で血の刻印は垂直方向に鋭敏に凝縮し、血の針となって男たちの足を貫き動きを制していた。
女が立ち上がった。
ふらつきながら自分の足で立ち上がった。
もう傷口は抑えていない。
ふらりふらりよろめきながら男たちのほうへ歩いていく。
恐怖に駆られた男たちは逃げようとするが、足元を血の針に貫かれ動くこともままならない。
唯一牧師だけは傷を負ってなかったが、魂を抜かれたように立ち尽くしている。
そんな無邪気な少年時代がお前らにもあったのか」
苦悶に震えながらも、女の歓心を買おうと頷く男たち。
「だが、死ねっ!」 女の声と同時に鈍い音がした。
まるで雪野原に木の棒を刺したような音が響いた。
男たちの足の傷口を基点としてあらたな血の針がランダムに伸びていた。
あるものは自らの肉体に、あるものは自分の周囲の仲間の肉体に刺さっている。
より大きくなる苦悶の声。
「誰かを愛したことはるか。 誰かを守ろうと命を賭けたことはあるか。
誰かを守ることが出来ずに無念の涙を流したことはあるか」
もう男たちに女の問い掛けに答える余裕は残っていなかった。
ただ、ただ響く苦痛の叫び。
「だが死にやがれ!」
新しい傷口を基点として新たな血の針が伸び、自分を、仲間を貫いている。
男たちの声が弱くなっていく。
「異端者として神の仔を自称するお前たちに宣告する。 死ね! 死ね! 死ね!死ね!」
女が死という言葉を口にする度に血の針が創り出され男たちを貫いていく。
そして全てが終わった時、男たちの身体を血の針で繋いだ死のオブジェが完成していた。
部下に当たる男たちのあまりにも無残な最期に息を飲む牧師。
ポキリ。 音がした。 ポキポキ。 音がした。
男たちの体重に耐え切れず血の針が折れていく音だ。
血の針という支えを失った男たちの骸が倒れていく音がする。
折れ重なるように倒れた男たちの骸から血が流れていく。
女が右手を差し出すと、そこには魔女の刻印があった。
流れ出た血は氷と泥と一緒に魔女の刻印へと引き寄せられていく。
魔女の刻印を中心に大鎌(デスサイズ)が形成されていく。
血の赤、泥の茶、氷の白。が交じり合ってどす黒いデスサイズが形成されていく。
自分の身長よりも長く成長したデスサイズの柄を肩に担ぎ、女は牧師に歩み寄っていく。
自らの死を予感した牧師は命乞いも忘れ呆然と目を見開いている。
見開かれた目はしかし、女がデスサイズを振りかぶった時に閉ざされた。
牧師は死の一撃が自分を襲う瞬間を待った。
しかしその瞬間が訪れないことを不思議に思い目を開いてしまう。
牧師の目の前にデスサイズの禍々しい刃があった。
そして女の物問いたげな瞳。
「オマエ、犬を飼っているのか」
言われて牧師は気づいた。
自分のズボンに犬の毛がついていることを。
「飼ってはいない。 だが…」
「だが何だ? 言ってみろ」
「偽善かもしれないか、働くことの出来なくなった盲導犬の介護施設を運営している。
今日もお前が支部を襲ったという知らせが入るまでそこで犬たちの世話をしていた」
「子供の頃に捨て犬を拾ったことがある。 とっても寒い日でそいつは惨めったらしい有様で。
だが母親に元居た場所に戻して来いと言われた。 家には飼う場所がないからと。
仕方なく自分の小遣いで買った牛乳をやって元居た場所に戻した。
誰か優しい人に拾われてくれと願ってな。 だえど次の日にその場所に行ったら死んでいたよ。
アタシは悲しくて悲しくて、そいつの死骸を抱えながら泣き続けたよ」
女の言葉を聞いた牧師は頷きながら言葉を発した。
「同じだ。 私も同じような経験がある」
女はデスサイズの刃を返し自分のほうに向けた。
「お前は………殺さない」
女の何を言ったか理解すると牧師は驚きで目を見開いた。
「えっ、私を許してくれるのか」
女は何も答えず謎めいた笑いを浮かべると、デスサイズを握る手を持ち替えた。
そして逆方向に回転させると、刃は牧師の下腹を深々と貫いた。
「エッ! まさか助かるとか期待しちゃった。 ワリーね。
『お前は一思いに殺さないって言ったんだけどね。』
これだけ仲間が死んでるのに自分だけが助かろうなんて虫が良すぎないか」
苦しみに耐え切れず蹲る牧師に最後の言葉を告げる。
「複数の人間の血液と雑菌だらけの泥を腹の中に溜め込んで苦しみながら腐ってゆけ。
それがお前に相応しい最期だ」
脅えたように後ずさる少女。
「今アタシがやったことを見ただろう。 こんなことが出来る人間がオメーの一刺しぐらいでくたばる筈もねえ。
アタシからすればこんなのは遊びだ」
女は少女がつけた傷口を指差した。
遠くでサイレンの音が聞こえる。
「だがちょっとばかりもたついちまった。だからお前を連れてゆくのも無しだ。
お前は自分の行きたい場所へ行け。 母親のいる所だろうと、ずっと暮らしていたゴミの山だろうと」
「イキタイ場所ナンテナイ」
「ん?」 怪訝そうな顔で聞き返す女に少女は少しだけ強い声で言った。
「ワタシ、行キタイ場所ナンテナイ。 生キテク場所ナンテワタシにはナイ」
「ふざけるなよ、テメー」 女は声を荒げた。
「テメーが今立っているのは何処だ。 そこがお前の場所だ。
誰も侵す権限のないお前だけの場所だ。 もしも誰かがその場所を侵そうとするならお前は闘うんだ。
そして生きろ。 死ぬまで生きるんだ」
自分らしくないことを言ったもんだと自嘲しながら女はその場所を後にしようとした。
そんな女に少女は…。
「ナマエ、オマエノナマエ」
そして辺りを見回し、自分の着ているものを見た。
病院への潜入用に調達した白衣は男たちの血で真っ赤に染まっていた。
それを目にすると女は愉快そうな笑みを浮かべた。
「アタシの名前をそんなに知りたいか」
「シリタイ。 トテモテモシリタイ」
「ふん。 いいだろう、特別に教えてやる。 この寒い時期に真っ赤な服を着て空を飛ぶといえば決まってるだろう」
少女は期待に胸を躍らせながら女の言葉を待つ。
「アタシはちょっとばかり気の早いサンタクロースさ」
言い終わると何かを少女に投げた。
少女はそれを受け止めた。
受け止めたものは女が耳につけていたパールのピアスだった。
「メリークリスマス」
>>603-611
「神ハ神ノ仔ヲ愛ス」
何か色々とやらかした気もするが気にしてもしょうがない
最後のオチは銀魂の第二百九十訓「サンタクロースの赤は血の色」から連想したものです
まあいわゆる美貴魂ですw
こういうの大好き!
一足早いクリスマスストーリー(?)乙です
色んなもの読んではりますねえw
何にも揺るがない信念を持った魔女の魂が沁みました
ラストシーンが特にいいですねえ
絵が浮かんできて思わず微笑んでしまいました
そのバックはえらいことになってるわけですがw
こういう話大好き
安らぎの風はこれからもこのスレを癒してくれると信じてます
おめでとう亀ナンター
なんか……いいよねこういうの
なんか切ない
川*^A^) <見てクダサイ 喫茶リゾナントよりだいぶ広いデスネー
川*’ー’) <うっさい 狭くて悪かったな
ノ|c| ・e・) <ちょっと愛ちゃん口悪いから
DSで愛ガキがカメさんの誕生日を祝ったみたいだね。
いったいどうやってこの世界に入ってくるのかもw
誕生日話は無いの?
川´・_o・)<ジュントナカイが餃子持ってきたゾ リゾナントのクリスマス限定特別メニューダ
川;’ー’)<あ………いや……
/ ̄ ̄ \
0⌒⊂ニニニ⊃
= ノlc|;・e・)| <ああ忙しい忙しい
= /⌒⌒∩3~~:~つ
= | /ヽ==|
= \_/ ミ三三彡 タッタッタ・・
J) U)
\J) J)
c丶 J(っ
/ ・ \
/::丶 __●
ノノ´・_o・) <餃子作ったよ~
|;;;;;;;⊃;;;つ
ヽ;;;;;;;;;;;;;ノ
U"U
ジュントナカイでクリスマス話が書きたいけど…ちょっと練ります。
いわゆる縦読みとかは含んでいない
お父さんがつれていかれたの
お母さんとははぐれちゃったの
ゴメンね かなしいこと思いださせたね
おねえさん? わたしはもうオバさんよ
きょうはプレゼントをもってきたの
このキャンプのこどもたちみんなにね
サンタさんて しっているよね
赤いふくに 白いおひげ トナカイの引くそりに乗って
世界中のこどもたちに 愛と夢をとどけにゆくの
でもねトナカイさんがかぜをひいて このキャンプには来れなくなったって
だからねわたしが代わりをするの
今日はわたしがサンタクロース
ヒーローになれると思ってた
ヒーローになれば世界をすくえると思った
でもヒーローにはなれなかった
悪いやつをやっつけたんだ
悪い人をこらしめたんだ
でもいくら悪い人をこらしめても 悪い人はいなくならなかった
ある日 私ね 思ったんだ
なんで人は悪いことをするの
それがわかりさえすれば 悪い人はいなくなると思ったんだ
だから心をのぞいたんだ
悪い人の心をのぞいたんだ
その時 初めて わかったんだ
心の中すべてが 悪い人なんて いなかったんだ
雪のように 真っ白だった
でもこの世界にひそむ大きな悪は
真っ白な心を染めてゆくんだ
でもね悪い人の中にも 白い心はのこってるんだ
おとうさんのこと おかあさんのこと 大切に思う心はあるんだ
友だちにさそわれて 悪いことをする人
子どものために パンをぬすむ人
心の中 ぜんぶせんぶ 悪い人なんていなかったんだ
私 知りたくなったんだ
悪い人をやっつける私
悪い人はどう思ってるのか
とても知りたくなったんだ
だから心をのぞいたんだ
私がやっつけたばかりの 悪い人の心のぞいてみたんだ
悪い人の心をのぞいたんだ
悪い人には 私のこと どう見えてるか 知りたいとのぞいたんだ
私 思わず 叫んだんだ
怖くなって 叫んだんだ
かなしくなって 泣いたんだ
悪い人の心の中に かいぶつのような私がいたんだ
私 笑いながら ひどいことしてた
悪い人に ひどいことしてた
自分は間違っていない そう信じながらひどいことしてる私がいた
泣きながら許しをこう悪い人
ママの名をよび おびえてる悪い人
みんなみんなこらしめようと ひどい目にあわせていたんだ
銀色のつばさを 失くしたんだ
つばさを失くした私は 大地におちて
全ての力を失くしたんだ
ヒーローになりたいと思ってた
ヒーローになれると信じてた
でもヒーローにはなれなかった
そんな私だけど 今日はみんなのために
プレゼントを持ってきたんだ
ありがとう こんな私のために
泣いてくれるんだね ありがとう
プレゼントは何がいいかな
キミの欲しいものがあればいいな
とても目立つし よく似合ってるよ
でも少しゆがんでるね
オバさんがなおしてあげるよ
「なっちぃ」
シリア北部に位置するネイラブ難民キャンプに珍しい日本語が響く。
声を発したのは30代半ばの日本人女性だ。
髪を栗色に染め、パンツスーツにハーフコートを羽織っている。
呼びかけられた女性は
「何かきな臭いことになっとる。 テロや!
それも難民キャンプを標的にした同時多発の自爆テロや。 ここかって危ない」
「自爆犯は子供らしい。 それもみんな首に赤いスカ・・・」
裕ちゃんと呼ばれた女、ダークネスの首魁中澤裕子は唾を呑み込むと、平静な態度を保つことに努めながら、安倍なつみに声をかけた。
「なっち。 早くその子から離れるんや」
「やだ」
「その子のおる場所に空間断裂をしかける。
かわいそうやけど爆発の被害を最小限にくい止めるにはそうするしかない。 そやから、なっち」
「出来ないよ。 そんなこと」
「いいか、なっち。 あんただけのことやない。 ウチもどうなってもいい、それだけの覚悟はある。
でも今このキャンプにいる他の人間はどうなるんや。 せやから。なあ」
「裕ちゃん。 この子ねまだ4つのときにお母さんとはぐれたんだって。 住んでいた村に戦闘機が墜落したんだって」
「なっち」
「そう、あの時私たちのやったことのせいでこの子はお母さんを亡くした。 そしてお父さんもついこの間秘密警察の人が連れて行ったんだってさ」 淡々と本を読むように話すなつみ。
「あれは必要なことやったんや。 あのオペレーションがなければその子みたいな子は何倍も何十倍も増えてた」 許しを乞う罪人のような中澤の声が流れてゆく。少し年下で、現地の民族衣装を身につけている。
「そうだよね。 裕ちゃんは正しい。 裕ちゃんの言うことはいつも大体は正しい。 でもその正しさの掌からこぼれてゆく人たちがいる」
言葉も無く立ち尽くす中澤。
「すくえると思ってたんだ。 私ならすくうことができると思ってたんだ。 でもこぼれ落ちていったんだ。 私の掌からかけがえのない命がこぼれ落ちていったんだ」
「そんなことはない。 なっちがどれだけたくさんの命を救ったかウチは知っている。 そやからなあ」
「私には助かる資格なんて無い。 以前の私なら、チカラで人を救うことが出来た私なら生き続ける意味があるかもしれない。
でもチカラを失った今のわたしなんて」
「ええんや。 なっちは何もせんでええんや。 なっちがそこにいるだけでウチらは戦える。 世界を変える勇気が湧いてくる。 なっちがウチらと一緒にいて祈ってくれるだけで」
「勝手だね。 裕ちゃんは強引で勝手だね」 なつみの声が和らいだことに、最悪の事態を回避できるかもという希望を抱く中澤。
「でも私はもっと勝手なんだ」
「なっちのアホ!!」
中澤は走った。
空間断裂のチカラを発動させながら走った。
こうなったら腕ずくで子どもを引っ剥がしてでもやるしかない。
安倍なつみにどれだけ恨まれようが構わない。
彼女をこの世界から失うことなど考えられない。
安倍なつみは逃げることもなくその場に止まっている。
赤いスカーフを巻いた女の子を抱きしめている。
裕子が近づくとその腕に力が籠もり、強くより強く抱きかかえる。
その子の父や母がこの場にいたらそうしたように。
爆発の衝撃を自分の身体で吸収して、他の人間への被害を少しでも小さくしようとするように。
あと少しのところでそれは起こった。
あと三歩足を進めれば手が届きそうなところでそれは起こった。
白い光、熱い風、赤い雨、轟然たる音。
衝撃波に襲われた中澤は吹き飛ばされ、大地に仰向けに倒れてしまった。
身体が動かないのは大地に叩きつけられたらだ。
耳が聞こえないのは爆音で聴覚が麻痺したからだ。
顔がヒリヒリ痛むのは、爆炎を浴びたからだ。
涙が止まらないのは魂が悲鳴を上げているからだ。
人の駆け回る気配を肌で感じながら空を仰ぎ見る。
一天の曇りもない蹌踉とした空が愚かな人間を見下ろしている。
ひらりひらりと何かが落ちてくる。
天使の消えた大地に落ちてくる。
ひらりひらりと雪が降ってくる。
雲もないのに雪が落ちてくる。
命を散らした天使を悼む手向けの花の如く雪が降ってくる。
ユキヨ フレフレ シロイユキヨフレ
シロイユキヨフレ カナシミノダイチニ
ヨルダンの領事館で調べてきた天気予報じゃ雪どころか雨も降らへんはずやってんけどな。
身体中が痛むのは、ウチがまだ生きてるからやろうけど、じゃあこの雪は幻覚か。
雪の降る町で生まれ育ったあの娘を悼む思いが見せてんのか。
雪は衰えることなく降り続けていく。
肌寒さを覚えた中澤は起き上がろうとする。
3、2、1で起き上がるで。 そら、3、2、1。
こんな逡巡を4回ばかり繰り返して起き上がった中澤の目に映ったのは、降り積もった雪で白く染まった難民キャンプの姿だった。
あれだけの爆発があったというのに、そこにいる人々の表情には脅えも悲しみも見出せなかった。
耳の奥がジンジンと鳴っている。
あんなんは慣れっこちゅーことか、まさかな。
涙で濡れた目を服の袖で拭うと、シャンシャンという音が聞こえた。
なんや一体。
人が騒いでいる。
子どもが飛び跳ねている。
大人の目が輝いている。
警備の兵士がある一点を指差している。
まだぼやけている目でその方向を見てみる。
トナカイに引かれたそりに乗り赤い服を着た人間がやって来た。
そりには大きな白い袋が積んである。
難民キャンプにいた人々が挙って、そりを囲んでいる。
人々の顔はどの顔も輝いている。
そりに乗った人間が、袋から色とりどりの紙の包みを取り出して、人々に手渡している。
…あれは、俗に言うサンタってやつけ。
サンタは何百人という人々にプレゼントを渡してる。。
子どもに大人。
難民に兵士。
イスラムに非イスラム。
分け隔て無くプレゼントを手渡している。
欲深く二度貰おうとする人には、笑顔で注意する。
泣いている子どもの頭を撫でながら、プレゼントを手渡している。
ソリの周りの人たちにプレゼントが行き渡ると、白い袋をかつぎそりから降りた。
怪我や病気で立ち上がれない人たちのいる人たちのもとにプレゼントを届けている。
…やがてサンタは中澤の方に歩いてきた。
目の前に来たサンタの顔を見た中澤は思わず息を飲んでしまった。
サンタの顔はかつて中澤の知っている顔に酷似していた。
スパイとしてダークネスの抵抗組織に潜入しながら、潜入先の調査対象に共鳴した裏切り者。
安倍なつみの最高の信奉者。
唖然とした中澤にもプレゼントを渡そうとするが、当の中沢は金縛りに会ったように動くことが出来ない。
そんな中澤の頭を優しく撫でると、コートのポケットにプレゼントを入れた。
幻覚では感じられない重さを感じた。
サンタを追いかけていた人たちの群れが二つに分かれている。
そうして出来た道の先に、安倍なつみがいた。
その元には赤いスカーフを巻いた少女がいる。
サンタが二人の方に向かい歩いていく。
安倍なつみが少女の背中を優しく押す。
駆け出した少女は勢い余って転げてしまう。
そんな少女をサンタは優しく抱き起し、プレゼントを手渡した。
プレゼントを頭の上に掲げて跳ね回る少女。
あんなに大きく膨らんでいた白い袋がすっかりしぼんでいる。
その袋の中から最後のプレゼントを取り出したサンタは、それを安倍なつみに差し出した。
私には受け取れないと言っているのがわかる。
するとサンタは安倍なつみの前に跪き、何かを訴えている。
やがてなつみの頭は額ずき、目元を腕で覆いだす。
慌てて立ち上がったサンタはそんななつみを抱きしめようとするが、その手はなつみの身体にかかる直前で止まってしまう。
そんなサンタの様子を見たなつみの顔はほころび、おずおずと掌を差し出した。
なつみにプレゼントを手渡したサンタはそりに駆け戻る。
そんなサンタを追いかける人々。
口々にサンタの名を呼び、お礼を言っている。
キラキラと輝く何千の瞳に見守られながら、そりは走り出す。
シャンシャンシャン、鈴の音と共に滑走するとそりは舞い上がり、天空高く翔けていった。
…今のは何やったんやろうね。
喧騒が収まった難民キャンプで中澤は考えた。
集団幻覚? 催眠?
