(134)191  次回予告・リゾナンター’14 『One and Only』

I know what I have to do, I know why I am here 私は自分が何を為すべきか知っている。

どうしてここにいるのかも

ニューヨークJFK国際空港の第一ターミナルを緊張が走っていた
黒髪の少女を連れた金髪の女を特殊部隊が包囲しているのだ
一般客はニューヨーク市警が避難させる一方、特殊部隊の指揮官が拡声器で少女を解放するよう金髪の女に通告していた
黒髪の少女、野中美希は米国に保有権があるという指揮官の言葉を女が嘲った

「さすが奴隷制度を施行していたアメリカさんは言うことが違うわ。能力者に人権はないとでも言うんか」

美希の出国は美希自身の意志ではなく、女の強要によるものだと主張する指揮官
米国には美希を保護する義務があると告げる
何か言ってやれと美希に促そうとした女だったが、特殊部隊の兵士が持ち出した能力阻害装置を見て眉を顰める

指向性の強い電磁波と超音波で位置感覚を狂わせるタイプの阻害装置の作動中に能力で攻撃しようとすれば、最悪の場合自分で自分を傷つけてしまう
指揮官の傍らにはヘッドセットを付けたテレパスがいて、女が能力を発動しないかモニタリングしている
はぁと溜息をついた女が手にしたスマホを起動する
能力を発動した場合、発砲を許可されているという最後通告を受けて女は首を振る

「今更能力なんか使いまへんって。いうかもうすでに使っとるし」

次の瞬間、ターミナルに竜巻が起きた
重装備の兵士が吹き飛ばされ、阻害装置は横転し、ターミナルの備品も例外ではない
血を流し、手足があらぬ方向に折れ曲がり、折り重なっている兵士の中から這い出た指揮官に女が笑いかける

【空間裂開】
余人には見えない空間の歪みを視認し、それに干渉することで空間を断絶、破壊し、裂け目(クラック)を創るのが女の能力
女はターミナルに入った時点で位相を少しずつずらして複数のクラックを重ねて作っていた
この所為でテレパスのモニタリングには引っ掛からなかったのだで
そして能力阻害装置の存在を確認した時点で能力を解除した
クラックを重ねて作ったことで生じた不自然な空間の歪みは復元される際に捻じれを生じ、その捻じれが風車のように回転することで強風を呼んだのだ

薄れゆく意識の中で指揮官は、女の用意周到さに舌を巻いた
女が自分の想像もつかない、どのような修羅場をくぐってきたのか戦慄した
そして自分たちにどんな運命が待ち受けているかを理解した

阻害装置が破壊されたことで自爆を恐れることなく【空間裂開】を発動した女は、スマホの画面を拡大するような手つきをした
フロアに発生したクラックに竜巻の犠牲者たちが呑み込まれて消えると、ターミナルには一瞬の静寂が戻った
そして喧騒。

騒いでいる乗客を目にした女は、美希を咎めるような目で睨んだ
女が設定したよりも犠牲者が少なく、特に一般の乗客に殆ど被害が及んでいないのは能力で介入した美希の所為だと詰る


射すくめるよな女の視線に気丈に立ち向かう美希を見て女は肩を竦めた

「ここでぎょうさん血が流れてビビッてくれた方が最終的な犠牲者は少なくなると思うんやけどな」
「it's not my business. 私は鞘師里保という人を倒す約束はしました。でもあなたの悪事を見逃すなんて言ってない」
「蒼いなあ。ほんまに蒼い。 せやったら精々その蒼い正義貫いてみいや」
「本当に鞘師さんを倒せば、あかねちゃんのこと」
「くどいなあ自分。うちみたいな悪人ほど一度交わした約束は守るもんやで」

次回、モーニング戦隊リゾナンター’14『One and Only』

運命に導かれし者が新たなる共鳴を生もうとしている


投稿日時:2016/11/03(木) 13:17:04.35


作者コメント
『幻影(前)』http://www35.atwiki.jp/marcher/pages/1101.html 『幻影(後)』を読んだ後に思いついたけど没にしたネタの再利用
よってリゾナンター’14です
そのうち ’11や’13もランダムに出てくるかもです
さて尾形牧野のはどんな能力で書いたらいいのやら





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