リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第30話(ミラー)
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1 : 名無し募集中。。。 投稿日:2009/07/09(木) 09:25:44.92 0
2 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:26:25.37 0
3 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:27:05.86 0
今まで出てきた設定やイメージ画像
高橋
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/12.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_ai.jpg
新垣
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/13.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_risa.jpg
光井
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/18.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_aika.jpg
久住
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/17.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_koharu.jpg
田中
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/16.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_reina.jpg
亀井・道重
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/14.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/15.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_sayueri.jpg
ジュンジュン・リンリン
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/19.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/20.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_junlin.jpg
今まで出てきた設定やイメージ画像
高橋
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/12.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_ai.jpg
新垣
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/13.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_risa.jpg
光井
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/18.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_aika.jpg
久住
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/17.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_koharu.jpg
田中
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/16.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_reina.jpg
亀井・道重
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/14.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/15.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_sayueri.jpg
ジュンジュン・リンリン
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/19.html
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/20.html
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/r_junlin.jpg
4 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:27:51.62 0
喰らってくたばれ!
必殺!
ttp://resonant.pockydiary.net/file/helpme.gif
リゾナンカー
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/car.jpg
リゾナントロボ…
発……
ttp://resonant.pockydiary.net/file/robo.gif
喰らってくたばれ!
必殺!
ttp://resonant.pockydiary.net/file/helpme.gif
リゾナンカー
ttp://resonant.pockydiary.net/file/template/car.jpg
リゾナントロボ…
発……
ttp://resonant.pockydiary.net/file/robo.gif
5 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:28:32.00 0
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス) ※手で掴める物限定
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
詳しくはこちら
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/35.html
ジュンジュン獣化参考画像
http://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
【今まで出てきた能力まとめ】
高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション) /水守
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス) ※手で掴める物限定
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
詳しくはこちら
http://www39.atwiki.jp/resonant/pages/35.html
ジュンジュン獣化参考画像
http://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
6 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:29:12.54 0
【喫茶店リゾナントイメージ】
間取り
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/142-1.gif
ttp://aika64p.dnsalias.net/upload/aika64pdata/aika64p0516.jpg
本日のランチ
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/155-1.jpg
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/156-1.jpg
タウン誌紹介文
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/383-1.jpg
【喫茶店リゾナントイメージ】
間取り
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/142-1.gif
ttp://aika64p.dnsalias.net/upload/aika64pdata/aika64p0516.jpg
本日のランチ
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/155-1.jpg
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/156-1.jpg
タウン誌紹介文
ttp://resonant.pockydiary.net/data/upfile/383-1.jpg
7 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:29:53.26 0
【TV・映画イメージ】
リゾナンターEDイメージ(字あり)
http://jp.youtube.com/watch?v=pbHlnMj9r1E
リゾナンターEDイメージ(字なし)
http://jp.youtube.com/watch?v=6veKqzAYQI0
リゾナンターEDイメージ(字あり提供入)
http://jp.youtube.com/watch?v=ijT95qkTqfA&NR=1
リゾナンター予告イメージ
http://jp.youtube.com/watch?v=wSVKqpCYrQs
リゾナンター予告編・i914Ver. ※血液等の映像が含まれますので苦手な方は見ないほうがいいです
http://jp.youtube.com/watch?v=TEsl4BjQ8sA
リゾナンターの予告編パート2/映画風
http://jp.youtube.com/watch?v=9Rvh02cQQoI&fmt=6
リゾナンター予告編/刃千史Ver
http://jp.youtube.com/watch?v=baXFvPKZQyI&fmt=6
リゾナンター予告編/予知能力者Ver
http://jp.youtube.com/watch?v=oR95z8sdOMM&fmt=18
リゾナンター/共鳴セヨ
http://jp.youtube.com/watch?v=3m65hxrvduY
リゾナンター予告編/ダークネスVer.
http://jp.youtube.com/watch?v=OkFqDKBJUBg&fmt=6
イントロダクション
http://www.youtube.com/watch?v=srvVoDEse2g
リゾスレ一周年記念動画
http://www.youtube.com/watch?v=VBgPc_o1u0E&fmt=18
【TV・映画イメージ】
リゾナンターEDイメージ(字あり)
http://jp.youtube.com/watch?v=pbHlnMj9r1E
リゾナンターEDイメージ(字なし)
http://jp.youtube.com/watch?v=6veKqzAYQI0
リゾナンターEDイメージ(字あり提供入)
http://jp.youtube.com/watch?v=ijT95qkTqfA&NR=1
リゾナンター予告イメージ
http://jp.youtube.com/watch?v=wSVKqpCYrQs
リゾナンター予告編・i914Ver. ※血液等の映像が含まれますので苦手な方は見ないほうがいいです
http://jp.youtube.com/watch?v=TEsl4BjQ8sA
リゾナンターの予告編パート2/映画風
http://jp.youtube.com/watch?v=9Rvh02cQQoI&fmt=6
リゾナンター予告編/刃千史Ver
http://jp.youtube.com/watch?v=baXFvPKZQyI&fmt=6
リゾナンター予告編/予知能力者Ver
http://jp.youtube.com/watch?v=oR95z8sdOMM&fmt=18
リゾナンター/共鳴セヨ
http://jp.youtube.com/watch?v=3m65hxrvduY
リゾナンター予告編/ダークネスVer.
http://jp.youtube.com/watch?v=OkFqDKBJUBg&fmt=6
イントロダクション
http://www.youtube.com/watch?v=srvVoDEse2g
リゾスレ一周年記念動画
http://www.youtube.com/watch?v=VBgPc_o1u0E&fmt=18
8 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:30:33.85 0
【投稿日順に読む裏技】
まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)
ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません
このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも
※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(1)123)を拾ってしまうためです
※※現在タグでスレごとの作品が読めるようになっています
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載して欲しい
・レス数多いから掲載を手伝って欲しい
など
【投稿日順に読む裏技】
まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)
ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません
このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも
※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(1)123)を拾ってしまうためです
※※現在タグでスレごとの作品が読めるようになっています
【代理投稿を依頼するときのお願い】
したらば掲示板のアク禁スレに作品を上げるときは対処方法の指示も書いてください
例えば
・規制食らったので転載して欲しい
・レス数多いから掲載を手伝って欲しい
など
9 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:31:14.58 0
<<サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノからのお願い事>>
・作品投下と同時に作品タイトルも決めてあるよ!
→作品の中・前後に『 』でくくってくれたらわかりやすいよ!
・前に投下した作品の題名考えたよ!
→必ずしたらばの「題名スレ」に書いてね
・題名変えたいんだけど…
→それも「題名スレ」でおkだよ
・自分の作品に誤字脱字編集したいとこ見つけた
→したらばの「催促スレ」に書き込んでね
・編集したいとこがいっぱいありすぎて書けない
→テキストをメールで送ってね まとめサイトにメールフォームあるよ
・自分のあの作品とこの作品リンクさせてほしい
→「催促スレ」に書いてね
・その分類じゃなくて違う分類がいいんだけど…
→それも「催促スレ」でおk
・こらサボティ!直せって言ったとこ直ってない!
→「催促スレ」で教えてねゴメンネ
☆「催促スレ」「題名スレ」でお願い事した場合はageてね!
・何か企画とか考えたいんだけど
→したらばに自由にスレ立てて進めてくださいな
・とりあえず雑談したいんだけど
→「更新履歴とか雑談スレ」はみんなで使っていいスレだよ
・テンプレにあれこれ追加削除したい
→したらば「テンプレスレ」で話し合おうぜ
<<サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノからのお願い事>>
・作品投下と同時に作品タイトルも決めてあるよ!
→作品の中・前後に『 』でくくってくれたらわかりやすいよ!
・前に投下した作品の題名考えたよ!
→必ずしたらばの「題名スレ」に書いてね
・題名変えたいんだけど…
→それも「題名スレ」でおkだよ
・自分の作品に誤字脱字編集したいとこ見つけた
→したらばの「催促スレ」に書き込んでね
・編集したいとこがいっぱいありすぎて書けない
→テキストをメールで送ってね まとめサイトにメールフォームあるよ
・自分のあの作品とこの作品リンクさせてほしい
→「催促スレ」に書いてね
・その分類じゃなくて違う分類がいいんだけど…
→それも「催促スレ」でおk
・こらサボティ!直せって言ったとこ直ってない!
→「催促スレ」で教えてねゴメンネ
☆「催促スレ」「題名スレ」でお願い事した場合はageてね!
・何か企画とか考えたいんだけど
→したらばに自由にスレ立てて進めてくださいな
・とりあえず雑談したいんだけど
→「更新履歴とか雑談スレ」はみんなで使っていいスレだよ
・テンプレにあれこれ追加削除したい
→したらば「テンプレスレ」で話し合おうぜ
10 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/09(木) 09:31:57.16 0
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するがし
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
川*’ー’) < テンプレの設定やまとめサイトを参考にして自由に想像するがし
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
11 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/09(木) 09:32:37.81 0
12 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:34:47.79 0
从*・ 。.・)<記念の第30話中にハタチになるさゆが立てましたなの
リo´ゥ`リ<小春もー!小春ももうすぐ誕生日だよー!
sageてたつもりが最初だけでした;
ともあれ記念の第30話突入です!
今スレも皆様の熱いご支援をよろしくどうぞ
从*・ 。.・)<記念の第30話中にハタチになるさゆが立てましたなの
リo´ゥ`リ<小春もー!小春ももうすぐ誕生日だよー!
sageてたつもりが最初だけでした;
ともあれ記念の第30話突入です!
今スレも皆様の熱いご支援をよろしくどうぞ
13 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 10:44:46.96 0
新スレおめ(商談中)
14 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 11:26:25.32 0
いよいよ第30話ですね!
どんな名作にお目にかかることができるか楽しみです。
どんな名作にお目にかかることができるか楽しみです。
15 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 12:24:20.58 O
さゆ乙ですなの
16 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 12:55:00.57 O
前スレ1000ワロタ
17 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 13:08:24.70 O
前スレ1000カワイソスw
そしてダクネチュ様待ち
そしてダクネチュ様待ち
18 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 13:53:34.55 0
('A`)ダクネチュサマ...
20 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 15:32:01.92 O
いちおつ!
28話目をさっき一気に読み終えますた
28話目をさっき一気に読み終えますた
21 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 15:36:04.89 O
22 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 15:57:01.91 O
ダクネチュちゃんはお仕事中なのでちょっとまって下されw彼を待ってくれる人がいるんだなぁ嬉しいよ
9時か10時ごろになりそうです あと今回はダクネチュが何か企んでいるようです・・・うまくいくかなぁ
9時か10時ごろになりそうです あと今回はダクネチュが何か企んでいるようです・・・うまくいくかなぁ
23 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 16:00:36.83 0
>>22
待たせていただきます!総統閣下
待たせていただきます!総統閣下
24 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 17:31:03.17 O
オイラも帰宅してPCの前で正座して待ちます!!
25 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 18:49:34.36 O
19時半頃に雨シリーズ投下します
26 : 25[] 投稿日:2009/07/09(木) 19:26:01.81 O
ごめんなさい!
家に着く時間が遅れそうなので20時に投下します
家に着く時間が遅れそうなので20時に投下します
27 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 19:29:52.60 0
おっけー 待ってます!
28 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 19:59:31.16 0
雨の中にリゾナントが見えて、なんだかとても懐かしい感じがした。
リゾナントに着いたということは、それなりに時間が経ったということだ。
いつもは嬉しくなるこのシルエットも、今は胸を締め付けるものでしかなかった。
ドアの前に着くと同時に、愛ちゃんが傘を閉じる為に繋いでいた手を離した。
ポケットから鍵を取り出し、扉を開く。
離された右手が寂しかった。
もう繋ぐことはないんだろうな。
そう思うだけで、視界が涙で滲む。
中は暗くて暖かかった。
ついさっきまで田中っち達がいたのかもしれない。
愛ちゃんは私にタオルを渡すと、自分も頭からタオルを被りながらキッチンへ入っていった。
「ガキさん、カフェモカでええやろ?」
「あ、うん」
頭をタオルで拭いていたら、さっきと同じ格好のままの愛ちゃんが
二つのカップを持って出てきた。
カウンター席に座ろうとした愛ちゃんの髪の毛から雫が落ちそうだった。
あんまりちゃんと拭いてないんだろうな。
「ありがとう」
「ん、えーよ」
私が座ったのを確認してから、愛ちゃんは私にカップを差し出した。
私がカップに口をつけたのを確認してから、愛ちゃんはようやく髪の毛を拭き始めた。
そんないつもは何でも無いような気遣いでさえ私の心を揺さぶる。
リゾナントに着いたということは、それなりに時間が経ったということだ。
いつもは嬉しくなるこのシルエットも、今は胸を締め付けるものでしかなかった。
ドアの前に着くと同時に、愛ちゃんが傘を閉じる為に繋いでいた手を離した。
ポケットから鍵を取り出し、扉を開く。
離された右手が寂しかった。
もう繋ぐことはないんだろうな。
そう思うだけで、視界が涙で滲む。
中は暗くて暖かかった。
ついさっきまで田中っち達がいたのかもしれない。
愛ちゃんは私にタオルを渡すと、自分も頭からタオルを被りながらキッチンへ入っていった。
「ガキさん、カフェモカでええやろ?」
「あ、うん」
頭をタオルで拭いていたら、さっきと同じ格好のままの愛ちゃんが
二つのカップを持って出てきた。
カウンター席に座ろうとした愛ちゃんの髪の毛から雫が落ちそうだった。
あんまりちゃんと拭いてないんだろうな。
「ありがとう」
「ん、えーよ」
私が座ったのを確認してから、愛ちゃんは私にカップを差し出した。
私がカップに口をつけたのを確認してから、愛ちゃんはようやく髪の毛を拭き始めた。
そんないつもは何でも無いような気遣いでさえ私の心を揺さぶる。
29 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:00:28.42 0
両手で包み込んだカップが、冷えた身体を暖めてくれた。
一口飲んだだけで、心まで温められるようだった。
私の大好きなカフェモカ。
このカフェモカも、もう飲めなくなるんだ。
そんなの…そんなの無理だよ。
私だって、みんなの仲間でいたいよ。
私は“ここ”にいたい。
もしも、裏切者としてでなく、共鳴者として出会えていたら―
無駄だとわかっていても。
叶わないとわかっていても。
そんなことばかり考えてしまう。
「…里沙ちゃん」
「…!」
急に名前で呼ばれて、私は咄嗟に声が出せなかった。
なんだか久しぶりに呼ばれた気がする。
まだこんなに仲間がいない頃に、呼ばれていた名前だ。
「何?」
私はむず痒いような、くすぐったいような気持ちになりながら愛ちゃんの顔を見た。
そこには右手を差し出しながら、私の顔を真剣に見る愛ちゃんの顔があった。
両手で包み込んだカップが、冷えた身体を暖めてくれた。
一口飲んだだけで、心まで温められるようだった。
私の大好きなカフェモカ。
このカフェモカも、もう飲めなくなるんだ。
そんなの…そんなの無理だよ。
私だって、みんなの仲間でいたいよ。
私は“ここ”にいたい。
もしも、裏切者としてでなく、共鳴者として出会えていたら―
無駄だとわかっていても。
叶わないとわかっていても。
そんなことばかり考えてしまう。
「…里沙ちゃん」
「…!」
急に名前で呼ばれて、私は咄嗟に声が出せなかった。
なんだか久しぶりに呼ばれた気がする。
まだこんなに仲間がいない頃に、呼ばれていた名前だ。
「何?」
私はむず痒いような、くすぐったいような気持ちになりながら愛ちゃんの顔を見た。
そこには右手を差し出しながら、私の顔を真剣に見る愛ちゃんの顔があった。
30 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:01:24.20 0
「手繋いでもええか?」
「手?」
「もう離さんって、言ったやろ?」
「…!」
私は左手を差し出そうとして、寸前でやめた。
その手を握ったら、二度と離せなくなると思ったから。
忘れるな。
上からの命令は絶対だ。
このまま戻らなかったら、裏切り者として“処理”されてしまうだろう。
それだけじゃない。
きっと…仲間もみんな…。
忘れるな…!
私は、ダークネスの裏切り者―。
「やっぱりあかん…?」
愛ちゃんの声は震えていた。
いつものように安心させてあげなきゃと思う。
だけど、私は何も言わずに頷いた。
その手を握りたいのに。
抱きしめて、大丈夫だよって言いたいのに。
今までしてきたみたいに…したいだけなのに…。
たったそれだけのことも、私はもう出来ないのか。
「手繋いでもええか?」
「手?」
「もう離さんって、言ったやろ?」
「…!」
私は左手を差し出そうとして、寸前でやめた。
その手を握ったら、二度と離せなくなると思ったから。
忘れるな。
上からの命令は絶対だ。
このまま戻らなかったら、裏切り者として“処理”されてしまうだろう。
それだけじゃない。
きっと…仲間もみんな…。
忘れるな…!
私は、ダークネスの裏切り者―。
「やっぱりあかん…?」
愛ちゃんの声は震えていた。
いつものように安心させてあげなきゃと思う。
だけど、私は何も言わずに頷いた。
その手を握りたいのに。
抱きしめて、大丈夫だよって言いたいのに。
今までしてきたみたいに…したいだけなのに…。
たったそれだけのことも、私はもう出来ないのか。
31 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:02:07.64 0
「そう…か…」
愛ちゃんは行き場の無くした右手で、髪の毛をくしゃくしゃと掻きむしった。
愛ちゃんの癖だ。
こんなこと、私がただのスパイだったら気付かなかっただろう。
「ごめんな」
「何がよ」
次に愛ちゃんが呟いたのは、謝罪の言葉だった。
謝ることはないという意味も込めて、私は静かに笑った。
「守ったるとか、心配するなとか、いろいろ…言ってあげれんくて」
「愛ちゃん…」
「明日から里沙ちゃんがおらんのやって思うと、すっげー不安で。
こんなに里沙ちゃんの存在が私にとって大きかったんやなって、改めて感じて…」
こんなに弱っている愛ちゃんを見るのは久しぶりだった。
いつからか愛ちゃんは弱音を吐かなくなって、いつの間にかみんなを励ますようになってた。
私も愛ちゃんにたくさん元気付けられてたこと、ちゃんと気付いてる?
「怖いんよ…里沙ちゃんがおらんくなったら、今までみたいにやれる自信がない」
私の中で愛ちゃんの存在が大きいように、愛ちゃんの中でも私の存在は大きくて。
それはとても嬉しいことで、とても…悲しいことだった。
今まで当たり前だと思ってたことが、当たり前じゃなくなってしまう。
それがどういうことなのか、どれだけ怖いことなのか、ようやくわかった気がした。
「そう…か…」
愛ちゃんは行き場の無くした右手で、髪の毛をくしゃくしゃと掻きむしった。
愛ちゃんの癖だ。
こんなこと、私がただのスパイだったら気付かなかっただろう。
「ごめんな」
「何がよ」
次に愛ちゃんが呟いたのは、謝罪の言葉だった。
謝ることはないという意味も込めて、私は静かに笑った。
「守ったるとか、心配するなとか、いろいろ…言ってあげれんくて」
「愛ちゃん…」
「明日から里沙ちゃんがおらんのやって思うと、すっげー不安で。
こんなに里沙ちゃんの存在が私にとって大きかったんやなって、改めて感じて…」
こんなに弱っている愛ちゃんを見るのは久しぶりだった。
いつからか愛ちゃんは弱音を吐かなくなって、いつの間にかみんなを励ますようになってた。
私も愛ちゃんにたくさん元気付けられてたこと、ちゃんと気付いてる?
「怖いんよ…里沙ちゃんがおらんくなったら、今までみたいにやれる自信がない」
私の中で愛ちゃんの存在が大きいように、愛ちゃんの中でも私の存在は大きくて。
それはとても嬉しいことで、とても…悲しいことだった。
今まで当たり前だと思ってたことが、当たり前じゃなくなってしまう。
それがどういうことなのか、どれだけ怖いことなのか、ようやくわかった気がした。
32 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:03:04.58 0
でも、私まで弱気になっちゃいけない。
私に残された時間は、もう多くはないのだから。
「ねぇ、愛ちゃん」
愛ちゃんの記憶に、私のことは残らないけれど。
私は絶対に忘れないから。
「オムライスの作り方、おしえて?」
「オムライス?」
離れていても、“ここ”を感じて居たいから。
初めて愛ちゃんに作ってもらった料理はオムライスだった。
それ以来食べていないけれど、きっとあの頃よりもっとおいしくなってるんだろうな。
絶対に作り方を覚えて帰ろうと、上から帰還命令が出た時から思っていた。
「愛ちゃんみたいにおいしくは出来ないだろうけど…」
少しでも、向こうでリゾナントを感じられたら。
きっと、頑張れると思うんだ。
「ん…ええよ」
私の考えていることがわかったのか、愛ちゃんは静かに微笑んだ。
ぽかんとしている私を横目に、愛ちゃんは空になったカップを持って席を立った。
「里沙ちゃんが作れんぐらい、おいしいオムライス作ったる」
キッチンへ入る直前で振り向いて、ニッと笑ってその一言。
でも、私まで弱気になっちゃいけない。
私に残された時間は、もう多くはないのだから。
「ねぇ、愛ちゃん」
愛ちゃんの記憶に、私のことは残らないけれど。
私は絶対に忘れないから。
「オムライスの作り方、おしえて?」
「オムライス?」
離れていても、“ここ”を感じて居たいから。
初めて愛ちゃんに作ってもらった料理はオムライスだった。
それ以来食べていないけれど、きっとあの頃よりもっとおいしくなってるんだろうな。
絶対に作り方を覚えて帰ろうと、上から帰還命令が出た時から思っていた。
「愛ちゃんみたいにおいしくは出来ないだろうけど…」
少しでも、向こうでリゾナントを感じられたら。
きっと、頑張れると思うんだ。
「ん…ええよ」
私の考えていることがわかったのか、愛ちゃんは静かに微笑んだ。
ぽかんとしている私を横目に、愛ちゃんは空になったカップを持って席を立った。
「里沙ちゃんが作れんぐらい、おいしいオムライス作ったる」
キッチンへ入る直前で振り向いて、ニッと笑ってその一言。
33 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:04:09.40 0
作ってほしいんじゃなくて、おしえてほしいんだけど。
その一言は飲み込んで、私は代わりにため息をついてみせた。
「なーによ、それぇー」
「ほら、時間無いからさっさと作るで」
さっきまでと打って変わって、愛ちゃんは急に生き生きし始めた。
きっと…ううん、絶対無理してる。
だけど、それに胸を痛めることはない。
どれだけ泣いても、時間は過ぎていくだけなんだ。
それなら、残された少しの時間、私も精一杯の笑顔で答えよう。
「まず手洗ってな」
「はーい」
最初で最後のお料理教室。
愛ちゃんに負けないぐらいのオムライスを作ってやろうじゃないの。
今、ここで私が料理をしていること。
愛ちゃんに料理を教えてもらっていること。
完成したオムライスのこと。
オムライスを食べている二人のこと。
その全ての思い出は、私の記憶の中に閉じ込めよう。
その一言は飲み込んで、私は代わりにため息をついてみせた。
「なーによ、それぇー」
「ほら、時間無いからさっさと作るで」
さっきまでと打って変わって、愛ちゃんは急に生き生きし始めた。
きっと…ううん、絶対無理してる。
だけど、それに胸を痛めることはない。
どれだけ泣いても、時間は過ぎていくだけなんだ。
それなら、残された少しの時間、私も精一杯の笑顔で答えよう。
「まず手洗ってな」
「はーい」
最初で最後のお料理教室。
愛ちゃんに負けないぐらいのオムライスを作ってやろうじゃないの。
今、ここで私が料理をしていること。
愛ちゃんに料理を教えてもらっていること。
完成したオムライスのこと。
オムライスを食べている二人のこと。
その全ての思い出は、私の記憶の中に閉じ込めよう。
34 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:05:27.65 0
35 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:26:28.72 0
ちょっとうるっときた
続き待ってます
続き待ってます
36 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:48:55.68 0
どうなるんだろう?
すごく気になります
クライマックス、心待ちにしてます
すごく気になります
クライマックス、心待ちにしてます
37 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 20:54:03.00 0
愛ちゃんの小さな仕草や行動を見逃さずに
優しさを感じ取るガキさんに感動した
続き待ってます
優しさを感じ取るガキさんに感動した
続き待ってます
38 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/09(木) 21:41:54.92 0
したらばのチャットスレで話を進めています
Xデーは週末とすると今週末か来週末
まぁそこら辺もどうするかも含め活発な意見交換しましょう
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1216737277/l50
Xデーは週末とすると今週末か来週末
まぁそこら辺もどうするかも含め活発な意見交換しましょう
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1216737277/l50
39 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 21:43:02.27 O
すごく面白いです。オムライスきましたねぇ、
クライマックスとても楽しみです。
クライマックスとても楽しみです。
40 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:03:54.67 0
ダクネチュ)<なにやらリゾスレ30話だとかで きゃつらはパーティーを開いたそうじゃないか
ノ|c| ^e^)<はい!それは盛り上がって楽しかったですよ~♪
#ダクネチ)<ぬぬ!・・ウラヤマシイ・・どれ 我の恐るべき能力の1つである
“念写”でその時の様子を映し出してくれるわ!!
ノ|c| ・e・)<(あんたそんなこと出来たのかいッ)ちょwダークネス様!何を!?
-ダークネスはカメラをガシャアァァン!!とブッ叩く!すると1枚の写真が弾き出された-
【 ttp://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up18470.jpg 】
ダクネチ;)<色が全然塗れてないのと遠近とかオカシイのは念写と言う事でお察し下さい・・・
- - - - - - - - - - - - - - - -
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・
_, ._
ノリo´ゥ`リ <ぬ ダークネス!きさま!見ているなッ!
( ∽)
∪∪
- - - - - - - - - - - - - - - -
≪バチバチッドッカーーーーーーーーーン!!!≫
ノ|c| ・e・)ダクネチ)<やっぱこうなるのねぇwwwww・30話オメwwwww!
ノ|c| ^e^)<はい!それは盛り上がって楽しかったですよ~♪
#ダクネチ)<ぬぬ!・・ウラヤマシイ・・どれ 我の恐るべき能力の1つである
“念写”でその時の様子を映し出してくれるわ!!
ノ|c| ・e・)<(あんたそんなこと出来たのかいッ)ちょwダークネス様!何を!?
-ダークネスはカメラをガシャアァァン!!とブッ叩く!すると1枚の写真が弾き出された-
【 ttp://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up18470.jpg 】
ダクネチ;)<色が全然塗れてないのと遠近とかオカシイのは念写と言う事でお察し下さい・・・
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ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・
_, ._
ノリo´ゥ`リ <ぬ ダークネス!きさま!見ているなッ!
( ∽)
∪∪
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≪バチバチッドッカーーーーーーーーーン!!!≫
ノ|c| ・e・)ダクネチ)<やっぱこうなるのねぇwwwww・30話オメwwwww!
41 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:11:42.93 0
イラストまじやべえええええええええええええええええええええええええw
細かいところ作ってあるなぁ…お守りとか冷蔵庫とかw
細かいところ作ってあるなぁ…お守りとか冷蔵庫とかw
42 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:19:44.72 0
43 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:22:02.89 0
44 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:31:03.45 0
ガキさんが昭和のリアクションを取ってるね
ボスの背中に載ってるのはもしかしてミー?
素晴らしい記念作品乙でした
ボスの背中に載ってるのはもしかしてミー?
素晴らしい記念作品乙でした
45 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 22:51:16.62 0
イラストマジうめえええええ!!! かなしみさんってこんな人だったの!?
初めて知る事実!!
鏡に映ってるのはさえみさんなんだよね?w
初めて知る事実!!
鏡に映ってるのはさえみさんなんだよね?w
46 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/09(木) 23:34:15.29 O
そうだそういえばかなしみさんイラスト描けると言われていましたね!
…携帯から見れない orz
また後ほど見させていただきます!
…携帯から見れない orz
また後ほど見させていただきます!
47 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 00:02:21.65 0
感想そしていろいろ気づいてくれてありがとうございます!そうですあの子はミーですそしてさえみさんです
ちょちっと小さくてわかりずらかったですねwでもお目目くりくりにしたつもりですw
他には刃千吏さん・ウサチャンズ・ガレット・紙飛行機のお話などなどを散りばめてみました
それらを勝手に使ってしまって作者の皆様すいませんです m(__)m
またいつか絵を上げれたらなと思います・・(色の塗り方とかわけワカメ状態ですが レイヤー?なんだそれw)
でわでわ~ おやすみなさい
ちょちっと小さくてわかりずらかったですねwでもお目目くりくりにしたつもりですw
他には刃千吏さん・ウサチャンズ・ガレット・紙飛行機のお話などなどを散りばめてみました
それらを勝手に使ってしまって作者の皆様すいませんです m(__)m
またいつか絵を上げれたらなと思います・・(色の塗り方とかわけワカメ状態ですが レイヤー?なんだそれw)
でわでわ~ おやすみなさい
48 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 01:33:51.22 O
ホゼナンター参上
49 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 01:37:42.88 O
寝る前ほ
50 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 02:16:41.64 O
川*'ー')人(`∀.´)
なかよく保全
なかよく保全
51 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 02:34:09.07 P
52 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 02:55:43.65 P
1枚の画像に今までの歴史が詰まってるよね
これまとめサイトの表紙に使ってほしいくらい神作品だわ
ところで小春と亀井は何でケンカしてるの?何で紙飛行機が?w
その辺の話読んでなかったわ
これまとめサイトの表紙に使ってほしいくらい神作品だわ
ところで小春と亀井は何でケンカしてるの?何で紙飛行機が?w
その辺の話読んでなかったわ
53 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 03:09:39.98 P
あ、よく見るとJJと小春だったかwそれなら納得w
54 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 05:17:54.06 0
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <れいな と ずんずん がかわいく見えるのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <獣化してる人たち?
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <れいな と ずんずん がかわいく見えるのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <獣化してる人たち?
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
56 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 08:32:49.26 0
>>40
SUGEEEEEEE!!
なんて才能に溢れた人だ!
話上げるの待っててよかったw
才能だけでなく遊び心とリゾスレ愛にも溢れているイラストですねほんと
一枚の絵によくぞここまで歴史を散りばめてあるなあ
色々と細かい小ネタ満載ですね
コーヒーの湯気の感じとかもミステリアスでいい雰囲気出てて好きです
何分も見入っちゃいますねこれはw
SUGEEEEEEE!!
なんて才能に溢れた人だ!
話上げるの待っててよかったw
才能だけでなく遊び心とリゾスレ愛にも溢れているイラストですねほんと
一枚の絵によくぞここまで歴史を散りばめてあるなあ
色々と細かい小ネタ満載ですね
コーヒーの湯気の感じとかもミステリアスでいい雰囲気出てて好きです
何分も見入っちゃいますねこれはw
57 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 10:06:10.81 O
>>55
昼がもう楽しみです! また記念スレで盛り上がりそうですね!
昼がもう楽しみです! また記念スレで盛り上がりそうですね!
58 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:10:31.75 0
59 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:29:09.67 0
「『変数』…とでも言うしかないわね」
「『変数』?どういうことやねん」
「さぁ。ともかくあの子たちに関する“未来”は無限に拡散するわ。とても追いきれないレベルで」
「“神”にもお手上げなことがあるんやな」
「………用件はそれだけ?」
「いや、一応こっからが本題や―――」
「『変数』…とでも言うしかないわね」
「『変数』?どういうことやねん」
「さぁ。ともかくあの子たちに関する“未来”は無限に拡散するわ。とても追いきれないレベルで」
「“神”にもお手上げなことがあるんやな」
「………用件はそれだけ?」
「いや、一応こっからが本題や―――」
60 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:29:50.19 0
* * *
「愛ちゃん―――」
「うん」
周囲を包み込むような奇妙な圧迫感に、高橋愛と田中れいなは足を止めた。
複数の街灯に照らされた街並みは、遅い時間とはいえ満月夜であることと相まって十分に明るい。
歩くのに支障をきたしたり、不安に襲われるような暗さでは少なくともなかった。
だが――何故かこの先へ歩を進めるのが躊躇われた。
まるで街灯や月の光が照らしきれずに残った暗闇が膨れ上がり、その行く手を阻んでいるかのように。
「………誰や?」
その闇の中に微かに揺れる影を認め、愛は不審げに問いかけた。
“声”が聞こえないどころか気配すら感じさせないその影に愛が警戒感を強めたのが分かったのか、傍らのれいなも神経を尖らせる。
「ふーん、2人とも意外とちっちぇーんだな」
その張りつめた空気を半ば能天気な言葉で引き裂きながら、闇の中から溶け出すようにして現れたのは一人の短髪の女だった。
黒のレザーパンツに同様のレザージャケットを羽織ったその女は、格好や立ち居振る舞いこそやや男っぽさを感じさせたが、目を引くほどに端整な顔立ちをしている。
* * *
「愛ちゃん―――」
「うん」
周囲を包み込むような奇妙な圧迫感に、高橋愛と田中れいなは足を止めた。
複数の街灯に照らされた街並みは、遅い時間とはいえ満月夜であることと相まって十分に明るい。
歩くのに支障をきたしたり、不安に襲われるような暗さでは少なくともなかった。
だが――何故かこの先へ歩を進めるのが躊躇われた。
まるで街灯や月の光が照らしきれずに残った暗闇が膨れ上がり、その行く手を阻んでいるかのように。
「………誰や?」
その闇の中に微かに揺れる影を認め、愛は不審げに問いかけた。
“声”が聞こえないどころか気配すら感じさせないその影に愛が警戒感を強めたのが分かったのか、傍らのれいなも神経を尖らせる。
「ふーん、2人とも意外とちっちぇーんだな」
その張りつめた空気を半ば能天気な言葉で引き裂きながら、闇の中から溶け出すようにして現れたのは一人の短髪の女だった。
黒のレザーパンツに同様のレザージャケットを羽織ったその女は、格好や立ち居振る舞いこそやや男っぽさを感じさせたが、目を引くほどに端整な顔立ちをしている。
61 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:31:13.20 0
「れいなたちのこと知っとうと?…この前の中澤とかいうやつの仲間いうことか?」
敵意を顕わに、れいなは愛を庇うようにしながら女を睨みつける。
「そんなおっかねー顔すんなって。…ま、そんなとこだ。オレは吉澤ひとみ。よろしくな」
軽く肩をすくめ、女はニヤリと笑みを浮かべながら自分の名前を名乗った。
「で?何の用?言うとくけど何回来たってあんたらのとこには行かんけんね」
「おいおい何だよのっけからつれねーな。別に今日は“組織”の用事で来たわけじゃねーって。単なるオレの個人的な興味」
半ば臨戦態勢のれいなに対し、吉澤は無造作に、そして無防備に2人の方へ歩み寄る。
「はぁ?個人的な興味?」
「そ。田中れいなだっけ?お前ケンカすげぇ強えーんだって?」
「……やったらどうしたと?」
完全に間合いの中に入った吉澤に対し、れいなはいつでも対応できる態勢を取りながら低く答える。
れいなのその反応に、吉澤は声をあげて笑った。
「いいねお前!気に入ったぜ。その自信がどの程度のものか――ちょっと試させてもらう」
次の瞬間――
笑いが掻き消えたその端正な顔は、愛とれいなのすぐ目の前にあった。
「れいなたちのこと知っとうと?…この前の中澤とかいうやつの仲間いうことか?」
敵意を顕わに、れいなは愛を庇うようにしながら女を睨みつける。
「そんなおっかねー顔すんなって。…ま、そんなとこだ。オレは吉澤ひとみ。よろしくな」
軽く肩をすくめ、女はニヤリと笑みを浮かべながら自分の名前を名乗った。
「で?何の用?言うとくけど何回来たってあんたらのとこには行かんけんね」
「おいおい何だよのっけからつれねーな。別に今日は“組織”の用事で来たわけじゃねーって。単なるオレの個人的な興味」
半ば臨戦態勢のれいなに対し、吉澤は無造作に、そして無防備に2人の方へ歩み寄る。
「はぁ?個人的な興味?」
「そ。田中れいなだっけ?お前ケンカすげぇ強えーんだって?」
「……やったらどうしたと?」
完全に間合いの中に入った吉澤に対し、れいなはいつでも対応できる態勢を取りながら低く答える。
れいなのその反応に、吉澤は声をあげて笑った。
「いいねお前!気に入ったぜ。その自信がどの程度のものか――ちょっと試させてもらう」
次の瞬間――
笑いが掻き消えたその端正な顔は、愛とれいなのすぐ目の前にあった。
62 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:31:55.31 0
/ / /
「……っ!?」
反射的に吉澤から距離をとった愛は、眼前の光景に目を見開いた。
先ほどまで自分たちが居た場所には、吉澤のみが再び不敵な笑みを湛えて立っている。
慌てて周囲を見回してみたが、どこにもれいなの姿はなかった。
「…れいなは……れいなをどうした?」
吉澤に視線を向け、愛は動揺を押し殺しながら静かに訊ねた。
「さぁ?どうしたんだろうな?」
その問いに対し、吉澤はシニカルな笑みとともに面白がっているような口調で言葉を返す。
「そんなことより実はさー、オレが本当に興味あったのはお前の方なんだよ、高橋愛」
「…どういうことや」
「一体どんな闘い方すんだろーな――ってさ」
その言葉と同時に吉澤の手元の空間が一瞬奇妙に歪んだかと思うと、それは次の瞬間兇悪なシルエットを描き出す。
「“物質転移”――オレの能力だ」
冷たい笑みを浮かべながら、吉澤はその右手の中に現れたオートマチックのスライドを流れるような動作で引いた。
「―――!!」
/ / /
「……っ!?」
反射的に吉澤から距離をとった愛は、眼前の光景に目を見開いた。
先ほどまで自分たちが居た場所には、吉澤のみが再び不敵な笑みを湛えて立っている。
慌てて周囲を見回してみたが、どこにもれいなの姿はなかった。
「…れいなは……れいなをどうした?」
吉澤に視線を向け、愛は動揺を押し殺しながら静かに訊ねた。
「さぁ?どうしたんだろうな?」
その問いに対し、吉澤はシニカルな笑みとともに面白がっているような口調で言葉を返す。
「そんなことより実はさー、オレが本当に興味あったのはお前の方なんだよ、高橋愛」
「…どういうことや」
「一体どんな闘い方すんだろーな――ってさ」
その言葉と同時に吉澤の手元の空間が一瞬奇妙に歪んだかと思うと、それは次の瞬間兇悪なシルエットを描き出す。
「“物質転移”――オレの能力だ」
冷たい笑みを浮かべながら、吉澤はその右手の中に現れたオートマチックのスライドを流れるような動作で引いた。
「―――!!」
63 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:32:36.91 0
ほぼ同時に乾いた破裂音が夜の街に響き、今しがたまで愛が立っていた場所の空気が鋭く切り裂かれた。
「“瞬間移動”か。そうこなきゃな!」
言葉とともに続けざまに銃声が響き、楽しげな吉澤の笑い声がそれに重なる。
「すっげー、全然当たんねー!ってかそりゃこんなもんで仕留められるわけねーか。ははっ!なんか昂ってきたぜ!なあ!お前もだろ高橋愛!」
半ば狂気をはらんだような悦楽の表情を向け、吉澤は愛に問いかける。
その異常じみた目を黙って見返しながら、愛は自分の中に形容し難い感覚が沸きあがってくることに戸惑いを覚えていた。
否定したいのに否定できない――そんな感覚に。
「れいなは…その能力でどこかに転送したいうことか」
その戸惑いを振り払うように、吉澤に問いかける。
実際、今はれいなの安否が何よりも気がかりだった。
「さぁな…って言いたいとこだけど教えてやるよ。ご名答だ。オレの能力であるところへ飛ばした。あー心配すんな。別に怪我一つしてねーよ……今のところは」
右手のオートマチックを再び歪みの中に消し去りながら、吉澤は思わせぶりに笑う。
「返して欲しけりゃ返してやるぜ?ただしオレに勝てればな。逃げ回ってるだけじゃいつまで経っても―――勝てねーぞ」
その言葉が終わらないうちに目の前の視界が一瞬歪んだと思った瞬間、そこから飛び出した鋭い打撃が愛を襲った―――
ほぼ同時に乾いた破裂音が夜の街に響き、今しがたまで愛が立っていた場所の空気が鋭く切り裂かれた。
「“瞬間移動”か。そうこなきゃな!」
言葉とともに続けざまに銃声が響き、楽しげな吉澤の笑い声がそれに重なる。
「すっげー、全然当たんねー!ってかそりゃこんなもんで仕留められるわけねーか。ははっ!なんか昂ってきたぜ!なあ!お前もだろ高橋愛!」
半ば狂気をはらんだような悦楽の表情を向け、吉澤は愛に問いかける。
その異常じみた目を黙って見返しながら、愛は自分の中に形容し難い感覚が沸きあがってくることに戸惑いを覚えていた。
否定したいのに否定できない――そんな感覚に。
「れいなは…その能力でどこかに転送したいうことか」
その戸惑いを振り払うように、吉澤に問いかける。
実際、今はれいなの安否が何よりも気がかりだった。
「さぁな…って言いたいとこだけど教えてやるよ。ご名答だ。オレの能力であるところへ飛ばした。あー心配すんな。別に怪我一つしてねーよ……今のところは」
右手のオートマチックを再び歪みの中に消し去りながら、吉澤は思わせぶりに笑う。
「返して欲しけりゃ返してやるぜ?ただしオレに勝てればな。逃げ回ってるだけじゃいつまで経っても―――勝てねーぞ」
その言葉が終わらないうちに目の前の視界が一瞬歪んだと思った瞬間、そこから飛び出した鋭い打撃が愛を襲った―――
64 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:33:17.69 0
\ \ \
「……っ!?」
迎撃体勢を整えていたれいなは一瞬視界が捩れるのを感じ、その次の瞬間に現れた眼前の光景に目を見開いた。
先ほどまで周囲にあった景色は全て消え去り、いつの間にか得体の知れない空間の中に立っている。
唯一変わらずに在る光景は、再び少し離れたところでニヤニヤと笑みを浮かべる吉澤の立ち姿だけだった。
「何ねここ!あんた…何した?愛ちゃんはどこやったと?」
素早く周囲を見回した後、れいなは吉澤に射るような視線を向けた。
「さぁ?何をしたんだろうな」
その視線に対し、吉澤は動じることもなく面白がっているような口調で言葉を返す。
「さっき言ったろ?お前のこと試させてもらうって。ここならお互い遠慮はいらねーぜ?」
「…あんたも何かヘンな能力持っとーいうことか」
「まあな。“物質転移”っつーんだよ。ヘンだってのは心外だけどな。便利だぜ?」
「どっちでもいいっちゃけど、とにかくとっととあんたぶちのめして愛ちゃんとこに帰らしてもらうけんね」
「ふーん。…できんのか?」
揶揄するような表情の吉澤に対し、れいなは拳を顔の高さまで上げ、口元を吊り上げた。
「その答えはあんたの体に直接教えてやるとよ」
「言うじゃねーか。ますます気に入ったぜ。…口ばっかりでガッカリさせんなよ?」
「それはこっちの台詞やけんね」
その言葉と不敵な笑みが交錯した刹那、れいなはその間合いを一気に詰めた。
\ \ \
「……っ!?」
迎撃体勢を整えていたれいなは一瞬視界が捩れるのを感じ、その次の瞬間に現れた眼前の光景に目を見開いた。
先ほどまで周囲にあった景色は全て消え去り、いつの間にか得体の知れない空間の中に立っている。
唯一変わらずに在る光景は、再び少し離れたところでニヤニヤと笑みを浮かべる吉澤の立ち姿だけだった。
「何ねここ!あんた…何した?愛ちゃんはどこやったと?」
素早く周囲を見回した後、れいなは吉澤に射るような視線を向けた。
「さぁ?何をしたんだろうな」
その視線に対し、吉澤は動じることもなく面白がっているような口調で言葉を返す。
「さっき言ったろ?お前のこと試させてもらうって。ここならお互い遠慮はいらねーぜ?」
「…あんたも何かヘンな能力持っとーいうことか」
「まあな。“物質転移”っつーんだよ。ヘンだってのは心外だけどな。便利だぜ?」
「どっちでもいいっちゃけど、とにかくとっととあんたぶちのめして愛ちゃんとこに帰らしてもらうけんね」
「ふーん。…できんのか?」
揶揄するような表情の吉澤に対し、れいなは拳を顔の高さまで上げ、口元を吊り上げた。
「その答えはあんたの体に直接教えてやるとよ」
「言うじゃねーか。ますます気に入ったぜ。…口ばっかりでガッカリさせんなよ?」
「それはこっちの台詞やけんね」
その言葉と不敵な笑みが交錯した刹那、れいなはその間合いを一気に詰めた。
65 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:34:00.69 0
―捉えた……!
れいなのその確信はしかし、一瞬後に驚きへと変わった。
―消えよった!?
咄嗟に背後を振り返ったれいなの目に、見下したような吉澤の表情が飛び込んできた。
だが、反射的に放ったれいなの拳は再び空を切る。
「――“物質転移”の応用だ」
「――ほらな?便利な能力だろ?」
「――そんなトロくせーパンチなんて」
「――この先一生当たんねーぜ」
再び離れた地点に現れた吉澤は、そう言いながら嘲笑うかのように“移動”を繰り返す。
「……逃げ回りようだけのやつが何エラそうなこと言っとーと?」
表現し難い苛立ちと憎悪が胃の腑を押し上げ、頭を熱くし始めるのを感じながら、れいなは狂暴な視線を吉澤に向けた。
「言ってくれんじゃねーか。なら正面から相手してやるよ。その代わりケガして泣いても知らねーぞ」
侮りきった笑いを浮かべる吉澤に、れいなは抑えきれない感情を言葉に乗せ、短く返した。
「お前は――殺す」
言い終わらないうち、自身のその言葉に突き動かされるように、れいなは先ほどに倍するスピードで吉澤に迫った。
「な…!?」
驚愕の表情が浮かぶその顔面に向かい、れいなは鋭い打撃を放った―――
―捉えた……!
れいなのその確信はしかし、一瞬後に驚きへと変わった。
―消えよった!?
咄嗟に背後を振り返ったれいなの目に、見下したような吉澤の表情が飛び込んできた。
だが、反射的に放ったれいなの拳は再び空を切る。
「――“物質転移”の応用だ」
「――ほらな?便利な能力だろ?」
「――そんなトロくせーパンチなんて」
「――この先一生当たんねーぜ」
再び離れた地点に現れた吉澤は、そう言いながら嘲笑うかのように“移動”を繰り返す。
「……逃げ回りようだけのやつが何エラそうなこと言っとーと?」
表現し難い苛立ちと憎悪が胃の腑を押し上げ、頭を熱くし始めるのを感じながら、れいなは狂暴な視線を吉澤に向けた。
「言ってくれんじゃねーか。なら正面から相手してやるよ。その代わりケガして泣いても知らねーぞ」
侮りきった笑いを浮かべる吉澤に、れいなは抑えきれない感情を言葉に乗せ、短く返した。
「お前は――殺す」
言い終わらないうち、自身のその言葉に突き動かされるように、れいなは先ほどに倍するスピードで吉澤に迫った。
「な…!?」
驚愕の表情が浮かぶその顔面に向かい、れいなは鋭い打撃を放った―――
66 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:34:43.31 0
/ /
「くっ……!」
唐突に鼻先から放たれた攻撃を、愛は体をひねって反射的に避けた。
だが、完全には躱し切れずに、その頬に生じた裂傷から赤いものが滲む。
瞬間、愛の体は考えるよりも先に反撃を行なった。
愛の全身が光に包まれたと思うや、瞬時にその光は吉澤の背後で再び愛の姿をとる。
振り向く暇も与えず、峻烈な蹴撃が吉澤の即頭部を襲った―――
\ \
掠りはしたものの、致命打には程遠い。
れいながそう認識すると同時に、吉澤の姿が視界から消えた。
考えるより先に体が動く。
反射的にガードした腕を、強烈な衝撃が襲う。
その勢いのまま、れいなは弾き飛ばされた―――
/ /
「くっ……!」
唐突に鼻先から放たれた攻撃を、愛は体をひねって反射的に避けた。
だが、完全には躱し切れずに、その頬に生じた裂傷から赤いものが滲む。
瞬間、愛の体は考えるよりも先に反撃を行なった。
愛の全身が光に包まれたと思うや、瞬時にその光は吉澤の背後で再び愛の姿をとる。
振り向く暇も与えず、峻烈な蹴撃が吉澤の即頭部を襲った―――
\ \
掠りはしたものの、致命打には程遠い。
れいながそう認識すると同時に、吉澤の姿が視界から消えた。
考えるより先に体が動く。
反射的にガードした腕を、強烈な衝撃が襲う。
その勢いのまま、れいなは弾き飛ばされた―――
67 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:35:26.37 0
/
自身の足先に伝わる衝撃に、愛は自分が相手を攻撃したことにようやく気付いた。
ガードされたものの、明らかに急所を狙って放った自分に慄然とする。
その雑念が致命的な隙を作った―――
\
敢えて弾き飛ばされることで衝撃を吸収したれいなは、着地と同時に再び相手の懐に飛び込む。
体勢を崩し、がら空きとなった相手の急所へと撃ち込むべく拳を固く握ったれいなは、勝利を確信して薄く笑みを浮かべた―――
「やめなさい!!!」
拳が相手を捉える寸前――頭に響いたその声に、れいなは咄嗟に攻撃を止めた。
すぐ目の前に、頬の傷から血を滲ませ、呆然とこちらを見る相手の顔がある。
だが、今しがたまで臓腑に滾っていたその相手に対する激しい感情は嘘のように静まり、頭の芯に鈍い痛みだけが残っていた。
「目を覚まして!」
鈍痛の残る頭に再び声が響き、れいなは呻きながら目を閉じてこめかみを抑える。
一瞬後、“敵”のすぐ傍であることを思い出したれいなは慌てて目を開け――そして驚愕の表情を浮かべた。
「愛…ちゃん……?なんで……?」
「れい…な…?」
れいなのすぐ隣で、片頬を赤く染めたその顔を驚きで満たしているのは、紛れもなく愛だった。
/
自身の足先に伝わる衝撃に、愛は自分が相手を攻撃したことにようやく気付いた。
ガードされたものの、明らかに急所を狙って放った自分に慄然とする。
その雑念が致命的な隙を作った―――
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敢えて弾き飛ばされることで衝撃を吸収したれいなは、着地と同時に再び相手の懐に飛び込む。
体勢を崩し、がら空きとなった相手の急所へと撃ち込むべく拳を固く握ったれいなは、勝利を確信して薄く笑みを浮かべた―――
「やめなさい!!!」
拳が相手を捉える寸前――頭に響いたその声に、れいなは咄嗟に攻撃を止めた。
すぐ目の前に、頬の傷から血を滲ませ、呆然とこちらを見る相手の顔がある。
だが、今しがたまで臓腑に滾っていたその相手に対する激しい感情は嘘のように静まり、頭の芯に鈍い痛みだけが残っていた。
「目を覚まして!」
鈍痛の残る頭に再び声が響き、れいなは呻きながら目を閉じてこめかみを抑える。
一瞬後、“敵”のすぐ傍であることを思い出したれいなは慌てて目を開け――そして驚愕の表情を浮かべた。
「愛…ちゃん……?なんで……?」
「れい…な…?」
れいなのすぐ隣で、片頬を赤く染めたその顔を驚きで満たしているのは、紛れもなく愛だった。
68 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 11:36:50.59 0
69 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 12:32:14.39 0
面白いね
長さが気にならないくらい一気にい読んでしまった
後半楽しみにしてます
長さが気にならないくらい一気にい読んでしまった
後半楽しみにしてます
70 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 14:27:23.45 P
俺こういうバトル話のが好き
71 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 15:11:39.34 O
72 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 16:04:22.17 O
よっすぃさん祭りや!!
それぞれの作者の個性が面白いですね このよっすぃさんはバトラーでもあり
コンゲームにも長けてそうですw
声の主や、他の登場人物の策謀にもWKTKです!
それぞれの作者の個性が面白いですね このよっすぃさんはバトラーでもあり
コンゲームにも長けてそうですw
声の主や、他の登場人物の策謀にもWKTKです!
