(115)99 「まー修行」30

俺の人生は最悪だ。町工場勤めの職人気質の父親と気立てだけのいい母親
やけにプライドの高い父親は頑固で、時代を読めなかった。その結果職場は倒産
俺は夢であったパイロットを諦め、中学卒業と同時に就職することとなった
とはいえこんな御時世、高校を卒業していない俺を雇う企業なんてなくアルバイト生活しかなかった
毎日毎日働いて、ようやく実家に仕送りをできる程度

そこに昔からの友人からの電話、「金を貸してくれないか?」
軽い気持ちでお金を貸した。
それが全ての始まり。そいつは蒸発し、俺のもとにその筋と思われる男達が取り立てに現れる日々
月に一度の楽しみの発泡酒すら買える余裕もなくなり、人知れず荷物をまとめて街にでた
新しい生活を始めても結局、仕事は見つからず、残ったのは借金のみ
そして当然のように借金を返すために、さらに借金を重ね、その借金を返すために、借金をして・・・
「金をかえさないなら、その分働いてもらうしかない」
俺はある日、地下に落とされた。劣悪な環境で何をしているのかわからない土砂作業。
かろうじて呼吸はできるが粉塵で喉を傷め、俺よりも齢老いた同じように落とされた負け犬が地面に這いつくばる
圧倒的絶望・・・絶対的隷属・・・

そこに現れたのは白衣の女。「チャンスが欲しい方はわたくしと一緒に来てください」、そう言った
集められたのは粉塵で喉をやられ、すでに声がでなくなった者だけだった
ここから抜け出せるのであればなんでもしよう、疑う者は誰一人もいなかった
連れていかれたのは何やら不気味な研究室。椅子に座らされ、手足を固定された
「声が出ないんですよね?あなた方に声をあげます」
喉に機械が埋め込まれた。もちろん無麻酔だ。気づいた時には・・・声はでたが一言しか言えなくなっていた
「イイィィー!」

俺は地獄の中で生きている。女は言った、金を返せば声を、自由を返すと。だから俺にはこいつがスワスワが必要なんだ
地獄の中でも・・・生きてやるんだ・・・だからこそ
「香音ちゃん、そっちはどう?」「う~ん、こいつも何も持っていないんだろうね」
「あああぁぁぁ、喉渇いた!おなかすいた!こいつらから何か奪うと!」「水を、食料を探すんだ!」
こんな純粋無垢な少女たちに身ぐるみはがされる地獄はあってもいいのかもしれない
「良いぃぃー!」         まー修行 (続く ごめん、ふざけすぎた


投稿日時:2016/02/14(日) 23:55:01.53





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