(107)46 『春水』6

──精神干渉──ライン・マニピュレート

傀儡師のワイヤーが春水の足元に伸びる
春水は寸前で避けて、ワイヤーは足元のガソリンに浸かった

「死にたくなければ全力で後ろに下がれ!」
「はぁ?」

いきなりなんやねん
油断させてワイヤーで脚でも引っ掛けるつもりかいな
そんな手には引っ掛からへんで

傀儡師はワイヤーを手元から離し、ガソリンに浸かって無い端っこを春水に投げる

「おい! 春水はゴミ箱ちゃうで!」

投げられたワイヤーが春水の脚に触れる
その瞬間

バチッ

火花が飛んだ
そして

ボォッ!

「うわぁっ!」

足元に集まっていたガソリンが燃え上がり、春水を包む

これは
この火や
この火が春水を苦しめてるんや!

でも、なんで?
なんで今、火が点いたんや?

熱い
めっちゃ熱い
肌が焼けそうや
春水の自慢の白い肌が、焦げパンみたいになってまう

まあ
いっか
生きとっても、仕方が無い

春水なんか居らん方が、みんな安心してられるやん

そうや
怯えたり脅かしたりせんでも良くなるし

もう
これで
春水の人生
終いや


投稿日時:2015/08/28(金) 00:28:22.56


作者コメント
用語wikiの更新ありがとうございます。
自作について掲載されて、作者とっても嬉しいです。

クールジャパン道~殺陣道
鞘師さん・生田さん、殺陣道を極めていました。
尾形さん、滑稽道を極めていました。

自作では、尾形さんをらしく描けているのか、果たして。


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