73 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:46:28.03 0
わくわくしながら作品待ち
74 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:48:38.05 0
「一体何がどうなっとうと?」
呆然と呟くれいなの視界を、見覚えのある風景が埋めてゆく。
街灯と満月に照らされたひと気のない夜の街、そこに立つ自分たち2人、黒づくめの短髪の女、そして―――
「誰…や……?」
唯一、愛もれいなも見覚えがないのは、その光景の中に立つ一人の小柄な少女だった。
硬質な装いの吉澤とは対照的に、ラフで柔らかい印象の衣服を身に纏っている。
ニット帽から伸び出したかのような茶色の髪は胸元あたりまで流れ、華奢な首元を覆っていた。
一見して優しげなその口元は厳しく引き締められ、意志の強そうな目は鋭く一点を睨みつけている。
視線の先にあるのは、同様の表情をした吉澤の黒い瞳だった。
その少女の姿に――愛は息を呑んだ。
自分でも説明のつかない、経験したことのない感覚に貫かれたような気がして。
れいなのときと同様、この出逢いが特別な意味を持つようなそんな気がして―――
「お、ま、え……ぐっ…」
少女に気を取られていた愛は、吉澤が呻きながら片膝をついたことで我に返った。
「お前も精神系能力者か……!ちっ…ちょい遊びすぎたな。今は分が悪りぃわ」
ゆっくり立ち上がった吉澤は、苦笑めいた表情を浮かべながら3人を見渡した。
「一体何がどうなっとうと?」
呆然と呟くれいなの視界を、見覚えのある風景が埋めてゆく。
街灯と満月に照らされたひと気のない夜の街、そこに立つ自分たち2人、黒づくめの短髪の女、そして―――
「誰…や……?」
唯一、愛もれいなも見覚えがないのは、その光景の中に立つ一人の小柄な少女だった。
硬質な装いの吉澤とは対照的に、ラフで柔らかい印象の衣服を身に纏っている。
ニット帽から伸び出したかのような茶色の髪は胸元あたりまで流れ、華奢な首元を覆っていた。
一見して優しげなその口元は厳しく引き締められ、意志の強そうな目は鋭く一点を睨みつけている。
視線の先にあるのは、同様の表情をした吉澤の黒い瞳だった。
その少女の姿に――愛は息を呑んだ。
自分でも説明のつかない、経験したことのない感覚に貫かれたような気がして。
れいなのときと同様、この出逢いが特別な意味を持つようなそんな気がして―――
「お、ま、え……ぐっ…」
少女に気を取られていた愛は、吉澤が呻きながら片膝をついたことで我に返った。
「お前も精神系能力者か……!ちっ…ちょい遊びすぎたな。今は分が悪りぃわ」
ゆっくり立ち上がった吉澤は、苦笑めいた表情を浮かべながら3人を見渡した。
75 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:49:19.94 0
「今日のとこは帰るわ。けどなかなか楽しかったぜ。また顔合わすことがあるかどうかはわかんねーけど、そんときはそんときでよろしくな」
「そっちからケンカ売っといて逃げると?」
「気分悪りーから逃げるとか言うなよなー。帰るだけだっつーの。ウチ、結構門限厳しいんだよ」
ふざけた態度でそう言った吉澤の背後の空間に、見覚えのある裂け目が入る。
「じゃーな。高橋、田中。それから……誰か知んねーけど」
唖然とする視線を尻目に、吉澤はその空間の亀裂に吸い込まれるようにして消えた――
* * *
「そや!愛ちゃん!大丈夫やったと?れいな…アイツやと思ってて…ごめん…」
吉澤の姿が消え、夢から醒めたようになると同時に自分が愛を傷つけたことを思い出し、れいなはしょげ返った。
愛は、その言葉に慌てて首を振る。
「ううん、全然大したことないてー。気にせんで。ほれよりあーしの方こそ…ごめん…もうちょっとで……」
あのときの恐怖を思い出し、愛は再びゾッとするような感覚を味わっていた。
もしもれいなのガードが間に合っていなかったら……。
「そんな風に人のことばっか気にしてるからいいように付け込まれんのよ」
俯いた2人の頭上に呆れたような声が響く。
自分たちを助けてくれた存在を思い出し、2人は慌てて顔を声の方に向けた。
そこには、声同様に少し呆れたような ――どこか困惑混じりの―― 表情を浮かべた少女の姿があった。
「今日のとこは帰るわ。けどなかなか楽しかったぜ。また顔合わすことがあるかどうかはわかんねーけど、そんときはそんときでよろしくな」
「そっちからケンカ売っといて逃げると?」
「気分悪りーから逃げるとか言うなよなー。帰るだけだっつーの。ウチ、結構門限厳しいんだよ」
ふざけた態度でそう言った吉澤の背後の空間に、見覚えのある裂け目が入る。
「じゃーな。高橋、田中。それから……誰か知んねーけど」
唖然とする視線を尻目に、吉澤はその空間の亀裂に吸い込まれるようにして消えた――
* * *
「そや!愛ちゃん!大丈夫やったと?れいな…アイツやと思ってて…ごめん…」
吉澤の姿が消え、夢から醒めたようになると同時に自分が愛を傷つけたことを思い出し、れいなはしょげ返った。
愛は、その言葉に慌てて首を振る。
「ううん、全然大したことないてー。気にせんで。ほれよりあーしの方こそ…ごめん…もうちょっとで……」
あのときの恐怖を思い出し、愛は再びゾッとするような感覚を味わっていた。
もしもれいなのガードが間に合っていなかったら……。
「そんな風に人のことばっか気にしてるからいいように付け込まれんのよ」
俯いた2人の頭上に呆れたような声が響く。
自分たちを助けてくれた存在を思い出し、2人は慌てて顔を声の方に向けた。
そこには、声同様に少し呆れたような ――どこか困惑混じりの―― 表情を浮かべた少女の姿があった。
76 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:50:01.48 0
「あ、ごめんなさい!助けてもらったのにお礼言うの遅れちゃって…」
「あんたの声が聞こえんやったら、れいな愛ちゃんのこともっと思いっきし殴っとーとこやった」
遅ればせながら口々に礼を言う2人に、少女は笑みと共に自己紹介を返した。
「どういたしまして。わたしは新垣里沙。そっちは高橋さんと田中さん…って言ってたっけ?」
「あ、はい。そうです。あーし…わたしが高橋愛、こっちの子が田中れいなです」
「よろしく。…で、さっきの続きなんだけどね、高橋さん、田中さん」
「あーもう、なんか堅苦しいと!『愛ちゃん』と『れいな』でいいけんね、ガキさん」
「ガ…ガキさんって……わたしぃ?何で?」
「ニイガキさんとか言いにくいけん、ガキさんでいいっちゃろ?」
「ちょっ、なんでわたしだけ名字…いやまあそんなことはどうでもいいんだけどさ」
どうでもいいと言いながら微かに不服そうな顔をしつつも、里沙は気を取り直したように話を続ける。
「さっきのあの女の人なんだけど…何者なの?知り合い?」
「う~ん、知り合いってわけじゃないんやけど…」
先ほどのやりとりのおかげでややくだけた口調になった愛は、少し前に廃倉庫であった出来事を里沙に簡単に話して聞かせる。
「さっきの吉澤って人はそんときの中澤って人の名前も知ってたし、何より…」
最後に吉澤が姿を消した空間の亀裂は、あのとき中澤が見せた“空間裂開能力”によるものに間違いなかった。
「ってことは、そうやん!あの人も近くにおったいうことやん!」
「んー…そうは限らないよ。条件を満たせば離れたところでも発動できる能力はあるし」
今さらながらにあたりを見回すれいなに対し、里沙は軽く首を振る。
そんな里沙に対し、れいなは感心した眼差しを向けた。
「ガキさん、詳しいんっちゃねえ。あ!じゃああの黒い女の能力は何ね?教えてくれん?“物質転移”とか言うとったけど…意味分からんし」
「あ、ごめんなさい!助けてもらったのにお礼言うの遅れちゃって…」
「あんたの声が聞こえんやったら、れいな愛ちゃんのこともっと思いっきし殴っとーとこやった」
遅ればせながら口々に礼を言う2人に、少女は笑みと共に自己紹介を返した。
「どういたしまして。わたしは新垣里沙。そっちは高橋さんと田中さん…って言ってたっけ?」
「あ、はい。そうです。あーし…わたしが高橋愛、こっちの子が田中れいなです」
「よろしく。…で、さっきの続きなんだけどね、高橋さん、田中さん」
「あーもう、なんか堅苦しいと!『愛ちゃん』と『れいな』でいいけんね、ガキさん」
「ガ…ガキさんって……わたしぃ?何で?」
「ニイガキさんとか言いにくいけん、ガキさんでいいっちゃろ?」
「ちょっ、なんでわたしだけ名字…いやまあそんなことはどうでもいいんだけどさ」
どうでもいいと言いながら微かに不服そうな顔をしつつも、里沙は気を取り直したように話を続ける。
「さっきのあの女の人なんだけど…何者なの?知り合い?」
「う~ん、知り合いってわけじゃないんやけど…」
先ほどのやりとりのおかげでややくだけた口調になった愛は、少し前に廃倉庫であった出来事を里沙に簡単に話して聞かせる。
「さっきの吉澤って人はそんときの中澤って人の名前も知ってたし、何より…」
最後に吉澤が姿を消した空間の亀裂は、あのとき中澤が見せた“空間裂開能力”によるものに間違いなかった。
「ってことは、そうやん!あの人も近くにおったいうことやん!」
「んー…そうは限らないよ。条件を満たせば離れたところでも発動できる能力はあるし」
今さらながらにあたりを見回すれいなに対し、里沙は軽く首を振る。
そんな里沙に対し、れいなは感心した眼差しを向けた。
「ガキさん、詳しいんっちゃねえ。あ!じゃああの黒い女の能力は何ね?教えてくれん?“物質転移”とか言うとったけど…意味分からんし」
77 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:50:43.46 0
いまだに何が起こったのか理解しきれていないらしいれいなに対して再び呆れたような表情を浮かべた後、里沙は説明を始めた。
“物質転移―アポーテイション―”は遠方にある物体を手元に引き寄せることのできる能力。
強力なものになると、引き寄せるだけでなく逆に手元のものを遠くに転送したりも自在に行なうことができる――
「…わけなんだけど、あの人の能力はそれじゃないよもちろん」
「はぁ!?違うと?」
「だってそれじゃ全然説明がつかないでしょうが!2人とも無防備すぎだから!あれは“催眠―ヒュプノシス―”!」
“催眠―ヒュプノシス―”は幻覚を見せ、同時に精神や感情を操作する能力。
愛とれいなはその能力によって互いを吉澤だと認識させられ、さらに闘争本能や憎悪の感情を増幅された。
その結果――
「あなたたちは幻を追いかけて同士討ちしてた…ってわけ」
そう言いながら、「これで理解できた?」というように首を僅かに傾ける。
「そういうことかぁ…れいなまんまとダマされよったいうわけやね…。愛ちゃん、ほんとごめん…」
「いや、あーしも一緒やから……こっちこそほんっとにごめんね、れいな」
再び揃ってうな垂れる2人を見て、僅かに苛立ったような表情を浮かべながら里沙は小さくため息を吐いた。
「あのさあ…、あなたたちが敵に回してる組織はそんな風な甘い考えで相手にできる相手じゃないよ」
驚いたように、愛とれいなが顔を上げる。
「ガキさん…あ…新垣さん、あいつらのこと知ってるん?」
「……いいよもう、『ガキさん』で。わたしも『愛ちゃん』と『れいな』って呼ばせてもらうね」
心安い関係なるにはその方が都合がいい――
そう判断した里沙は、そう言いながら苦笑いの表情を作ってそれを愛に向けた。
いまだに何が起こったのか理解しきれていないらしいれいなに対して再び呆れたような表情を浮かべた後、里沙は説明を始めた。
“物質転移―アポーテイション―”は遠方にある物体を手元に引き寄せることのできる能力。
強力なものになると、引き寄せるだけでなく逆に手元のものを遠くに転送したりも自在に行なうことができる――
「…わけなんだけど、あの人の能力はそれじゃないよもちろん」
「はぁ!?違うと?」
「だってそれじゃ全然説明がつかないでしょうが!2人とも無防備すぎだから!あれは“催眠―ヒュプノシス―”!」
“催眠―ヒュプノシス―”は幻覚を見せ、同時に精神や感情を操作する能力。
愛とれいなはその能力によって互いを吉澤だと認識させられ、さらに闘争本能や憎悪の感情を増幅された。
その結果――
「あなたたちは幻を追いかけて同士討ちしてた…ってわけ」
そう言いながら、「これで理解できた?」というように首を僅かに傾ける。
「そういうことかぁ…れいなまんまとダマされよったいうわけやね…。愛ちゃん、ほんとごめん…」
「いや、あーしも一緒やから……こっちこそほんっとにごめんね、れいな」
再び揃ってうな垂れる2人を見て、僅かに苛立ったような表情を浮かべながら里沙は小さくため息を吐いた。
「あのさあ…、あなたたちが敵に回してる組織はそんな風な甘い考えで相手にできる相手じゃないよ」
驚いたように、愛とれいなが顔を上げる。
「ガキさん…あ…新垣さん、あいつらのこと知ってるん?」
「……いいよもう、『ガキさん』で。わたしも『愛ちゃん』と『れいな』って呼ばせてもらうね」
心安い関係なるにはその方が都合がいい――
そう判断した里沙は、そう言いながら苦笑いの表情を作ってそれを愛に向けた。
78 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:51:25.28 0
「知ってるよ、一応。一部の能力者の間では有名だからね…っていってもわたしも噂に聞いた程度で全然詳しいことは分からないんだけど」
続いてそう前置きすると、里沙は“組織”についての断片的な知識を語った。
何人もの様々な能力者が内部にいるらしいこと。
表立ってはごく普通の企業の顔を持っているらしいこと。
ただ、裏にあるらしき目的やその具体的な活動についてはほとんど知られていないということ。
だが、「表」でも「裏」でも確実に色々なところで繋がりを持っているらしいということ。
「知ってるっていってもこの程度のことなんだけどさ。とにかくそれなりの規模の組織だってことは確かだよ。あなたたちはそれを敵に回してんの。分かってるわけ?」
やや焦れたような口調の里沙に対し、愛は弱々しく反論する。
「いや、あーしらは別に敵に回してるつもりはないんやけど…」
「そっちにそのつもりがなくてももう向こうはそういう気でいるの!そういう相手なの!そんな呑気なこと言ってる場合じゃないんだよ?分かる?」
思わず声を荒げる里沙に、愛とれいなはややたじろいだ表情を浮かべながらも慌てて頷いた。
そんな2人の様子に、里沙は表現し難い感情に囚われていた。
先ほどの常人離れした戦闘を目の当たりにしたときには、確かに彼女らは“組織”にとって危険な存在だと心底感じた。
しかし―――
「ところで、ガキさんって今何しとる人なん?その…家族とかは…?」
先ほどよりも心もち遠慮がちなれいなの声に、里沙は我に返った。
同時に、自らの“任務”を思い出し、揺れ動いていた気持ちを静める。
「一人で暮らしてるよ。この能力のせいで家族を“失って”から……ずっと」
愛とれいなが息を呑む気配が伝わり、里沙の心は再び微かに揺れる。
だがそれを笑顔の下に隠し、里沙は小さく肩をすくめた。
「知ってるよ、一応。一部の能力者の間では有名だからね…っていってもわたしも噂に聞いた程度で全然詳しいことは分からないんだけど」
続いてそう前置きすると、里沙は“組織”についての断片的な知識を語った。
何人もの様々な能力者が内部にいるらしいこと。
表立ってはごく普通の企業の顔を持っているらしいこと。
ただ、裏にあるらしき目的やその具体的な活動についてはほとんど知られていないということ。
だが、「表」でも「裏」でも確実に色々なところで繋がりを持っているらしいということ。
「知ってるっていってもこの程度のことなんだけどさ。とにかくそれなりの規模の組織だってことは確かだよ。あなたたちはそれを敵に回してんの。分かってるわけ?」
やや焦れたような口調の里沙に対し、愛は弱々しく反論する。
「いや、あーしらは別に敵に回してるつもりはないんやけど…」
「そっちにそのつもりがなくてももう向こうはそういう気でいるの!そういう相手なの!そんな呑気なこと言ってる場合じゃないんだよ?分かる?」
思わず声を荒げる里沙に、愛とれいなはややたじろいだ表情を浮かべながらも慌てて頷いた。
そんな2人の様子に、里沙は表現し難い感情に囚われていた。
先ほどの常人離れした戦闘を目の当たりにしたときには、確かに彼女らは“組織”にとって危険な存在だと心底感じた。
しかし―――
「ところで、ガキさんって今何しとる人なん?その…家族とかは…?」
先ほどよりも心もち遠慮がちなれいなの声に、里沙は我に返った。
同時に、自らの“任務”を思い出し、揺れ動いていた気持ちを静める。
「一人で暮らしてるよ。この能力のせいで家族を“失って”から……ずっと」
愛とれいなが息を呑む気配が伝わり、里沙の心は再び微かに揺れる。
だがそれを笑顔の下に隠し、里沙は小さく肩をすくめた。
79 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:52:07.97 0
「あ、気にしないで。もう気持ちの整理はついてることだし、それに…あなたたちだって…愛ちゃんとれいなだってきっと似たようなものなんでしょ?」
愛とれいなに比べれば――自分はまだ幼い頃に愛された記憶があるだけずっと幸せなのかもしれない。
微かに過ぎったその思いから目を背け、里沙は続けて言った。
「ねえ愛ちゃん、れいな。わたしもあなたたちと一緒に戦いたい」
それを言うためにわたしは“組織”から差し向けられたのだから…と自分に言い聞かせながら――
里沙のその言葉に、愛とれいなは一瞬目を見開いて顔を見合わせた後、パッと輝かせた顔を同時に里沙の方に向けた。
「ほんまに!?ええの!?」
「バリ心強いやん!」
心底嬉しそうな2人に対して向けた偽りの笑顔を後ろめたく思っている自分に、里沙は軽い戸惑いを覚えていた。
そんな感情などとっくに断ち切ったはずだったし、実際にここ数年そんな思いを抱いたことなどない。
なのに―――
「はっきり言ってあなたたちだけじゃ不安すぎるしね」
だが、そんな戸惑いをも偽りの笑顔の中に塗りこめ、里沙は手を差し出した。
「改めてよろしく。新垣里沙です。能力は“精神干渉”。詳しくはまたゆっくり話すね」
―――人を信じることをやめて久しい自分に向かって、どうしてこの2人はこんな表情ができるのだろう。
―――いや、そんなことを考えるためにわたしはここに居るんじゃない。
その手を握り返す愛とれいなの温もりを感じながら、里沙は再びその心を戒め静かに冷やしていった。
「あ、気にしないで。もう気持ちの整理はついてることだし、それに…あなたたちだって…愛ちゃんとれいなだってきっと似たようなものなんでしょ?」
愛とれいなに比べれば――自分はまだ幼い頃に愛された記憶があるだけずっと幸せなのかもしれない。
微かに過ぎったその思いから目を背け、里沙は続けて言った。
「ねえ愛ちゃん、れいな。わたしもあなたたちと一緒に戦いたい」
それを言うためにわたしは“組織”から差し向けられたのだから…と自分に言い聞かせながら――
里沙のその言葉に、愛とれいなは一瞬目を見開いて顔を見合わせた後、パッと輝かせた顔を同時に里沙の方に向けた。
「ほんまに!?ええの!?」
「バリ心強いやん!」
心底嬉しそうな2人に対して向けた偽りの笑顔を後ろめたく思っている自分に、里沙は軽い戸惑いを覚えていた。
そんな感情などとっくに断ち切ったはずだったし、実際にここ数年そんな思いを抱いたことなどない。
なのに―――
「はっきり言ってあなたたちだけじゃ不安すぎるしね」
だが、そんな戸惑いをも偽りの笑顔の中に塗りこめ、里沙は手を差し出した。
「改めてよろしく。新垣里沙です。能力は“精神干渉”。詳しくはまたゆっくり話すね」
―――人を信じることをやめて久しい自分に向かって、どうしてこの2人はこんな表情ができるのだろう。
―――いや、そんなことを考えるためにわたしはここに居るんじゃない。
その手を握り返す愛とれいなの温もりを感じながら、里沙は再びその心を戒め静かに冷やしていった。
80 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:53:06.49 0
このとき――愛はまだ知らなかった。
里沙が、揺れ動く心を抱いて戸惑っていたことを―――
このとき――里沙はまだ知らなかった。
“声”がまったく聞こえない里沙に微かな疑念を抱きながらも、愛がこの瞬間から自分のすべてを受け入れてくれていたことを――
このとき――愛はまだ知らなかった。
里沙が、揺れ動く心を抱いて戸惑っていたことを―――
このとき――里沙はまだ知らなかった。
“声”がまったく聞こえない里沙に微かな疑念を抱きながらも、愛がこの瞬間から自分のすべてを受け入れてくれていたことを――
81 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 17:53:56.91 0
82 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 19:06:37.46 0
物語が転がりだしてきたって感じがする
このまま全員が揃うのを書いていってくれるのかな
とにかく乙でした
このまま全員が揃うのを書いていってくれるのかな
とにかく乙でした
83 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 19:31:07.19 0
この時点でガキさんはまだ敵なんだね
ここから先どうなるのかが楽しみです
ここから先どうなるのかが楽しみです
84 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 19:53:39.27 O
いいねぇ…この先の展開を想像しちゃうねぇ!
作者さん乙でした続き待ってますね
作者さん乙でした続き待ってますね
85 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 20:56:47.66 0
86 : 名無しじゃないやい[] 投稿日:2009/07/10(金) 21:26:05.63 0
ちょいと失礼します
本日0時開場予定だった30話記念チャット場の件ですが
ヽ( ゚∀。)ノの諸事情により開場が遅れるとのことです
楽しみにしていただいていた方々には申し訳ありませんが
帰宅次第即時解放するとのことですのでよろしくお願いします
以上代理連絡でした
本日0時開場予定だった30話記念チャット場の件ですが
ヽ( ゚∀。)ノの諸事情により開場が遅れるとのことです
楽しみにしていただいていた方々には申し訳ありませんが
帰宅次第即時解放するとのことですのでよろしくお願いします
以上代理連絡でした
87 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 22:14:45.88 0
大変ですねえ
88 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/10(金) 22:19:45.94 O
まさかの遠いとこで飲み会だよ!
帰ったら1時近くだよ!予定外すぎるよ!
隣のおっちゃん酒臭いしよ!!
てことでないやいが書いてくれたとおり、やや遅れでチャット開場します
まぁそんな時間なのでサボの参加はないですが
明日の大会までは好き勝手使ってくださーい
帰ったら1時近くだよ!予定外すぎるよ!
隣のおっちゃん酒臭いしよ!!
てことでないやいが書いてくれたとおり、やや遅れでチャット開場します
まぁそんな時間なのでサボの参加はないですが
明日の大会までは好き勝手使ってくださーい
91 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 23:12:38.36 P
ありゃスレにあったのねw
92 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 23:43:43.24 P
うーんサボログってのがどこにあるのか分からん・・
93 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 23:52:45.98 0
wikiの作者の項目のまとめの人のところを見るんだ
94 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/10(金) 23:59:17.46 P
wiki見てるんだけど作者って項目が見つからない
コテハンのとこじゃないっぽいしもう諦めるよ
みんな楽しんできてくれー
コテハンのとこじゃないっぽいしもう諦めるよ
みんな楽しんできてくれー
95 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:05:15.89 0
>>94
http://www39.atwiki.jp/resonant/list?sort=update
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <世話の焼けるやっちゃのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <本格開催は明日の21:00からだよ!!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
http://www39.atwiki.jp/resonant/list?sort=update
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <世話の焼けるやっちゃのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <本格開催は明日の21:00からだよ!!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
96 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:07:25.41 O
Wiki入ってABC・五十音順をクリック、すぐ下にあるよ
諦めたらそこで共鳴終了ですよw
諦めたらそこで共鳴終了ですよw
97 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:09:07.97 P
>>95
おーありがとうボス!
てか今日じゃなかったんだw
お礼に魚あげるね
__r======、_
/o :::::::::::::::::::ヽ、/|
> l7~~~~~~ / ̄
` ―--===-''"
おーありがとうボス!
てか今日じゃなかったんだw
お礼に魚あげるね
__r======、_
/o :::::::::::::::::::ヽ、/|
> l7~~~~~~ / ̄
` ―--===-''"
98 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:21:33.79 O
みんな今日はスレが沈むのが早いから気を付けて!
99 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:22:47.06 0
101 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 00:46:07.86 0
>>100
23ch.infoがとまってるぽい
23ch.infoがとまってるぽい
102 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/11(土) 01:03:22.49 0
【告知】
お待たせしました
チャット会場の開場でございやす
ttp://sabotty.blog6.fc2.com/
サボログからドゾー
大慌てでいろんな文章こさえたのでおかしなところがあるかもです
基本ルールを守ってみんなで楽しく語らいましょう!
みんな集まれ!の大会期間は11日PM9:00~だよ!
以降、チャットの話題はしたらばスレにお願いします
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1216737277/l50
お待たせしました
チャット会場の開場でございやす
ttp://sabotty.blog6.fc2.com/
サボログからドゾー
大慌てでいろんな文章こさえたのでおかしなところがあるかもです
基本ルールを守ってみんなで楽しく語らいましょう!
みんな集まれ!の大会期間は11日PM9:00~だよ!
以降、チャットの話題はしたらばスレにお願いします
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/22534/1216737277/l50
103 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 01:34:37.31 0
チャット会場、前夜祭風だねえw あしたもたのしみだょw
104 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:35:29.96 P
よっすぃ祭りに便乗して復讐と帰還の続きを投下します
まだ完結出来てないのですけれども
良かったら読んでやってください
まだ完結出来てないのですけれども
良かったら読んでやってください
105 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:37:44.23 0
愛は、心で里沙に語りかけた。
里沙は、心で愛の声を聞いた。
――ガキさん
――里沙ちゃん
――お姉ちゃん
―お姉ちゃん、聞こえる?
…
―起きて、お姉ちゃん
精神の深層のさらに下方に存在する、人間のあらゆる感情や、原始的な衝動が生み出される源泉。
人間という存在の最も根深いものの一つ、混沌が支配し、感情と衝動が無秩序に渦巻く領域。
いかなる理性も、常識も通用しない神秘の象徴。
常人なら数秒、経験を積んだダイバーでも数分で精神を破壊される精神の暴風雨が吹き荒れる海。
サイコ・ダイバーはそれを、混沌の海と呼ぶ。
少女の声で眠りから覚めたサイコ・ダイバーは、その混沌の海に漂っている自分を発見した。
「ここは…そうか、愛ちゃんの中に潜って…」
サイコ・ダイバー新垣里沙は、自分の身に起こった事を思い返す。
死に瀕した愛を救うため、精神の深奥を越えて、混沌の海に身を投じた。
そこで愛を見つけはしたものの、荒れ狂う激流に翻弄され、出口が分からなくなった時、その時、光を見たのだった。
「それから…私」
―お姉ちゃん、そこで力尽きて、海の中に取り残されちゃったのよ。
「アイちゃん?アイちゃんでしょ?」
里沙は、心で愛の声を聞いた。
――ガキさん
――里沙ちゃん
――お姉ちゃん
―お姉ちゃん、聞こえる?
…
―起きて、お姉ちゃん
精神の深層のさらに下方に存在する、人間のあらゆる感情や、原始的な衝動が生み出される源泉。
人間という存在の最も根深いものの一つ、混沌が支配し、感情と衝動が無秩序に渦巻く領域。
いかなる理性も、常識も通用しない神秘の象徴。
常人なら数秒、経験を積んだダイバーでも数分で精神を破壊される精神の暴風雨が吹き荒れる海。
サイコ・ダイバーはそれを、混沌の海と呼ぶ。
少女の声で眠りから覚めたサイコ・ダイバーは、その混沌の海に漂っている自分を発見した。
「ここは…そうか、愛ちゃんの中に潜って…」
サイコ・ダイバー新垣里沙は、自分の身に起こった事を思い返す。
死に瀕した愛を救うため、精神の深奥を越えて、混沌の海に身を投じた。
そこで愛を見つけはしたものの、荒れ狂う激流に翻弄され、出口が分からなくなった時、その時、光を見たのだった。
「それから…私」
―お姉ちゃん、そこで力尽きて、海の中に取り残されちゃったのよ。
「アイちゃん?アイちゃんでしょ?」
106 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:39:18.46 0
里沙は、高橋愛の心の奥に封印されたi914の力を司る少女の名を呼んだ。
「どこにいるの?アイちゃん」
―ここにいるよ。
その声で、里沙は自分が繭のような物に包みこまれている事に気が付いた。
これが、混沌の激流から彼女の精神を保護していたのだろう。
里沙は、繭にそっと手を触れて、言葉をかけた。
「アイちゃん、ずっと…」
―急いで、お姉ちゃん。私が呼んでる。
「愛ちゃんが?」
―光が見えるでしょ?
混沌の海に鮮やかな黄色の光が差し込んでいる。愛が里沙のために道を示しているのだ。
真っ直ぐ光の差す方を目指せ、と、愛の意思が伝わってくるようだった。
里沙は愛の意思と呼応するように意識を集中し、海中を走るのに最も適した姿にその身を変えていく。
サイコ・ダイバーはおとぎ話に出てくる人魚の姿になって、混沌の海を駆け上がっていった。
獣の右手から、血が滴っている。思ったより深く切り裂かれているようだ。
獣の右手を切り裂いた短剣は、今は吉澤ひとみの袖口に隠れ、その姿を見せていない。
しかし、刃は姿を見せずとも、獣に恐怖を刻みつけるだけの働きは十分に果たしていた。
「…ジュンジュンといったな?獣人最後の生き残り」
凝っと見つめる吉澤の瞳に、一瞬、ほんの僅か憐れみの影が差したのを、ジュンジュンは見た。
―憐れみだと!
「どこにいるの?アイちゃん」
―ここにいるよ。
その声で、里沙は自分が繭のような物に包みこまれている事に気が付いた。
これが、混沌の激流から彼女の精神を保護していたのだろう。
里沙は、繭にそっと手を触れて、言葉をかけた。
「アイちゃん、ずっと…」
―急いで、お姉ちゃん。私が呼んでる。
「愛ちゃんが?」
―光が見えるでしょ?
混沌の海に鮮やかな黄色の光が差し込んでいる。愛が里沙のために道を示しているのだ。
真っ直ぐ光の差す方を目指せ、と、愛の意思が伝わってくるようだった。
里沙は愛の意思と呼応するように意識を集中し、海中を走るのに最も適した姿にその身を変えていく。
サイコ・ダイバーはおとぎ話に出てくる人魚の姿になって、混沌の海を駆け上がっていった。
獣の右手から、血が滴っている。思ったより深く切り裂かれているようだ。
獣の右手を切り裂いた短剣は、今は吉澤ひとみの袖口に隠れ、その姿を見せていない。
しかし、刃は姿を見せずとも、獣に恐怖を刻みつけるだけの働きは十分に果たしていた。
「…ジュンジュンといったな?獣人最後の生き残り」
凝っと見つめる吉澤の瞳に、一瞬、ほんの僅か憐れみの影が差したのを、ジュンジュンは見た。
―憐れみだと!
107 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:41:27.38 0
戦士の誇りを踏みにじられ、屈辱が胸の奥から湧き上がる。
しかし、屈辱が怒りに変わる事はなかった。絡みつく恐怖が、心を怒りに染め上げる事を阻んでいる。
怒りに身を任せて突っ込んでも負ける。それは、予感というよりは、確信に近い。
―この目は私の“殺し方”を知ってる目だ。
獣の一撃をどうかわすのが最も有効か、どういう手順を踏めば獣に致命傷を負わす事が出来るか。
どう追い詰め、どう命を奪うか。
そういった諸々を、この目は知っている。そして、己がそれを実行する力量を備えている事も、この目は知っている。
―どうする?どうたたかえばいい?
ジュンジュンは恐怖と屈辱にまみれた思考を必死の思いで回転させる。
獣人のパワーは確かに圧倒的な物がある。能力者といえども獣に勝る膂力を持つ者はいない。
しかし、獣の姿をとるが故に、どうしてもその動きは単調にならざるを得ないのだ。
血のにじむ思いで磨き上げた拳法の技も使う事も出来なくなる。
並の相手ならば力でねじ伏せる事も出来るが、獣とのたたかい方を心得た一流、それも粛清人と呼ばれる超一流にそれが通用するとは思えない。
ならばいっそ獣化を解いてたたかうか?馬鹿な、論外だ。
獣の力無しで太刀打ち出来るような相手なら、リゾナンター最強の高橋愛がああも追い詰められはしない。
―力を技に乗せなければ、こいつには届かない。
どうやって?どうやって獣の力を人間の技に乗せる?
私がパンダの姿である以上、そんな事は――
そこで、ジュンジュンは思考を切った。
吉澤ひとみが、滑り込むように間合いに侵入してきたからだ。吉澤の袖口に暗い輝きを持った刃が煌めく。
ぞわり、と獣の背中を覆う毛が逆立つような感覚があった。
しかし、屈辱が怒りに変わる事はなかった。絡みつく恐怖が、心を怒りに染め上げる事を阻んでいる。
怒りに身を任せて突っ込んでも負ける。それは、予感というよりは、確信に近い。
―この目は私の“殺し方”を知ってる目だ。
獣の一撃をどうかわすのが最も有効か、どういう手順を踏めば獣に致命傷を負わす事が出来るか。
どう追い詰め、どう命を奪うか。
そういった諸々を、この目は知っている。そして、己がそれを実行する力量を備えている事も、この目は知っている。
―どうする?どうたたかえばいい?
ジュンジュンは恐怖と屈辱にまみれた思考を必死の思いで回転させる。
獣人のパワーは確かに圧倒的な物がある。能力者といえども獣に勝る膂力を持つ者はいない。
しかし、獣の姿をとるが故に、どうしてもその動きは単調にならざるを得ないのだ。
血のにじむ思いで磨き上げた拳法の技も使う事も出来なくなる。
並の相手ならば力でねじ伏せる事も出来るが、獣とのたたかい方を心得た一流、それも粛清人と呼ばれる超一流にそれが通用するとは思えない。
ならばいっそ獣化を解いてたたかうか?馬鹿な、論外だ。
獣の力無しで太刀打ち出来るような相手なら、リゾナンター最強の高橋愛がああも追い詰められはしない。
―力を技に乗せなければ、こいつには届かない。
どうやって?どうやって獣の力を人間の技に乗せる?
私がパンダの姿である以上、そんな事は――
そこで、ジュンジュンは思考を切った。
吉澤ひとみが、滑り込むように間合いに侵入してきたからだ。吉澤の袖口に暗い輝きを持った刃が煌めく。
ぞわり、と獣の背中を覆う毛が逆立つような感覚があった。
108 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:44:18.59 0
「凄い…どうしてこんなスピードが…」
凄まじい速度で海中を疾走しながら、ぽつりと言葉を漏らした。
その唇から呟きの余韻が消え去ると共に、里沙は混沌の海からの脱出を果たしていた。
人魚の姿を解き、里沙は少女に語りかける。
「アイちゃん、海を抜けたよ」
その言葉に反応して、里沙を包む繭がスルスルとほどけ、
うっすらと黄色い光を放つ一つの塊となって彼女の目の前にわだかまった。
「ねえ、アイちゃん。私どれくらい海の中にいた?」
「ちょうど一週間よ。お姉ちゃん」
「一週間!?」
里沙と言葉を交わしながら、繭は少女のかたちになっていく。
「その間、ずっと守ってくれていたの?」
「お姉ちゃん、私を助けに行ったきり戻ってこなかったから」
経験を積んだダイバーでも数分で精神を破壊される程の精神の暴風雨から、一週間もの間、少女は里沙を守り続けていたのだ。
愛の人格の一部であるアイが、濁流の影響を最小限に抑え得る繭のかたちをとっていたからこそ出来た事なのだろう。
しかしそれが途方もない意志力を擦り減らす行為だという事も、里沙は痛切なほど知りぬいている。
「アイちゃん、その姿…」
「ずっと海の中にいたから私が少し混ざっちゃった」
里沙の目の前にいるのは高橋愛が幼いころに切り離した四歳時のアイではなく、小学校の高学年くらいの年頃の少女だった。
面影が、里沙がよく知る高橋愛のそれにより近くなっている。
ただ、そのアイの存在感が酷く朧になってしまっているのが、里沙の胸を締めつけた。
「凄い…どうしてこんなスピードが…」
凄まじい速度で海中を疾走しながら、ぽつりと言葉を漏らした。
その唇から呟きの余韻が消え去ると共に、里沙は混沌の海からの脱出を果たしていた。
人魚の姿を解き、里沙は少女に語りかける。
「アイちゃん、海を抜けたよ」
その言葉に反応して、里沙を包む繭がスルスルとほどけ、
うっすらと黄色い光を放つ一つの塊となって彼女の目の前にわだかまった。
「ねえ、アイちゃん。私どれくらい海の中にいた?」
「ちょうど一週間よ。お姉ちゃん」
「一週間!?」
里沙と言葉を交わしながら、繭は少女のかたちになっていく。
「その間、ずっと守ってくれていたの?」
「お姉ちゃん、私を助けに行ったきり戻ってこなかったから」
経験を積んだダイバーでも数分で精神を破壊される程の精神の暴風雨から、一週間もの間、少女は里沙を守り続けていたのだ。
愛の人格の一部であるアイが、濁流の影響を最小限に抑え得る繭のかたちをとっていたからこそ出来た事なのだろう。
しかしそれが途方もない意志力を擦り減らす行為だという事も、里沙は痛切なほど知りぬいている。
「アイちゃん、その姿…」
「ずっと海の中にいたから私が少し混ざっちゃった」
里沙の目の前にいるのは高橋愛が幼いころに切り離した四歳時のアイではなく、小学校の高学年くらいの年頃の少女だった。
面影が、里沙がよく知る高橋愛のそれにより近くなっている。
ただ、そのアイの存在感が酷く朧になってしまっているのが、里沙の胸を締めつけた。
109 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:46:56.28 0
「私を守ってくれてたから…ずっと無理をして…ごめんね、アイちゃん」
「お姉ちゃんが助けてくれなかったら、私は死んでたのよ。謝る事なんてないわ」
少女は透き通るような笑みで、里沙を見つめた。
「初めから私はこうするべきだったのよ。でも、怖くて出来なかった。私が消えちゃうんじゃないかって」
「――」
「でもね、お姉ちゃんがきっかけをくれた」
透き通るようであった少女の笑みが、幻のように揺らめいた時、少女は少しかなしそうな顔をした。
里沙ははっと息を飲み、少女を抱きしめようとした。が、少女は強い意志を込めた言葉でそれを押しとどめる。
「お姉ちゃん急いで。もう、お話をしていられる時間は長くないから」
「アイちゃん、いなくならないで」
「私は私に還るだけよ、消えたりなんかしないわ。だから、お姉ちゃんもお姉ちゃんに帰るの」
少女の言葉が里沙に吸いこまれていくとともに、里沙は猛禽を思わせる翼を広げ、上を見上げた。
黄色い光が、里沙に道を示している。
サイコ・ダイバーは飛び立った。仲間のもとへ、友のもとへ、そして、自分のもとへ。
隼よりも速く。
グロゥ!
身をよじって、獣は迫りくる刃から逃れた。
その様は、よける、というよりは、逃げる、と形容するのがふさわしいだろうか。
地面を転げながら距離をとる。
傍から見れば或いは無様にも映る格好であるが、吉澤はジュンジュンに戦士としての素質を強く感じていた。
「お姉ちゃんが助けてくれなかったら、私は死んでたのよ。謝る事なんてないわ」
少女は透き通るような笑みで、里沙を見つめた。
「初めから私はこうするべきだったのよ。でも、怖くて出来なかった。私が消えちゃうんじゃないかって」
「――」
「でもね、お姉ちゃんがきっかけをくれた」
透き通るようであった少女の笑みが、幻のように揺らめいた時、少女は少しかなしそうな顔をした。
里沙ははっと息を飲み、少女を抱きしめようとした。が、少女は強い意志を込めた言葉でそれを押しとどめる。
「お姉ちゃん急いで。もう、お話をしていられる時間は長くないから」
「アイちゃん、いなくならないで」
「私は私に還るだけよ、消えたりなんかしないわ。だから、お姉ちゃんもお姉ちゃんに帰るの」
少女の言葉が里沙に吸いこまれていくとともに、里沙は猛禽を思わせる翼を広げ、上を見上げた。
黄色い光が、里沙に道を示している。
サイコ・ダイバーは飛び立った。仲間のもとへ、友のもとへ、そして、自分のもとへ。
隼よりも速く。
グロゥ!
身をよじって、獣は迫りくる刃から逃れた。
その様は、よける、というよりは、逃げる、と形容するのがふさわしいだろうか。
地面を転げながら距離をとる。
傍から見れば或いは無様にも映る格好であるが、吉澤はジュンジュンに戦士としての素質を強く感じていた。
110 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:48:46.19 0
「思い切りがいいな。そうするのが正解だと分かっていても、普通は躊躇っちまうもんだが」
すうっと目を細めて、吉澤は言葉を続ける。
「戦獣どもなんかとは、流石に出来が違う」
そう言って視線を移した先に、虚ろな顔をした大男達が里沙達四人を取り囲むように立っていた。
その様を見つめる吉澤の頬に不快の色が浮かんでいる。
「奴等は恐怖も知らなければ、痛みも、かなしみも感じないんだ。心が無いからな」
軽く溜息をついて、言葉を続ける。
「これから先は、ああいう人のかたちをした肉の塊どもが主役になっていくのさ。私ら能力者はお払い箱かもな」
「――」
「ちょっと、獣化を解いてくれないか?その姿じゃ話が通じてるのかどうか分からないからさ。別にペテンにかけようって訳じゃない」
意外なほど素直に、ジュンジュンは獣の姿から生まれたままの姿にその身を変じた。
吉澤の言葉を信じたというよりは、吉澤が自分に詐術を弄する必要性を感じられなかったからだろう。
それに、話が長引けばその分時間が稼げる。ジュンジュンは殊更に自信を漲らせた声で言葉を発した。
「あんな奴等なんか、私の敵じゃない」
「まあサシならそうだろうさ、でも、二体、三体相手ならどうだい?奴等は使い捨てだ」
「――」
「組織は戦獣の量産に手を付け始めている。100や200って数じゃねえよ。そうなったらお前らに勝ち目は無い」
「何が言いたい?」
「私は同情してるんだよ、お前に」
「何だと!?」
「お前も、復讐者だからな」
復讐者――その響きで、ジュンジュンの胸の奥に潜む何かが、ぞくり、と蠢いた。
すうっと目を細めて、吉澤は言葉を続ける。
「戦獣どもなんかとは、流石に出来が違う」
そう言って視線を移した先に、虚ろな顔をした大男達が里沙達四人を取り囲むように立っていた。
その様を見つめる吉澤の頬に不快の色が浮かんでいる。
「奴等は恐怖も知らなければ、痛みも、かなしみも感じないんだ。心が無いからな」
軽く溜息をついて、言葉を続ける。
「これから先は、ああいう人のかたちをした肉の塊どもが主役になっていくのさ。私ら能力者はお払い箱かもな」
「――」
「ちょっと、獣化を解いてくれないか?その姿じゃ話が通じてるのかどうか分からないからさ。別にペテンにかけようって訳じゃない」
意外なほど素直に、ジュンジュンは獣の姿から生まれたままの姿にその身を変じた。
吉澤の言葉を信じたというよりは、吉澤が自分に詐術を弄する必要性を感じられなかったからだろう。
それに、話が長引けばその分時間が稼げる。ジュンジュンは殊更に自信を漲らせた声で言葉を発した。
「あんな奴等なんか、私の敵じゃない」
「まあサシならそうだろうさ、でも、二体、三体相手ならどうだい?奴等は使い捨てだ」
「――」
「組織は戦獣の量産に手を付け始めている。100や200って数じゃねえよ。そうなったらお前らに勝ち目は無い」
「何が言いたい?」
「私は同情してるんだよ、お前に」
「何だと!?」
「お前も、復讐者だからな」
復讐者――その響きで、ジュンジュンの胸の奥に潜む何かが、ぞくり、と蠢いた。
111 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:53:12.47 0
「復讐だけが、お前の生きる目的だった時期がある筈だ」
「私は――」
「憎しみが前に進む力を生み出すなら、憎めばいいんだよ。それが人間ってもんだ」
「違う。憎しみは心を曇らせる。私は正義の為にたたかって――」
「正義って、なんだい?」
「それは…」
言葉に窮した。
あまりにもシンプルな問いが、ジュンジュンの心を揺さぶる。
「まあいいさ。これ以上続けても答なんか出やしない。もっとも、ハナっから答なんかありゃしねえのかもな」
「何で、そんな話を私にするんだ…?」
「組織に従うなら、お前の命は助けてやる」
「!?」
「言ったろ?同情してるって」
「断る」
「戦獣!」
グロロォォォォゥゥ!!
吉澤の合図とともに、巨大な咆哮が倉庫内の空間を揺るがし、殆ど質量をもった塊となってジュンジュンの肉体に叩きつけられた。
衝撃がジュンジュンの体を突き抜けた時には、里沙達を取り囲んでいた大男のことごとくが異形の獣に姿を変えている。
異様にして絶望的な光景がジュンジュンの視界を覆っていた。
「まあ、そうくるだろうと思ってたよ」
「…当たり前ダ」
言葉を返しながらも、ジュンジュンは己の肉の中に冷たいものがごろりと転がっているのを感じていた。
「目の前で仲間を殺される経験なんて、一生の内に二度もあっていいもんじゃねえよな」
「――」
「でもまあ、高橋愛は瞬間移動で逃げきれるかな?確か一人なら一緒に連れて跳べると聞いてるけど」
「私は――」
「憎しみが前に進む力を生み出すなら、憎めばいいんだよ。それが人間ってもんだ」
「違う。憎しみは心を曇らせる。私は正義の為にたたかって――」
「正義って、なんだい?」
「それは…」
言葉に窮した。
あまりにもシンプルな問いが、ジュンジュンの心を揺さぶる。
「まあいいさ。これ以上続けても答なんか出やしない。もっとも、ハナっから答なんかありゃしねえのかもな」
「何で、そんな話を私にするんだ…?」
「組織に従うなら、お前の命は助けてやる」
「!?」
「言ったろ?同情してるって」
「断る」
「戦獣!」
グロロォォォォゥゥ!!
吉澤の合図とともに、巨大な咆哮が倉庫内の空間を揺るがし、殆ど質量をもった塊となってジュンジュンの肉体に叩きつけられた。
衝撃がジュンジュンの体を突き抜けた時には、里沙達を取り囲んでいた大男のことごとくが異形の獣に姿を変えている。
異様にして絶望的な光景がジュンジュンの視界を覆っていた。
「まあ、そうくるだろうと思ってたよ」
「…当たり前ダ」
言葉を返しながらも、ジュンジュンは己の肉の中に冷たいものがごろりと転がっているのを感じていた。
「目の前で仲間を殺される経験なんて、一生の内に二度もあっていいもんじゃねえよな」
「――」
「でもまあ、高橋愛は瞬間移動で逃げきれるかな?確か一人なら一緒に連れて跳べると聞いてるけど」
112 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:55:05.49 0
吉澤はジュンジュンの瞳を静かに見つめ、言った。
「誰を連れて逃げると思う?」
胸に刃を押し込まれたような感覚が、ジュンジュンを襲った。
「タカハシは…誰か一人を選べるような人間じゃない」
「でも選ぶしかなくなったら選ぶしかねえだろうよ。やっぱり…新垣だと思うかい?」
「…」
「その沈黙は肯定と受け取っておくよ」
「タカハシにとってニーガキは特別なんだ」
「その新垣は高橋愛の事を覚えちゃいねえんだろ?笑い話にもならないね」
吉澤はせせら笑った。
「そこまでやってくれる仲間の事を覚えてもいねえ奴に、命を賭けて助けてやる価値があるか?」
「記憶だけが、ニーガキの全てじゃない」
「言うねえ」
里沙と愛は手を取り合って、
異形の獣どもに取り囲まれている状況を全く置き去りにしているかのように、目を閉じて静かに寄り添っていた。
「何やってんだ?あいつら…」
吉澤の口からこぼれたものと同種の疑問がジュンジュンにも湧き上がる。
瞬間移動の集中にそこまで時間がかかるとは思えない。とすると、愛はここから逃げ出すつもりはないという事になる。
何か考えがあるのか?この状況を打破する?
「まあいい、あいつらを始末するのはお前を殺った後だ」
吉澤の言葉がするりと吐き出された。
仲間を殺される所を見ずに済むように、という配慮が働いたのかもしれない。
「誰を連れて逃げると思う?」
胸に刃を押し込まれたような感覚が、ジュンジュンを襲った。
「タカハシは…誰か一人を選べるような人間じゃない」
「でも選ぶしかなくなったら選ぶしかねえだろうよ。やっぱり…新垣だと思うかい?」
「…」
「その沈黙は肯定と受け取っておくよ」
「タカハシにとってニーガキは特別なんだ」
「その新垣は高橋愛の事を覚えちゃいねえんだろ?笑い話にもならないね」
吉澤はせせら笑った。
「そこまでやってくれる仲間の事を覚えてもいねえ奴に、命を賭けて助けてやる価値があるか?」
「記憶だけが、ニーガキの全てじゃない」
「言うねえ」
里沙と愛は手を取り合って、
異形の獣どもに取り囲まれている状況を全く置き去りにしているかのように、目を閉じて静かに寄り添っていた。
「何やってんだ?あいつら…」
吉澤の口からこぼれたものと同種の疑問がジュンジュンにも湧き上がる。
瞬間移動の集中にそこまで時間がかかるとは思えない。とすると、愛はここから逃げ出すつもりはないという事になる。
何か考えがあるのか?この状況を打破する?
「まあいい、あいつらを始末するのはお前を殺った後だ」
吉澤の言葉がするりと吐き出された。
仲間を殺される所を見ずに済むように、という配慮が働いたのかもしれない。
113 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 02:56:13.19 0
「七年前の虐殺に関わった者として、せめてお前は私が直接ケリをつけよう」
「お前も七年前のあの時に、あそこにいたのか…!?」
こつり、こつり、と乾いた音を立てて吉澤が歩み寄る。
気付くと、もう目の前に立っている。
何の構えも取っていない、無防備な姿をジュンジュンの眼前に晒していた。
まるで「お前の憎しみをぶつけてみろ」と、言っているようだ。
「ちいい!」
ジュンジュンは誘い込まれるように拳を繰り出した。
爪先から足首、膝、腰、胸、肩、肘、手首、そして拳。全身の関節を連動させて威力を倍加させる太極拳の技だ。
その渾身の一撃が、むなしく空を切る。
「外した」と思った瞬間、足を刈られた。
バランスを崩したジュンジュンの顔面に、吉澤の肘が打ち下ろされた。
―!
視界が一瞬、闇に染まった。意識が飛んだのだ。
地面に倒された衝撃で覚醒した時には、吉澤の両の眼がジュンジュンを見下ろしていた。
「じゃあな」
乾いた声と共に袖口から這い出してきた刃が、喉元を目がけて振り下ろされた。
ジュンジュンの脳裏に、彼女の生きて来た21年が走り抜ける。
―こうもあっけなく、死は訪れるものか
脳裏を駆け抜ける21年を、ジュンジュンは奇妙な感動に包まれながら眺めていた。
諦めにも似た感情で死を見つめるジュンジュンの命の奥で、力が蠢いた。
それは、七年前の虐殺から彼女を生き延びさせた力であり、獣化能力の新しい扉を開く力でもあった。
「お前も七年前のあの時に、あそこにいたのか…!?」
こつり、こつり、と乾いた音を立てて吉澤が歩み寄る。
気付くと、もう目の前に立っている。
何の構えも取っていない、無防備な姿をジュンジュンの眼前に晒していた。
まるで「お前の憎しみをぶつけてみろ」と、言っているようだ。
「ちいい!」
ジュンジュンは誘い込まれるように拳を繰り出した。
爪先から足首、膝、腰、胸、肩、肘、手首、そして拳。全身の関節を連動させて威力を倍加させる太極拳の技だ。
その渾身の一撃が、むなしく空を切る。
「外した」と思った瞬間、足を刈られた。
バランスを崩したジュンジュンの顔面に、吉澤の肘が打ち下ろされた。
―!
視界が一瞬、闇に染まった。意識が飛んだのだ。
地面に倒された衝撃で覚醒した時には、吉澤の両の眼がジュンジュンを見下ろしていた。
「じゃあな」
乾いた声と共に袖口から這い出してきた刃が、喉元を目がけて振り下ろされた。
ジュンジュンの脳裏に、彼女の生きて来た21年が走り抜ける。
―こうもあっけなく、死は訪れるものか
脳裏を駆け抜ける21年を、ジュンジュンは奇妙な感動に包まれながら眺めていた。
諦めにも似た感情で死を見つめるジュンジュンの命の奥で、力が蠢いた。
それは、七年前の虐殺から彼女を生き延びさせた力であり、獣化能力の新しい扉を開く力でもあった。
114 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 03:03:53.12 P
115 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 05:22:29.89 0
手に汗握るっていうのはこういう話のことを言うんやね
面白かったの一語に尽きる
続き待ってます
面白かったの一語に尽きる
続き待ってます
116 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 07:48:37.85 O
117 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 07:48:39.05 0
118 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 09:24:34.75 0
前2人の書き込み時間が凄くリゾナントしてるな
119 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 10:45:57.17 0
>>114
サイコ・ダイブと愛ガキの心の繋がり
ジュンジュンと吉澤の息詰まるバトル
これが並行して語られてストーリーが織り成されるという演出にため息です
心情描写と情景描写のバランスがハンパない
どちら側サイドも丁寧に描いていることで物語の厚みが圧倒的ですね
どのような結末を迎えるのか…胸を締め付けられるような思いで待ってます!
サイコ・ダイブと愛ガキの心の繋がり
ジュンジュンと吉澤の息詰まるバトル
これが並行して語られてストーリーが織り成されるという演出にため息です
心情描写と情景描写のバランスがハンパない
どちら側サイドも丁寧に描いていることで物語の厚みが圧倒的ですね
どのような結末を迎えるのか…胸を締め付けられるような思いで待ってます!
120 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 10:46:38.69 0
121 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 12:28:41.65 O
第30話…盛り上がってますね!
122 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/11(土) 14:06:03.18 O
球場からほじぇん
123 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 14:07:49.08 O
まさか皆さん夜に向けて昼寝中?w
126 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 16:30:09.48 O
そして夜の為に再びリゾナントで昼寝する>>124であった
127 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 17:40:46.75 0
おはよーリゾナンター
128 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 17:50:41.95 0
129 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:06:40.91 0
テンプレの二人の生誕記念の作品を上げる人はいるかな
130 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:21:20.07 O
誰かは書くんじゃないかなあ
大体作品上がってるし
大体作品上がってるし
131 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 21:10:17.41 O
只今30話記念チャット開催中
132 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 21:17:04.98 P
もうやってんだ
今℃-uteコンの実況中なんでそれ終わってから行きますw
今℃-uteコンの実況中なんでそれ終わってから行きますw
133 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 21:58:05.05 0
「おう、コンコン。何やってんだよ」
突然背後から聞こえた大きな声に、紺野あさ美は慌ててマウスを操作してウィンドウを閉じた。
「吉澤さんですか。もう、驚かさないでくださいよ」
冷静を装うあさ美の表情を楽しげな顔で覗き込みながら、吉澤ひとみは軽くその肩を叩いて笑う。
「なんだなんだ、また秘密の研究ってヤツ?今度は何企んでんだ?」
「人聞きが悪いですよ吉澤さん。私は組織に言われた研究をしてるだけです」
内心冷や汗をかきながら、あさ美は涼しい顔で吉澤の言葉を受け流した。
「ふーん、どんな?」
「それこそ秘密ですよ」
「何だよ、誰にも言わねーって。オレ、こう見えて口は堅いんだぜ?」
「別に吉澤さんのことを信用してないわけじゃないですよ。ただ、言えないだけです」
「ちぇ、相変わらず秘密主義だなー。オレとコンコンの仲じゃねぇか」
「ダメなものはダメです。諦めてください」
「へいへい。分かりましたよ。どうせ聞いてもよくわかんねーだろうし」
そう言うと、吉澤はあさ美の側を離れ、部屋の出口へと向かった。
その後ろ姿に向かい、あさ美は小さく安堵のため息を吐く。
「…コンコン」
そのとき、あさ美は不意に自分の名を呼ばれ、硬直した。
「心配すんな。オレは口が堅いからさ。ただ……あんま夜更かしすんなよ」
「………分かりました」
「おやすみ」と背中を向けたまま手を振り、吉澤の姿は扉の向こうに消える。
あさ美は視線をパソコンに戻し、マウスを操作する。
微かに微笑みながらあさ美が再び立ち上げたウィンドウにはこう記されていた。
リゾスレ第30話記念チャット大会―――と。
「おう、コンコン。何やってんだよ」
突然背後から聞こえた大きな声に、紺野あさ美は慌ててマウスを操作してウィンドウを閉じた。
「吉澤さんですか。もう、驚かさないでくださいよ」
冷静を装うあさ美の表情を楽しげな顔で覗き込みながら、吉澤ひとみは軽くその肩を叩いて笑う。
「なんだなんだ、また秘密の研究ってヤツ?今度は何企んでんだ?」
「人聞きが悪いですよ吉澤さん。私は組織に言われた研究をしてるだけです」
内心冷や汗をかきながら、あさ美は涼しい顔で吉澤の言葉を受け流した。
「ふーん、どんな?」
「それこそ秘密ですよ」
「何だよ、誰にも言わねーって。オレ、こう見えて口は堅いんだぜ?」
「別に吉澤さんのことを信用してないわけじゃないですよ。ただ、言えないだけです」
「ちぇ、相変わらず秘密主義だなー。オレとコンコンの仲じゃねぇか」
「ダメなものはダメです。諦めてください」
「へいへい。分かりましたよ。どうせ聞いてもよくわかんねーだろうし」
そう言うと、吉澤はあさ美の側を離れ、部屋の出口へと向かった。
その後ろ姿に向かい、あさ美は小さく安堵のため息を吐く。
「…コンコン」
そのとき、あさ美は不意に自分の名を呼ばれ、硬直した。
「心配すんな。オレは口が堅いからさ。ただ……あんま夜更かしすんなよ」
「………分かりました」
「おやすみ」と背中を向けたまま手を振り、吉澤の姿は扉の向こうに消える。
あさ美は視線をパソコンに戻し、マウスを操作する。
微かに微笑みながらあさ美が再び立ち上げたウィンドウにはこう記されていた。
リゾスレ第30話記念チャット大会―――と。
135 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 22:19:54.90 O
从;・ 。.・)ロ カチャカチャ<紺野さんが監視してる!
でも、さゆみ携帯だから書き込めないの
危険なの!みんな~逃げて~
でも、さゆみ携帯だから書き込めないの
危険なの!みんな~逃げて~
136 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 22:46:25.65 0
禍刻さんがチャット会場からさらわれました… マルシェの仕業かも!?
心当たりの方はチャット会場へ!!
心当たりの方はチャット会場へ!!
137 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 23:18:12.73 0
参加するタイミングがつかめずROM中・・・
138 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 23:18:59.34 0
川o・-・)ノ<いつでも入ればいいですよ
139 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 23:25:07.83 0
★嘘次回予告★
幹部のミティを捕えられ、ついにダークネスが全軍を挙げて蜂起した。
頼みの綱のリンリン不在の折、喫茶リゾナントに押し寄せる敵の群れ。
変身時の隙を突かれ、成す術もなく攫われていくレッド、ブルー、ブラック、ピンク、イエロー。
五人の戦士リゾナンターを失い絶望する新垣と久住。
だがそんな彼女たちの前に、いま救世主が立ち上がる!
次回、共鳴戦隊リゾナンター第二話
「敵にも味方にも忘れられていたシルバー! 高橋必死の存在アピール!」
いま、ベールに包まれた彼女の真価が明らかになる―――!
※保全代わりの嘘次回予告です。執筆の予定はございません。
幹部のミティを捕えられ、ついにダークネスが全軍を挙げて蜂起した。
頼みの綱のリンリン不在の折、喫茶リゾナントに押し寄せる敵の群れ。
変身時の隙を突かれ、成す術もなく攫われていくレッド、ブルー、ブラック、ピンク、イエロー。
五人の戦士リゾナンターを失い絶望する新垣と久住。
だがそんな彼女たちの前に、いま救世主が立ち上がる!
次回、共鳴戦隊リゾナンター第二話
「敵にも味方にも忘れられていたシルバー! 高橋必死の存在アピール!」
いま、ベールに包まれた彼女の真価が明らかになる―――!
※保全代わりの嘘次回予告です。執筆の予定はございません。
140 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 23:39:13.30 0
共鳴者さんの新作クルー!
30話記念にクルー!(既成事実化)
30話記念にクルー!(既成事実化)
141 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/11(土) 23:41:31.80 O
>>139
オレンジ…
オレンジ…
142 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 00:18:24.04 0
>>139
ノノ* ゜ー゜) <・・・
ノノ* ゜ー゜) <・・・
143 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 00:27:46.10 0
すいません、
このお話ではメンバーの設定色無視して亀はブルーに設定されていますorz
このお話ではメンバーの設定色無視して亀はブルーに設定されていますorz
144 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 01:05:32.75 0
川*^A^) <HAHAHA~!! つ~かなんで「不在」ですカ~?
WIKIの私の項目読んでますカ~!?
WIKIの私の項目読んでますカ~!?
145 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 01:33:10.71 0
川*’ー’)<(ふふふ…忘れられてるやら何やらかんやら言われても結局あーしが一番人気なんやよ)
146 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 01:38:10.39 0
いえ、その……リンリンさんはたぶん緊急の公務が入ってしまったとかゴニョゴニョ
……愛さん、貴女はその、少し黙ってて。(ひどい
……愛さん、貴女はその、少し黙ってて。(ひどい
147 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 02:36:25.50 0
てすと
148 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 05:42:12.61 O
おはようございまーす
149 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 07:35:44.66 O
マルシェはちゃんと寝たかなー
150 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 08:27:33.37 0
川*’ー’)<(シルバーの出番を待ってるうちにチャット大会が終わってしまったやよー…
151 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 10:24:19.93 0
今夜もきっとあるさ
152 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/12(日) 10:44:12.03 0
今日福岡である「安倍さん Summer Live Tour 2009 ~やっぱりダークネスがすき!」に潜入します
隙あらば全力ロミオ攻撃をかけたいと思います期待していてください
隙あらば全力ロミオ攻撃をかけたいと思います期待していてください
153 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 11:05:00.62 O
無茶しやがって…
154 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 12:01:31.22 O
どいつもこいつも勇敢なのはいいけど勝てそうにもない相手に挑むなあ
矢口とかにしとけばいいのに
…なんか今けたたましい笑い声が聞こえた気が
矢口とかにしとけばいいのに
…なんか今けたたましい笑い声が聞こえた気が
155 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 12:34:51.33 O
まず全力ロミオは攻撃なのかと小一時間(ry
156 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 13:46:18.08 0
157 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 14:38:27.72 0
上のサイコダイバーの話カッコイイね
158 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 15:52:59.56 0
地には瓦礫の山と累々たる屍。
空に黒雲と鋼翼の悪魔。
たった今自分が命を奪った能力者集団の骸を睥睨しながら、後藤真希の心は乾いていた。
―こいつらならと期待してたけど、ダメだったね。
失望と諦観が交じり合った溜息を吐きながら、絶望の大地へと降り立つ。
万が一、仕損じていたなら、とどめをさして、苦痛から解放してやるため。
だがそんな憐憫は無用のものだった。
燃え上がる炎、崩落する瓦礫以外に動くものはありやしない、いや、誰かいる。
ジャリッ、と何かを踏みしめる音が響く。
その音の大きさは、その音を立てた存在が後藤に敢えて自分の存在を知らせようとしていることを示していた。
そんなことをするのは?
「何だ、やぐっつあんが来たの」
後藤の冷たい視線の先には、背丈だけなら子供かと見紛うぐらいにちっちゃな女が立っていた。
その物腰はどこか卑屈で、両掌を擦り合わせながら愛想笑いを浮かべていた。
「いやぁーっ、相変わらず強いねえ。 後藤は。
9人の能力者を倒すのに5分もかかっていない。 スゴイ、スゴイッ」
「まさか、そんなことを言いにやって来たわけじゃないでしょう」
「うーん、ちょっと言いにくいんだけどねぇ。」
ちっちゃな女は相変わらず腰が低い。 が、どこか不穏な空気を漂わせている。
「こうしてこいつらを惨殺することは、組織の方針と違っているってことは判ってるよね、後藤」
地には瓦礫の山と累々たる屍。
空に黒雲と鋼翼の悪魔。
たった今自分が命を奪った能力者集団の骸を睥睨しながら、後藤真希の心は乾いていた。
―こいつらならと期待してたけど、ダメだったね。
失望と諦観が交じり合った溜息を吐きながら、絶望の大地へと降り立つ。
万が一、仕損じていたなら、とどめをさして、苦痛から解放してやるため。
だがそんな憐憫は無用のものだった。
燃え上がる炎、崩落する瓦礫以外に動くものはありやしない、いや、誰かいる。
ジャリッ、と何かを踏みしめる音が響く。
その音の大きさは、その音を立てた存在が後藤に敢えて自分の存在を知らせようとしていることを示していた。
そんなことをするのは?
「何だ、やぐっつあんが来たの」
後藤の冷たい視線の先には、背丈だけなら子供かと見紛うぐらいにちっちゃな女が立っていた。
その物腰はどこか卑屈で、両掌を擦り合わせながら愛想笑いを浮かべていた。
「いやぁーっ、相変わらず強いねえ。 後藤は。
9人の能力者を倒すのに5分もかかっていない。 スゴイ、スゴイッ」
「まさか、そんなことを言いにやって来たわけじゃないでしょう」
「うーん、ちょっと言いにくいんだけどねぇ。」
ちっちゃな女は相変わらず腰が低い。 が、どこか不穏な空気を漂わせている。
「こうしてこいつらを惨殺することは、組織の方針と違っているってことは判ってるよね、後藤」
159 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 15:53:48.81 0
鋼翼を生やした美女は応えようとしない。
ちっちゃな女の言葉を待つ。
「こいつらに圧倒的な力の差を見せ付けて、心に絶望を植え付ける。
裕ちゃ、いやリーダーの指示は確かそうだったよね」
「やろうとしたさ。 でもこいつらが悪いのさ。
あの程度の攻撃を捌けないくせに、闇を打ち払おうなんてね。 ちゃんちゃらおかしいよ」
「こいつらには可能性があった。 今はまだか細いけど、将来は…」
「だったら、どうすんのさ。 こいつらを仲間に引き込もうっていう組織の方針を滅茶苦茶にしたわたしをどうしようっていうの」
眦をつり上げて、声を荒立てる鋼翼の悪魔に対して、ちっちゃな女はその両手を自分の身体の前に突き出し大きく振った。
「無理無理。 ダークネス最強の能力者、後藤真希をどうにかしできる奴なんて、この地上にいやしない」
「ふん、どんなもんだか。 さっきからあたしのチカラが阻害されてるんだけど。 口とは裏腹に殺る気満々なんじゃないの」
「これはさあ、あんたの念動でいきなり吹き飛ばされないようにする為さ。 何せあたしの身体じゃ何十メートル吹き飛ばされるか」
ちっちゃな女が言葉を言い終わる前に、後藤は最初の一歩を踏み出していた。
目の前の女の力、“能力阻害”は厄介だ。
だけど自分のチカラのベースと言っていい、念動力が防がれたとしても
卓越した身体能力から繰り出す物理的な攻撃で命脈を絶つことは容易だ。
この女の背丈なら、腰の入った回し蹴りで簡単に首を刈ってやれるだろう。
その後は知ったこっちゃない。
組織の準幹部級を殺した自分に対して、追手が掛かるならむしろ大歓迎だ。
氷の魔女、粛清人、時間を操る女。
命のやりとりをすることでしか、生きている事が実感できない。
一歩の内に自分の業の深さを噛み締めながら、次の一歩を跳ぶ。
これで、お別れさ。 やぐっつあん。
ちっちゃな女の言葉を待つ。
「こいつらに圧倒的な力の差を見せ付けて、心に絶望を植え付ける。
裕ちゃ、いやリーダーの指示は確かそうだったよね」
「やろうとしたさ。 でもこいつらが悪いのさ。
あの程度の攻撃を捌けないくせに、闇を打ち払おうなんてね。 ちゃんちゃらおかしいよ」
「こいつらには可能性があった。 今はまだか細いけど、将来は…」
「だったら、どうすんのさ。 こいつらを仲間に引き込もうっていう組織の方針を滅茶苦茶にしたわたしをどうしようっていうの」
眦をつり上げて、声を荒立てる鋼翼の悪魔に対して、ちっちゃな女はその両手を自分の身体の前に突き出し大きく振った。
「無理無理。 ダークネス最強の能力者、後藤真希をどうにかしできる奴なんて、この地上にいやしない」
「ふん、どんなもんだか。 さっきからあたしのチカラが阻害されてるんだけど。 口とは裏腹に殺る気満々なんじゃないの」
「これはさあ、あんたの念動でいきなり吹き飛ばされないようにする為さ。 何せあたしの身体じゃ何十メートル吹き飛ばされるか」
ちっちゃな女が言葉を言い終わる前に、後藤は最初の一歩を踏み出していた。
目の前の女の力、“能力阻害”は厄介だ。
だけど自分のチカラのベースと言っていい、念動力が防がれたとしても
卓越した身体能力から繰り出す物理的な攻撃で命脈を絶つことは容易だ。
この女の背丈なら、腰の入った回し蹴りで簡単に首を刈ってやれるだろう。
その後は知ったこっちゃない。
組織の準幹部級を殺した自分に対して、追手が掛かるならむしろ大歓迎だ。
氷の魔女、粛清人、時間を操る女。
命のやりとりをすることでしか、生きている事が実感できない。
一歩の内に自分の業の深さを噛み締めながら、次の一歩を跳ぶ。
これで、お別れさ。 やぐっつあん。
160 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 15:54:44.45 0
―いける。
今踏み出した足が、地に着いたならそれを軸にして回し蹴りを放つ。
それでこの女には十分致命傷を与えられるだろう。
―足りない!!
狼狽した。
自分が予測したよりも僅かだが距離が足らない。
チカラで飼い馴らした鋼翼で戦うことが多い後藤だったが、
自分本来の肉体のみを凶器にする術も知り尽くしている。
だからこんな僅かな齟齬が生じる事が信じられない。
―かわされる。
ちっちゃな女の顔からは他人を愚弄するような笑みは消え、冷徹な狙撃手の目をしていた。
そして許しを請うかのように、身体の前で振っていた両手を組み、拳銃のような形に組む。
「ばぁん!!」
ちっちゃな女がふざけたように言うとと同時に、後藤は胸に強い衝撃を感じた。
―飛ばされる。
念動が使えれば、この程度の衝撃波は簡単に相殺できるのに。
自分が放てるチカラに比べれば、遥かに小さなチカラで吹き飛ばされた後藤は宙を舞い、…墜ちた。
念動による衝撃波の直撃を受けた胸部には激痛が走り、気道からは何かがこみ上げてきた。
折れた肋骨が肺に刺さり、そこから血が流れてるのだろう。
今踏み出した足が、地に着いたならそれを軸にして回し蹴りを放つ。
それでこの女には十分致命傷を与えられるだろう。
―足りない!!
