(128)167 『Chelsy』23

「わかっていたわ。あなたが銃を持っていることも、私を狙っていることも」
最初から私を許さない、なんてわかっていたわ。そんなことを感じていないと思った? It’s STUPIDね」
銃を放ったはずの男は驚きのあまり動けないでいた
「あなたがどう動くか、なんて簡単にわかるのよ。銃を構えていることもとっくにね。罠にかけたのは私、はまったのがあなた」
男が放った銃弾は銃口から放たれ、直線の軌道を描き、女の足へと向かった
しかし、銃弾は途中で弧を描くように宙へと昇り、空中で一回転、そのまま男の足へと突き刺さる

「もちろん、あなたが私を許さないように、私もあなたを許さない
 でも、その前に質問させてもらうわ。もちろん『ウル』についてね」
痛みは圧倒的な恐怖、死の絶望が突きつけられているので感じない。しかし、打ち込んだ銃弾が打った本人に返ってくるなど聞いたことはない

「嘘は許さないわ。嘘をついてもわかる。嘘をつけば、神の怒りにさらされるであろう」
恐怖に勝てず、俺は知っていることをすべて女に話した
どこから手に入れたのか、何のために使ったのか、だれに使ったのか、どこに売ったのか・・・
そして全てを白状した男は、これで助けてくれるのだろうと、希望と涙を浮かべた目を向けた

「It’s amzing joke, you know? 助かると思いましたか?」
砂嵐の中からパチパチとなにかが擦れる音が聴こえ始めた
女は砂嵐にまぎれる様に姿を消していく
「慈悲深き我等が母なる神があなたは罪深しとおっしゃっております」
空を突き破った雷が俺の体をつらぬき、男の意識はそこで尽きた

★★★★★★

砂塵をぶつけあうことで生じた静電気を集め、人工的に雷を作り、対象に落とす大技
宙から糸のように突き抜け、命を奪いかねない雷をフィラメントヴィータ(命の糸)とチェルシーは名付けていた
ゆっくりと装置の電源を落とし、通信機のスイッチを入れた
「ジョニー聴こえる?自白剤を用意しておいてくれる?」
『了解、それとオレンジジュースも用意しておくね、チェルシー』   (Chelsy


投稿日時:2016/08/22(月) 07:45:27.89





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