人々の手にあるプレゼント、そして中澤が感じている重み、寒さ、そして心の高揚感はそのいずれでもないことを物語っていた。
だとしたら…。
安倍なつみはチカラを失っていなかった。
世界のルールを、形をも変えるとまで言われた安倍なつみのチカラは失われていなかった、っちゅーことか。
爆発という事象をも無かったことにしてしまったってことでええんかな。
世界最強の能力者でありながら、世界に溢れているかなしみを打ち払うことが出来なかった無力感から自ら封印したチカラ。
しかし、目の前の少女を世界の悪意から救いたいという思いは封印を無意識の内に解除した、ってところかな。
ダークネスは中澤の独裁が下達している組織ではない。
中澤はダークネスの中核とも言える能力者たちを統べてはいるが、それがダークネスの全てではない。
政界、官界、財界、学会、言論人。
ありとあらゆる階層の中の裂鋭的な人々の重層的かつ有機的なネットワークがダークネスだ。
その全貌を把握しているのは、中澤とその側近しかいない。
その為に中澤を若輩としか認識していない人間もいる。
そんな人間に安倍なつみのチカラが失われていなかったことを知らせれば、中澤に対する覚えもめでたくなって財布の紐も緩むだろう。
でも知らしたれへんけどな。
あの時、ウチらは間違いを犯した。
天使の手を血で汚させるという過ち。
その過ちは天使の翼を奪ってしまった。
だから、もう二度とそんな過ちは繰り返してはならない。
安倍なつみは作戦遂行中の事故で負傷して、その能力の大半を失った。
そのフィクションは守り通す。
まあここで起きたことを隠しおおすのはちょっと骨が折れそうやけど、圭坊と吉澤が合流したら何とかなるやろ。
それまで酒でもかっ喰らって、暖まりたいとこやけど。
何気なしにコートの中の包みを手に取った中澤の頬が緩んだ。
アイツ、気がきくやんけ。
アブサン。
ニガヨモギから作られた強い酒。
ちょっと悪酔いしそうやけどな。
小振りの瓶を天に掲げながら、呟いた。
メリー、メリー、メリークリスマス。
以上「ホワイトスノー」(仮題)
軽く流していただけるとありがたい
次のレスが本来>>660に入ります
とても目立つし よく似合ってるよ
でも少しゆがんでるね
オバさんがなおしてあげるよ
「なっちぃ」
シリア北部に位置するネイラブ難民キャンプに珍しい日本語が響く。
声を発したのは30代半ばの日本人女性だ。
髪を栗色に染め、パンツスーツにハーフコートを羽織っている。
「なっち、やっと見つけたで。 なあ、みんな心配してるから、一緒に帰ろう」
年上の女性の懇願するような呼びかけに対して、年下の女性はすまなさそうに応える。
「裕ちゃん」
目を伏せながら傍らの少女を見やると首を振る、帰らないと呟きながら。
「頼むから。 なっち」
「駄目。 私帰らない」
呼びかけられた女性は
「何かきな臭いことになっとる。 テロや!
それも難民キャンプを標的にした同時多発の自爆テロや。 ここかって危ない」
>>655-659
>>670
>>661-667
の順番が正解ですわw
メモ帳にコピペして順番どおりに並べ直して読みましたw
朝起きたらホワイトスノーに覆われていた僻地で読みました
直接的にはぺっぱあさんの作品が思い浮かぶ感じですが…でもまたちょっと違う独自のものですね
自分の思いと重なる部分もあってその意味でも興味深く読ませていただきました
どこか不思議な空気の でも爽やかな読後感の残るクリスマスにふさわしいお話でした
こういうの書けたらカッコイイなあ……
詩というか童話のような前半とハードな展開の後半部との幅の広さが魅力的な作品でした
素敵なクリスマス作品乙でした
ガキサンタスレともリゾナントしているのでしょうか…?w
泣いた・・・なんか最近涙腺が弱くなってんのかな
あとこれ想像してしまった
||c| ・e・)|<コラーあんたさっきもプレゼント貰ったでしょーがー!
ノ|c| ・e・) <うん、やめとこうねそれ
ノ|c| ・e・) <!
マイ携帯はいまだにめっちゃ規制されたままだったよ…
i914シリーズで絶対に規制されないやつ出ないかな
もういっその事ツイッターでやるか?
NOW!
でもみんな笑って許してくれた
その気持ちがほんとなのは感じるけど それだけに笑顔が心に突き刺さる
最近の私は災難続きだ
その原因のほとんどは私自身にあるんだけど
いつも私の傍にいた彼女がいなくなって十日が過ぎた
いなくなる前からわかってたことだけどいなくなって強くなった思い
私は彼女の笑顔に支えられてきた
記憶の中の彼女の笑顔は今も色褪せることなく鮮やかだ
私を元気付けてくれる
私を勇気づけてくれる
でもずっとずっとむかし
子どもの頃に見た空の色を忘れてしまったように
彼女との思いでも色褪せてしまうんだろうか
そう思うと不安になる
心細くなる
あなたの気持ちは痛いほどわかるわ
あなたと彼女は同じ時間を過ごしてきた
それを傍で見てきた私にはよくわかる、でもね聞いて
時間は人の記憶
人の記憶が時間を作っていく
本当にかけがえのないものは目に見えなくて
手につかめないからとても心細くなる
いつか無くしてしまうんじゃないだろうかって
でも人の記憶が時間を作っていく中で、時間を失われずに生きていくことができたなら
弱かったり運が悪かったり何も知らなくても逃げたり言い訳したりせず自分がやるべきことを一生懸命やっているなら
全てのことは未来に繋がって、また出会うことができる
彼女の笑顔と
何となくキーボードを打った結果です
。゜。 。゜(´Д`)゜。
泣いた
さゆとさえみさんなんかな
さゆのブログとかも思い浮かべてたまらん話やった
このスレの設定からすると「永遠の別れ」を描いている…とも取れそうですね
それだけに2レス目が深く心に響きます
あの記事を読んですぐこういったものが書けるのはすごいなあ
本当にいなくなっちゃったんだなぁ
そんな僕は遺族ですorz
キーボードを打つ手が震えて仕方がないんだ。
というか文章が続かないorz
リゾナントに行ったら何か思いつくかな。
そしてそれがすべてだよきっと
これまでもこれからも
そんなわけあるはずないのにね
あたしはそれだけ絵里に依存してたってこと
今どこで何してますか?
身体の具合はどうですか?
あたしは相変わらず、元気です
たった1レスだけですがお願いします。
切ない作品が来てたのでこのタイミングに…と思いました
悲しくても切なくても
同じ空の下繋がってるから大丈夫!!!!
---------------------------------------------------ここまで
したらば【アク禁】スレからの転載でした
>>697から>>706みたいな連鎖こそがこのスレの醍醐味なわけで
掌でかくれるぐらい小さな想像を積み重ねていければいいなあと思ったり
ほんの数行だけど色々な思いが伝わってくるね
瞬間はワクワクしますね
このスレの大きな魅力です
皆さんの印象に残っているリゾナントはなんですか?
各対戦カードでそれぞれリゾ側が苦戦の末撃破って言うストーリ作りが難しくて挫折
その後放置w
熊井友理奈→i 901、獣化 or 吸血鬼(32話での雑談)
夏焼雅→記憶消去(Vanish)
矢島舞美→時間停止(共鳴者)
梅田えりか→時間停止空間下での移動(共鳴者) 矢島と梅田のコンビ
岡井千聖→エネルギーの物質化(禍刻)
萩原舞→物質化されたエネルギーの操作(禍刻) 岡井と萩原のコンビ
真野恵里菜→m411、音操作?(Wiki Darkness (25)834)
あとガー4の話もあったはず。能力は未定だったけど。
乙
こんなにあったんやね
知らないのもあった
他にもリゾナンターRにリサコ(菅谷梨沙子)が念動能力者として登場してましたね
書いてみるかな
当時はベリキューに詳しくなかったから顔とかイメージしないで話読んでたけど
今なら一致するからまた違った見方ができそうだ
書き込めたら流れぶった切りますが;投下したいです。
「愛ちゃーんよっこいしょはないでしょぉ~」
「だって9人分だよ?二手にわけても4.5人分だよ?」
「でもあたしもおんなじ量持ってたじゃん」
「(Fake)。さて、コーヒーでも淹れますか♪」
「ごまかしたな~。あ、あたしカフェモカお願い」
「わかってるよん」
「愛ちゃんおかえりー」
「おー、れいな。ただいま」
「田中っちただいまー」
「!?ガキさんもおったん?」
「えーひどくない!?あたしも一緒に帰ってきたんだけどー!」
「ごめんっ。でも聴こえなかったと」
「もう……ブロークンハートだよ~。およよよよ」
「ごめんガキさんごめんてー、れーなのハリボーあげるっちゃん、許して?」
「よかった~」
「寝てたの?はい、れいな。こっちガキさん。熱いからね」
「愛ちゃんありがと!…………あっつー、けど美味し~。
あ、違う、確かにぐでーってしとったけど、目ぇぱっちりやったし。愛ちゃん帰ってきたのは分かったけんれーな。
でもガキさんは気づかんかったと、愛ちゃんテレビと会話しとんのかいなって思った」
「ねえ、改めて言われるとグサッとくる」
「ごめんごめんなさい!」
「次はないから!!
ふふ、なんてね。今度はもっと大きい声でただいま言うよ」
「うん……」
れーなは二階からいつも聴いとる。みんなの聴き分けられるとよ。それぞれ違うと。すごいでしょ。
でもれーな聴こえんかった。ガキさんの足音。聴いたことなかった。気配も消しよるね。れーなには解る。
ガキさん。
あんた何者?
思いつくまま書いたので、特に続きません
タイトルはなんとなく不穏なイメージ、って感じで。
リゾスレ初期の雰囲気も好きなのと、ガキれなの謎な現在もこめてw
まさに初期の香りが漂っていますね
なんだか逆に新鮮でした
こういう空気もやっぱりいいですねえ
懐かしい感じのが来てますね。
スパイバレしてない所がなんだか懐かしい(´∀`*)
ずっと続いてくれ
ちょっとした1コマだけを切り取って不穏な話に仕上がっとる
上手いな
何コレ?おもしれえ!続きが読みたい
内容と直接関係のないタイトルがまた不気味でいいですね
誰がどんなタイミングで言った台詞なのかも不明というのがいい意味で気持ち悪くて
でも不仲じゃないからーw
ちょうど丸一日経ってくらいの亀レスで申し訳ないですがw
リンリンが一人で戦いに行く話とその動画ですかねー
もう設定あったのか…orz
俺の考えてたのは桃子&舞波とか矢島梅田鈴木とか
桃子 手持ち武器の転送(に見える能力、実際は自分の所有物と認識したものの【フェイク】を物質化する能力)両手に次々と武器を出現させ笑いながら撃ちまくり斬りまくる
物語中盤で大怪我を負わせる リゾナンターにこれで勝ったと思わせて一瞬で傷の治療を行い(自分の肉体の破損箇所をフェイクで補った)更に逆転 リゾナンターをピンチに追いやる…ってとこぐらいまで
対戦相手は決めていないが何らかの形でさゆ(治癒能力者)は絡ませたいと思っていた
舞波 一般人の高校生として両親に愛され幸せに暮らしている(組織の事など一切知らない)
実は桃子の【フェイク】で両親は組織の人間が両親を演じているだけ
本物の舞波は当然能力者で桃子の親友だったが何らかの事情で桃子が望まぬ形で殺してしまっている
もちろん生きた人間を丸ごと造るほどの力は桃子単体には無い
組織による何らかの実験的な支援をうけて実現させている(桃子自体がモルモット状態といえる)
舞波の幸せな人生(全部偽物だけど)を守るため(ただの自慰行為にすぎないことから必死に目をそむけつつ)組織に忠誠を誓い盲目的に従う桃子
高橋同様のテレポーテーション能力(に見える別の能力、実際は二重存在【ドッペルゲンガー】、
片方をどこにでも出現させる事が出来るため出現と同時にいままで存在していた方を消すことでテレポートのように偽装)
組織より対高橋をシュミレートされ能力なしでの格闘戦でも高橋と互角のスキルを持つべく徹底的に訓練されている
「高橋サン!なぁんか聞いてたのと違ってわりと弱いじゃないですか☆」
後述の梅田の私怨を胸に秘め高橋と死闘を繰り広げる
前半はライトな口調冷静な戦いぶりで有利に進めるも二重存在のトリックに気がついた高橋に逆転される。
ところがそこからさらに二重存在(同時に二人まで)のはずの矢島が七人までに増殖
(後述の愛理の能力)一人一人で高橋に匹敵する舞美七人による同時攻撃&瞬間移動で
更に高橋を追い詰めていく、が
徐々に梅田を殺した(高橋が殺したと思いこんでいる)高橋への怒りに冷静さを失って行き
後述のミスを犯し、遠隔地にいる愛理の位置が高橋にバレて愛理が倒され、敗北
梅田えりか 【ライアードワールド】時間の巻き戻し、正確には任意の瞬間からスタートして一分間嘘の全世界を作り出す能力
この能力で高橋と戦う 何度倒しても「でも嘘なんだよw」と巻き戻され苦戦させられるが実は何度も連発できる能力では無かったため、
結局「何度戦っても格上の高橋が最終的に勝ってしまい」能力の弾切れを起こし
高橋が勝利>(そのあと実は第三者の介入により高橋の知らぬところで)梅田死亡
鈴木愛理 【サイレントヴォイス】任意の能力者の精神に直接歌を響かせる 対象は【リゾナントアンブリファイア】同様自分の能力を増強することができる
遠隔地でも直接相手が見えてなくても増強できるが対象は一人のみ
能力使用中は完全に無防備になるため通常は常に舞美が一人護衛についていた
高橋を殺すことに焦った舞美が「愛理の場所を高橋が知るはずがないから」と全ての分身を高橋戦に動員したところを突かれて倒される
曲がれスプーン
すげぇ
めっちゃ読んでみたい
梅さんの「でも嘘なんだよw」もいいな
私も遅レスですみませんがw だいぶ古くからの住人ですねw
わたしもまた古くて…
『未来はこの手の中に ―SIDE Darkness―』
http://resonant.pockydiary.net/archives/223.html
から
『Memory 未来に射す光』
http://resonant.pockydiary.net/archives/288.html
へのリゾナントです
でも嘘~はヘイヘイヘイだっけ?