狼狽した。
自分が予測したよりも僅かだが距離が足らない。
チカラで飼い馴らした鋼翼で戦うことが多い後藤だったが、
自分本来の肉体のみを凶器にする術も知り尽くしている。
だからこんな僅かな齟齬が生じる事が信じられない。
―かわされる。
ちっちゃな女の顔からは他人を愚弄するような笑みは消え、冷徹な狙撃手の目をしていた。
そして許しを請うかのように、身体の前で振っていた両手を組み、拳銃のような形に組む。
「ばぁん!!」
ちっちゃな女がふざけたように言うとと同時に、後藤は胸に強い衝撃を感じた。
―飛ばされる。
念動が使えれば、この程度の衝撃波は簡単に相殺できるのに。
自分が放てるチカラに比べれば、遥かに小さなチカラで吹き飛ばされた後藤は宙を舞い、…墜ちた。
念動による衝撃波の直撃を受けた胸部には激痛が走り、気道からは何かがこみ上げてきた。
折れた肋骨が肺に刺さり、そこから血が流れてるのだろう。
161 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 15:57:43.90 0
喉をこみ上げて来た血液が口の中を満たし、溢れていく。
時間が経つごとに視界が狭まり、身体の感覚が失われていく。
…どうやら致命傷みたいだね。
に、しても意外だった。
私がやられるとしたら、愛ちゃんか圭ちゃんだと思ってたけど、まさかやぐっつあんにやられるとはね。
頭のすぐ傍で瓦礫を踏む音がした。
誰かが顔を覗き込んでいる気配がする。
「い、一体どんな…」
「どんなイカサマをやらかしたって聞きたいんだよね」
…違う、今のはイカサマなんかじゃ無いことは、喰らった私が一番よく判ってる。
ただ、知りたい。
どうやって私を打ち破ったのかを
「オイラは何もしていない。 後藤を敗ったのは後藤自身」
「な、何を…」
「もう喋らない方がいい」
痛ましげな口調が鋼翼の悪魔に、その命が長くないことを否応無く知らしめる。
「わ、わたじは…、ゴ、ゴボッ」
血を吐きながら勝敗の帰趨を決めた要因を知ろうとする後藤に、ちっちゃな女が言葉をかける。
その口調からは勝ち誇った気配など微塵も感じられない。
時間が経つごとに視界が狭まり、身体の感覚が失われていく。
…どうやら致命傷みたいだね。
に、しても意外だった。
私がやられるとしたら、愛ちゃんか圭ちゃんだと思ってたけど、まさかやぐっつあんにやられるとはね。
頭のすぐ傍で瓦礫を踏む音がした。
誰かが顔を覗き込んでいる気配がする。
「い、一体どんな…」
「どんなイカサマをやらかしたって聞きたいんだよね」
…違う、今のはイカサマなんかじゃ無いことは、喰らった私が一番よく判ってる。
ただ、知りたい。
どうやって私を打ち破ったのかを
「オイラは何もしていない。 後藤を敗ったのは後藤自身」
「な、何を…」
「もう喋らない方がいい」
痛ましげな口調が鋼翼の悪魔に、その命が長くないことを否応無く知らしめる。
「わ、わたじは…、ゴ、ゴボッ」
血を吐きながら勝敗の帰趨を決めた要因を知ろうとする後藤に、ちっちゃな女が言葉をかける。
その口調からは勝ち誇った気配など微塵も感じられない。
162 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 15:58:40.01 0
「私のチカラは能力阻害。
まず最初に後藤のチカラのベースである念動力を阻害、 その後、後藤の身体能力を阻害した」
「ば、馬鹿な…そんなことが」
「後藤、私達のチカラって何だと思う」
「ふぇっ」
「ダークネスであれ、リゾナンターであれ、能力者の能力って何なのさ。
普通の人には出来ない事? 神様しか出来ないような事?
空を飛ぶ事? 手を触れずに物を動かす事? 未来の出来事を視る事?
姿を消す事? 獣化する事? 手に触れた者を燃やす事? 思い描いたイメージを念写する事?
人の心と感応する事? 人の心に干渉する事? 時間を止める事? 悪魔に心を売らなきゃ出来ない事?」
ちっちゃい女は一気呵成に捲し立てると、一息ついた。
「そういうことが出来ない人間から見れば、私達のチカラは超能力かもしれない。
でも私達はそういうことが出来る。 だから私達は自分のチカラを能力と呼ぶ。」
パラパラと何かが降る音がする。
つい先程まで行われていた戦闘の影響で、損壊した付近の建造物から細かい破片が崩れ落ちているのだろう。
「でもね、ごっちん。 オイラたちが出来ないことをやってのける人たちがこの世の中にはたくさん存在する。
円周率を何万桁と記憶している学者、数ミクロンの誤差も無く金属を研磨する職人。
西瓜を割らずに実の詰まり具合を見分けられる八百屋のおじさん。
数センチの余裕しかないスペースに車を停めれる駐車場のおじいちゃん。
こんな人たちには、あんたみたいに自分の身体を宙に浮かしたり、圭ちゃんみたいに時間 を操作できたりはしない。
オイラ思ったんだ。 こんな人たちだって皆、能力者だって。
人は皆、自分の中に能力という輝きを秘めているって。
そう思ったとき、オイラの能力阻害という能力は生まれ変わった。
新たなる力、小さな巨人にね」
まず最初に後藤のチカラのベースである念動力を阻害、 その後、後藤の身体能力を阻害した」
「ば、馬鹿な…そんなことが」
「後藤、私達のチカラって何だと思う」
「ふぇっ」
「ダークネスであれ、リゾナンターであれ、能力者の能力って何なのさ。
普通の人には出来ない事? 神様しか出来ないような事?
空を飛ぶ事? 手を触れずに物を動かす事? 未来の出来事を視る事?
姿を消す事? 獣化する事? 手に触れた者を燃やす事? 思い描いたイメージを念写する事?
人の心と感応する事? 人の心に干渉する事? 時間を止める事? 悪魔に心を売らなきゃ出来ない事?」
ちっちゃい女は一気呵成に捲し立てると、一息ついた。
「そういうことが出来ない人間から見れば、私達のチカラは超能力かもしれない。
でも私達はそういうことが出来る。 だから私達は自分のチカラを能力と呼ぶ。」
パラパラと何かが降る音がする。
つい先程まで行われていた戦闘の影響で、損壊した付近の建造物から細かい破片が崩れ落ちているのだろう。
「でもね、ごっちん。 オイラたちが出来ないことをやってのける人たちがこの世の中にはたくさん存在する。
円周率を何万桁と記憶している学者、数ミクロンの誤差も無く金属を研磨する職人。
西瓜を割らずに実の詰まり具合を見分けられる八百屋のおじさん。
数センチの余裕しかないスペースに車を停めれる駐車場のおじいちゃん。
こんな人たちには、あんたみたいに自分の身体を宙に浮かしたり、圭ちゃんみたいに時間 を操作できたりはしない。
オイラ思ったんだ。 こんな人たちだって皆、能力者だって。
人は皆、自分の中に能力という輝きを秘めているって。
そう思ったとき、オイラの能力阻害という能力は生まれ変わった。
新たなる力、小さな巨人にね」
163 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:00:24.09 0
「グフッ、ちぃさな虚塵…」
「ゴメン。 オイラの攻撃力がもっと強ければそんなに苦しい思いをさせずに済んだのに」
もう完全に光を失った瞳をちっちゃな女に向けながら、鋼翼の悪魔だった女性は言葉の続きを促がした。
「オイラのチカラ、小さな巨人は人間のあらゆる能力を阻害できる。
但し、それには条件がある。
その対象となる人間が、オイラよりも上回っていると思った能力に限りってこと。
つまりその対象となる人間が、
自分の頭がオイラよりも賢いって思えば、その人間はオイラよりもおバカさんになる。
その対象となる人間が、
瞬間移動で素早く立ち回ってオイラなんかイチコロだって思った時点で、瞬間移動は不可能になる」
ちっちゃい女は気遣わしげな視線を自分の後輩に向けるが、
組織の厄介者“Black sheep”にはもうその視線を察知することも出来ない。
「オイラが最初に念動力を阻害した時点で、ごっちんはこう思ったんだろうね。
ちょっと面倒になったけど、この小さい女なら自分の身体能力だけで問題ないって」
戦闘の巻き添えで大破した自動車から洩れたのだろう。
油の不快な鼻を刺す。
顔をしかめながら、ちっちゃい女は続ける。
「グフッ、ちぃさな虚塵…」
「ゴメン。 オイラの攻撃力がもっと強ければそんなに苦しい思いをさせずに済んだのに」
もう完全に光を失った瞳をちっちゃな女に向けながら、鋼翼の悪魔だった女性は言葉の続きを促がした。
「オイラのチカラ、小さな巨人は人間のあらゆる能力を阻害できる。
但し、それには条件がある。
その対象となる人間が、オイラよりも上回っていると思った能力に限りってこと。
つまりその対象となる人間が、
自分の頭がオイラよりも賢いって思えば、その人間はオイラよりもおバカさんになる。
その対象となる人間が、
瞬間移動で素早く立ち回ってオイラなんかイチコロだって思った時点で、瞬間移動は不可能になる」
ちっちゃい女は気遣わしげな視線を自分の後輩に向けるが、
組織の厄介者“Black sheep”にはもうその視線を察知することも出来ない。
「オイラが最初に念動力を阻害した時点で、ごっちんはこう思ったんだろうね。
ちょっと面倒になったけど、この小さい女なら自分の身体能力だけで問題ないって」
戦闘の巻き添えで大破した自動車から洩れたのだろう。
油の不快な鼻を刺す。
顔をしかめながら、ちっちゃい女は続ける。
164 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:01:21.54 0
「その認識自体は間違いない。
ごっちんなら素手でやったって、この世界の人間の殆どを倒せるだろう。
でもオイラに対してはその認識が命取りになった。
ごっちんがオイラを蹴り殺そうとした時点で、オイラの小さな巨人は発動した。
阻害されたごっちんの身体能力は、年齢相応の女子の平均レベルまでに落ち込んだ。
あとは…もういいよね」
痛みを通り越し、体中に鉛を流し込まれたような感覚に苛まれながらちっちゃい女の言葉を噛み締める。
―いけすかない人だよ、アンタって人は。 初めて会ったときから…!
暗く塞がれた視界の中で何かが煌いた気がした。
やれる!!
思念の糸を伸ばし、物体を絡めて引き寄せる。
飛来した交通標識の鉄板が、ちっちゃな女に…当たった!
でも、この感覚は?
人間の身体に似ているけど、…違う…
鉄板で両断した物体から気体が噴出する音がする。
…ふっ、これは人体攻撃演習用のダミー。
本当に抜け目無い。
アンタって人は、最期までいけすかないよ。
これが鋼翼の悪魔と恐れられた最強の能力者、後藤真希の最期だった。
ごっちんなら素手でやったって、この世界の人間の殆どを倒せるだろう。
でもオイラに対してはその認識が命取りになった。
ごっちんがオイラを蹴り殺そうとした時点で、オイラの小さな巨人は発動した。
阻害されたごっちんの身体能力は、年齢相応の女子の平均レベルまでに落ち込んだ。
あとは…もういいよね」
痛みを通り越し、体中に鉛を流し込まれたような感覚に苛まれながらちっちゃい女の言葉を噛み締める。
―いけすかない人だよ、アンタって人は。 初めて会ったときから…!
暗く塞がれた視界の中で何かが煌いた気がした。
やれる!!
思念の糸を伸ばし、物体を絡めて引き寄せる。
飛来した交通標識の鉄板が、ちっちゃな女に…当たった!
でも、この感覚は?
人間の身体に似ているけど、…違う…
鉄板で両断した物体から気体が噴出する音がする。
…ふっ、これは人体攻撃演習用のダミー。
本当に抜け目無い。
アンタって人は、最期までいけすかないよ。
これが鋼翼の悪魔と恐れられた最強の能力者、後藤真希の最期だった。
165 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:02:05.54 0
紅蓮の炎が燃え盛っている。
その中で黒い龍がのた打ち回っている。
黒龍は声を一切発しないが、断末魔の悲鳴が聞こえてきそうな苦しみようだ。
黒い龍。
その正体は戦場で火葬されている後藤真希の体内から脱出しようとしている黒い翼
―特殊な原型細胞だった。
「よ、よろしいのですか。 矢口様」
組織の男がちっちゃい女に声をかける。
ちっちゃい女は答えない。
普段は見せない真剣で暗鬱な表情で炎を、その中の黒龍を見つめている。
「g923を処分して、その身体を回収する。
もしも回収が叶わなくても g923の体内の中で成長した原型細胞 の一端たりでも回収す るというのが、あなたに下された指令だった筈」
その指令を無視してしまったら、今度はあんたが“Black sheep”として、粛清を受けるんだぞ、という言葉は飲み込んだ。
「アーン、何だって。 g923を処分。 そんな名前は初めて聞いたね」
「しかし…」
「オマエ、もう一度その名を口にしたら殺すぞ。 g923なんて最初からいなかったんだ。
そう、私が今日ここにやって来たのは、後輩の後藤真希に会うため。
会って、ごっちんを取り戻す為にここに来た」
何を訳の判らないことを言ってるんだ。 矢口のくせに。
男の中で、ちっちゃい女を侮蔑する言葉が紡ぎだされたが、それは一瞬にして消えた。
ちっちゃい女の表情は、男にそうさせるほどの悲しみに彩られていた。
その中で黒い龍がのた打ち回っている。
黒龍は声を一切発しないが、断末魔の悲鳴が聞こえてきそうな苦しみようだ。
黒い龍。
その正体は戦場で火葬されている後藤真希の体内から脱出しようとしている黒い翼
―特殊な原型細胞だった。
「よ、よろしいのですか。 矢口様」
組織の男がちっちゃい女に声をかける。
ちっちゃい女は答えない。
普段は見せない真剣で暗鬱な表情で炎を、その中の黒龍を見つめている。
「g923を処分して、その身体を回収する。
もしも回収が叶わなくても g923の体内の中で成長した原型細胞 の一端たりでも回収す るというのが、あなたに下された指令だった筈」
その指令を無視してしまったら、今度はあんたが“Black sheep”として、粛清を受けるんだぞ、という言葉は飲み込んだ。
「アーン、何だって。 g923を処分。 そんな名前は初めて聞いたね」
「しかし…」
「オマエ、もう一度その名を口にしたら殺すぞ。 g923なんて最初からいなかったんだ。
そう、私が今日ここにやって来たのは、後輩の後藤真希に会うため。
会って、ごっちんを取り戻す為にここに来た」
何を訳の判らないことを言ってるんだ。 矢口のくせに。
男の中で、ちっちゃい女を侮蔑する言葉が紡ぎだされたが、それは一瞬にして消えた。
ちっちゃい女の表情は、男にそうさせるほどの悲しみに彩られていた。
166 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:02:53.75 0
かわいい子だったね。
初めて出会った時、こんなにかわいい子がいるなんて、嘘だろって思ったよ。
なっちには悪いけどさ。
あんたは強かった。
あんたの念動力は自分の身体を宙に浮かし、何トンもの重さの車を一瞬で破壊した。
でもあんたは弱かった。
その強すぎる力の発動に耐えられないぐらいに弱かった。
オイラたちが守ってやらなきゃならないくらい。
ある時、組織の研究者が提案した。
当時まだ実験段階だった複合細胞をあんたの身体に移植することによって、
あんたの身体を念動力の発動に耐え得るレベルまで強化するプランを。
それは一見あんたにも選択肢のある提案のようでいて、他に行く場所の無いあんたには選択肢は無かった。
並の人間なら、1ミリグラム移植されただけでも、拒絶反応を起こしかねない複合細胞をあんたは飼い馴らした。
あんたの身体に移植された複合細胞の総重量が1キロを越え、あんたの体内で成長を始めた頃からあんたは変わった。
あんたは”黒い血”と呼ばれる複合細胞を、自分の意志で漆黒の翼に変形させた。
そしてその翼であんたは羽ばたいていった。
同じ組織にいる筈だったのに、あんたはオイラの手の届かない所にいた。
…でも最後の最後でオイラの能力阻害が破られたってことは、オイラのことを認めてくれたんだよね。
オイラのチカラを認めてくれたからこそ、オイラの小さな巨人は破られた。
何か悲しいよ、こんなので終わるなんて。
でも、ありがとう。 こんなちっちゃなオイラのこと認めてくれて。
お帰り、ごっちん。 もう離さないよ。
炎の中で黒い龍がその動きを止め、
後藤真希の身体と共に灰燼と化したのを見届ると、ちっちゃい女は炎に背を向けてその場を立ち去った。
男はちっちゃい女に声をかけようとしたが、その暗い表情を目にすると何も言えずただ見送るしかなかった。
女の後姿は男の目にはいつにもまして小さく映った。
初めて出会った時、こんなにかわいい子がいるなんて、嘘だろって思ったよ。
なっちには悪いけどさ。
あんたは強かった。
あんたの念動力は自分の身体を宙に浮かし、何トンもの重さの車を一瞬で破壊した。
でもあんたは弱かった。
その強すぎる力の発動に耐えられないぐらいに弱かった。
オイラたちが守ってやらなきゃならないくらい。
ある時、組織の研究者が提案した。
当時まだ実験段階だった複合細胞をあんたの身体に移植することによって、
あんたの身体を念動力の発動に耐え得るレベルまで強化するプランを。
それは一見あんたにも選択肢のある提案のようでいて、他に行く場所の無いあんたには選択肢は無かった。
並の人間なら、1ミリグラム移植されただけでも、拒絶反応を起こしかねない複合細胞をあんたは飼い馴らした。
あんたの身体に移植された複合細胞の総重量が1キロを越え、あんたの体内で成長を始めた頃からあんたは変わった。
あんたは”黒い血”と呼ばれる複合細胞を、自分の意志で漆黒の翼に変形させた。
そしてその翼であんたは羽ばたいていった。
同じ組織にいる筈だったのに、あんたはオイラの手の届かない所にいた。
…でも最後の最後でオイラの能力阻害が破られたってことは、オイラのことを認めてくれたんだよね。
オイラのチカラを認めてくれたからこそ、オイラの小さな巨人は破られた。
何か悲しいよ、こんなので終わるなんて。
でも、ありがとう。 こんなちっちゃなオイラのこと認めてくれて。
お帰り、ごっちん。 もう離さないよ。
炎の中で黒い龍がその動きを止め、
後藤真希の身体と共に灰燼と化したのを見届ると、ちっちゃい女は炎に背を向けてその場を立ち去った。
男はちっちゃい女に声をかけようとしたが、その暗い表情を目にすると何も言えずただ見送るしかなかった。
女の後姿は男の目にはいつにもまして小さく映った。
167 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:04:38.72 0
168 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:16:04.96 0
169 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 16:39:23.29 O
(~^◇^)タラリ♪タッタッター♪
【矢口はレベルが上がった『小さな巨人』を覚えた
ごっちんを手に入れた】
【矢口はレベルが上がった『小さな巨人』を覚えた
ごっちんを手に入れた】
170 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 17:41:31.25 O
いいなあ・・・時間停止能力者ですか!?
ホントに一気に書けちゃうんですね!? しかも素晴らしい!
大好きです!私古オタDDでちっちゃい人も好きなんで・・・
ちょっとマジで泣けました
ホントに一気に書けちゃうんですね!? しかも素晴らしい!
大好きです!私古オタDDでちっちゃい人も好きなんで・・・
ちょっとマジで泣けました
171 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 17:49:37.96 0
173 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 19:40:01.13 O
>>172
こういうのがほんとこのスレの素敵なとこですよねー
こういうのがほんとこのスレの素敵なとこですよねー
174 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:40:38.61 P
―ここまで深く攻め込まれては、組織ももう終わりかもしれない
「やるじゃん、リゾナンター。それに、人間ども」
そう呟いた途端、眼前のドアが蹴り破られる。
闖入者は、ネコ科の動物に似た目を持った少女。
「田中れいなだね。凄いキック力だなあ、オイラびっくりしちゃったよ」
その言葉と裏腹に、小柄な女の口元には薄い笑みが張り付いていた。
「あんたの事は知っとる。他人の能力ば阻害するっちゃろ」
「よく知ってるねえ」
「アタシの能力は阻害されようが関係なかけんね」
「それはどうかな」
口元の薄い笑みが、ついっと吊り上がる。
少女は、血が泡立つような感覚を覚えた。
「今日でダークネスは一巻の終わりやけんね。あんたも覚悟せんね」
「ここまで入り込まれちゃあ、組織の負けだね。でも」
「生き残った奴が勝ちなんだよ」と女が口の中で呟いた瞬間、二人は同時に間合いを詰めた。
シィッ!と鋭く呼気を吐き、少女が回し蹴りを放つ。
蹴りは、女の鼻先を掠め、素っ飛んで行った。
―ここまで深く攻め込まれては、組織ももう終わりかもしれない
「やるじゃん、リゾナンター。それに、人間ども」
そう呟いた途端、眼前のドアが蹴り破られる。
闖入者は、ネコ科の動物に似た目を持った少女。
「田中れいなだね。凄いキック力だなあ、オイラびっくりしちゃったよ」
その言葉と裏腹に、小柄な女の口元には薄い笑みが張り付いていた。
「あんたの事は知っとる。他人の能力ば阻害するっちゃろ」
「よく知ってるねえ」
「アタシの能力は阻害されようが関係なかけんね」
「それはどうかな」
口元の薄い笑みが、ついっと吊り上がる。
少女は、血が泡立つような感覚を覚えた。
「今日でダークネスは一巻の終わりやけんね。あんたも覚悟せんね」
「ここまで入り込まれちゃあ、組織の負けだね。でも」
「生き残った奴が勝ちなんだよ」と女が口の中で呟いた瞬間、二人は同時に間合いを詰めた。
シィッ!と鋭く呼気を吐き、少女が回し蹴りを放つ。
蹴りは、女の鼻先を掠め、素っ飛んで行った。
175 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:42:02.08 P
―外した?
「あれえ?鈍い蹴りだなあ、さっきのとは大違いだ」
ガラ空きになった少女のわき腹に、拳が叩き込まれる。
衝撃が内臓までねじ込まれたような痛みが少女を襲う。
「なん…で」
「確かにオイラの力は他人の能力の阻害だよ。で、誰が身体能力の阻害が出来ないって言った?」
続けざまに拳を叩き込みながら、女は言葉を続ける。
「オイラの能力を甘く見たな!」
リゾナンター一と言われる格闘の名手田中れいなに、面白いように打撃が当たる。
返り血に染まる女の頬の笑みが嗜虐的な色を帯び始めた時、少女が口を開いた。
「全然体に力が入らん。これがアンタの能力か」
「今のお前は普通の人間と殆ど変わらない力しか出せないのさ」
「普通の人間…」
「オイラの顔をようく覚えときな!」
女が指をVの字に開いて、少女の顔面に放った。
正確に、恐るべきスピードで繰り出されたそれが、少女から光を奪うかと思われた瞬間。
少女は、一歩、前に踏み出した。
「あれえ?鈍い蹴りだなあ、さっきのとは大違いだ」
ガラ空きになった少女のわき腹に、拳が叩き込まれる。
衝撃が内臓までねじ込まれたような痛みが少女を襲う。
「なん…で」
「確かにオイラの力は他人の能力の阻害だよ。で、誰が身体能力の阻害が出来ないって言った?」
続けざまに拳を叩き込みながら、女は言葉を続ける。
「オイラの能力を甘く見たな!」
リゾナンター一と言われる格闘の名手田中れいなに、面白いように打撃が当たる。
返り血に染まる女の頬の笑みが嗜虐的な色を帯び始めた時、少女が口を開いた。
「全然体に力が入らん。これがアンタの能力か」
「今のお前は普通の人間と殆ど変わらない力しか出せないのさ」
「普通の人間…」
「オイラの顔をようく覚えときな!」
女が指をVの字に開いて、少女の顔面に放った。
正確に、恐るべきスピードで繰り出されたそれが、少女から光を奪うかと思われた瞬間。
少女は、一歩、前に踏み出した。
176 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:42:54.41 P
鋭い痛みが走った。
指が、折れている。
少女の額から、血が滴っている。
「デコで受けた…!?正気かお前!?」
普通なら恐怖で顔を引くものだ。それを逆に自分から前に出て受け止める等、正気の沙汰とは思えなかった。
「あんた、何も分かっとらんね」
「何?」
「ケンカは体でするもんっちゃなかけんね。心でするったい」
女の背筋が急速に冷気を帯びていく。
“他人の能力の阻害”
しかし、勇気は、燃える心までは阻害できない。
少女の蹴りが、水鳥が飛び立つようにして、女のこめかみを目がけ跳ね上がった。
ほれぼれするような弧を描き、女の側頭部を叩く。
乾いた音が響いた。
「なん…で、かわせない…?」
意識を揺さぶられながら、女は疑問をこぼす。
―普通の人間の蹴りを、ダークネスのオリメンであるオイラが何故かわせない?
指が、折れている。
少女の額から、血が滴っている。
「デコで受けた…!?正気かお前!?」
普通なら恐怖で顔を引くものだ。それを逆に自分から前に出て受け止める等、正気の沙汰とは思えなかった。
「あんた、何も分かっとらんね」
「何?」
「ケンカは体でするもんっちゃなかけんね。心でするったい」
女の背筋が急速に冷気を帯びていく。
“他人の能力の阻害”
しかし、勇気は、燃える心までは阻害できない。
少女の蹴りが、水鳥が飛び立つようにして、女のこめかみを目がけ跳ね上がった。
ほれぼれするような弧を描き、女の側頭部を叩く。
乾いた音が響いた。
「なん…で、かわせない…?」
意識を揺さぶられながら、女は疑問をこぼす。
―普通の人間の蹴りを、ダークネスのオリメンであるオイラが何故かわせない?
177 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:43:42.37 P
「普通の人間が一日に千本も二千本も蹴りの練習ばすっとね?」
女のこめかみを打ったのは、田中れいなの身体能力ではない。練り上げられだ努力の結晶が打ったのだ。
「歯ァ食いしばれ!」
少女が女のみぞおちへ向けて放った正拳もまた、努力が生み出したものであった。
少女は、地面に倒れ伏した女の胸倉を掴み上げる。
「殺すかい?オイラを…」
「命までは取らんよ。そんな事よりダークネスの正体ば教えんね」
「そんな事…?」
―なんてアマちゃんだよ。うちらの組織では敗北は死を意味するってのにさ。
「何なんだよ、お前らは…」
「アタシ達は正義の味方やけん。絶対に負けんっちゃん」
―正義の味方か。そんなものに憧れてた時期が、オイラにもあったかなあ。
「ダークネスの正体、早く教えてくれんね」
「正体…ボスの正体は…」
―言ってしまうか?言ってしまおう。どの道組織は負ける。オイラは生き延びるんだ。
女のこめかみを打ったのは、田中れいなの身体能力ではない。練り上げられだ努力の結晶が打ったのだ。
「歯ァ食いしばれ!」
少女が女のみぞおちへ向けて放った正拳もまた、努力が生み出したものであった。
少女は、地面に倒れ伏した女の胸倉を掴み上げる。
「殺すかい?オイラを…」
「命までは取らんよ。そんな事よりダークネスの正体ば教えんね」
「そんな事…?」
―なんてアマちゃんだよ。うちらの組織では敗北は死を意味するってのにさ。
「何なんだよ、お前らは…」
「アタシ達は正義の味方やけん。絶対に負けんっちゃん」
―正義の味方か。そんなものに憧れてた時期が、オイラにもあったかなあ。
「ダークネスの正体、早く教えてくれんね」
「正体…ボスの正体は…」
―言ってしまうか?言ってしまおう。どの道組織は負ける。オイラは生き延びるんだ。
178 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:44:32.68 P
女が続きを発しようとした瞬間、その口から血が溢れだした。
ごぶっ、という音が、少女の耳にこびりつく。
見ると、首の骨を折られていた。
「死、死んどる…何で?」
驚きの表情を浮かべる少女の前に、黒いドレスに身を包んだ女が姿を現した。
「いけないなー。ボスの正体喋ったら裏切り者になっちゃうよー」
気だるそうな口調の中に、凍てつくような気品が匂い立つ。
ダークネス最強の能力者、後藤真希。
彼女の念動力が、女の首をへし折ったのだ。
「あんた…!仲間やろ、何で殺した!」
「だって裏切ろうとしたじゃん」
「そがん問題じゃなかろうが!!」
少女の血が熱く滾る。猫を思わせる瞳には、揺らめく炎が宿っていた。
「じゃあ、第2ラウンドと行こうか」
後藤のまなざしはどこまでも冷たかった。
ごぶっ、という音が、少女の耳にこびりつく。
見ると、首の骨を折られていた。
「死、死んどる…何で?」
驚きの表情を浮かべる少女の前に、黒いドレスに身を包んだ女が姿を現した。
「いけないなー。ボスの正体喋ったら裏切り者になっちゃうよー」
気だるそうな口調の中に、凍てつくような気品が匂い立つ。
ダークネス最強の能力者、後藤真希。
彼女の念動力が、女の首をへし折ったのだ。
「あんた…!仲間やろ、何で殺した!」
「だって裏切ろうとしたじゃん」
「そがん問題じゃなかろうが!!」
少女の血が熱く滾る。猫を思わせる瞳には、揺らめく炎が宿っていた。
「じゃあ、第2ラウンドと行こうか」
後藤のまなざしはどこまでも冷たかった。
179 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 20:47:42.34 P
180 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 21:14:00.19 0
181 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 21:26:00.04 0
先の作品では後藤を倒した矢口が直後の作品ではあっさり後藤にやられる
まるで作者同士のバトルを見ているようだ
すげぇ
まるで作者同士のバトルを見ているようだ
すげぇ
182 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 21:47:05.75 0
183 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 22:42:14.60 0
184 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 23:18:14.05 0
大変だ!! チャット会場にダクネチュ様が降臨!!
会場は恐怖と爆笑のズンドコに!!
会場は恐怖と爆笑のズンドコに!!
185 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/12(日) 23:39:17.74 0
日付が変わっておたおめコメントがひと段落した頃に一作上げさせてください
186 : さゆスレからモロタ[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:00:50.12 0
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..☆| HAPPY BIRTHDAY SAYUM.IN !! |☆
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ノノ*^ー^|~| ̄| /⊂⊃ .!`ーー---ーー´! 只 .品⊂ )||
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ノノ*^ー^|~| ̄| /⊂⊃ .!`ーー---ーー´! 只 .品⊂ )||
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187 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:02:01.29 0
お誕生日おめでとう、さゆ!
188 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:05:37.81 O
さゆ20歳おめでとう!
189 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:06:05.22 0
さゆもさえみさんもおめでとーっ!
190 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:06:07.98 0
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <おめでとうイェイ!!
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <その祝い方はヤメロ! さゆみんおたおめ!!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
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| 三 (__人__) 三 | <おめでとうイェイ!!
ヽ ` ⌒' ,,ノ
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191 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:06:59.24 O
さえみオメじゃなかった・・・
さゆ二十歳おめでとう!おしゃけのめるのぅ
さゆ二十歳おめでとう!おしゃけのめるのぅ
192 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:15:15.52 0
道重さんの誕生記念話を5分後から上げさせてください
※注意
視点の担い手が現メンバーでも卒業メンバーでもない「一般人」になっています
不快に思われる方はスルーをお願い致します
道重さんの誕生記念話を5分後から上げさせてください
※注意
視点の担い手が現メンバーでも卒業メンバーでもない「一般人」になっています
不快に思われる方はスルーをお願い致します
193 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:15:34.65 O
从*・ 。.・)<今日から喫茶リゾナントのメニューに酒を入れるの♪
さゆみ専用のうさちゃんボトルを置くの
代金は店の経費で落としてただ酒なの、ふふふww
さゆみ専用のうさちゃんボトルを置くの
代金は店の経費で落としてただ酒なの、ふふふww
194 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:20:35.37 0
暗い暗い暗い―――
かつてないほどの闇が覆いかぶさってくる。
今までに経験したことのある、どんな暗がりよりもなお暗い闇が。
痛い痛い痛い―――
頭がおかしくなりそうなほどの苦しみだ。
生きていたときの苦しみとは比べものにならない。
怖い怖い怖い―――
死がこれほどに絶望的なまでの恐怖を伴なうものだとは知らなかった。
やはり安易に現実からの逃避に選んでいい道ではなかったのだ。
だけど―――もう―――
暗い暗い暗い―――
かつてないほどの闇が覆いかぶさってくる。
今までに経験したことのある、どんな暗がりよりもなお暗い闇が。
痛い痛い痛い―――
頭がおかしくなりそうなほどの苦しみだ。
生きていたときの苦しみとは比べものにならない。
怖い怖い怖い―――
死がこれほどに絶望的なまでの恐怖を伴なうものだとは知らなかった。
やはり安易に現実からの逃避に選んでいい道ではなかったのだ。
だけど―――もう―――
195 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:21:16.28 0
* * *
誰かに呼ばれたような気がしてゆっくりと目を開けた私の前に在ったのは、美しい一人の女性の顔だった。
―どうやら無事に死ねたらしい
反射的にそんな考えが頭に浮かんだのは、その女性の際立って端麗な顔立ちや白い肌、長い黒髪に常世の国の気配を感じ取った故かもしれない。
次いで、自分にも自身の命を絶つくらいの勇気はあったらしいという、安堵とも自嘲ともつかない思いが浮かぶ。
「大丈夫ですか?痛いところはありませんか?」
だが――
黒髪の女性の案ずるようなその言葉と表情をはっきりと認識できるほどに意識が覚醒する頃には、ここがまだ此岸であるという愕然たる事実を受け入れざるをえなかった。
「私……生きてるの……?どうして……?」
紛れもなく自分が生きていることを理解し、しかし同時に何故生きているのかを理解できずに、私は体を起こしたままの姿勢で呆然と誰にともなく問いかけた。
思わず上げた視線の先には、ビルの屋上が見える。
私が先ほどまで立っていたはずの―――
* * *
誰かに呼ばれたような気がしてゆっくりと目を開けた私の前に在ったのは、美しい一人の女性の顔だった。
―どうやら無事に死ねたらしい
反射的にそんな考えが頭に浮かんだのは、その女性の際立って端麗な顔立ちや白い肌、長い黒髪に常世の国の気配を感じ取った故かもしれない。
次いで、自分にも自身の命を絶つくらいの勇気はあったらしいという、安堵とも自嘲ともつかない思いが浮かぶ。
「大丈夫ですか?痛いところはありませんか?」
だが――
黒髪の女性の案ずるようなその言葉と表情をはっきりと認識できるほどに意識が覚醒する頃には、ここがまだ此岸であるという愕然たる事実を受け入れざるをえなかった。
「私……生きてるの……?どうして……?」
紛れもなく自分が生きていることを理解し、しかし同時に何故生きているのかを理解できずに、私は体を起こしたままの姿勢で呆然と誰にともなく問いかけた。
思わず上げた視線の先には、ビルの屋上が見える。
私が先ほどまで立っていたはずの―――
196 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:21:57.07 0
そう、私は間違いなくついさっきまであの場所に立っていた。
そして――「飛んだ」のだ。
いや、確かに「飛んだ」――はずだったのだ。
でも、こうして生きているからには……やはりそれはただの妄想でしかなかったのだろう。
酷いことになるのが怖くて低めのビルを選んだのは確かだが、だからといって当然飛び降りて無傷で済む高さでもないのだから。
微かに体が痛むような気がするが、こんな程度の痛みでは死ねるはずもない。
結局――私は惰弱な意気地なしなのだ。
今回こそはと固く決意して臨んだはずだったのに。
それがどうだろう。
私は案の定直前で怖気づいたらしい。
恐らく、私はこの場所で今から自分が“飛ぼう”としているビルの屋上を見上げたのだろう。
そして、“飛んだ”気になって―――
目を開ける前の恐怖や苦しみがフラッシュバックする。
暗く、苦しく、怖ろしい「死」の深淵を覗き込んだ気になったあの瞬間――
私は「死」を想像し、そして……その恐怖で失神したのだろう。
お笑いぐさだ。
死ぬ覚悟を決めて死に場所を探し、見つけたその場所に恐怖して気絶した人間が私の他にいるだろうか。
自嘲の笑いと共に絶望が心を支配する。
こんな私だから――周囲に愛想を尽かされるのだ。
生きている意味もない自分を殺すことすらできない情けない人間だから――
そう、私は間違いなくついさっきまであの場所に立っていた。
そして――「飛んだ」のだ。
いや、確かに「飛んだ」――はずだったのだ。
でも、こうして生きているからには……やはりそれはただの妄想でしかなかったのだろう。
酷いことになるのが怖くて低めのビルを選んだのは確かだが、だからといって当然飛び降りて無傷で済む高さでもないのだから。
微かに体が痛むような気がするが、こんな程度の痛みでは死ねるはずもない。
結局――私は惰弱な意気地なしなのだ。
今回こそはと固く決意して臨んだはずだったのに。
それがどうだろう。
私は案の定直前で怖気づいたらしい。
恐らく、私はこの場所で今から自分が“飛ぼう”としているビルの屋上を見上げたのだろう。
そして、“飛んだ”気になって―――
目を開ける前の恐怖や苦しみがフラッシュバックする。
暗く、苦しく、怖ろしい「死」の深淵を覗き込んだ気になったあの瞬間――
私は「死」を想像し、そして……その恐怖で失神したのだろう。
お笑いぐさだ。
死ぬ覚悟を決めて死に場所を探し、見つけたその場所に恐怖して気絶した人間が私の他にいるだろうか。
自嘲の笑いと共に絶望が心を支配する。
こんな私だから――周囲に愛想を尽かされるのだ。
生きている意味もない自分を殺すことすらできない情けない人間だから――
197 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:22:38.14 0
「死のうとすることは勇気なんかじゃありません」
そのとき、不意に傍らから聞こえた声に私は我に返った。
それが黒髪の女性の口から発されたものであることを認識するまで、そしてその言葉が頭に浸透するまでにしばらくの時間がかかる。
それらを理解すると同時に、惨めな気持ちが新たに沸きあがった。
黒髪の女性が、私のことを自殺志願者だと判断したことに関しては何も不思議ではないし、今さらどうこう言っても始まらない。
それでも、死にたいと思いながら死ぬこともできない臆病者であることさえ見抜かれ慰められたことは、恥さらし以外の何ものでもなかった。
だが、習い性となった取り繕うようなへつらった笑顔を声の方に向けた私は、そこにあった黒髪の女性の思いがけない表情に固まった。
微かな軽蔑を含んだ同情や憐憫――私が思い描いていたそれらの感情はそこには一切なく、ただ真っ直ぐな瞳だけが私を見据えていた。
「死を怖れることは恥ずかしくなんかない。むしろそれこそが勇気なんです」
「死を怖れることが……勇気?」
静かで優しい口調ながら、きっぱりと口にされる言葉を、私は呆然と繰り返した。
そんな私に対し、黒髪の女性は微かに微笑みながら言葉を継いだ。
「さゆみも…昔死のうとしたことがあるんです」
「………えっ?」
さゆみというのが黒髪の女性自身の名前だと言うことはすぐに分かったが、その予想外の言葉に私は戸惑った。
とてもそんな風には見えないが……私が最初に常世の気配を感じたのはある意味正しかったのかもしれない。
「死のうとすることは勇気なんかじゃありません」
そのとき、不意に傍らから聞こえた声に私は我に返った。
それが黒髪の女性の口から発されたものであることを認識するまで、そしてその言葉が頭に浸透するまでにしばらくの時間がかかる。
それらを理解すると同時に、惨めな気持ちが新たに沸きあがった。
黒髪の女性が、私のことを自殺志願者だと判断したことに関しては何も不思議ではないし、今さらどうこう言っても始まらない。
それでも、死にたいと思いながら死ぬこともできない臆病者であることさえ見抜かれ慰められたことは、恥さらし以外の何ものでもなかった。
だが、習い性となった取り繕うようなへつらった笑顔を声の方に向けた私は、そこにあった黒髪の女性の思いがけない表情に固まった。
微かな軽蔑を含んだ同情や憐憫――私が思い描いていたそれらの感情はそこには一切なく、ただ真っ直ぐな瞳だけが私を見据えていた。
「死を怖れることは恥ずかしくなんかない。むしろそれこそが勇気なんです」
「死を怖れることが……勇気?」
静かで優しい口調ながら、きっぱりと口にされる言葉を、私は呆然と繰り返した。
そんな私に対し、黒髪の女性は微かに微笑みながら言葉を継いだ。
「さゆみも…昔死のうとしたことがあるんです」
「………えっ?」
さゆみというのが黒髪の女性自身の名前だと言うことはすぐに分かったが、その予想外の言葉に私は戸惑った。
とてもそんな風には見えないが……私が最初に常世の気配を感じたのはある意味正しかったのかもしれない。
198 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:23:24.26 0
「でもさゆみはそのとき死ぬことを怖れていませんでした。むしろ恐怖から逃れられると思っていました。今思えば…その考えこそがすごく怖ろしい」
微かに表情を曇らせながらそう言うと、さゆみは自分の過去について話し始めた。
誰にも…両親からさえ必要とされず、生きている意味を感じられなかったこと。
衝動に突き動かされ、気がつくとどこかの屋上に立っていたこと。
そして、そこから飛び降りようと思っていたときに後ろから声を掛けてきた子がいたこと……
「そのとき絵里はニコニコ笑ってました。でも多分、絵里もさゆみと同じ…ううん、さゆみなんかよりずっと深い孤独を抱えていたと思うんです」
「孤独……?」
何かが頭をよぎったような気がして、私はその言葉を呟いた。
今まで意識したこともなかった言葉なのに、何故かすぐ近くにあったような……
「人が死を怖れるのは、それがきっと永遠の孤独を意味するからです」
「………!!」
さゆみのその言葉に、私は卒然として悟った。
私がついさっき感じた暗さは、苦しさは、そして怖ろしさはその言葉から放たれていたのだと。
「でもさゆみはそのとき死ぬことを怖れていませんでした。むしろ恐怖から逃れられると思っていました。今思えば…その考えこそがすごく怖ろしい」
微かに表情を曇らせながらそう言うと、さゆみは自分の過去について話し始めた。
誰にも…両親からさえ必要とされず、生きている意味を感じられなかったこと。
衝動に突き動かされ、気がつくとどこかの屋上に立っていたこと。
そして、そこから飛び降りようと思っていたときに後ろから声を掛けてきた子がいたこと……
「そのとき絵里はニコニコ笑ってました。でも多分、絵里もさゆみと同じ…ううん、さゆみなんかよりずっと深い孤独を抱えていたと思うんです」
「孤独……?」
何かが頭をよぎったような気がして、私はその言葉を呟いた。
今まで意識したこともなかった言葉なのに、何故かすぐ近くにあったような……
「人が死を怖れるのは、それがきっと永遠の孤独を意味するからです」
「………!!」
さゆみのその言葉に、私は卒然として悟った。
私がついさっき感じた暗さは、苦しさは、そして怖ろしさはその言葉から放たれていたのだと。
199 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:24:05.51 0
「さゆみは孤独を怖れるあまり、死に逃げようとしていました。それが本当の孤独であることに気付きもせずに。自分の未来に向き合おうともしないで」
言葉を無くしている私に、さゆみは優しく語りかけ続ける。
「あなたが死を怖れるのは、あなたが本当はちゃんと明日に向かって進もうと思っているからです」
「私が……?明日に……?」
「明日から目を逸らさずに生きていくのは、ときにすごく辛いことです。だから、死んでしまえばそこから逃げられると思ってしまう」
「…………」
「さゆみもそうでした。毎日が辛くて…明日が怖くて…。だから死ぬことが怖ろしいなんて思いもしてなかったんです。だけど――」
言葉を切り、さゆみは再び真っ直ぐな瞳で私を見据えた。
「あなたは死ぬことの怖さを知っています。それは……本当はあなたが明日に立ち向かって生きていこうとしている何よりの証拠です。あなたにはその勇気がある」
思いもしていなかったことをきっぱりと言い切るさゆみに対し、私は言葉が出なかった。
さゆみの言葉に納得したからではない。
むしろ胸に湧き上がるのはその逆の感情だった。
「さゆみは孤独を怖れるあまり、死に逃げようとしていました。それが本当の孤独であることに気付きもせずに。自分の未来に向き合おうともしないで」
言葉を無くしている私に、さゆみは優しく語りかけ続ける。
「あなたが死を怖れるのは、あなたが本当はちゃんと明日に向かって進もうと思っているからです」
「私が……?明日に……?」
「明日から目を逸らさずに生きていくのは、ときにすごく辛いことです。だから、死んでしまえばそこから逃げられると思ってしまう」
「…………」
「さゆみもそうでした。毎日が辛くて…明日が怖くて…。だから死ぬことが怖ろしいなんて思いもしてなかったんです。だけど――」
言葉を切り、さゆみは再び真っ直ぐな瞳で私を見据えた。
「あなたは死ぬことの怖さを知っています。それは……本当はあなたが明日に立ち向かって生きていこうとしている何よりの証拠です。あなたにはその勇気がある」
思いもしていなかったことをきっぱりと言い切るさゆみに対し、私は言葉が出なかった。
さゆみの言葉に納得したからではない。
むしろ胸に湧き上がるのはその逆の感情だった。
200 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:24:47.47 0
あなたは私のことを過大評価している。
私は勇気など持ち合わせてはいない。
私が死を怖れるのは、明日を見据えているからではない。
ただ怯懦であるが故だ。
そう言いたかった。
だが、そんな私の内心に気付く様子もなく、さゆみは笑みを浮かべながら言った。
「さゆみ、今日が誕生日なんです」
あまりに唐突なその言葉に面食らう私に微笑みを返しながら、さゆみは言葉を重ねる。
「今、さゆみには『誕生日おめでとう』って言ってくれる人が何人もいます。それがすごく嬉しい。だってそれは『生まれてきてよかったね』ってことだから」
それは…確かにそうなのかもしれない。
「さゆみも今は心からそう思えます。生まれてきてよかったなって。あのとき……死ななくて本当によかったなって」
心の奥まで覗き込まれるようなその瞳を前に、私はようやく理解した。
さゆみは私のことを過大評価していたのではなく――そうあれと示唆していたのだと。
それと同時に、再び心が挫けるのを感じる。
さゆみは自分のことを必要としてくれる人間に出逢い、そして救われたらしい。
だけど私は―――
あなたは私のことを過大評価している。
私は勇気など持ち合わせてはいない。
私が死を怖れるのは、明日を見据えているからではない。
ただ怯懦であるが故だ。
そう言いたかった。
だが、そんな私の内心に気付く様子もなく、さゆみは笑みを浮かべながら言った。
「さゆみ、今日が誕生日なんです」
あまりに唐突なその言葉に面食らう私に微笑みを返しながら、さゆみは言葉を重ねる。
「今、さゆみには『誕生日おめでとう』って言ってくれる人が何人もいます。それがすごく嬉しい。だってそれは『生まれてきてよかったね』ってことだから」
それは…確かにそうなのかもしれない。
「さゆみも今は心からそう思えます。生まれてきてよかったなって。あのとき……死ななくて本当によかったなって」
心の奥まで覗き込まれるようなその瞳を前に、私はようやく理解した。
さゆみは私のことを過大評価していたのではなく――そうあれと示唆していたのだと。
それと同時に、再び心が挫けるのを感じる。
さゆみは自分のことを必要としてくれる人間に出逢い、そして救われたらしい。
だけど私は―――
201 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:25:35.27 0
そのとき、ズキンと微かに体が痛み、私は僅かに顔をしかめた。
それはどこか覚えのある痛みだった。
微かな痛みながら、絶対に忘れてはいけないような……
「体の傷は放っておいてもいつかは治ります。でも、心の傷は自分で治そうとしない限り治りません」
さゆみは静かに手を上げると、戸惑う私の視線を見つめ返しながら今痛んだ箇所にそっと触れた。
微かにあった痛みがふっと和らぎ、次の瞬間には完全に消える。
「さゆみは自分が誰からも必要とされていないと思っていました。だから孤独なんだと思ってたんです。…でもそれは間違っていました」
不思議な感覚に半ば呆然となっている私に、さゆみは真摯な目で話し続ける。
「さゆみは本当の意味で誰かを必要としていなかったんです。必要とされたがっているばかりで…。でも絵里と…みんなと出逢ってやっと分かったんです」
さゆみが自分の過去を語るその言葉は、胸に突き刺さるように思えた。
今の私が正にそうではないかと気付いたからだった。
そのとき、ズキンと微かに体が痛み、私は僅かに顔をしかめた。
それはどこか覚えのある痛みだった。
微かな痛みながら、絶対に忘れてはいけないような……
「体の傷は放っておいてもいつかは治ります。でも、心の傷は自分で治そうとしない限り治りません」
さゆみは静かに手を上げると、戸惑う私の視線を見つめ返しながら今痛んだ箇所にそっと触れた。
微かにあった痛みがふっと和らぎ、次の瞬間には完全に消える。
「さゆみは自分が誰からも必要とされていないと思っていました。だから孤独なんだと思ってたんです。…でもそれは間違っていました」
不思議な感覚に半ば呆然となっている私に、さゆみは真摯な目で話し続ける。
「さゆみは本当の意味で誰かを必要としていなかったんです。必要とされたがっているばかりで…。でも絵里と…みんなと出逢ってやっと分かったんです」
さゆみが自分の過去を語るその言葉は、胸に突き刺さるように思えた。
今の私が正にそうではないかと気付いたからだった。
202 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:26:19.05 0
「心から誰かを必要に…大切に思うことができない限り、どれだけ自分が必要とされていてもそれに気付けないんだって。だから…孤独なんだって」
言いながら、私の傍にしゃがみ込んでいたさゆみはゆっくりと立ち上がる。
そして私に手を差し伸べた。
―勇気を持って立ち上がりなさい。
―そして明日を見据えて進みなさい。
―あなたはもう独りじゃないのだから。
慈愛に満ちた笑顔をその言葉の代わりにして。
その白く嫋やかな手を恐る恐る握り、私はそろそろと立ち上がった。
柔らかいその手からは、温かさと、微かな鼓動と、そして何か力強いものが伝わってくるように思え、知らず笑みが浮かぶ。
その笑みが、習い性になっていた偽りの笑みでないことは鏡に映すまでもなく分かった。
「心から誰かを必要に…大切に思うことができない限り、どれだけ自分が必要とされていてもそれに気付けないんだって。だから…孤独なんだって」
言いながら、私の傍にしゃがみ込んでいたさゆみはゆっくりと立ち上がる。
そして私に手を差し伸べた。
―勇気を持って立ち上がりなさい。
―そして明日を見据えて進みなさい。
―あなたはもう独りじゃないのだから。
慈愛に満ちた笑顔をその言葉の代わりにして。
その白く嫋やかな手を恐る恐る握り、私はそろそろと立ち上がった。
柔らかいその手からは、温かさと、微かな鼓動と、そして何か力強いものが伝わってくるように思え、知らず笑みが浮かぶ。
その笑みが、習い性になっていた偽りの笑みでないことは鏡に映すまでもなく分かった。
203 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:29:06.39 O
204 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:34:49.98 P
>>203
慈愛に満ちてますねえ…
決してハッピーではないビターなお話ですけども
でもこれほど「お誕生日おめでとう」という言葉が似合う作品もそんなないんじゃないでしょうか
感動しました起きてて良かったです
慈愛に満ちてますねえ…
決してハッピーではないビターなお話ですけども
でもこれほど「お誕生日おめでとう」という言葉が似合う作品もそんなないんじゃないでしょうか
感動しました起きてて良かったです
205 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 00:44:28.18 0
うん、ちょっとさゆらしからぬw ←失礼 シリアスな内容でしたね
でも、倒れている人に静かに寄り添い、治癒の力を注ぐさゆの慈愛に満ちた表情が
浮かびましたよ…
とても綺麗でした。
でも、倒れている人に静かに寄り添い、治癒の力を注ぐさゆの慈愛に満ちた表情が
浮かびましたよ…
とても綺麗でした。
206 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 01:25:57.44 O
ナイチンゲール!来たーー!
207 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/13(月) 01:34:51.98 0
こちら な なんばー ひゃっ 152 九州支部 より報告しmす
集会のこうはんせんからアンコールにかけt 全力ロミオ攻撃に加え
拍手によるソニックウェーブ攻撃などを試みましたがどれも通じませんでsた
通じないどkろか安倍さんの力は一層増すばかり mう どうしたらよいものか
これはもうこんpおんてきに戦略を見直さないといけないnではないくわっとっとっと
ううっ ど どうしたことか からだgこわばってkた みうごきgとれいないっっ あぁ~
おーっ おすぎぃーっ
ツーッ ツーッ ツーッ
集会のこうはんせんからアンコールにかけt 全力ロミオ攻撃に加え
拍手によるソニックウェーブ攻撃などを試みましたがどれも通じませんでsた
通じないどkろか安倍さんの力は一層増すばかり mう どうしたらよいものか
これはもうこんpおんてきに戦略を見直さないといけないnではないくわっとっとっと
ううっ ど どうしたことか からだgこわばってkた みうごきgとれいないっっ あぁ~
おーっ おすぎぃーっ
ツーッ ツーッ ツーッ
208 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 01:48:29.81 O
おすぎーて、この子を治してあげてくだされ!さゆちんげ~るw
209 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 01:52:43.71 O
シリアル!でもスゴくいいさゆ!
さゆの二十歳のお祝い作品きっとさゆも喜ぶと思うよ
さゆの二十歳のお祝い作品きっとさゆも喜ぶと思うよ
210 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 05:35:17.97 0
おはようさん
211 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 07:15:20.73 O
おっぱよんごじゃります!
新しい朝が来たよん
新しい朝が来たよん
212 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 07:21:00.27 0
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <チャット大会たのしかったのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <サボちゃん乙でした!ログもヨロシクね!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <チャット大会たのしかったのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <サボちゃん乙でした!ログもヨロシクね!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
213 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 09:15:55.55 O
マジで出会ったことがすべてのチャンスじゃん
214 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 11:03:25.53 0
尊い命は数え切れぬ愛情に守り包まれてる――
215 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 12:19:45.80 O
冷凍のエビピラフも目を閉じながら食べたらリゾナントで食べてる気分に
…ならないわさすがに
…ならないわさすがに
216 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 12:46:57.39 O
俺、今の仕事が落ち着いたら、喫茶「リゾナント」をさがしに行くんだ・・・
217 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 14:05:48.54 0
フラグが
218 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 15:59:50.41 O
探さなくてもみんなの中にあるんだよ
219 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 17:17:20.34 0
今日は皆さんお疲れですかねー
220 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 18:07:22.30 O
俺くらいになるとわざと傘を忘れてきて次回もリゾナントへ行くフラグ立てるよ
あの可愛い店員さんが慌て渡してくれるんだぜ
「もぅ!また忘れ物ですよッふふ」ってね
次は心まで忘れてきてしまいそうさ!
あの可愛い店員さんが慌て渡してくれるんだぜ
「もぅ!また忘れ物ですよッふふ」ってね
次は心まで忘れてきてしまいそうさ!
221 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 18:20:14.71 O
222 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 19:21:45.42 O
え!?ばれてしまっていたのか・・・
それでも何度も優しく俺に接してくれるあの店員さん・・・
嬉しいぜ!
それでも何度も優しく俺に接してくれるあの店員さん・・・
嬉しいぜ!
223 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 20:29:19.45 O
さゆ生誕話はこないのかな
224 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 21:30:18.11 0
うーむ
225 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 21:30:21.10 0
226 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 22:10:51.24 O
2、3日は遅れても仕方ないじゃないか 作者さんにも都合があるんだから
心意気が大事だよ
心意気が大事だよ
227 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 23:32:48.02 P
なかなか難しいもんですな
228 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/13(月) 23:56:00.62 O
翌日になりますが、投下したいと思います
229 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 00:01:57.24 0
待ってましたお願いします
230 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 01:49:11.39 P
こりゃ明日が楽しみだY
231 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 04:47:24.89 0
ノリo´ゥ`リ <おぱよー!!作品マダー!?
川=´┴`) <…気が早すぎますがな…
ノリo´ゥ`リ <おぱよー!!作品マダー!?
川=´┴`) <…気が早すぎますがな…
232 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 06:25:22.94 O
おっぱよんです!
もうっこぱるさんったら気が短いんだから
もうっこぱるさんったら気が短いんだから
233 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 07:47:39.38 0
ソワソワ〝从*・ 。.・)″ソワソワ<作品まだかまだかなの
川=´┴`) <…アンタもちょっとは落ち着きなはれ
川=´┴`) <…アンタもちょっとは落ち着きなはれ
234 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 09:08:47.11 0
リo´ゥ`リ<そっかーみんな小春の誕生日記念作品を優先してるから道重さんのが少ないんだー
从*・ 。.・)<………小春の話上げようとするやつはお姉ちゃんに頼んで全員消してやるなの
从*・ 。.・)<………小春の話上げようとするやつはお姉ちゃんに頼んで全員消してやるなの
235 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 11:18:25.23 0
今日は春コンDVDが届くからさゆの生誕記念書くどころじゃないなー
まあまた来年まで待てばいいんじゃ……なんだ?体が………
まあまた来年まで待てばいいんじゃ……なんだ?体が………
236 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 11:20:08.78 P
ドラクエ購入記念ホゼ
ダークスライムが現れた
・ 。 _ ・ .
・ ___ノ。。\____
ー_  ̄_--ノ
ダークスライムが現れた
・ 。 _ ・ .
・ ___ノ。。\____
ー_  ̄_--ノ
238 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 13:07:47.46 O
239 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 15:04:13.33 O
3時の休憩は是非リゾナントで
241 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 17:21:55.47 O
ビラを手に取った人は虚ろな目になって…
242 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 18:28:40.61 O
ナッチハテンシナッチハテンシと…
あれ?俺今何言ってた?
あれ?俺今何言ってた?
243 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:48:49.73 O
プラチナ9DISKOのDVDキタ→!!
早く見たいYO!
早く見たいYO!
244 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:50:40.83 0
もう来たん?ええなぁ~
245 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 20:03:18.22 0
>>235
272 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:17:07.05 0
http://hello.uh-oh.jp/cgi-bin/aaa/img/hell66413.jpg
273 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:30:54.21 0
人殺しの目w
272 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:17:07.05 0
http://hello.uh-oh.jp/cgi-bin/aaa/img/hell66413.jpg
273 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 19:30:54.21 0
人殺しの目w
246 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 20:55:48.26 O
さえみにやられたい
247 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 21:52:01.20 0
>>240
なんであんなに強いのに…w
なんであんなに強いのに…w
248 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 22:49:31.26 0
ノリo´ゥ`リドキドキ
249 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/14(火) 23:56:08.45 0
ノリo´ゥ`リワクワク
250 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 00:05:08.38 0
小春おたおめ
251 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 00:15:19.79 0
。+。☆゜。*。゜。+。
。+゜☆。*。゜。+。゜*@。*゜。
*。゜☆゜+。゜*。゜*。@+。゜*゜。
゜+@。*゜For You。*゜☆。*゜
*゜@。*゜+。゜+☆゜。**゜+゜。*
゜@。゜*゜。+゜。☆*゜。*゜@゜
゜+。☆゜。*。@。゜+。*゜
\゜*。゜。**゜+。/
\*。+∋8ノハヽ
\∨ ノリ*’ー’) <小春おめやよー♪
》◎《⊂ )
/ ∧\∪`∪
~~~~~~~
ノ|c| ・e・)ノノ*^ー^)从*・ 。.・)从*´ ヮ`)川=´┴`)川*^A^)川´・_o・)<おめでとー!!
。+゜☆。*。゜。+。゜*@。*゜。
*。゜☆゜+。゜*。゜*。@+。゜*゜。
゜+@。*゜For You。*゜☆。*゜
*゜@。*゜+。゜+☆゜。**゜+゜。*
゜@。゜*゜。+゜。☆*゜。*゜@゜
゜+。☆゜。*。@。゜+。*゜
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\*。+∋8ノハヽ
\∨ ノリ*’ー’) <小春おめやよー♪
》◎《⊂ )
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ノ|c| ・e・)ノノ*^ー^)从*・ 。.・)从*´ ヮ`)川=´┴`)川*^A^)川´・_o・)<おめでとー!!
252 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 00:17:18.71 0
レッドおめでとう!
253 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 00:24:16.39 0
〈〉〈〉〈〉〈〉
∥∥∥∥
/⌒⌒⌒⌒⌒⌒ヽ
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…オモイゾ… |・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |
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川´・_o・) |=====================|
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し' ̄(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_))(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_))
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し' ̄(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_))(_)) ̄(_)) ̄(_)) ̄(_))
254 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 00:33:32.38 O
こぱるさんおめでとうございます!!
ささ、喫茶店にメンバー集まってるよ
ささ、喫茶店にメンバー集まってるよ
255 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 01:18:52.44 0
小春おめ!
現実でもこのスレでも一層の活躍を期待してます!
現実でもこのスレでも一層の活躍を期待してます!
256 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 04:44:45.99 O
こはる!こはる!こはる!いくつになったの?めでたいのぅ
257 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 06:30:53.13 O
ノリo´ゥ`リ こはるは17歳だよー でもきらりは永遠の14歳だよー
258 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 08:17:24.09 0
やあ元気かい
久しぶり
君と別れてから一年以上になるのかな
あの暗い路上裏で君と出会って
別れの時が訪れるまで
ほんのちょっとの間だけど幸せだった
どれだけ長く生きたとか
どれだけお金をかけられたとかで
幸せは測れない
どれだけ深く愛されたか
どれほど強く求められたか
その一瞬の大きさで幸せかどうかは決まると思う
君の尖った言葉に隠れた 優しさあふれる思いに触れた
君といた日々は
小春日和だったよ
久しぶり
君と別れてから一年以上になるのかな
あの暗い路上裏で君と出会って
別れの時が訪れるまで
ほんのちょっとの間だけど幸せだった
どれだけ長く生きたとか
どれだけお金をかけられたとかで
幸せは測れない
どれだけ深く愛されたか
どれほど強く求められたか
その一瞬の大きさで幸せかどうかは決まると思う
君の尖った言葉に隠れた 優しさあふれる思いに触れた
君といた日々は
小春日和だったよ
260 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 09:33:59.66 O
誰視点なんだろう?
色々想像させる感じがいいですね
黒いのもそれはそれで読みたかったですw
色々想像させる感じがいいですね
黒いのもそれはそれで読みたかったですw
261 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 10:13:52.32 0
ミーちゃんかな
262 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 10:41:26.76 O
ほんまや!
