(149)73 「獣人ちゃんはまーのモノ」

ガツッガツッグッシャ!

「ねえ、ソレ、おいしい?」

動きを止めたソイツは、犬歯を緋色に染めたまま振り返る

「生で食べんのほとんどないからさ。ねえ、おいしい?」

ソイツは一歩ずつ近付いて来る
眼を逸らさず、まっすぐに

「いいよ、おいで」

警戒心剥き出しだった眼は、優しくなった

左手を前に伸ばすと、鼻先を当ててきた

「わがままに付き合ってよ。寂しいんだ」

手から離れ、更に近付く
息が顔にかかり、前髪が浮き上がる

「ありがと」

チカラを込め、巨体に腕を回す

放った光がソイツを包む

身体が縮み、体毛が抜けていく

光が収まると、桃色の肌の少女の姿

「これからずっと、まーのモノ」 


投稿日時:2017/05/21(日) 14:22:17.71





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