これだけオリジナルの設定があると話としてまとめるのが大変だね
でも桃と舞波の設定はベタだけど魅力的です
梅さんの「でも嘘なんだよw」 これ秀逸すぎるw ちなみに「Liar World」なら「ライアーワールド」では?
そういう意味で千奈美の「いやぁ!」も使えるかもね。事実の拒否【fact rejection】みたいな名前で
ただ書くのかなり難しそうだ(汗 特に舞美の能力は厳しそう
ないですけど、内容は凄く面白そうですねwkwk
徐々に世界が広がって行くのは嬉しいけど、これが時間の経過かな。
状況、キャラの説明が充分なら良いでしょうけど、そういう配慮は必要でしょうね
http://www28.atwiki.jp/minaqua/pages/1963.html
たいしたたくましさだなリゾスレ住人w
何か話を書けそうだなと思ったことはある
でもさすがにエッグはないだろと思って自重したw
「安倍内閣」
ガキさん「なっちは総理、なっちは総理。安倍さんが選挙に勝つためにマインドコントロール。」
是非
3レスほど使わせてください。
俺は超能力を持っている。いわゆる読心術というやつだ。
年功序列が常の極道の世界で、俺のような若造が、幹部にまで上り詰められたのはそのお陰だ。
俺は今、巨大なショッピングモールの建設プロジェクトを任されている。
建設に必要な土地の買収は、残すところ児童養護施設のみとなっていた。
ところが、この施設の園長が、頑なに売却を拒否している。
やっかいな事に、金や暴力での地上げに屈する様子が無いらしい。
着工まであまり時間が無い。早急に決着を着ける為、俺が出向くことになった。
施設に着くと、門の前に職員がずらりと並んでいた。
真ん中に立っていた園長だと名乗る老人が、俺に言った。
「お帰り下さい。ここは子供達を教育する場所です。あなたのようなヤクザが顔を出していい場所ではない」
こいつらは、俺を園内に入れる気すら無いらしい。いいだろう。俺は大声で喋りながら職員達の心を探った。
「さすがに、教育者ってのは御立派ですねぇ!きっと、やましい事の一つも、隠し事の一つも無いんでしょうね!」
職員達の頭に自分の知られたくない秘密がよぎる。それをすかさず読み取り、俺は言った。
「まさか、児童の親御さんと不倫したり、違法なわいせつDVDを所持していたり、夜のお店でバイトしている先生などは居ませんよねぇ」
職員達の顔が青ざめる。今度は一人づつ、舐める様に思考を読み取り、目を覗き込みながら言ってやった。
「先生はずいぶんと奇妙な趣味をお持ちで。ムチや蝋燭がお好きなようで……
……あなた万引きで捕まった事があるね。前科持ちなら我々の仲間だ。
……こいつは酷い!あなたの御主人が自殺した理由はあなたの浮気ですか!
……園長!あなたの女装姿を生徒たちに見せてあげたらどうですか?」
職員達は凍り付いて、言葉を発する事も出来ないでいた。
「人に言えない秘密は誰にでもある。こんな事を園児たちが知ったら、施設としては成り立たないでしょうね」
職員達の心はすでに逃げ出している。
「いかかです?園長。悪い話ではないはずですよ。みなさんの退職金だって充分払える金額です」
園長は涙を溜めて俺を睨んでいる。70歳を越した老人の涙目は、何ともグロテスクだった。
「汚い顔で見るな、ジジイ。早く決めろ」俺は耳元で囁く。
『!!!!!』――――と、次の瞬間! 心臓にヒヤリと冷たいものを感じた!!!
鼓動が早くなり、冷や汗が溢れ出た。
目の前が暗くなり、視野が狭まる。俺はその場に膝から崩れ落ちた。
心臓に走る激痛。自分の命が揺れているのが分かった。
(( お前の心臓は、私の手の中にある )) 脳内に誰かの思念が響く。
「誰だっ!」思わず叫んだ。俺以外に能力者がいる!どいつだ?声の出どころを探ろうとしたが激痛がそれを許さない。
「止めろっ!お前らの秘密、全部ばらすぞっ!」
心臓が潰れるのがわかる。のた打ち回り、地ベタ掻きむしった。
(( 帰れ、二度と来るな )) 脳内に流れ込む思念。
「わ、わかった!分かったから、は、離してくれぇ!頼む!タ、助ケ、助ケテェ!」
(( 行け…… )) まるで野に犬を放つようにそう言われ、俺は転がるようにして、その場から去った。
http://hellokids.info/cgi-bin/greentea/img/kids3_1125.jpg
当時の作者さんか
そうなんですよ
結局話としてまとまんなかったんです
それで放置してこの夏はずっとスマ追っかけてました
>>713
小説というよりこのスレを知るきっかけになったのが
で
「なんじゃこのOPV全然意味がわからんw」とおもいつつそのかっこよさにしびれたのが最初だったので
一番印象に残るっていうとやはりこの動画になってしまう
でも新しい何かが始まるのを見るためにスレを開いた俺がホゼ
40話くらいでまた覗いて住みついてしまった
まだまだ書く意欲を持っている方も多いのであえて公言しなくて良いのでは?w
以前もこんな書き込みがありましたが…
『もうちっとだけ続くんじゃ』
目線でオーデ見てる俺がいる
[Ai-Eri](43)960 『お昼寝』 2010/04/12(月) 20:20:57.18 0
↑の話って↓の画像が元になったものですか?
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/1cbde93b_640.jpg
そうですね
いい作品でしたよね
あと代理投稿したの自分です(聞いてない)
帰省先が規制されていないことを祈りつつ・・・
さっきまとめサイト見てる時にこの画像思い出してそうなのかなって
代理投稿乙でした
なんてことない灰色の壁が、今日はやけに立派に見える。
ずっと待ち望んでたことだからかな。
一年以上前からの、二人の約束。
「じゃ、開けるよ」
「ハイ」
ワクワクするようなドキドキするような感覚を抑えて、バカでっかい暖簾を払う。
扉に手をかけてちょっと引いたら、もわっとした店内の熱気が纏わりついてきた。
・・・なんとなく油っこい。
「はい、らっしゃい!」
敷居を跨ぐと同時に、威勢のいい声があたしたちを出迎えてくれた。
負けじとあたしも声を張り上げる。
「こんちはー!おじさん、エビチリ定食二人前!」
「はいよっ!」
「アレ?・・・ねー久住サン、注文て席座ってからするじゃなかったっけ?」
控えめに聞いてきたリンリンの声は、厨房のジュージューしてる音と、注文を奥に伝えるおじさんの声でかき消された。
“今度二人でエビを食べに行こうね”。
それがリンリンと交わした約束だった。
だけど、なぜかそういう約束をした時にこそ二人の呼吸は合わないもので。
お店も決まらず予定も合わずで、今日になるまでその約束が果たされることはなかった。
・・・・・・いやさぁ、小春だって頑張ったんだよ?
ギョーカイの人においしいお店聞いてみたり、
「もうジュンジュンの家でジュンジュンに作ってもらえばいいじゃん」って言う妥協案を出してみたり。
でもギョーカイの人が教えてくれるお店はどこも高いわ、“ジュンジュンの家”案を
『あの人ご飯はおいしいだけど絶対辛くするデスよ!ダメ!使えない!』
とリンリンに猛反対されるわで、結局今日まで延ばし延ばし。
道重さんの友達?後輩?に、この中華料理屋さんを紹介されなきゃ未だに約束は約束のままだったかもしれない。
人間同士の繋がりってやつに感謝しとこう。
庶民的で、なかなかいいお店だ。
「エビ~♪ エービチリ~♪」
席に着いてエビの歌(エビチリVer.)を口ずさむリンリン。
久しぶりに会うけどやっぱり子供っぽいな。小春より年上なくせに。
まあそこがホッとするんだけど。
「リンリンは元気でいいねえ」
「エッ!久住サン元気じゃないデスか!」
「元気はあるけどさぁー、そこまではしゃぐほど子供じゃないっていうか」
「ハハハ。ナンデやねーん!」
そうやってリンリンは、へたくそなツッコミを決めた。
ほんとリンリンって・・・楽しそうに笑うよなあ。
悩みなんかないんじゃないかってくらい。
「なんかさー、リンリンが悩んでる姿が想像できない」
思ったことが口からすぐに飛び出した。
口に出してみて気づいたけど、ちょっと無神経な発言だったかも?
リンリンにだって悩みくらいあるかもしんないし。
よし、謝っとくか。
「あのさ」
「悩み・・・じゃないだけど、ちょっと考えてることあるですよ」
「ぬ?」
わりとシリアスな顔つき。
さっきまでの笑顔とやかましさが、波が引いてくみたいに薄れていく。
だから、なんとなく小春も姿勢を正して次の言葉を待った。
「イマ私が中国帰ったらどうなるだろかなぁって」
「は?なにそれ?リンリン中国帰んの?」
真面目な顔でなにを言い出すかと思えば、いきなりの爆弾発言。
“中国に帰る”?
なにそれ聞いてないんですけど。
他のみんなは知ってんの?
もしかして知らなかったの小春だけとか?
「アー、帰んない帰んない。例え話デス、ハイハイ」
「え、ホントに?ドッキリとかじゃなくて?」
「はいっ!エビチリ定食二人前お待ちどぉ!」
と、そこでタイミングよく料理が運ばれてくる。
「わーい!チョーおいしそー!」
あったかい湯気と食欲をそそる匂いで、リンリンの興味は完全にエビチリ定食に移った。
あーあ、思いっきりニヤけちゃって。
さっきのシリアスなテンションはスルーかよ。
・・・まあいいけどね。小春だってエビに集中したいし。
「いっただっきまーす!」
「いただきマス!」
お行儀よく手を合わせて、小春たちは料理に手を伸ばした。
ご飯はおいしい。
おすすめは味噌ラーメンって聞いてたけど、このエビチリ定食だって充分人におすすめできるレベルだ。
だけど頭の中でぐるぐる回ってるのは、エビチリよりもリンリンがぽつりと漏らしたあの言葉。
“もしもリンリンが中国に帰ったら”。
成り行きで小春もスルーしちゃったけど、なんかこれはスルーしてはいけなかった話題のような気がしてならない。
だってリンリンが小春の前であんな顔したことなんて、今まで一度もなかった。
小春といる時のリンリンは、おバカで、楽しくて、面白くて、たまにほんのちょっとお姉ちゃんで。
それがリンリンの全部じゃないって知ってるけど、それでも小春といる時のリンリンがあんな顔することなんてなかったんだ。
あんな・・・感情がまったく読み取れない顔は。
ああもう!
じゃあどうすればよかったんだよ!
こっちも真面目顔して人生相談のってあげればよかった?
・・・無理だね!小春のマジテンションは3秒しか持たない!
大体あの後すぐに料理が運ばれてきたんだからそんなムード続くわけないじゃん!
あぁ~、なんかもうわけわかんなくなってきた。
このままやり過ごすのも相談のるのも、どっちも小春のキャラじゃない気がする。
っていうか!
キャラのこというなら、こうして頭でゴチャゴチャ考えてるのも違くないか!?
だいいち、もやもや抱えたままでいるのは健康にもよくないと思う!
もう、いいや!
「エ?なにの話?」
キャラがどうとかリンリンの気持ちがどうとか、もうそんなこと考えるのはどうでもいい。
小春は小春の思ったことを言わせてもらう。
「小春は新垣さんがスパイだったの、いやだった」
「エッ、ホントになにの話?」
戸惑うリンリンにはお構いなしで話を進めていく。
「『今までのことは全部嘘だった、裏切られてたんだ』って思ったら、すっごくいやな気持ちになった。
ムカついたし腹立ったし悔しかったし・・・悲しかった。
なにも知らずに新垣さんのこと相方認定してた自分がバカみたいだった」
「ハイ・・・」
「新垣さんがいなくなってから、ずーっと考えてた。新垣さんにとって小春はなんだったんだろう、
小春にとって新垣さんはなんだったんだろう、って。ずっと。
・・・・・・でもさぁ。結局思い出すのは、小春がふざけてて新垣さんに叱られた時の記憶とか
小春が一生懸命頑張ったことを褒めてもらった時の記憶だったんだよね」
言葉にしたら、あの時感じた想いがどんどん蘇ってきた。
仲間を裏切った新垣さんを許せないと思った気持ち。
だけどやっぱり大好きなんだよなあって気づかされた時の気持ち。
「一緒にいて嬉しかった気持ちっていうのは消せないんだよ。どんなヤなことがあってもさ」
今リンリンにいなくなられたら寂しい。そしてたぶん戦力的にもイタい。
でも、それは別にリンリンの帰国に限った話じゃないわけで。
みっつぃーは頭いいから明日にでもインドに留学するとかいうこともありうるし、
亀井さんの病気の治療にはもっと空気のいい場所じゃなきゃダメだ!ってことが判明するかもしれないし、
愛ちゃんだっていつかブロードウェイに立ちたいとか言ってた気がする。
でも小春は、一緒にいた時に感じた幸せな気持ちは消えないって知ってるから。
新垣さんがいなくなった時に学んだから。
「だからリンリンが帰ったってどうもならないと思うんだよね。変わりようがないもん」
落ちた戦力はきっと残ったみんなでなんとかするし、だいたい中国なんて近いじゃん。飛行機でびゅーんじゃん。
あんな深刻そうな顔をする意味がわからない。
そう言ったら、リンリンはちょっと不思議そうな顔をして、でもすぐににっこり笑ってくれた。
小春の言いたいこと伝わったかな?
だったら嬉しいな。
うん。
こんなやりとりもきっといつか、リンリンのことを考えた時に思い出す記憶の一つになるだろう。
「よしっ!デザートいくぞデザート!ほらリンリン、なにがいい!?」
「んーとねー、フルーツ杏仁抹茶パフェ!」
「重っ!田中さんなら見ただけで胃もたれ起こすよ、これ!」
いつどんな形になるかはわからなくても、いつかは必ずその瞬間がやってくる。
だから、その時が来るまでに。
一緒に少しでもたくさんの“嬉しい”を残そう。
なにがあっても、すぐに君を思い出せるように。
『エビチリの絆』
遅くなったけど自分なりのけじめのつもり
二人のキャラ崩壊には目を瞑っていただきたい・・・
あれ?何だろ・・・エビチリが目にしみたのかな?
あの約束からも1年が経ってそして・・・ですね改めてほんと
色々と沁みるお話でした
>「一緒にいて嬉しかった気持ちっていうのは消せないんだよ。どんなヤなことがあってもさ」
特にこれが本当に沁みますね
いいこと言うなあ小春・・・
でもインド留学は多分ないと思う
乙です
どんな別れが来たって深刻そうな顔をすることはないのやもしれん
切ない気持ちに少しだけ元気をいただきました
良いなぁ~このキャラ良いなぁ~!
