(129)16 『開発!?新・・・メニュー???』3

「ウフフ、そう言って頂けて嬉しいです。有難うございます鞘師さん。
すみません生田さん・・・・・・オーブンの使い方やっと理解できました」
以前中のモノを焦がしてボヤ騒ぎにもなった事もあってあれから深く深く反省したんですと言いながら
今度ははるなんがなにやら鮮やかな緑色のジュースを持ってきた。

「ね。オーブンの中を見てれば失敗しないけん、料理は慣れるまでゆっくりでよかよ」
「・・・・・えりぽんが作るって選択岐は無いの?」
そう、えりぽんはチャラそうに見えるけど意外と頭も良いし、
生きていく術は一通り身に付いてるというか、料理も得意なんだ。
ちょっと空気を読めてない時の言動が残念なだけで。

「えりは世界一の美人ウェイトレス目指してるけんそれは無理」
「あ、そぅ。はるなん、そのジュース何?青汁…ではないよね」
「やー!里保冷たい!」

「よくぞ聞いてくれました!お肌に良く効く『OH!クラッと来ちゃって青春だね☆ジュース』です!
まあ、要は材料を全てミキサーで混ぜただけのオクラジュースなんですけど」
「ネーミングセンス…いや何でもないんじゃ」

-材料 2人分-

生オクラ  6本
豆乳    300ml
はちみつ  大さじ1
抹茶    小さじ1/2

いつの間にか頭の中に分量が叩き込まれてくる。
共鳴の無駄遣いかどうかは分からんが、そう言う事だそうだ。

「ちょっとオクラの粘りがアレだけど…豆乳に慣れてれば飲みやすいね」
「うん、混ぜるだけだしはるなんでも問題なかろ。
掲示してる食品衛生管理責任者が今の所一番料理が出来ないっていうオチなんよ」
飲みながらえりぽんの指差した方を見るとはるなんのネームプレートと許可証みたいなのが厨房の入り口に貼ってある。
なんでも飲食店はこれを貼っとかないとこの間のように有無を言わさずな保健所の襲撃を受けてしまうらしい。
いやはや、なんとも恐ろしい世の中なんじゃ。

「そうなんですよねぇ。知識はあっても、実際に作ってみるには修行が足りなくて。
譜久村さんも講習一緒に受けたから資格持ってるんですけど、
まだ未成年だしここの店長ははるなんなんだからーって言われちゃいました」

「ま、聖も里保も料理の修行はまだまだ足らんっちゃっけどね」
「えりぽんと香音ちゃんが料理上手なだけじゃろ。ウチは今の所食べる専門」
「ほうほう。ぽにょ師を脱却する為に日々のトレーニングを更に追加と」
「ちょっ!何をしてるんだ!頭の中を覗くんじゃない!」

「…ああ、ええですねぇ。お二人がそうやって仲良うしてはる所……春水至福の一時ですわ~」
ギャーギャーとじゃれ合ってたら尾形ちゃんが明後日の方向へ旅立ってしまった。
メモを片手に時折要チェックや!と言いながら何かを一心不乱に書き込んでいる。
「こうなると何しても戻ってきてくれませんから真莉愛もお手上げです」
そっとしておこう、うん。触らぬ何とかに祟り無しだ。


投稿日時:2016/08/31(水) 22:22:27.77





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