(128)112 『Chelsy』19

「そっちだ、ただ迂闊に近づくな」
「ああ、わかっている。ネズミが何者かわからないからな」
「(むやみやたらに攻撃するのは無謀だ。まずは日本人に任せて、隙をついて我々が討つ)」
「(了解しました!標的はネズミ一匹、生死を問わず確保致します)」
響き渡る男達の怒号と身に纏われた筋肉という名の鎧
集められた男達は誰もが血に飢えているようで、思い思いの武器、拳銃、ナイフ、青竜刀・・・を手にしている

「おらあ!隠れていないで出てこいや」
「あほか、そんなこと言って出てくるはずないやろ!」
「気合いれじゃ、期待なんぞしとらんわ!!ビビッて音をたてるかもしれないだろうが」
がさっと砂を踏む音がした。目を向けると小さな人影が走りだす姿が男の視界に入った
「逃がすか!」
銃弾が放たれ、影に突き刺さる。しかし、影は倒れない。
二撃、三撃と追撃の銃弾が放たれるが、やはり倒れない。耐えきれず男たちは駆け寄った
「な、なんじゃ??」
それは人形、であったが、砂でできた砂人形。丁寧に顔まで造形されている
「砂で人形をつくったというのか。小賢しい真似をしてわしらをバカにしとるんか?」
怒りの声をあげ、蹴りあげようとした瞬間に砂の人形が笑ったように見えた。いや、笑ったのだ

「ガハッッ」「グウォッ」「ブフゥ」
砂の人形に放たれ蓄えられていた銃弾が人形の胸から飛び出した。
その弾丸は近くにいた男達の胸を、腹を、喉を貫き、倒れこんだ

慌てて生き残った男たちは砂人形から距離を取った
「な、なんだと?ど、どこにいるんだ?」
警戒しはじめた男達に不安をかきたてる変化が起こり始めた
風が吹き始めたのだ。その風は砂を舞い上がらせ・・・数メートル先も見えないほどの砂の世界を生み出した    (Chelsy 


投稿日時:2016/08/19(金) 00:20:52.87





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