(128)127 『Chelsy』20

突如湧き上がった砂嵐に強面の男達も動揺を隠しきれない
「おいおい、どうして急にこんな天気になるんじゃ?」
幸いなことにサングラスで眼は守られているものの、元々の暗さも相まって周囲は闇に包まれたかのような暗さになる
思わずサングラスをはずそうとする者もいたが結局砂に目をやられ、その場にうずくまることになる

「おらあ、姿を見せんかあ!」
そういいながらふらつく男の目の前に宙に浮かぶ四角い物体
(ん? なんじゃ こりゃ?)
それはふわふわと空中に漂い、何かを探しているかのように揺れている
(??)
こんなところに何かあるのか、と不思議に思いながら男は手を伸ばす

そして触れようとした瞬間、それは激しい爆音とともに弾けた
「!! 爆弾や!宙に浮かんでいるものに近づくな!!」
爆弾に巻き込まれ地面に倒れこんだ男の姿を見た別のものが大声で叫んだ
そしてその男の視界にかろうじてだが、その「箱」が入った
(あ、あかん。あれに触れたら爆ぜてしまう。戦略的撤退や)

男が箱に背を向け、駆け出した
距離として数百メーター、砂嵐のなかで足元に気をはらいながら駆け抜けるのは大変であった
しかし、その代償に爆弾からは逃れられた、そう思い、振り返ると
「・・・なんで、なんでや?なんで爆弾があるんや!」
先程、かろうじて見えたはずの箱が男から数メートルまで迫っていた

慌てて駆けだす男、走る、走る、走る・・・
しかし、箱は男に吸い寄せられるように距離を詰めていく
3メートル、2メートル、1メートル・・・そして
箱は弾け、仕込まれた火薬が男を飲み込んだ

(無駄よ、磁力を帯びたtargetを半自動で追跡する誘導爆弾から逃れる方法はないわ)
チェルシーは笑って見せる   (Chelsy


投稿日時:2016/08/19(金) 23:06:20.74





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