263 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 10:55:02.97 0
ハ,,ハ
(*゚ヮ゚) <幸せだったよ…
~(ou,,uっ
(*゚ヮ゚) <幸せだったよ…
~(ou,,uっ
264 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 12:20:45.97 O
ミーじゃまいか!自然に目から水が・・・
265 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 12:30:25.73 0
>>258の話とミーのAAは反則やわ
でもこの話を書いた人がどんな黒い話を書くのか気になる
でもこの話を書いた人がどんな黒い話を書くのか気になる
266 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 14:34:58.05 O
ほぜりゃー
267 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 15:38:46.56 0
268 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 16:23:16.83 0
こはるびより
そう聞いて某電波アニメを連想してしまう俺はリゾスレ住人失格だと思った
そう聞いて某電波アニメを連想してしまう俺はリゾスレ住人失格だと思った
269 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 17:12:20.28 0
春 ○ 小 ● 住 ○ 久 ●
靄 ● 娃 ○ 居 ○ 遠 ●
待 ● 依 ○ 不 ● 如 ○
空 ○ 幻 ● 穏 ● 冥 ○
乾 ◎ 影 ● 安 ◎ 闇 ●
<詩題> 唯希蒼空
<韻目> 「寒」韻
<中国語読み>
jiu(3) yuan(3) ru(2) ming(2) an(4)
zhu(4) ju(1) bu(4) wen(3) an(1)
xiao(3) wa(2) yi(1) huan(4) ying(3)
chun(1) ai(3) dai(4) kong(1) gan(1)
※( )内数字は現代中国語の四声であるので 平仄とは必ずしも一致していません
春 ○ 小 ● 住 ○ 久 ●
靄 ● 娃 ○ 居 ○ 遠 ●
待 ● 依 ○ 不 ● 如 ○
空 ○ 幻 ● 穏 ● 冥 ○
乾 ◎ 影 ● 安 ◎ 闇 ●
<詩題> 唯希蒼空
<韻目> 「寒」韻
<中国語読み>
jiu(3) yuan(3) ru(2) ming(2) an(4)
zhu(4) ju(1) bu(4) wen(3) an(1)
xiao(3) wa(2) yi(1) huan(4) ying(3)
chun(1) ai(3) dai(4) kong(1) gan(1)
※( )内数字は現代中国語の四声であるので 平仄とは必ずしも一致していません
270 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 17:13:20.85 0
<書き下し>
久遠(きゅうえん) 冥闇(めいあん)のごとく
住居 穏安ならず
小娃(しょうあい) 幻影に依り
春靄(しゅんあい) 空の乾くを待つ
<直訳>
永遠は暗闇のようであり、
住処は、穏やかで安んずる場所ではない。
一人の美しい少女は幻影に依存し、
春のもやは空が乾くのを待っている。
<意訳>
いつまでも続く孤独は底知れぬ闇のようで、
心安らぐ居場所などどこにもなかった。
それ故、久住小春は自身の作る幻に縋り、いつしか自らの本当の姿さえも偽って虚像化し 強がっていた。
だが、実体がなく儚いその春霞のような存在は、本当は心の中に降る雨が止み そこに蒼空が広がる日を誰よりも切望している。
<書き下し>
久遠(きゅうえん) 冥闇(めいあん)のごとく
住居 穏安ならず
小娃(しょうあい) 幻影に依り
春靄(しゅんあい) 空の乾くを待つ
<直訳>
永遠は暗闇のようであり、
住処は、穏やかで安んずる場所ではない。
一人の美しい少女は幻影に依存し、
春のもやは空が乾くのを待っている。
<意訳>
いつまでも続く孤独は底知れぬ闇のようで、
心安らぐ居場所などどこにもなかった。
それ故、久住小春は自身の作る幻に縋り、いつしか自らの本当の姿さえも偽って虚像化し 強がっていた。
だが、実体がなく儚いその春霞のような存在は、本当は心の中に降る雨が止み そこに蒼空が広がる日を誰よりも切望している。
271 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 17:14:39.05 0
>>269-270
久住小春誕生日記念詩(五言絶句) 『唯、蒼空を希う』 (ただ、そうくうをこいねがう)
以上です
素敵なお話の後に気が引けましたが…
各句の頭を「久住小春」としてあります
平仄や押韻等 一応基本的規則には則ってはいるつもりですが 深い追求はどうぞご容赦ください
あまりお祝いな内容ではないですが この後に蒼空が広がると分かっているからこそと思っていただければ…
ともかくなんとかこれで9人全員の誕生祝いができました(自分の中でだけですがw)
久住さんお誕生日おめでとうございます!
>>269-270
久住小春誕生日記念詩(五言絶句) 『唯、蒼空を希う』 (ただ、そうくうをこいねがう)
以上です
素敵なお話の後に気が引けましたが…
各句の頭を「久住小春」としてあります
平仄や押韻等 一応基本的規則には則ってはいるつもりですが 深い追求はどうぞご容赦ください
あまりお祝いな内容ではないですが この後に蒼空が広がると分かっているからこそと思っていただければ…
ともかくなんとかこれで9人全員の誕生祝いができました(自分の中でだけですがw)
久住さんお誕生日おめでとうございます!
272 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 18:38:20.76 0
このスレも幅が広いな
中国語の素養があれば音読してみたい
中国語の素養があれば音読してみたい
273 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 19:20:48.18 0
五言絶句を操る人がいるとは!
ジュンリンに音読して欲しい
ジュンリンに音読して欲しい
274 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:01:00.57 0
素敵
リゾスレにおける小春を僅かな字句で見事に表現されていますよね
機会があればダークネスのメンバーも見てみたいです
リゾスレにおける小春を僅かな字句で見事に表現されていますよね
機会があればダークネスのメンバーも見てみたいです
275 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:50:00.76 0
とりあえず 遅ればせながら本日さゆおめ作品書いてみました!
ダークになっちゃいましたが、「二人分」という事でお許し下さい…。
これから小春も書き始めます…
ダークになっちゃいましたが、「二人分」という事でお許し下さい…。
これから小春も書き始めます…
276 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:51:07.98 0
『kiss of life』
道重さゆみは暗い病院の渡り廊下で立ちつくしていた。
亀井絵里の病室を訪れた帰り、病院を訪れているうちに顔見知りとなった、入院患者の少年がICU(集中治療室)へと運び込まれるのを目撃してしまったのだ。
少年は小児癌だと聞いていた。大人に比べ死亡率はそれほど高くは無いものの、進行が早い為予断を許さないのだ、とも…。
暗い廊下の奥から、誰かが歩いてくるのが見える。
病院には似つかわしくない、黒衣に身を包んだ女だった。長い漆黒の髪が陶磁器のように白い顔を浮き立たせている。
「さゆみ」と同じ顔をもつその女は、しかしさゆみとは全く異なる…、闇をしか見つめていないような、冷たい眼差しを持っていた。
「お姉ちゃん…!?」
驚きの声をあげるさゆみ。
「…『癌』というのは不思議な病気ね…。細胞が異常な増殖をはじめる…。そしてその細胞が消費する異常なエネルギーが、周りの細胞を破壊していく…」
女は一点を見つめるような視線で語り始める。
「…お姉ちゃん、あの子の事知ってるの!?」
「…知らないわ…。でも、この『地球』に対する『人間』の存在は『癌』にたとえられる事がある…」
「そして、『人類』に対する私たち『能力者』の存在もそれに似ている…。そうは思わない…?」
『kiss of life』
道重さゆみは暗い病院の渡り廊下で立ちつくしていた。
亀井絵里の病室を訪れた帰り、病院を訪れているうちに顔見知りとなった、入院患者の少年がICU(集中治療室)へと運び込まれるのを目撃してしまったのだ。
少年は小児癌だと聞いていた。大人に比べ死亡率はそれほど高くは無いものの、進行が早い為予断を許さないのだ、とも…。
暗い廊下の奥から、誰かが歩いてくるのが見える。
病院には似つかわしくない、黒衣に身を包んだ女だった。長い漆黒の髪が陶磁器のように白い顔を浮き立たせている。
「さゆみ」と同じ顔をもつその女は、しかしさゆみとは全く異なる…、闇をしか見つめていないような、冷たい眼差しを持っていた。
「お姉ちゃん…!?」
驚きの声をあげるさゆみ。
「…『癌』というのは不思議な病気ね…。細胞が異常な増殖をはじめる…。そしてその細胞が消費する異常なエネルギーが、周りの細胞を破壊していく…」
女は一点を見つめるような視線で語り始める。
「…お姉ちゃん、あの子の事知ってるの!?」
「…知らないわ…。でも、この『地球』に対する『人間』の存在は『癌』にたとえられる事がある…」
「そして、『人類』に対する私たち『能力者』の存在もそれに似ている…。そうは思わない…?」
277 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:52:27.85 0
「そんな事…、どうでもいいです…。あたしはただあの子の事が心配で…」
「人は皆、いつかは死ぬものよ…。それが少し早いか遅いかだけの事。…あなたが思い悩む事じゃないわ」
「…そんなこと…わかってます…。でも…、でも!」
「…命が短かったといっても、不幸せとは限らない…。でも、その子が人生の最後に苦しんでいるのなら…、私は楽に逝かせてやることは出来るわ…」
その女は右手をスッ…と病室の扉へとかざす。
「お姉ちゃん!?なにをするの!?」
無言のまま、女はその瞳に暗い光を宿した。
数秒の沈黙の後、突然、病室の中で少年の叫び声があがる。
「お、お姉ちゃん!?なにをしたの!? …まさか?まさか!?」
さゆみは女の両腕を掴むと、激しく揺さぶりながら問い詰める。
女はかすかに唇の端に笑みを浮かべた。
「…柄にも無い事をしたわ…」
「…あの子の脳の…、腫瘍の部分を“消滅”させた…。急激な消失だからちょっとショックはあるけど、命に別状は無いわ…」
「…え!?…どういうこと?それじゃあ…?」
「…あの子の『癌』は消えたわ…。後は体力の快復だけでしょうね…」
「お姉ちゃん…!!」
さゆみは両手で顔をおおうと、声をあげて泣いた。
「…あの子は必死に生きようとしていた…。…それに…、さゆみ…。あなたの喜ぶ顔が見たかった…」
「…遅くなったわね…。誕生日おめでとう、さゆみ」
「そんな事…、どうでもいいです…。あたしはただあの子の事が心配で…」
「人は皆、いつかは死ぬものよ…。それが少し早いか遅いかだけの事。…あなたが思い悩む事じゃないわ」
「…そんなこと…わかってます…。でも…、でも!」
「…命が短かったといっても、不幸せとは限らない…。でも、その子が人生の最後に苦しんでいるのなら…、私は楽に逝かせてやることは出来るわ…」
その女は右手をスッ…と病室の扉へとかざす。
「お姉ちゃん!?なにをするの!?」
無言のまま、女はその瞳に暗い光を宿した。
数秒の沈黙の後、突然、病室の中で少年の叫び声があがる。
「お、お姉ちゃん!?なにをしたの!? …まさか?まさか!?」
さゆみは女の両腕を掴むと、激しく揺さぶりながら問い詰める。
女はかすかに唇の端に笑みを浮かべた。
「…柄にも無い事をしたわ…」
「…あの子の脳の…、腫瘍の部分を“消滅”させた…。急激な消失だからちょっとショックはあるけど、命に別状は無いわ…」
「…え!?…どういうこと?それじゃあ…?」
「…あの子の『癌』は消えたわ…。後は体力の快復だけでしょうね…」
「お姉ちゃん…!!」
さゆみは両手で顔をおおうと、声をあげて泣いた。
「…あの子は必死に生きようとしていた…。…それに…、さゆみ…。あなたの喜ぶ顔が見たかった…」
「…遅くなったわね…。誕生日おめでとう、さゆみ」
278 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:53:18.82 0
女はゆっくりとさゆみに近づくと、その涙に濡れた薔薇色の頬をあげ、柔らかな唇にキスをする。
「…あなたを愛しているわ…。“永遠に”なんて言わない…。“この心ある限り…”」
そう言うと、女は再びさゆみに唇をよせた。
その唇の意外な温かさと、唇を割って入り込む滑らかな感触にさゆみは身体を震わせる。
ふと気がつくと、さゆみは同じ病院の廊下に一人立ちつくしていた。
病室の中から、少年の家族の歓喜の声がかすかに漏れ聞こえてくる。
さゆみは自らの唇に指で触れてみる。
そして手のひらで胸を押さえるとつぶやいた。
「誕生日って…。お姉ちゃんも一緒じゃない…」
「ありがとう、さえみお姉ちゃん…。そして…、誕生日、おめでとう」
女はゆっくりとさゆみに近づくと、その涙に濡れた薔薇色の頬をあげ、柔らかな唇にキスをする。
「…あなたを愛しているわ…。“永遠に”なんて言わない…。“この心ある限り…”」
そう言うと、女は再びさゆみに唇をよせた。
その唇の意外な温かさと、唇を割って入り込む滑らかな感触にさゆみは身体を震わせる。
ふと気がつくと、さゆみは同じ病院の廊下に一人立ちつくしていた。
病室の中から、少年の家族の歓喜の声がかすかに漏れ聞こえてくる。
さゆみは自らの唇に指で触れてみる。
そして手のひらで胸を押さえるとつぶやいた。
「誕生日って…。お姉ちゃんも一緒じゃない…」
「ありがとう、さえみお姉ちゃん…。そして…、誕生日、おめでとう」
279 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 20:55:28.45 0
280 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 21:05:44.80 O
>>279
ぺっぱあさん…?かな?
違ったらごめんなさい;
病院の静謐な空気にさえみさんの雰囲気がすごく合っていて登場場面はゾクリとしました
それに合った静かな感動がいいですね
妖しい空気も雰囲気作りに一役買っていてすごく好きです
ノリo´ゥ`リ<小春編も急いでねー
ぺっぱあさん…?かな?
違ったらごめんなさい;
病院の静謐な空気にさえみさんの雰囲気がすごく合っていて登場場面はゾクリとしました
それに合った静かな感動がいいですね
妖しい空気も雰囲気作りに一役買っていてすごく好きです
ノリo´ゥ`リ<小春編も急いでねー
281 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 21:59:29.54 0
崩壊の力を持つさえみさんがその力で少年の命を救うというのがいいね
小春編も待ってます
小春編も待ってます
282 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 22:17:57.61 O
お姉さん・・・いいやつだな・・・そして誕生日おめでとう
裏の存在だがしかしさえみの存在感すごい
裏の存在だがしかしさえみの存在感すごい
283 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:10:04.30 0
さゆはさえみ 小春はきらり
どちらももう一つの顔を持ってるという意味では似てなくもないか
どちらかというと禍々しいイメージの強いさえみだからこその話だったね
どちらももう一つの顔を持ってるという意味では似てなくもないか
どちらかというと禍々しいイメージの強いさえみだからこその話だったね
284 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:28:07.98 0
「お願い、助けて」
「大丈夫、心配しないで。 あなたは私が助けるから」
女の人が脅えている。
可哀そうに、ぶるぶる震えてる。
髪も化粧も装飾品も派手なのが、彼女の感じている恐怖を引き立てている。
「さあ、こっちへ来て。 私が助けてあげるから」
「いやあーつ、寄るな。 化け物」
かわいそうな人。 気が動転して、敵と味方の区別がつかないのね。
「私はあなたを救うために、ここにいるのよ」
「寄るんじゃねえよ。 この化け物が」
汚い言葉。
手にはカッターナイフ。
危ないわ。
「頼むから落ち着いて。 私はあなたの敵じゃ無い。 私ならあなたを苦しみから解き放ってあげれる」
「ふざけんじゃねえよ。 この人殺しが」
「殺したって、何のこと」
「お前が、お前が、あの人を殺したんだ」
「あの人? ああ、あなたの息子さんに大怪我をさせた人。 あの人も、私が救ってあげたのよ」
「救っただって! お前があの人を殺したんじゃないか」
「大丈夫、心配しないで。 あなたは私が助けるから」
女の人が脅えている。
可哀そうに、ぶるぶる震えてる。
髪も化粧も装飾品も派手なのが、彼女の感じている恐怖を引き立てている。
「さあ、こっちへ来て。 私が助けてあげるから」
「いやあーつ、寄るな。 化け物」
かわいそうな人。 気が動転して、敵と味方の区別がつかないのね。
「私はあなたを救うために、ここにいるのよ」
「寄るんじゃねえよ。 この化け物が」
汚い言葉。
手にはカッターナイフ。
危ないわ。
「頼むから落ち着いて。 私はあなたの敵じゃ無い。 私ならあなたを苦しみから解き放ってあげれる」
「ふざけんじゃねえよ。 この人殺しが」
「殺したって、何のこと」
「お前が、お前が、あの人を殺したんだ」
「あの人? ああ、あなたの息子さんに大怪我をさせた人。 あの人も、私が救ってあげたのよ」
「救っただって! お前があの人を殺したんじゃないか」
285 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:28:50.64 0
本当にわからないことを言う人だ。
とりあえず刃物は取り上げた方がいいわね。
手を差し伸べながら、私は興奮している女の人に近づいた。
「さあ、そのナイフを渡して。 危なッ、痛い」
「ざまあ見ろ、この化け物が。 近づくとただじゃおかないよ」
掌が切れていた。
赤い血が流れてる。
「私はあの男の人を殺したんじゃない。 解放してあげたのよ、無価値な人生から」
「価値が無いだって。 ふざけんな」
「いいえ、私はふざけてなんかいない。 あの男も、そしてあなたにも価値なんて無い。
あなた達の人生に意味は無い。
子供に乱暴する男、それを笑って見ている母親。
運び込まれた病院で看護婦の目を盗んで、子供を脅して口止めをするあなた達。
そんな生き方って、虚しいでしょ。
そんなふうに生きたってなんの喜びがあるというの。 だから、私が救ってあげる。 解放してあげる」
「ひっ、やめてお願いだから」
「いいこと。 崩壊は解放。
壊れて粒子になって やがて無になって 人は苦しみから解き放たれる。
塵に還りなさい
自分の愚劣さを、卑小さを、残忍さを、無知蒙昧さを、無価値さを思い知りなさい。
塵に還りなさい。
神は塵芥から人を、世界を作った。 塵に還って、そこからあなたの生をやり直しなさい」
裁きの言葉を告げると、愚かな母親は体の芯が抜けたように、うなだれた。
私は彼女の首に手を回し、唇を耳元に近づける。
とりあえず刃物は取り上げた方がいいわね。
手を差し伸べながら、私は興奮している女の人に近づいた。
「さあ、そのナイフを渡して。 危なッ、痛い」
「ざまあ見ろ、この化け物が。 近づくとただじゃおかないよ」
掌が切れていた。
赤い血が流れてる。
「私はあの男の人を殺したんじゃない。 解放してあげたのよ、無価値な人生から」
「価値が無いだって。 ふざけんな」
「いいえ、私はふざけてなんかいない。 あの男も、そしてあなたにも価値なんて無い。
あなた達の人生に意味は無い。
子供に乱暴する男、それを笑って見ている母親。
運び込まれた病院で看護婦の目を盗んで、子供を脅して口止めをするあなた達。
そんな生き方って、虚しいでしょ。
そんなふうに生きたってなんの喜びがあるというの。 だから、私が救ってあげる。 解放してあげる」
「ひっ、やめてお願いだから」
「いいこと。 崩壊は解放。
壊れて粒子になって やがて無になって 人は苦しみから解き放たれる。
塵に還りなさい
自分の愚劣さを、卑小さを、残忍さを、無知蒙昧さを、無価値さを思い知りなさい。
塵に還りなさい。
神は塵芥から人を、世界を作った。 塵に還って、そこからあなたの生をやり直しなさい」
裁きの言葉を告げると、愚かな母親は体の芯が抜けたように、うなだれた。
私は彼女の首に手を回し、唇を耳元に近づける。
286 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:29:33.26 0
「これは決まり事です。 これから行われることは私怨を晴らすのではなく、大いなる意志の代行。
でももしもあなたが私のことを恨むなら、 そしてもしもあなたの魂魄がこの世に留まることが出来たなら、
今から伝える私の名に祟りなさい。
一人で立ってられない彼女を支えながら、私は「さ」から始まる三文字の言葉を彼女に囁いた。
物質崩壊という力を与えられた私への神からのもう一つの賜りもの、聖なる名前。
その名を告げ終わったとき、それは始まった。
哀れな女の額に一つの黒点が現れた。
それは瞬く間に顔中、体中に広がった。
女の肌は月の表面のように、焼け焦げた木のように変貌し、どんどん崩れていって、
やがて大量の塵となった。
ほんの少し前、彼女と一緒にいた男がそうなったように。
人を塵に還した後はいつも思う。
一体こんなことを何度繰り返せば、この世界は調和の取れた正しい姿になるのか。
人間なんてみんな価値がない。生きている意味はない。
ならばいっそのこと私の力でこの世の尽くの人間を消失させてしまおうか、と。
でももしもあなたが私のことを恨むなら、 そしてもしもあなたの魂魄がこの世に留まることが出来たなら、
今から伝える私の名に祟りなさい。
一人で立ってられない彼女を支えながら、私は「さ」から始まる三文字の言葉を彼女に囁いた。
物質崩壊という力を与えられた私への神からのもう一つの賜りもの、聖なる名前。
その名を告げ終わったとき、それは始まった。
哀れな女の額に一つの黒点が現れた。
それは瞬く間に顔中、体中に広がった。
女の肌は月の表面のように、焼け焦げた木のように変貌し、どんどん崩れていって、
やがて大量の塵となった。
ほんの少し前、彼女と一緒にいた男がそうなったように。
人を塵に還した後はいつも思う。
一体こんなことを何度繰り返せば、この世界は調和の取れた正しい姿になるのか。
人間なんてみんな価値がない。生きている意味はない。
ならばいっそのこと私の力でこの世の尽くの人間を消失させてしまおうか、と。
287 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:30:15.95 0
ドアが開く音がした。
誰かが屋上にやってきたのだろうか。
それはそうだろう。
不特定多数の人間が出入りする病院の屋上なのだから、誰が来ても不思議ではない。
頼りなげな足音。
一体何の目的で来たのだろう。
もしかして私の力が見られたのだろうか。
仮に見られたところで誰も私を罰することは出来ない。
私の力はそういう類のものだ。
足音が近づいてくる。
面倒を避ける為に屋上にある建造物、配電室や給水タンクの陰に隠れようと思ったが、間に合わなかった。
「何してんの?そんな所で思いつめた顔して。 危ないよ」
足音だけでなく声までどこか頼りない響きが混じっている。
何とか勇気と空元気を振り絞ったような声だ。
若い女性、というより私と同じ年頃の少女が儚げな笑みを浮かべながらそこにいた。
パジャマを着ているところを見ると、入院患者だろう。
戸惑って声が出ない私に近づいてくる。
あるいは自殺志願者と思われたのだろうか。
顔を見て思い出した。
彼女のことはこの病院で何度か見かけたことがある。
その時はもっと青白い生気の無い顔をしていた。
車椅子に乗せられて、検査室に運ばれているのを見た事もある。
余り長くは生きられないだろうな、と思ったことがある。
誰かが屋上にやってきたのだろうか。
それはそうだろう。
不特定多数の人間が出入りする病院の屋上なのだから、誰が来ても不思議ではない。
頼りなげな足音。
一体何の目的で来たのだろう。
もしかして私の力が見られたのだろうか。
仮に見られたところで誰も私を罰することは出来ない。
私の力はそういう類のものだ。
足音が近づいてくる。
面倒を避ける為に屋上にある建造物、配電室や給水タンクの陰に隠れようと思ったが、間に合わなかった。
「何してんの?そんな所で思いつめた顔して。 危ないよ」
足音だけでなく声までどこか頼りない響きが混じっている。
何とか勇気と空元気を振り絞ったような声だ。
若い女性、というより私と同じ年頃の少女が儚げな笑みを浮かべながらそこにいた。
パジャマを着ているところを見ると、入院患者だろう。
戸惑って声が出ない私に近づいてくる。
あるいは自殺志願者と思われたのだろうか。
顔を見て思い出した。
彼女のことはこの病院で何度か見かけたことがある。
その時はもっと青白い生気の無い顔をしていた。
車椅子に乗せられて、検査室に運ばれているのを見た事もある。
余り長くは生きられないだろうな、と思ったことがある。
288 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:30:58.04 0
「血が出てるよ」
思いのほか強い力で手を取られた。
カッターナイフで切られた手だ。
浅い傷なので、それ程は痛んでいない。
強い力で手を握り締められている。
こんなに強く手を握られたのはいつ以来だろうか。
ひょっとしたら初めての経験なのかもしれない。
胸が高まる。
「手が汚れるから」
声が上ずっているのが自分でもおかしい。
何だろう、この気持ちは。
「大丈夫。 私は絵里、亀井絵里っていうの。 あなたは」
言えない、それだけは言えない、言ってはいけない。
私の名前は崩壊へのパスワード。
もし言えば、そしてもしそれを耳にすればあなたは…
私が押し黙っていると、彼女の顔は真夏の朝顔のようにたちまち萎れてしまった。
違う、私が名前を言わないのはあなたを崩壊させたくないから。
本当に、本当に馬鹿みたいな話だけど、今初めて話すあなたなのに、
これまでに会ったどんな人にも感じたことのない感情が生まれている。
俯いた彼女は、私の手を離し、じゃあーねっと力なく呟き私の許から去っていく。
私の傷口から付いたのか、手から血が滴り落ちている。
思いのほか強い力で手を取られた。
カッターナイフで切られた手だ。
浅い傷なので、それ程は痛んでいない。
強い力で手を握り締められている。
こんなに強く手を握られたのはいつ以来だろうか。
ひょっとしたら初めての経験なのかもしれない。
胸が高まる。
「手が汚れるから」
声が上ずっているのが自分でもおかしい。
何だろう、この気持ちは。
「大丈夫。 私は絵里、亀井絵里っていうの。 あなたは」
言えない、それだけは言えない、言ってはいけない。
私の名前は崩壊へのパスワード。
もし言えば、そしてもしそれを耳にすればあなたは…
私が押し黙っていると、彼女の顔は真夏の朝顔のようにたちまち萎れてしまった。
違う、私が名前を言わないのはあなたを崩壊させたくないから。
本当に、本当に馬鹿みたいな話だけど、今初めて話すあなたなのに、
これまでに会ったどんな人にも感じたことのない感情が生まれている。
俯いた彼女は、私の手を離し、じゃあーねっと力なく呟き私の許から去っていく。
私の傷口から付いたのか、手から血が滴り落ちている。
289 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:31:42.51 0
そうじゃない。
行かないで、行って欲しくない。
私の傍にいて欲しい。
私の手を握って欲しい。
もっとお話していたい。
私は意を決した。
そして、その名を告げた。
「さ…ゆ…私の名前は道重さゆみ」
さゆみ、それは崩壊の力を持って生まれたが故に、人と交わることを禁じられた私が一人遊びの時に
想像した架空の妹。
暗く、陰鬱な私に対して、明るく前向きなさゆみ。
さゆみ。
いつか友だちとして誰かと付き合えるようになったなら、私の名前として告げようと思っていた。
でも生まれてから一度も口にしたことの無い名前。
「さゆみ、素敵な名前だね」
振り返った絵里の顔が笑いで綻んでいる。
私は今日という日を一生忘れない。
今日は私に生まれて初めての友だちが出来た日。
そして私の中からさゆみが生まれた日。
行かないで、行って欲しくない。
私の傍にいて欲しい。
私の手を握って欲しい。
もっとお話していたい。
私は意を決した。
そして、その名を告げた。
「さ…ゆ…私の名前は道重さゆみ」
さゆみ、それは崩壊の力を持って生まれたが故に、人と交わることを禁じられた私が一人遊びの時に
想像した架空の妹。
暗く、陰鬱な私に対して、明るく前向きなさゆみ。
さゆみ。
いつか友だちとして誰かと付き合えるようになったなら、私の名前として告げようと思っていた。
でも生まれてから一度も口にしたことの無い名前。
「さゆみ、素敵な名前だね」
振り返った絵里の顔が笑いで綻んでいる。
私は今日という日を一生忘れない。
今日は私に生まれて初めての友だちが出来た日。
そして私の中からさゆみが生まれた日。
290 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:32:27.84 0
>>284-289
以上『言ってはいけない』です
道重さんの設定と誕生というキーワードを組み合わせて、SF好きの人間が書くとこうなりました
勿論今回限りのパラレル設定です
広い気持ちで見逃してください
>>284-289
以上『言ってはいけない』です
道重さんの設定と誕生というキーワードを組み合わせて、SF好きの人間が書くとこうなりました
勿論今回限りのパラレル設定です
広い気持ちで見逃してください
291 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:45:47.60 0
292 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:56:25.52 0
タイトルもSFショートショートっぽい! 表裏一体のさえみさん設定だからこその逆視点!
面白かったです!
こんな良い作品の後すぐで申し訳ないですが、一応「今日」中に小春の話を上げさせて
下さい…。
面白かったです!
こんな良い作品の後すぐで申し訳ないですが、一応「今日」中に小春の話を上げさせて
下さい…。
293 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:57:20.54 0
『 Friends 』
営業を終えた喫茶『リゾナント』の店内では、高橋愛、田中れいな、新垣里沙の3人がテレビを囲んでいた。今夜は、最近仲間に加わった、アイドルタレントでもある久住小春が、生放送の番組に登場するというのだ。
「今日は生やからね~!」「小春がテレビに出とるの見るのドキドキするっちゃ~!」
ワクワクしている様子の愛とれいなを見ながら、里沙は「その日はみんなで見てるよ!」と言われた時の、小春のなんとも言えない困ったような表情が気になっていた。
*** *** ***
それはお笑いタレントがパーソナリティを勤める、軽いノリのトーク番組だった。
無難に番組は進み、番組の目玉である、ゲストの友人が登場してゲストへの手紙を読む、というコーナーに差し掛かる。
「では、お友達の方、どうぞー!!」
そう言われて、小春は息を呑む。
…いままでは、こんな時、『念写』と『幻術』の力を駆使し、“理想のお友達”を登場させていた。しかし、『リゾナント』の仲間たちが見ているとわかっている今、それは『リゾナント』の皆をも欺く事になる…。
小春は『能力』を発動させる事が出来ず、ゲストの登場口をただ見据えていた。
「あれー?おかしいなー?ゲストの方―!?」
…その時…。
ギュンッ!!と登場口にまばゆい光が差し、二人の女の子が登場する。
営業を終えた喫茶『リゾナント』の店内では、高橋愛、田中れいな、新垣里沙の3人がテレビを囲んでいた。今夜は、最近仲間に加わった、アイドルタレントでもある久住小春が、生放送の番組に登場するというのだ。
「今日は生やからね~!」「小春がテレビに出とるの見るのドキドキするっちゃ~!」
ワクワクしている様子の愛とれいなを見ながら、里沙は「その日はみんなで見てるよ!」と言われた時の、小春のなんとも言えない困ったような表情が気になっていた。
*** *** ***
それはお笑いタレントがパーソナリティを勤める、軽いノリのトーク番組だった。
無難に番組は進み、番組の目玉である、ゲストの友人が登場してゲストへの手紙を読む、というコーナーに差し掛かる。
「では、お友達の方、どうぞー!!」
そう言われて、小春は息を呑む。
…いままでは、こんな時、『念写』と『幻術』の力を駆使し、“理想のお友達”を登場させていた。しかし、『リゾナント』の仲間たちが見ているとわかっている今、それは『リゾナント』の皆をも欺く事になる…。
小春は『能力』を発動させる事が出来ず、ゲストの登場口をただ見据えていた。
「あれー?おかしいなー?ゲストの方―!?」
…その時…。
ギュンッ!!と登場口にまばゆい光が差し、二人の女の子が登場する。
294 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:58:20.17 0
「ぶーっ!!!」
『リゾナント』でテレビを見ていた里沙がカフェオレを盛大に吹き出す。
登場したのは、一瞬前まで里沙の横にいた愛と、たまたま愛の肩に手を触れていたれいなだった。
「あー良かった!!…でもお二人でしたっけ?…ま、いいか、お名前をどうぞ!!」
「え…?えー!?た、たかはひゃ…あいです」
「…やはりそこで噛むか…」
小春と里沙は、別な空間で同時に右手で顔を覆いつぶやいた。
「れいなもおるっちゃー!!サプライズゲストっちゃねー!!ガキさん見とー?」
「…おまえはもう少し驚け…」
小春と里沙は、別な空間でふたたび同時に右手で顔を覆いつぶやいた。
「…え、えー、じゃあさっそく『きらり』ちゃんへのお手紙を…」
「え!?…て、手紙!?…あひゃっ!?」
愛は慌てまくると、再びギュンッ!!と光になって消える。
「ぶーっ!!!」
『リゾナント』でテレビを見ていた里沙がふたたびカフェオレを盛大に吹き出す。
同時に、光と共に『リゾナント』に愛の姿が現れる。
「あああ愛ちゃん!!!ぜぜぜ全国区のテレビでアナタ!!!てててテレポートって!!!」
里沙が叫ぶ。
愛は気にとめる様子もなく、キッチンの奥へと走りこむ。
「ガキさ~ん!『あれ』先にあっちへ持ってくやよ~!」
「ぶーっ!!!」
『リゾナント』でテレビを見ていた里沙がカフェオレを盛大に吹き出す。
登場したのは、一瞬前まで里沙の横にいた愛と、たまたま愛の肩に手を触れていたれいなだった。
「あー良かった!!…でもお二人でしたっけ?…ま、いいか、お名前をどうぞ!!」
「え…?えー!?た、たかはひゃ…あいです」
「…やはりそこで噛むか…」
小春と里沙は、別な空間で同時に右手で顔を覆いつぶやいた。
「れいなもおるっちゃー!!サプライズゲストっちゃねー!!ガキさん見とー?」
「…おまえはもう少し驚け…」
小春と里沙は、別な空間でふたたび同時に右手で顔を覆いつぶやいた。
「…え、えー、じゃあさっそく『きらり』ちゃんへのお手紙を…」
「え!?…て、手紙!?…あひゃっ!?」
愛は慌てまくると、再びギュンッ!!と光になって消える。
「ぶーっ!!!」
『リゾナント』でテレビを見ていた里沙がふたたびカフェオレを盛大に吹き出す。
同時に、光と共に『リゾナント』に愛の姿が現れる。
「あああ愛ちゃん!!!ぜぜぜ全国区のテレビでアナタ!!!てててテレポートって!!!」
里沙が叫ぶ。
愛は気にとめる様子もなく、キッチンの奥へと走りこむ。
「ガキさ~ん!『あれ』先にあっちへ持ってくやよ~!」
295 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/15(水) 23:59:45.50 0
その頃、番組ではれいながしゃべりまくっていた。
「いやー愛ちゃんはねー、喫茶『リゾナント』のマスターっちゃけどねー、昔は中国雑技団におったっちゃから、飛んだり消えたり、手品も得意っちゃよー!」
「そして『リゾナント』の看板娘がれいなっちゃ!!みんな来て見てねー!!」
そんなところへ、大きな箱を抱えた愛が、再び光と共に現れる。
『リゾナント』では、里沙がぐったりと椅子に沈み込んでいた。
「…もう…。こっちの身にもなってくれ…」
そして、愛が大きな箱のふたを開けると、それは『17才 誕生日おめでとう』と書かれた、大きなバースデーケーキだった。
「れいなと里沙ちゃんと、3人で作ったんやよー!!」
「おお!!これは素晴らしい!!そう、きらりちゃんは、今日が17才の誕生日なんですよねー!!」
やっとまともな展開になってきた、と司会の男が声を張り上げる。
「お手紙じゃないゲストというのは初めてでしたが、これも素敵な“お手紙”と言っていいんじゃないですか!?ねえ、きらりちゃん!!」
小春は涙を流していた。誕生日のサプライズ演出など、自分の『念写』と『幻術』で何回も繰り返していた。くだらない“お涙頂戴”の演出と馬鹿にしてもいた。
でも今…。顔を紅潮させ、キラキラと眼を輝かせた愛が見せてくれるケーキの文字が、涙でにじんでいた。
*** *** ***
その頃、番組ではれいながしゃべりまくっていた。
「いやー愛ちゃんはねー、喫茶『リゾナント』のマスターっちゃけどねー、昔は中国雑技団におったっちゃから、飛んだり消えたり、手品も得意っちゃよー!」
「そして『リゾナント』の看板娘がれいなっちゃ!!みんな来て見てねー!!」
そんなところへ、大きな箱を抱えた愛が、再び光と共に現れる。
『リゾナント』では、里沙がぐったりと椅子に沈み込んでいた。
「…もう…。こっちの身にもなってくれ…」
そして、愛が大きな箱のふたを開けると、それは『17才 誕生日おめでとう』と書かれた、大きなバースデーケーキだった。
「れいなと里沙ちゃんと、3人で作ったんやよー!!」
「おお!!これは素晴らしい!!そう、きらりちゃんは、今日が17才の誕生日なんですよねー!!」
やっとまともな展開になってきた、と司会の男が声を張り上げる。
「お手紙じゃないゲストというのは初めてでしたが、これも素敵な“お手紙”と言っていいんじゃないですか!?ねえ、きらりちゃん!!」
小春は涙を流していた。誕生日のサプライズ演出など、自分の『念写』と『幻術』で何回も繰り返していた。くだらない“お涙頂戴”の演出と馬鹿にしてもいた。
でも今…。顔を紅潮させ、キラキラと眼を輝かせた愛が見せてくれるケーキの文字が、涙でにじんでいた。
*** *** ***
296 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 00:00:34.79 0
本番終了後、愛とれいなは楽屋でしゅんとしていた。小春のマネージャーに怒られたのだった。
「今までのお友達はみんな立派な方だったのに、どうして今回は…」
ブツブツとマネージャーが文句を言いながら楽屋を出て行くと、愛が恐る恐る小春に声を掛ける。
「小春…。あーしらを、呼んでくれたんやろ?…あーしは、呼んでくれる人がいないと、知らない場所には“飛べ”ん…。…小春の…、強く呼ぶ声が聞こえたから、あーしは…」
「…そうですよ!!」
ずっと壁の方を見ていた小春が振り返ると、ニッコリと笑ってみせる。
「驚かそうと思って、急に呼んじゃいました!!…でも…、ありがとうございました!小春のほうがびっくりさせられちゃいました!!」
小春の眼には、まだ涙がにじんでいた。
「良かった―!うちらがぶち壊しにしたかと思って、心配したがし!」
「れいなも来たのが良かったっちゃね!愛ちゃん一人語りはヤバイっちゃからね!」
「そんなことはいいから!小春、さあ本番に行くやよ!」
「…本番…?本番はもう…?」
「パーティーの本番っちゃ!」
「他の皆もそろそろ集まっとる頃やよ!」
そして3人は『リゾナント』へと“飛んだ”。…大きなケーキの箱と共に。
…この時の小春の涙や、素の表情が視聴者の心を掴み、その後の人気爆発のきっかけとなり…、愛とれいながマネージャーから感謝される事になるのは、もう少し後の話となる…。
本番終了後、愛とれいなは楽屋でしゅんとしていた。小春のマネージャーに怒られたのだった。
「今までのお友達はみんな立派な方だったのに、どうして今回は…」
ブツブツとマネージャーが文句を言いながら楽屋を出て行くと、愛が恐る恐る小春に声を掛ける。
「小春…。あーしらを、呼んでくれたんやろ?…あーしは、呼んでくれる人がいないと、知らない場所には“飛べ”ん…。…小春の…、強く呼ぶ声が聞こえたから、あーしは…」
「…そうですよ!!」
ずっと壁の方を見ていた小春が振り返ると、ニッコリと笑ってみせる。
「驚かそうと思って、急に呼んじゃいました!!…でも…、ありがとうございました!小春のほうがびっくりさせられちゃいました!!」
小春の眼には、まだ涙がにじんでいた。
「良かった―!うちらがぶち壊しにしたかと思って、心配したがし!」
「れいなも来たのが良かったっちゃね!愛ちゃん一人語りはヤバイっちゃからね!」
「そんなことはいいから!小春、さあ本番に行くやよ!」
「…本番…?本番はもう…?」
「パーティーの本番っちゃ!」
「他の皆もそろそろ集まっとる頃やよ!」
そして3人は『リゾナント』へと“飛んだ”。…大きなケーキの箱と共に。
…この時の小春の涙や、素の表情が視聴者の心を掴み、その後の人気爆発のきっかけとなり…、愛とれいながマネージャーから感謝される事になるのは、もう少し後の話となる…。
297 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 00:04:38.71 0
>>293-296
以上です…。2作品、本日突貫で仕上げたので色々やらかした感がありますが…
オタオメの気持ちに免じてお許し下さい…
『Friends』 は もつろん 『ツキシマ キラリ』に大リゾナントさせて戴きますた!
以上です…。2作品、本日突貫で仕上げたので色々やらかした感がありますが…
オタオメの気持ちに免じてお許し下さい…
『Friends』 は もつろん 『ツキシマ キラリ』に大リゾナントさせて戴きますた!
298 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 00:06:17.99 0
>>290
従来とは主人格が逆…これは思いつきそうで絶対思いつかなかったです
やられました
「さゆみ」が生まれた理由がまた秀逸です
自身の名前を口にすることは 初めて大切だと思える相手の滅びに繋がる…
でも名前を伝えられないこともまた別れを意味する…
そして生まれた「さゆみ」…素敵な誕生日だと思います
何より懐かしすぎるあの話を覚えていてくださった方がいらっしゃるだけで個人的には感動ですw
同じときにさゆみ&さえみの話を書いている作者さんがいたところがまたリゾナントですねえ
どちらも素敵な誕生日記念でした!
…アブナイ割り込むとこでした
小春編今から読ませていただきます!
従来とは主人格が逆…これは思いつきそうで絶対思いつかなかったです
やられました
「さゆみ」が生まれた理由がまた秀逸です
自身の名前を口にすることは 初めて大切だと思える相手の滅びに繋がる…
でも名前を伝えられないこともまた別れを意味する…
そして生まれた「さゆみ」…素敵な誕生日だと思います
何より懐かしすぎるあの話を覚えていてくださった方がいらっしゃるだけで個人的には感動ですw
同じときにさゆみ&さえみの話を書いている作者さんがいたところがまたリゾナントですねえ
どちらも素敵な誕生日記念でした!
…アブナイ割り込むとこでした
小春編今から読ませていただきます!
299 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 00:20:26.83 0
>>297
本当の涙…真実の感情が浮かんだ表情に勝るものはありませんよね
『ツキシマ キラリ』と合わせて読むと本当に感慨深いです
感動的な話ながら軽いタッチで明るく読めるところが久住さんの誕生日話にマッチしていました
振り回される新垣さんを久しぶりに見られたのもなんだかすごく嬉しかったですw
どちらの作品にも愛を感じました
2作品の執筆お疲れ様です!
本当の涙…真実の感情が浮かんだ表情に勝るものはありませんよね
『ツキシマ キラリ』と合わせて読むと本当に感慨深いです
感動的な話ながら軽いタッチで明るく読めるところが久住さんの誕生日話にマッチしていました
振り回される新垣さんを久しぶりに見られたのもなんだかすごく嬉しかったですw
どちらの作品にも愛を感じました
2作品の執筆お疲れ様です!
300 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 02:25:19.57 0
遅れたけど言っとく! 小春オタオメ!
301 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 06:04:42.17 0
おはよう
302 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 07:18:29.39 O
眩しい朝にうぉううぉちゃんす
304 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 10:04:49.52 0
歓迎です
305 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 10:20:24.23 O
期待してます!!
ただオタオメの方はちゃんと申告してね! ・・・なまものだからw
ただオタオメの方はちゃんと申告してね! ・・・なまものだからw
306 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 10:54:02.48 O
楽しみに待ってます!
307 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 12:07:38.77 O
やだやだやだ行きたい行きたい!
リゾナントに行きたいの!
リゾナントに行きたいの!
308 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 12:54:48.91 0
ヤダヤダヤダ、リゾナントに行きたい。
心の中で泣きながら、顔からは笑みを絶やさない。
それはね、芸能人なんだから色々と自由は制限されるのはしょうがないと思ってる。
でも今日は私の誕生日を祝ってくれるというのに、収録が延びに延びて終わりが見えない。
このままじゃみんなが帰っちゃうよ。
道重さんのパーティーは楽しかったな。
初めてのお酒で酔っぱらった道重さんはキス魔になっちゃうし。
私はジュンジュンとコンビを組んで、青空小春・ジュン子という名で漫才をして、ボケのくせにツッコミたがるジュンジュンのせいでケンカみたいになって、新垣さんに怒られたけど、楽しかったな。
あーあ、こんなことなら一緒にお祝いをしてもらっとくんだったなあ。
収録の中休みに楽屋に戻ったらメールが着信していた。
みんなからなんだろうな。 折角集まってくれたのにごめんなさい。
「久住 リンリンがヘンタイだ 来い 待ってる from ジュンジュン」
バカッ
そこは大変だろう、ってね。
本当に大変な事態なら共鳴という絆で、何か伝わってくる。
これは待ってるよってことだよね。
ありがとう、みんな。
何か元気が出たよ。
仕事が終わったら、雷みたいに飛んでいくから、待っててね。
心の中で泣きながら、顔からは笑みを絶やさない。
それはね、芸能人なんだから色々と自由は制限されるのはしょうがないと思ってる。
でも今日は私の誕生日を祝ってくれるというのに、収録が延びに延びて終わりが見えない。
このままじゃみんなが帰っちゃうよ。
道重さんのパーティーは楽しかったな。
初めてのお酒で酔っぱらった道重さんはキス魔になっちゃうし。
私はジュンジュンとコンビを組んで、青空小春・ジュン子という名で漫才をして、ボケのくせにツッコミたがるジュンジュンのせいでケンカみたいになって、新垣さんに怒られたけど、楽しかったな。
あーあ、こんなことなら一緒にお祝いをしてもらっとくんだったなあ。
収録の中休みに楽屋に戻ったらメールが着信していた。
みんなからなんだろうな。 折角集まってくれたのにごめんなさい。
「久住 リンリンがヘンタイだ 来い 待ってる from ジュンジュン」
バカッ
そこは大変だろう、ってね。
本当に大変な事態なら共鳴という絆で、何か伝わってくる。
これは待ってるよってことだよね。
ありがとう、みんな。
何か元気が出たよ。
仕事が終わったら、雷みたいに飛んでいくから、待っててね。
310 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 14:21:31.46 0
今日ぼくは昼休みにドッチボールをして楽しみました!
よけようとしたら足がからまってころびました 痛かったです!まる
あしたはゆうくんとクラスの女子のスカートめくりをすることにしました!まる
よけようとしたら足がからまってころびました 痛かったです!まる
あしたはゆうくんとクラスの女子のスカートめくりをすることにしました!まる
311 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 15:05:22.41 O
りんりんヘンタイ!りんりんヘンタイ!
312 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 15:06:50.68 O
313 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 16:53:01.61 O
314 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 17:05:47.37 O
315 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 18:05:23.73 0
取り込まれるなよ!自分をしっかり持て! って違うかw
316 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 18:57:22.55 0
317 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 19:03:57.45 0
「投下」「注意書き」「2回に分ける」…何となくどなたか分かったような
待ってます
待ってます
318 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 19:58:19.71 0
そういう詮索レスって相手に喜ばれると思ってんのかな
319 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 20:50:38.40 O
まあ、カリカリせんとマターリ
320 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 20:58:51.09 0
予定通り更新させていただきます注意事項は下記の通りです
・3ないやい(ケメコじゃないやい、麻琴じゃないやい、圭織じゃないやい)
・動きのない淡々とした話
・蒼の共鳴幕間
・もやっと警報(肝心なことは何も分からない的な意味で)
なお作中の時間軸は一日の流れではありません
序盤の時間軸は[Blue-R](21)263 『蒼の共鳴-いざ、海上の牢獄へ-』の序盤から数時間後、
視点が切り替わってからの時間軸は同上の終盤の十数時間前です
旧まとめサイトにて上記作品を読んだ上で読まれることを推奨します
11レス×2回です、半端なところで一旦切れますごめんなさい
・3ないやい(ケメコじゃないやい、麻琴じゃないやい、圭織じゃないやい)
・動きのない淡々とした話
・蒼の共鳴幕間
・もやっと警報(肝心なことは何も分からない的な意味で)
なお作中の時間軸は一日の流れではありません
序盤の時間軸は[Blue-R](21)263 『蒼の共鳴-いざ、海上の牢獄へ-』の序盤から数時間後、
視点が切り替わってからの時間軸は同上の終盤の十数時間前です
旧まとめサイトにて上記作品を読んだ上で読まれることを推奨します
11レス×2回です、半端なところで一旦切れますごめんなさい
321 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:00:26.87 0
キーボードを叩く音がピタリと止んだ。。
さして広くはない薄明るい室内には、大量の機械類が所狭しと据え置かれている。
富士山の北西に広がる青木ヶ原樹海。
面積はおよそ30万平方メートル、1200年程の歴史しかない若い森。その一角に、この施設はあった。
人の目に触れぬ地下に建造されたこの施設の主は、虚空を見つめ唇を真一文字に結ぶ。
数十秒程経っただろうか。この施設の主“保田圭”は、白衣の裾を翻して部屋を後にした。
少々薄暗い灰色の廊下に、一定のリズムで刻まれる足音。
正面を見据えて歩く瞳の鋭さとは裏腹に、歩く速度は悠然とさえ言える。
その横顔からは何を考えているのか読むことは出来なかった。
やがて、圭は一つの扉の前に立つ。
センサーの作動音と共に、灰色のドアは左右へと割れた。
圭は足を踏み入れながら部屋の中央へと視線をやり、口角を釣り上げる。
「待たせたわね、小川」
「いえ。お疲れ様です、保田さん」
機械類と家具が混在する空間。おそらくここは施設の居住スペースなのだろう。
小川と呼ばれた女性は、保田の姿を見て明らかに安心したような表情を浮かべていた。
小川麻琴。
かつて圭が所属していた“組織”の一員であり、圭にとっては可愛い後輩だった。
圭の記憶の中では、太陽のような眩しい笑顔で常に周囲に明るさを振りまいていた少女だった麻琴。
数年間会わないうちに、麻琴はすっかり大人の女性となっていた。
さして広くはない薄明るい室内には、大量の機械類が所狭しと据え置かれている。
富士山の北西に広がる青木ヶ原樹海。
面積はおよそ30万平方メートル、1200年程の歴史しかない若い森。その一角に、この施設はあった。
人の目に触れぬ地下に建造されたこの施設の主は、虚空を見つめ唇を真一文字に結ぶ。
数十秒程経っただろうか。この施設の主“保田圭”は、白衣の裾を翻して部屋を後にした。
少々薄暗い灰色の廊下に、一定のリズムで刻まれる足音。
正面を見据えて歩く瞳の鋭さとは裏腹に、歩く速度は悠然とさえ言える。
その横顔からは何を考えているのか読むことは出来なかった。
やがて、圭は一つの扉の前に立つ。
センサーの作動音と共に、灰色のドアは左右へと割れた。
圭は足を踏み入れながら部屋の中央へと視線をやり、口角を釣り上げる。
「待たせたわね、小川」
「いえ。お疲れ様です、保田さん」
機械類と家具が混在する空間。おそらくここは施設の居住スペースなのだろう。
小川と呼ばれた女性は、保田の姿を見て明らかに安心したような表情を浮かべていた。
小川麻琴。
かつて圭が所属していた“組織”の一員であり、圭にとっては可愛い後輩だった。
圭の記憶の中では、太陽のような眩しい笑顔で常に周囲に明るさを振りまいていた少女だった麻琴。
数年間会わないうちに、麻琴はすっかり大人の女性となっていた。
322 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:01:30.40 0
圭は麻琴の向かい側の席に座り、眩しいものを見るかのように目を細める。
口元に僅かに浮かぶ笑みに、麻琴も満面の笑みを浮かべた。
「大役ご苦労さん、本当にあんたは頑張ってくれたわ…感謝する、本当にありがとう、小川」
「そんな、保田さん頭を上げてくださいよ。
私がしたことなんて全然大したことないですから!」
深々と頭を垂れる圭の姿に、麻琴が慌てふためく。
その雰囲気を察してか、圭は頭を上げ…麻琴の頭へと手を伸ばした。
二度、三度と、麻琴の存在を確かめるかのように髪を撫でる圭。
その手の優しさに、麻琴の瞳にうっすらと涙が浮かび、やがてこぼれ落ちた。
「ほら、もう泣かないの。
しっかし…大人になってもあんた、何も変わんないわね」
「保田さんは老けましたね、今幾つでしたっけ?」
「…小川…」
「冗談ですよ、冗談」
二人の笑い声が、広い空間に響く。
数年間全く会うことがなくとも、まるで常に一緒にいたかのような温かさが場を満たしていった。
麻琴と圭が共に過ごした期間は、僅か一年程。
圭が組織を離脱してからは、互いに連絡を取りたくとも取れない状況であった。
口元に僅かに浮かぶ笑みに、麻琴も満面の笑みを浮かべた。
「大役ご苦労さん、本当にあんたは頑張ってくれたわ…感謝する、本当にありがとう、小川」
「そんな、保田さん頭を上げてくださいよ。
私がしたことなんて全然大したことないですから!」
深々と頭を垂れる圭の姿に、麻琴が慌てふためく。
その雰囲気を察してか、圭は頭を上げ…麻琴の頭へと手を伸ばした。
二度、三度と、麻琴の存在を確かめるかのように髪を撫でる圭。
その手の優しさに、麻琴の瞳にうっすらと涙が浮かび、やがてこぼれ落ちた。
「ほら、もう泣かないの。
しっかし…大人になってもあんた、何も変わんないわね」
「保田さんは老けましたね、今幾つでしたっけ?」
「…小川…」
「冗談ですよ、冗談」
二人の笑い声が、広い空間に響く。
数年間全く会うことがなくとも、まるで常に一緒にいたかのような温かさが場を満たしていった。
麻琴と圭が共に過ごした期間は、僅か一年程。
圭が組織を離脱してからは、互いに連絡を取りたくとも取れない状況であった。
323 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:02:32.87 0
圭が組織を離脱して、数ヶ月。
たったそれだけの時間で、組織は…かつての姿を思い起こすことすら困難な程変容してしまった。
光を掲げていたはずの組織は、ある日を境に闇に墜ちる。
麻琴は、闇に墜ちてもなお、その組織に所属することを余儀なくされた人間だった。
離脱すること叶わず、数年の月日が流れ。
このまま何も変わらぬ日常が続くと思っていた麻琴に突如訪れた、組織離脱の機会。
それは、ほぼ同時期に組織に所属した、麻琴にとっては妹のような存在である“新垣里沙”が、
数年間に渡る敵対組織へのスパイ活動を終えた次の日のことだった。
里沙が敵と心を通じ合わせたという理由の元、“処理”されるという情報をかつての同胞から得た麻琴は、
姉同然に慕う“安倍なつみ”に報告する。
なつみは、それを阻止しなければならないと…麻琴に協力を仰ぎ、封じられた己の力の解放を目論んだ。
麻琴の決死の覚悟が身を結び、なつみは封じられていた己の力を取り戻すことに成功する、が。
それを見越していたかのように、なつみにかけられた“呪い”が発動した。
発動した呪いに苦しむなつみは、里沙救出を麻琴と…里沙がスパイ活動を行っていた組織の人間に託すために、
苦痛に苛まれながらも麻琴を組織から離脱させたのであった。
なつみの願いを叶えるために、麻琴は必死に組織からの追跡を逃れ。
つい先程、託されたことを成し終えたばかりだった。
里沙がスパイ活動していた組織“リゾナンター”の人間を、圭の元へと連れて行く。
まず、生きてリゾナンター達の元へと辿り着かなければならないし、
合流後は速やかにかつ追っ手を攪乱するように行動しなければならない。
麻琴は真新しい服に身を包んでこそいるが、露出した部分には幾つもの痛々しい傷が刻まれている。
緊張の糸が切れたせいか、断続的な苦痛が麻琴の体を苛んでいた。
だが、麻琴はそれを押し隠すように微笑む。
たったそれだけの時間で、組織は…かつての姿を思い起こすことすら困難な程変容してしまった。
光を掲げていたはずの組織は、ある日を境に闇に墜ちる。
麻琴は、闇に墜ちてもなお、その組織に所属することを余儀なくされた人間だった。
離脱すること叶わず、数年の月日が流れ。
このまま何も変わらぬ日常が続くと思っていた麻琴に突如訪れた、組織離脱の機会。
それは、ほぼ同時期に組織に所属した、麻琴にとっては妹のような存在である“新垣里沙”が、
数年間に渡る敵対組織へのスパイ活動を終えた次の日のことだった。
里沙が敵と心を通じ合わせたという理由の元、“処理”されるという情報をかつての同胞から得た麻琴は、
姉同然に慕う“安倍なつみ”に報告する。
なつみは、それを阻止しなければならないと…麻琴に協力を仰ぎ、封じられた己の力の解放を目論んだ。
麻琴の決死の覚悟が身を結び、なつみは封じられていた己の力を取り戻すことに成功する、が。
それを見越していたかのように、なつみにかけられた“呪い”が発動した。
発動した呪いに苦しむなつみは、里沙救出を麻琴と…里沙がスパイ活動を行っていた組織の人間に託すために、
苦痛に苛まれながらも麻琴を組織から離脱させたのであった。
なつみの願いを叶えるために、麻琴は必死に組織からの追跡を逃れ。
つい先程、託されたことを成し終えたばかりだった。
里沙がスパイ活動していた組織“リゾナンター”の人間を、圭の元へと連れて行く。
まず、生きてリゾナンター達の元へと辿り着かなければならないし、
合流後は速やかにかつ追っ手を攪乱するように行動しなければならない。
麻琴は真新しい服に身を包んでこそいるが、露出した部分には幾つもの痛々しい傷が刻まれている。
緊張の糸が切れたせいか、断続的な苦痛が麻琴の体を苛んでいた。
だが、麻琴はそれを押し隠すように微笑む。
324 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:03:37.12 0
「…そういえば。
保田さんは何で、Mを抜けたんですか?
…たった数ヶ月です、保田さんがMを抜けてから、たった数ヶ月で…Mはダークネスになりました。
もしも、保田さんの抜けるタイミングが少しでも遅かったら…今の未来はありえなかった。
―――こんな未来がくることを、保田さんは予測していたんですか?」
「…小川は、何でMが出来たか知ってる?」
質問を質問で返され、麻琴は言葉に詰まる。
部屋に広がる沈黙。
圭は微笑みの一つすら浮かべず、麻琴の目を射貫くように見つめていた。
麻琴は軽く息を吸い込んだ後、ゆっくりと口を開く。
「Mに拾われてから、Mが“ダークネス”へと転身するまでの間に、そういう話を具体的に誰かから聞くことはありませんでした。
私やガキさんが入った頃のMは、より一層飛躍するために精力的に活動していたから…常に能力者の人間は出ずっぱりで、
そういうことを聞こうにも聞けなかったんですよね…。
ガキさんからちらっと聞いたことはありますけど、あの子その話した時、すごい興奮してたからよく分かんなかったし」
麻琴の言葉に、圭はそっかと言ったきり黙り込む。
確かにその当時のMは、能力者達は戦闘や他の組織同士の揉め事を調停しにと、連日連夜出払っていた。
圭もまた、その能力を請われて数日留守にすることも多々あったし、帰還したら即研究室に閉じ籠もるような生活を送っていた。
そもそも、麻琴はある事件の被害者の子供であり、家族以外に身寄りの無かった麻琴を哀れに思ったなつみが、
周りの制止の声を振り切って組織へと連れ帰ってきたのである。
超能力の使えない麻琴は、朝から晩まで厳しい訓練に明け暮れていたと人づてに聞いていた。
保田さんは何で、Mを抜けたんですか?
