(110)106 『True "R" is L0ve』4  完結

ため息と一緒に聴こえた女の人の声
しゃがんで真莉愛を、真莉愛の眼を見つめる

「本当は、どうしたいの?」

綺麗な瞳が問い掛ける

どうしたい?
どうすれば良いんだろう

「真莉愛ちゃんの心は、なんて言ってる?」

真莉愛の心?

「ここに居たい? それとも、外に出たい?」

この人は、真莉愛の心がわかってるの?
真莉愛の、自分でもわからない心が

「ずっとここは嫌です。だけど……外に出ても、真莉愛の居場所なんて、無い
「あるよ」

え?

「私が、真莉愛ちゃんの居場所になってあげる」
「あなたが、真莉愛の居場所に?」

女の人は、優しい微笑みを真莉愛に見せた

胸の辺りが、あったかい
なんだっけ、この気持ち

「心が思うままに、胸の高鳴る方へ進めば良いの。だから」

女の人は、真莉愛に向けて両手を広げる

「おいで。一緒に行こう」

真莉愛の今の心は──

「牧野真莉愛、無事か?」

開いた扉から男の人の声
この施設の人だ

「お前、道重さゆみか!」

──念動力──サイコキネシス

床に落ちてた砂が舞い上がり、女の人に襲い掛かる

「きゃっ!」

眼に砂が入り、女の人=道重さんが怯む
施設の人が道重さんの横を通り、真莉愛の腕を掴む

「牧野真莉愛を確保! 大至急で転送をお願いします!」

通信機に向かって叫ぶ施設の人

転送?
ここから離れるの?
道重さんと、お別れ?
嫌だ!

真莉愛は──

「待ちなさい!」

眼を閉じ涙を零しながら、道重さんが真莉愛の方へ手を伸ばす

真莉愛は、道重さんと──

「真莉愛ちゃん!」

薄目で真莉愛を見る道重さん

真莉愛は、道重さんと一緒に居


──


真莉愛が道重さんへ手を伸ばしかけた瞬間
目の前の景色が変わり、道重さんの姿は無かった

「あの施設は破棄する事になった。今後はここに入る」

施設の人に続き、見慣れない廊下を進む

「リゾナンターめ、何故あの施設を……」

リゾナンター?
道重さんの事?

「あの、さっきの人は?」
「我々の敵だ。いずれは倒さねばならない。その為のお前たちだ」

真莉愛が、道重さんを倒す?
その為に連れて来られたの?

だったら、真莉愛がする事は──

「真莉愛が強くなったら、外に出られますか?」
「ああ。戦力と認められれば働いてもらう」
「わかりました。真莉愛、頑張ります」

真莉愛は強くなる
強くなって外に出て
道重さんに会うんだ

道重さんと一緒に居たい
一緒に生きたい

真莉愛は、絶対にここを出る!


投稿日時:2015/12/07(月) 12:18:19.41





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