改めて読んで気付いたのですがメンバー全員の名前がさりげなく出てくるんですね
そういうとこもさすがの気遣いだなあ・・・素敵
こはリンを主にした話も実はここへきて初だったりするんですよね
新メンバーの設定を考える人もいるし卒業したメンバー同士を描いた作品も上がってくる・・・
まさに>>783さんの言うとおり「もうちっとだけ続くんじゃ」なスレだと思います
99 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 03:07:01.20 O
このスレまだあったのか結構続いてるんだな
101 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 05:30:11.74 O
まだもうしばらく続くんじゃ
102 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 06:51:25.95 O
もう少しだけ続くんじゃ …だったか
104 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 09:33:35.98 0
ドラゴンボールの「最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ」ってやつだね
そこまでよりそれからの方が長かったという伝説の台詞だw
105 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 10:54:17.30 O
それだw
亀仙人が言ってたやつ
106 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 12:08:22.63 O
めずらしくネガなカキコかと思ったら、めっちゃポジティブな話だったのねw
107 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 12:50:57.05 0
そうだったんだ
深いな
108 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/06/15(月) 14:28:13.96 0
横から補足しとこう
>>104の台詞は少年悟空とピッコロの天下一武道会での対決が終わったときのもの
その後最終回どころか サイヤ人編→フリーザ編→人造人間編→魔人ブウ編 と延々続いていく
漫画は終了してもアニメオリジナルはその後も続き 現在もリメイクされたものが放映中
つまりそういうことさ!話がずれたけど許してね
リゾスレの皆さん良い年を~
今年はもう書くつもりはなかったけど突貫工事で書きました
食料品や飲食店の什器品を取り扱うその店舗は飲食業者のみならう一般客も利用できる。
年の瀬の迫った折も折、その店舗で光と闇の決戦が繰り広げられようとしていた。
その一方の当事者は中国生まれの中国育ち、見聞を広げるためにやって来た日本の国でリゾナンターのリーダー高橋愛に見出された獣化能力者。
リゾナントインディゴことジュンジュンだった。
そのジュンジュンと対峙しているのは、ダイナマイトなボディを白衣で隠し、天才的な頭脳でリゾナンターを苦しめるドクターマルシェその人だった。
「フフフフ、ジュンジュンいやリゾナントインディゴ。 ここであったが百年目。 今日こそは憎きお前を下して、獣化能力の秘密を暴いてくれよう」
いつになく高いテンションで大時代な口上を繰り広げるマルシェを目の当たりにしたジュンジュンは、少しバカにしたような口振りで言った。
「買い物かごをお菓子で一杯にしたヤツが言うセリフじゃないな」
成る程マルシェの側にあるカートの買い物かごは様々な菓子が溢れんばかりに詰め込まれていた。
「研究で酷使した私の脳が甘いものを要求しているのです。 戦闘で疲れた君の身体がバナナを要求するようにね」
「私そんなにバナナ、バナナなんて言ってるつもりないけどな。っていうか今日はお前の相手をしてる暇はないんだけどな」
素っ気ない態度でその場を立ち去ろうとするジュンジュンだったが、マルシェは行く手を阻む。
「待つのです、ジュンジュン」
「しつこいな、お前。 あんまりしつこいとこれで黙らせるぞ」
ジュンジュンはそう言うと、自らの拳を固く握り締める。
「非戦闘員のお前にはあんまり手荒なマネはしたくないけどな」
「フハハハハ。 甘いよジュンジュン。 この私が自ら戦闘に手を煩わすことなどあろう筈もない。 出でよ、戦闘員たち」
口々に雄たけびを上げながら。
「イーッ、ゲッ」
「キィーッ、グフォッ」
「イィーッ、ウゥッ」
雄たけびの末尾に呻き声が入っているのは、ジュンジュンの一撃を喰らったからだ。
他愛も無く店舗の床に倒れ伏す戦闘員たち。
「ちょっと、ちょっと。 何でいきなり倒しちゃうのよ。 しかも獣化もしないで」
ジュンジュンの手抜き?を責めるマルシェだったが、当のジュンジュンといえば気のない素振りで…。
「だから、言っただろ。 今日はお前らの相手をしてる暇はないって。
戦闘員たちはやっつけたし、もう行くぞ。 それともお前がやるのか」
そう言って拳を見せて、威圧するジュンジュン。
「アーハッハッハッ。 ダークネスきっての知能を誇る私がこの程度の脅しに屈服するとでも思ったの。
甘い、甘いよ、ジュンジュン。 いや、リゾナントインディゴ。 初めから砂糖が配合されているココアに間違って砂糖を入れたのと同じくらい甘い考えだよ」
それは、胸苦しくなるぐらい甘いだろうなと納得するジュンジュンに対して、マルシェは追い討ちをかける。
「一流の策士たるもの、あらゆる展開を読んで、手を打っておくものです。
戦闘員たちを倒したお前が、油断して気を抜くのも前もって織り込み済み」
油断って、こんな黒タイツ戦闘員なんかに最初から相手じゃないし、と思いながら悪の天才科学者からどう逃れようかと思案するジュンジュンの目に黒い影が映った。
「お、お前は…」
いつになく大時代なマルシェの言葉と共に、黒い影がその正体を現し、禍々しい叫び声を上げる。
「ガオーッ、マグマの息吹は大地の怒り、欲情魔人ガンバーン降臨」
黒いドレスに包んだ身体に、岩山の形をした被り物を頭につけたガンバーンがそこにいた。
山腹の部分はえぐれ、そこから出た人間の顔が喋っている。
要するに東京プリンの被り物の岩山バージョン、それが欲情魔人ガンバーンの姿だ。
ガンバーンの抑揚の無い小さな声はジュンジュンを、そしてマルシェをもその場で転げさせた。
戦闘員たちは最初から転げたままだ。
「ちょっ」 詰るようにガンバーンを見やるマルシェ、かたやジュンジュンはといえば、ガンバーンの姿からある一人の人間の名を思い起こしていた。
リゾナンターにとっての仇敵の名を。
「ドウダ、ワタシノスガタニビビッタカ、タジロイダカ」
ガンバーンはというとますます平坦な口調になりつつある。
まるで何か原稿を仕方なく読んでいるように。
「お、お前、魔女だろ」
ジュンジュンの口からついにその名が出た。
黒いドレス。 僚友新垣ほどではないが、やっぱり残念な身体。
そして何より岩山の被り物から露出した顔は、リゾナンターの前に立ちはだかり続ける氷の魔女、ミティそのままだ。
「マジョ、ダレノコトカナ? ワタシハマグマノケシンガンバーン。 イクゾ、ガンバンキーー」
取り合えずこの場はガンバーンとして押し通すことに決めたようだ。
お座なりの台詞が陳列棚の隙間に吸い込まれていく。
「ちょっと、美貴ちゃんしっかりやってよ。 これじゃ何もかも台無しじゃない」
いや、台無しにしたのは自分だろ、それもたった今と目で語る欲情魔人ガンバーン、いや氷の魔女ミティ。
「お取り込み中悪いけど、行ってもいいかな。 早く家に帰りたいんだ」
とにかくこの場を早く離れようとするジュンジュンのことを、すぐにあきらめるマルシェではなかった。
「ダメッ。 アンタは私と一緒にダークネスのアジトに行くの。 そして獣化して、もふもふするの」
天才科学者は遂に己の欲望、いや野望を明らかにした。
ジュンジュンはゲンナリしたように言った。
「お前もパンダの毛皮で暖まりたい口か。 全くいい迷惑だ。 とにかく今日は忙しい。
大体そっちの魔女は全然やる気がないし。 そのフザけた被り物は何だ」
「アタシだって好きでこんな格好してるんじゃない。 これは・・・」
何かを語ろうとする魔女を遮ったのはマルシェだった。
「説明しよう。 これには深いわけがある。 今を遡ることおそよ二時間前のことだ」
「アァァァァーーッ」
悪の組織ダークネスのアジトの休憩室に響く悲痛で、でもどこか甘ったるい声。
その声の主はドクターマルシェだった。
「私の、私のポテトチーズケーキが無いぃぃぃ。 誰、一体誰の仕業なの」
「やかましいな、ったくぅ」
言いながら休憩室に入ってきたのはミティだ。
「聞いてよ、美貴ちゃん。 ダークネス様が大阪出張のお土産に買ってきてくれたポテトチーズケーキが・・」
マルシェの言葉が途切れたのは、ミティの口元に何かついているのを見咎めたからだ。
「ちょっと、美貴ちゃん。 口元に何つけてるのかな」 マルシェの口からはさっきまでの愛らしさは消えている。
「へっ。 これはここに置いてあったお菓子のだけどね。
でも何か見かけ倒しっつーの。 包装紙の写真と違ってかなり貧弱だ、イテテテ、何すんだ」
怒髪天を衝かんばかりのマルシェがミティの口元を捻り上げていた。
「貧弱なのはお前の胸だろうが、この泥棒猫が」
いつもは温厚な同僚の暴挙と暴言に驚きながらも、手を振り払ったミティは逆に食って掛かった。
「テメー、いきなり何するんだ。 つーかアタシが何をしたっつーんだ」
その顔は険しく、本来の凶暴さを漲らせている。
部下の戦闘員や、一般の市民が見たら恐怖のあまり失禁しかねないだろう。
しかしマルシェは果敢にも怯まなかった。
「はあ~っ。 何をした! お前私が楽しみにしてたポテトチーズケーキを食っただろうが」
「へ?」 氷の魔女のとぼけた様子がマルシェの怒りに火をつけた。
ダークネス様が大阪出張に出かけられた際に、この私の為に駆ってきてくれた大阪名物ポテトチーズケーキを喰っただろう」
怒りのあまり、声が上ずっている。
「それはこの休憩室に置いてあったから食べたさ。 いや、別にお前の名前が書いてあったわけじゃないし。
アタシが喰ったって別に問題ないだろうが。 それに大阪名物ったってそんなの包装紙に刷ってあるだけだろ。
ただの安っぽい焼き菓子、ヒィィィッ」
ミティの声が途切れたのは、マルシェに頬を抓らてたからだ。
「ふざけんなよ、ポテトだぞ、ポテト。 ポテトとくればマルシェと決まってるだろうが」
冷静さを失い、目を血走らせているマルシェに対して、ミティも反論する。
「えっ、何その論理。 美貴全然わかんないんですけど。 芋、芋言ってたらカワイイと言ってもらえると思ってるわけ。
それとも純朴さを失ってないと好感度がアップすると思ってるわけ。 ウケるんですけ、ヒィィィ」
魔女が悲鳴を上げたのは、マルシェが渾身の力を込めてその頬を捻りあげたからだ。
「ふざけんなよ、お前。 さかりのついた野良猫みたいに欲望を制御できない奴が何を抜かしやが、イテテテ」
マルシェの言葉が途切れたのは、ミティが反撃を加えたからだ。
「テメエ、言っていいことと悪いことがあるだろ、ヒィィ」
魔女が悲痛な叫びを上げたのはマルシェが(ry
「牝豚」
「ドザペクト」
禁句を口にした二人の女がお互いの頬をつねり合う。
所詮は科学者。
氷の魔女として戦う自分の体力の前に敵うはずなどないと。
だが魔女は見落としていた。
マルシェは科学者とはいえ、かつては戦いの最前線に立っていた経歴があることを。
そして空手茶帯の実力。
そして何よりお互いが攻撃しあっている頬の分厚さ。
「イテテテテテテ」
戦いが決着した時、真っ赤になった頬を押さえ苦悶するミティの姿があった。
「ほんとうに口ほどにもない牝豚だねえ」
楽しみにしていたお菓子を喰われた怒りから芽生えた激昂がマルシェをいつになくSにさせていた。
「おい、牝豚。 これから私が弁当の選択に困った時は、お前が責任を持って選ぶんだよ」
酷いんだか酷くないんだか判りかねる罰を受け容れる魔女。
そして勢いづいた魔女は高らかに宣言した。
「お前みたいな牝豚に氷の魔女なんて二つ名は勿体ないね。
よし。 これからしばらく私の怒りが収まるまで、お前の名は欲情魔人ガンバーンだ!!」
……「と、まあこんな具合に欲情魔人ガンバーンは誕生、ちょっとちょっと」
事情がわかり呆れてその場を後にしようとしたジュンジュンを呼び止めるマルシェ。
「ジュンジュンを捕まえるんだ。 行け、ガンバーン!!」
しかしジュンジュンに対してしかけることはなく、手がわなわなと震えだした。
やがて震える手は岩山の被り物に伸びた。
そして頭に結び付けていたベルトを解き外した被り物を、床に叩きつけた。
「いい加減にしてくれ。 こんなふざけた被り物をつけてやってられるか!」
ミティの心からの叫びを聞いたマルシェの体に電流が走った。
「そ、そんなにイヤだったの。 ガンバーンがそんなにイヤだったの」
「うっせー、ガンバーン言うな。 アタシにだってプライドっつーもんがあるだろうが。 それをテメー」
「知らなかった。 美貴ちゃんは気に入ってくれてるとばかり思ってた」
己の不明さを遅まきながら恥じるマルシェだった。
「何、その根拠のない自信。 イヤっていったらイヤなの!」
「そうだね。 美貴ちゃんがそこまで言うんならしょうがないね」
心から悔いているマルシェの様子に魔女も少し落ち着きを取り戻した。
「わかってくれたのか」
「ああ、もうガンバーンなんて呼ばない。
美貴ちゃんは、たった今から……合体魔人エキベーンとし、」
「言わせねえよ。 何その蔑称。 アタシそこまでされるほど酷いことした?」
流石に色をなした魔女だった。
何を得心したのかジュンジュンが頷いている。
「岩盤浴で合体したからガンバーンにエキベーンっていうんだな」
「アホか、お前。 何その規制に帰省で過疎ってるからってばかりに好きほうだい。
イイか、書き込めなくたってスレを開いてる奴は開いてるんだぞ。
過去ログは残るんだぞ。 よく考えてモノを言わないと数少ない女性の住人が愛想つかして逃げてってスレが終わっちまうぞ」
アタシがスレの存続のことまで気を遣うなんておかしくなくね、と思いながら必死で流れをシリアスに変える算段をする魔女だったが、その意気込みに水をかけたのは僚友のこんな一言だった。
「大丈夫、美貴ちゃん。 狼の女住人なんて大体変態だから」
魔女の心の中でブチッと何かが切れる音がした。
体中が怒りに打ち震え、闇のオーラが周囲を威圧する。
グシャリと音がした。
ガンバーンの被り物が踏み潰された音だ。
「やってやる! やってやるよ!! どいつもこいつも気に喰わねえ。 やってやるよ」
その怒りの矛先はジュンジュンに向けられる。
「お前がそういうつもりだったら、わたしもそれなりの覚悟が必要だな」
手にしていた買い物カゴを傍らに置くと、着ていたロングコートを空のカートに引っかける。
ごるるるるる・・・・
獣の気配が香った。
以上「狂犬は晦日に吼える」の前編ですかね
とりあえずここで力尽きました
大晦日に攻めますねえw
この作品で年を跨ごうとする心意気に痺れました
そしてこのスレはやっぱりまだまだ続くと確信しました
それはそれとして50話にして初めて思いました
マルシェうぜぇw
これはひどいw
でも素晴らしいww
おもしれえw
何気にレベルたけぇ
リゾスレの皆さん来年もよいお年を
ことよろですよ?
リゾナンタークライシス作者ら今年も作品製作をするとともにリゾスレのさらなる発展を願います。
明けましたね、そしてかなり軽い作品が
転がってきたみたいですね(笑)
よいお年をー。
明けましておめれとー!みんなさん今年もよろしく!!!
