(130)186 『Chelsy』28

録画された映像を見終えたが、先ほどの戦闘で知りえた以上の情報は含まれていなかった
結局、この男は販売人であり、どこで誰が作っているのか知らなかった
自白剤のためであろうか男は常にぼうっとしており、質問に対して回答するまでに時間を要した

『・・・俺は新しい資金源になる、売りたい奴に売れと言われたから売っただけ
・・・どこから仕入れたかは俺も知らない。それはボスしかしらない』
『ボスはだれで、どこにいる?』
「・・・ボスは俺達に月に一度の手紙を送る」
「手紙?」

班長の声だ。私も妙に感じたところであった
ボスが手紙で命令を送るということではない、その頻度があまりにも少ないと感じたのだ
たった月に一度、という頻度でこの男の組織は成立しているとでもいうのか?
他組織との抗争であったり、組織内の覇権争い等をたった月に一度の連絡で纏められるのか
『とんでもない化け物だったりしてな』
「こら、ジョニー、ふざけている場合ではないぞ」

しかしたった月の一度の手紙で組織を纏め上げられるのであれば、とんでもない化け物という表現も強ち間違いではない
これは後から調べて分かったことだが、尋問している男の組織は決して小さいものではなかった
安定した収入と戦闘員を確保し、元傭兵というこの男達が忠義を尽くすだけの組織

結局、『ウル』を追うにはそのボスとやらを追う必要があるということが分かった
尋問にかけた男は怪我を治し、そのままこの国の警察にお願いするという流れに落ち着いた
治外法権の外とはいえ、国家間でのつながりは大切だ。
日本としては危ない薬を広げることを防げるのでありがたい話なのであろう

ジョニーがオレンジジュースを渡してくれた。
「少しは休まないと体が持たないよ、チェルシー。シルベチカも見つかったんだから、一日くらい休んだらどうだい?」
「仕事を入れてくるのは誰かしらね?」
「ぼ、僕だけど、ほ、ほら、スーツの調節に一日かかるから働かせられない。君は休むべきだ」
そうね、たまには高校生としての日常を過ごさせてもらうわ。図書館にでも行ってね (Chelsy


投稿日時:2016/09/17(土) 22:43:31.24





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