(134)410 次回予告・リゾナンター'14 『リトルぷりんせす☆ぷりっ!』

それは生田衣梨奈が喫茶リゾナントに身を寄せて間もない頃の話

「新垣さ~ん」

【精神破壊】によって級友達に大怪我をさせた衣梨奈の扱いについてはリゾナンターの中でも意見が分かれた
それが悪意無き能力の暴走であっても、三十人近い生徒の肉体や精神に深い傷を残した衣梨奈に何のペナルティも与えなくていいのか
リゾナンターの一員として迎え入れてもいいものなのか
来る者拒まずがポリシーのリーダー高橋愛でさえ即断しかねる問題だった
同時期に鞘師里保や鈴木香音、譜久村聖といった新しいメンバーが加入していたことも一つの要因ではあった
経験豊富なメンバーならまだしも、鞘師たち新人たちに対して【精神破壊】の暴発が起こればどんな悲惨な事態になるかわからない
収容施設の中で一生過ごさせるべきではないかという意見すら出ていた流れを変えたのは、鞘師たち新人の意見だった

「危ないからといって剣を抜かなければ不戦敗ですよね、生意気なこと言ってすみません」
「衣梨奈ちゃんかわいそう」
「私たちもできるだけのサポートをしますから」

それは無知から来る希望的観測だったのかもしれないが、リゾナンターの最終決定権を持つ愛の首を縦に振らせるには十分だった
かくして生田衣梨奈はリゾナンターが保護し、責任を持って監督するということで司直との話し合いもまとまった
怪我が癒え当面リゾナントで暮らすことになった衣梨奈の世話役を買って出たのは里沙だった
それは衣梨奈のことがかわいかったからという理由ではない
もし万が一衣梨奈の【精神破壊】が暴走した時、非情に徹しきって衣梨奈の命を奪うことが出来るのは自分しかいないという自覚と責任感からであった
心の芯の部分で優しい愛や、戦闘要員ではない道重さゆみや光井愛佳には任せるわけにはいかない
自分よりは長くリゾナンターに関わってもらわねばならない田中れいなに汚れ役をやらせるわけにはいかないという大人の判断もある

そんな経緯で買って出た世話役だから、最初のうちは衣梨奈に対してはどこか冷淡に接していた
もしも必要以上に親密になってしまっては非常時に非情に徹しきれないという危惧があったからだ
だが肉体の鍛錬や体術を厳しく指導する里沙にどうしたわけか衣梨奈は懐いた
ウザいと口にしてもヘラヘラ笑われながらまとわりつかれる日々

「新垣さ~ん」

そんな衣梨奈の声を耳にする度、調子を狂わされながらも放ってはおけないという感情が里沙に芽生えてきた
といっても衣梨奈に対する指導が甘くなることは無い
制御に難しい【精神破壊】を使用せずとも、リゾナンターの一員としての務めを果たせるよう厳しく指導する
そんな指導についていくうちに、衣梨奈の身体能力は鞘師里保に引けを取らないぐらい成長を遂げた
ただ一つ気になったのは、自分の成長を自覚した上でスタンドプレーに走るような動きが目立つこと
自分の身の危険を省みず、戦いを決めるような動きに走ろうとする衣梨奈を里沙は注意した

「あんたね~、もっと自分自身のことも気にかけなさないよ~。 都合のいい時に助けに来てくれるヒーローなんてそうそう世の中にはいないんだから」
「ええ、だったらえりがヒーローになりたぃ」

指導を続けていきながら里沙は衣梨奈の精神に若干の干渉を行った
衣梨奈の起こした集団錯乱に関する記憶に迷彩を施したのだ
里沙と愛の能力なら、衣梨奈の記憶を完璧に改竄することもできる
しかしそれではたとえ悪意が無かったとはいえ、自分の犯した過ちと向き合う機会を衣梨奈から奪ってしまうことになる
衣梨奈がリゾナンターとしての経験を積み、精神面での成長を遂げた時点で、凄惨な事件の真実を告げるか、完全に除去するか決める
里沙と愛は話し合ってそう決めた

後に里沙はその決定を後悔することになる
なぜ自分は完全に衣梨奈の記憶を改竄しておかなかったのかと

次回、モーニング戦隊リゾナンター’14『リトルぷりんせす☆ぷりっ!』

これはココロに抱いた大きな夢を叶えようとするわがままプリンセスの話


投稿日時:2016/11/08(火) 18:45:24.21







ページの先頭へ