作者のみなさまホゼナンターのみなさま今年もよろしく
>>821です
とりあえず続きを上げますね。
数メートルの隔たりの向こうから獣の気配が伝わってくる。
いいな、戦いはやっぱりいい。
チカラを解き放ったジュンジュン、いや李純から発せられる獣の気配がミティの肌をちくちくと刺激する。
戦いはいい、戦ってるときだけアタシは生きている。
ロングコートを脱ぎ捨てたジュンジュンは、僅かばかり前傾姿勢をとり両手をこちらに向け身構えている。
感覚が研ぎ澄まされてきているのか、周囲を油断無く見回している。
やがてその手が身につけていた黒のファーを使ったセーターの裾にかかると、くるくるとたくし上げていこうとする。
「ちょwwwwおま、何するつもりだ」
店内で素肌を晒そうとするジュンジュンを慌てて制止するミティ。
「何をするつもりだって? 獣化する為に服を脱ごうとしてるんじゃないか」
心外そうな答えが返ってきた。
「服を着たままで獣化したら服が破れる。 コート1枚羽織るだけじゃ帰り道寒くてジュンジュン風邪ひく、それ困る」
「えっ、何その妙に細かいリアルな設定。 何かあるだろうが。
腕時計型のデバイスがなあ、獣化で破れた服を吸収して、人間態に戻るときに再生するとかだなあ」
獣化へのプロセスを一旦止めたジュンジュンは大きな溜息を吐く。
「そんな便利なものないダ。 いつもは着替えのジャージくらいは持ち歩いてるけどナ。
でも今日は買出しで荷物が一杯になるだろうし、いくらなんだってこんな日にお前らが襲ってくるとは思わなかったからな」
「いやアタシだって大晦日は部屋でゆっくりしようと思ってたんだ。 それをあいつが」
このどうしようもないグダグダな事態を引き起こした張本人である悪の天才科学者ドクターマルシェはというと…。
口をモグモグと動かしている。
「おいお前、何してるんだ。 まさかレジで清算する前の商品に手をつけたんじゃ」
悪の組織の幹部の言うことじゃないなという思いを抱きながら、僚友の暴挙を諌めようとした。
「私がそんなことをするはずないでしょ。 試食よ試食。
でもグズグズしてたら本当にお店の商品を食べちゃうかもね」
だから、さっさとケリを付けろと促がすマルシェ。
「でもジュンジュンには絶対怪我をさせちゃダメよ。 もしも怪我をさせたらその時は…」
わかってるよねと己の掌を握ったり開いたりする。
魔女の頬に数時間前の痛みが甦る。
「というわけなんで、さっさとケリを付けようや」
ジュンジュンに戦闘を促がす声にはどこか気まずそうな響きがあった。
「だから私は獣化しようとしてたのに、お前が止めたんだ」
「いや、あれは老若男女の前でストリップをしようとしてるところを止めたんだ」
だから服を着たままで獣化しちまえよという魔女の思いはジュンジュンには届かなかった。
「服が破れるのは困る。 新しい服を買う。 お金がいる。 ジュンジュン、リンリンみたいにお金持ちじゃない。
一体これまでにいくらお金を使ったと思う。 ジュンジュンお前らダークネスには負ける気がしないけど、貧しさには負けそうダ」
「らめぇぇぇ~」
思わず声が裏返っている。
相変わらず床に倒れたままの戦闘員たちは、その声を聞くと悪寒が走ったのかブルっと震えた。
「お前の事情はよくわかった。が、嫁入り前の娘がこんなところであられもない姿を晒すもんじゃねえ」
一体私は何をこんな必死こいてるんだという思いはある。
だが単身異国に渡ってきた妙齢の女が恥を晒すのを放って置けないという思いのほうが強かった。
「出すから。 お前の服の代金ぐらいアタシが出してやるから。 ほれっ」
と言って胸元から取り出したのはクレジットカード。 色はゴールドだ。
「何なら二三枚買ってやるから、ここで全ストはやめろ。
さっさと服着たまま獣化しろ。 そして戦いをさっさと終わらせてだなあ」
「ちょっと、ジュンジュンはアジトに連れてってもふもふするの~」
「まぜっかえすんじゃねえぞお前。 あんまりいい気になってると…飯田さんを呼ぶぞ」
飯田さんという名前を聞いたマルシェの様子が俄かにおかしくなった。
不自然な笑い、脂汗、髪をかきむしり、己の頬を両掌で歪めながらわけの判らないことを言い出した。
「違いますよ。 私はダークネスのドクターマルシェなんかじゃありませんよ!」
少々騒がしくなったが、大人しくなった僚友を尻目にミティは厳かに言った。
「さあ、戦いを始めようじゃないか」
仄かな笑みを浮かべていた。
「お前…いいやつだな。 でもダメだ。 このセーターは高橋さんに買いに連れてってもらったんだ。
他のものじゃ換えられない大切なものだ。 だから…」
「この分からず屋が! そんなに服を脱ぎたいのか。 いや服を守る為に、肌を晒そうっていうのか」
「ああ」
「お前がその気ならアタシにだって考えがある」
魔女が怒っているのは自分の説得が実らなかったからか、それともこんな間抜けな話に登場しなければいけないことへの怒りか。
「戦闘員全員集合! 倒れてる奴も全員復活!!」
魔女の号令と共に店内から戦闘員が駆けつけてきた。
お前らその黒タイツで何処にいたんだとか思ったら負けだ。
ジュンジュンの拳で倒された戦闘員も、駆けつけてきた戦闘員の手を借りて起き出している。
「一対一で決着をつけるものだと思ってたのにな。 いい奴だとおもったけどやっぱり悪ダ
さすがは男に狂って仲間を裏切った奴はやることが違う」
「狂ってへんわって裏切ってへんわ。 何またこれ蒸し返すの。 今お前が言った瞬間ドキが胸胸したわ」
「美貴ちゃん、日本語は正確に。 胸がドキドキだから」
妙に日本語に厳格なマルシェだった。
「もうテメーは黙ってろ。 そして戦闘員どもジュンジュンを囲め。 蟻の這い出る隙間もないほどにな」
「イィー」 と口にしながらジュンジュンを包囲した。
一人でさえ異様な黒タイツの男が群れを成す姿を目にした一般の買い物客はすごすごと店を後にする。
「よし、囲んだか」
「イィィィー」(×30)
「イー言うな」
自分の威厳を目の当たりにして気を良くしたミティは次なる号令を下した。
「全員その場で回れ右!!」
敵を目の前にして背を向けろという命令に一瞬自分の耳を疑った戦闘員たち。
しかしその命令を下したのは、強きを助け弱きは挫く氷の魔女だ。
逆らってはどんな恐ろしい目に遭うものかわかったものではない。
いや、この女が恐ろしい目に遭わせるのだ。
「イィィー」(×30)
一斉に180度向きを換える戦闘員たち。
かくしてジュンジュンを軸に黒タイツの戦闘員の円陣が完成した。
「お前なんのつもりだ」
自分を囲んだ戦闘員に背を向けさせた魔女の真意が読めず戸惑うジュンジュンに魔女は告げた。
「これで店の一般客からも戦闘員どもからもお前の姿は見えない。 だからさっさと服脱いで獣化しちまいな」
ジュンジュンが感動を隠し切れないようだ。
「でも私はそういうの意外と平気だけどな」
「うるせえ、悪の組織の幹部にイイ人言うな。 さっさと獣化しちまえ。 やっつけてやっからよぉ」
店内の喧騒の中で、その一角だけは静まり返っていた。
ジュンジュンがセーターを脱いでいるのだろうか。
毛糸同士が触れ合って柔らかな音がする。
ジーンズのホックを外す音がする。
その気配に間近で触れている戦闘員たちの目が血走っている。
自分の背後でジュンジュンが生まれたままの姿に。
振り返れば純度100パーセントのジュンジュンの姿が拝める。
邪なしかし健康な男としては至極全うな欲望が戦闘員たちに芽生え始めている。
しかしその欲望に水をかけているのは、魔女の険しい表情だった。
お前たち、わかってるだろうな
魔女の命令に背けばどんな恐ろしい目に遭うか。
それは判ってる。
しか男には負けると判っていても、心臓の鼓動が止まるその時まで戦い続けなければならない時があるのではないか。
今がその時ではないか。
魔女に背いて恐ろしい目に遭うことの後悔とジュンジュンのジュンジュンを目の当たりにする絶好の機会を逃すことの後悔。
二つの後悔を乗せた天秤ばかりは大きく揺れ動いている。
死の恐怖と性の欲望。
エロスとタナトスの狭間で揺れ動く戦闘員たちを獣の気配が襲う。
ごるるるるるる・・・
>>840-845
「狂犬は晦日に吼える」
急に年始に出かけなくちゃいけなくなったんでとりあえずここまで
決着は今日の夜か明日中にはw
キレイに年跨ぎやがったw
いやマジ最高です
獣化するしない服脱ぐ脱がないだけでこんだけおもしろく引っ張れるものかとw
過去作品からの小ネタ具合も素敵です
決着を楽しみにしてます
いいねえ
>他のものじゃ換えられない大切なものだ。 だから…」
>この分からず屋が! そんなに服を脱ぎたいのか。 いや服を守る為に、肌を晒そうっていうのか
このくだり物凄くいい話になりかけたのを一瞬で引き戻す間抜けな問答がいいや
お年玉として決着編を待ってます
でもミティはそれがあってこそ活きてるようなものだし…w
ジュンジュン良いなぁ~
http://aewen.com/momusu/li/img/aewen2238.jpg
>>812-820
>>840-845の続きをば
【注意書き】
長い
面白くはない
ハロプロ以外のアイドルグループのメンバーの名前というかニックネームが登場しますが一切他意はありませんっていうか写真集持ってるしw
獣化したジュンジュンが来るぞ。
パンダという愛らしい響きとは名ばかり。
黒と白。 陰と陽。 闇と光。
己の中の闇の獣性を白く輝く理性で抑えた大熊猫が襲ってくるぞ。
爪で切り裂かれ、牙で噛みつかれる。
早く戦闘態勢をとらなければと思うが、眼前の魔女は何の命令も下さない。
このままじゃやられちまう。
だが、しかし、それはそれでよいのではないか。
パンダの姿とはいえジュンジュンの素手で、ジュンジュンの口で己が体を責め苛まれるならばそれはそれでよいのではないか。
日本男子として生まれた本懐をここに遂げるのではないか。
よしっ、判ったジュンジュン。
おいで、優しくしてなんて言わないよ。
激しく責めておくれ。
そして、オジサンを食べて。
戦闘員のキモ過ぎる妄想は魔女の声で破られた。
「おい、お前どうしたんだ」
ジュンジュンの嗚咽が聞こえる。
「変われない。 獣化できない。お腹が空いたんだ。 このスーパーで夕食代わりに何か買って帰ろうと思ってたんだ。 それなにのお前らが」
クシュン、という可愛らしい音がした。
「あわわ、待ってろ。 今何か力が付くもの持って来てやるからな」
そう言い捨てると魔女はその場を後にしようとした。
だが何か思い出したのか、黒タイツの円陣に向かって声をかけた。
もし振り返ったら…判ってるな。 アタシの拳は痛いぞ、とてつもなく痛いぞ。
それとお前、中国。 お前強いから大丈夫だとは思うけど、もしもこいつら三級戦闘員どもが変な真似をしたらアタシに言うんだ」
判ったな、と円陣の内外に声を駆けて足早に去っていく。
判ってはいる。
あの魔女の拳がとてつもなく判ってる。
リゾナンターとの戦いに敗れた八つ当たりで何回殴られたことか。
粛清に名を借りた私的制裁を何回喰らったことか。
判ってる、あの女の拳の痛さは身にしみて判ってる。
だが、しかしここで大人しく魔女の命令を守ってジュンジュンの裸身を人目に触れないように守り続けていていいのか。
俺は一体何の為に悪の組織に身を投じたのか。
いいのか、俺。
世の中の常識とかルールとか壊したいから悪の組織に入ったんじゃないのか、俺。
なのに今こうして組織の中の秩序を守らされて、そんなんでいいのか、俺。
あの時に抱いた志は何処に行ったんだ俺。
三級戦闘員ッたって、悪は悪。
見ちゃえよ。
魔女の言うことなんか無視して見ちゃえよ、俺。
わかるもんか、ちょっとぐらい。
どうせ黒タイツに紛れて誰が見たのか判りはしないんだ。
だから、見ちゃうよ、俺。
ジュンジュンの裸を見ちゃうよ、俺。
戦闘員の一人が悪魔の囁きに負け振り返ろうとした。 しかし次の瞬間、彼の心臓は止まった。
「フーン、アタシの命令を無視するなんてお前いい根性してるな」
魔女が立っていた。
バナナの房を抱えた魔女がそこに立っていた。
走ってきたのか、息を切らしている。
不埒な戦闘員は必死で弁解しようとするも、魔女の鉄拳制裁に恐れをなして、言葉にならなかった。
「…まあ、いい。 未遂に終わったから許してやる。 但し今回だけだけどな」
戦闘員に拳を食らわして、ジュンジュンが人目に触れることを防いでいる円陣が崩壊することを恐れたミティは穏便に済ませた。
そして、ほらよっとバナナをエンジンの中に投げ入れる。
「これで力つけてさっさと獣化しな。 そしてさっさと終わらせようぜ」
激励の言葉をかけたが、反応は返って来なかった。
「おい、どうしたんだ、おい。 中国、どうしたんだ」
「中国言うな」
ジュンジュンの声が漸く聞こえた。
「お前の気持ちはありがたい。 本当に嬉しい。 でも…」
「でも、何だ。 言ってみろ。 お姉さんに言ってみろ」
口ごもったジュンジュンにその先を促がした。
「ジュンジュン、バナナはそんなに好きじゃない」
「えぇぇぇっ」
予想だにしなかった言葉にミティが驚きの声を漏らす。
いっぺんに七本ぐらい平気で食べてたし。 今でも好きダ。 でもそこまでバナナ、バナナっていうほど好きじゃない」
真実を吐露するジュンジュンに悪の天才科学者が賛同の意を示す。
「そうよねえ。 一度パブリックイメージが付いちゃうと中々そこから抜け出せないのよねえ。
私だって、そんなにお芋、お芋ってがっついてるわけじゃないし」
「お前は芋掘りでもしとけ」
訳知り顔の科学者を一喝した魔女は、ジュンジュンに尋ねた。
「なら、お前今何が一番食いたいんだ。 何食えば獣化できるんだ」
「いや、折角お前が買ってきてくれたんだ。 何とかこれを喰って頑張ってみるダ」
ミティの好意を無にしまいと、皮をむいたバナナを口に入れていくジュンジュンだったが、あまり食は進まないようだ。
「老婆心ながら、科学的見地から意見を言わせて貰おうか」
白衣のポケットに右手を突っ込み、出来る女を気取ったマルシェが話し始めた。
「確かに美貴ちゃんが持ってきたバナナ。 これには吸収されやすくエネルギー源になるブドウ糖が含まれている。
だからエネルギー源の補給としては申し分ない。 だけど今ジュンジュンが獣化できないのはむしろ動物性たんぱく質が足りていないからじゃないかな」
「動物性たんぱく質って肉のことか」
訝しげな表情で問い返すミティに頷きながら、マルシェは続ける。
「人間の姿のジュンジュンとパンダ態のジュンジュン。 この二つは同一のものだ。 なのに容積は明らかに違う。
これはパンダ態のジュンジュンが人間の姿に戻る際に、その筋肉や骨格を凝縮してるからだと思うんだ。 だけど… 」
長々と学術的な講釈を聞かされては大変だとばかりに結論を求めるミティ。
自分の見せ場を奪われたマルシェは不満そうな様子だ。
「ああ、だけどこれはあくまで一つの仮説であって…」
「ちょーお前とお前とお前、アタシについて来い」
ジュンジュンを囲む戦闘員の人垣の中で分厚い部分から三人ばかりを抜き出した。
そして彼らを誘って店内のある場所に向かった。
そこは冷凍食品売り場だった。
肉売り場に直行することも考えた魔女だったが、敢えて冷凍食品売り場に向かったのは、セコいからではない。
…やっぱりあった。
冷凍食品売り場にはワゴンが並べられ、その上に置かれたホットプレートの上では試食用に様々な冷凍食品が調理されていた。
…生肉食わすわけにはいかねえしな。 それに腹を膨らますには冷凍食品で十分だ。
ホットプレートで調理してるパートの女性に向かってミティは言った。
「この棚の商品はアタシが貰ったよ」
恰幅のいいパートの女性は、突然の成り行きに戸惑いながらも、毎度ありがとうございますと言った。
営業スマイルも欠かさない。
ミティはというと山盛りになったカートをレジまで運ぶよう戦闘員二名に命じた。
支払い用にゴールドカードを手渡す。
レジを通したらこっちまで戻って来るんだと念を押しながら。
そして、試食担当のパート社員に確認した。
ワゴンの上には解凍用のレンジや湯を張った容器に混じって、様々な商品が置いてあった。
パートの女性が、ええと頷くと間髪入れずに言った。
「あれだけの商品を買ったんだ。 そいつもアタシが貰うぜ。 それとさっきの商品もこっちで焼かせてもらうから」
言うなり開きかけのデミグラスハンバーグやサイコロステーキをホットプレートの上にぶちまけようとした。
しかしそれを阻むものがあった。
それは怒りに打ち震えたパートの女性の腕だった。
「ちょっと、お客様。 勝手な真似をされては困ります」
客に対する礼儀をわきまえながらも、無法は絶対に許さないという強い意志を覗かせていた。
「いいじゃんかよ。 いっぺんにあれだけの商品を買ってやったんだからケチケチすんなよ」
「それはまことにありがとうございます。 でも困るんです」
「それはレジを通したモノをもう一度店内に持ち込んで焼くのはマズイかもしんない。 でも腹を空かせて動けないヤツがいるんだ」
「それも確かに困りますが、ちゃんとレジを通していただいたのなら目を瞑ってここをお貸しします。
