(120)181 『まー修行』番外編・『Cheesy episode0』
「いててて・・・ちくしょう、あの小生物が!今度あったら、ボスに献上なんてしないでおいらのサンドバックにしてやる」
草原で目を覚ましたのはすでに眩しい太陽が頭上に現れることになっていた
アフリカの大地で無防備な状態で倒れていたというにも関わらず危険な肉食獣に襲われなかったのは幸運なことだった
「ああ、ちくしょう、リゾナンターも逃げてしまったし。まあ、おいらを恐れて撤退したんだろ
命拾いだな、リゾナンター。キャハハハ。しかし、おいらの部下たちはどこにいったんだ?」
改めて視界のいい草原を見渡したもの、矢口の都合のいい黒ずくめの男達は一人もみあたらなかった
「おかしいな?転送装置はおいらが預かっているのに。ここにあるよな??
しっかし、あついな・・・ま、いいやあいつらの代わりなんていくらでもいるし
帰って冷たいビールでも飲むか。キンキンに冷やして、こう、喉元をくぅーっと潤して・・・!! 誰だ」
誰かに視られている、そう感じた詐術師は慌てて戦闘態勢を整えた
丈の低い叢に隠れているのであろう、人一倍空気を読むのが得意であった詐術師は誰かの臭いを感じていた
「ありゃりゃ、さすが詐術師さんですね。こっそり叢に隠れるようにしていたんですが。mistakeでしたね」
あっさりと姿を現した女を詐術師は知らなかった
「・・・誰だ?おまえ、おいらのことを知っているということは敵、のようだが」
素朴そうな肌の白い少女は特徴的な舌を巻いたような声で返した
「敵、で構いませんよ。あなたの部下は私が拘束させていただきましたので、詐術師さん、あなたにも来ていただきます」
「リゾナンターか?きさまも?」
「Resonanntor??」
「まあ、なんでもいい、おいらと会ったことを後悔しな」
少女に向かい駆け出し、一気に距離を詰める
手にしたナイフで少女の腹部を目がけて切りつけようと振るった
しかし少女は特に動揺することもなく、数歩後ろに下がり、しゃがみこみ、詐術師の足元を崩そうと足を突き出した
詐術師も幹部の名に恥じない動きで足を跳ね上がり躱し、その勢いのまま回し蹴りの体制に入る
少女は両手を地面につよく叩きつけ、倒立の姿勢になり、そのまま一回転
詐術師の回し蹴りをはじき、勢いのまま後方へとバック転で距離を置く
「おまえ・・・何者だ?」
こんなやつ、データにないと思いながら、詐術師は息を整える
「ふふふ、、、名前は教えませんよ」
一方少女はまったく疲れている様子はない
「でも、本気でいきますよ」
指揮棒を振るうように両手を掲げると、周囲に砂埃が巻き上がった
砂埃だけではない詐術師が手にしていたナイフが手を離れ、宙に浮いた
ナイフだけではない、詐術師の隠していたピストルも、鉄球も浮いている
「Oh! ずいぶんとdangerousなもの隠していたのですね」
「ちっ、まあ、いいや。まだおいらには武器があるんだから
これ?おまえの能力だろ。ナイフに鉄球にピストル、砂埃
金属だけが宙に浮いているんだから、磁力を操るってところか?
キャハハ・・・無駄だよ、おいらの前ではすべての能力は無に帰す!!『阻害』発動!!」
余裕綽々な表情で笑いながら少女の顔向かい指さした
しかし・・・鉄球が落ちない、砂埃がやまない、ナイフの刃が元の持ち主へと向かう
「な、なんだと?能力を封じたはずなのに?も、もしかして、お前、ダブル(能力者)か??」
余裕綽々な笑顔は少女に移っていた。アニメ声で少女は答えた
「W??なんのことですか?」
指揮者のように両手を振るい、ナイフを右へ左へと操る姿をみて、詐術師は焦りを感じていた
「こんなやつ、データに入っていない。まずいぞ、ボスに伝えないと」
ポケットに手を伸ばす詐術師を見て少女は慌ててナイフを詐術師に跳ばした
指先がボタンに触れるのが一瞬早く、詐術師は姿を消し、ナイフは何も無い空を斬った
「・・・逃してしまいました、か」
構えを解くと砂埃は止んだ。自身も砂埃に目をやられてしまい、眼をこすりながら叢へと歩を進めた
何も言わずにナップザックから通信機を取り出し、起動させる
『Sorry. I miss Ms tricker. 』
『OK, I know, I know. But you tried hard, Chelsy.』
『Thanks, teacher.』 (まー修行番外編、『Chelsy』 episode0
更新日時:2016/05/06(金) 22:33:52
おかしのチェルシーはCHELSEAが正しいスペルですが、code nameなのでChelsyにしました。
まー修行は完結。次はこっちを適当に書いていこうと思います。
まー修行を長い間読んでいただきありがとうございました。