(134)440 次回予告・リゾナンター'14 『ラヴ&ピィ~ス!HEROがやって来たっ。』

「さとうみ」の主催者は生田衣梨奈の【精神破壊】が制御困難な能力だと看破していた
不発と暴発が込められたロシアンルーレットのような【精神破壊】が発動されるには、衣梨奈の精神を破滅寸前まで追い込まねばならない
そのために仕組んだのが今回の航海であり、「さとうみ」自体が生田衣梨を捕獲するための罠だといっていい

「さとうみ」の主催者はかつて警察に協力していた【催眠】能力者だった
そんな彼が非合法の世界に足を踏み入れたのは、衣梨奈が学校で引き起こした集団錯乱事件がきっかけだった
警察の要請で現場に向った彼は、凄惨な現場を目にしてしまった
彼の力量ではとても収拾が付かない現場にやってきたのは、高橋愛が率いるリゾナンターだった
リゾナンターの出動は公には出来ないことなのか、情報統制の為、彼は現場から締め出された
屈辱を感じた彼が最後に目にしたのは、紫の焔だった
衣梨奈が笑い、衣梨奈が泣く度に燃え上がる精神の焔の色に彼は魅せられてしまった
警察との関係が疎遠になった彼に甘い囁きをする者がいた

10億以上の人民を抱え、、100の言語を話し、1割の富裕層が富の7割を独占しているそんな国の不満を抱えている人民に、衣梨奈の狂気の紫の焔を放ったらどうなるか
ある意味核兵器並みの殺傷力を持ちながら、何の国際的な規制を受けない衣梨奈の能力にはどれほどの価値があるか

その甘言を主催者は100%信じたわけではない
それでもまっとうな活動をしていた「さとうみ」を乗っ取り今回の計画を実行したのは、もう一度衣梨奈の【精神破壊】が起こす狂気の紫の焔を間近で見たいという願いからだった

そんな主催者の願いはまだ叶えられていない
反撃する力を失った衣梨奈は、無抵抗で暴力を受け続けてからだ
【精神破壊】の発動を促す主催者だったが…

「衣梨奈の・・敵は、衣梨奈の中の・・・衣梨奈自身やけん」

頑なに【精神破壊】も発動を拒否する衣梨奈の態度に業を煮やした主催者は鉄パイプを持った者に衣梨奈の膝を完全破壊するよう命じた
その激痛と恐怖や怒りが【精神破壊】を発動させると考えてのことだった
訪れるであろう痛みに備えようとした衣梨奈が耳にしたのは何か釣り糸のリールが巻き取られる時のような音とそして…

「バカだねえ。自分自身を敵に回しちゃってどうするのさ。 最後にアンタを助けてくれるのはアンタ自身なんだから」
「に、新垣さん」
「ピンチの時に駆け付けてくれる都合のいいヒーローなんてそうそういやしないんだよ」

傷ついた少女を救う為に舞い降りた叡智のイエローグリーンのその瞳には静かなる怒りの炎が燃えていた

【瞬間移動】を駆使する高橋愛と共にシンドバッド号に駆け付けた里沙は、事態がある程度収拾すると人気の無い甲板で衣梨奈の激情を受け止めていた
自分が傷つけた同級生に謝りに行きたいという願いを里沙は否定せざるを得なかった
衣梨奈の存在が、傷ついた犠牲者の精神にどんな悪影響を与えるか判らないからだ

「あんな恐ろしかことをしでかした衣梨奈、もうヒーローにはなれん。リゾナントにもおれん」

里沙は衣梨奈の【精神破壊】の恐ろしさを知ってなお衣梨奈のことを受け止めようとした仲間のことを告げた
鞘師里保、鈴木香音、譜久村聖
みんな衣梨奈と同じ時期に響きあった者たちだ

「それでもアンタがリゾナントを出ていくっていうなら、止めることはできないけど、でもやっぱりわたしはアンタにリゾナンターでいて欲しい」
「新垣さんっ」

2年前に新垣里沙はリゾナンターを離脱した
今は公安調査庁で働きながら、リゾナンターの活動を側面からサポートしている
衣梨奈は里沙から受け継いだ鋼線を操る訓練を日課にしている
仲間相手にする時ははロープを使って訓練するというのは里沙からの請け売りだ
新垣里沙の言葉を羅針盤に、その背中を追いかけ、追いつき、肩を並べて戦うことが衣梨奈の夢だ

次回、モーニング戦隊リゾナンター’14『ラヴ&ピィ~ス!HEROがやって来たっ。』

でも新垣さんは一つだけ間違っとうよ
あの時、新垣さんは衣梨奈のこと助けにきてくれたやろう
ヒーローはおるよ


投稿日時:2016/11/09(水) 18:55:51.94







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