私が言ってるのは今あなたがなさろうとしていることでございます」
「なさろうって、アタシはただ肉を焼こうとしてるだけじゃないかよ」
融通の利かないババア!!という思いを視線に込めて視殺しようとしたミティだったが、そこは海千山千のパートのオバハン。
全く動じることがなかった。
「よく見てください。 そのホットプレート。 商品ごとに使うものが決まってるんですよ」
よく見ると鉄板の形状も平坦なものや、溝つきのものがある。
その上で調理されている商品も違うようだった。
「いいじゃんか、そんなに細かいこと言わなくたってよぉ。 どうせ肉なんて焼いて食っちゃえば同じヒィィィィ」
気がつけばパートの女性の掌がミティの頬を打っていた。
「な、何すんだ、オバハヒィィィ」
「何すんだって? それは私のセリフだよ。 あんた、一体何て言った」
「だから肉なんて焼いて食っちゃえば同じヒィィィィ」
「それは違う。 あんたとんでもない思い違いをしてるよ」
怒りのあまり語気を乱しながら、それでも懸命に冷静さを取り戻そうと努めている。
そして深く息を吸い込むと話し始めた。
「あんたそもそも牛や豚や鶏は人間に食べられる為に生まれてきたと思ってるんじゃないか」
いえ、流石にそこまではと反論しようとしたミティだったが、女性の腕がビクっと動いたのを見て反射的に黙ってしまった。
「それは確かに食肉用の家畜として育てられている動物が私たちの口に入る。 それは事実だよ。
でもね、そうして育てられている牛や豚や鶏が自分たちは人間に食べられるのが一番の幸せだなんて思ってると思ってるのかい、あんた」
「ええとですね、それはやっぱり」
慎重に言葉を選んで返事しようとしたミティの気持ちを知ってか知らずか、パートの女性は話し出した。
だったら長々と言うなよ、オバハンと知らず知らずのうちに呟いていたようだ。
女性の顔が再び険しくなっている。
ミティは慌てた。
「そうでしょうとも、そうでしょうとも」
女性の機嫌をとろうと無意識の内に揉み手まで始めている。
気を良くしたのか女性は話を続ける。
「でもね、肉牛だって生き物なんだ。 養鶏場の鶏だって生き物なんだ。 みんな生きたいって思ってる筈なんだ。
いや家畜たちはそんなことは思ってはいないかもしれない。 ただ生存本能に従って生きているだけなのかもしれない。
そんな動物たちを食べて私たちは生きている。 私たちは動物の命を頂いて生きてるんだ。 罪深いことにね。
だったら私たちは出来るだけ無駄なく命を頂かなくてはいけないんだ。 できるだけ美味しくいただかなきゃいけないんだ」
これは拷問だ。
早く解放されたいと思っていたミティは、そうだろうと同意を求めるパートの女性に頷いていた。
「ええ、そうですね」
「だったらこのホットプレートをご覧。 ハンバーグみたいにソースを素材に浸み込ませるのが目的のもの。
サイコロステーキのように肉の香りを出切るだけそのまま生かしたいもの。 その商品ごとに使い分けてるんだ、それをアンタは…」
「すいません、すいません」
ここは取り合えず頭を下げといたほうが勝ちだ。
そんなミティを見つめながらパートの女性は頭に乗せていた紙製のキャップを外し、エプロンの紐を解いた。
??狐につままれたような思いで女性を見つめるミティ。
その声は先ほどまでとは違って、消え入りそうなぐらいにか細かった。
「…でもあんたたちジャンクフード世代にはこんなオバサンの考えは古すぎるよね」
慌てて首を振るミティの手を自分の手で包みながら話しかける。
「頬をぶってゴメンよ。 お客様に手を上げるなんて販売員失格だね。 でも、私の言ったこと覚えていてくれると嬉しいな。
そしていつかあんたが結婚して旦那さんの為に、子どもさんの為に料理を作るときに思い出しておくれ」
言い終わると背を向けて去ろうとする。
「ちょっと、ちょっと何処へ行くのさ」
「老兵は死なず、ただ去り行くのみってね。 そのホットプレートはあんたに譲るよ。 あんたの好きなように使いな」
「悪かった。 アタシが悪かった。 だから考え直してくれ。 去るとかそんな寂しいことは言わないでくれ」
気がつけば周りの目も気にせず、床に膝をつき土下座をしていた。
「でも、私はあんたを殴ってしまった。 お客様に手を上げてしまった。 そんな私がこのまま」
「有りがたかったよ。 まるで母ちゃんや祖母ちゃんに説教されてるみたいで、身に染みたよ。 だから止めるなんて言わないでくれったら」
ミティの懇願を聞いた女性はニコっと笑った。
その口には金歯が光っていた。
そして紙のキャップとエプロンを付け直すと、服の袖を捲り上げて気合を入れた。
女性の二の腕は、ミティの胴体と同じくらいの太さだった。
「何を焼けばいいんだい。 オバさんが腕によりをかけて焼いてやるよ」
商品の解凍や調理を手伝った為に、自慢の漆黒のドレスは湯せん用の湯や肉汁で濡れていたが、そんなことは気にもならなかった。
あいつら、マルシェやジュンジュン、戦闘員どもは何処に行ったんだ。
彼らが待っているはずの場所には誰もいなかったのだ。
まさか、帰っちまったってことは無いだろうが。
そう思いながらそれなりに広い店内を探索したミティは見覚えのある黒タイツの集団を見つけた。
奴等は弁当や寿司の販売コーナーの前に群がっていた。
カッとなったミティは罵声を浴びせながら、そちらに向かった。
「テメーら、勝手に姿を消しやがってどういう了見だ、一体。 マルシェや中国はどこに行った」
戦闘員は黙ってある方向を指差した。
弁当コーナーの奥には厨房があって、ガラス越しに見えるような構造になっている。
その厨房の中にジュンジュンとマルシェがいた。
何やら楽しげに話している。
あいつら、人が散々…。
腹立たしく思いながら厨房への入り口を探したミティは金属製で観音開きのドアを蹴り開けた。
!!そこには肉の壁が立っていた。
「お、お前は一体」
「お客様、困りますね。 厨房への立ち入りは禁止させていただいてるんですが」
調理用の白衣を身に着けた男が目の前に立ちはだかっていた。
その横幅はミティの視界の半ばを隠すぐらいに広かった。
要するにデブっていた。
腕がトレイで塞がっていなければ、こんなうすらデブ吹っ飛ばしてやるんだけどな。
先刻からの受難の数々がミティの視線を狂犬のそれにしていた。
しかし、当の白衣の男はといえば、勇敢なのか鈍感なのか、ミティの要求を鼻で笑った。
「ああ、あの人たちね。 マルシェさんはフランス人。 ジュンジュンさんは中国の方。
詳しい事情は知らないが、当店の厨房を見学されたいとおっしゃってね。 二人とも礼儀をわきまえた人だよ」
あんたみたいなアバズレとは違ってなという侮蔑を言外に滲ませている。
「だ~か~ら、アタシはあの二人に用があるんだって。 だから行かせろよ」
このアタシに何度同じこと言わせるんだ。 声も険しいものになっている。
「この厨房に入るには衛生管理の為に従ってもらわなければならない規則があるんだ」
男が指差した壁を見ると、そこには手洗いから始まって、異物混入防止用の粘着ローラーの使用や靴の履き替えなど様々な事項が並んでい
た。
「マルシェさんは最初から白衣を持参してこられたし、ジュンジュンさんには見学者用の使い捨てのコートを着てもらっている。
二人の頭には髪の毛混入帽子の為のヘアキャップまで付けてもらった。 厨房に入るにはそこまでしてもらわなきゃね」
理不尽な怒りがミティを侵し始めていた。
しかしそれでも必死に堪えて、男に言った。
「だったら、ヘアキャップと見学者用のコートを出せよ。 着てやるから」
このア・タ・シ・がな!!
「それが生憎と見学者用のコートの在庫は切れちゃっていてね」
「最後に確認しておく。 このアタシをどうあっても厨房の中へは行かせないっていうんだな」
「くどいな、あんたも。 例え誰でも衛生規則は守ってもらう。 いやっ」
男の様子が少しだけ変わった。
「いやっ、一人だけ例外がいるな。 そんなことは有り得ないけど、もしあんたがまゆゆだったらノーチェックで厨房に入ってもいいよ。
だって、だって、まゆゆは人間じゃなくてCGなんだから。 あのカワイさ現実なんかじゃありえな~~い」
ミティの右足が躍った。
後頭部を刈られた男はそのまま前のめりに倒れた。
腹がクッションになって幸いにも頭が床に直撃するという事態は避けられた。
「地下に戻りやがれ、このアケカスヲタが!!」
失神した男に吐き捨てると、厨房のへの二重扉を蹴破ろうとした。
しかしその努力は空振りに終わった。
扉が向こうから勢いよく開かれたからだ。
「おわっ」
飛びずさって扉の直撃は避けたものの、手にしたトレイからダメ押しとばかりに肉汁を浴びてしまった。
怒る気力もなく扉を開いた方を見やると、そこにはやがりというべきか満面の笑みを浮かべたマルシェがいた。
「オメーな・・」
力なく話しかけるミティに対して、マルシェは上機嫌そのものだった。
「美貴ちゃん、遅かったねえ。 一体何処へ行っていたのさ」
「あんまり美貴ちゃんが戻ってこないから、ジュンジュンに餃子の包み方を教わっちゃったよ」
「へっ」
あまりのことに気が抜けてしまったミティが二重扉のガラス窓越しに厨房の中を眺めたら、餃子を並べているジュンジュンの姿が目に入った。
「いやあ、流石にジュンジュンは本場仕込みだねえ。 手際が違うねえ。 たかが餃子つくりとはいえ奥が深いねえ」
そんな言葉を口にしながら、マルシェの手は餃子の餡を皮で包む作業を再現している。
「有意義な時間だった。 この餃子の包み作業を機械でどこまで再現できるか。 これは実にやりがいのある研究テーマだねえ」
「お前、ジュンジュンの毛皮でもふもふはどうな…」
「ああそういえばそんなことも言ったっけね。 でも残念ながら新しい研究テーマが出来たことだし、暫くは研究室に泊り込みだから」
だから、もふもふはお預けだね、と言いながら足早にマルシェは去っていった。 少しでも早く研究室に戻りたいようだ。
「どうすんだよ。 こんなに焼いちまったのによ」
頼りない足取りで厨房に入っミティにジュンジュンは優しく微笑んだ。
「悪かったな。 でも早く餃子を作ってリゾナントに持って行ってやりたかったから。 ところで私たち…」
戦うのか、というジュンジュンの言葉にミティは力なく首を振った。
「とてもじゃないが、そんな気にはなれないし。 こっちの方こそ悪かったな。 足止めしちゃってよ」
「いや、リゾナントの皆とは違うけど、騒がしくてたのしかったぞ」
力なく調理済みの冷凍食品が山積みのトレイを調理台に置いた。
「それ、そんなにどうしたんダ」
「まあ、色々とあってな」
と言いながらジュンジュンの前に押しやる。
「良けりゃこれ持って帰るか」
「ありがたい、でも餃子も調子に乗ってたくさん作ったしこんなには持って帰れないな」
ああ…と力なく呟くミティを見ながらジュンジュンは言った。
「私にいい考えがある。 こんな時はわけわけするんだ」
そう言いながら菜箸を使って、ハンバーグや唐揚げ、サイコロステーキに餃子を器用に取り分けていく。
「私の餃子は美味しい。 自分で言うのもなんだけどな。
でもリゾナントには肉好きがそろってる。 餃子ばかりでも飽きられる。 だからこの料理みんな喜ぶと思う」
ありがとう、と言いながら持参のタッパーに取り分けた料理を入れるとその一つをミティに差し出した。
「ほら、フライパンぐらいあるんだろ。 少しぐらい焦げたって上手いぞ」
「えっ」
ジュンジュンの好意に驚いてしまった。
帰り支度を整えながらジュンジュンは話しかける。
「わたし日本に来たばかりのころ、だれかと何かを分けたりだれかに何かをおくったりすることなんて頭になかった。
自分のものは自分のもの。 そう思ってた。 だからバナナとか、ペットボトルとかリゾナントの冷蔵庫に入れさせてもらう時自分の名前を書いてた」
恥ずかしげな笑みを浮かべている。
「ある日冷蔵庫に入れてたわたしのバナナが無くなったことがあったんだ。 許せなかった。
人のものを盗むなんて泥棒だ。 そんなやつは仲間じゃないと思った。 でもわたし違ってた。
わたしのバナナを盗ったのは光井さんだった。 でもそれはわたしの誕生日にバナナケーキを作ってくれるためだったんだ。
手作りのケーキなんて初めてプレゼントに貰ったよ。 とても美味しかったし嬉しかった。 そのときからわたし少しずつ変わってった」
「おい…」
ジュンジュンの思いがけない独白は魔女を戸惑わせてしまう。 これ以上聞いてはいけないんじゃないかと。
「うれしいな。 だれかに何かをあげるの。 その人が笑ってくれるのがとても幸せなんだ。私の作った餃子を美味しいと言ってくれる。
とても幸せだ。 8つの笑顔は何よりも大切な宝物。 いや、知らない間に笑ってる私の顔も入れたら9つの宝物」
荷物をまとめたジュンジュンはミティに頭を下げた。
「だから今日もこんな風にわけわけできたの、ジュンジュンとても幸せダ」
「なあ、おい」
厨房を後にしようとするジュンジュンを呼び止めた。
「悪の組織の人間がこんなことを言うのはおかしいが…」
言葉が続かない。
これ以上足止めするわけにはいかない。
言葉を振り絞る。
「氷の魔女と呼ばれたアタシが言えた義理じゃないけど、良いお年を」
ジュンジュンの顔がほころんだ。
「ああ、あんたもな」
ジュンジュンは去っていった。
どっと疲れが来たミティは近くにあったパイプ椅子に腰を下ろした。
何か疲れたねえ、一人たそがれているとガヤガヤと騒がしい声がする。
「イ、イィィー(ミティ様、第二弾焼けました)」
「イィィー(第三弾も間もなく)」
あちゃー、思わず額を押さえてしまった。
大量に買い占めた冷凍食品を一度に調理することは出来なかったのだ。
だからとりあえず第一弾を自分が持ってきて、後は追々戦闘員たちに持ってくるよう命じていたのだった。
今更返品するってわけにはいかないしねえ。
人のよさそうな販売員のオバハンの顔が思い浮かぶ。
「そいつは持って帰ってお前らが食っていい。 ここにジュンジュンの手作りの餃子もある」
冷酷な魔女から飛び出した予想外な言葉に驚いたのか戦闘員たちが固まってしまっている。
え、ここ感激するところじゃないの。 何この戦闘員たちバカなの。
「アタシのおごりだ。 ビールも買ってけや。 しけたアジトでしけた顔ぶれで新年会としゃれ込もうや」
但し、ビールは最初の一本だけで後は発泡酒な、という魔女の念押しは戦闘員の歓声にかき消された。
「イーーーッ!!(ミティ様万歳!!)」
「キィィーーッ(ミティ様に幸あれ)」
「イィィーー!(ミティ様は巨乳!)」
口々に囃し立てて料理を掲げて去っていった。
ミティはというと一人寒々とした厨房に残っている。
なあジュンジュン、いや李純さんよお。
テメーの言ったことはとんだ嘘っぱちじゃねえか。
あいつらにくれてやったって、アタシ何にも嬉しくないんですけど。
そう呟くミティの顔には何ともいえない笑みが浮かんでいた。
まあこれにて一件落着ってことで、と厨房を後にしようとしたミティだが、足元を何かにすくわれてつんのめってしまった。
転倒は避けたものの、カッとしたミティの目の先には肉の塊りがいた。
「許せな~い。 何であんなにカワイイまゆゆが5位なんだ。 大手プロダクションの陰謀だ。 許せない」
ミティに衛生管理を説いた白衣の男がそこにいた。
手には異物混入防止用の粘着ローラーを手にしていた。
「オメー」
噛み付こうとしたミティだったが、男の只ならぬ様子に言葉を失ってしまった。
粘着ローラーを手に男が迫る。
「許せないんだ。 衛生管理の規則を破っていけないんだ」
ブヨブヨに膨れあがった身体だ。
「この粘着ローラーでコロコロしなくちゃいけないんだ」
戦えば勝つことは判りきっている。
「コロコロするのは僕の役目なんだよ」
でもアタシの腹の底から湧きあがってくるもの、それは
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
何年ぶりか、あるいは生まれて初めての悲鳴を上げたミティが過去最大の危機をどうやって逃れたかはまた別の話だ。
戦闘員に預けたゴールドカードで散在をされてしまったミティがその支払い金額に目を剥いたのは少し後の話になる。
>>812-820
>>840-845
>>856-873
「狂犬は晦日に吼える」でした
まさかの年越えすまんかった
長々のスレ占拠すまんかった
ちなみにバナナケーキのエピソードはかなしみさんの予告編から頂いております
準備してたのに脱がなくて済んだにゃん…
http://aewen.com/momusu/li/img/aewen2135.jpg
川´・_o・)<しかしまゆゆってのはナンダおまい… 食うぞ?
長いわw
しかし笑いと涙が詰まった力作乙でした
ミティ様大好きという気持ちがこの上なく伝わってくる力作でした
終始どこまでも魅力的に描かれてますねえ
川´・_o・)<しかしほんと好きダナお前
それはそれとして懐かしいかなしみさんエピソードや現在の現実のエピソードが混ざり合っていて胸にきました
色んな形の絆の描き方があるんだなと改めて思いました
すごいスレやでほんま!