…たった数ヶ月です、保田さんがMを抜けてから、たった数ヶ月で…Mはダークネスになりました。
もしも、保田さんの抜けるタイミングが少しでも遅かったら…今の未来はありえなかった。
―――こんな未来がくることを、保田さんは予測していたんですか?」
「…小川は、何でMが出来たか知ってる?」
質問を質問で返され、麻琴は言葉に詰まる。
部屋に広がる沈黙。
圭は微笑みの一つすら浮かべず、麻琴の目を射貫くように見つめていた。
麻琴は軽く息を吸い込んだ後、ゆっくりと口を開く。
「Mに拾われてから、Mが“ダークネス”へと転身するまでの間に、そういう話を具体的に誰かから聞くことはありませんでした。
私やガキさんが入った頃のMは、より一層飛躍するために精力的に活動していたから…常に能力者の人間は出ずっぱりで、
そういうことを聞こうにも聞けなかったんですよね…。
ガキさんからちらっと聞いたことはありますけど、あの子その話した時、すごい興奮してたからよく分かんなかったし」
麻琴の言葉に、圭はそっかと言ったきり黙り込む。
確かにその当時のMは、能力者達は戦闘や他の組織同士の揉め事を調停しにと、連日連夜出払っていた。
圭もまた、その能力を請われて数日留守にすることも多々あったし、帰還したら即研究室に閉じ籠もるような生活を送っていた。
そもそも、麻琴はある事件の被害者の子供であり、家族以外に身寄りの無かった麻琴を哀れに思ったなつみが、
周りの制止の声を振り切って組織へと連れ帰ってきたのである。
超能力の使えない麻琴は、朝から晩まで厳しい訓練に明け暮れていたと人づてに聞いていた。
325 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:04:41.48 0
組織の成り立ちや将来のビジョン。
短い時間でさらりと話すような内容ではない上、話す方、聞く方、互いのタイミングというものもある。
そうして、麻琴は…誰からも十分な話を聞けぬまま、運命の奔流に巻き込まれていったのだろう。
微妙な空気を打ち破るように、圭は柔らかく微笑む。
「…あんたも十分立派な関係者になったことだし。
いい機会だから、話してあげるわ。
何故、Mが生まれたのか。
何故あたしはMから離脱したのか…さっきあの子達に話した説明だけじゃ、不十分なところはあるしね」
「…お願いします、保田さん」
麻琴の目にはもう、涙はなかった。
目に浮かぶ強い光は、子供だったあの頃よりもより強く、圭の胸を撃ち抜く。
大役を任され、それを果たしたことで大きな成長を遂げたのだろう。
記憶の中よりもずっと頼もしく見える麻琴へと、圭はゆっくりと口を開く。
―――長い夜が始まった。
* * *
数十人の研究員が、しきりに手に持つノートへと何かを記入している。
圭の眼前では、潜在能力値ナンバーワンと言われている安倍なつみと、
戦闘能力ナンバーワンとも評価されている後藤真希が戦いを繰り広げていた。
短い時間でさらりと話すような内容ではない上、話す方、聞く方、互いのタイミングというものもある。
そうして、麻琴は…誰からも十分な話を聞けぬまま、運命の奔流に巻き込まれていったのだろう。
微妙な空気を打ち破るように、圭は柔らかく微笑む。
「…あんたも十分立派な関係者になったことだし。
いい機会だから、話してあげるわ。
何故、Mが生まれたのか。
何故あたしはMから離脱したのか…さっきあの子達に話した説明だけじゃ、不十分なところはあるしね」
「…お願いします、保田さん」
麻琴の目にはもう、涙はなかった。
目に浮かぶ強い光は、子供だったあの頃よりもより強く、圭の胸を撃ち抜く。
大役を任され、それを果たしたことで大きな成長を遂げたのだろう。
記憶の中よりもずっと頼もしく見える麻琴へと、圭はゆっくりと口を開く。
―――長い夜が始まった。
* * *
数十人の研究員が、しきりに手に持つノートへと何かを記入している。
圭の眼前では、潜在能力値ナンバーワンと言われている安倍なつみと、
戦闘能力ナンバーワンとも評価されている後藤真希が戦いを繰り広げていた。
326 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:05:44.71 0
身体能力と有する超能力でなつみを追い詰めていく真希。
だが、圭は周りの真希に対する驚きの声とは別のことを思っていた。
なつみは真希を相手にしても、全く己の持つ能力を行使しようとはしない。
“言霊”と呼ばれる、言ったことを本当のことにしてしまう能力の持ち主であるなつみ。
その気になれば、一瞬で止めを刺すことすら可能な力の持ち主は、真希の攻撃を軽やかに、舞うように避けていた。
なつみはよく出来た子だと、一つしか年齢の変わらぬ圭は内心で呟く。
己の持つ絶大な力を律する心。
僅か16歳にして、なつみは既に自らの能力を誰よりも理解していた。
その気になれば、腕に巻かれたデバイスを破壊し神の如く振る舞うことも可能だというのに。
日常時、戦闘時問わず、なつみは必要以上に己の持つ能力を行使することはなかった。
言霊という能力ではなく、その能力を発動する際に発生するエネルギーを上手く利用して、
なつみは真希の繰り出す攻撃を避け、時には相殺している。
真希の横顔には、僅かながらの苛立ちが浮かんでいた。
対峙している人間だからこそ、なつみが本気を出していないことが誰よりもよく分かるのだろう。
その横顔を見て、思わず圭は苦笑せざるを得ない。
真希はこの施設の中で最年少の能力者だ、まだまだなつみのような境地には達することが出来ないのも無理はなかった。
戦闘訓練ではあるが、真希にとっては真剣勝負。
それなのに、対峙するなつみはけして真っ向から真希とやり合おうとはしない。
真希は己のもつ能力“空間支配”を存分に行使しているというのに、
なつみはあくまでも、自分の持つ力を本来の形で行使しない戦い方を選択している。
それが真希には歯がゆいのだろう。
けして、なつみは手を抜いているのではなく、自らの意思でその能力を律しているだけに過ぎないのだが。
だが、圭は周りの真希に対する驚きの声とは別のことを思っていた。
なつみは真希を相手にしても、全く己の持つ能力を行使しようとはしない。
“言霊”と呼ばれる、言ったことを本当のことにしてしまう能力の持ち主であるなつみ。
その気になれば、一瞬で止めを刺すことすら可能な力の持ち主は、真希の攻撃を軽やかに、舞うように避けていた。
なつみはよく出来た子だと、一つしか年齢の変わらぬ圭は内心で呟く。
己の持つ絶大な力を律する心。
僅か16歳にして、なつみは既に自らの能力を誰よりも理解していた。
その気になれば、腕に巻かれたデバイスを破壊し神の如く振る舞うことも可能だというのに。
日常時、戦闘時問わず、なつみは必要以上に己の持つ能力を行使することはなかった。
言霊という能力ではなく、その能力を発動する際に発生するエネルギーを上手く利用して、
なつみは真希の繰り出す攻撃を避け、時には相殺している。
真希の横顔には、僅かながらの苛立ちが浮かんでいた。
対峙している人間だからこそ、なつみが本気を出していないことが誰よりもよく分かるのだろう。
その横顔を見て、思わず圭は苦笑せざるを得ない。
真希はこの施設の中で最年少の能力者だ、まだまだなつみのような境地には達することが出来ないのも無理はなかった。
戦闘訓練ではあるが、真希にとっては真剣勝負。
それなのに、対峙するなつみはけして真っ向から真希とやり合おうとはしない。
真希は己のもつ能力“空間支配”を存分に行使しているというのに、
なつみはあくまでも、自分の持つ力を本来の形で行使しない戦い方を選択している。
それが真希には歯がゆいのだろう。
けして、なつみは手を抜いているのではなく、自らの意思でその能力を律しているだけに過ぎないのだが。
327 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:06:48.96 0
真希が動く。
対峙するなつみ。
銀色の光と金色の光がぶつかり合う。
―――互いの拳がぶつかり合ったところで、研究員の制止の声が響いた。
「やー、焦った-。
なっち負けちゃうかと思ったべさ」
そう言って太陽のような眩しい笑顔を浮かべるなつみ。
対する真希は。
「…もー、なっちはいつも手ぇ抜くんだからー。
今度はちゃんと、言霊使ってよね」
なつみに文句をつけながら、部屋を後にする。
不機嫌さを隠そうともせずにスタスタと歩いて行く真希を、研究員の一人が追いかけていく。
おそらく、デバイスが破損していないかチェックするためだろう。
圭は溜息を一つつくと、真希達の後を追う。
デバイスが関わるとなると、自分も行った方がいいのだ。
例え、何かあってもなくても、あの研究員は圭を呼びに施設中を歩き回ることが予測できるのだから。
石川県北部。
交通の便がいいとは言い難い街の片隅に、圭達の住む研究所はあった。
表向きは、民間の生物研究所、だが、実際は―――クローン研究所である。
しかも、この研究所は…超能力と呼ばれる、常人には理解不能の力を持った人間を生み出すための施設であった。
対峙するなつみ。
銀色の光と金色の光がぶつかり合う。
―――互いの拳がぶつかり合ったところで、研究員の制止の声が響いた。
「やー、焦った-。
なっち負けちゃうかと思ったべさ」
そう言って太陽のような眩しい笑顔を浮かべるなつみ。
対する真希は。
「…もー、なっちはいつも手ぇ抜くんだからー。
今度はちゃんと、言霊使ってよね」
なつみに文句をつけながら、部屋を後にする。
不機嫌さを隠そうともせずにスタスタと歩いて行く真希を、研究員の一人が追いかけていく。
おそらく、デバイスが破損していないかチェックするためだろう。
圭は溜息を一つつくと、真希達の後を追う。
デバイスが関わるとなると、自分も行った方がいいのだ。
例え、何かあってもなくても、あの研究員は圭を呼びに施設中を歩き回ることが予測できるのだから。
石川県北部。
交通の便がいいとは言い難い街の片隅に、圭達の住む研究所はあった。
表向きは、民間の生物研究所、だが、実際は―――クローン研究所である。
しかも、この研究所は…超能力と呼ばれる、常人には理解不能の力を持った人間を生み出すための施設であった。
328 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:07:52.46 0
クローン技術の第一人者として知られる、寺田博士。
彼の持つ技術を存分に駆使して生み出された存在が、圭達であった。
動物に限らず、普通の人間であれば今の技術的には十分生み出すことが可能である。
だが、超能力を持った人間を生み出すことが出来るのは、世界でただ一人、寺田のみ。
寺田はクローン研究で得た莫大な資金を元に、更なる研究を推し進めるべく研究所を構えた。
その結果の完成系に最も近いのが、圭達―――強大な超能力を有するクローン。
寺田は今も尚、圭達のデータを収集、分析しながら新たな研究を進めている。
先程の訓練は、そのデータ収集を兼ねていた。
最も、圭達は自らの能力をほぼ無効化するデバイスを身につけているため、実際のデータは得られた結果の何倍、
何十倍もの数値となることだろう。
圭は真希と研究員を見つけると、間に割って入る。
研究員の殆どが、機器関係の知識は一般人よりはあるが専門家には劣るというレベルである。
この施設で一番そういった知識を持ち合わせているのは、まだ二十歳にもならない圭以外には存在しない。
圭は“創造”という、既存の物を自分の思うがままの物へと作り替える能力を有している。
その能力を駆使し、様々な物を、既存の技術では作ることの出来ない唯一無二の物へと作り替えてきた。
真希や他の仲間達、そして自分が付けている、能力封じのデバイスも圭が生み出してきたものである。
そうした物を生み出すには、膨大な知識が必要だった。
それは超能力に関する知識だけに留まらない。
あらゆる学問の専門的な知識を身につけるために、圭だけは他の仲間達とは違う生活を送っていた。
圭のためにと用意された専門書ばかり収集された書庫で、圭は1日の大半をそこで過ごしている。
圭は真希のデバイスをチェックし、異常がないことを確認する。
研究員に問題ない旨を告げ、圭はその場を後にしようとした、が。
彼の持つ技術を存分に駆使して生み出された存在が、圭達であった。
動物に限らず、普通の人間であれば今の技術的には十分生み出すことが可能である。
だが、超能力を持った人間を生み出すことが出来るのは、世界でただ一人、寺田のみ。
寺田はクローン研究で得た莫大な資金を元に、更なる研究を推し進めるべく研究所を構えた。
その結果の完成系に最も近いのが、圭達―――強大な超能力を有するクローン。
寺田は今も尚、圭達のデータを収集、分析しながら新たな研究を進めている。
先程の訓練は、そのデータ収集を兼ねていた。
最も、圭達は自らの能力をほぼ無効化するデバイスを身につけているため、実際のデータは得られた結果の何倍、
何十倍もの数値となることだろう。
圭は真希と研究員を見つけると、間に割って入る。
研究員の殆どが、機器関係の知識は一般人よりはあるが専門家には劣るというレベルである。
この施設で一番そういった知識を持ち合わせているのは、まだ二十歳にもならない圭以外には存在しない。
圭は“創造”という、既存の物を自分の思うがままの物へと作り替える能力を有している。
その能力を駆使し、様々な物を、既存の技術では作ることの出来ない唯一無二の物へと作り替えてきた。
真希や他の仲間達、そして自分が付けている、能力封じのデバイスも圭が生み出してきたものである。
そうした物を生み出すには、膨大な知識が必要だった。
それは超能力に関する知識だけに留まらない。
あらゆる学問の専門的な知識を身につけるために、圭だけは他の仲間達とは違う生活を送っていた。
圭のためにと用意された専門書ばかり収集された書庫で、圭は1日の大半をそこで過ごしている。
圭は真希のデバイスをチェックし、異常がないことを確認する。
研究員に問題ない旨を告げ、圭はその場を後にしようとした、が。
329 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:08:56.88 0
「圭ちゃーん、また勉強するのー?
たまにはごとーと遊んでよ-」
「遊ぶって、あんたの遊ぶは戦う、でしょ…。
勘弁してよ、あたしはそういうのは得意じゃないの。
あんたみたいに身体能力も超能力もずば抜けたのとやりあったら、五分も持たないわよ…」
腕に纏わり付いてくる真希を押しのけ、圭は早足でその場を去る。
幸い、真希が付いてくる気配はなかった。
圭は本日二度目の溜息を盛大につく。
真希は悪い子ではない、だが、その好戦的な性格はまだ若い圭では上手くコントロール出来ない。
しかも、真希は一切、加減という物を知らないのだ。
最近では少しはマシになったものの、以前はそう簡単には壊せないデバイスに罅を入れるほど力を放出していたため、
訓練で対峙する人間はしばしば怪我を負う羽目になった。
年齢を重ねるうちに、そうした好戦的な性格が改善されればいいのだが。
圭はそこまで考えて、三度目の溜息を付く―――どう考えても、これは自分の管轄外だ。
自室へと向かう圭の視界に飛び込んできたのは、圭達が住む居住フロアの出入り口だった。
しんと静まりかえった廊下を歩く圭。
かつては、この廊下には今では考えられない程の喧噪が溢れていた。
現在、圭を含めてこのフロアには八名しか居住していないが…数ヶ月前までは倍近いクローンがここに居たのだ。
どういった事情があるのかは分からない。
だが、彼女達は一人、また一人とこの施設を去っていった。
今頃は、自分達のことを忘れて一般社会で新たな人生を送っていることだろう。
たまにはごとーと遊んでよ-」
「遊ぶって、あんたの遊ぶは戦う、でしょ…。
勘弁してよ、あたしはそういうのは得意じゃないの。
あんたみたいに身体能力も超能力もずば抜けたのとやりあったら、五分も持たないわよ…」
腕に纏わり付いてくる真希を押しのけ、圭は早足でその場を去る。
幸い、真希が付いてくる気配はなかった。
圭は本日二度目の溜息を盛大につく。
真希は悪い子ではない、だが、その好戦的な性格はまだ若い圭では上手くコントロール出来ない。
しかも、真希は一切、加減という物を知らないのだ。
最近では少しはマシになったものの、以前はそう簡単には壊せないデバイスに罅を入れるほど力を放出していたため、
訓練で対峙する人間はしばしば怪我を負う羽目になった。
年齢を重ねるうちに、そうした好戦的な性格が改善されればいいのだが。
圭はそこまで考えて、三度目の溜息を付く―――どう考えても、これは自分の管轄外だ。
自室へと向かう圭の視界に飛び込んできたのは、圭達が住む居住フロアの出入り口だった。
しんと静まりかえった廊下を歩く圭。
かつては、この廊下には今では考えられない程の喧噪が溢れていた。
現在、圭を含めてこのフロアには八名しか居住していないが…数ヶ月前までは倍近いクローンがここに居たのだ。
どういった事情があるのかは分からない。
だが、彼女達は一人、また一人とこの施設を去っていった。
今頃は、自分達のことを忘れて一般社会で新たな人生を送っていることだろう。
330 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:10:00.10 0
部屋に戻った圭は、鍵をかけるとベッドに倒れ込む。
溜息が出そうになるのを堪えて、圭は天井を見上げる。
沁み一つ無い、真っ白な天井を見上げるその目は、どことなく虚ろだった。
いつかは。
ここを出ていった彼女達のように、自分も新たな人生を選ぶ日が来るのだろう。
だが、圭はその選択肢を積極的に、自らの意思で選びたいとは到底思えなかった。
無条件でここを去れるのならば、今頃こんな殺風景な部屋で寝転んでなどいない。
この施設を出る条件は二つあった。
一つ、己の持つ超能力の完全封印。
一つ、ここで過ごした一切の記憶の消去、及び記憶の改竄。
自分の持つ能力が使えなくなる事への未練はない、が。
圭にとってのネックは、記憶に関することだった。
今まで培った知識は多分、消去や改竄の対象にはならないだろう。
だが、今までここで生きてきた17年間の記憶。
それは一切なかったことになり、全く別物の記憶を与えられる、そのことが圭には耐え難い苦痛だった。
生まれた時から、ずっと皆と一緒に生きてきたのだ。
同じ血を分けた姉妹ではないが、家族と言ってもいい仲間達。
共に笑い、泣き、怒り…色んな思いを分け合って生きてきたかけがえのない時間。
彼女達と過ごした記憶を消され、全く別人としての人生を歩むことなど考えられなかった。
しかし、いつまでこの生活が続くのかとうんざりすることもある。
毎日のように訓練、学習に明け暮れ…この施設から一歩も外に出ることを許されない自分達。
一体、自分達は何のために存在するのだろう。
鳥かごの中で飼われる鳥の如く、このまま死ぬまでここで生きていくしかないのか。
溜息が出そうになるのを堪えて、圭は天井を見上げる。
沁み一つ無い、真っ白な天井を見上げるその目は、どことなく虚ろだった。
いつかは。
ここを出ていった彼女達のように、自分も新たな人生を選ぶ日が来るのだろう。
だが、圭はその選択肢を積極的に、自らの意思で選びたいとは到底思えなかった。
無条件でここを去れるのならば、今頃こんな殺風景な部屋で寝転んでなどいない。
この施設を出る条件は二つあった。
一つ、己の持つ超能力の完全封印。
一つ、ここで過ごした一切の記憶の消去、及び記憶の改竄。
自分の持つ能力が使えなくなる事への未練はない、が。
圭にとってのネックは、記憶に関することだった。
今まで培った知識は多分、消去や改竄の対象にはならないだろう。
だが、今までここで生きてきた17年間の記憶。
それは一切なかったことになり、全く別物の記憶を与えられる、そのことが圭には耐え難い苦痛だった。
生まれた時から、ずっと皆と一緒に生きてきたのだ。
同じ血を分けた姉妹ではないが、家族と言ってもいい仲間達。
共に笑い、泣き、怒り…色んな思いを分け合って生きてきたかけがえのない時間。
彼女達と過ごした記憶を消され、全く別人としての人生を歩むことなど考えられなかった。
しかし、いつまでこの生活が続くのかとうんざりすることもある。
毎日のように訓練、学習に明け暮れ…この施設から一歩も外に出ることを許されない自分達。
一体、自分達は何のために存在するのだろう。
鳥かごの中で飼われる鳥の如く、このまま死ぬまでここで生きていくしかないのか。
331 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:11:02.37 0
白い天井がやけに眩しく感じて、圭は目を伏せる。
他の仲間達も、おそらくは自分と同じ気持ちを抱いているはずだ。
己の存在理由に悩み、繰り返される同じ日常を憂い。
この苦しみに耐えきれなくなる時こそ、ここを出ていく時。
―――その日は刻一刻と、確実に圭にも、仲間達にも近づいている。
転機が訪れたのは、圭が18の誕生日を迎える直前のことだった。
それぞれ、訓練に学習にと励んでいた八人の仲間達は、突然、所長室に呼び出された。
圭は隣にいたなつみと顔を見合わせて、首をかしげる。
寺田からの呼び出しはそう珍しいものでもない。だが、それはあくまでも個別で呼び出されるという形に限る。
クローン達を一同に集めて何か話したことなど、今までになかったことだった。
仲間達の最年長“中澤裕子”を筆頭に、八人は所長室へと向かう。
一体何だろうかと圭のように訝る者もいれば、真希のように何も考えずに会話に興じる者もいた。
所長室には、寺田以外にもスーツを着た人間が数人。
外部の人間、しかも相当な権力を持った人間だろうと察したのか、それまで無邪気に会話を楽しんでいた真希ですら黙り込んだ。
訪れた静寂。
八人の顔を見渡した後、寺田はこう言った―――お前達の力を世界の為に役立ててみないか、と。
突然言われたことに何も言えずにいた八人に、寺田は畳みかけるように話を続ける。
他の仲間達も、おそらくは自分と同じ気持ちを抱いているはずだ。
己の存在理由に悩み、繰り返される同じ日常を憂い。
この苦しみに耐えきれなくなる時こそ、ここを出ていく時。
―――その日は刻一刻と、確実に圭にも、仲間達にも近づいている。
転機が訪れたのは、圭が18の誕生日を迎える直前のことだった。
それぞれ、訓練に学習にと励んでいた八人の仲間達は、突然、所長室に呼び出された。
圭は隣にいたなつみと顔を見合わせて、首をかしげる。
寺田からの呼び出しはそう珍しいものでもない。だが、それはあくまでも個別で呼び出されるという形に限る。
クローン達を一同に集めて何か話したことなど、今までになかったことだった。
仲間達の最年長“中澤裕子”を筆頭に、八人は所長室へと向かう。
一体何だろうかと圭のように訝る者もいれば、真希のように何も考えずに会話に興じる者もいた。
所長室には、寺田以外にもスーツを着た人間が数人。
外部の人間、しかも相当な権力を持った人間だろうと察したのか、それまで無邪気に会話を楽しんでいた真希ですら黙り込んだ。
訪れた静寂。
八人の顔を見渡した後、寺田はこう言った―――お前達の力を世界の為に役立ててみないか、と。
突然言われたことに何も言えずにいた八人に、寺田は畳みかけるように話を続ける。
332 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:12:04.84 0
>>321-331
まずはここまで
まずはここまで
333 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:22:14.75 0
続き楽しみ・・・
334 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:44:34.08 0
Mの創設について語った作品って殆ど無かったから興味深いことではあります
335 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 21:56:52.40 O
気になるところでやっぱ切りますな~
続きがワクテカ過ぎるぜお
続きがワクテカ過ぎるぜお
336 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 22:53:54.73 0
後半まであと少し
337 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:00:01.66 0
世界には自分達のような超能力者が少数ながらも存在するということ。
中には悪人と手を組み、私利私欲のままに罪のない人々を苦しめたりする輩が少なからずいるということ。
そういった者を更正…あるいは排除するために、圭達のように優れた力を持つ人間の力が必要であること。
突如与えられた存在理由に、仲間達は一様に喜んでいた。
中には、争い事を好まないが故に難色を示す者もいたが…寺田や訪れていた政府関係者の熱い言葉に心を動かされたのか、
最終的には他の仲間達同様に寺田達の提案に良い返事を返したのだった。
―――かくして、超能力組織Mとして八人の新たな日々が始まったのであった。
* * *
「そうやってMは出来たんですねぇ…」
「そ。最初の頃は本当、大変だったのよ。
あたし達は確かに普通の能力者とは違って、生まれた時から色んな教育を受けてきたけど…組織の運営方法なんて誰も知らないし。
裕ちゃんはいつも胃が痛そうだったっけ…あの人、最年長だっていう理由で所長からリーダーに任命されちゃったのよね。
でも、いざリーダーとして振る舞おうにも、皆家族同然で育ってきた仲だから…上手く歯車が噛み合わないことも結構あったし」
そう言って目を細める圭に、麻琴もつられるように微笑みを浮かべる。
だが、麻琴は気付いてしまった。
微笑む圭の瞳の奥に、深い悲しみの光が浮かぶことに。
圭が組織を去るまでの二十数年。
それだけの長い年月を家族同然に過ごしてきた仲間達。
彼女達はなつみと圭を除いて、全員が…悪の組織ダークネスの人間になったのだ。
中には悪人と手を組み、私利私欲のままに罪のない人々を苦しめたりする輩が少なからずいるということ。
そういった者を更正…あるいは排除するために、圭達のように優れた力を持つ人間の力が必要であること。
突如与えられた存在理由に、仲間達は一様に喜んでいた。
中には、争い事を好まないが故に難色を示す者もいたが…寺田や訪れていた政府関係者の熱い言葉に心を動かされたのか、
最終的には他の仲間達同様に寺田達の提案に良い返事を返したのだった。
―――かくして、超能力組織Mとして八人の新たな日々が始まったのであった。
* * *
「そうやってMは出来たんですねぇ…」
「そ。最初の頃は本当、大変だったのよ。
あたし達は確かに普通の能力者とは違って、生まれた時から色んな教育を受けてきたけど…組織の運営方法なんて誰も知らないし。
裕ちゃんはいつも胃が痛そうだったっけ…あの人、最年長だっていう理由で所長からリーダーに任命されちゃったのよね。
でも、いざリーダーとして振る舞おうにも、皆家族同然で育ってきた仲だから…上手く歯車が噛み合わないことも結構あったし」
そう言って目を細める圭に、麻琴もつられるように微笑みを浮かべる。
だが、麻琴は気付いてしまった。
微笑む圭の瞳の奥に、深い悲しみの光が浮かぶことに。
圭が組織を去るまでの二十数年。
それだけの長い年月を家族同然に過ごしてきた仲間達。
彼女達はなつみと圭を除いて、全員が…悪の組織ダークネスの人間になったのだ。
338 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:01:11.49 0
圭の心が痛まないはずがない。
かつては、同じ志を持ち、描いた青写真を現実にするために戦ってきたのだから。
麻琴の物言いたげな視線に気付いたのだろう。
圭はふっと、息を吐く。
「あー、結構話したから喉渇いちゃったわ…続きは休憩してからね。
…何か飲み物作ってくるけど、小川は何がいい?」
そう言って立ち上がって歩き出す圭の後を追うように、麻琴も立ち上がる。
「私も行きます。
…今日からここが、私にとっての第三の住処になるんですから」
思いがけない麻琴の言葉に、圭は一瞬呆気に取られた後…付いてきなさいとだけ口にする。
第三の住処、言い得て妙だった。
麻琴にとっての第一の住処は生家、第二の住処がMの拠点であったあの研究所だというのなら、
確かにここは麻琴にとって第三の住処となるのだろう。
組織を脱走した麻琴が安全に暮らせるのは、最早ここくらいしかない。
リゾナンター達の住む街はダークネスの目が常に光っているであろうことを考えれば、なおさらのことだった。
重くなる空気を打ち破るように、圭は努めて明るい声を上げる。
かつては、同じ志を持ち、描いた青写真を現実にするために戦ってきたのだから。
麻琴の物言いたげな視線に気付いたのだろう。
圭はふっと、息を吐く。
「あー、結構話したから喉渇いちゃったわ…続きは休憩してからね。
…何か飲み物作ってくるけど、小川は何がいい?」
そう言って立ち上がって歩き出す圭の後を追うように、麻琴も立ち上がる。
「私も行きます。
…今日からここが、私にとっての第三の住処になるんですから」
思いがけない麻琴の言葉に、圭は一瞬呆気に取られた後…付いてきなさいとだけ口にする。
第三の住処、言い得て妙だった。
麻琴にとっての第一の住処は生家、第二の住処がMの拠点であったあの研究所だというのなら、
確かにここは麻琴にとって第三の住処となるのだろう。
組織を脱走した麻琴が安全に暮らせるのは、最早ここくらいしかない。
リゾナンター達の住む街はダークネスの目が常に光っているであろうことを考えれば、なおさらのことだった。
重くなる空気を打ち破るように、圭は努めて明るい声を上げる。
339 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:02:14.92 0
「いい話し相手が出来て嬉しいわ。
もっとも…これからは、あんたをあたしの助手として育てるつもりだから、覚悟するようにね」
「え、一体何をやらせるつもりですか?
言っておきますけど、私物覚えかなり悪いですよ」
「そこ、自慢げに言うところじゃないわよ…」
灰色の廊下に響く、二つの声。
―――その声に宿るのは、互いを気遣う優しさだった。
* * *
パタンと携帯電話を閉じる音がやけに大きく聞こえる、夜更け。
飯田圭織は軽く息を吐くと、窓の外に広がる夜空を見上げた。
その横顔は能面のように、一切の感情が浮かんでいない。
「ついに、か…」
掠れるように紡がれた言葉が虚空へと消える。
漆黒の瞳に浮かぶのは、夜空で瞬く星の光。
白い腕を窓へと伸ばした圭織は、そのまま手に力をこめる。
もっとも…これからは、あんたをあたしの助手として育てるつもりだから、覚悟するようにね」
「え、一体何をやらせるつもりですか?
言っておきますけど、私物覚えかなり悪いですよ」
「そこ、自慢げに言うところじゃないわよ…」
灰色の廊下に響く、二つの声。
―――その声に宿るのは、互いを気遣う優しさだった。
* * *
パタンと携帯電話を閉じる音がやけに大きく聞こえる、夜更け。
飯田圭織は軽く息を吐くと、窓の外に広がる夜空を見上げた。
その横顔は能面のように、一切の感情が浮かんでいない。
「ついに、か…」
掠れるように紡がれた言葉が虚空へと消える。
漆黒の瞳に浮かぶのは、夜空で瞬く星の光。
白い腕を窓へと伸ばした圭織は、そのまま手に力をこめる。
340 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:03:18.50 0
音もなく開いた窓から吹き込む、湿気を含んだ温い風。
圭織はそのまま、その場に静止する。
圭織の思考を占めるのは、先刻の会話。
電話越しにでもよく分かる、静かに燃える感情の炎。
今頃、彼女は何をしているだろうかと思いながら、圭織の思考は体を薙いでいく柔らかい風の如く、過去へと遡っていく。
かつて、圭織はMの一員であった。
予知能力を行使し、仲間達を戦わずして守る不戦の守護者として、日々その力を仲間、そして…世界のために役立てていたのだ。
生きている限り、この力を自分達の想い描く未来のために使い続ける。
その誓いは、ダークネスの一員となった今でも変わらない、ただ―――想い描く未来が真逆になっただけだ。
Mの活動は順調そのものだった。
強大な力を持ち、圧倒的なカリスマ性を持った八人のMは徐々に人員が増え、活動範囲も大幅に広がる。
途中、圭がより専門的な知識を取得し一般世界で技術者として生きていきたいと離脱したが。
圭が集めた専門家へとその知識は引き継がれ、Mの足取りが鈍ることはなかった。
このまま、Mの未来は変わらないはずだった。
想い描く理想の未来を実現するために戦い続ける、そのはずだった。
圭織は、皆は、その未来を疑ったことすらない。
だが―――未来はいとも簡単に変えられる。
圭織がそれを思い知らされたのは、もう、10年近く昔のことになる。
隣国にある中規模の超能力者組織との会談を終え、圭織はリーダーの中澤裕子と共に施設へと帰還した。
組織との会談が上手く成立したおかげで上機嫌の裕子に付き合い、
大して飲めもしない酒を飲んだ圭織が自室のベッドに倒れ込んだのは、午前2時を回っていた。
圭織はそのまま、その場に静止する。
圭織の思考を占めるのは、先刻の会話。
電話越しにでもよく分かる、静かに燃える感情の炎。
今頃、彼女は何をしているだろうかと思いながら、圭織の思考は体を薙いでいく柔らかい風の如く、過去へと遡っていく。
かつて、圭織はMの一員であった。
予知能力を行使し、仲間達を戦わずして守る不戦の守護者として、日々その力を仲間、そして…世界のために役立てていたのだ。
生きている限り、この力を自分達の想い描く未来のために使い続ける。
その誓いは、ダークネスの一員となった今でも変わらない、ただ―――想い描く未来が真逆になっただけだ。
Mの活動は順調そのものだった。
強大な力を持ち、圧倒的なカリスマ性を持った八人のMは徐々に人員が増え、活動範囲も大幅に広がる。
途中、圭がより専門的な知識を取得し一般世界で技術者として生きていきたいと離脱したが。
圭が集めた専門家へとその知識は引き継がれ、Mの足取りが鈍ることはなかった。
このまま、Mの未来は変わらないはずだった。
想い描く理想の未来を実現するために戦い続ける、そのはずだった。
圭織は、皆は、その未来を疑ったことすらない。
だが―――未来はいとも簡単に変えられる。
圭織がそれを思い知らされたのは、もう、10年近く昔のことになる。
隣国にある中規模の超能力者組織との会談を終え、圭織はリーダーの中澤裕子と共に施設へと帰還した。
組織との会談が上手く成立したおかげで上機嫌の裕子に付き合い、
大して飲めもしない酒を飲んだ圭織が自室のベッドに倒れ込んだのは、午前2時を回っていた。
341 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:04:22.94 0
圭織は夢を見た。
―――それは余りにも血生臭く、深い悲しみと怒りに彩られた夢。
施設へと帰還したMのメンバーが見たものは、辺り一面に広がる血の海。
噎せ返るような血と硝煙の臭いが鼻孔に届いた。
そこに転がるのは、Mのメンバーを支えてきた研究員達と、
想い描く理想の世界を築き上げるという目的に共感し集った、超能力者達。
凍り付く空気。
生きている者の気配は感じられない。
皆、死んでいた。
抵抗した様子は一切なく、まさに一瞬と呼べる時間で殺されたのだろう。
すぐ近くに横たわっていたのは、先日加入したばかりの幼い超能力者。
―――その腕には、圭織達同様能力をほぼ無効化するデバイスが取り付けられていた。
それはMの理想、目的に共感した証。
戦闘時以外は自らの能力を封じ普通の人間として振る舞うこと、それは圭織達も例外ではない。
デバイスさえすぐに取り外せれば、ここまでの被害にはならなかっただろう。
その間すら与えない程一瞬のうちに、数多の命は消えていったのだ。
血の海の中心に佇むのは、一人の少女。
彼女のことはは施設の中で何度か姿を見かけたことがある。
圭や寺田と話し込む姿に、あの若さで研究員なのかと驚いた記憶があった。
少女がゆっくりとこちらを振り向く。
能面のように感情のない顔で、少女は起きたことを皆に告げる。
―――政府の人間達が突如現れ、皆を殺した、と。
―――それは余りにも血生臭く、深い悲しみと怒りに彩られた夢。
施設へと帰還したMのメンバーが見たものは、辺り一面に広がる血の海。
噎せ返るような血と硝煙の臭いが鼻孔に届いた。
そこに転がるのは、Mのメンバーを支えてきた研究員達と、
想い描く理想の世界を築き上げるという目的に共感し集った、超能力者達。
凍り付く空気。
生きている者の気配は感じられない。
皆、死んでいた。
抵抗した様子は一切なく、まさに一瞬と呼べる時間で殺されたのだろう。
すぐ近くに横たわっていたのは、先日加入したばかりの幼い超能力者。
―――その腕には、圭織達同様能力をほぼ無効化するデバイスが取り付けられていた。
それはMの理想、目的に共感した証。
戦闘時以外は自らの能力を封じ普通の人間として振る舞うこと、それは圭織達も例外ではない。
デバイスさえすぐに取り外せれば、ここまでの被害にはならなかっただろう。
その間すら与えない程一瞬のうちに、数多の命は消えていったのだ。
血の海の中心に佇むのは、一人の少女。
彼女のことはは施設の中で何度か姿を見かけたことがある。
圭や寺田と話し込む姿に、あの若さで研究員なのかと驚いた記憶があった。
少女がゆっくりとこちらを振り向く。
能面のように感情のない顔で、少女は起きたことを皆に告げる。
―――政府の人間達が突如現れ、皆を殺した、と。
342 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:05:27.22 0
辺りに木霊する悲しみと怒りが入り交じった複数の叫び声。
夢はそこで途切れ、圭織の意識は現実の世界へと急速に引き戻される。
雨にでも打たれたかのように、全身から流れ落ちる冷えた汗。
カチカチと鳴る歯の音を耳障りだと思う余裕すらなく、圭織は己の体を抱き締める。
夢から醒めてもなお、鮮明すぎるほど鮮明に思い出せる夢の内容。
圭織は震えながら涙を零す―――これはただの悪夢ではなく、予知夢だと。
予知夢。
睡眠中に無意識のうちに予知能力が発動し、夢という形で起こりうる未来を視る。
まだ震えの止まらぬ体で、圭織はベッドから転げ落ちるように床に立った。
両肢に力を籠め、奥歯を食いしばる。
まだだ、まだ、未来は変えられるはずだ。
予知能力を使い、あの未来を回避する為のヒントを得なければ。
圭織の全身から立ち上る淡い黄色の光。
光は徐々にその輝きを増していく。
―――次の瞬間、圭織はその場に膝を付いた。
全身を襲う凄まじい虚脱感。
自身に何が起こったのか認識しようとする圭織の耳に届いたのは、微かな足音。
視線を上げた圭織の目に映るのは、夢の中に出てきた少女だった。
鍵はかかっていたはずだ。
万が一を考慮して、マスターキーも存在するが…それは厳重に管理されており、
一般研究員程度ではまず貸し出されることはない。
夢はそこで途切れ、圭織の意識は現実の世界へと急速に引き戻される。
雨にでも打たれたかのように、全身から流れ落ちる冷えた汗。
カチカチと鳴る歯の音を耳障りだと思う余裕すらなく、圭織は己の体を抱き締める。
夢から醒めてもなお、鮮明すぎるほど鮮明に思い出せる夢の内容。
圭織は震えながら涙を零す―――これはただの悪夢ではなく、予知夢だと。
予知夢。
睡眠中に無意識のうちに予知能力が発動し、夢という形で起こりうる未来を視る。
まだ震えの止まらぬ体で、圭織はベッドから転げ落ちるように床に立った。
両肢に力を籠め、奥歯を食いしばる。
まだだ、まだ、未来は変えられるはずだ。
予知能力を使い、あの未来を回避する為のヒントを得なければ。
圭織の全身から立ち上る淡い黄色の光。
光は徐々にその輝きを増していく。
―――次の瞬間、圭織はその場に膝を付いた。
全身を襲う凄まじい虚脱感。
自身に何が起こったのか認識しようとする圭織の耳に届いたのは、微かな足音。
視線を上げた圭織の目に映るのは、夢の中に出てきた少女だった。
鍵はかかっていたはずだ。
万が一を考慮して、マスターキーも存在するが…それは厳重に管理されており、
一般研究員程度ではまず貸し出されることはない。
343 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:06:32.31 0
一体、この少女は何者だ?
どうして、この部屋に入ることが出来たのだ?
混乱する圭織に湧き上がる疑問。
―――そもそも、何故、少女だけが無事に生き残っていたのだろうか。
予知夢では外に出ていた人間以外の全てが、無残にも殺されていたというのに。
しかも、皆、抵抗する間すら与えられぬ程一瞬で―――瞬間、圭織の思考を掠める、もう一つの可能性。
研究者達も能力者達も、抵抗する間を与えられなかったのではないか。
凶行に及んだのが“内部犯”であれば、抵抗した様子がないのも頷ける。
―――それが、所長からも信頼を寄せられる程の研究者であれば。
その衝撃の大きさに動きが止まる、その一瞬で。
機関銃でも使えば、数秒のうちに何人もの屍が築き上げられるだろう。
背筋を伝う汗。
再び震え出す体に力を籠めようとする圭織を見て、少女は微笑んだ。
『もう、あなたが視た未来は変えられませんよ』
『…そんなわけ!』
圭織は必死に四肢に力を籠め、立ち上がる。
再び予知能力を行使するべく集中を開始しようとした圭織は―――膝から崩れ落ちた。
膝を付く圭織の側へと、少女は歩み寄る。
その細い肩に手を置いた少女の瞳は、圭織を嘲笑うかのような光を浮かべていた。
どうして、この部屋に入ることが出来たのだ?
混乱する圭織に湧き上がる疑問。
―――そもそも、何故、少女だけが無事に生き残っていたのだろうか。
予知夢では外に出ていた人間以外の全てが、無残にも殺されていたというのに。
しかも、皆、抵抗する間すら与えられぬ程一瞬で―――瞬間、圭織の思考を掠める、もう一つの可能性。
研究者達も能力者達も、抵抗する間を与えられなかったのではないか。
凶行に及んだのが“内部犯”であれば、抵抗した様子がないのも頷ける。
―――それが、所長からも信頼を寄せられる程の研究者であれば。
その衝撃の大きさに動きが止まる、その一瞬で。
機関銃でも使えば、数秒のうちに何人もの屍が築き上げられるだろう。
背筋を伝う汗。
再び震え出す体に力を籠めようとする圭織を見て、少女は微笑んだ。
『もう、あなたが視た未来は変えられませんよ』
『…そんなわけ!』
圭織は必死に四肢に力を籠め、立ち上がる。
再び予知能力を行使するべく集中を開始しようとした圭織は―――膝から崩れ落ちた。
膝を付く圭織の側へと、少女は歩み寄る。
その細い肩に手を置いた少女の瞳は、圭織を嘲笑うかのような光を浮かべていた。
344 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:07:36.51 0
『飯田さん、あなたが有する予知能力…未来を予知するその力は、確率を視則する能力、とも言えます。
まぁ、簡単に言ってしまえば、予知する対象に起こるであろう未来を確率として読み取るということです。
無論、遠い未来ともなればその精度は落ちますが…』
『何が言いたいの…それと、未来が変えられないことと何の関係があるの?
日々…この一瞬も未来は変化するもの、変えられない未来なんてありえないわ』
圭織の言葉に、少女の口角が釣り上がる。
人を小馬鹿にしたような微笑みに、圭織の体に湧き上がる強い怒り。
鋭い視線を向けてくる圭織に、少女は一つ息を吐いた後、蕩々と語り出す。
『…どうやら、あなたは未来を確率として読み取れるということの意味がお分かりにならないようですね。
確率として読み取ることが出来るということは、すなわち…その確率を変動させたり、
変動させた確率を確定させることも可能であるということです。
―――あなた程の力があれば』
少女の言葉の意味を理解すると共に、それと自分の体に押し寄せる凄まじい虚脱感が一つに繋がる。
どのような方法を用いたのかは分からないが、少女は眠る飯田の意識へと潜り込み、
自分の描いたシナリオを“確定”させたのだろう。
未来を変えた上に、そうなるように“確定”させたということであればこの虚脱感も当たり前だ。
普通の能力者からは想像不可能な程の力を持つMのクローンであっても、
“神の所業”とも言えるようなことをしてしまえば、能力を使い果たし疲弊しきっても何もおかしくはない。
顔を上げた圭織と少女の視線が絡み合う。
その瞳には先程まで浮かんでいた光は消え、黒く昏い闇が広がっていた。
まぁ、簡単に言ってしまえば、予知する対象に起こるであろう未来を確率として読み取るということです。
無論、遠い未来ともなればその精度は落ちますが…』
『何が言いたいの…それと、未来が変えられないことと何の関係があるの?
日々…この一瞬も未来は変化するもの、変えられない未来なんてありえないわ』
圭織の言葉に、少女の口角が釣り上がる。
人を小馬鹿にしたような微笑みに、圭織の体に湧き上がる強い怒り。
鋭い視線を向けてくる圭織に、少女は一つ息を吐いた後、蕩々と語り出す。
『…どうやら、あなたは未来を確率として読み取れるということの意味がお分かりにならないようですね。
確率として読み取ることが出来るということは、すなわち…その確率を変動させたり、
変動させた確率を確定させることも可能であるということです。
―――あなた程の力があれば』
少女の言葉の意味を理解すると共に、それと自分の体に押し寄せる凄まじい虚脱感が一つに繋がる。
どのような方法を用いたのかは分からないが、少女は眠る飯田の意識へと潜り込み、
自分の描いたシナリオを“確定”させたのだろう。
未来を変えた上に、そうなるように“確定”させたということであればこの虚脱感も当たり前だ。
普通の能力者からは想像不可能な程の力を持つMのクローンであっても、
“神の所業”とも言えるようなことをしてしまえば、能力を使い果たし疲弊しきっても何もおかしくはない。
顔を上げた圭織と少女の視線が絡み合う。
その瞳には先程まで浮かんでいた光は消え、黒く昏い闇が広がっていた。
345 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:08:42.30 0
地面が消えてなくなったかのように、圭織の意識は急速に“失墜”していく。
どこまでも、どこまでも、深く。
自身の体が闇と同化するかのように、溶けていくような感覚。
―――何故だろう、不思議と、怖くはなかった。
* * *
傾いた月の角度で圭織は時の経過を知る。
随分と長い時間、物思いに耽っていたようだ。
窓を閉めた圭織は、そのままベッドの縁へと腰掛ける。
側に備え付けられた小さなテーブルにはアンティークと思われる繊細な細工が施された水差しと、
切り子細工のコップ、そして透明なピルケースが置かれていた。
水差しを傾け中身をを注ぎ、圭織はピルケースへと手を伸ばす。
中には毒々しい色をしたカプセルや錠剤が何種類も詰められていた。
細長い指で、圭織は一つ一つを取り出し…口に含むと同時にコップに口を付けてそれらを嚥下する。
未来を変え、確定させた代償。
圭織の体は全盛状態の力を維持するために、毎日“薬”を飲み続けなければならなかった。
無論、副作用はある。
今はまだ日常生活を送り、一日一回の予知をすることは可能だが…それも、後数年。
二十代の圭織の心肺機能は、薬の副作用で五十代半ばくらいのものとなっている。
見た目や体力こそ未だ妙齢の女性を保てているが、それもいずれは年齢にそぐわない老いに支配されるだろう。
どこまでも、どこまでも、深く。
自身の体が闇と同化するかのように、溶けていくような感覚。
―――何故だろう、不思議と、怖くはなかった。
* * *
傾いた月の角度で圭織は時の経過を知る。
随分と長い時間、物思いに耽っていたようだ。
窓を閉めた圭織は、そのままベッドの縁へと腰掛ける。
側に備え付けられた小さなテーブルにはアンティークと思われる繊細な細工が施された水差しと、
切り子細工のコップ、そして透明なピルケースが置かれていた。
水差しを傾け中身をを注ぎ、圭織はピルケースへと手を伸ばす。
中には毒々しい色をしたカプセルや錠剤が何種類も詰められていた。
細長い指で、圭織は一つ一つを取り出し…口に含むと同時にコップに口を付けてそれらを嚥下する。
未来を変え、確定させた代償。
圭織の体は全盛状態の力を維持するために、毎日“薬”を飲み続けなければならなかった。
無論、副作用はある。
今はまだ日常生活を送り、一日一回の予知をすることは可能だが…それも、後数年。
二十代の圭織の心肺機能は、薬の副作用で五十代半ばくらいのものとなっている。
見た目や体力こそ未だ妙齢の女性を保てているが、それもいずれは年齢にそぐわない老いに支配されるだろう。
346 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:09:47.20 0
薬を飲むことを今すぐにでも止めれば普通の人間よりは短いが、後三十年は生きられる。
そう言いながら、“彼女”は圭織がそうしないことを知っているかのように淡く微笑んでいたことを、ふと思い出した。
何年前のことなのか、最早思い出せないほど遠い昔の気もすれば、ごく最近聞かされたようなことでもある。
もっとも、圭織にとっては余りにも些細過ぎることで、どうでもいいと言えばどうでもいい記憶に過ぎないが。
あの凄惨な光景が現実のものとなってから数日で、Mはダークネスへと転身した。
あれは能力者やそれらを生み出す寺田を恐れた政府の人間の凶行である、と、
そう信じ切ったMのメンバー達は、普通の人間との共存という理想を捨て、彼らを支配するために急速に勢力を拡大していったのだ。
ベッドに横たわり、圭織は目を伏せる。
目を閉じてもありありと思い描ける、その姿。
Mをダークネスへと変質させ、今も尚ダークネスのためにと研究に邁進する彼女は。
圭織の内耳に木霊する声。
『明日が楽しみですね…ようやく、必要なデータの全てが揃う日が来ました』
闇を名乗る組織において、唯一、白を纏うことを許された“素晴らしき神”。
彼女が何を思ってあの凶行におよび、そして、Mをダークネスに変えたのかは未だに分からない。
表向きは総統である裕子に付き従う研究者を“装う”彼女の真意は、いつ知ることが出来るのだろうか。
そう言いながら、“彼女”は圭織がそうしないことを知っているかのように淡く微笑んでいたことを、ふと思い出した。
何年前のことなのか、最早思い出せないほど遠い昔の気もすれば、ごく最近聞かされたようなことでもある。
もっとも、圭織にとっては余りにも些細過ぎることで、どうでもいいと言えばどうでもいい記憶に過ぎないが。
あの凄惨な光景が現実のものとなってから数日で、Mはダークネスへと転身した。
あれは能力者やそれらを生み出す寺田を恐れた政府の人間の凶行である、と、
そう信じ切ったMのメンバー達は、普通の人間との共存という理想を捨て、彼らを支配するために急速に勢力を拡大していったのだ。
ベッドに横たわり、圭織は目を伏せる。
目を閉じてもありありと思い描ける、その姿。
Mをダークネスへと変質させ、今も尚ダークネスのためにと研究に邁進する彼女は。
圭織の内耳に木霊する声。
『明日が楽しみですね…ようやく、必要なデータの全てが揃う日が来ました』
闇を名乗る組織において、唯一、白を纏うことを許された“素晴らしき神”。
彼女が何を思ってあの凶行におよび、そして、Mをダークネスに変えたのかは未だに分からない。
表向きは総統である裕子に付き従う研究者を“装う”彼女の真意は、いつ知ることが出来るのだろうか。
347 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:10:50.18 0
分かっていることはたった一つだった。
彼女の想い描く未来は、自分も望み想い描く未来。
それはあの日、彼女の瞳に囚われ、闇へと堕ちたその日から全く変わらない。
不戦の守護者の誓い。
それは、主と崇める“素晴らしき神”のために、この力も命も捧げることだった。
夜が明けていく。
漆黒の空が、徐々に色を変えていく。
日が昇り、深い闇夜は澄み切った蒼へと。
―――これから十数時間後、光と闇の最初の“決戦”が始まる。
彼女の想い描く未来は、自分も望み想い描く未来。
それはあの日、彼女の瞳に囚われ、闇へと堕ちたその日から全く変わらない。
不戦の守護者の誓い。
それは、主と崇める“素晴らしき神”のために、この力も命も捧げることだった。
夜が明けていく。
漆黒の空が、徐々に色を変えていく。
日が昇り、深い闇夜は澄み切った蒼へと。
―――これから十数時間後、光と闇の最初の“決戦”が始まる。
348 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/16(木) 23:13:34.15 0
349 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 00:01:58.03 O
>>348
大作乙です!
大作乙です!
350 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 00:33:20.71 O
351 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 00:34:46.46 O
ノリo´ゥ`リ
352 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 01:48:30.56 0
確かに色々もやっとするけど期待も膨らんだ
353 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 04:30:48.27 0
ノリo´ゥ`リ<コハー
354 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 05:33:29.95 0
おっはよん
355 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 06:03:43.64 O
そろそろ続きが読みたい話いくつかあるなー
356 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 07:17:29.71 0
>>348
大作乙! ・・・と思ったら ま、『幕間』・・・ だと・・・?
第二部はドンだけなことになるんだ?w 大作映画の豪華版の『予告編』って感じですね。
個人的にはメンバーの『配役』が意外・新鮮な感じです。
大作乙! ・・・と思ったら ま、『幕間』・・・ だと・・・?
第二部はドンだけなことになるんだ?w 大作映画の豪華版の『予告編』って感じですね。
個人的にはメンバーの『配役』が意外・新鮮な感じです。
357 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 09:06:12.87 0
残すところ3分の2だね今スレも
358 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 11:16:45.25 0
念写しますね今からスレの未来を
だーーーーーっ!
よい感じです
さらなる良作が来ますね
ゆめゆめ落とすことのないようにお願いします
だーーーーーっ!
よい感じです
さらなる良作が来ますね
ゆめゆめ落とすことのないようにお願いします
359 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 13:08:57.16 0
川*’∀’)<リーゾーナーンー波ーーーーーーーー!!!!!
360 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 13:11:13.32 O
シルバーや!! うわさのシルバーさんや!!
361 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 15:05:52.42 O
シルバー…老人?
