(131)140 『Chelsy』33

図書館にいると緊張してしまい、歩くだけでも神経を張ってしまうのは私だけであろうか?
図書館にいると読みたい本があったはずなのに思い出せなくなって、借りた後になって思い出すのは私だけであろうか?
書架の前で座っている幼稚園くらいの子供をみてほほえましくなるのは私だけではないはずだ
小さい頃に知らないことばかりで目の前のことが全て新しかったころ、図書館は遊園地のように面白かった
字が読めなくても開かれた絵本の鮮やかな色彩や見たこともない怪獣のイラストに心踊らされた

その気持ちを思い出したが、やはり図書館は面白い
小説のコーナーでは昔読んだ名作や友達と話を合わせるために一世を風靡したファンタジーなどが
欧米文学のコーナーではアメリカで読んだ作品も日本語に翻訳され、懐かしい気持ちになった
あれも読みたい、これも読みたいなんて目移りしながら一周、二周、三周・・・

しかし・・・自然と足はこのコーナーに向かってしまう。『心理学』『医学』『機械工学』
それは体に染み込んでしまった習慣でもあるのか、仕事を忘れられないのか
周りは制服姿の女の子が専門コーナーにいることに違和感を感じているのか、興味深い目が嫌になるのはいつものこと

『人の心を操るための人心把握術』『脳内神経伝達物質』『洗脳術』『独裁者の歴史』・・・
だめだ・・・休まないと、休まないと、と思っているのに、頭は事件を忘れさせてくれない
ウルの存在、飲むだけで意のままに操る悪魔の薬
そんなものが完成されているというのが本当に信じられない
あの売人がウルを持っていたならばどれだけ簡単に核心に迫れたのであろうか
しかし、そうはならなかったことは諦めなくてはならない。違うルートからウルに近づかなくては・・・

あ、あれは??
「千佳さん」
「・・・野中さん」
「体は大丈夫なの?」
「・・・」
正直驚いた。学校にしばらく来ないと思っていた彼女、シルベチカに逢えるなんて思わなかったから (Chelsy


 投稿日時:2016/09/28(水) 20:25:01.68





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