年末に・・・そして年始からいいもの読ませていただきました
めちゃくちゃなのになんかイイ話だ
>パンダの姿とはいえジュンジュンの素手で、ジュンジュンの口で己が体を責め苛まれるならばそれはそれでよいのではないか。
日本男子として生まれた本懐をここに遂げるのではないか。
ジュンジュンヲタとしてよくわかるw
笑ったり泣いたり感情のジェットコースターに乗ってるみたいだった
見せ場満載の作品だけど最後のジュンジュンとミティのやりとりが好き
そのあとでミティが戦闘員たちに粋な計らいをするところも
とにかく大作乙でした
笑わせて泣かせて凄いな!
この作者に小劇場の脚本書いて欲しいわ
愛のかすれた声が、リビングに響く。
先程から幾ら思いを巡らせても、この場の反応としてどれが一番正しい行動なのか、辿り着く事ができずにいる。
「フッフッフッ、愛ちゃん、もっと悩めばいいの」
愛の心を掻き乱す小悪魔の囁きがする。
その声を引き金に、愛の躰は緊張と興奮であらぬ熱を持ち始める。
「なんなら、さゆみがしてあげようか? そんなんじゃ、いつまでたってもイケないわよ……」
ピンクの小悪魔さゆの声は、いつのまにか愛の耳元で聞こえていた。
そして背後から抱きすくめるようにしながら、愛の指先に、自分の掌を沿わせようとするのだった。
「ひっ……!」
いつまでたっても、イケない……。その甘い囁きに溺れそうになった自分の本能を払うように、愛の指先はさゆみの手を弾いた。
「自分で……する。 だからの、さゆっ、お願い……っ」
「そうなの。 フッフッフッ……」
そんなに簡単な選択ではないのだ。相手がさゆ一人ならいい。
しかし今は目の前に、全てに興味を失ったような空しい目をしている里沙と、これからの自分の人生を愛に預けたリンリンがいる。
愛が迷い続けている選択で、この二人のいや今この部屋にいる四人の未来が決まるのだ。
「愛ちゃん……ほら、ガキさんもリンリンも見てるわよ。さあ、どうするの……?」
誘惑の声を囁き続けるさゆみは、失うものなど何もない。
このゲームを自ら始め、愛や里沙、そしてリンリンをも巻き込んだ時から、全てを賭けて最高の喜びを得ようと心に決めていたのだから。
だが、あの美しい愛が里沙やリンリンの注視の中、身悶えながら悩む姿を見るのは、やはり最高の悦びだ。
「ああ……っ!」
『それ』を力無くつまもうとした時、愛はリンリンの熱い視線に気づく。
悩ましく濡れる憧れの人の顔と、ゆるやかな回転運動を始めようとしていた白い指を、リンリンは交互に、ねっとりと見つめる。
「高橋サン……」
「ああっ、リンリン……そんなに、見ないで」
「愛ちゃん……そんなにしたいの……?」
弱々しい、里沙の声。
しかし弱々しさの裏側に暗い興奮をその声は宿していた。
共に戦ってきたから愛には分かる。
さゆの息吹を傍らで感じながらも、それは分かるのだ。
「リンリン・・・わたし、どうしたら、いい?」
艶めかしい瞳が、正面に座るリンリンに向けられる。
「ウフフ……愛ちゃん、それを、リンリンに訊くの? これはとんでもないリーダーね!」
わざと下卑た声を上げて、さゆみは愛を嘲笑う。
しかし、愛は怯まず愛するリンリンの言葉を待った。唇が乾き、赤く濡れた唇を舌先で、舐める。
しかし、リンリンの言葉は。
「わたしは、高橋サンも、道重サンみたいに……」
「……っ!」
まさか。
「道重サンと、一緒に……」
「リンリン……あなた、わたしを……わたしを、さゆと一緒にしたいっていうの!?」
「……」
リンリンは愛の問いに、無言で首を垂れた。 その動作が肯いたように見えたのは、愛だけではなかっただろう。
リンリンは、自分に、めちゃくちゃになって欲しいと願っている。愛のショックは相当なものだった。
「そんな……」
全身が、震える。覗いた肌に、汗の粒が浮かんでいるのは暖房のせいだけではないだろう。
だが、続いたリンリンの言葉はさらに、愛を震わせる。
「……でも、そのほうが高橋サンにとって幸せかもしれません……今まで手に入れられなかった、悦びも……」
リンリンの本心はどこにあるのか。
愛にめちゃめちゃになって欲しいのか、それともその先にある、素晴らしい悦びに狂う愛の姿を見たいのか。
愛は今、闇へ堕ちようとしていた。
刹那、それまで沈黙を守ってきた里沙の指が、『それ』を弾いた。愛は、苦楽を友にしてきた盟友の裏切りに、思わず声を上げる。
「り、里沙ちゃん……っ!」
「愛ちゃん……早く、しよう……」
「ああっ……」
「早く……愛ちゃん」
取り付かれたような目で、それを弾き続ける里沙。その振動は、愛の全身を狂わせる。
「ああっ、里沙ちゃん……っ!」
「新垣サン、やめてあげてください!」
リンリンがたまらず声を上げる。
「でも、リンリンも……きっと愛ちゃんも、こうしたいんだよ。ね、愛ちゃん?」
愛の心に、ついに尖った刃の切っ先が突きつけられた。
「……っ」
「愛ちゃん……、さゆみやリンリンより、ガキさんのことを選ぶの?」
選ばねばならなかった。たった今さゆみが言った事を。
「……里沙ちゃん。 私と一緒に行こう。 胸の高なる先に?」
「……!」
「……!」
愛の言葉は、さゆみとリンリンを絶望の淵に追いやった。
ただ一人、里沙だけが心を最大限に奮わせた。
「うん!」
里沙の小さな手は、まだそれを弄り続けていた。その手に、愛は白い指先を添わせる。
絶対に後悔しない。きっと、これが最高の選択だ。
ルーレットが回された。
出目は何の問題も無く、5。
すでにこのゲームに飽きていた里沙と一緒に、コマであるプラスチックの小さなクルマを5マス動かす。
結局、愛は1番目にゴールした。
「ああもう、愛ちゃんったら。勇気ないの。 愛ちゃんもさゆみたいに「人生最大の勝負」したらもっと盛り上がったのに」
「おあいにくさま。私はさゆみたいに「貧乏農場」で働くのはいやだもの」
愛は明るく笑う。
「それにそもそもさゆは、わたしがトップだって分かってたからあんなふうに言ったんでしょう?」
「あ、バレてた? あそこで300万ドルの「ゴッホの絵」なんて買わなけりゃ、私がトップだったのにぃ!」
「まあ、しょうがないよね、こういうゲームじゃ。だからこそ楽しい」
「でもまさかさゆが、こんなに「人生ゲーム」が好きだなんて知らんかったし」
「まあね。でも今回はボロボロなの。早く進んだだけで、全く儲からなかったし。 子供も生まれなかったから、ユニセフに取られたし……よし、もう1回勝負よ!」
「エー、まだやるですか?」
リンリンがしぶる。
流石に中国人の彼女には、「人生ゲーム」の面白さは伝わらなかったようだ。
「ゴメンね、リンリン。まだ里沙ちゃんとさゆがくやしくってたまらないみたいやし」
「じゃあ、リンリンは高橋サンと一緒にやります!」
「ええ、いいわ。 じゃあ里沙ちゃんは「就職コース」「進学コース」、どっちがいい?」
時刻は午後4時。 長い勝負になりそうだ。
「愛の駆け引き」
不朽の名台詞をとんでもない使い方をしたことに腹を切って詫びたい
オチが読めなかったw
ある意味正月らしい作品ですね
期待させといてこのオチはひどいよw
いや一瞬違うスレを開いたかと思ったけど丸くおさまって良かった
>>892
新メンが発表される日にチミは何というw
もっとやれ
いいねw
こういうのも忘れずいきたいw
どこに落とすのかめっちゃドキドキしたやんけw …まさか… いくのか? やってしまうのか…?
なんてw
そう、新メンバー発表にも似たドキドキが… って上手く話がつながったやろ?w
さて、新メンバー発表! …最初にストーリーを紡ぐのは誰かな?
とりあえずスレたくさん立ってるから今夜は気をつけないとねw
http://kanekorie.net/cgi-bin/4kiegg/img/4kiegg037.jpg
http://kanekorie.net/cgi-bin/4kiegg/img/4kiegg038.jpg
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自分が夢中になるかどうかは別として
(実は密かに推してました)
生田衣梨奈(いくた・えりな) 13歳 福岡県出身
http://aewen.com/momusu/group/img/aewen3221.jpg
http://aewen.com/momusu/group/img/aewen3222.jpg
鞘師里保(さやし・りほ) 12歳 広島県出身
http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/michinao/20101224/20101224105442.jpg
http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/michinao/20101224/20101224105423.jpg
鈴木香音(すずき・かのん) 12歳 愛知県出身
http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/michinao/20101224/20101224105406.jpg
http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/michinao/20101224/20101224105409.jpg
譜久村聖(ふくむら・みずき) 14歳 東京都出身
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/15/0000431515/09/img92979d15zik6zj.jpeg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/54/89e7c5b33d5dd6ccb112758be8a9a12c.jpg
http://www2.daily.co.jp/newsflash/2011/01/02/Images/03713054.jpg
http://www2.daily.co.jp/newsflash/2011/01/02/Images/03713055.jpg
新メンバーの鈴木香音、生田衣梨奈、鞘師里保、譜久村聖と、もらい泣きするモーニング娘。の高橋愛、新垣里沙(左から)
愛佳見えてたのか
そしてこのスレも……
早い時間からカウントダウンパーティーを始めた所為で
2011年を迎えて数分後には一人、また一人と夢の世界に旅立ってしまっていた。
リゾナントの2階の決して広くないリビングで9人が肩を寄せ合って眠っている。
もともと愛とれいなしか暮らしていないこの家に、全員分の布団や毛布があるわけもなく
取り合うようにして、または寄り添うようにして布団に包まっていた。
「んー…さむっ…」
ぶる、っと愛佳が身体を震わせ寝返りを打つ。寝返りを打った拍子に毛布から身体がはみ出る。
ジュンジュンがしっかりと毛布を掴んでいる所為で愛佳のとりわけ分は少ない。
ジュンジュンめっ!幸せそうな寝顔にデコピンを食らわせてやりたくなる。
愛佳は自分が出た分空いた毛布の隅っこをジュンジュンの顔にぼふん、と被せ、みんなを踏まないように冷蔵庫へ向かった。
はしゃいだまま寝た所為か喉がカラカラだ。明日の朝声がおっさんになっているかもしれない。それは避けたいところだ。
冷やっこいフローリングの床が裸足の足に染みて、もう一度ぶるぶると身体を震わせた。
「お水、いただきまーす」
ポツリと呟き冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターを失敬する。
本来ならば愛かれいなに直接言いたいところだが、愛は里沙とリンリンと寄り添うように
れいなは小春と毛布を取り合うように眠っているので止む終えない。
ごちそうさまでーす、も同じように呟きコップをシンクへつけた。
「あ…」
シンクのすぐ傍にある、カーテンも引けないような小さな窓にちらちらと白いものが映る。
擦りガラスのためはっきりとそれが何かは見えない。
だが愛佳は、弾かれたように走り出し、寝ているメンバーを飛び越え、カーテンを勢いよくあけた。
バルコニーへと続く大きな窓を全開にする。冷たい風が身体を包む。冷気が部屋を襲ったが愛佳は今、それどころではない。
「雪やっ!!!!!!!!!雪がつもってるっ!!!!!!!!」
白銀の世界
あたり一面、真っ白な雪で覆われていた。
「すごいすごいすごい!いつの間にこんな積もったんやろっ!?」
愛佳の見上げる空から白い結晶が次々と舞い落ちてくる。
手を伸ばせばそこに雪が降りた。すぐに姿を消してしまうのが惜しいように、愛佳はじっと自分の掌を見つめる。
そして満面の笑みで振り向いた。
大声で叫んだかと思うと裸足のままバルコニーへ飛び出した。
積もりたての雪を裸足で踏んだ。くっきりと足の形が雪の中に残る。
楽しい遊びを見つけた子どものように、愛佳は肩を揺らして笑った。
「愛ちゃん新垣さん亀井さん道重さん田中さん久住さんジュンジュンリンリン!起きてください!!ゆーーーきーーーー!!」
雪を裸足でだんだん、と踏み鳴らしながら愛佳は全員の名前を叫んだ。
「ちょぉ、もぉーなにぃー光井。窓開けないでよ、寒いでしょーがー」
毛布に包まったまま片目だけを開けた里沙が愛佳に抗議する。
しかし一旦火がついてしまった愛佳のテンションが下がるわけもなく
積もりたての雪の上でぴょんぴょん跳ねていた。
「新垣さん、雪、積もってんですよ!雪っ!!!」
「えぇ?雪?うっそでしょー」
「ホンマですって!ちょぉ見てくださいよー」
眠い目を擦りながら里沙が毛布から出る。毛布の中の空気が動いたのか
一緒に寝ていた愛とリンリンも体を起こした。
「うぉー!ほんとだー!積もってんじゃん!!!!ちょ、愛ちゃんリンリンみてみ?」
ナイスリアクションに感化され、愛とリンリンも窓の傍へ。
何事か、と眠っていたはずのジュンジュン、さゆみ、れいな、小春も続く。
「ナニナニ?何が積もってるデスカ?…おぉぉぉ!!!雪っ!リンリンこの中に埋もれたい!」
「すっげ。いつの間にこんな積もったんや!東京でこんな雪久々に見わ」
「ジュンジュンも!ニホンの雪、こんなに積もってるの初めてミタダ。」
「いつもと違う景色を見てるみたいなの」
「全然違う街に見えよぉ。綺麗っちゃん」
「今ならこの雪、食べれるかな」
「ちょっと小春それはやめな。それから光井、裸足でバルコニーはだめー。早くこっちおいで」
里沙に手を引かれ、思い出したように愛佳が室内へ戻ってくる。
その足は真っ赤で見るからに冷たそうだが当の本人は全くに気にする様子もなく
寧ろ室内へ入れられたことを残念がっている様子が伺える。愛佳は愛の手によって閉められてしまった窓を掌で叩いた。
「雪もっとさわりたい!遊びたい!めっちゃふわふわやったんですよっ!?
