(133)150 『Chelsy』40
机の引き出しを一つ一つ引き抜いて裏になにかないか、キャビネットの裏面に何かないか?
壁紙に何かないか?残された絨毯に不自然な電磁波の波がないか?
「チェルシーさん、我々は何をすればいいですか?」
「そうですね、班長にお願いされた仕事を続けてください。私は私のできることをしますので」
「了解しました」
「僕は何をすればいい?」
「ジョニーはね・・・そうね、そこにある椅子を持ってきてくれるかしら?天井を調べたいの」
「僕が馬になってもいいんだけどな。はい、持ってきたよ。それでどうだい?」
首を振ってみせた私の反応は想定内だったのだろう、ゆっくりやろうと肩をすくめてみせた
モニター越しにみた世界は電磁波がある部位だけが紅く示される
スマートフォンを身に着けているであろうジョニーのポケットや写真をとっているカメラも紅くなる
電灯付近も当然紅くなるが、天井にも壁にも残された家具のどこにも明らかな紅くそまる場所はなかった
天井裏を探ったが、何もなく、埃を払いながら、ジョニーの手を借りて床上に降りた
「天井裏はどうだった?」
「だめ、何もなかったわ。絨毯の裏もなかったし、あとは秘密の隠し部屋でもない限りは」
「おいおい、推理小説じゃないんだから、秘密の隠し部屋なんて、ただのビルにあるはずないだろ」
それは承知の上だったのだが、本当に何もないのだ
天井を見上げてもやはり何も変わらない。壁をみても変わらない。床を見ても・・・ん?
「どうしたんだいチェルシー?」
急にしゃがみこんだ私のもとにこの部屋にいた全員が駆け寄ってきた
「ねえ、ここ、絨毯のここだけ、紅く光っているわ」
「見た目だと何もないように見えるけど、何かあったのかもしれないね。回収しておくよ」
「そうね、普通に見えるところもサンプルとしてとっておきましょう」 (Chelsy
投稿日時:2016/10/21(金) 22:23:06.13