362 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 15:09:51.56 O
363 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:43:11.96 0
―――道重さゆみは、悩んでいた。
主に自分に関することだが、解消するどころか思い溜息ばかりが吐き出される。
何かと想像をするのがさゆみの息抜きの一つなのだが、それすらも
出来ない状態に苛立ちだけが募っていく。
正直な話、さゆみは今後喫茶「リゾナント」に行くのを辞めようかと思っていたのだ。
喫茶店の常連客との会話は楽しいし、何よりも9人で集まった時は至福を感じている。
16歳の子から23歳までという年の離れた9人で結成された超能力者組織「リゾナンター」
としての自分も誇らしく思っていた。
全員が女の子という事もあり、何度も衝突したり、喧嘩をしたりもしたが
それさえも自身に対する成長として受け止めていた。
それが今現在、さゆみに与えられたとんでもなく大きい影響である。
道重さゆみという人間の歴史には、人並みの幸福が全くと言ってない。
まるで何処かに落としてしまったかのように"優しさ"を失ったあの日から。
さゆみには小学時代、親友と呼べる存在が居た。
その存在を何としても守る為に、さゆみは自分に出来る事をし続けた。
いつも通りに過ごし、いつも通りに話し、いつも通りに笑って
そして親にはあまり心配かけないように。
少しでも可能性を信じて、さゆみは維持し続ける努力をした。
だが、自分に成れるものなどなかったのだと気づかされたのだ。
高校進学によって親友とは離れ、少し頭が良かったからといって大学に入ったが
それが何の役にも立たないことを知った。
周囲には、自分以上の才能に恵まれた学生がたくさん居る。
だがどんどん埋もれ、才能を無駄にしていく人間もたくさん居た。
主に自分に関することだが、解消するどころか思い溜息ばかりが吐き出される。
何かと想像をするのがさゆみの息抜きの一つなのだが、それすらも
出来ない状態に苛立ちだけが募っていく。
正直な話、さゆみは今後喫茶「リゾナント」に行くのを辞めようかと思っていたのだ。
喫茶店の常連客との会話は楽しいし、何よりも9人で集まった時は至福を感じている。
16歳の子から23歳までという年の離れた9人で結成された超能力者組織「リゾナンター」
としての自分も誇らしく思っていた。
全員が女の子という事もあり、何度も衝突したり、喧嘩をしたりもしたが
それさえも自身に対する成長として受け止めていた。
それが今現在、さゆみに与えられたとんでもなく大きい影響である。
道重さゆみという人間の歴史には、人並みの幸福が全くと言ってない。
まるで何処かに落としてしまったかのように"優しさ"を失ったあの日から。
さゆみには小学時代、親友と呼べる存在が居た。
その存在を何としても守る為に、さゆみは自分に出来る事をし続けた。
いつも通りに過ごし、いつも通りに話し、いつも通りに笑って
そして親にはあまり心配かけないように。
少しでも可能性を信じて、さゆみは維持し続ける努力をした。
だが、自分に成れるものなどなかったのだと気づかされたのだ。
高校進学によって親友とは離れ、少し頭が良かったからといって大学に入ったが
それが何の役にも立たないことを知った。
周囲には、自分以上の才能に恵まれた学生がたくさん居る。
だがどんどん埋もれ、才能を無駄にしていく人間もたくさん居た。
364 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:43:52.48 0
現実を目の当たりにして、さゆみは自分が斜めに世界を見ていることに気づいた。
真っ直ぐに見られない自分に対し、思う。
―――いつから自分はこんな風になったんだろう。
楽しい時間。仲間と過ごす充実感。
なのに時々どうしようもなく寂しくなったり、皆と居るのにひとりぼっちみたいに感じる。
何故、こんな風になってしまったのだろう。
ちゃんと笑えている自分が居るのに。
心が、笑っていなかった。
小学校の親友も、さゆみだけが"親友"だと思っていたのかもしれない。
今では、顔さえも思い出せないのだから。
ああ、そうだったんだ。
ずっと。笑ってた。
どうしようもない自分を笑って。ただ笑い続けて。
仲間に囲まれて笑っていた。
自分を判ってくれた仲間がいたから笑えてて。
心の底から笑って、心の底から泣いた。
道重さゆみは二十歳になった。
"独立"する年齢だと思っていた年に、さゆみはなってしまったのだ。
一人で考えてもしょうがないと思い、携帯を取り出してみるものの、指が動かない。
バイトでもしてみようかと思ったが、コンビニやファミレスで働いた経験の無い
さゆみとしては、多少の抵抗があるのも事実。
これからもずっと、喫茶「リゾナント」や仲間達に頼り続けて良いのだろうか。
真っ直ぐに見られない自分に対し、思う。
―――いつから自分はこんな風になったんだろう。
楽しい時間。仲間と過ごす充実感。
なのに時々どうしようもなく寂しくなったり、皆と居るのにひとりぼっちみたいに感じる。
何故、こんな風になってしまったのだろう。
ちゃんと笑えている自分が居るのに。
心が、笑っていなかった。
小学校の親友も、さゆみだけが"親友"だと思っていたのかもしれない。
今では、顔さえも思い出せないのだから。
ああ、そうだったんだ。
ずっと。笑ってた。
どうしようもない自分を笑って。ただ笑い続けて。
仲間に囲まれて笑っていた。
自分を判ってくれた仲間がいたから笑えてて。
心の底から笑って、心の底から泣いた。
道重さゆみは二十歳になった。
"独立"する年齢だと思っていた年に、さゆみはなってしまったのだ。
一人で考えてもしょうがないと思い、携帯を取り出してみるものの、指が動かない。
バイトでもしてみようかと思ったが、コンビニやファミレスで働いた経験の無い
さゆみとしては、多少の抵抗があるのも事実。
これからもずっと、喫茶「リゾナント」や仲間達に頼り続けて良いのだろうか。
365 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:45:25.73 0
初めてあの場所に行った頃のさゆみは、反抗心からだった。
両親からの拒絶。同級生からの畏怖を込めた視線。
真っ直ぐに自分を見つめてくれた仲間達の声。
不意に、病室に居る彼女の顔が浮かんだ。
もしもさゆみが喫茶「リゾナント」へ行きたくないと言い出したら。
彼女はどんな表情を浮かべて、どんな言葉を告げるだろうか。
困惑して、理由を問いただすだろうか。
少し不満そうに頬を膨らませて怒るだろうか。
冗談交じりで笑顔を浮かべるだろうか。
彼女は優しい。
他人にも自分にも。
明るくて少し優柔不断の性格で、それでも誰に対しても分け隔てなく同じように接する。
サイアクの出遭いを経て、やがてそれは信頼になり、愛になり。
彼女と"親友"になるまで、そう時間は掛からなかった。
その時に思えたのだ。
過去がなければ今が無いなら、道重さゆみは過去を無駄にしない為に今を生きようと。
だからこそ、さゆみは悩んでいた。
二十歳になった自分のためにも、このままで良いのかと。
「お待たせしました」
その時、さゆみの前にコーヒーとケーキが並べられる。
ヴォリュームは小さかったが、ヘッドフォンで音楽を聴いていたのと
物思いにふけっていた事で、気配すら気づかなかった。
両親からの拒絶。同級生からの畏怖を込めた視線。
真っ直ぐに自分を見つめてくれた仲間達の声。
不意に、病室に居る彼女の顔が浮かんだ。
もしもさゆみが喫茶「リゾナント」へ行きたくないと言い出したら。
彼女はどんな表情を浮かべて、どんな言葉を告げるだろうか。
困惑して、理由を問いただすだろうか。
少し不満そうに頬を膨らませて怒るだろうか。
冗談交じりで笑顔を浮かべるだろうか。
彼女は優しい。
他人にも自分にも。
明るくて少し優柔不断の性格で、それでも誰に対しても分け隔てなく同じように接する。
サイアクの出遭いを経て、やがてそれは信頼になり、愛になり。
彼女と"親友"になるまで、そう時間は掛からなかった。
その時に思えたのだ。
過去がなければ今が無いなら、道重さゆみは過去を無駄にしない為に今を生きようと。
だからこそ、さゆみは悩んでいた。
二十歳になった自分のためにも、このままで良いのかと。
「お待たせしました」
その時、さゆみの前にコーヒーとケーキが並べられる。
ヴォリュームは小さかったが、ヘッドフォンで音楽を聴いていたのと
物思いにふけっていた事で、気配すら気づかなかった。
366 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:47:21.55 0
ポータブルのミュージックプレイヤーに繋げたヘッドフォンを外し、店員さんへとお礼を告げる。
店内の天井に設置されたスピーカーからはフレンチポップスが流れていた。
「ありがとうございます」
「またいらっしゃったんですね」
「あ、はい。ここのお店って凄く入りやすいから…」
「そういってもらえると嬉しいです」
この店員はどこか彼女に似ている雰囲気があり、ワガママながら
さゆみはこの店員が自分の席に近づいた時を狙って注文をしていた。
店員はさゆみのミュージックプレイヤーを見て、問いかける。
「それって新しいヤツですか?」
「え?あぁ、ちょっと可愛かったんでつい…」
「いいなぁ~、私機械モノが全然ダメなんで、凄く羨ましいですっ」
「そんな、さゆみも全然たいしたこと出来ないんですよ」
「さゆみさんって珍しい名前なんですね。由来とかあるんですかっ?」
「ゆ、由来?えっとぉー…」
店員は何処か話の軸が普通とは違うらしく、さゆみは天然なんだろうかと思う。
だが凄く親しみやすく、言葉には一切の棘もなく、まるで小さな子供のように会話を弾ませる。
純粋、といえば言いのだろうか。
「すみませーんっ」
「あ、はーい。すみません、つい熱くなりすぎちゃって…」
「こちらこそごめんなさい。お仕事中なのに」
「どうぞごゆっくり」
丁寧におじぎをして、店員は行ってしまった。
注文を受ける店員の姿を見ながら、さゆみはフォークで掬ったケーキを口に入れる。
店内の天井に設置されたスピーカーからはフレンチポップスが流れていた。
「ありがとうございます」
「またいらっしゃったんですね」
「あ、はい。ここのお店って凄く入りやすいから…」
「そういってもらえると嬉しいです」
この店員はどこか彼女に似ている雰囲気があり、ワガママながら
さゆみはこの店員が自分の席に近づいた時を狙って注文をしていた。
店員はさゆみのミュージックプレイヤーを見て、問いかける。
「それって新しいヤツですか?」
「え?あぁ、ちょっと可愛かったんでつい…」
「いいなぁ~、私機械モノが全然ダメなんで、凄く羨ましいですっ」
「そんな、さゆみも全然たいしたこと出来ないんですよ」
「さゆみさんって珍しい名前なんですね。由来とかあるんですかっ?」
「ゆ、由来?えっとぉー…」
店員は何処か話の軸が普通とは違うらしく、さゆみは天然なんだろうかと思う。
だが凄く親しみやすく、言葉には一切の棘もなく、まるで小さな子供のように会話を弾ませる。
純粋、といえば言いのだろうか。
「すみませーんっ」
「あ、はーい。すみません、つい熱くなりすぎちゃって…」
「こちらこそごめんなさい。お仕事中なのに」
「どうぞごゆっくり」
丁寧におじぎをして、店員は行ってしまった。
注文を受ける店員の姿を見ながら、さゆみはフォークで掬ったケーキを口に入れる。
367 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:48:13.28 0
ふと、思い浮かんだのは喫茶「リゾナント」の事。
何度かピーク時の店内に入った時に、忙しそうに働く愛達の姿を見た。
愛はカウンターの方で常連客と話をしていたが、その表情は笑顔だった。
「リゾナンター」としての愛はキリッと真剣で、まるで遠い人のように感じる。
だがそこに居る愛は、人間らしさがあった。
さゆみと同じ、笑って怒って泣いて、そして、悩みを持っている。
「誰かに頼ることは、かっこわるいことじゃないよ」
まるで姉のように慕ってくれる愛を、さゆみは尊敬していた。
そんな愛が営む喫茶「リゾナント」で、誕生パーティが開かれる。
当然さゆみのだ。事前に連絡も受けている。
あの喫茶店に出入りをしてから、何度も年を重ねる子達を見てきた。
中には「今のままが良い」という子も居るが
誰かに自分の誕生日を祝ってくれると言うことは、さゆみ達は幸福な方なのだろう。
フォークをお皿に置き、カップに口を付けながら携帯画面を見つめる。
その幸福な日に連絡を入れないままでは心配するに違いない。
愛、特に里沙は心配性なところがあり、探しに来るような事があればあまりにも申し訳ない。
既に予定の時刻を過ぎており、携帯のボタンへと指を近づけた―――その時だった。
「…こんな所に居たんですね」
背後から呼ばれ、さゆみは反射的に振り返る。
予想もしていなかった声の主に、一瞬さゆみは声を出すのを忘れた。
サラサラとした黒い長髪が顔を動かすたびに揺れ、長い睫毛の下にある大きな両目はどこか険しい。
「出ますよ」
何度かピーク時の店内に入った時に、忙しそうに働く愛達の姿を見た。
愛はカウンターの方で常連客と話をしていたが、その表情は笑顔だった。
「リゾナンター」としての愛はキリッと真剣で、まるで遠い人のように感じる。
だがそこに居る愛は、人間らしさがあった。
さゆみと同じ、笑って怒って泣いて、そして、悩みを持っている。
「誰かに頼ることは、かっこわるいことじゃないよ」
まるで姉のように慕ってくれる愛を、さゆみは尊敬していた。
そんな愛が営む喫茶「リゾナント」で、誕生パーティが開かれる。
当然さゆみのだ。事前に連絡も受けている。
あの喫茶店に出入りをしてから、何度も年を重ねる子達を見てきた。
中には「今のままが良い」という子も居るが
誰かに自分の誕生日を祝ってくれると言うことは、さゆみ達は幸福な方なのだろう。
フォークをお皿に置き、カップに口を付けながら携帯画面を見つめる。
その幸福な日に連絡を入れないままでは心配するに違いない。
愛、特に里沙は心配性なところがあり、探しに来るような事があればあまりにも申し訳ない。
既に予定の時刻を過ぎており、携帯のボタンへと指を近づけた―――その時だった。
「…こんな所に居たんですね」
背後から呼ばれ、さゆみは反射的に振り返る。
予想もしていなかった声の主に、一瞬さゆみは声を出すのを忘れた。
サラサラとした黒い長髪が顔を動かすたびに揺れ、長い睫毛の下にある大きな両目はどこか険しい。
「出ますよ」
368 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:49:41.14 0
有無を言わさない威圧のある言葉を告げ、久住小春はテーブルに置かれていた会計表を取る。
さゆみが何かを言おうとし、場所が場所だと思い返す。
先ほどの店員が少しだけ驚いた顔でこちらを見ていた事に対し、頭を下げるしかなかった。
*
一年ほど前、河川の整備が行われた。
昔の河川敷ならば下は土だったが、現在は整備されてるので見事にコンクリートになっている。
近所の人によると、数十年前には此処にもホタルが住んでいたらしい。
それほど好きと言うほどでもないのだが、滅多に見られないものが見られるというのは
どこか、特別なことのように思えた。
「ここって、昔はホタルが見えたんだそうです」
「知ってる」という言葉はあえて口に出さず、「そっか」と相槌を打った。
小春と居ると必ず彼女のペースでしか話が進まないからだ。
さゆみはコンクリートのブロックの上に座り、彼女は川辺ギリギリの所で水面を見ている。
ただ静かに水の流れる音だけが鳴るそこは、「リゾナント」からそう遠くは無い場所にあった。
膝を折り、小春は水辺へと手を入れると、水を掬い上げた。
指と指の隙間、そして手の平から堕ちて行く雫は、何の変化も見せずに水面へと戻っていく。
弾けて消えて、また静かな水音だけが残る。
「小春も、ずーっとあのお店に居ました」
あまりにも唐突だったが、さゆみは何処となく気づいていたような気がする。
芸能人である小春だけが持つ、特有の雰囲気というのだろうか。
さゆみが何かを言おうとし、場所が場所だと思い返す。
先ほどの店員が少しだけ驚いた顔でこちらを見ていた事に対し、頭を下げるしかなかった。
*
一年ほど前、河川の整備が行われた。
昔の河川敷ならば下は土だったが、現在は整備されてるので見事にコンクリートになっている。
近所の人によると、数十年前には此処にもホタルが住んでいたらしい。
それほど好きと言うほどでもないのだが、滅多に見られないものが見られるというのは
どこか、特別なことのように思えた。
「ここって、昔はホタルが見えたんだそうです」
「知ってる」という言葉はあえて口に出さず、「そっか」と相槌を打った。
小春と居ると必ず彼女のペースでしか話が進まないからだ。
さゆみはコンクリートのブロックの上に座り、彼女は川辺ギリギリの所で水面を見ている。
ただ静かに水の流れる音だけが鳴るそこは、「リゾナント」からそう遠くは無い場所にあった。
膝を折り、小春は水辺へと手を入れると、水を掬い上げた。
指と指の隙間、そして手の平から堕ちて行く雫は、何の変化も見せずに水面へと戻っていく。
弾けて消えて、また静かな水音だけが残る。
「小春も、ずーっとあのお店に居ました」
あまりにも唐突だったが、さゆみは何処となく気づいていたような気がする。
芸能人である小春だけが持つ、特有の雰囲気というのだろうか。
369 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:50:29.47 0
「ちょっと暇潰しにって思ったら、道重さんが入ってくるのを見つけました。
でも小春のこと、まるで気づいてないカンジだったし
音楽を聴いたとたん動かなくなったから、そのまま放置しました」
突っ込みたい所だが、さゆみは我慢する。
意識が飛ぶのはさゆみも自覚している。癖なのだ。
大学でもほぼ授業中は頭の中でいろんな事を巡らす。
答えが出なくとも、その浮かぶ事象を想像する事で満足できる。
何もかもを空っぽにして、何もかもを自分の思う通りの道筋へと繋げていく。
言わば自分の中で、物語を綴っているようなものだ。
「そしたら店員さんが来たら急に元気になったりして、凄い変な人でした」
「変ってちょっと酷いかも…あ、うーんでも確かに挙動不審だったかもしれない」
「誕生日の前に、ケーキを食べる人もどうかと思いますけどね」
ポチャンと、水面に波紋が出来た。
小石をわざと大きく振りかぶり、小春は水面へと投げていく。
手持ち無沙汰になるのが嫌なのだろう。
表情はいまだ不機嫌極まりないが、口数は減らない。
思えば、彼女と二人っきりで話すのは、凄く久しぶりだった。
空を仰ぐように見上げ、さゆみは小さく吸い、吐いた。
ここ数年、七夕に雨が降ることが多かったらしいが、今年は快晴だった。
広い夜空に天の川が延々と流れ、9人全員で見たのを思い出す。
でも小春のこと、まるで気づいてないカンジだったし
音楽を聴いたとたん動かなくなったから、そのまま放置しました」
突っ込みたい所だが、さゆみは我慢する。
意識が飛ぶのはさゆみも自覚している。癖なのだ。
大学でもほぼ授業中は頭の中でいろんな事を巡らす。
答えが出なくとも、その浮かぶ事象を想像する事で満足できる。
何もかもを空っぽにして、何もかもを自分の思う通りの道筋へと繋げていく。
言わば自分の中で、物語を綴っているようなものだ。
「そしたら店員さんが来たら急に元気になったりして、凄い変な人でした」
「変ってちょっと酷いかも…あ、うーんでも確かに挙動不審だったかもしれない」
「誕生日の前に、ケーキを食べる人もどうかと思いますけどね」
ポチャンと、水面に波紋が出来た。
小石をわざと大きく振りかぶり、小春は水面へと投げていく。
手持ち無沙汰になるのが嫌なのだろう。
表情はいまだ不機嫌極まりないが、口数は減らない。
思えば、彼女と二人っきりで話すのは、凄く久しぶりだった。
空を仰ぐように見上げ、さゆみは小さく吸い、吐いた。
ここ数年、七夕に雨が降ることが多かったらしいが、今年は快晴だった。
広い夜空に天の川が延々と流れ、9人全員で見たのを思い出す。
370 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:51:12.82 0
去年は病院で過ごしていた"親友"もまた、その中で満面の笑顔を浮かべていた。
それはいつも浮かべていた作り笑いではなく、本物の笑顔で。
「……ですか」
「え?」
「「リゾナント」に、行かないんですか?」
「小春ちゃんは行っててもいいよ。さゆみはもう少し」
「行きません」
「い…え…?」
「小春は行きませんから」
「道重さんが一緒に来てくれるまで、小春は行きません」
ポチャンと、手から投げ出された石は水面へと沈んだ。
今度はこちらを振り向かず、断固拒否を決め込むかのように背中を見せたまま。
大きくて背筋がピンと伸びた後ろ姿は、それでも何処か脆さを感じた。
思えば、何故小春はあの時、さゆみへと声を掛けたのだろう。
普段はメンバーであっても関心を持っているのか分からないほどマイペースなのに。
まるで、さゆみの止まりそうな何かを無理矢理動かすように。
心の中にある大きなモノ。
空にある瞬き続ける星空の光。
静かな流れにある風の匂いと、指先に触れたコンクリートのヒヤリとした感触。
記憶の点を線で繋ぎ、光の軌跡を描くように浮かんだ、小さな天の川。
―――あぁ。そうか。
さゆみは、道重さゆみは分かっているんだ。
それはいつも浮かべていた作り笑いではなく、本物の笑顔で。
「……ですか」
「え?」
「「リゾナント」に、行かないんですか?」
「小春ちゃんは行っててもいいよ。さゆみはもう少し」
「行きません」
「い…え…?」
「小春は行きませんから」
「道重さんが一緒に来てくれるまで、小春は行きません」
ポチャンと、手から投げ出された石は水面へと沈んだ。
今度はこちらを振り向かず、断固拒否を決め込むかのように背中を見せたまま。
大きくて背筋がピンと伸びた後ろ姿は、それでも何処か脆さを感じた。
思えば、何故小春はあの時、さゆみへと声を掛けたのだろう。
普段はメンバーであっても関心を持っているのか分からないほどマイペースなのに。
まるで、さゆみの止まりそうな何かを無理矢理動かすように。
心の中にある大きなモノ。
空にある瞬き続ける星空の光。
静かな流れにある風の匂いと、指先に触れたコンクリートのヒヤリとした感触。
記憶の点を線で繋ぎ、光の軌跡を描くように浮かんだ、小さな天の川。
―――あぁ。そうか。
さゆみは、道重さゆみは分かっているんだ。
371 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:52:50.50 0
分かっているからこそ、答えが出ていたからこそ悩んでいた。
ずっと経ち続ける時間の中で、流れが無い流れに流されていた自分。
ただ、悩み続けていないと、自分が置いていかれているような気がした。
頼ったままだと、自分の時間が自分のとは思えなかったのだ。
新しい自分が欲しくて、新しい道が欲しくて。
目の前の少女もそうなのだ。
彼女も、小春も明後日には17歳になる。
意地を張り、自分の進んでいた道を馬鹿にし、強がることしか出来なかった自分から。
泣いたこと、笑ったことを全てに色を付けて、新しい自分へと。
季節は巡る。
巡った時に、雨上がりの眩しい太陽を見上げれるように。
小春が投げていた石は、ただ変わらないまま流れて行く。
それでも自分達は、誰かに流されなくても自分で流れて行く事が出来る。
いつもそう。
誰かに励まされる。
彼女もまた、そんな人間の一人だった。
「小春ちゃん、ありがとう」
「…?」
「初めから、さゆみを探しにきてくれてたんでしょ?」
大きな両眼をさらに大きく開き、小春は振り返りながら立ち上がった。
意外な言葉を投げかけられて、言葉を詰まらせる。
ずっと経ち続ける時間の中で、流れが無い流れに流されていた自分。
ただ、悩み続けていないと、自分が置いていかれているような気がした。
頼ったままだと、自分の時間が自分のとは思えなかったのだ。
新しい自分が欲しくて、新しい道が欲しくて。
目の前の少女もそうなのだ。
彼女も、小春も明後日には17歳になる。
意地を張り、自分の進んでいた道を馬鹿にし、強がることしか出来なかった自分から。
泣いたこと、笑ったことを全てに色を付けて、新しい自分へと。
季節は巡る。
巡った時に、雨上がりの眩しい太陽を見上げれるように。
小春が投げていた石は、ただ変わらないまま流れて行く。
それでも自分達は、誰かに流されなくても自分で流れて行く事が出来る。
いつもそう。
誰かに励まされる。
彼女もまた、そんな人間の一人だった。
「小春ちゃん、ありがとう」
「…?」
「初めから、さゆみを探しにきてくれてたんでしょ?」
大きな両眼をさらに大きく開き、小春は振り返りながら立ち上がった。
意外な言葉を投げかけられて、言葉を詰まらせる。
372 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 16:58:09.20 O
大きな両眼をさらに大きく開き、小春は振り返りながら立ち上がった。
意外な言葉を投げかけられて、言葉を詰まらせる。
「何となく分かってたから。多分愛佳ちゃん辺りが来るんじゃないかって思ってたけど
まさか小春ちゃんが来るとは、ちょっと意外だった」
「……」
「ごめんね、心配かけて。でも、もう大丈夫」
「…小春は」
「え?」
「小春は、正直、どうでも良かったんです。
でも―――主役の居ない舞台なんて小春は許さない」
そんな小春の手を、さゆみは優しく掴んだ。
「なら、主役のお姫様をエスコートしてくれるんでしょ?12時までにいかないと魔法が解けちゃうの」
「二十歳になる大人の言うことじゃないと思いますけど」
「ヒドーイッ、小春ちゃんだって昔はお姫様に憧れたクセに」
「その時にはとっくに小春はお姫様でしたから」
何処かの雑誌で、久住小春の芸歴を見たことがあるのを思い出す。
さゆみは眉毛をつり上げたが、すぐに表情を崩し、笑い出した。
それにつられて小春が笑い出す。
なんとなく、嬉しかった。
ただ、この"なんとなく"でも良いと思う。
なんとなく精一杯生きて。
この"なんとなく"を、力一杯生きよう。
今の自分で、"今"から紡がれた新しい道へ。
意外な言葉を投げかけられて、言葉を詰まらせる。
「何となく分かってたから。多分愛佳ちゃん辺りが来るんじゃないかって思ってたけど
まさか小春ちゃんが来るとは、ちょっと意外だった」
「……」
「ごめんね、心配かけて。でも、もう大丈夫」
「…小春は」
「え?」
「小春は、正直、どうでも良かったんです。
でも―――主役の居ない舞台なんて小春は許さない」
そんな小春の手を、さゆみは優しく掴んだ。
「なら、主役のお姫様をエスコートしてくれるんでしょ?12時までにいかないと魔法が解けちゃうの」
「二十歳になる大人の言うことじゃないと思いますけど」
「ヒドーイッ、小春ちゃんだって昔はお姫様に憧れたクセに」
「その時にはとっくに小春はお姫様でしたから」
何処かの雑誌で、久住小春の芸歴を見たことがあるのを思い出す。
さゆみは眉毛をつり上げたが、すぐに表情を崩し、笑い出した。
それにつられて小春が笑い出す。
なんとなく、嬉しかった。
ただ、この"なんとなく"でも良いと思う。
なんとなく精一杯生きて。
この"なんとなく"を、力一杯生きよう。
今の自分で、"今"から紡がれた新しい道へ。
373 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 17:02:49.07 O
374 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 17:14:51.85 0
>>373
相変わらず素敵ですねえ
「誕生日」の意味を毎回深く感じさせられます
この2人の組合せというところがまたいいですね
昔はホタルが見えた川辺の会話部分がすごく好きです
情景が浮かぶどころか 静けさが“聞こえる”ようで…
一つ一つの描写が心に響きました
>昔の河川敷ならば下は土だったが、現在は整備されてるので見事にコンクリートになっている
こういう一見意味のなさそうな描写が その実読み手に小さくない影響を与えていますねー
ラストも素敵です
いい誕生日話でした
そして規制脱出おめでとうございます!
相変わらず素敵ですねえ
「誕生日」の意味を毎回深く感じさせられます
この2人の組合せというところがまたいいですね
昔はホタルが見えた川辺の会話部分がすごく好きです
情景が浮かぶどころか 静けさが“聞こえる”ようで…
一つ一つの描写が心に響きました
>昔の河川敷ならば下は土だったが、現在は整備されてるので見事にコンクリートになっている
こういう一見意味のなさそうな描写が その実読み手に小さくない影響を与えていますねー
ラストも素敵です
いい誕生日話でした
そして規制脱出おめでとうございます!
375 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 18:15:54.97 O
376 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 19:18:24.69 0
377 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:46:27.15 0
378 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:47:15.80 0
◇◇
白い十字架の前に立ち、祈りを捧げ、白い花束を置く。
それは信頼していたパートナーへの追悼の意。
あの時負った傷は治ったが、痕は残ったまま。
それも自分への戒めだと思い、そのままにしている。
空を見上げて、目を細める。
いつも以上に晴れ渡る空は、あの時に見た涙のように青く染まり、とても綺麗だった。
そして上げていた顔をまた十字架へと向け、腰に差している刀をゆっくりと撫でた後、その場を後にした。
◇◇
白い十字架の前に立ち、祈りを捧げ、白い花束を置く。
それは信頼していたパートナーへの追悼の意。
あの時負った傷は治ったが、痕は残ったまま。
それも自分への戒めだと思い、そのままにしている。
空を見上げて、目を細める。
いつも以上に晴れ渡る空は、あの時に見た涙のように青く染まり、とても綺麗だった。
そして上げていた顔をまた十字架へと向け、腰に差している刀をゆっくりと撫でた後、その場を後にした。
379 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:48:06.90 O
相変わらず淡々とした空気の中の「軋み」のような感覚が好きです
お帰りなさい
お帰りなさい
380 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:48:17.05 0
◆◆
「…っ……あーしは、…っ負けない……!!」
その強い眼差しは、先ほどまでほとんどが憎悪で彩られていたのに。
今では光を湛えて、内に秘める希望を胸にその瞳は輝いていた。
「…そうまでして戦おうとするのはなんで?」
「っ…あーしは、…世界中の、すべての人達を、助けられるとは、思ってない…
けれど、この目に留まる、…っ目の前で弱ってる人達を、助けることはできる…っ…」
全員を助けることなんてできない。
一人では無理だけど、みんながいてくれるから、大好きな仲間がいるから。
目の前の一人を助けようと思う。そしてそれは、未来の平和へと繋がっていく。
いつだって平和な世界になるように戦っていこうと誓った。
それが自分の正義で、戦う理由でもあるから。
「…っだからあーしは、絶対に負けるわけにはいかないんやっ!」
光は闇をも照らす。
飲み込もうとする闇があるならば、それを貫けるほどの意志を持って突き進もう。
一人じゃない。大好きな仲間が、いるから。
◆◆
「…っ……あーしは、…っ負けない……!!」
その強い眼差しは、先ほどまでほとんどが憎悪で彩られていたのに。
今では光を湛えて、内に秘める希望を胸にその瞳は輝いていた。
「…そうまでして戦おうとするのはなんで?」
「っ…あーしは、…世界中の、すべての人達を、助けられるとは、思ってない…
けれど、この目に留まる、…っ目の前で弱ってる人達を、助けることはできる…っ…」
全員を助けることなんてできない。
一人では無理だけど、みんながいてくれるから、大好きな仲間がいるから。
目の前の一人を助けようと思う。そしてそれは、未来の平和へと繋がっていく。
いつだって平和な世界になるように戦っていこうと誓った。
それが自分の正義で、戦う理由でもあるから。
「…っだからあーしは、絶対に負けるわけにはいかないんやっ!」
光は闇をも照らす。
飲み込もうとする闇があるならば、それを貫けるほどの意志を持って突き進もう。
一人じゃない。大好きな仲間が、いるから。
381 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:49:07.43 0
「…他の人が聞けば、それはそれは涙が出るほどの美しいことなのかもね…
でも、生憎ごとーは涙なんてこれっぽっちも出ないんだ。ごめんね、高橋。キミとは本当に、相容れそうにないね」
後藤が振りかざす一振り。
手に持っていたのは、高橋の刀だった。
避けようとしても避け切れないと感じた高橋が目を閉じようとした瞬間――――
「……っ愛ちゃん…!!!!」
急に聞こえた声の方向へ、咄嗟に顔を向けた。
そこには大好きな仲間、もとい、同期でサブリーダーの新垣里沙がいた。
「…他の人が聞けば、それはそれは涙が出るほどの美しいことなのかもね…
でも、生憎ごとーは涙なんてこれっぽっちも出ないんだ。ごめんね、高橋。キミとは本当に、相容れそうにないね」
後藤が振りかざす一振り。
手に持っていたのは、高橋の刀だった。
避けようとしても避け切れないと感じた高橋が目を閉じようとした瞬間――――
「……っ愛ちゃん…!!!!」
急に聞こえた声の方向へ、咄嗟に顔を向けた。
そこには大好きな仲間、もとい、同期でサブリーダーの新垣里沙がいた。
382 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:49:56.11 0
「っな、なんで・・・?」
「愛ちゃん!こんなに、こんなにひどい格好して…傷まで負って…」
「え、え…ちょ、待って…なんでここにっ」
「なんでじゃないよ!こっちこそなんでだよ!勝手に一人で行かないでよ!!」
「え、だって…」
「だってじゃない!!…みんな、すごく心配したんだからっ…」
「ガキさん……」
聞けば、一人で後藤との決着に行った高橋の後を着いてきたという。
しかし海上の孤島ということもあり、なかなかここまでたどり着けなかった。
しかもこの島では後藤自身が放った敵が野放しになっていたので、戦いながら来たのだという。
そしてこの島だけでなく街の方でも襲撃が相次いでいる為に、
新垣を高橋たちが戦っている場所の近くまで行かせたあと、残りは街へと戻っていったというのだ。
「なんで街まで…!!」
「別に街を襲撃しちゃいけない、なんてルール無かったよね?」
軽々と言い放つ後藤を見やる高橋と新垣。
そしてそんな後藤に対し、新垣は沸々と心の底から生まれる憎しみでいっぱいになる。
「っな、なんで・・・?」
「愛ちゃん!こんなに、こんなにひどい格好して…傷まで負って…」
「え、え…ちょ、待って…なんでここにっ」
「なんでじゃないよ!こっちこそなんでだよ!勝手に一人で行かないでよ!!」
「え、だって…」
「だってじゃない!!…みんな、すごく心配したんだからっ…」
「ガキさん……」
聞けば、一人で後藤との決着に行った高橋の後を着いてきたという。
しかし海上の孤島ということもあり、なかなかここまでたどり着けなかった。
しかもこの島では後藤自身が放った敵が野放しになっていたので、戦いながら来たのだという。
そしてこの島だけでなく街の方でも襲撃が相次いでいる為に、
新垣を高橋たちが戦っている場所の近くまで行かせたあと、残りは街へと戻っていったというのだ。
「なんで街まで…!!」
「別に街を襲撃しちゃいけない、なんてルール無かったよね?」
軽々と言い放つ後藤を見やる高橋と新垣。
そしてそんな後藤に対し、新垣は沸々と心の底から生まれる憎しみでいっぱいになる。
383 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:50:51.37 0
「…後藤さん!!」
「ぅおっ…いきなり大きな声で呼ばれても」
「なんで!!…っなんで、安倍さんを殺したんですか!?」
一筋の光。侵食する闇。
どれもすべて、行先は分からない。
「そっかー、やっと知ったんだね。でも、いつ、どこで、誰から知ったの?」
「そんなことはどうでもいいじゃないですかっ!」
「良くないよー。だって、…答えによっては、昔の仲間も殺さなきゃいけないかもしれないじゃん」
微笑を浮かべる後藤の表情は、とても冷酷で、息を飲むほどだった。
それぐらい冷たくて、尊敬していた先輩はいなくなっていた。
「…独自に調べました」
「…ほんとに?よっすぃとか梨華ちゃんから聞いたんじゃなくて?」
「はい、本当です」
「ふーん……ま、いっか。どうせ殺り合いになるだろうからね」
「…後藤さん!!」
「ぅおっ…いきなり大きな声で呼ばれても」
「なんで!!…っなんで、安倍さんを殺したんですか!?」
一筋の光。侵食する闇。
どれもすべて、行先は分からない。
「そっかー、やっと知ったんだね。でも、いつ、どこで、誰から知ったの?」
「そんなことはどうでもいいじゃないですかっ!」
「良くないよー。だって、…答えによっては、昔の仲間も殺さなきゃいけないかもしれないじゃん」
微笑を浮かべる後藤の表情は、とても冷酷で、息を飲むほどだった。
それぐらい冷たくて、尊敬していた先輩はいなくなっていた。
「…独自に調べました」
「…ほんとに?よっすぃとか梨華ちゃんから聞いたんじゃなくて?」
「はい、本当です」
「ふーん……ま、いっか。どうせ殺り合いになるだろうからね」
384 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:51:51.09 0
先ほどまで後藤は高橋と戦っていたのに、今ではまったく向かってくるような気配が感じられない。
けれど、どことなく漂う殺気は、この場を冷たく、緊張させていた。
「んで、なんで殺したか、だっけ?…あ、なんでだと思う?」
「…っそんなの知るわけないじゃないですか!…何なんですか!…安倍さんはっ…」
後藤は二人を見つめながら、一回微笑み、話し始めた。
「…なっちだけは、信頼してた…」
後藤は答える。
安倍なつみはとても信頼できた、唯一無二のパートナーだった。
しかし、いつからか二人が目指すものは違うと思い始めた。そしてそれは最初から違っていたことに気付いてしまった。
パートナーとして釣り合う能力を持ち、これからの世界を共に築いていけると信じていたのに…。
だから後藤は安倍を殺した。それがさも、当然であるかのように。
しかし敵として認識するのではなく、道を違えてしまった信頼する仲間と思い、殺したのである。
「っそんな…そんなこと!許されるはずがない!!」
尊敬していた”天使”-安倍なつみ-という一流の能力者であり、先輩でもあった人。
新垣にとって特に、憧れてやまない人だった。
先ほどまで後藤は高橋と戦っていたのに、今ではまったく向かってくるような気配が感じられない。
けれど、どことなく漂う殺気は、この場を冷たく、緊張させていた。
「んで、なんで殺したか、だっけ?…あ、なんでだと思う?」
「…っそんなの知るわけないじゃないですか!…何なんですか!…安倍さんはっ…」
後藤は二人を見つめながら、一回微笑み、話し始めた。
「…なっちだけは、信頼してた…」
後藤は答える。
安倍なつみはとても信頼できた、唯一無二のパートナーだった。
しかし、いつからか二人が目指すものは違うと思い始めた。そしてそれは最初から違っていたことに気付いてしまった。
パートナーとして釣り合う能力を持ち、これからの世界を共に築いていけると信じていたのに…。
だから後藤は安倍を殺した。それがさも、当然であるかのように。
しかし敵として認識するのではなく、道を違えてしまった信頼する仲間と思い、殺したのである。
「っそんな…そんなこと!許されるはずがない!!」
尊敬していた”天使”-安倍なつみ-という一流の能力者であり、先輩でもあった人。
新垣にとって特に、憧れてやまない人だった。
385 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:52:43.91 0
「アナタは!信頼していると言ったパートナーを殺すんですか!?
信頼していたんじゃないんですか!?ずっと、ずっと一緒に戦っていくって決めた人なんじゃないですか!?」
「そうだね。新垣の言ってることは正しいよ」
「それならなんで!!?」
「…さっき言ったじゃん。二人が目指すものは違ってたんだよ。悲しくもね…」
「そんな……そんなふざけたことが通用するとでも…!!」
「通用するんだな、これが。この世界はすでに、闇も光もないよ。
それに新垣は、そんなこと人に言えるような人だっけ?高橋たちのこと裏切ってたのは、新垣でしょ?」
冷酷な瞳が二人を、特に新垣を蔑むように見つめる。
何も感じない瞳が、二人を捉える。
瞬間、何かが二人の間を通過した。否、それは新垣の左胸を。
「…っ……!!?」
「アナタは!信頼していると言ったパートナーを殺すんですか!?
信頼していたんじゃないんですか!?ずっと、ずっと一緒に戦っていくって決めた人なんじゃないですか!?」
「そうだね。新垣の言ってることは正しいよ」
「それならなんで!!?」
「…さっき言ったじゃん。二人が目指すものは違ってたんだよ。悲しくもね…」
「そんな……そんなふざけたことが通用するとでも…!!」
「通用するんだな、これが。この世界はすでに、闇も光もないよ。
それに新垣は、そんなこと人に言えるような人だっけ?高橋たちのこと裏切ってたのは、新垣でしょ?」
冷酷な瞳が二人を、特に新垣を蔑むように見つめる。
何も感じない瞳が、二人を捉える。
瞬間、何かが二人の間を通過した。否、それは新垣の左胸を。
「…っ……!!?」
386 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:53:33.82 0
スローモーションのように、流れ動く。それはあの時と同じように。
高橋の目の前で、ゆっくりと倒れゆく同期の姿。
その瞬間を、見つめることしかできなかった。
あの時のように。あの時と同じように。
「……っガキさん…!!!」
スローモーションのように、流れ動く。それはあの時と同じように。
高橋の目の前で、ゆっくりと倒れゆく同期の姿。
その瞬間を、見つめることしかできなかった。
あの時のように。あの時と同じように。
「……っガキさん…!!!」
387 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 20:57:34.67 0
388 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 21:04:33.45 O
割り込んじゃってごめんなさい・・・
大作になって来ましたね 自らの思う世界を書ききってください!
大作になって来ましたね 自らの思う世界を書ききってください!
389 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 21:06:06.58 0
また良い所で切りましたねェ
続きを楽しみに待ってます
後藤さんの強大な存在感が良いねェ
続きを楽しみに待ってます
後藤さんの強大な存在感が良いねェ
390 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 21:11:07.32 O
皆さん今日どうしちゃったんですか!
作品が投下されまくってるじゃないですかー!共鳴現象?
キャー!もちろん嬉しい悲鳴ですよ家帰ってゆっくり読も読もー
作品が投下されまくってるじゃないですかー!共鳴現象?
キャー!もちろん嬉しい悲鳴ですよ家帰ってゆっくり読も読もー
391 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 21:35:54.37 P
何この大量作品の数
半端ねえええ
半端ねえええ
392 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/17(金) 23:18:05.89 0
まだ読めてないのに保全せにゃならんとは・・・
393 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 00:04:23.41 O
あるあるw
394 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 01:21:42.31 O
日曜日にまとめて読まさせていただきますお休みなさい
395 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 02:30:35.82 0
リゾリゾ
396 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 05:33:59.84 0
投下されるときは続くもんだね
397 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 07:22:43.30 O
川´・_o・)<トッカー
398 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 08:15:10.42 0
川*^A^)<チ
399 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 09:35:16.97 0
ほぜほぜ
400 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 11:17:41.62 0
400人の保全部隊が上陸しました
401 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 11:23:15.48 0
399人ほどさえみさんに消されました
402 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 11:31:46.95 0
さえみキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
893 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2009/07/18(土) 00:41:17.74 0
(俺-_-)<天使バージョンなのに道重が悪魔の微笑みだ
つhttp://qian-lin.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/linlin/uploader+cgipm/src/linlin0768.jpg
从*・ 。.・)<あれはさゆみじゃないの!!
さゆみじゃないのさゆみじゃないのさゆみじゃないのさゆみじゃなry
893 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2009/07/18(土) 00:41:17.74 0
(俺-_-)<天使バージョンなのに道重が悪魔の微笑みだ
つhttp://qian-lin.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/linlin/uploader+cgipm/src/linlin0768.jpg
从*・ 。.・)<あれはさゆみじゃないの!!
さゆみじゃないのさゆみじゃないのさゆみじゃないのさゆみじゃなry
403 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 12:15:15.93 0
404 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 12:48:05.78 0
天使と聞くとあの人が黙っていられないなw
405 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 13:57:51.41 0
おひる
406 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 14:56:35.68 0
天使の微笑み
407 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 14:57:22.27 0
409 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 16:05:35.02 0
呼んではいけない名前を・・・
そういえば>>408が見当たらないんだが
そういえば>>408が見当たらないんだが
410 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 18:08:46.89 0
>>408は遠いところへ…
411 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 19:04:40.77 0
今日は凄く落ちるの早いね
412 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 19:11:00.67 O
(オ-_-) <ちょ、調査の為だよ!ダークネススペシャル見てるのは
取り込まれなんか、しないよ!正義にちかって!
取り込まれなんか、しないよ!正義にちかって!
413 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:16:53.25 0
ノ|c| ・e・) <あーいい仕事した
414 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:18:56.18 0
お疲れっす!先輩!
415 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:31:32.23 0
ダークネス本部にトットちゃんがいたんだけどあの人が裏でなっちを操ってるんだな!
そうか!今わかったぞ!!! 倒すべきは窓際のトットちゃんなんだっ!!
そうか!今わかったぞ!!! 倒すべきは窓際のトットちゃんなんだっ!!
416 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:38:16.72 0
ttp://www16.tok2.com/home/lightcap321/z13.jpg
新しい戦闘服かっこいいね
新しい戦闘服かっこいいね
417 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:44:41.35 0
リゾナントのウェイトレスさんの制服だな
418 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:46:07.69 P
419 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:47:26.85 0
ちょw えりりんカッコいい!
420 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 20:51:40.61 0
廃工場での闘いの相手とは 誰だ
421 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 22:16:27.54 0
おっとっと
422 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 23:18:04.27 O
d从*・ 。.・)b<うえうえ♪なね
423 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/18(土) 23:44:09.98 0
>>387
ごとーさんの「この世界はすでに、闇も光もないよ。」の言葉
闇も光も無い世界に行ってしまったごとーさんの瞳に映る2人の姿
残酷なのに悲しいでもそれすらも今のごとーさんには・・
考えさせられました続き楽しみです
ごとーさんの「この世界はすでに、闇も光もないよ。」の言葉
闇も光も無い世界に行ってしまったごとーさんの瞳に映る2人の姿
残酷なのに悲しいでもそれすらも今のごとーさんには・・
考えさせられました続き楽しみです
424 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 01:00:59.56 0
廃工場という単語が出てくる作品は意外と少ない
425 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 01:45:03.72 0
ノ|c| ・e・) < …アタシ… 実はダークネスのスパイなのっ!!
川*’ー’) < そ、それならアーシは最近一人で半ケツのパンツはいて鏡で見とるがし!!
ノノ*^ー^) < …すみません!「彼氏」って言ってます!!
从*・ 。.・) < 実はさえみが本人格なの!!さゆみの時は猫かぶってるだけなの!!
从*´ ヮ`) < …実はきらレボよりもプリキュアが好きだっちゃ!!
ノリo´ゥ`リ < ごめんなさい!!Gカップと言うのはウソです!!Aでもあまるカナ☆
川=´┴`) < 実はCでもキツイでっせグフフフ…
川´・_o・) < ホントはバナナ嫌いダ!!もう飽きたダ!!メロンとか食わせろ!!
川*^A^) < 日本後下手なフリしとるけど、実はバリ関西弁やで~!!奥歯ガタガタいわしたろか~!!
…どうなるリゾナンター!!
ノ|c| ・e・) < …アタシ… 実はダークネスのスパイなのっ!!
川*’ー’) < そ、それならアーシは最近一人で半ケツのパンツはいて鏡で見とるがし!!
ノノ*^ー^) < …すみません!「彼氏」って言ってます!!
从*・ 。.・) < 実はさえみが本人格なの!!さゆみの時は猫かぶってるだけなの!!
从*´ ヮ`) < …実はきらレボよりもプリキュアが好きだっちゃ!!
ノリo´ゥ`リ < ごめんなさい!!Gカップと言うのはウソです!!Aでもあまるカナ☆
川=´┴`) < 実はCでもキツイでっせグフフフ…
川´・_o・) < ホントはバナナ嫌いダ!!もう飽きたダ!!メロンとか食わせろ!!
川*^A^) < 日本後下手なフリしとるけど、実はバリ関西弁やで~!!奥歯ガタガタいわしたろか~!!
…どうなるリゾナンター!!
426 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 02:05:00.75 0
,. -ー冖'⌒'ー-、
,ノ \ <またまた~ご冗談を・・・やぁおひさしぶりですね☆
/ ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ
{ノ へ.._、 ,,/~` 〉 } ,r=-、
/プ ̄`y'¨Y´ ̄ヽ―}j=く /,ミ=/
ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ} 〃 /
/ _勺 イ;;∵r;==、、∴'∵; シ 〃 /
,/ └' ノ \ こ¨` ノ{ー--、〃__/
人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
. / |/ |::::::|、 〃 /:::::/ ヽ
/ | |::::::|\、_________/' /:::::/〃
,ノ \ <またまた~ご冗談を・・・やぁおひさしぶりですね☆
/ ,r‐へへく⌒'¬、 ヽ
{ノ へ.._、 ,,/~` 〉 } ,r=-、
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ノ /レ'>-〈_ュ`ー‐' リ,イ} 〃 /
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,/ └' ノ \ こ¨` ノ{ー--、〃__/
人__/ー┬ 个-、__,,.. ‐'´ 〃`ァーァー\
. / |/ |::::::|、 〃 /:::::/ ヽ
/ | |::::::|\、_________/' /:::::/〃
427 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 02:09:19.57 0
428 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 03:23:07.43 P
>>426
ツトム君w
ツトム君w
429 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 05:37:38.14 O
廃工場って何?
430 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 06:20:11.49 0
>>427
なにそのマジで悲しそうなガキさんw
つーか>>425実はそんなにヒドクないじゃんw …絵里以外はw
>>429
↓これが廃工場っぽい
http://www16.tok2.com/home/lightcap321/z13.jpg
なにそのマジで悲しそうなガキさんw
つーか>>425実はそんなにヒドクないじゃんw …絵里以外はw
>>429
↓これが廃工場っぽい
http://www16.tok2.com/home/lightcap321/z13.jpg
432 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:06:52.21 0
433 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:07:38.38 0
みんなには内緒にしていたけど、私には彼氏がいる。
彼の名は翔君。
私が子供の頃からお世話になっている病院にずっと入院している男の子だ。
彼は私よりもずっと重い心臓の病気で、子供の頃からずっと入院している。
病院内の児童教室で彼の書いた作文を読む機会があった。
その作文の中では彼はとっても元気で、ゆうと君という友達とドッジボールをしたり、女の子のスカートめくりをしていた。
みんな空想。
叶わない夢。
私はちょっと前、さゆや愛ちゃん、皆と出会う前の自分を見ているような気がして、たまらなくなった。
辛い検査、上向かない病状に苛立った彼が、治療を拒否していることを彼のお母さんから聞いた私は、
さゆを伴って彼を病院の中庭に連れ出した、そして。
「ねえさゆ」
「何なの、絵里」「ちょっとそこに立ってみて」
「こうって、キャー絵里のエッチ」
ねえ翔君、簡単でしょ。
女の子のスカートをめくることなんて。
心の中でイメージすればいいんだよ。
風が渦巻くイメージ、最初は弱く、優しく。
やがて心の中で風が見えてきたら、少し強く激しく。
そして心の中で風のイメージを掴まえたら、こんな風にびゅあっ、と。
「キャー絵里のエッチ」
彼の名は翔君。
私が子供の頃からお世話になっている病院にずっと入院している男の子だ。
彼は私よりもずっと重い心臓の病気で、子供の頃からずっと入院している。
病院内の児童教室で彼の書いた作文を読む機会があった。
その作文の中では彼はとっても元気で、ゆうと君という友達とドッジボールをしたり、女の子のスカートめくりをしていた。
みんな空想。
叶わない夢。
私はちょっと前、さゆや愛ちゃん、皆と出会う前の自分を見ているような気がして、たまらなくなった。
辛い検査、上向かない病状に苛立った彼が、治療を拒否していることを彼のお母さんから聞いた私は、
さゆを伴って彼を病院の中庭に連れ出した、そして。
「ねえさゆ」
「何なの、絵里」「ちょっとそこに立ってみて」
「こうって、キャー絵里のエッチ」
ねえ翔君、簡単でしょ。
女の子のスカートをめくることなんて。
心の中でイメージすればいいんだよ。
風が渦巻くイメージ、最初は弱く、優しく。
やがて心の中で風が見えてきたら、少し強く激しく。
そして心の中で風のイメージを掴まえたら、こんな風にびゅあっ、と。
「キャー絵里のエッチ」
434 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:08:43.62 0
やってごらん、教えて上げるから。
もちろん最初からうまく行くはずなんてないよ。
私だって最初の頃はヒドかった。
今でもさ、風を強く吹かせすぎることもあるし。
でもね、練習していけばいつかはきっとうまく行くよ。
今日がダメなら明日。
明日ダメならそのまた次の日。
少しずつ頑張っていけば、きっとできるようになる。
私が責任持って君を風使いにしてあげるからさ。
その代わりと言っちゃなんだけど、君もちゃんとお薬飲んで、お母さんやお医者さんの言うことをちゃんと聞かなきゃ、ね。
その日から私と彼の修行が始まった。
勿論治療に支障が出ないように、細心の注意を払いながら。
さゆも時間を作っては修行に付き合ってくれる、といっても立ってるだけなんだけど。
スカートめくりという目標が出来た彼の目には光が宿り、話す言葉にも生命のリズムが感じられるようになってきた。
私は彼の母親から感謝の言葉を貰ったが、感謝したいのは私の方だった。
こんな私みたいな人間でも誰かに希望を与えられることを教えてくれた翔君に対して。
このまま上手く行く。
翔君は風使いの能力を手にすることが出来て、病気も治る。
そう思っていた。
ある日いつものように翔君の修行を終えて、病院から帰ろうとしたら、ガキさんが怖い顔をして待っていた。
ガキさんは私たちが人前で力を使うことにあまりいい顔をしない。
例え人助けのために使ったとしても、結局は好奇心に晒され偏見の目で見られることになるから。
力で助けて欲しい人がたくさん出てきたときに、その全てを助けることなんて到底出来ないから。
力を使うのは、どうしても闇と戦わなければならない時に限って。
絶対強制ではないけれど、そんな風に諭されてきた。
もちろん最初からうまく行くはずなんてないよ。
私だって最初の頃はヒドかった。
今でもさ、風を強く吹かせすぎることもあるし。
でもね、練習していけばいつかはきっとうまく行くよ。
今日がダメなら明日。
明日ダメならそのまた次の日。
少しずつ頑張っていけば、きっとできるようになる。
私が責任持って君を風使いにしてあげるからさ。
その代わりと言っちゃなんだけど、君もちゃんとお薬飲んで、お母さんやお医者さんの言うことをちゃんと聞かなきゃ、ね。
その日から私と彼の修行が始まった。
勿論治療に支障が出ないように、細心の注意を払いながら。
さゆも時間を作っては修行に付き合ってくれる、といっても立ってるだけなんだけど。
スカートめくりという目標が出来た彼の目には光が宿り、話す言葉にも生命のリズムが感じられるようになってきた。
私は彼の母親から感謝の言葉を貰ったが、感謝したいのは私の方だった。
こんな私みたいな人間でも誰かに希望を与えられることを教えてくれた翔君に対して。
このまま上手く行く。
翔君は風使いの能力を手にすることが出来て、病気も治る。
そう思っていた。
ある日いつものように翔君の修行を終えて、病院から帰ろうとしたら、ガキさんが怖い顔をして待っていた。
ガキさんは私たちが人前で力を使うことにあまりいい顔をしない。
例え人助けのために使ったとしても、結局は好奇心に晒され偏見の目で見られることになるから。
力で助けて欲しい人がたくさん出てきたときに、その全てを助けることなんて到底出来ないから。
力を使うのは、どうしても闇と戦わなければならない時に限って。
絶対強制ではないけれど、そんな風に諭されてきた。
435 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:09:26.18 0
「聞いて、ガキさん。 絵里はね」
「さゆは黙っててくれるかな。 これは絵里の問題だから」
私は言葉がつかえながら、自分の胸の内を精一杯話した。
翔君に昔の自分を見たこと。
さゆや愛ちゃん、リゾナンターとのみんなの出会いが、私に生きる希望を与えてくれたように
翔君にも希望を与えたかったこと。
さゆは自分が無理を行ってつき合わせたから、悪いのは自分だってことを。
泣きながら謝った。
「ちょっと、待ちな。 なんであんたが謝るのさ」
「だってっ」
「私はリゾナンターの皆が、力を使うのを人に見られるのはいろんな意味で拙いと思ってる。
最初は面白おかしく扱われて、その内に化け物扱いされて、イカサマ呼ばわりされる。
そのぐらいは構わないさ。
でもね、力を使うことで消耗して、肝心の時に使えないようじゃ話にならない。
私たちが持って生まれたこの力は、闇を打ち払う為、この世界を救うためのものでなければならない。
ちょっと大げさかもしれないけど、私はマジでそう思ってる」
「ごめんなさい、ガキさん」
「だから何で謝るのさ。
あの子、あんたの小さな彼氏の病気が治るのか。 治ってもどんな大人になるのか。
それは私には判らない。
世界を救うヒーローになるかもしれないし、悪に染まるかもしれないし、平凡なサラリーマンになるのかもしれない。
でもね、あの子を待ってる幾つもの出会い、無限の可能性。
子供に希望を与えるってことは、世界を救うってことだから。
胸を張っておやりよ。 でも身体には気をつけなよ。
翔君も、それにあんたも」
「ガキさん、ありがとうっ」
「さゆは黙っててくれるかな。 これは絵里の問題だから」
私は言葉がつかえながら、自分の胸の内を精一杯話した。
翔君に昔の自分を見たこと。
さゆや愛ちゃん、リゾナンターとのみんなの出会いが、私に生きる希望を与えてくれたように
翔君にも希望を与えたかったこと。
さゆは自分が無理を行ってつき合わせたから、悪いのは自分だってことを。
泣きながら謝った。
「ちょっと、待ちな。 なんであんたが謝るのさ」
「だってっ」
「私はリゾナンターの皆が、力を使うのを人に見られるのはいろんな意味で拙いと思ってる。
最初は面白おかしく扱われて、その内に化け物扱いされて、イカサマ呼ばわりされる。
そのぐらいは構わないさ。
でもね、力を使うことで消耗して、肝心の時に使えないようじゃ話にならない。
私たちが持って生まれたこの力は、闇を打ち払う為、この世界を救うためのものでなければならない。
ちょっと大げさかもしれないけど、私はマジでそう思ってる」
「ごめんなさい、ガキさん」
「だから何で謝るのさ。
あの子、あんたの小さな彼氏の病気が治るのか。 治ってもどんな大人になるのか。
それは私には判らない。
世界を救うヒーローになるかもしれないし、悪に染まるかもしれないし、平凡なサラリーマンになるのかもしれない。
でもね、あの子を待ってる幾つもの出会い、無限の可能性。
子供に希望を与えるってことは、世界を救うってことだから。
胸を張っておやりよ。 でも身体には気をつけなよ。
翔君も、それにあんたも」
「ガキさん、ありがとうっ」
436 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:10:08.22 0
翔君が旅立った。
暑い季節だった。
それは余りに突然なことで、誰もが信じられないような顔をしていたし、私も信じたくなかった。
彼の両親からは、生前の息子が明るくなったことへの感謝の言葉を述べられたが、
その言葉は私の心の中を通り抜けて行っただけだった。
葬儀の日、私とさゆは出棺まで立ち会った。
さゆはずっと泣いていた。
自分の力で、彼を治せなかったことを悔やみながら。
私は泣かなかった。
自分がこんなに冷たい人間だとは思わなかった。
ただ、さゆを巻き込んだことで、悲しい目に合わせたことは済まないと思っていたが。
帰り道、何も話さずに手を繋いで歩いていた。
風一つ吹かない強い日差しの中を歩いていた。
セミの鳴き声が耳を射す。
不意に風が吹いた。
それは突然のことで、私やさゆのスカートの裾をふわりとはためかせていった。
見上げた空に小さな風使いの笑っている顔が見えたような気がした。
視野がぼやけたのは、目に汗が入ったからだろう。
翔君が旅立った。
暑い季節だった。
それは余りに突然なことで、誰もが信じられないような顔をしていたし、私も信じたくなかった。
彼の両親からは、生前の息子が明るくなったことへの感謝の言葉を述べられたが、
その言葉は私の心の中を通り抜けて行っただけだった。
葬儀の日、私とさゆは出棺まで立ち会った。
さゆはずっと泣いていた。
自分の力で、彼を治せなかったことを悔やみながら。
私は泣かなかった。
自分がこんなに冷たい人間だとは思わなかった。
ただ、さゆを巻き込んだことで、悲しい目に合わせたことは済まないと思っていたが。
帰り道、何も話さずに手を繋いで歩いていた。
風一つ吹かない強い日差しの中を歩いていた。
セミの鳴き声が耳を射す。
不意に風が吹いた。
それは突然のことで、私やさゆのスカートの裾をふわりとはためかせていった。
見上げた空に小さな風使いの笑っている顔が見えたような気がした。
視野がぼやけたのは、目に汗が入ったからだろう。
437 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:11:04.84 0
438 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 10:16:59.94 0
>>431
アップフロントビデオ。で見れるらしい
アップフロントビデオ。で見れるらしい
439 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 11:06:24.54 0
440 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 11:18:39.42 O
自分もあの2つからリゾナントしてこの作品を書いた>>437さんは
重病患者だと思う・・・もちろん良い意味で!w
重病患者だと思う・・・もちろん良い意味で!w
441 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 11:23:10.84 0
腹減ったなぁ今日のランチは…って 臨時休業じゃねぇか!またみんなどこか行ってるんだな
442 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/19(日) 11:55:38.00 0
ノノ*^ー^)<437さん お大事に
443 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 12:28:12.82 0
>>425 のこれにもリゾナント… 無理か…
川*’ー’) < そ、それならアーシは最近一人で半ケツのパンツはいて鏡で見とるがし!!
http://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen5443.jpg
http://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen5450.jpg
川*’ー’) < そ、それならアーシは最近一人で半ケツのパンツはいて鏡で見とるがし!!
http://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen5443.jpg
http://aewen.com/momusu/takahashi/img/aewen5450.jpg
444 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 12:43:40.56 0
445 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 14:17:18.40 0
446 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 15:31:26.78 0
ほんに暑いのう
447 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 16:17:58.74 O
川o・‐・)<皆既日食まで後3日、ふふふ
(構成員)<マルシェ様?ナニが起きるのですか?
川o・‐・)<ん~まだ内緒。廃墟の手配よろしくね
(構成員)<しかるべく
(構成員)<マルシェ様?ナニが起きるのですか?
川o・‐・)<ん~まだ内緒。廃墟の手配よろしくね
(構成員)<しかるべく
449 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 17:57:46.56 0
りぞりぞ食いてえええええええぇ
450 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 19:26:33.31 0
暫くは週末休みが続きそうですな
451 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 20:33:57.62 O
452 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 20:39:18.51 0
9DISCOのオープニング「SONGS」の冒頭、ステップを下りてくるところなんざ
『新しい戦闘服で出撃するリゾナンター』にしか見えんな… 重症患者w
『新しい戦闘服で出撃するリゾナンター』にしか見えんな… 重症患者w
453 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 20:41:51.70 O
454 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 22:12:08.47 0
小春が暴れてるよ
455 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:18:18.58 0
眠い
後はよろしく
後はよろしく
456 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:53:25.63 0
お久しぶり(?)です。
共鳴者の作者です。
新作投下に参りました。
以下注意事項
・ないやいさんの「ヴァリアントハンター」の世界観にリゾナントさせて頂いてます
・スレのテンプレにない能力が出てきます
・更新は何回かに分けて、そこまで長くはなりませんが中編くらいにはなりそうです
・グロ注意
以上ご留意頂ける方で読んで頂ける方がいらっしゃいましたら暇つぶしにどうぞ
共鳴開始は23:55より
共鳴者の作者です。
新作投下に参りました。
以下注意事項
・ないやいさんの「ヴァリアントハンター」の世界観にリゾナントさせて頂いてます
・スレのテンプレにない能力が出てきます
・更新は何回かに分けて、そこまで長くはなりませんが中編くらいにはなりそうです
・グロ注意
以上ご留意頂ける方で読んで頂ける方がいらっしゃいましたら暇つぶしにどうぞ
共鳴開始は23:55より
457 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:55:11.87 0
地球人口に対する超能力者の割合はすでに一割を超えている。
超能力者の存在が公式に認知されたのは異形種―ヴァリアント―出現の数十年前。
観測初期は地球総人口の数パーセントに満たなかった超能力者の比率だが、
ここ半世紀の統計記録を見てもその増加傾向は顕著だった。
超能力者は―少なくとも国籍を保持する者に関しては―各々の国家によって管理されている。
彼らは検査によってその能力の種別、強度を分類され、
日常生活においては数値に応じて安全装置、つまりはリミッターの着用を義務づけられた。
状況に応じてリミッターの解除が許可されているのは、
一部の者――例えばヴァリアントハンター達―のみである。
種別は複合能力、合成能力を含めると膨大な数に上るが、
強度についてはレベル0(無能力者、つまり一般人)からレベル12までが国際基準で定められている。
レベルについて気体操作能力者、俗に言う風使いを例にすると、
レベル1ではほんの微風、レベル6では暴風、レベル12になると台風、
つまり自然災害クラスの風を巻き起こせる能力者という分類になっている。
現在の統計ではレベルの低い能力者ほど数は多く、
レベル12に該当する超能力者に至っては全世界でも百名以下しか存在しない。
しかしなぜこれほど厳密な分類、管理の実施が成されているのか。
回答は至って明瞭である。
それは全人類の九割を占める一般人が――彼らを恐れているからに他ならない。
超能力者の存在が公式に認知されたのは異形種―ヴァリアント―出現の数十年前。
観測初期は地球総人口の数パーセントに満たなかった超能力者の比率だが、
ここ半世紀の統計記録を見てもその増加傾向は顕著だった。
超能力者は―少なくとも国籍を保持する者に関しては―各々の国家によって管理されている。
彼らは検査によってその能力の種別、強度を分類され、
日常生活においては数値に応じて安全装置、つまりはリミッターの着用を義務づけられた。
状況に応じてリミッターの解除が許可されているのは、
一部の者――例えばヴァリアントハンター達―のみである。
種別は複合能力、合成能力を含めると膨大な数に上るが、
強度についてはレベル0(無能力者、つまり一般人)からレベル12までが国際基準で定められている。
レベルについて気体操作能力者、俗に言う風使いを例にすると、
レベル1ではほんの微風、レベル6では暴風、レベル12になると台風、
つまり自然災害クラスの風を巻き起こせる能力者という分類になっている。
現在の統計ではレベルの低い能力者ほど数は多く、
レベル12に該当する超能力者に至っては全世界でも百名以下しか存在しない。
しかしなぜこれほど厳密な分類、管理の実施が成されているのか。
回答は至って明瞭である。
それは全人類の九割を占める一般人が――彼らを恐れているからに他ならない。
458 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:56:11.90 0
* * *
田中れいなは東京都内、渋谷区の一角にある繁華街の裏路地を歩いていた。
妖しげなバーやスナック、風俗店の看板が立ち並んでいるが、
日中だけあって人通りも乏しく、それらの看板からも毒気が抜かれている気がする。
ほどなくして、数刻前に通報のあった安普請のラブホテルに到着。
エントランスには部屋の種類と値段を表示した電光パネルが置かれている。
生憎とプライベートでは利用した経験がないのだが、
職業柄パネルの光が消えているそれが使用中の部屋であると判断できる。
光の消えている部屋は一室。通報にあった部屋番号とも一致する。
くもり硝子で仕切られたスタッフルームを一瞥すると、
べっとりと赤黒い血糊が人の手形を残して付着していた。
硝子の隙間から室内を覗うと、ひび割れた壁や床、
そして原型がなくなるまですり潰された人間の死体が見える。
辛うじて原型を留めている引き千切られた右腕には電話の受話器。
通報の電話が悲鳴と共に途切れたと聞いていたから想像はしていたが、
―――まったくもって、度し難い。
胸の奥にたぎる物を感じながらも、平静を装って件の部屋へと向かう。
スタッフルームから拝借してきた合鍵を使って室内へ。
毛足の短いカーペットを土足で踏みしめ、
* * *
田中れいなは東京都内、渋谷区の一角にある繁華街の裏路地を歩いていた。
妖しげなバーやスナック、風俗店の看板が立ち並んでいるが、
日中だけあって人通りも乏しく、それらの看板からも毒気が抜かれている気がする。
ほどなくして、数刻前に通報のあった安普請のラブホテルに到着。
エントランスには部屋の種類と値段を表示した電光パネルが置かれている。
生憎とプライベートでは利用した経験がないのだが、
職業柄パネルの光が消えているそれが使用中の部屋であると判断できる。
光の消えている部屋は一室。通報にあった部屋番号とも一致する。
くもり硝子で仕切られたスタッフルームを一瞥すると、
べっとりと赤黒い血糊が人の手形を残して付着していた。
硝子の隙間から室内を覗うと、ひび割れた壁や床、
そして原型がなくなるまですり潰された人間の死体が見える。
辛うじて原型を留めている引き千切られた右腕には電話の受話器。
通報の電話が悲鳴と共に途切れたと聞いていたから想像はしていたが、
―――まったくもって、度し難い。
胸の奥にたぎる物を感じながらも、平静を装って件の部屋へと向かう。
スタッフルームから拝借してきた合鍵を使って室内へ。
毛足の短いカーペットを土足で踏みしめ、
459 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:57:03.78 0
「………呆れた」
「こっちの台詞だっつーの。しつけーんだよお前ら」
れいなの呟きに、ソファで紫煙をくゆらせる上半身裸の男が応えた。
たいした上背もなく、見るからにひ弱そうな細い手足と薄い胸板。
目つきこそ凶悪だが、容姿を見ただけでは指名手配中の凶悪犯とは誰も思わないだろう。
ベッドでは同じく指名手配中のやつれた女が虚ろな視線を宙に漂わせ、
口からは涎が泡となって滴り落ちている。
傍らには注射器。大方ダウナー系のクスリにでも手を出したのだろう。
「警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査第5係、田中れいな。
アンタらを強盗、殺人、公務執行妨害、その他多数の容疑で逮捕する」
特殊班捜査第5係。
近年では珍しくなくなった、超能力犯罪への対策班である。
「ひとつ質問。逃げずに留まってるくせに通報者を殺した理由は?」
「理由? ハッ、んなのムカついたからに決まってんだろーが」
「……オーケー、今ので決めた。五体満足で逮捕してやるのはやめた」
パンツスーツの腰に提げた伸縮式警棒を手に取り、
血振りの要領でアルミ合金製の円柱を引き延ばす。
「馬鹿じゃね? 第5係ってことはテメーも超能力者だろうが、
一人で俺らを捕まえられるとでも思ってんのか?
レベルはいくつよ?」
「0」
「は?」
瞳に戦意を滾らせながらも無表情を貫くれいなの回答に、
男が狐につままれたような表情になる。
「こっちの台詞だっつーの。しつけーんだよお前ら」
れいなの呟きに、ソファで紫煙をくゆらせる上半身裸の男が応えた。
たいした上背もなく、見るからにひ弱そうな細い手足と薄い胸板。
目つきこそ凶悪だが、容姿を見ただけでは指名手配中の凶悪犯とは誰も思わないだろう。
ベッドでは同じく指名手配中のやつれた女が虚ろな視線を宙に漂わせ、
口からは涎が泡となって滴り落ちている。
傍らには注射器。大方ダウナー系のクスリにでも手を出したのだろう。
「警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査第5係、田中れいな。
アンタらを強盗、殺人、公務執行妨害、その他多数の容疑で逮捕する」
特殊班捜査第5係。
近年では珍しくなくなった、超能力犯罪への対策班である。
「ひとつ質問。逃げずに留まってるくせに通報者を殺した理由は?」
「理由? ハッ、んなのムカついたからに決まってんだろーが」
「……オーケー、今ので決めた。五体満足で逮捕してやるのはやめた」
パンツスーツの腰に提げた伸縮式警棒を手に取り、
血振りの要領でアルミ合金製の円柱を引き延ばす。
「馬鹿じゃね? 第5係ってことはテメーも超能力者だろうが、
一人で俺らを捕まえられるとでも思ってんのか?
レベルはいくつよ?」
「0」
「は?」
瞳に戦意を滾らせながらも無表情を貫くれいなの回答に、
男が狐につままれたような表情になる。
460 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:58:13.17 0
「オイオイオイオイ。こりゃまた笑える冗談だなオイ。
つい一昨日に数人がかりで返り討ちに遭ったの覚えてねーのか警察ってのは。
自慢じゃねーがリミッター外した俺のレベルは10だぞ?」
「覚えてるに決まっちょる。ついでに能力の種類は念動力(サイコキネシス)でしょ」
「ああ、なるほど。この建物周辺にSATだか何だかが待機してるわけだ?
要するにてめーはただのおとりだな」
「違う。ここにはれな一人しかおらん。それで充分ってのが上の判断」
「……もういいわ。テメーうぜぇよ。死ね」
頭をかかえた男が、さも面倒臭そうに掌をれいなに向ける。
瞬間、不可視の刃が周囲の景色を歪めながら男の目の前に据えられたテーブルを木屑へと変じさせる。
刃は勢いそのまま床板を張り裂きながられいな目掛けて突き進み、その矮躯を直撃した。
「なっ?!」
が、れいなは先と同じに警棒を正眼に構えたまま微動だにしていない。
「クソッ、無効化能力者(スキル・キャンセラー)か?!
おい出番だぞ女ぁッ!」
「あ……?」
「いつまでもキマってんじゃねーよ!
次の餌が欲しけりゃ仕事しろっつってんだよ!」
「え、さ……クス、リ……ッ!」
それまで虚ろな瞳を彷徨わせていた女の焦点が集い、男が掲げた白い粉の入った袋に向けられる。
次いで、その瞳は殺意を以てれいなの方へ。
つい一昨日に数人がかりで返り討ちに遭ったの覚えてねーのか警察ってのは。
自慢じゃねーがリミッター外した俺のレベルは10だぞ?」
「覚えてるに決まっちょる。ついでに能力の種類は念動力(サイコキネシス)でしょ」
「ああ、なるほど。この建物周辺にSATだか何だかが待機してるわけだ?
要するにてめーはただのおとりだな」
「違う。ここにはれな一人しかおらん。それで充分ってのが上の判断」
「……もういいわ。テメーうぜぇよ。死ね」
頭をかかえた男が、さも面倒臭そうに掌をれいなに向ける。
瞬間、不可視の刃が周囲の景色を歪めながら男の目の前に据えられたテーブルを木屑へと変じさせる。
刃は勢いそのまま床板を張り裂きながられいな目掛けて突き進み、その矮躯を直撃した。
「なっ?!」
が、れいなは先と同じに警棒を正眼に構えたまま微動だにしていない。
「クソッ、無効化能力者(スキル・キャンセラー)か?!
