(126)177 Rs『ピョコピョコ ウルトラ』7 side Iikubo

カランコロン!

お店に入ると、女の人が2人、追いかけっこをしていた

「あ、あの……」
「ほら田中っち! お客さんだよ!」
「くっ! 続きはまた今度ですね」
「「いらっしゃいませ!!」」
「はい……」

さっきの小さい子といい、このお店どうしちゃったんだろう

「あら。あなた、久しぶりじゃない。元気だった?」
「学校は、あ、まだ冬休みやったとかいな」
「はい、そうなんです」

覚えてくれてたんだ
嬉しい

けど、本当の私を知ったらこの人達も……

カランコロン

「外の掃除、終わりましたー」

さっきの女の子が戻って来た
私と目が合う

「……なんすか?」
「ひっ!」
「なんでビビんの?」

だってだって! 

「工藤、目付き」
「え?」

すっごく恐いんだもん!

「あんた、お客さんを威嚇してどーすんの」
「あ、いや、すみません」

顔は天使みたいに可愛いのに

「好きな席に座って。いつものにする?」
「はい、お願いします」

椅子に座って店内を見渡す

「工藤。お水とおしぼり、お願いね」
「はい」

綺麗な店内
手作りで温かみのある装飾
派手過ぎず、然りげ無く彩られてる
あそこのカラフルなカップ達も、なんか良いな

店員さんは、綺麗な人と可愛い子ばかり

それに、ここなら誰も私の秘密を知らないから

「何それ?」
「……え?」
「秘密って、何?」
「えっ? ええっ!?」

私、声に出してた!? 

「何? 気になるじゃん。ハルに教えてよ」
「え、え、え、え?」

どうして?
ダメ!
知られちゃダメ!
絶対ダメ!

この場所まで無くしたら、私

カランコロン

「おひー」

お店の入り口から入って来たのは

「あー、さゆみん」
「さゆ、アレ出来たと?」

道重、さん

「幾つか候補が出来たから持って来たよ」
「おー!」
「早速コッペ? やるったい!」
「それを言うならコンペやろ? コッペって!」
「もー、今のは忘れて! ちょっと間違っただけやろ!」」

綺麗
笑う顔も声も素敵

私の、心のオアシス
私がこの店に来る理由 

美しい黒髪
透き通る様な肌
吸い込まれそうな瞳

見ているだけで幸せ
世界中の美しいモノが集まっても、この人には敵わないと思う

頭の天辺から──あぁ、天使の輪が美しい──足の先まで

「あ、ちょっとさゆみん。先に泥を落として来て」
「泥?」
「あー! さゆの足元から店の入り口まで土だらけったい」
「え? さゆみ、そんな道は通ってないはず……」

ガチャンっ!


更新日時:2016/07/24(日) 14:00:23.46







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