足で踏んでもふわふわすぎて踏んでんのか踏んでへんのかなんか分からんよーな感じで
でも最後にぎゅってちから入れたら、なんやろ。片栗粉を手でぎゅってしたみたいな、そんな音が鳴ったんです
いつの間にこんなに積もってたんやろ!気づきはりました?雪って静かに降るから全然わからへんかった」
窓に張り付く愛佳を見守りつつ、メンバーは顔を見合わせる。
普段冷静な愛佳が、人一倍はしゃいでいる。それは年相応で、リゾナンターの末っ子っぽくてなんとも愛おしい姿だった。
「愛ちゃん愛佳ちょっと外行って来てええですか?」
我慢ならない、そんな面持ちでキラキラした瞳を愛に向ける。
いちいち確認を取るところが愛佳らしくて可愛らしい。愛は愛佳の頭を一つ撫でた。
「ええよ。ちゃんと靴下はいてあったかい格好して出るんやで」
「はいっ!」
「リンリンもいきたーい!遊びたい!雪の中に埋もれたい」
「リンリン、それはやめなさい。風邪引くよ」
「ジュンジュンも行くだ。ニガキさんも行きましょ」
「えー!あたしもぉ?なら愛ちゃんもいっしょにいこーよぉ」
「あっしはええざ。寒いさけ」
「もーぉ!福井出身の人間がなにいってんのよ!ほら行くよー」
「ほな、さゆもれーなも道連れじゃ。」
「ちょ!本気でゆぅとぉ!?」
「まって!絵里どうするの?」
一人この騒ぎの中ぐーすかぴーと寝息を立てている幸せそうな人物。
愛佳はさゆみの言葉にニヤリと不適な笑みを浮かべ、絵里の元へ真っ直ぐに向かった。
そして勢いよく毛布を剥ぎ、乱れた絵里のパジャマの中へ、掌を差し込んだ
すっかり冷たくなった愛佳の掌が、絵里の背中に触れる。
「うぃっひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
普段からは想像もつかない速さで絵里が飛び起きた。
「え、え、え?なに?何が起こったの?」
目の前には不敵な笑みを浮かべる愛佳が。
「亀井さん、雪遊びしますよ。強制参加です」
「え?みっつぃーちょっとまってどーゆーこと?なになに?」
愛佳はそれだけ言い残し、勢いよく階段を下りていく。
「ま、そーゆーわけやで」
「末っ子のワガママを聞いてやってくださいな。さ、カメいくよー」
「えぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!」
真夜中の雪遊びが始まる。まだ誰も踏んでいない雪の上を愛佳がぴょんぴょん跳ねる。
自分の足跡を多く残せたほうが勝ち。いつの間にかそんなゲームに発展し
愛佳と小春とジュンジュン、リンリンは競うようにして雪の上を跳ねた。
愛と里沙は仲良く白銀の世界を楽しみ、さゆみとれいなは寝ぼけ眼で身体を縮込めるる絵里を起こそうと
雪玉を思い切りぶつけ、けらけらと笑っていた。が、しかし。
「やったなぁー!絵里ちゃんをナメちゃいけませんよ?うーちーぱーそりゃっとぅっ!!!」
運動能力は絵里のほうが遥かに上だったようで、覚醒した絵里が投げた雪玉は
結構なスピードでさゆみとれいなの顔面にヒットし、そこから6期のバトルが始まった。
それぞれに雪を楽しむ。頬を真っ赤に染めながら、体中を雪だらけにして走り回った。
「風邪引いたらアカンで、一回中入ってあったまろー」
それは愛の声がかかってもまだ続き、3度目里沙に『こーらー!いい加減に入ってきなさい!』と怒鳴られるまで終わらなかった。
リゾナントのカウンターに一列に並び、愛が作ってくれたココアをみんなで飲む。
真っ赤になってしまった頬を笑い、そして温まった掌で包み合った。
「なんかはしゃいだら眠くなってきちゃったぁ」
絵里がうん、と伸びをして目を擦る。隣ではしゃぎ疲れた愛佳が大きな欠伸をひとつおとした。
「ほんとー。身体も温まったしさ、とりあえず今日は寝よう、ね」
里沙が愛佳の背中をぽん、と叩く。愛佳はトロンとした目をしてそれに答えた。
「タノシカタ!起きたらもう一回シタイ!」
眠そうな愛佳と喚くリンリンを先頭に、9人はリビングへ戻る。
散らかした毛布や布団を掻き集め、肩を寄せ合った。
心地よい疲労と、傍で感じる温かさに身を任せ、9人は穏やかな眠りにつく。
キョウ ハ オヤスミ デス HAPPY NEW YEAR !! 2011
木の枝を雪の上に並べて作られた文字とウサギの絵。
個性的な9個の雪だるまがクローズを知らせるように、店の前に並んでいた。
『2010→2011!!』お手数ですがよろしくお願いします。
5年ぶりくらいに積もった雪に嬉しくなり、その勢いで書きました
末っ子愛佳が見られなくなるのか…とちょっと悲しくなりつつw
ことしもよろしくお願いします。
-------------------------------------------------------ここまで
したらば【アク禁】スレからの転載でした
多幸感あふれるとはこういう話のことをいうんでしょうね
現実の娘と想像のリゾナンターを見事に重ね合わせて美しい情景を描かれたものだなあと
またこういった作品が舞い降りることを願っております
こういう話好きだ
読んでて自然に頬が緩む
あと5年振りに雪が積もったのってどこだろうと思いましたw
乙でした
こんな話を1本でも書きたいが絶対に書けないな
読む者を幸せにする話をこれからも書いてくだされ
いいなあ… と思いつつ何か寂しい…
「この9人」がそろう事はもうなかなか無いよね…
この上なく温かさ溢れる話だけど…二度と見ることのない風景だと思うと切ない…
でもだからこそ大切で愛おしいですね
心に響く素晴らしい作品でした
それまでは書かない約束にしておきません?ある程度のリアル感もこのスレの魅力ですし
スレの初期とはまたちょっと状況も違うし
川'v')<らめぇぇぇ~
川o・-・)<それってもふもふできる!?もふもふできるの!?
書く分には自由じゃないですか?
明確な公式設定があるわけでもないのだし
あとから「あの頃考えてた感じの子とは全然違ったねw」
というのも笑い話でいいのでは
作者ごとに設定も違うのがこのスレの特長だし
他の方がどう描くのか参考に感情移入できたらチャレンジしてみようかと
言いながら本格的に合流してきたら夢中になってたりしてw
鞘師里保はぼんやりと外を眺めていた。
深夜バスの外はすでに明るく、それまで都会といえば広島の街並みしか知らなかった鞘師には全てが新鮮な景色だった。
―――東京かぁ―――
まだ12歳になったばかりの彼女は―
―ちょっとおませな服を好み月並みに歌とダンスが趣味だったり―そんな「ごく平凡な」彼女は一人でこの大都会へとやってきたそのわけを―思い返していた。
彼女の両親とかわいい妹弟たちが不慮の事故で亡くなったのはほんの数日前の事だった。
悲しかった…多分。
多分…そう。
自分でも不思議なほどに肉親の死に対して動揺を感じていない自分に対して若干自嘲気味に彼女はそう自己表現していた。
「普通もっとショックだよね…やっぱり」
身寄りが無いわけではない。
鞘師の家系は代々日本刀の拵えを作る職人の家だった。
昔は鞘だけを作っていたというが、今では刀身以外の全て―を作っていた。
日本刀などというものはすでに過去の遺物…一部の好事家か試斬狂いの抜刀道関係者か…
まあとにかく何でも作れなくては食ってはいけない。
それが今や彼女の唯一の肉親である「じぃちゃま」のぼやきだった。
ワシが最後だ
ともいっていた。
鞘師の父親はとっくに刀装具には見切りをつけ、不動産関係の仕事についていた。
じゃがぁ裏の方は里保ちゃんが器用にこなしよろうがのお…あるいはなぁ
裏…裏というのは鞘師の家に伝わる「水軍流」と呼ばれる兵法だ。
普通は何々流剣術とか柔術とか名前が続く所だろうが鞘師は「じぃちゃま」からはただ「水軍流」としか聞かされたことは無かった。
それどころか簡単な来歴ですら特にこれといって聞かされた覚えもなかった。
鞘師はこれを単純にじぃちゃまと遊ぶ感覚で習い覚えた。
それもほとんどは単にじいちゃまがおかしな動きで踊っているのを面白がって横でマネをしていただけだ。
じいちゃまと一緒に踊り、じいちゃまに促されるまま巻き藁といわず竹といわず何でも斬りまくっただけだ。
だが当人はそのつもりでも「器用にこなし」た結果、その技量は常人の域をすでに超えたものとなっていた…多分。また自嘲、彼女はじぃちゃま以外に誰か他人に対して技を使ったことなどないからだ。
高次元の武術家は実際に対戦せずとも彼我の力量を読み切ることができる。これは実戦を経ていないものですら「技量だけでも高ければ」身についてしまう能力だ。従って彼女には見える…道行く人と自分との戦闘能力の差が手に取るように直感できる。
だがあくまで直感であり、現実に結果を出したわけではない。だから自嘲だ。
多分そうなんじゃないかな?である。
とにかく「水軍流」の修行のせいなのか鞘師自身の生まれ持った心根なのか
彼女は肉親の死をあまりにも普通に受け止めすぎていた。
里保ちゃん、東京でぇいろいろ勉強しておいで。といったのが丁度両親たちの通夜が済んだその夜の事だ。
なるべく早い方がいい。ともいった。
自分で言うのもなんだが鞘師は祖父に溺愛されているという自覚があった。
その祖父が何の理由もなく自分を遠ざけるはずが無い。
表面上いつも通りを装ってはいてもその内心で祖父の警報ランプがレッドゾーンに振りきっていることも察知していた。
これもまた鞘師が「水軍流」によって身につけてしまった能力
まさに読心術といってもいいほど精度の高い「他人の意思を読む力」加えて「自分の意思を読ませない」力だった。
いつものように彼女には「どうして?」は無かった。
じぃちゃまがそうしろというならそうするのが最上なのだ。じぃちゃまは必要なら必要な理由は教えてくれる。教えないのは必要が無いか、教える時間が残されて無いからだ。
彼女はすぐに準備を整えその足で家を出た。携帯は折り曲げ捨てた。
初めて顔を合わせる「遠い親戚」と名乗る四人のひ弱そうなおじさんが名古屋までは一緒についてきてくれていた。彼らが護衛であることは何も聞かずとも理解できた。何かに脅え同時に自らは死んででも鞘師を広島から脱出させようという強い意志…
名古屋でのトイレ休憩…「おじさんたちはちょっとトイレに出てくるね戻らなくても気にしないでそのまま東京へ行くんだよ」
殺気を捉えることに関しては高い能力を持っているであるはずの自分にもまるで察知できないその危険をおじさん達の一人は「何か別の力で」捉えているらしかった。
おじさんたちは戻らなかった。「しんじゃったんだろうな…多分。」
どこまでも冷淡な自分に心底呆れながら鞘師はカーテンを再び締め、じぃちゃまが別れ際に教えてくれた東京で頼るべき人と場所を思い返していた。
なぜかじぃちゃまは待ち合わせ場所も正確な住所も教えてはくれなかった。
東京へ着けば必ず会える。向こうから見つけてくれる。そう言っていつも通り笑った。
頼るべき人は…高橋愛。場所は…喫茶「リゾナント」。
続く
以上 ■ フィジカルアデプト-鞘師里保- ■でした
もしかしたら全然こんな子じゃないかもしれないですが
そのときは全部無かったことにしちゃえばいいじゃなイカ?
と思い切り勇み足させていただきました。
彼女のいまだ発現していない「超能力」に関しては全く触れぬままに終わってしまいました。
一応設定だけは作っては見たのですがもちろんただの個人的なメモです。
【水限定念動力(アクアキネシス;aqua kinesis)】
触れた水を任意に動かす能力
水に任意の硬度や粘度を与え任意の形を与え任意に動かす。
要は水でスライムや触手を形成して攻撃したり武器状に固めて使う能力。
ただし、現時点ではまだ能力が未成熟のため
量にしてペットボトル数本分(数リットル程度)の水しかコントロールできない。
このため具体的にはちょっと鋭角なエッジのある木刀状(切れ味は鈍い鉈程度)に水を固めて即席の武器として使ったり、対手の手足に絡めたり、数メートル程度の距離の小物を取って来させたりといった程度しかできない。
だが熟達すれば恐ろしい力となる可能性はある。
例えば触れただけで相手の体内の水分を支配し
心停止させたりといったことすらできる可能性がある。
(もちろん現状ではそんな力は無いが)
あるいは大量の水をコントロールしそれこそ巨大なタコ状の怪物を形成し暴れまわるなんてことすら出来るかもしれない。
ほう
中々に積極的な
まだ顔と名前も一致していないというかフルネームも怪しい段階なのでどうとも言い難いが
生い立ちとかは魅力的に思った
しかしまだ話してるとことか聞いたことがないからねえ
やはり鞘師ちゃんが一番最初にきましたねw
そういや水を操る能力っていなかったなw 愛佳の「水守り」結局発動せずだしw
鞘師ちゃんの「鞘」っていう漢字も古武術っていう設定を連想させますね
そしてじっちゃまの謎につつまれた設定もこのスレらしくてグッジョブです!
あと「アクアキネシス」をみて、ジョジョの「アクアネックレス」を思い出したw
新メンの話はワクワクするね
いきなりきたね
愛ちゃんが見つけるんじゃないってパターンは予想外だったw
新メンの設定だけど譜久村はエッグから加入ってことでリンリンみたいに他の組織で育てられた人材にしてもおもしろいかもね
初代まとめサイトにコメントスパム数百件の爆撃を受けてるって報告もらったんでガッツリと削除しました
その影響でもしかしたら数件、正しいコメントまで削除してしまった可能性があります 大変申し訳ないです
もしかしたらローカルに保存したデータから戻せるかもしれませんが。。。
アレは気になってましたが手を煩わせるのもアレなのでご報告はしておりませんでしたw
まとめサイトでなんか問題あったのね
乙です
サボリンオツリン
よかったローカルにデータ残ってたよ
時々はFTPでダウンロードしておくもんだね
ちなみにコメントスパムは全部同一IPからだったんで3,2,1 BROCKIN' OUTしました
ちなみにコメントは700件くらいあったみたい
よくやるよねぇ
700件てよくやりますよね本当に…
でも…ここの作品数はそれの遥か上なんですよねよくやりますよねw
今でもまとめサイトに行く自分としてはありがたい
積極性は買うけど筆力不足かな
鞘師コメント
ノノs‘ _‘)<はい…練習しました…
ノノs‘ _‘)<すごいお腹が…痛いです…んふぅ☆
ノノs‘ _‘)<おねがぁいしまぁす…
ノノs‘ _‘)<練習したんだけろそれで練習したって思ってたらダメなんだなっておもいました
ノノs‘ _‘)<自信わあるんですけど…ど…どこかにやっぱりすごく不安な…気持ちもある?ある?感じです
ノノs‘ _‘)<すごく…あの…表情を作るのが大変でした
ノノs‘ _‘)<ありがとうございました
-どうやった?歌
ノノs‘ _‘)<すごい緊張して練習した通りにはちょっと…
今夜次スレ立てたいと思います
少し遅めの時間になるかもしれませんが
自分のをのぞいた中で敢えて1本を挙げるとしたら『Pleasures』かな
ガキカメの会話が魅力的でした
次スレ立ての準備が整うまでの感想大会にお使いください
<長編>
>>47~ 『ダークブルー・ナイトメア~3.闇のカタチ(1)』
>>207~ 『R-Infinity(1) もしも出会いが奇跡なら』
>>226~ 『Vanish!Ⅱ~independent Girl~』(3)
>>360~ 『モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「旅の途中」』
>>525~ 『モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「Wingspan の世界:友情は翼に乗って」』
>>511~ 『“未来”への反逆者たち ―闇と光(2)―』
<単発>
>>19~ 『リゾスレ50話突破記念 消えたリゾナンター』>>88~『(2)』 >>169~『(3)』
>>140~ 『粛清人 石川梨華』
>>162~ 『よしざーさんの災難』
>>305~ 『Winter Story』
>>320~ 『こたつの夜』
>>334~ 『Pleasures』
>>392~ 『風のために・・・ (2)』>>428『(3)』
>>412~ タイトルなし(愛あらばIT'S ALL RIGHT )
>>423~ 『The wind never 『Vanish!』』
>>480~ 『作り物の翼と、本物の両手-Swans and ducks to shine-』
>>581~ 『神ハ神ノ仔ヲ愛ス』
>>655~ 『ホワイトスノー』
>>695~ タイトルなし(時間は人の記憶)』
>>706~ タイトルなし(私は元気です)
>>727~ 『師走になると人身事故が増えるんだって。』
>>741~ リゾナンターVSベリキューで能力設定
>>771~ タイトルなし
>>790~ 『エビチリの絆』
>>812~ 『狂犬は晦日に吼える(前)』>>856『(後)』
>>886~ 『愛の駆け引き』
>>909~ 『2010→2011!!』
>>943~ 『■ フィジカルアデプト-鞘師里保- ■』
最後のジュンジュンとの絡みは特に良かった
あとRとRさんの最終章とか
『2010→2011!!』なほのぼのした話もいいね
胸にくる温かい話が多くて癒されましたね
さてそれでは次スレを立ててきます
残りのレス消化及び次スレを皆様よろしくお願いします
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1294232519/
立てました↑
ついに3桁への折り返しですねw
どうもです
まさかあんなに長くなるとは自分でも思ってなかった
私も「Pleasures」が好きです
The wind never 『Vanish!』は卒業の日に何か書いておきたいという切羽詰った気持ちが見え隠れしてて好き
そういう意味では>>412もかな
乙
テンプレに使われるとめっちゃ嬉しいです
『作り物の翼と、本物の両手-Swans and ducks to shine-』
『ホワイトスノー』
『エビチリの絆』
でも一番好きなのはと聞かれれば多分 『狂犬は晦日に吼える』ですw
俺も今一番蹴られたいのえりりんだもん
乙です
51というとイチローの背番号ですね
どこまで続くのかな
『粛清人 石川梨華』・・・かっこよくて惹きこまれました
『こたつの夜』・・・みんなでぎゅうぎゅうしているのが目に浮かびます
>>973>>979ガキカメ書いた者ですが、どうもありがとうございます!
上の方でも嬉しいお言葉たくさん頂きました!
また出来上がりましたら、よろしくです。
同じすぎるw
次スレも活躍を期待してます
ホントだ
ひそかに待ってた
作者さん何人くらいなんだろうねこれ
結構いそうだね
次スレにインデックスの人が貼ってくれてるけどめずらしく作者欄に空白が多い気がする
次スレではクライシス作者さんが書くかもしれない安倍総理の話も少し気になってます
ほぼ確信しながら空白にしているものもありますが確かにここのところでは一番人数多い気がしますね
50話ということもあるのかもしれませんし…それ以上にやっぱり3人の卒業が大きかったんでしょうね
翌日翌々日と仕事で手一杯で上げる余裕が無かった
といって次スレで改めて上げるほど本格的なものでもなし
そして私はリゾナントされたい
次スレで待っております
You あげちゃいなYO
http://static16.photo.sina.com.cn/orignal/6713d81ag99007e890f9f.jpg
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。