(116)117 『青春小僧が泣いている──Lost story Haga』4

牧野さんの潤んだ瞳が朱音を捉える

「少し前まで、真莉愛も希望を持ってたの……だけど、その希望は……」
「牧野さん?」

潤んだ瞳から、零れる

「真莉愛の希望は……無くなってしまったの」

真っ赤な瞳から、止めどなく流れる涙

(真莉愛は……あの人と一緒に、生きたかったのに!)

あの人って?
誰の事?
牧野さんに何があったの?

(会いたいです……道重さん)

道重さん?
誰?

「羽賀ちゃんに、真莉愛と同じ悲しい思いをさせたくないの! 希望を失ったら、絶望しか残らない!」
「朱音の希望は……はるかさん」
「お願い! 今の内に諦めて! 希望を捨てて!」

すぐそこに居るのに諦める?

やっと会えたのに
この時の為に
ずっと頑張って来たのに

それなのに

「希望を捨てるなんて……出来ません!」

──痛覚制御──エキスパンド・ペイン

「あぐっ……!」
「朱音は、はるかさんと

ヒュン

「え?」

朱音の首にロープが巻き付いた

「良い加減にしろ!」
「隊長!? しまっ

ギュウ!

「うぐっ!」

ロープが朱音の首を絞め付ける
力一杯に引き剥がそうとするけど、ビクともしない

「あ、あ……」
「おいたが過ぎたな。ここまでだ、羽賀朱音!」

ダメ
息が

朱音
死ぬの?

嫌だよ
これからなのに

これから朱音は
朱音の夢を

はるかさんと一緒に
新しい人生を── 


投稿日時:2016/03/03(木) 18:17:36.38

※第118話にて作者様からタイトルについてのコメントがありましたので作品タイトルを統一致しました。







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