おい出番だぞ女ぁッ!」
「あ……?」
「いつまでもキマってんじゃねーよ!
次の餌が欲しけりゃ仕事しろっつってんだよ!」
「え、さ……クス、リ……ッ!」
それまで虚ろな瞳を彷徨わせていた女の焦点が集い、男が掲げた白い粉の入った袋に向けられる。
次いで、その瞳は殺意を以てれいなの方へ。
461 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:59:02.88 0
「クスリ…欲しい…獲物……止める……ッ!」
女が両の掌を合わせてこちらにかざし、何らかの能力を発動したのがれいなにも気配でわかった。
しかしれいなが女に向ける瞳にあるのは焦燥ではなく、むしろ憐憫だ。
クスリ漬けにされ、ほとんど意識のないまま男に飼われている。
その前情報に確信が持てた。
「ハッハーッ! コイツもテメェと同じ無効化能力者だ。
テメェのほんとのレベルがいくつかは知らねぇが、
レベル9のコイツを相手にしながら俺の攻撃は無効化できねぇよなぁ?!」
先にこの男の逮捕に向かった班が返り討ちに遭った理由がこれだ。
レベル10と言えば決して個体数の多い能力値ではないが、
同等以上の能力者なら警察側にも存在する。
だが、レベル9の能力無効化を受けて力が半減した状態では流石に撤退を余儀なくされた。
当然、れいながただの無効化能力者であったのなら同じ轍を踏むことになる。
「今度こそ死ねやぁッ!」
再び不可視の刃が、必殺の確信をこめてれいなに牙を剥く。
そして、直撃。
男の能力が舞い上げた埃や床板の破片が煙となってれいなを覆う。
男は丸太のように斬り潰されたれいなの死体を夢想した。
だが男はこの時点で、――致命的な誤解をしていることに気づく由もなかった。
「がっ?!」
気がつくと、男は床に打ち倒され、天井を仰ぎ見ている。
鼻に激痛。手を触れると、鼻骨はあらぬ方向に捻じ曲がり、
掌にはべったりと濃い赤が付着していた。
揺らぐ視界を混乱も収まらぬ内に持ち上げると、
男を見下す位置でれいなが警棒の先端をひたりと男の鼻先に据えている。
女が両の掌を合わせてこちらにかざし、何らかの能力を発動したのがれいなにも気配でわかった。
しかしれいなが女に向ける瞳にあるのは焦燥ではなく、むしろ憐憫だ。
クスリ漬けにされ、ほとんど意識のないまま男に飼われている。
その前情報に確信が持てた。
「ハッハーッ! コイツもテメェと同じ無効化能力者だ。
テメェのほんとのレベルがいくつかは知らねぇが、
レベル9のコイツを相手にしながら俺の攻撃は無効化できねぇよなぁ?!」
先にこの男の逮捕に向かった班が返り討ちに遭った理由がこれだ。
レベル10と言えば決して個体数の多い能力値ではないが、
同等以上の能力者なら警察側にも存在する。
だが、レベル9の能力無効化を受けて力が半減した状態では流石に撤退を余儀なくされた。
当然、れいながただの無効化能力者であったのなら同じ轍を踏むことになる。
「今度こそ死ねやぁッ!」
再び不可視の刃が、必殺の確信をこめてれいなに牙を剥く。
そして、直撃。
男の能力が舞い上げた埃や床板の破片が煙となってれいなを覆う。
男は丸太のように斬り潰されたれいなの死体を夢想した。
だが男はこの時点で、――致命的な誤解をしていることに気づく由もなかった。
「がっ?!」
気がつくと、男は床に打ち倒され、天井を仰ぎ見ている。
鼻に激痛。手を触れると、鼻骨はあらぬ方向に捻じ曲がり、
掌にはべったりと濃い赤が付着していた。
揺らぐ視界を混乱も収まらぬ内に持ち上げると、
男を見下す位置でれいなが警棒の先端をひたりと男の鼻先に据えている。
462 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/19(日) 23:59:58.55 0
「へ、へめぇッ?! ろうして?!」
「言ったでしょ。れなはレベル0。無能力者。要するに一般人やって」
「ふあけんなッ! いっはんひんがおれに――」
呂律の回らない舌で喚く男のこめかみに、警棒を軽く一閃。黙らせる。
「どこで検査しても何の反応も出ない、正真正銘の無能力者。
ただし、どういう原理かどんな能力でも強弱問わず霧散させることができる、
まあ言ってみれば体質? 超能力判定がレベル0だから、
超能力者であることが前提のヴァリアントハンターにはなれなかったけどね。
上司は能力無効化(スキル・キャンセル)ならぬ能力殺し(スキル・キリング)なんて呼ぶよ」
「ち、ちひしょ、れめぇ、おほへてろ……ッ!」
「あら、この期に及んでそういう口利くっちゃね。
言い忘れてたけど、れなは能力に関しては確かに一般人。ただし――」
そこでれいなは、微笑と呼ぶにはあまりに嗜虐的な、
男がそれこそその場で失禁するほどの笑みを見せた。
「剣道二段。柔道初段。極真空手二段。
ついでに古流剣術と柔術、ムエタイ、ボクシング、
それから八極拳、劈掛拳なんかも少々かじってます☆
で、最初に言っちょったよね? 五体満足で逮捕すんのやめたって」
「ちょ、まひぇ、へめ、それれも警官――ぎゃあああああああああああああ!!!」
「言ったでしょ。れなはレベル0。無能力者。要するに一般人やって」
「ふあけんなッ! いっはんひんがおれに――」
呂律の回らない舌で喚く男のこめかみに、警棒を軽く一閃。黙らせる。
「どこで検査しても何の反応も出ない、正真正銘の無能力者。
ただし、どういう原理かどんな能力でも強弱問わず霧散させることができる、
まあ言ってみれば体質? 超能力判定がレベル0だから、
超能力者であることが前提のヴァリアントハンターにはなれなかったけどね。
上司は能力無効化(スキル・キャンセル)ならぬ能力殺し(スキル・キリング)なんて呼ぶよ」
「ち、ちひしょ、れめぇ、おほへてろ……ッ!」
「あら、この期に及んでそういう口利くっちゃね。
言い忘れてたけど、れなは能力に関しては確かに一般人。ただし――」
そこでれいなは、微笑と呼ぶにはあまりに嗜虐的な、
男がそれこそその場で失禁するほどの笑みを見せた。
「剣道二段。柔道初段。極真空手二段。
ついでに古流剣術と柔術、ムエタイ、ボクシング、
それから八極拳、劈掛拳なんかも少々かじってます☆
で、最初に言っちょったよね? 五体満足で逮捕すんのやめたって」
「ちょ、まひぇ、へめ、それれも警官――ぎゃあああああああああああああ!!!」
463 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/20(月) 00:02:08.64 0
464 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 00:07:58.05 0
乙です
クールなれいながたまらなくカッケー
読むうちにどんどん引き込まれました・・・早く続き読みたいw
クールなれいながたまらなくカッケー
読むうちにどんどん引き込まれました・・・早く続き読みたいw
465 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 00:10:15.12 0
466 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 00:54:43.30 O
ハロ紺帰りに共鳴者さんの作品が読めるとは!
すぐにでも続きが読みたいね!
すぐにでも続きが読みたいね!
467 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 02:02:13.00 O
ないやいさんのヴァリアントハンターと同じ世界観なのにまた違った話のようでワクワクしました
続きも楽しみにしています!
続きも楽しみにしています!
469 : softbank219025060016.bbtec.net[] 投稿日:2009/07/20(月) 02:23:05.68 0
470 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 02:28:22.93 0
俺もやっと解除されたよ
嬉しいね
嬉しいね
471 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 02:31:20.53 0
4月20日からだったもんなー
ほんと長かったよ
ほんと長かったよ
473 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 02:55:11.88 0
>>472
あらら
あらら
474 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 03:09:44.30 0
みんなお帰り
475 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 04:01:27.64 0
解除キタコレ(゚∀゚)ッ!!
476 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 06:41:48.94 O
賑わえ リゾスレ…!
477 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 06:43:33.05 O
みんな帰って来たーー!!!
戦士達が帰って来たーーー!!!
戦士達が帰って来たーーー!!!
478 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 06:59:35.72 O
479 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 07:07:09.96 O
規制解除されたら何か書こうと思ってて
先週解除されて連休に浮かれてたらまた規制されたOrz
先週解除されて連休に浮かれてたらまた規制されたOrz
480 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 07:31:51.26 O
481 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 07:58:44.13 0
皆さんお帰りなさい! そして ようこそ!
>>463
共鳴者さんもお帰りなさい! ないやいさんに設定こそリゾナント… とは言え逆に独自の
世界観がスゴイです。続編待ってます!
そんな共鳴者さんの後で気が退けまくりですが… 良い時期がないので…、
下記の作品の続きをうpさせて下さい。
お時間がある方はぜひ前パートと併せて読んでいただけるとありがたいです。
[Kusumi](29)468 『少年の瞳』
http://resonanter.blog47.fc2.com/blog-entry-273.html
[Kusumi](29)583 『少年の瞳(2)』
http://resonanter.blog47.fc2.com/blog-entry-277.html
>>463
共鳴者さんもお帰りなさい! ないやいさんに設定こそリゾナント… とは言え逆に独自の
世界観がスゴイです。続編待ってます!
そんな共鳴者さんの後で気が退けまくりですが… 良い時期がないので…、
下記の作品の続きをうpさせて下さい。
お時間がある方はぜひ前パートと併せて読んでいただけるとありがたいです。
[Kusumi](29)468 『少年の瞳』
http://resonanter.blog47.fc2.com/blog-entry-273.html
[Kusumi](29)583 『少年の瞳(2)』
http://resonanter.blog47.fc2.com/blog-entry-277.html
482 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 07:59:54.13 0
『少年の瞳(3)』
「あ~ん?誰だよ…?」
吉澤が、今さっきまで命のやり取りをしていたとは思えない、気の抜けた声を出す。
しかし、次の瞬間吉澤は再び“戦闘者”の表情になると、銃を構えなおしドアへと近づいた。
襲撃が想定される場合、ノックされたドアに正面から近づくのは危険だ。吉澤はセオリー通りドア横の壁際に立ち、一度ドアノブを回して音を立てて見せる。
…しかし、外からは何の反応も無い。
「うおおおおい!!誰だあ!?」
突然、面倒になったのか、吉澤が大声を上げる。小春の肩がビクっと動いた。
「俺っす!ヒロシっす!」
さっきの少年の声だ。
「あ~んだよぉ!今取り込み中だっつの!!」
「スンマセン!ちょっとだけでイイす!みんな集まったんで!」
「…みんな… って…え? なんだよ…?」
吉澤はいぶかしげにつぶやくと、右手でドアを少し開けて外を透かし見る。
「…!?」
バンッ!っと吉澤があわてた様にドアを閉め、小春を振り返る。もとより吉澤の大きな瞳が、さらに大きく見開かれ、小春を見ている。
「…ぬ…!?なんなんですか!?」
「久住… おまえって、『月島きらり』なんだよなあ…」
「…?…」
「一時休戦だ…。逃げるなよ」
吉澤はそう言うと両手の拳銃を無造作に放り投げる。クルクルと回転して落ちる拳銃は、床に触れる直前に光となって消えた。
「あ~ん?誰だよ…?」
吉澤が、今さっきまで命のやり取りをしていたとは思えない、気の抜けた声を出す。
しかし、次の瞬間吉澤は再び“戦闘者”の表情になると、銃を構えなおしドアへと近づいた。
襲撃が想定される場合、ノックされたドアに正面から近づくのは危険だ。吉澤はセオリー通りドア横の壁際に立ち、一度ドアノブを回して音を立てて見せる。
…しかし、外からは何の反応も無い。
「うおおおおい!!誰だあ!?」
突然、面倒になったのか、吉澤が大声を上げる。小春の肩がビクっと動いた。
「俺っす!ヒロシっす!」
さっきの少年の声だ。
「あ~んだよぉ!今取り込み中だっつの!!」
「スンマセン!ちょっとだけでイイす!みんな集まったんで!」
「…みんな… って…え? なんだよ…?」
吉澤はいぶかしげにつぶやくと、右手でドアを少し開けて外を透かし見る。
「…!?」
バンッ!っと吉澤があわてた様にドアを閉め、小春を振り返る。もとより吉澤の大きな瞳が、さらに大きく見開かれ、小春を見ている。
「…ぬ…!?なんなんですか!?」
「久住… おまえって、『月島きらり』なんだよなあ…」
「…?…」
「一時休戦だ…。逃げるなよ」
吉澤はそう言うと両手の拳銃を無造作に放り投げる。クルクルと回転して落ちる拳銃は、床に触れる直前に光となって消えた。
483 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:00:58.16 0
「…普通逃げるっつーの」
小春は小さな声でつぶやく。
吉澤はそんな小春の声が聞こえているのかいないのか、かまわずに今度はドアを大きく開け放った。
「あれ…!?」
小春が声を上げる。
ドアの向こう、アパートの前の路地には、瞳をキラッキラに輝かせた、10数人の少年少女たちが待ち構えていた。
「まったくよお!!あんだけ秘密だっつったろーがYO!!」
吉澤が外に歩み出ながらあきれたように叫ぶ。
「いや、大丈夫っす!全員“秘密にする”って約束させましたから!!」
ヒロシがキッパリと答える。
「…そ~ゆ~ことじゃ~ね~だろ~が~…!!」
「あ…、痛い痛い!兄貴グーはやめて!」
ヒロシが吉澤にグリグリと小突かれているのを横目で見ながら、小春も外に出る。
唖然としている小春に、眼を輝かせた子供等が駆け寄ってくる。
「わ~、本物のきらりちゃんだ~!!」
「…サインしてくれますか!?」
「これ、見て!!きらりちゃんのお洋服も買ったの!!」
CDや、中には『月島きらり』のコスプレの衣装を持った女の子までが、一斉に小春を囲んで話し掛けてくる。
これは…どうしたものか…?と、小春が吉澤の様子をうかがうと、吉澤はヒロシにヘッドロックをかけながら、
「あー、とりあえずサインとか、してやってくんないかなあ?」
と、緊張感のかけらも無い。
「…普通逃げるっつーの」
小春は小さな声でつぶやく。
吉澤はそんな小春の声が聞こえているのかいないのか、かまわずに今度はドアを大きく開け放った。
「あれ…!?」
小春が声を上げる。
ドアの向こう、アパートの前の路地には、瞳をキラッキラに輝かせた、10数人の少年少女たちが待ち構えていた。
「まったくよお!!あんだけ秘密だっつったろーがYO!!」
吉澤が外に歩み出ながらあきれたように叫ぶ。
「いや、大丈夫っす!全員“秘密にする”って約束させましたから!!」
ヒロシがキッパリと答える。
「…そ~ゆ~ことじゃ~ね~だろ~が~…!!」
「あ…、痛い痛い!兄貴グーはやめて!」
ヒロシが吉澤にグリグリと小突かれているのを横目で見ながら、小春も外に出る。
唖然としている小春に、眼を輝かせた子供等が駆け寄ってくる。
「わ~、本物のきらりちゃんだ~!!」
「…サインしてくれますか!?」
「これ、見て!!きらりちゃんのお洋服も買ったの!!」
CDや、中には『月島きらり』のコスプレの衣装を持った女の子までが、一斉に小春を囲んで話し掛けてくる。
これは…どうしたものか…?と、小春が吉澤の様子をうかがうと、吉澤はヒロシにヘッドロックをかけながら、
「あー、とりあえずサインとか、してやってくんないかなあ?」
と、緊張感のかけらも無い。
484 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:02:23.59 0
それならば…と、小春の『きらりモード』のスイッチが入る。
当初は『クールビューティー』なイメージで売りだされ、持ち前の美貌から大きな注目を集めていた小春=『月島きらり』であった。
しかし、最近は小春自身の心境の変化からか、時折見せるようになった明るい、ポジティブな表情が世間に受け入れられ、少年少女を中心に、大きな人気を呼ぶに至っていた。
「じゃあ、サイン欲しい人は並んでくれるかなー!?」
「はーい!!」
小春の声と共に、周囲へ『アイドル』『スター』としてのオーラが放たれる。暗い下町の路地裏の一角が、明るく、華やかな空気で満たされたように感じられた。
子供らにサインをしてやりながら、小春はそれとなく吉澤の様子をうかがう。しかし、吉澤は空港で小春に書いてもらったサインを、サインを待つ子らに見せびらかしていた。
「…能天気なヤツ…!」
小春はひそかにつぶやきながら、子供たちに向きなおった。
ひとしきり子供等と言葉を交わし、サインをし終えると、吉澤がアパートの中から猫用のバスケットを抱えて現れる。
「…これ、使えや」
小春が中をのぞくと、行儀良く座っている猫の垂れ耳が見える。
「…どういうこと…!?さっきの続きは…!?」
「ふん…、シラケちまったよ…。あいつらの前でドンパチでもねえだろ?」
「手段は…、選ばなかったんじゃないんですか?」
「いざとなればな…。ただ、別に今回は俺の任務でもねえしYO! それに… 約束もあるしな」
「約束…?」
小春の問いかけに、吉澤はニヤッと笑って見せただけだった。
それならば…と、小春の『きらりモード』のスイッチが入る。
当初は『クールビューティー』なイメージで売りだされ、持ち前の美貌から大きな注目を集めていた小春=『月島きらり』であった。
しかし、最近は小春自身の心境の変化からか、時折見せるようになった明るい、ポジティブな表情が世間に受け入れられ、少年少女を中心に、大きな人気を呼ぶに至っていた。
「じゃあ、サイン欲しい人は並んでくれるかなー!?」
「はーい!!」
小春の声と共に、周囲へ『アイドル』『スター』としてのオーラが放たれる。暗い下町の路地裏の一角が、明るく、華やかな空気で満たされたように感じられた。
子供らにサインをしてやりながら、小春はそれとなく吉澤の様子をうかがう。しかし、吉澤は空港で小春に書いてもらったサインを、サインを待つ子らに見せびらかしていた。
「…能天気なヤツ…!」
小春はひそかにつぶやきながら、子供たちに向きなおった。
ひとしきり子供等と言葉を交わし、サインをし終えると、吉澤がアパートの中から猫用のバスケットを抱えて現れる。
「…これ、使えや」
小春が中をのぞくと、行儀良く座っている猫の垂れ耳が見える。
「…どういうこと…!?さっきの続きは…!?」
「ふん…、シラケちまったよ…。あいつらの前でドンパチでもねえだろ?」
「手段は…、選ばなかったんじゃないんですか?」
「いざとなればな…。ただ、別に今回は俺の任務でもねえしYO! それに… 約束もあるしな」
「約束…?」
小春の問いかけに、吉澤はニヤッと笑って見せただけだった。
485 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:03:07.79 0
「えー!!『ミー子』、きらりちゃんにもらわれてくの!?」
「えー!!マジ!?すげー!!」
子供達はみな『ミー子』を知っているらしく、再び小春の周りに集まってくる。
「ミー子、きらりちゃん家で飼われるの?」
「ううん、あたしとお友達と、みんなでだよ」
「ふ~ん… さびしくなるなあ…」
「ごめんね… でも、この子はあたしのとっても大事な子なの。大事にするから、許してね?」
「そーだ、きらりちゃんところにいったら、なまえ、かわっちゃうの?」
「う~ん…そうだなあ… ねえ、『ミー子』を短くして、『ミー』にしてもいい?」
「うん!それならいいよ!!」
たずねた少女の顔がパッと明るくなる。
「今日からきみは『ミー』だよ!かわいいなまえになるね!元気でね!」
*** *** ***
路地の一角にずらりと並んだ子供達と吉澤に見送られながら、小春はタクシーに乗り込んだ。タクシーが走り出し、手を振り続ける子供達が見えなくなる頃、小春はシートに深々と沈み込み、ほうっと大きな溜息をつく。
「…疲れた…」
ぐったりとシートにもたれかかりながら、それでも小春はバスケットの網目の隙間から、『ミー』の様子をのぞき込む。
バスケットの中では、ミーが行儀良く座りながら、まん丸な眼で小春を見つめていた。
「…よかった…。でも、ごめんね…?また危ない目にあわせちゃったね…」
小春はバスケットのふたを少し開け、ミーの喉をくすぐってやる。ミーは以前と同じように、幸せそうに目を細めて喉を鳴らし続けていた。
ふと、小春は目を上げてつぶやく。
「“約束”って… 何の事だったんだろ…」
「えー!!『ミー子』、きらりちゃんにもらわれてくの!?」
「えー!!マジ!?すげー!!」
子供達はみな『ミー子』を知っているらしく、再び小春の周りに集まってくる。
「ミー子、きらりちゃん家で飼われるの?」
「ううん、あたしとお友達と、みんなでだよ」
「ふ~ん… さびしくなるなあ…」
「ごめんね… でも、この子はあたしのとっても大事な子なの。大事にするから、許してね?」
「そーだ、きらりちゃんところにいったら、なまえ、かわっちゃうの?」
「う~ん…そうだなあ… ねえ、『ミー子』を短くして、『ミー』にしてもいい?」
「うん!それならいいよ!!」
たずねた少女の顔がパッと明るくなる。
「今日からきみは『ミー』だよ!かわいいなまえになるね!元気でね!」
*** *** ***
路地の一角にずらりと並んだ子供達と吉澤に見送られながら、小春はタクシーに乗り込んだ。タクシーが走り出し、手を振り続ける子供達が見えなくなる頃、小春はシートに深々と沈み込み、ほうっと大きな溜息をつく。
「…疲れた…」
ぐったりとシートにもたれかかりながら、それでも小春はバスケットの網目の隙間から、『ミー』の様子をのぞき込む。
バスケットの中では、ミーが行儀良く座りながら、まん丸な眼で小春を見つめていた。
「…よかった…。でも、ごめんね…?また危ない目にあわせちゃったね…」
小春はバスケットのふたを少し開け、ミーの喉をくすぐってやる。ミーは以前と同じように、幸せそうに目を細めて喉を鳴らし続けていた。
ふと、小春は目を上げてつぶやく。
「“約束”って… 何の事だったんだろ…」
486 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:04:05.44 0
*** *** ***
小春を乗せたタクシーが走り去ると、見送っていた子供達は、それぞれに昂ぶった心を抱え、笑顔で家路についた。
後には、少々不満げな顔の吉澤と、満ち足りた顔で眼を輝かせている、『ヒロシ』の二人だけが残る。
「…うおい…!」
吉澤が声を上げる。
「ヒロシ、どういう事だよ!?AA(ダブルエー)ランクを取り逃がしちまったじゃねーか!?」
「…まあ、あんまり気乗りのする仕事じゃなかったが… バレたら、なかざーさんが怒りまくるぜ!?」
「逆ですよ、兄貴!!…彼女らは『AAランク』なんかじゃねーす!」
「あんだとぉ…!?」
「LAで後藤さんに会ったってーのは偶然です!しかも、なんと後藤さんの襲撃を正面から退けちまったってんで、逆に今までの『Bランク』から、今じゃあ『S』扱いです!」
「ん…! なかざーさんの直轄対応かよ!?」
「そーす!そんで、とりあえず中澤さんの指示が出るまでは監視続行、勝手な接触は厳禁、つーことです」
「ま、オイラの考えじゃあ、中澤さんが直接『組織』への加入要請に動くんじゃあないかと」
「…おまえの考えなんてどーでもいいんだよ…。しかし、そうだったのか…。ヤバかったな…」
吉澤はぺろりと舌を出すと、首をすくめて見せた。
小春を乗せたタクシーが走り去ると、見送っていた子供達は、それぞれに昂ぶった心を抱え、笑顔で家路についた。
後には、少々不満げな顔の吉澤と、満ち足りた顔で眼を輝かせている、『ヒロシ』の二人だけが残る。
「…うおい…!」
吉澤が声を上げる。
「ヒロシ、どういう事だよ!?AA(ダブルエー)ランクを取り逃がしちまったじゃねーか!?」
「…まあ、あんまり気乗りのする仕事じゃなかったが… バレたら、なかざーさんが怒りまくるぜ!?」
「逆ですよ、兄貴!!…彼女らは『AAランク』なんかじゃねーす!」
「あんだとぉ…!?」
「LAで後藤さんに会ったってーのは偶然です!しかも、なんと後藤さんの襲撃を正面から退けちまったってんで、逆に今までの『Bランク』から、今じゃあ『S』扱いです!」
「ん…! なかざーさんの直轄対応かよ!?」
「そーす!そんで、とりあえず中澤さんの指示が出るまでは監視続行、勝手な接触は厳禁、つーことです」
「ま、オイラの考えじゃあ、中澤さんが直接『組織』への加入要請に動くんじゃあないかと」
「…おまえの考えなんてどーでもいいんだよ…。しかし、そうだったのか…。ヤバかったな…」
吉澤はぺろりと舌を出すと、首をすくめて見せた。
487 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:05:21.07 0
「だが…これで、あいつらが今後『仲間』になる可能性も、全く無い訳じゃないんだな…」
吉澤がつぶやく。
「そうっすよ!兄貴!…あの『きらり』ちゃんがオイラたちの仲間に…!?」
「いや、『きらり』じゃねーつーの…。つーか、おまえずっと“透視(み)てた”だろ!?あんだけ“透視(み)る”なっつってんのによ!」
「いや、仕方ないじゃないですか!あの『きらり』ちゃんですよ!?本当はどんな娘なのか、知りたいじゃないすか!?」
「あー、やだやだ。そういうのをスケベ心って言うんだよ…。なんでおまえみたいなのに、そんな『透視能力(チカラ)』がついたかねえ…」
「なんつーこと言うんすか兄貴!こんな純粋な男の子をつかまえて!それに、オイラが止めたから大事にならなかったんですよ!」
「まあ、そりゃそうだな」
吉澤はあっさりと認める。
「ただまあ、あのまま行ったとしても、殺しちゃいないだろうけどな…」
「兄貴、気に入ってましたもんねえ…」
ヒロシがぼそっとつぶやく。
「お、わかったか?」
吉澤はニヤリと笑う。
「兄貴、後輩とか部下とか、怒らせるの好きっすよねえ?つーか怒って向かってくるようなヤツが好きって言うか…」
「…うるせえよ…。スゲー嫌なヤツみてえじゃねえかソレ」
「つーか兄貴、そういえばあの『きらり』ちゃんへの質問、正解ってなんなんすか?」
「…アホかおまえ。あんな質問に『正解』なんてあるわけねーだろが!!」
吉澤はあっさりと言い放つ。
「げっ!そりゃひでえや…」
「だが…これで、あいつらが今後『仲間』になる可能性も、全く無い訳じゃないんだな…」
吉澤がつぶやく。
「そうっすよ!兄貴!…あの『きらり』ちゃんがオイラたちの仲間に…!?」
「いや、『きらり』じゃねーつーの…。つーか、おまえずっと“透視(み)てた”だろ!?あんだけ“透視(み)る”なっつってんのによ!」
「いや、仕方ないじゃないですか!あの『きらり』ちゃんですよ!?本当はどんな娘なのか、知りたいじゃないすか!?」
「あー、やだやだ。そういうのをスケベ心って言うんだよ…。なんでおまえみたいなのに、そんな『透視能力(チカラ)』がついたかねえ…」
「なんつーこと言うんすか兄貴!こんな純粋な男の子をつかまえて!それに、オイラが止めたから大事にならなかったんですよ!」
「まあ、そりゃそうだな」
吉澤はあっさりと認める。
「ただまあ、あのまま行ったとしても、殺しちゃいないだろうけどな…」
「兄貴、気に入ってましたもんねえ…」
ヒロシがぼそっとつぶやく。
「お、わかったか?」
吉澤はニヤリと笑う。
「兄貴、後輩とか部下とか、怒らせるの好きっすよねえ?つーか怒って向かってくるようなヤツが好きって言うか…」
「…うるせえよ…。スゲー嫌なヤツみてえじゃねえかソレ」
「つーか兄貴、そういえばあの『きらり』ちゃんへの質問、正解ってなんなんすか?」
「…アホかおまえ。あんな質問に『正解』なんてあるわけねーだろが!!」
吉澤はあっさりと言い放つ。
「げっ!そりゃひでえや…」
488 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:06:20.64 0
「ばーか。ちげーよ、どんな『選択』だって、そいつが信じて選んだ『選択』なら、それがそいつにとっての『正解』に決まってるだろうが!!」
「じゃあ、『きらり』ちゃんの『選択』は…?」
「ふん…。まあ大正解ど真ん中って事よ…。つーか『きらり』じゃねーっつの」
「まあ、あいつがああするのは読めてたからな…。そこはまだ経験が足りない…。カウント2か、3の段階で仕掛けられてたら、俺も危なかったがな」
「兄貴、カウント4で完全に声大きくなってましたもんね!」
「うるせーよ…。おまえ、細かいトコ見てんな~?」
「いや、しかし、『きらり』ちゃん、最高っすよ!惚れ直しました!」
「ふん…。そうだな…」
「兄貴、俺、決めましたよ!」
「ん…?なんだよ?」
「…『月島きらり』は俺の嫁…!」
…ガッ!!…
「…兄貴…だからグーは止めて…」
そんなヒロシ少年の瞳にも、来るべき『新世界』の姿は見えているのか…?
…『能力者たちの新世界』への道程は未だ遠い。
「ばーか。ちげーよ、どんな『選択』だって、そいつが信じて選んだ『選択』なら、それがそいつにとっての『正解』に決まってるだろうが!!」
「じゃあ、『きらり』ちゃんの『選択』は…?」
「ふん…。まあ大正解ど真ん中って事よ…。つーか『きらり』じゃねーっつの」
「まあ、あいつがああするのは読めてたからな…。そこはまだ経験が足りない…。カウント2か、3の段階で仕掛けられてたら、俺も危なかったがな」
「兄貴、カウント4で完全に声大きくなってましたもんね!」
「うるせーよ…。おまえ、細かいトコ見てんな~?」
「いや、しかし、『きらり』ちゃん、最高っすよ!惚れ直しました!」
「ふん…。そうだな…」
「兄貴、俺、決めましたよ!」
「ん…?なんだよ?」
「…『月島きらり』は俺の嫁…!」
…ガッ!!…
「…兄貴…だからグーは止めて…」
そんなヒロシ少年の瞳にも、来るべき『新世界』の姿は見えているのか…?
…『能力者たちの新世界』への道程は未だ遠い。
489 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:07:18.44 0
< epilogue >
数日の後…。あるよく晴れた初夏の日の午前、喫茶『リゾナント』では、小春が光井愛佳と窓際の、同じテーブルで向き合っていた。
たまの小春の休暇に、二人で出かけようと『リゾナント』で待ち合わせたのだった。
窓のすぐ外、街路樹が作りだす木陰に置かれた、喫茶『リゾナント』のスタンド看板の上には、まだ表情に幼さを残した『ミー』が、ちょこんと座っているのが見える。
「…あれはほんまの〝看板猫”ですねえ…」
「…うふふ…。そうだねえ…」
二人は、ミーの様子を飽きもせずにずっと見ていた。
〝モーニングセット”を求めるお客の波が去り、今はゆっくりと時間を過ごす、常連客の多い時間帯となっていた。
時折カラン…とドアを鳴らして入ってくるお客も、ミーに手を振ったり、軽く頭に手を置いて、この店の〝看板猫”に敬意を表してくれる。
ふと、小春はなぜか少し気弱そうな表情になり、愛佳に問い掛ける。
「…ねえ…、ミッツィー…。もしも…、もしもだよ…?」
「…はい…?」
「悪いヤツが来てさ…、こうやってさ…、ピストルを突きつけて、ミーか小春か、どっちかの命を“選べ”って言われたとしたら…、ミッツィーなら…、どうする…?」
小春は両手をピストルの形にしてひろげて見せる。
「…なんですのん、そのシチュエーション…?」
愛佳が眼を丸くする。
「いや…!だからさ!…もしも、だよ!もしも…!」
小春が慌てて手をぶんぶんと振る。
しかし、愛佳は考え込む様子もなく、あっさりと答える。
「…そんなん、簡単ですやん」
「ええ!?…そう? …こ、小春を、選ぶ…?」
そう、恐る恐る聞く小春に、
「違いますよお~」
と、愛佳はニッコリと笑って答える。
< epilogue >
数日の後…。あるよく晴れた初夏の日の午前、喫茶『リゾナント』では、小春が光井愛佳と窓際の、同じテーブルで向き合っていた。
たまの小春の休暇に、二人で出かけようと『リゾナント』で待ち合わせたのだった。
窓のすぐ外、街路樹が作りだす木陰に置かれた、喫茶『リゾナント』のスタンド看板の上には、まだ表情に幼さを残した『ミー』が、ちょこんと座っているのが見える。
「…あれはほんまの〝看板猫”ですねえ…」
「…うふふ…。そうだねえ…」
二人は、ミーの様子を飽きもせずにずっと見ていた。
〝モーニングセット”を求めるお客の波が去り、今はゆっくりと時間を過ごす、常連客の多い時間帯となっていた。
時折カラン…とドアを鳴らして入ってくるお客も、ミーに手を振ったり、軽く頭に手を置いて、この店の〝看板猫”に敬意を表してくれる。
ふと、小春はなぜか少し気弱そうな表情になり、愛佳に問い掛ける。
「…ねえ…、ミッツィー…。もしも…、もしもだよ…?」
「…はい…?」
「悪いヤツが来てさ…、こうやってさ…、ピストルを突きつけて、ミーか小春か、どっちかの命を“選べ”って言われたとしたら…、ミッツィーなら…、どうする…?」
小春は両手をピストルの形にしてひろげて見せる。
「…なんですのん、そのシチュエーション…?」
愛佳が眼を丸くする。
「いや…!だからさ!…もしも、だよ!もしも…!」
小春が慌てて手をぶんぶんと振る。
しかし、愛佳は考え込む様子もなく、あっさりと答える。
「…そんなん、簡単ですやん」
「ええ!?…そう? …こ、小春を、選ぶ…?」
そう、恐る恐る聞く小春に、
「違いますよお~」
と、愛佳はニッコリと笑って答える。
490 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:08:36.44 0
「ええ~!?違うのお!?」
小春が悲しげな声をあげる。
「…違います!…愛佳は…、その“悪いヤツ”をぶっとばします…!!」
愛佳はそう言うと、ぐっと握った小さな右手の拳骨を突き出して、もう一度ニッコリと笑って見せた。
その細い腕と小さな拳…、そして愛佳の笑顔を唖然として見比べていた小春は、
「ミッツィー!!…大好きだあ!!」
そう叫ぶと、愛佳に抱きつく。
愛佳は、拳骨を突き出したポーズのまま、まん丸な瞳をキョロキョロさせていた。
*** *** ***
そんな二人の様子を、カウンターにもたれながら、田中れいなが見ていた。
「…あの二人、いつからあんなに仲良くなったとやろか…?」
「…んー?」
カウンターの中から、高橋愛が顔を出す。
「…いい事やないの…?ミーが帰ってきたのに…、小春、なんだか落ち込んでるような感じもあったからね…」
「…あんな小春の笑顔、久し振りに見たっちゃ!」
「…ミーも…、色んなことがあったみたいやけど、とりあえずひと安心みたいやね」
「そうっちゃね!…ね?…ミーの“お母さん猫”って、どっかにおるんやろね!」
「あー…、そうやね…。きっと…、この空の下のどこかに、おるんやろうねえ…」
愛は窓の外の青空を見つめ、なぜか少し寂しげな表情を見せた。
れいなは、そんな愛の表情には気付くことなく…、カウンターを離れると、カラン…と音を立ててドアを開けると、看板に載ったミーの横に立つ。
…そして、右手の拳を空に向けて突き上げると、
「ミーはねえ!『リゾナント』の“看板猫”として、元気にやっとーよ!!」
青空に向かって叫ぶ。
「ええ~!?違うのお!?」
小春が悲しげな声をあげる。
「…違います!…愛佳は…、その“悪いヤツ”をぶっとばします…!!」
愛佳はそう言うと、ぐっと握った小さな右手の拳骨を突き出して、もう一度ニッコリと笑って見せた。
その細い腕と小さな拳…、そして愛佳の笑顔を唖然として見比べていた小春は、
「ミッツィー!!…大好きだあ!!」
そう叫ぶと、愛佳に抱きつく。
愛佳は、拳骨を突き出したポーズのまま、まん丸な瞳をキョロキョロさせていた。
*** *** ***
そんな二人の様子を、カウンターにもたれながら、田中れいなが見ていた。
「…あの二人、いつからあんなに仲良くなったとやろか…?」
「…んー?」
カウンターの中から、高橋愛が顔を出す。
「…いい事やないの…?ミーが帰ってきたのに…、小春、なんだか落ち込んでるような感じもあったからね…」
「…あんな小春の笑顔、久し振りに見たっちゃ!」
「…ミーも…、色んなことがあったみたいやけど、とりあえずひと安心みたいやね」
「そうっちゃね!…ね?…ミーの“お母さん猫”って、どっかにおるんやろね!」
「あー…、そうやね…。きっと…、この空の下のどこかに、おるんやろうねえ…」
愛は窓の外の青空を見つめ、なぜか少し寂しげな表情を見せた。
れいなは、そんな愛の表情には気付くことなく…、カウンターを離れると、カラン…と音を立ててドアを開けると、看板に載ったミーの横に立つ。
…そして、右手の拳を空に向けて突き上げると、
「ミーはねえ!『リゾナント』の“看板猫”として、元気にやっとーよ!!」
青空に向かって叫ぶ。
491 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:13:31.09 0
そんなれいなの姿を、愛はカウンターから静かに笑って見ていた。
「田中さん…、何してるんですか…?」
れいなが振り返ると、あっけにとられた顔の小春が立っていた。
「キシシ…。ミーの先輩として、ミーの“お母さん”に報告してたっちゃ!」
「…田中さん…、“先輩”って…なんの?」
小春が笑っている。
「“看板猫”っちゃ!!」
れいながニヤリと笑って答える。
小春ももう一度、大輪の向日葵のような笑顔を見せた。
「…うにゃあ~ん…」
そんな小春をまん丸な眼で見上げながら、ミーも嬉しそうに鳴いた。
そんなれいなの姿を、愛はカウンターから静かに笑って見ていた。
「田中さん…、何してるんですか…?」
れいなが振り返ると、あっけにとられた顔の小春が立っていた。
「キシシ…。ミーの先輩として、ミーの“お母さん”に報告してたっちゃ!」
「…田中さん…、“先輩”って…なんの?」
小春が笑っている。
「“看板猫”っちゃ!!」
れいながニヤリと笑って答える。
小春ももう一度、大輪の向日葵のような笑顔を見せた。
「…うにゃあ~ん…」
そんな小春をまん丸な眼で見上げながら、ミーも嬉しそうに鳴いた。
492 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 08:19:49.21 0
>>482-491
『少年の瞳(3)』 でした…。
リゾナント元はあえて書かずともご理解いただけているかと思います。
もう"固有名詞”出しまくりました…。だってみんな書いちゃうんらもん…。
ダラダラのお話でしたが、お休みの日の朝の暇つぶしにでも…
快晴だと良かったのですが。
『少年の瞳(3)』 でした…。
リゾナント元はあえて書かずともご理解いただけているかと思います。
もう"固有名詞”出しまくりました…。だってみんな書いちゃうんらもん…。
ダラダラのお話でしたが、お休みの日の朝の暇つぶしにでも…
快晴だと良かったのですが。
493 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 10:22:28.24 O
帰ってから読みます!
楽しみ!
楽しみ!
494 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/07/20(月) 10:23:16.12 P
495 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 12:09:08.32 0
うえええぇおおううううええええぇ
496 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 12:12:07.29 0
>>492
エピローグの小春とミッツィーってリアルでもなかなか見る機会ないから新鮮やわw
エピローグの小春とミッツィーってリアルでもなかなか見る機会ないから新鮮やわw
497 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 12:54:09.42 0
>>492
地に足の着いた想像力とでも申しましょうか
力業で強引に話を展開させていくのではなくて詳細な描写に時間を割くことを惜しまなかった結果がこの傑作の完成に繋がったんでしょうね
全ての登場人物が魅力的に描かれていてその筆力が羨ましいです
お帰りミーちゃん
地に足の着いた想像力とでも申しましょうか
力業で強引に話を展開させていくのではなくて詳細な描写に時間を割くことを惜しまなかった結果がこの傑作の完成に繋がったんでしょうね
全ての登場人物が魅力的に描かれていてその筆力が羨ましいです
お帰りミーちゃん
498 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 13:27:59.95 0
連休で暇なんで喫茶リゾナントで昼食を食べようと行ってきたらドアに張り紙がしてあった
「今日はみんなで海水浴に行くので店をお休みにします。」
愛ちゃん店を休むのはいいけど海水浴に行くと正直に書かなくてもいいんだよ
「今日はみんなで海水浴に行くので店をお休みにします。」
愛ちゃん店を休むのはいいけど海水浴に行くと正直に書かなくてもいいんだよ
499 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 14:46:36.33 0
可愛いw
500 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:22:40.68 P
ジリジリと、温度が上がっていく。
目の前のこいつと、アタシの間から熱が立ち昇っていくようだった。
エアコンまで壊すんじゃなかったよ。アタシは暑いのは嫌いなんだ。
―こいつ、ただもんじゃねえな。
アタシの勘がそう告げていた。言っとくけど、アタシの勘はよくあたるのさ。
破壊しつくされた研究施設に転がっている屍どもを見下ろしながら、アタシは言った。
「まだ、生き残りがいたのかい」
アタシ等組織の敵は、リゾナンターだけじゃない。
人間どもの中にも、アタシ等に対抗しようって身の程知らずがいる。
組織の存在を嗅ぎつけた政府のお偉いさんの肝煎りで、大層な研究施設なんか作りやがるのさ。
勿論そんな奴らの存在は許しちゃおかない、だからアタシがここにいるんだ。
「ずっと隠れてれば一人くらい見逃してやっても良かったんだけどねえ」
嘘だけどな。
「私は隠れていた訳じゃない。まだ起動していなかっただけだ」
「ハァ?」
「起動していなかったと言ったんだ」
「別に耳は遠くねえよ」
「私は対能力者用に開発された、サイボーグ、type-S」
「ハァ?ノートパソコンかよ」
嫌味ったらしく言ってやったけど、奴はピクリとも表情を変えない。
ジリジリと、温度が上がっていく。
目の前のこいつと、アタシの間から熱が立ち昇っていくようだった。
エアコンまで壊すんじゃなかったよ。アタシは暑いのは嫌いなんだ。
―こいつ、ただもんじゃねえな。
アタシの勘がそう告げていた。言っとくけど、アタシの勘はよくあたるのさ。
破壊しつくされた研究施設に転がっている屍どもを見下ろしながら、アタシは言った。
「まだ、生き残りがいたのかい」
アタシ等組織の敵は、リゾナンターだけじゃない。
人間どもの中にも、アタシ等に対抗しようって身の程知らずがいる。
組織の存在を嗅ぎつけた政府のお偉いさんの肝煎りで、大層な研究施設なんか作りやがるのさ。
勿論そんな奴らの存在は許しちゃおかない、だからアタシがここにいるんだ。
「ずっと隠れてれば一人くらい見逃してやっても良かったんだけどねえ」
嘘だけどな。
「私は隠れていた訳じゃない。まだ起動していなかっただけだ」
「ハァ?」
「起動していなかったと言ったんだ」
「別に耳は遠くねえよ」
「私は対能力者用に開発された、サイボーグ、type-S」
「ハァ?ノートパソコンかよ」
嫌味ったらしく言ってやったけど、奴はピクリとも表情を変えない。
501 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:23:24.83 P
「魔女ミティ。正義の名のもとにお前を粛清する」
「笑わせてくれる。長生きしたくないのかい」
「私の寿命は、もって数年だ」
…そうかい。じゃあ――
「正義だ何だと能書き垂れてる暇はないね。さあ、殺し合おうぜ」
とびっきり鋭く、残忍で、高貴な微笑を唇に張り付けてやった。
微笑のトリガーが、アタシ等のたたかいの幕を開け放った。
奴が距離を詰めようとした瞬間、こっそり作っておいたミティ様自慢の氷の槍が奴の背後から襲いかかる。
こういうのは卑怯って言わないのさ。敵とのんびり話す奴がマヌケなんだよ。
が、どうやら奴はマヌケじゃなかった。と言うより、アタシの想像を超えていた。
奴が速すぎて槍が当たらない。マジかよおい。
とんでもないスピードで懐に滑り込んできやがった。
奴と目が合った。
――次の瞬間、アタシは壁に叩きつけられていた。
「ごふっ!」
わき腹が熱い。肋骨がいってやがる。
蹴りを食らったのか。くそっ、なんてザマだい。
このミティ様が食らうまで何をされ――うっ
「げえっ」
反吐に血が混じってやがる。
「笑わせてくれる。長生きしたくないのかい」
「私の寿命は、もって数年だ」
…そうかい。じゃあ――
「正義だ何だと能書き垂れてる暇はないね。さあ、殺し合おうぜ」
とびっきり鋭く、残忍で、高貴な微笑を唇に張り付けてやった。
微笑のトリガーが、アタシ等のたたかいの幕を開け放った。
奴が距離を詰めようとした瞬間、こっそり作っておいたミティ様自慢の氷の槍が奴の背後から襲いかかる。
こういうのは卑怯って言わないのさ。敵とのんびり話す奴がマヌケなんだよ。
が、どうやら奴はマヌケじゃなかった。と言うより、アタシの想像を超えていた。
奴が速すぎて槍が当たらない。マジかよおい。
とんでもないスピードで懐に滑り込んできやがった。
奴と目が合った。
――次の瞬間、アタシは壁に叩きつけられていた。
「ごふっ!」
わき腹が熱い。肋骨がいってやがる。
蹴りを食らったのか。くそっ、なんてザマだい。
このミティ様が食らうまで何をされ――うっ
「げえっ」
反吐に血が混じってやがる。
502 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:24:21.79 P
「今日は記念日になる」
床に這いつくばるアタシを(事もあろうに!)見下ろしながら、奴は言った。
「魔女の死と、正義が反撃の狼煙を上げる、輝かしい日になる」
「フン、随分なめた口をきいてくれるじゃないか」
「私の耳には虚勢にしか聞こえないな」
「このミティ様を見くびったのが、お前の敗因だ」
単純に速くて強い。アタシの一番苦手なタイプだ。
じゃあどうするかって?――決まってんだろ
速くて強くなくすればいいのさ。
精神を集中し、能力を発動すると、たちまち奴の膝から下が氷に包まれていく。
すかさず更に、空中に無数の氷の槍を作り出す。
結構な重労働だけど、アタシを怒らせた報いだ。とことんやってやるよ。
「どうだい?動けないまま殺される心境は」
「…」
奴は無言でアタシを見つめている。気味が悪い程、真顔だった。
表情をどっかに置き忘れて来たのか。まあいい。
「串刺しになりな!」
無数の氷の槍が奴に殺到した瞬間、奴が、消えた。
―!
氷の槍をかいくぐって、一直線にアタシに突進してきやがる。
何故だ?何故動ける!?
床に這いつくばるアタシを(事もあろうに!)見下ろしながら、奴は言った。
「魔女の死と、正義が反撃の狼煙を上げる、輝かしい日になる」
「フン、随分なめた口をきいてくれるじゃないか」
「私の耳には虚勢にしか聞こえないな」
「このミティ様を見くびったのが、お前の敗因だ」
単純に速くて強い。アタシの一番苦手なタイプだ。
じゃあどうするかって?――決まってんだろ
速くて強くなくすればいいのさ。
精神を集中し、能力を発動すると、たちまち奴の膝から下が氷に包まれていく。
すかさず更に、空中に無数の氷の槍を作り出す。
結構な重労働だけど、アタシを怒らせた報いだ。とことんやってやるよ。
「どうだい?動けないまま殺される心境は」
「…」
奴は無言でアタシを見つめている。気味が悪い程、真顔だった。
表情をどっかに置き忘れて来たのか。まあいい。
「串刺しになりな!」
無数の氷の槍が奴に殺到した瞬間、奴が、消えた。
―!
氷の槍をかいくぐって、一直線にアタシに突進してきやがる。
何故だ?何故動ける!?
503 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:25:13.32 P
―やばい!
咄嗟に頭をガードした腕ごと、奴の回し蹴りがアタシを吹っ飛ばした。
右腕があらぬ方向に曲がってやがる。くそっ、枝じゃねえっつうんだよ。
激痛で目の前がクラクラしてきた。
「G-コーティング」
ぼそり、と奴が言った。
「私の体表は、特殊なコーティングを施されている。ダークネスとは異なる体系の科学が生み出した、技術の結晶だ」
その後に続く奴の言葉は、さすがのアタシも耳を疑いたくなっちまう内容だった。
―G-コーティング
奴の体の表面を保護するそれは、奴の生体エネルギーと反応して特殊な防護フィールドを形成し、
数百度の高熱から超低温まで耐え得る。つまり、燃やそうとすれば冷たくなって、凍らそうとすればクソ熱くなるって事らしい。
元は有人深海探査、ひいては宇宙空間での船外作業にまで視野に入れた技術を転用したもんなんだと。
奴はそういった意味の事を、小難しい科学用語を織り交ぜながらグダグダ説明しやがった。
バカかこいつ。
得意げな面ぶら下げやがって。
んな訳の分かんねえ事くっちゃべってる暇があったら、とっとと止めを刺しにきやがれ。
「そのG何とかってのの為に、人間を捨てたか」
「私が捨てたのは寿命だ」
「機械に命を乗っ取られてんじゃねえか」
「正義に犠牲は付き物さ」
「ぬかせ」
咄嗟に頭をガードした腕ごと、奴の回し蹴りがアタシを吹っ飛ばした。
右腕があらぬ方向に曲がってやがる。くそっ、枝じゃねえっつうんだよ。
激痛で目の前がクラクラしてきた。
「G-コーティング」
ぼそり、と奴が言った。
「私の体表は、特殊なコーティングを施されている。ダークネスとは異なる体系の科学が生み出した、技術の結晶だ」
その後に続く奴の言葉は、さすがのアタシも耳を疑いたくなっちまう内容だった。
―G-コーティング
奴の体の表面を保護するそれは、奴の生体エネルギーと反応して特殊な防護フィールドを形成し、
数百度の高熱から超低温まで耐え得る。つまり、燃やそうとすれば冷たくなって、凍らそうとすればクソ熱くなるって事らしい。
元は有人深海探査、ひいては宇宙空間での船外作業にまで視野に入れた技術を転用したもんなんだと。
奴はそういった意味の事を、小難しい科学用語を織り交ぜながらグダグダ説明しやがった。
バカかこいつ。
得意げな面ぶら下げやがって。
んな訳の分かんねえ事くっちゃべってる暇があったら、とっとと止めを刺しにきやがれ。
「そのG何とかってのの為に、人間を捨てたか」
「私が捨てたのは寿命だ」
「機械に命を乗っ取られてんじゃねえか」
「正義に犠牲は付き物さ」
「ぬかせ」
504 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:26:09.45 P
このアホを料理する手を思いついた。あんま気が進まないやり方だけどね。
奴の面を睨みつけたまま、足に力を込める。
よし、いける。まだ立ち上がれる。
「まだ立ち上がるのか。無駄なあがきをする」
「無駄かどうか決めんのはお前じゃねえよ」
「魔法が通じない魔女ほど惨めなものはないな」
…こいつは、根本的に分かってねえな。
これから思い知らせてやる。たたかいが、どんなもんかって事をね。
一歩、そしてまた一歩と、奴に歩み寄る。
奴の眼前でアタシは思いっきり唇を吊り上げてやった。
そうするとねえ、このミティ様の顔がどうなるか分かるかい?
とびっきり美しく、優雅で、恐ろしい、お前らが見たら即座にひれ伏しちまうような、そんな微笑が浮かび上がるのさ。
「かかってこいよ。機械め」
「どうした?遂に気がふれたか」
至近距離から奴の顔めがけ思いっきり拳をぶっ放す。
余裕でかわされた。まあいい。ここからだ。
奴の狙い澄まされたカウンターパンチがアタシの顎目がけ素っ飛んでくる。
文句のつけようがない程、正確で強烈。
でもねえ、だからこそお見通しなんだよ!
ちっ
奴の拳がアタシの頬を掠めていった。
頬がパックリ割れて血が噴き出しているのが分かる。我ながらよくかわせたもんだ。
「捕まえた」
奴の面を睨みつけたまま、足に力を込める。
よし、いける。まだ立ち上がれる。
「まだ立ち上がるのか。無駄なあがきをする」
「無駄かどうか決めんのはお前じゃねえよ」
「魔法が通じない魔女ほど惨めなものはないな」
…こいつは、根本的に分かってねえな。
これから思い知らせてやる。たたかいが、どんなもんかって事をね。
一歩、そしてまた一歩と、奴に歩み寄る。
奴の眼前でアタシは思いっきり唇を吊り上げてやった。
そうするとねえ、このミティ様の顔がどうなるか分かるかい?
とびっきり美しく、優雅で、恐ろしい、お前らが見たら即座にひれ伏しちまうような、そんな微笑が浮かび上がるのさ。
「かかってこいよ。機械め」
「どうした?遂に気がふれたか」
至近距離から奴の顔めがけ思いっきり拳をぶっ放す。
余裕でかわされた。まあいい。ここからだ。
奴の狙い澄まされたカウンターパンチがアタシの顎目がけ素っ飛んでくる。
文句のつけようがない程、正確で強烈。
でもねえ、だからこそお見通しなんだよ!
ちっ
奴の拳がアタシの頬を掠めていった。
頬がパックリ割れて血が噴き出しているのが分かる。我ながらよくかわせたもんだ。
「捕まえた」
505 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:27:00.20 P
奴にしがみ付いて、アタシは全霊の力で能力を発動した。
正真正銘のフルパワーって奴だ。
みるみるアタシと奴の体が氷に包まれ、あっという間に首から下は氷の彫刻の出来上がりだ。
「どうだい?寒いかい?」
「魔女が追い詰められて、自暴自棄になったか」
奴のなんちゃらコーティングの力でアタシ達を包む氷がどんどん溶けていく。
すかさず能力を振り絞って溶けていくそばからどんどん凍らせる。
我ながら寒さで気が遠くなってきた。でも、これで奴の動きは封じたよ。
「私の生体エネルギーとお前の能力の我慢比べをするつもりか。相討ちに持っていきたいのだろうが無謀だ」
「アタシは勝つ事しか考えてねえよ」
「尚更理解不能だな」
「ふん…ふふふ」
「何がおかしい?」
「そういやさっきからアタシの事を魔女って呼んでるけど、アタシのもう一つの異名、知ってるかい?」
「異名?」
「狂犬さ!」
そう言ってアタシは口を開いて、氷の牙を作り出す。
そして、奴の首筋に、思いっきり喰らい付いてやった。
血の味が口ん中に広がった。気味が悪いねえ、ドラキュラの真似ごとなんざ。
「なんの…つもりだ」
痛みに歪んだ声で奴が言った。バカか。この状態で喋れる訳ねえだろ。
「そんな物で私を倒せると思うな」
正真正銘のフルパワーって奴だ。
みるみるアタシと奴の体が氷に包まれ、あっという間に首から下は氷の彫刻の出来上がりだ。
「どうだい?寒いかい?」
「魔女が追い詰められて、自暴自棄になったか」
奴のなんちゃらコーティングの力でアタシ達を包む氷がどんどん溶けていく。
すかさず能力を振り絞って溶けていくそばからどんどん凍らせる。
我ながら寒さで気が遠くなってきた。でも、これで奴の動きは封じたよ。
「私の生体エネルギーとお前の能力の我慢比べをするつもりか。相討ちに持っていきたいのだろうが無謀だ」
「アタシは勝つ事しか考えてねえよ」
「尚更理解不能だな」
「ふん…ふふふ」
「何がおかしい?」
「そういやさっきからアタシの事を魔女って呼んでるけど、アタシのもう一つの異名、知ってるかい?」
「異名?」
「狂犬さ!」
そう言ってアタシは口を開いて、氷の牙を作り出す。
そして、奴の首筋に、思いっきり喰らい付いてやった。
血の味が口ん中に広がった。気味が悪いねえ、ドラキュラの真似ごとなんざ。
「なんの…つもりだ」
痛みに歪んだ声で奴が言った。バカか。この状態で喋れる訳ねえだろ。
「そんな物で私を倒せると思うな」
506 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:27:50.22 P
うるせえ。分かってるよ。
こっからだ。
外から凍らせられないんなら、内側から凍らせてやるよ。
アタシは正真正銘のフルパワーで能力を発動しながら(ここがアタシの凄い所なんだけど)更に力を振り絞って新たに能力を発動した。
冷気を奴の首筋から全身へグングン流し込んでいく。
これならG-コーティングも意味ねえだろうが。
アタシを怒らせるとどうなるか、思い知ったかい。
軽々しく正義を口にしやがって、なめんじゃないよ。
アタシが言うのも何だけど、お前が正義だと思ってんのはまがい物さ。
本物の正義ってのは、あいつらは、どんな状況でも命を自分から捨てるような真似はしない。
どんなに惨めでも、どんなに苦しくても、あいつらは諦めない。
そういう奴等と長い事たたかっているこのミティ様もそうさ。
どんなに追い詰められようが、この牙は折れないよ。
――どれくらいの時間が経っただろうか。
流石にもうフラフラだ。
体中痛えし、力もスッカラカン。まったく、とんだ災難だったよ。
アタシの目の前には、さっきまでサイボーグだった奴の氷像が立っていた。
奴の命も一緒に凍らせてやった。もう二度と、起動する事は無い。
フン、自分の命にしがみ付けないアホは、そこで永遠に死に続けてやがれ。
「べっ」
奴を睨みつけたまま地面に唾を吐いた。血と氷が混じっていた。
踵を返し、研究施設を出ると、夕日がギラギラとアタシの目に飛び込んできやがる。
やだねえ、この時期の太陽は、夕日まで容赦ねえよ。
こっからだ。
外から凍らせられないんなら、内側から凍らせてやるよ。
アタシは正真正銘のフルパワーで能力を発動しながら(ここがアタシの凄い所なんだけど)更に力を振り絞って新たに能力を発動した。
冷気を奴の首筋から全身へグングン流し込んでいく。
これならG-コーティングも意味ねえだろうが。
アタシを怒らせるとどうなるか、思い知ったかい。
軽々しく正義を口にしやがって、なめんじゃないよ。
アタシが言うのも何だけど、お前が正義だと思ってんのはまがい物さ。
本物の正義ってのは、あいつらは、どんな状況でも命を自分から捨てるような真似はしない。
どんなに惨めでも、どんなに苦しくても、あいつらは諦めない。
そういう奴等と長い事たたかっているこのミティ様もそうさ。
どんなに追い詰められようが、この牙は折れないよ。
――どれくらいの時間が経っただろうか。
流石にもうフラフラだ。
体中痛えし、力もスッカラカン。まったく、とんだ災難だったよ。
アタシの目の前には、さっきまでサイボーグだった奴の氷像が立っていた。
奴の命も一緒に凍らせてやった。もう二度と、起動する事は無い。
フン、自分の命にしがみ付けないアホは、そこで永遠に死に続けてやがれ。
「べっ」
奴を睨みつけたまま地面に唾を吐いた。血と氷が混じっていた。
踵を返し、研究施設を出ると、夕日がギラギラとアタシの目に飛び込んできやがる。
やだねえ、この時期の太陽は、夕日まで容赦ねえよ。
507 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:37:16.76 P
>>500-506
『狂犬は夕日に咆哮する』
[Darkness4-6](22)778 の偽神様をやっつけるミティを参考にしました(疾走感までは真似できませんでしたが)
夏でも熱々でもミティは強いぞ狂犬だぞみたいな感じで書いてみました
『狂犬は夕日に咆哮する』
[Darkness4-6](22)778 の偽神様をやっつけるミティを参考にしました(疾走感までは真似できませんでしたが)
夏でも熱々でもミティは強いぞ狂犬だぞみたいな感じで書いてみました
508 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 15:46:25.04 0
509 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 17:17:35.87 0
>>492
全編通してすごく面白かったです
続いている世界の一部を切り取った話としても非常に面白かったですが これだけでも見事にテーマを設けた物語として成立していますね
いや「当たり前だよ」と逆にお叱りを受けるかもしれませんが
>>497さんの言われるように地に足が着いた想像力と それに追いつく描写力に脱帽です
詳細なのに無駄がない…!
人物は既存のキャラクターを用いつつも完全に「自分のもの」にしている印象でした
またオリジナルキャラクターがそれに並び立って全く違和感がない存在感を持っているのも本当に凄いなと思います
エピローグもいいですねえ
>>507
ミティ様の語り口は確かにあの偽神様の話を思い出させますね
冷酷非情に圧倒的な強さを見せつけるミティ様ではなく「熱い」ミティ様が新鮮でした
随分痛めつけられてるにも関わらず心底「強い」と思わされました
あと一瞬まさかのアヤミキバトルかと思わせられましたw
タイトルがまたいいですね
ミティ様になら抱きつかれて噛みつかれて凍らされてもいいなあ……
全編通してすごく面白かったです
続いている世界の一部を切り取った話としても非常に面白かったですが これだけでも見事にテーマを設けた物語として成立していますね
いや「当たり前だよ」と逆にお叱りを受けるかもしれませんが
>>497さんの言われるように地に足が着いた想像力と それに追いつく描写力に脱帽です
詳細なのに無駄がない…!
人物は既存のキャラクターを用いつつも完全に「自分のもの」にしている印象でした
またオリジナルキャラクターがそれに並び立って全く違和感がない存在感を持っているのも本当に凄いなと思います
エピローグもいいですねえ
>>507
ミティ様の語り口は確かにあの偽神様の話を思い出させますね
冷酷非情に圧倒的な強さを見せつけるミティ様ではなく「熱い」ミティ様が新鮮でした
随分痛めつけられてるにも関わらず心底「強い」と思わされました
あと一瞬まさかのアヤミキバトルかと思わせられましたw
タイトルがまたいいですね
ミティ様になら抱きつかれて噛みつかれて凍らされてもいいなあ……
510 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 18:47:16.35 0
ちょw
Type-Sのサイボーグってしば(ry
Type-Sのサイボーグってしば(ry
511 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 19:16:51.82 0
なるほど
深海から宇宙空間までに妙に納得したw
深海から宇宙空間までに妙に納得したw
512 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 19:26:22.27 O
大山田カニ商会の夢が...orz
513 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 19:28:46.02 O
それより>>509が早速自分の命を大事にしない発言をしてるんだが・・・
514 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 20:05:47.33 0
>>492
面白かったあ~はじめから全編通して読んじゃった!
