(136)188 次回予告・リゾナンター'14 『Through Down the Sword』
(どうして室内なのにこんなに強い風を吹かせられるんだ)
亀井絵里の挑発で始まった能力を使った実戦訓練は制空圏ならぬ制水圏争いから始まった
小規模な竜巻で舞い上げた水を容赦なく里保に降り注がせようとする絵里
鞘師里保は【アクアキネシス】で水の掌握を取り戻し、攻撃の為に滞空させようとする
そこへ突風が襲ってきて視野を狭まれる
怯んだ隙に支配権を失った水は、プールサイドに落ちて排水溝に流されていく
不毛な消耗戦を幾度か繰り返すうちに、プールの水は殆ど無くなってしまった
(プールサイドの水溜りや壁に張り付いている水滴を集めれば大砲を二三発は撃てるけどおそらく風の防壁で防がれる)
(能力の相性が悪すぎる)
(ならば水の剣で、でもそれじゃ亀井さんを傷つけてしまう)
(排水溝に流された水を引き戻すか? あっ道重さんに怒られそうだ)
絵里の挑発の意図が自分のことを思ってだということが判りすぎるだけに、思い切った攻撃を切り出せない
そして里保の体力も限界が近づきつつある
この実戦訓練が始まるまでの一日の体力の消費量は里保が上回っているだろう
しかし元気そうに見えても病院暮らしの絵里の体力もどこまで続くのかわからない
できるだけ早くこの特訓を終わらせたいと考えた里保は奇襲に打って出た
風の死角になっているプールサイドの床面をスライディングして絵里の足を絡め取ろうとした
水軍流仕込みの組打ちで絵里を無力化して、訓練を終わらせるつもりだった
しかし、里保に足元に滑り込まれる前に、能力で生成した竜巻に乗って自分の身体を宙に舞い上げた
直前まで里保の居た場所まで宙を飛ぶと、華麗に着地し、損なった
うわっだから言わんこっちゃない
尻餅をついた絵里の元に急いだ里保だったが…。
「ばぁーん」
「亀井さん」
「ほっほっほっ、お主もまだまだ尻が青いのう」
手足を絡め取られてしまった里保は抜け出そうとしたが、絵里の息遣いが荒くなっていることに気づき、抵抗を止めた
結果的に絵里に背中から抱かれる形になった
「辛かったろうね」
絵里に思いもかけない言葉をかけられて驚いた
「香音ちゃんを守れなくて辛かったろうね。わたしも同じような思いをしたことがある」
「亀井さん」
「実際のところ君はよくやってると思うよ。もしも能力抜きでやり合えばれいなよりも強いと思うよ」
そんなことはないという里保の言葉は、黙って聞いてと絵里に遮られた
「君が愛ちゃんから託されたもの、リゾナンターの皆を守ろうとして一生懸命なのは良くわかる。わかるけど君は抱え込み過ぎなんじゃないの」
「……」
「お祖父さんに水軍流を叩きこまれたからってそれが何。もしも苦しい時や辛い時は誰かに助けを求めたっていいんだよ。それが仲間でしょう」
「……」
「香音ちゃんの怪我だってそう。君が戦えない状態だったから香音ちゃんが君を守った、そして傷ついてしまった。それを何とも思わないようなら問題だけど、引き摺りすぎたって香音ちゃんにとって失礼じゃないの」
「……」
「だから君は、あっ」
次回、モーニング戦隊リゾナンター’14 『Through Down the Sword』
「亀井さん、どうしたんですか。体の具合が悪くなったんじゃ?」
「パンツ濡れちゃった」
投稿日時:2016/12/02(金) 05:05:52.07