高層ビルを背景にした東京月島の路地裏を、
民族衣装に身を包んだ吉澤が歩く姿はメチャメチャ映画的でかっこよかった!
凄く吸引力のある画ですね・・・
面白かったあ~はじめから全編通して読んじゃった!
高層ビルを背景にした東京月島の路地裏を、
民族衣装に身を包んだ吉澤が歩く姿はメチャメチャ映画的でかっこよかった!
凄く吸引力のある画ですね・・・
515 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 20:14:07.90 0
516 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 20:34:16.80 0
「ヒィ-ッ、誰か!!助けてくれぇ!!」
私のかわいいお人形さん。
もう、そんなに逃げ回らないでよ。
「おにんぎょさん♪ おっにんぎょっさん♪
わ・た・し・の・か・わ・い・い・お・に・ん・ぎょ・さ・ん・は・ど・こ・か・し・ら♪」
もういじわるなんだから。
ここは広くて探すのが大変なんだよね。
かくれんぼみたいで楽しいんだけどさ。
「ここかな~?」
ある部屋の扉を開けたが…いない。
「いないなあ。 どこだろう?」
部屋の外に出たら、何かが視界の隅っこを横切った。
追っかけて回廊に出たら、柱の影にうずくまるお人形がいた。
「おにんぎょさん、見っけ~!!」
「ぎゃあぁぁっ!!」
私のかわいいお人形さん。
もう、そんなに逃げ回らないでよ。
「おにんぎょさん♪ おっにんぎょっさん♪
わ・た・し・の・か・わ・い・い・お・に・ん・ぎょ・さ・ん・は・ど・こ・か・し・ら♪」
もういじわるなんだから。
ここは広くて探すのが大変なんだよね。
かくれんぼみたいで楽しいんだけどさ。
「ここかな~?」
ある部屋の扉を開けたが…いない。
「いないなあ。 どこだろう?」
部屋の外に出たら、何かが視界の隅っこを横切った。
追っかけて回廊に出たら、柱の影にうずくまるお人形がいた。
「おにんぎょさん、見っけ~!!」
「ぎゃあぁぁっ!!」
517 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 20:34:59.48 0
おにんぎょさんったら私を見たとたん、走って逃げ出しちゃった。
失礼しちゃう。何か傷つくなあ。まるで私が悪い魔法使いのお婆さんみたいじゃない、プンプン。
……あれれれ。おにんぎょさんったら、よりによってあの部屋に入っちゃった。
他にも隠れられる部屋はたくさんあるのにね。
私の大事なコレクションがたっくさん飾ってある部屋なんかに。
「…な、なんだ……コレは……」
ひょこり。
開いてるドアから中を覗いたら、お人形さんは部屋の中で呆然と立ち尽くしていた。
うふっ。
面白いくらいに顔が引き攣っちゃってる。
まぁ驚くのも無理は無いかな。 たっくさんいるからね。
瞳の色、肌の色、髪の色、性別。
バラエティに富んだ私のコレクション。
みんな氷で守ってあげてるんだ。
壊れないように。
おにんぎょさんったら私を見たとたん、走って逃げ出しちゃった。
失礼しちゃう。何か傷つくなあ。まるで私が悪い魔法使いのお婆さんみたいじゃない、プンプン。
……あれれれ。おにんぎょさんったら、よりによってあの部屋に入っちゃった。
他にも隠れられる部屋はたくさんあるのにね。
私の大事なコレクションがたっくさん飾ってある部屋なんかに。
「…な、なんだ……コレは……」
ひょこり。
開いてるドアから中を覗いたら、お人形さんは部屋の中で呆然と立ち尽くしていた。
うふっ。
面白いくらいに顔が引き攣っちゃってる。
まぁ驚くのも無理は無いかな。 たっくさんいるからね。
瞳の色、肌の色、髪の色、性別。
バラエティに富んだ私のコレクション。
みんな氷で守ってあげてるんだ。
壊れないように。
518 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 20:35:43.24 0
「どーお、素敵でしょ、わたしのコレクション」
「ひ、ひぃっ!! お助けを~」
「どのおにんぎょさんもまるで生きてるみたいでしょ。 わたしが永遠をあげたんだ。
老いからも、病魔からも、悩みからも解放されて永遠の時を生きるんだ。
これからあなたにも永遠をあげるね。 そしてずーーーーっと私の傍に置いてあげるね」
「やめてくれーっ!!」
「北海に住む竜王よ、汝の氷冠をこの者に授けよ
黄泉の国に住む死の女神よ、汝の吐息でこの者を凍り尽くせ
発動 アイスレクイエム!!」
空気さえ凍らす超低温
体中を氷で固められたお人形さんは動きを止め、呼吸を止め、鼓動も止まり、永遠を手に入れた。
ふぅーっ、いっちょうあがり。
これを飾るのはまた明日にしようっかな。
ずらりと並ぶコレクションを改めて眺めてみる。
いくら見ても飽きないよねえ。
何体あってもいいな。
よしっ、今日はもう一体つくろっ!!
あ、ねぇねぇ、そこの素敵なあなた。
さっきからずっとわたしのことを見てたあなただよ。
あなた、いいお人形になりそうね。
そうだ。次のお人形は貴方にしてあげる。 嬉しい?
ふふっ。大丈夫だよ、全然痛くないから。
痛みを感じる前に気が遠くなるからさ。
だからさ、わたしのお人形さんになってよね。 うふふ。
逃げても無駄だよ。
ねえ、>>509さん…
「ひ、ひぃっ!! お助けを~」
「どのおにんぎょさんもまるで生きてるみたいでしょ。 わたしが永遠をあげたんだ。
老いからも、病魔からも、悩みからも解放されて永遠の時を生きるんだ。
これからあなたにも永遠をあげるね。 そしてずーーーーっと私の傍に置いてあげるね」
「やめてくれーっ!!」
「北海に住む竜王よ、汝の氷冠をこの者に授けよ
黄泉の国に住む死の女神よ、汝の吐息でこの者を凍り尽くせ
発動 アイスレクイエム!!」
空気さえ凍らす超低温
体中を氷で固められたお人形さんは動きを止め、呼吸を止め、鼓動も止まり、永遠を手に入れた。
ふぅーっ、いっちょうあがり。
これを飾るのはまた明日にしようっかな。
ずらりと並ぶコレクションを改めて眺めてみる。
いくら見ても飽きないよねえ。
何体あってもいいな。
よしっ、今日はもう一体つくろっ!!
あ、ねぇねぇ、そこの素敵なあなた。
さっきからずっとわたしのことを見てたあなただよ。
あなた、いいお人形になりそうね。
そうだ。次のお人形は貴方にしてあげる。 嬉しい?
ふふっ。大丈夫だよ、全然痛くないから。
痛みを感じる前に気が遠くなるからさ。
だからさ、わたしのお人形さんになってよね。 うふふ。
逃げても無駄だよ。
ねえ、>>509さん…
520 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 21:19:47.22 0
522 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 21:43:46.87 0
tesu
523 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 22:16:31.35 0
524 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/20(月) 22:40:16.44 0
525 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 23:11:06.65 0
526 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 23:23:34.20 O
画像を開いた瞬間にビックリンリン状態ッ!!!
527 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/20(月) 23:27:50.88 0
528 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 00:21:08.69 0
529 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 00:21:59.98 P
暗黒の花嫁って感じやね
532 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 00:39:38.52 0
>>527
シンデレラを思い出す
シンデレラを思い出す
533 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 00:48:35.72 0
534 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 01:04:29.00 0
>>531
ありがとう買ってみる
ありがとう買ってみる
535 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 03:11:08.05 0
|v')<フフフ
536 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 03:41:05.66 0
>>492こと ぺっぱあ です。 …そう言えば今回ちゃんと名乗ってない様な気がしたので…
まあ、わかる方にはバレバレではあったようです。
暖かいコメントを頂いた皆様、ありがとうございました。今回の作品は、今までの物語
とは違う生まれ方をしましたので、かなり不安でしたが…。
ネタバレを好まない方もいらっしゃるようですが、以下ネタバレです。
*** *** ***
「ミー」ちゃんリゾナントについてはWikiに詳細がありますので、ぜひ読んでみて下さい。
また、Wikiナンターさん、早くから取り上げて頂き、ありがとうございました。
「吉澤ひとみ」の能力設定については、
[Darkness](08)323 『the revenger 前編』 [Darkness](08)929 『the revenger 後編』
…いわゆる“魔女狩りの吉澤さん”にリゾナントさせていただいてます。
また、かなしみさんの [S3.ペッパー警部](16)527 および
[S4.ロマンス](16)528 にリゾナントされた
[ MM。](16)538 に、さらに大リゾナントさせていただいた拙作
『コードネーム「pepper」-ガイノイドは父の夢を見るか?-』 シリーズ、および
[Darkness](22)656 『指導者の資質』 等の作品と、世界観を同一にしています。
…こんな時間に眼が覚めてもた…_| ̄|○
まあ、わかる方にはバレバレではあったようです。
暖かいコメントを頂いた皆様、ありがとうございました。今回の作品は、今までの物語
とは違う生まれ方をしましたので、かなり不安でしたが…。
ネタバレを好まない方もいらっしゃるようですが、以下ネタバレです。
*** *** ***
「ミー」ちゃんリゾナントについてはWikiに詳細がありますので、ぜひ読んでみて下さい。
また、Wikiナンターさん、早くから取り上げて頂き、ありがとうございました。
「吉澤ひとみ」の能力設定については、
[Darkness](08)323 『the revenger 前編』 [Darkness](08)929 『the revenger 後編』
…いわゆる“魔女狩りの吉澤さん”にリゾナントさせていただいてます。
また、かなしみさんの [S3.ペッパー警部](16)527 および
[S4.ロマンス](16)528 にリゾナントされた
[ MM。](16)538 に、さらに大リゾナントさせていただいた拙作
『コードネーム「pepper」-ガイノイドは父の夢を見るか?-』 シリーズ、および
[Darkness](22)656 『指導者の資質』 等の作品と、世界観を同一にしています。
…こんな時間に眼が覚めてもた…_| ̄|○
537 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 06:24:05.07 0
昨日も作品ラッシュだったね
538 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 06:51:37.82 O
>>536
小春の「…ぬ…!?」にニヤッとしてしまいましたw
小春の「…ぬ…!?」にニヤッとしてしまいましたw
539 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 08:41:08.79 0
>>533
なんとなく誰かの葬送を思い浮かべました
なんとなく誰かの葬送を思い浮かべました
540 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 10:36:14.13 O
執筆したいよおおおお
541 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 10:38:29.83 0
頑張って
応援します
応援します
542 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 12:08:51.58 O
「具はいりません!!めんオンリーで行けマス!!冷し中華」はじめました(亀井絵里)
川*’ー’)<絵里…勝手に始めんで あとマヨネーズは欠かせんよ
川*’ー’)<絵里…勝手に始めんで あとマヨネーズは欠かせんよ
543 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 12:54:44.97 0
怪しげなメニューだこと
544 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:17:14.16 0
華麗にホ!
545 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:37:40.11 0
546 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:38:50.32 0
◇◇
ずっと昔から、孤独の中で生きてきた。
今でも、孤独だと思っていた。
幼い自分を闇から救ってくれたのは、今では闇を統べる組織の総統。
信頼していたパートナーは、自分とは違う目標を胸に秘め、気付いた時に自分がこの手にかけた。
ずっと、ずっと。 一人ぼっちだった。
生き残る為に、戦ってきた。
闇も光も無い新世界を作る為に、今は戦っている。
なのに、なんでだろう。
この悲しみは。苦しみは。
胸を少しずつ、締め上げる。
ずっと、ずっと。 昔から、少しずつ、この胸の痛みが。
◇◇
ずっと昔から、孤独の中で生きてきた。
今でも、孤独だと思っていた。
幼い自分を闇から救ってくれたのは、今では闇を統べる組織の総統。
信頼していたパートナーは、自分とは違う目標を胸に秘め、気付いた時に自分がこの手にかけた。
ずっと、ずっと。 一人ぼっちだった。
生き残る為に、戦ってきた。
闇も光も無い新世界を作る為に、今は戦っている。
なのに、なんでだろう。
この悲しみは。苦しみは。
胸を少しずつ、締め上げる。
ずっと、ずっと。 昔から、少しずつ、この胸の痛みが。
547 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:39:47.33 0
◆◆
「っガキさん!!…ガキさん…!!」
「…久し振りに、この力を使ったけど鈍ってはなかったみたいだね」
「……っこの…」
力、とは。それは、光。
「昔から、忌々しい力だった。唯一好きになれない能力が、光だったよ」
自身の手を見つめる後藤。
片や、苦しんでいる新垣の傍に寄り添っている高橋。
「光が、一番嫌いだ。どんなことをしても、さも自分が一番だというように存在を見せつけるからね…」
「…っなんでガキさんを傷付けたっ!!?」
「安倍さん、安倍さんってうざいから……おとなしくさせようとしたのに。
…それに、裏切り者なんかになっちのこと言われたくないし。かわいそうじゃん、なっちが」
「…っお前…!!」
震える怒りを胸に、高橋はただ新垣の身体を抱くことしかできなかった。
◆◆
「っガキさん!!…ガキさん…!!」
「…久し振りに、この力を使ったけど鈍ってはなかったみたいだね」
「……っこの…」
力、とは。それは、光。
「昔から、忌々しい力だった。唯一好きになれない能力が、光だったよ」
自身の手を見つめる後藤。
片や、苦しんでいる新垣の傍に寄り添っている高橋。
「光が、一番嫌いだ。どんなことをしても、さも自分が一番だというように存在を見せつけるからね…」
「…っなんでガキさんを傷付けたっ!!?」
「安倍さん、安倍さんってうざいから……おとなしくさせようとしたのに。
…それに、裏切り者なんかになっちのこと言われたくないし。かわいそうじゃん、なっちが」
「…っお前…!!」
震える怒りを胸に、高橋はただ新垣の身体を抱くことしかできなかった。
548 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:40:53.55 0
憎悪をその瞳に浮かべ、歯を食いしばる。
けれど、新垣が前に銃を撃たれ倒れたことを思い出し、自分の不甲斐無さにも憤る。
変わらない。昔と何も変わらない、この状況が。
彼女の、高橋の心を少しずつ闇に堕としていく。
守ると誓ったはずだった。
大切な人をもう傷付けないように、彼女とこの腰に今でも付けているお守りに。
けれど
「…そのまま死ぬしかないんだよ。新垣には何もできない、無能の裏切り者だからね」
言い返したい。けれど言葉が出ない。
なぜだろう、こんなにも憎いのに。彼女を侮辱するあいつに、言い返す言葉が出てこない。
「泣いているのか悲しんでいるのか。どんなに縋っても、このままだと新垣は衰弱して死ぬだけだ」
憎悪をその瞳に浮かべ、歯を食いしばる。
けれど、新垣が前に銃を撃たれ倒れたことを思い出し、自分の不甲斐無さにも憤る。
変わらない。昔と何も変わらない、この状況が。
彼女の、高橋の心を少しずつ闇に堕としていく。
守ると誓ったはずだった。
大切な人をもう傷付けないように、彼女とこの腰に今でも付けているお守りに。
けれど
「…そのまま死ぬしかないんだよ。新垣には何もできない、無能の裏切り者だからね」
言い返したい。けれど言葉が出ない。
なぜだろう、こんなにも憎いのに。彼女を侮辱するあいつに、言い返す言葉が出てこない。
「泣いているのか悲しんでいるのか。どんなに縋っても、このままだと新垣は衰弱して死ぬだけだ」
549 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:42:21.77 0
話し続ける後藤の言葉なんて聞こえない。
それよりも、それよりも、それよりも。
「……高橋、あと10秒だけあげるよ。10秒の内に立ったら、最後の決着をつけよう。もし、立たなかったら…」
弱々しい息を吐き出しながら、目の前で衰弱していく同期の姿が。
「…君を、この手で殺してあげる」
頬を伝う涙も、歪んでいく視界も、震える手も。
すべてが、自分の不甲斐無さによって引き起こされた物ならば。
どうすればいいのだろうか。
どうすれば彼女の傷は無くなるのだろう。
どうすれば彼女は元気になってくれるのだろう。
どうすれば彼女は、笑顔を向けてくれるのだろうか?
「……ねぇ…ガ、キさん…」
「10」
話し続ける後藤の言葉なんて聞こえない。
それよりも、それよりも、それよりも。
「……高橋、あと10秒だけあげるよ。10秒の内に立ったら、最後の決着をつけよう。もし、立たなかったら…」
弱々しい息を吐き出しながら、目の前で衰弱していく同期の姿が。
「…君を、この手で殺してあげる」
頬を伝う涙も、歪んでいく視界も、震える手も。
すべてが、自分の不甲斐無さによって引き起こされた物ならば。
どうすればいいのだろうか。
どうすれば彼女の傷は無くなるのだろう。
どうすれば彼女は元気になってくれるのだろう。
どうすれば彼女は、笑顔を向けてくれるのだろうか?
「……ねぇ…ガ、キさん…」
「10」
550 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:43:11.54 0
「…お、おきてよ…」
「9」
「こんなところで、寝てないで」
「8」
「…一緒に…帰ろうよ…」
「7」
「…みんな、がんばってるよ」
「6」
「帰って、…カフェモカ、作るからっ」
「5」
「楽しい話しながら…飲もうよ」
「4」
「…お、おきてよ…」
「9」
「こんなところで、寝てないで」
「8」
「…一緒に…帰ろうよ…」
「7」
「…みんな、がんばってるよ」
「6」
「帰って、…カフェモカ、作るからっ」
「5」
「楽しい話しながら…飲もうよ」
「4」
551 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:44:10.43 0
「…っれいなも、さゆも、えりも」
「3」
「小春も光井もジュンジュンリンリンも…!!」
「2」
「みんながんばってるんだから起きてよ!!」
「1」
「…あーしも…っ里沙ちゃん…」
「0……終わりだね、高橋」
「バイバイ。蒼き正義はもう、この世にはいらない」
「…っれいなも、さゆも、えりも」
「3」
「小春も光井もジュンジュンリンリンも…!!」
「2」
「みんながんばってるんだから起きてよ!!」
「1」
「…あーしも…っ里沙ちゃん…」
「0……終わりだね、高橋」
「バイバイ。蒼き正義はもう、この世にはいらない」
552 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:45:11.71 0
ずっと傍にいてくれた彼女がいなくなるなら、私は。
自分の手を、彼女のまだ暖かい頬に触れさせて。
空間に響く銃声が聞こえた瞬間、私は目を閉じて、彼女の名前をもう一回だけ呟いた。
けれど、そこに響いた音は、銃声だけでなく、誰かの足音も。
「……っ新垣ぃ!!目を覚ませぇっ!!!」
銃口から立ち上る煙が、先ほど聞こえてきた銃声の原因だと気付いた。
その銃を握り締め、憎悪だけではない複雑な表情を浮かべて立っていたのは。
昔、後藤と親しかった、高橋と新垣の先輩でもあった、けれども闇に身を投じた、吉澤ひとみであった。
ずっと傍にいてくれた彼女がいなくなるなら、私は。
自分の手を、彼女のまだ暖かい頬に触れさせて。
空間に響く銃声が聞こえた瞬間、私は目を閉じて、彼女の名前をもう一回だけ呟いた。
けれど、そこに響いた音は、銃声だけでなく、誰かの足音も。
「……っ新垣ぃ!!目を覚ませぇっ!!!」
銃口から立ち上る煙が、先ほど聞こえてきた銃声の原因だと気付いた。
その銃を握り締め、憎悪だけではない複雑な表情を浮かべて立っていたのは。
昔、後藤と親しかった、高橋と新垣の先輩でもあった、けれども闇に身を投じた、吉澤ひとみであった。
553 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 14:49:43.83 0
>>546-552
以上「光の抗争-6-」でした
当初の予定とはまったく違う形で吉澤ひとみが出てくることになりました
本当は他にも少しずつ出させる予定でしたが、あえて彼女一人だけにしました
この先彼女は踏ん張りますが、どうなるかはお楽しみということで…
ではでは、部屋が暑くてじわじわと汗が出てくる中投下した◇◆の人でした
以上「光の抗争-6-」でした
当初の予定とはまったく違う形で吉澤ひとみが出てくることになりました
本当は他にも少しずつ出させる予定でしたが、あえて彼女一人だけにしました
この先彼女は踏ん張りますが、どうなるかはお楽しみということで…
ではでは、部屋が暑くてじわじわと汗が出てくる中投下した◇◆の人でした
554 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 16:12:33.44 0
カウントダウン泣かせるねぇ~
吉澤ひとみの登場に胸高鳴る!
続きまったり待ってます
吉澤ひとみの登場に胸高鳴る!
続きまったり待ってます
555 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 17:37:09.84 O
よっすぃさん祭りや!!
ごとーさん以上のブームだなあ
ごとーさん以上のブームだなあ
556 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 19:01:39.38 O
よっすい昼も出てたね
ダークネス4人対さゆ1人ではさすがに押されっぱなしだった
ダークネス4人対さゆ1人ではさすがに押されっぱなしだった
557 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 19:06:06.23 0
さえみは強いだぞ
558 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 20:30:01.80 0
おおっ光の抗争が来てる
帰ったら読ませてもらいます
帰ったら読ませてもらいます
559 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 21:34:57.52 0
さゆ頑張ってるね
560 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:25:48.97 0
おっとっと
561 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:30:53.07 0
从*・ 。.・)<さゆみが大人気すぎて落ちるのがはやいの ごめんなさいなの
562 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:46:54.90 0
保全代わりに『ヴァリアントハンター外伝』の投下に参りました。
今回分までで導入部、プロローグって感じです。
ちょっと長いので規制喰らうかもしれません。
一定時間経っても続きが書き込まれないようでしたら、
掲示板の方をご確認いただけると助かります。
では共鳴開始は22:50より。
今回分までで導入部、プロローグって感じです。
ちょっと長いので規制喰らうかもしれません。
一定時間経っても続きが書き込まれないようでしたら、
掲示板の方をご確認いただけると助かります。
では共鳴開始は22:50より。
563 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:49:56.45 0
デザインや製造を国が民間に委託しているものとは比較にならない、
遥かに高度な制御能力と強度を持つ手錠型のリミッターを両手首に嵌められ、
男は制服警官の随伴で連行されていった。
パトカーに乗せられる(と言うより詰め込まれる)際、
れいなに砕かれた四肢の痛みに絶叫を上げていたのは余談である。
ヘロイン中毒と診断された女の方はそのまま麻薬更正施設に直行だ。
経歴を見る限り明らかに男に無理矢理従わされていた形なので、
よほどヘボな弁護士に当たらない限り有罪は免れるだろう。
パトカーに乗り込む警官に敬礼を返し、ひと息ついたところで携帯が着信を告げた。
「もしもし? 出動ですか?」
公用の携帯、しかも番号を知る者がごく限られているとなれば発信者とその用件は液晶の表示を見るまでもなく瞭然だ。
案の定、発信者は予想通りの人物だった。
『うん。ひと仕事終えたばかりなのに悪いね、れいな』
「いえ、どっちかというとそっちのが第一希望職種ですし。
……ていうか、紺野さんはどうして逐一れなの勤務内容把握してるんですか。タイミングまでバッチリやし」
『んー、一応現場運用主任だしねぇ。タイミングに関してはまあ、持つべきものは情報網というか』
「またさゆですか。ったく、さーゆー! 気配ないけどおるんやろ、出てきなー!」
れいなが周囲に向かって声を張る。
パトカーや鑑識、やじうまも去った路上にはれいな一人の姿しかなく、
それだけ見れば明らかに奇行なのだが、
「そんな大声出さなくても、ここにいるの」
「うわっ?!」
遥かに高度な制御能力と強度を持つ手錠型のリミッターを両手首に嵌められ、
男は制服警官の随伴で連行されていった。
パトカーに乗せられる(と言うより詰め込まれる)際、
れいなに砕かれた四肢の痛みに絶叫を上げていたのは余談である。
ヘロイン中毒と診断された女の方はそのまま麻薬更正施設に直行だ。
経歴を見る限り明らかに男に無理矢理従わされていた形なので、
よほどヘボな弁護士に当たらない限り有罪は免れるだろう。
パトカーに乗り込む警官に敬礼を返し、ひと息ついたところで携帯が着信を告げた。
「もしもし? 出動ですか?」
公用の携帯、しかも番号を知る者がごく限られているとなれば発信者とその用件は液晶の表示を見るまでもなく瞭然だ。
案の定、発信者は予想通りの人物だった。
『うん。ひと仕事終えたばかりなのに悪いね、れいな』
「いえ、どっちかというとそっちのが第一希望職種ですし。
……ていうか、紺野さんはどうして逐一れなの勤務内容把握してるんですか。タイミングまでバッチリやし」
『んー、一応現場運用主任だしねぇ。タイミングに関してはまあ、持つべきものは情報網というか』
「またさゆですか。ったく、さーゆー! 気配ないけどおるんやろ、出てきなー!」
れいなが周囲に向かって声を張る。
パトカーや鑑識、やじうまも去った路上にはれいな一人の姿しかなく、
それだけ見れば明らかに奇行なのだが、
「そんな大声出さなくても、ここにいるの」
「うわっ?!」
564 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:51:34.84 0
ぬ、とれいなが背をもたせかけていた看板の裏から情報屋、道重さゆみが姿を現す。
「あ、い変わらず心臓に悪い登場の仕方して……。」
「だって、毎回れいなのリアクションかわいいの」
くすくすと面白いものを見た調子で笑みをこぼすさゆみ。
れいなも他人の気配を察知する術に関しては素人ではない。
これだけの隠密行動力があるのなら公安職にでも就いた方がいいと思うのだが……、
「公務員は稼ぎが少なくてヤなの。さゆみには警察以上に気前の良いお得意さんもいるし」
と、この調子である。
れいなの上司、あさ美の更に上にいる上司のお墨付きの腕利きの情報屋だが、
それゆえにこの国の暗部をどこまで知り尽くしているのか、下っ端のれいなには想像するだに恐ろしい。
『あ、れいな。結構状況逼迫してるから急いでね。現場まではさゆが案内してくれるから』
「ああ、はい。了解です」
『じゃ、また現場で』
通話を切ると、さゆみが銀色のフルフェイスヘルメットを投げて寄越す。
どこに隠していたのか、その傍らにはすでにボディが黒い光沢を放つバイクが準備されていた。
さゆみが黒いヘルメットで顔を隠すのを合図に、れいなもヘルメットをかぶり、バイクにまたがったさゆみの腰に手を回す。
ぐるる、と獣が唸るような音を立ててエンジンがかかり、二人は明らかに法定速度違反のスピードでその場を後にした。
「あ、い変わらず心臓に悪い登場の仕方して……。」
「だって、毎回れいなのリアクションかわいいの」
くすくすと面白いものを見た調子で笑みをこぼすさゆみ。
れいなも他人の気配を察知する術に関しては素人ではない。
これだけの隠密行動力があるのなら公安職にでも就いた方がいいと思うのだが……、
「公務員は稼ぎが少なくてヤなの。さゆみには警察以上に気前の良いお得意さんもいるし」
と、この調子である。
れいなの上司、あさ美の更に上にいる上司のお墨付きの腕利きの情報屋だが、
それゆえにこの国の暗部をどこまで知り尽くしているのか、下っ端のれいなには想像するだに恐ろしい。
『あ、れいな。結構状況逼迫してるから急いでね。現場まではさゆが案内してくれるから』
「ああ、はい。了解です」
『じゃ、また現場で』
通話を切ると、さゆみが銀色のフルフェイスヘルメットを投げて寄越す。
どこに隠していたのか、その傍らにはすでにボディが黒い光沢を放つバイクが準備されていた。
さゆみが黒いヘルメットで顔を隠すのを合図に、れいなもヘルメットをかぶり、バイクにまたがったさゆみの腰に手を回す。
ぐるる、と獣が唸るような音を立ててエンジンがかかり、二人は明らかに法定速度違反のスピードでその場を後にした。
565 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:53:51.22 0
* * *
「そーいや紺野さん」
指令車両から離れ、ひと気もなく明かりひとつ灯っていない住宅街をれいなは練り歩く。
一歩踏み出す度にギシギシとアスファルトの地面が悲鳴を上げていた。
断じてれいなの体重が原因ではない。
原因はれいなが身につけている青いパワードスーツだった。
『ん? なんか異常でもあった?』
「いえ、仕事とはあんま関係ないんですけど、このスーツって、
こないだパチンコのCMで見たアレにすっごい似てる気がするんですよね」
『ヱ? ナンノコトカナ?』
「紺野さん、片言になってます」
常に白衣を身に纏う上司の、なにかをとぼけようとする時の表情が目に浮かぶ。
パワードスーツ。
ヴァリアントハンターの業界でエースと呼ばれる人物が
機械義肢というハンデを持ちながら業界で突出した成績を残していることからも判るように、
ここ数十年の機械工学の発達には目覚ましいものがある。
れいなが身につけている人工知能(AI)搭載型パワードスーツも最先端科学の結晶と言えた。
運用コストや量産の難しさから未だ軍用の実戦配備は見送られているが、
運用主任兼開発者である紺野あさ美の才能もあり、このパワードスーツの機能面に一切問題はない。
ヴァリアント殲滅用強化外骨格、Super Sonic Suit。
通称SSS(トリプルS)。
本来警察の管轄であるはずの治安維持を、
ユニオンという民間組織に委託している現状を憂いた警察庁により開発された新兵器である。
* * *
「そーいや紺野さん」
指令車両から離れ、ひと気もなく明かりひとつ灯っていない住宅街をれいなは練り歩く。
一歩踏み出す度にギシギシとアスファルトの地面が悲鳴を上げていた。
断じてれいなの体重が原因ではない。
原因はれいなが身につけている青いパワードスーツだった。
『ん? なんか異常でもあった?』
「いえ、仕事とはあんま関係ないんですけど、このスーツって、
こないだパチンコのCMで見たアレにすっごい似てる気がするんですよね」
『ヱ? ナンノコトカナ?』
「紺野さん、片言になってます」
常に白衣を身に纏う上司の、なにかをとぼけようとする時の表情が目に浮かぶ。
パワードスーツ。
ヴァリアントハンターの業界でエースと呼ばれる人物が
機械義肢というハンデを持ちながら業界で突出した成績を残していることからも判るように、
ここ数十年の機械工学の発達には目覚ましいものがある。
れいなが身につけている人工知能(AI)搭載型パワードスーツも最先端科学の結晶と言えた。
運用コストや量産の難しさから未だ軍用の実戦配備は見送られているが、
運用主任兼開発者である紺野あさ美の才能もあり、このパワードスーツの機能面に一切問題はない。
ヴァリアント殲滅用強化外骨格、Super Sonic Suit。
通称SSS(トリプルS)。
本来警察の管轄であるはずの治安維持を、
ユニオンという民間組織に委託している現状を憂いた警察庁により開発された新兵器である。
566 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:55:35.88 0
駆動系には通電により伸縮する性質を持った可塑性合成樹脂を応用した電磁筋と、軍用電動モーターを使用。
それゆえ動力は電気のみで、運用が人家の近くであっても空気汚染の心配はない。
装甲には戦車、戦闘機にも用いられるチタニウム合金。
関節等の可動部表面には防弾用途としても有名なアラミド繊維が用いられている。
装着者の視界には網膜投影型のヘッドマウントディスプレイが使用され、
標的の位置情報や距離、タイプなどの個体情報表示、索敵もAIにより自動で行われて装着者の視界に直接反映される。
加えて、装着者の脊髄に直接微細な針を挿入、
神経系をAIとリンクさせることでれいなは2メートル以上の巨躯を自身の手足の延長であるかの如く自在に操ることが可能だ。
走力は最大で時速127km、握力は700kg。
パンチ力やキック力は装着者のれいなの技量もあって測定不能だが、推定で軽く数十トンは越えている。
「……機能に問題ないから良いんですけど、外観に関してはほんと完全に紺野さんの趣味ですよね」
そう、しいて異論を挟むとすれば外観だ。
青くカラーリングされた装甲に単眼のメインカメラ、細長い手足に、肩部に張り出したウェポンラック。
加えて、周囲一体を停電に追い込むほど大量の電気を原動力とするためとは言え、
背中に接続されたケーブルはどう見ても……へその緒的なアレではないのか。
それゆえ動力は電気のみで、運用が人家の近くであっても空気汚染の心配はない。
装甲には戦車、戦闘機にも用いられるチタニウム合金。
関節等の可動部表面には防弾用途としても有名なアラミド繊維が用いられている。
装着者の視界には網膜投影型のヘッドマウントディスプレイが使用され、
標的の位置情報や距離、タイプなどの個体情報表示、索敵もAIにより自動で行われて装着者の視界に直接反映される。
加えて、装着者の脊髄に直接微細な針を挿入、
神経系をAIとリンクさせることでれいなは2メートル以上の巨躯を自身の手足の延長であるかの如く自在に操ることが可能だ。
走力は最大で時速127km、握力は700kg。
パンチ力やキック力は装着者のれいなの技量もあって測定不能だが、推定で軽く数十トンは越えている。
「……機能に問題ないから良いんですけど、外観に関してはほんと完全に紺野さんの趣味ですよね」
そう、しいて異論を挟むとすれば外観だ。
青くカラーリングされた装甲に単眼のメインカメラ、細長い手足に、肩部に張り出したウェポンラック。
加えて、周囲一体を停電に追い込むほど大量の電気を原動力とするためとは言え、
背中に接続されたケーブルはどう見ても……へその緒的なアレではないのか。
567 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:56:31.08 0
「昨夜調べたんですけど。ぶっちゃけ、これどうみても某人型汎用決戦兵器の零号機ですよね……。」
『正確には零号機・改だよ! あと新劇場版だと改装後も色はオレンジ――』
「認めてんじゃないですか!」
『……アハハー、まあ良いじゃん。機能には一切問題ないんだから』
「まあそうですけど――」
『田中巡査。もうすぐ報告の地点』
割って入ったのはAIによる報告だ。
付け加えると、そのAIの音声はあさ美が大ファンであるという某ベテラン声優M・Hの声に酷似している。
れいなは試しに、軽く冗談を呟いてみる。
「……今回はなんか敵の個体数も多いらしいし、今度こそ死んじゃうかもねー」
『貴女は死なないわ。私が守るもの』
重ねて付け加えるなら、AIの口調はその声優が演じた某零号機の搭乗者、R・Aの口調とまるで同じだった。
* * *
『対象確認。位置情報、装着者網膜へ転送』
「おっけー、ばっちり見えとぅよ」
夕刻。
住宅街を抜けると、そこは愛想のない建物が国道に沿って林立する無人のオフィスビル街。
騒音に近い音量で、アスファルトや周囲の建物の外壁を打ち砕く破壊音が拡張された聴覚を打つ。
『正確には零号機・改だよ! あと新劇場版だと改装後も色はオレンジ――』
「認めてんじゃないですか!」
『……アハハー、まあ良いじゃん。機能には一切問題ないんだから』
「まあそうですけど――」
『田中巡査。もうすぐ報告の地点』
割って入ったのはAIによる報告だ。
付け加えると、そのAIの音声はあさ美が大ファンであるという某ベテラン声優M・Hの声に酷似している。
れいなは試しに、軽く冗談を呟いてみる。
「……今回はなんか敵の個体数も多いらしいし、今度こそ死んじゃうかもねー」
『貴女は死なないわ。私が守るもの』
重ねて付け加えるなら、AIの口調はその声優が演じた某零号機の搭乗者、R・Aの口調とまるで同じだった。
* * *
『対象確認。位置情報、装着者網膜へ転送』
「おっけー、ばっちり見えとぅよ」
夕刻。
住宅街を抜けると、そこは愛想のない建物が国道に沿って林立する無人のオフィスビル街。
騒音に近い音量で、アスファルトや周囲の建物の外壁を打ち砕く破壊音が拡張された聴覚を打つ。
568 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:57:39.65 0
れいなの視界の中央には、警戒色の赤でデジタル式に丸く縁取られた対象―ヴァリアント―の姿がはっきりと見えていた。
人型だが、全長は3メートル近く。
赤黒く隆起した筋肉が波打ち、周囲の建物をなんの分別もなく破壊している。
ユニオンに登録されたハンターであれば確実に忌避する、間違いなく活動期の個体だ。
住民の避難誘導と交通規制に当たった警官の報告によれば、他にも二体の個体が確認されていた。
四倍ズームによる視界なので、実際の彼我の距離は数百メートル以上。
オフィスビルの陰に隠れていることもあり、対象がこちらへ気づいた様子はない。
『れいな、毎回悪いけど、一応データ取りたいからお願い』
「はいはい、っと。アルエ、銃出して」
『了解。右肩ウェポンラック開放、網膜投影パターンをモードAからGへ移行』
アルエとはR・AにちなんでれいながAIに付けた愛称だ。
そのアルエの音声と同時に、機体の右肩のウェポンラックが開放され、
物々しく重量感のある銃火器が突き出したれいなの右腕に乗る形で装備される。
ブローニングM2重機関銃。
葉巻のような太さと長さのある12.7mm×99弾薬を使用する、大口径の機関銃だ。
ちなみに同弾薬はイラク戦争で米軍により使用され、
1km以上の距離から敵兵の身体を真っ二つにしたという逸話を持つ対物ライフルのものと同一だ。
四十キロ近い重量と、そんな強力な弾薬を毎分600発という速度で連射するものであるため、
本来なら軽装甲車やヘリに設置してしかるべき代物だが、あさ美の開発したパワードスーツを前にそんな常識は無意味だ。
れいなは銃身を乗せているウェポンラックの蓋の下部から張り出したグリップを握り、射撃準備を完了する。
「準備よし。アルエ、照準任せた」
『了解』
人型だが、全長は3メートル近く。
赤黒く隆起した筋肉が波打ち、周囲の建物をなんの分別もなく破壊している。
ユニオンに登録されたハンターであれば確実に忌避する、間違いなく活動期の個体だ。
住民の避難誘導と交通規制に当たった警官の報告によれば、他にも二体の個体が確認されていた。
四倍ズームによる視界なので、実際の彼我の距離は数百メートル以上。
オフィスビルの陰に隠れていることもあり、対象がこちらへ気づいた様子はない。
『れいな、毎回悪いけど、一応データ取りたいからお願い』
「はいはい、っと。アルエ、銃出して」
『了解。右肩ウェポンラック開放、網膜投影パターンをモードAからGへ移行』
アルエとはR・AにちなんでれいながAIに付けた愛称だ。
そのアルエの音声と同時に、機体の右肩のウェポンラックが開放され、
物々しく重量感のある銃火器が突き出したれいなの右腕に乗る形で装備される。
ブローニングM2重機関銃。
葉巻のような太さと長さのある12.7mm×99弾薬を使用する、大口径の機関銃だ。
ちなみに同弾薬はイラク戦争で米軍により使用され、
1km以上の距離から敵兵の身体を真っ二つにしたという逸話を持つ対物ライフルのものと同一だ。
四十キロ近い重量と、そんな強力な弾薬を毎分600発という速度で連射するものであるため、
本来なら軽装甲車やヘリに設置してしかるべき代物だが、あさ美の開発したパワードスーツを前にそんな常識は無意味だ。
れいなは銃身を乗せているウェポンラックの蓋の下部から張り出したグリップを握り、射撃準備を完了する。
「準備よし。アルエ、照準任せた」
『了解』
569 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 22:59:25.91 0
視界は先ほどから対象をイエローの照準枠で捉えている。
アルエによる彼我の距離情報、弾道計算、ビル風による着弾誤差の修正が瞬時に行われ、
グリップを握った右腕の位置がれいなの意思に関係なく微妙に動かされる。
今回のテストは活動期の対象がこちらに気づいていない状態における狙撃の有用性の有無の確認だ。
数秒も待たず、対象を捉えていた照準枠が電子音と同時に再び赤色に変じ、中央に『LOCK』の表示が現れる。
それを合図と、れいなはグリップに取りつけられたトリガーを思い切り引き絞った。
耳を聾する連続した銃声。
凄まじい勢いで薬莢が排出され、ウェポンラックからベルト式にまとめられた弾薬が次々に送り出される。
れいなの視界右上に表示されているデジタルの発射弾薬数が十秒で百を数え、そこでれいなはトリガーを離した。
「着弾は?」
『データ上、全弾命中。対象の位置情報にも変化は確認できないわ』
過去に回収したヴァリアントの肉体を構成する細胞組織は、遺伝子の変異以外ではヒトを始めとする哺乳類と変わらない。
化け物じみた膂力はあるが、ひとつの標的として捉えた場合はただのタンパク質の塊だ。
理論上、12.7mm弾を百発も受ければ文字通り木っ端微塵となるはずだった。
だが、
「やっぱ効果なしか」
『対象周囲に微量な磁場の乱れを確認。着弾の影響によるものと考察』
ヴァリアントには傷ひとつなく、しかしこちらの存在には気づいたようで、ぎらついた双眸を向けてきている。
周囲には先端のひしゃげた弾頭の残骸がきっちり百発分転がっていた。
そう、ヴァリアントには通常兵器が一切効かない。
拳銃だろうが小銃だろうがあるいはミサイルだろうが、
全ては奴らが常時展開している不可視の"障壁"によって無効化されてしまうのだ。
核ミサイルでも使って周囲の酸素を焼き尽くし、酸欠による死亡を狙うという手もないことはないが、
やたらと都市部に出現する連中を相手にいちいち核を使っていては先に人類の方が参ってしまう。
障壁を破れるとしたら、ヴァリアントハンターが持つSSAによる超能力エネルギーを篭めた攻撃のみだ。
アルエによる彼我の距離情報、弾道計算、ビル風による着弾誤差の修正が瞬時に行われ、
グリップを握った右腕の位置がれいなの意思に関係なく微妙に動かされる。
今回のテストは活動期の対象がこちらに気づいていない状態における狙撃の有用性の有無の確認だ。
数秒も待たず、対象を捉えていた照準枠が電子音と同時に再び赤色に変じ、中央に『LOCK』の表示が現れる。
それを合図と、れいなはグリップに取りつけられたトリガーを思い切り引き絞った。
耳を聾する連続した銃声。
凄まじい勢いで薬莢が排出され、ウェポンラックからベルト式にまとめられた弾薬が次々に送り出される。
れいなの視界右上に表示されているデジタルの発射弾薬数が十秒で百を数え、そこでれいなはトリガーを離した。
「着弾は?」
『データ上、全弾命中。対象の位置情報にも変化は確認できないわ』
過去に回収したヴァリアントの肉体を構成する細胞組織は、遺伝子の変異以外ではヒトを始めとする哺乳類と変わらない。
化け物じみた膂力はあるが、ひとつの標的として捉えた場合はただのタンパク質の塊だ。
理論上、12.7mm弾を百発も受ければ文字通り木っ端微塵となるはずだった。
だが、
「やっぱ効果なしか」
『対象周囲に微量な磁場の乱れを確認。着弾の影響によるものと考察』
ヴァリアントには傷ひとつなく、しかしこちらの存在には気づいたようで、ぎらついた双眸を向けてきている。
周囲には先端のひしゃげた弾頭の残骸がきっちり百発分転がっていた。
そう、ヴァリアントには通常兵器が一切効かない。
拳銃だろうが小銃だろうがあるいはミサイルだろうが、
全ては奴らが常時展開している不可視の"障壁"によって無効化されてしまうのだ。
核ミサイルでも使って周囲の酸素を焼き尽くし、酸欠による死亡を狙うという手もないことはないが、
やたらと都市部に出現する連中を相手にいちいち核を使っていては先に人類の方が参ってしまう。
障壁を破れるとしたら、ヴァリアントハンターが持つSSAによる超能力エネルギーを篭めた攻撃のみだ。
570 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:01:12.60 0
『やっぱり磁場の乱れの波形パターンが超能力者が能力使う時のやつに近いねぇ。
んー、ミハイル・ゴーリキーが提唱した虚数意識論、あるいは虚数斥力場説と何か関係が――』
「……紺野さん、とりあえずちゃっちゃと片付けちゃって良いですか」
『へ? ああごめんごめん、いいよ。やっちゃって』
上司の許可を受け、れいなは機関銃をウェポンラックに収納、すでに敵意を向けて来ているヴァリアントと対峙する。
「アルエ。突っ込むけど、準備は?」
『既に網膜投影パターンをAへ戻してある。いけるわ』
「っしゃ」
気合一発、れいなは全長数キロに及ぶケーブルを引きずりながら全速力で疾駆する。
一歩ごとにアスファルトが砕け、数百メートルの距離を数秒足らずで詰め、ヴァリアントの正面へ。
常識的に考えれば自殺行為だ。
ヴァリアントの障壁を前に通常攻撃は無意味。
それはたとえスーツの補助を受けて数十トン単位にまで増幅されたれいなの拳でも同じこと。
しかし、何事にも例外は存在する。
「ガァアアアアアアアッ!」
「っせいッ!」
咆哮を上げ鋭利な爪を振り上げたヴァリアントにれいなが放ったのは、――なんの変哲もない右ストレートだった。
「ガゥァッ?!」
だがその右ストレートは、何の障害もなかったかのようにヴァリアントの左頬を抉った。
否、障害なら確かにあった。
不可視にして絶壁の障壁。
しかしそれを、れいなは触れるまでもなく一撃で霧散させたのだ。
んー、ミハイル・ゴーリキーが提唱した虚数意識論、あるいは虚数斥力場説と何か関係が――』
「……紺野さん、とりあえずちゃっちゃと片付けちゃって良いですか」
『へ? ああごめんごめん、いいよ。やっちゃって』
上司の許可を受け、れいなは機関銃をウェポンラックに収納、すでに敵意を向けて来ているヴァリアントと対峙する。
「アルエ。突っ込むけど、準備は?」
『既に網膜投影パターンをAへ戻してある。いけるわ』
「っしゃ」
気合一発、れいなは全長数キロに及ぶケーブルを引きずりながら全速力で疾駆する。
一歩ごとにアスファルトが砕け、数百メートルの距離を数秒足らずで詰め、ヴァリアントの正面へ。
常識的に考えれば自殺行為だ。
ヴァリアントの障壁を前に通常攻撃は無意味。
それはたとえスーツの補助を受けて数十トン単位にまで増幅されたれいなの拳でも同じこと。
しかし、何事にも例外は存在する。
「ガァアアアアアアアッ!」
「っせいッ!」
咆哮を上げ鋭利な爪を振り上げたヴァリアントにれいなが放ったのは、――なんの変哲もない右ストレートだった。
「ガゥァッ?!」
だがその右ストレートは、何の障害もなかったかのようにヴァリアントの左頬を抉った。
否、障害なら確かにあった。
不可視にして絶壁の障壁。
しかしそれを、れいなは触れるまでもなく一撃で霧散させたのだ。
571 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:02:07.83 0
『……能力殺し(スキル・キリング)。何度見ても不可解。こんなときどんな顔していいのかわからない』
「笑えばいいんじゃん? っつかアンタ顔ないっちゃろ」
れいながこの最新兵装の装着者に選ばれた理由。
それは彼女の特殊体質、能力殺しによるものだった。
強弱問わずあらゆる超能力を無効化させる異能。
彼女の異能を前には、たとえヴァリアントの障壁でも、わら半紙ほどの強度すら持てない。
検査によると、その影響範囲は彼女の体表面から約一メートル。
このスーツも彼女の異能が十全に発揮できるように設計されている。
「グルルルルルッ」
殴り飛ばされた対象はアスファルトを削りながら数メートルを滑り、
低い唸り声を上げながら明らかに警戒を示している。
ヴァリアントが一度障壁を破られてから、再び同じ障壁を展開するまでにはタイムラグがある。
このまま撲殺するのは簡単だが、残り二体も片付けなければいけないことだしれいなは時間の節約を選択する。
「アルエ。刀」
『了解。左肩ウェポンラック開放』
左肩のハッチが先に機関銃を取り出した時よりは控えめに開き、
隙間からカシャンと音を立てて日本刀の柄が現れる。
れいなはそれを右手で掴み、一息に抜き放つ。
一メートルに及ぶ刀身は分類するなら野太刀だろうか。
スーツ装着時の掌に合わせて柄や刀身は太いが、一見するとただの刀だ。
しかし、その実はこれも最先端科学の結晶である。
単分子結合技術が用いられた刃は分子一個分の薄さしか持たないため、あらゆる物体を切断可能。
さらに厚みが切断の邪魔になる刀身には低摩擦コーティング技術を応用、正真正銘の斬鉄剣である。
それを古流剣術の使い手でもある田中れいなが担えば、
「笑えばいいんじゃん? っつかアンタ顔ないっちゃろ」
れいながこの最新兵装の装着者に選ばれた理由。
それは彼女の特殊体質、能力殺しによるものだった。
強弱問わずあらゆる超能力を無効化させる異能。
彼女の異能を前には、たとえヴァリアントの障壁でも、わら半紙ほどの強度すら持てない。
検査によると、その影響範囲は彼女の体表面から約一メートル。
このスーツも彼女の異能が十全に発揮できるように設計されている。
「グルルルルルッ」
殴り飛ばされた対象はアスファルトを削りながら数メートルを滑り、
低い唸り声を上げながら明らかに警戒を示している。
ヴァリアントが一度障壁を破られてから、再び同じ障壁を展開するまでにはタイムラグがある。
このまま撲殺するのは簡単だが、残り二体も片付けなければいけないことだしれいなは時間の節約を選択する。
「アルエ。刀」
『了解。左肩ウェポンラック開放』
左肩のハッチが先に機関銃を取り出した時よりは控えめに開き、
隙間からカシャンと音を立てて日本刀の柄が現れる。
れいなはそれを右手で掴み、一息に抜き放つ。
一メートルに及ぶ刀身は分類するなら野太刀だろうか。
スーツ装着時の掌に合わせて柄や刀身は太いが、一見するとただの刀だ。
しかし、その実はこれも最先端科学の結晶である。
単分子結合技術が用いられた刃は分子一個分の薄さしか持たないため、あらゆる物体を切断可能。
さらに厚みが切断の邪魔になる刀身には低摩擦コーティング技術を応用、正真正銘の斬鉄剣である。
それを古流剣術の使い手でもある田中れいなが担えば、
572 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:03:26.81 0
「ガッ?」
時速数十キロの速度で脇を通り抜けたれいなの背後、ヴァリアントが突如走り抜けた敵に不審そうな目を向ける。
状況を理解できず不可解さを湛えたその眼球が――半ばから斜めにずれた。
九回。れいなが走り抜けざま振った刀の回数である。
ヴァリアントの頭部が、手足が、胴体が、れいなの斬った回数分の血飛沫を上げてバラバラに崩壊していく。
「これで一体、と。あと二体だっけ?」
『待って。周辺に生物の鼓動を感知。二体じゃない。五…八…十体以上。来る。下から』
「は?」
刹那、れいなの周辺のアスファルトが足下から一気に崩された。
響き渡る獣の咆哮。それも複数。
「うっわ、囲まれた。十体どころじゃないじゃん」
『合計三十二体』
明らかに異常事態だった。
通常は単体か、多くても最大五体程度の出現が過去の報告の上限だ。
それも、理性と呼べるものがないはずのヴァリアントが明らかに、れいな一人を敵とみなして道路いっぱいにひしめいている。
確かこの辺りは共同溝の整備が完了している地区だ。
計ったように共同溝を通って集結したとしか思えない。
それでも、れいなの腕とこのスーツの機能があれば時間はかかるがなんとか対処できるレベルではある。
が、
『ケーブル破損。内部電源に切り替え。活動限界まで残り12分37秒』
「……まじ?」
どうやら囲んでいる連中に蹂躙されてケーブルの一部が断線したらしい。
視界の右端にパチンコ屋で見た覚えのある活動限界までの時間が表示され、みるみる数字が減っていく。
流石にこの短時間ですべてを倒し切る自信はない。
時速数十キロの速度で脇を通り抜けたれいなの背後、ヴァリアントが突如走り抜けた敵に不審そうな目を向ける。
状況を理解できず不可解さを湛えたその眼球が――半ばから斜めにずれた。
九回。れいなが走り抜けざま振った刀の回数である。
ヴァリアントの頭部が、手足が、胴体が、れいなの斬った回数分の血飛沫を上げてバラバラに崩壊していく。
「これで一体、と。あと二体だっけ?」
『待って。周辺に生物の鼓動を感知。二体じゃない。五…八…十体以上。来る。下から』
「は?」
刹那、れいなの周辺のアスファルトが足下から一気に崩された。
響き渡る獣の咆哮。それも複数。
「うっわ、囲まれた。十体どころじゃないじゃん」
『合計三十二体』
明らかに異常事態だった。
通常は単体か、多くても最大五体程度の出現が過去の報告の上限だ。
それも、理性と呼べるものがないはずのヴァリアントが明らかに、れいな一人を敵とみなして道路いっぱいにひしめいている。
確かこの辺りは共同溝の整備が完了している地区だ。
計ったように共同溝を通って集結したとしか思えない。
それでも、れいなの腕とこのスーツの機能があれば時間はかかるがなんとか対処できるレベルではある。
が、
『ケーブル破損。内部電源に切り替え。活動限界まで残り12分37秒』
「……まじ?」
どうやら囲んでいる連中に蹂躙されてケーブルの一部が断線したらしい。
視界の右端にパチンコ屋で見た覚えのある活動限界までの時間が表示され、みるみる数字が減っていく。
流石にこの短時間ですべてを倒し切る自信はない。
573 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:05:05.64 0
『提案事項は二つ。一、戦略撤退。予備のケーブルを接続して改めて出直す』
「いや、この数を放置してたら被害総額とんでもないことになるっちゃ」
『ではもう一つ。SSS(Super Sonic System)の起動』
「……それしかないっちゃね。使った後にまた伏兵が出て来るとかないっちゃよね?」
『心配ない。レーダーをアクティブに切り替えて探索したけど、ここにいるのが全部』
「うし。じゃ、ケーブル排除。SSS起動」
『了解。ケーブル排除。SSS起動準備。起動後に予想される活動限界までは27秒』
「そんだけありゃ十分」
れいなは握っていた刀をウェポンラックに仕舞い直した。
スーツの背面から不要になったケーブルが排除される。
ヴァリアントたちはそれを合図にしたかのように一斉に襲いかかってくる。
直後、
『起動準備終了。SSS、起動』
れいなの姿が消える。砲声のような破裂音が周囲を木霊し、突如生じた突風がヴァリアント達の障壁へぶつかる。
脇のビルで破砕音。ほぼ同時に砲声。
ヴァリアント達が一斉にそちらを見るが、建物の壁が大きく凹み、周囲のガラスが砕けているだけで獲物の姿はない。
次の瞬間には、ヴァリアントのうち三体が上半身をなにか巨大な生物の顎に喰い千切られたかのように消失していた。
上半身を失ったヴァリアントが倒れるより疾く、次の砲声。
今度は二体が胴体に大穴を空けて千切れ飛んだ。
砲声と突風はその後も十数回に渡って続き、その度にヴァリアント達の首が飛び、
心臓が破裂し、あるいは原型もなく木っ端微塵になった。
やがて全てのヴァリアントが肉塊と化す頃、最初と同じ位置に青い装甲が再び姿を現した。
『SSS解除。活動限界まで二秒…一…ゼロ――。』
「……うう、やっぱこれ酔うわ。とりあえずお疲れ、アルエ」
「いや、この数を放置してたら被害総額とんでもないことになるっちゃ」
『ではもう一つ。SSS(Super Sonic System)の起動』
「……それしかないっちゃね。使った後にまた伏兵が出て来るとかないっちゃよね?」
『心配ない。レーダーをアクティブに切り替えて探索したけど、ここにいるのが全部』
「うし。じゃ、ケーブル排除。SSS起動」
『了解。ケーブル排除。SSS起動準備。起動後に予想される活動限界までは27秒』
「そんだけありゃ十分」
れいなは握っていた刀をウェポンラックに仕舞い直した。
スーツの背面から不要になったケーブルが排除される。
ヴァリアントたちはそれを合図にしたかのように一斉に襲いかかってくる。
直後、
『起動準備終了。SSS、起動』
れいなの姿が消える。砲声のような破裂音が周囲を木霊し、突如生じた突風がヴァリアント達の障壁へぶつかる。
脇のビルで破砕音。ほぼ同時に砲声。
ヴァリアント達が一斉にそちらを見るが、建物の壁が大きく凹み、周囲のガラスが砕けているだけで獲物の姿はない。
次の瞬間には、ヴァリアントのうち三体が上半身をなにか巨大な生物の顎に喰い千切られたかのように消失していた。
上半身を失ったヴァリアントが倒れるより疾く、次の砲声。
今度は二体が胴体に大穴を空けて千切れ飛んだ。
砲声と突風はその後も十数回に渡って続き、その度にヴァリアント達の首が飛び、
心臓が破裂し、あるいは原型もなく木っ端微塵になった。
やがて全てのヴァリアントが肉塊と化す頃、最初と同じ位置に青い装甲が再び姿を現した。
『SSS解除。活動限界まで二秒…一…ゼロ――。』
「……うう、やっぱこれ酔うわ。とりあえずお疲れ、アルエ」
574 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:06:51.48 0
SSS。Super Sonic System。
機体の各部に仕込まれた強力な電磁モーターやスプリング、電磁筋の極限酷使を実行することにより、
装着者の超音速による活動を可能とするシステムである。
砲声や突風は、スーツの速度が音速を超えて空気の壁を打ち破った音とソニックブーム(衝撃波)だ。
装着者の体重も合わせて約200kgに及ぶ物体が超音速で飛来するのだから、
ヴァリアントにとっては200kgの弾丸をもろに受けたのに等しい。
空中に飛び上がってしまうと地球の万有引力から抜け出せるわけではないので、
落下の際に目視可能な移動速度になってしまうなどの注意点はあるが、
AIのナビを伴って使用すれば最強のシステムと言える。
問題と言えば動きが速すぎてケーブルを排除しなければ使用できない点と、
内部電源のほとんどをものの数十秒で使い果たしてしまう点。
そして内部電源を使い果たした場合、
「……装甲重くて指一本動かせない。紺野さーん、早く回収お願いしまーす」
『はいはい、いま向かってるよー』
「……う。まじで早くしてください。ちょっと吐きそう」
『ちょ、我慢して! そこで吐いたら窒息するかもよ?!』
……こういった状況に陥ってしまう点だろうか。
機体の各部に仕込まれた強力な電磁モーターやスプリング、電磁筋の極限酷使を実行することにより、
装着者の超音速による活動を可能とするシステムである。
砲声や突風は、スーツの速度が音速を超えて空気の壁を打ち破った音とソニックブーム(衝撃波)だ。
装着者の体重も合わせて約200kgに及ぶ物体が超音速で飛来するのだから、
ヴァリアントにとっては200kgの弾丸をもろに受けたのに等しい。
空中に飛び上がってしまうと地球の万有引力から抜け出せるわけではないので、
落下の際に目視可能な移動速度になってしまうなどの注意点はあるが、
AIのナビを伴って使用すれば最強のシステムと言える。
問題と言えば動きが速すぎてケーブルを排除しなければ使用できない点と、
内部電源のほとんどをものの数十秒で使い果たしてしまう点。
そして内部電源を使い果たした場合、
「……装甲重くて指一本動かせない。紺野さーん、早く回収お願いしまーす」
『はいはい、いま向かってるよー』
「……う。まじで早くしてください。ちょっと吐きそう」
『ちょ、我慢して! そこで吐いたら窒息するかもよ?!』
……こういった状況に陥ってしまう点だろうか。
575 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/21(火) 23:11:55.90 0
>>563-574
以上です。
ややこしいSF設定と二次元ネタが多くてすいません。
二次元ネタの方は実際にマルシェさんが某声優さんの大ファンだし
代表作ひと通りチェックしてても不思議じゃないよね?…とゆーことでどうかひとつ。
次の更新は未定ですが、大筋は脳内プロットで七割くらいできてるので、
せめて今月中に最低一回は更新したいといった感じです。
ではお目汚し失礼致しました。
以上です。
ややこしいSF設定と二次元ネタが多くてすいません。
二次元ネタの方は実際にマルシェさんが某声優さんの大ファンだし
代表作ひと通りチェックしてても不思議じゃないよね?…とゆーことでどうかひとつ。
次の更新は未定ですが、大筋は脳内プロットで七割くらいできてるので、
せめて今月中に最低一回は更新したいといった感じです。
ではお目汚し失礼致しました。
576 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 00:11:17.03 0
577 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 02:02:35.27 0
ホゼナンター 参上!
○ おまえらの悪事はまるっとお見通しだ!
<ロ ̄
八 川o・-・) さぁ、なんのことか
○ おまえらの悪事はまるっとお見通しだ!
<ロ ̄
八 川o・-・) さぁ、なんのことか
578 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 02:44:53.21 0
初めて保全とやらをしてみる
579 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 03:36:50.12 0
こりゃまた斬新な世界観だなw
580 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 06:25:38.25 O
こっはー
連休明けの疲れに負けちゃだめだよー
連休明けの疲れに負けちゃだめだよー
581 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 06:26:47.34 0
582 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 07:54:03.76 0
共鳴者さんがフツーにリゾスレ完全復帰キタコレィィッ!!
ずっと前にも書いたんだけど、今後ヴァリアント設定の話もどんどん増えたりすると
面白いよねw まとめサイトもリゾナンター設定とヴァリアント設定が出来るくらいw
ずっと前にも書いたんだけど、今後ヴァリアント設定の話もどんどん増えたりすると
面白いよねw まとめサイトもリゾナンター設定とヴァリアント設定が出来るくらいw
583 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 08:10:09.86 O
そうかなあ…
584 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 08:24:47.94 0
「世紀の天体ショーがいよいよ始まろうとしています」
TVの画面では何がそんなに嬉しいのかレポーターがはしゃいでる。
彼の手には晴天を願った特大のてるてるぼうず。
重量と紙の強度が折り合ってないのか、頭がだらんと下がってる。
まるで絞首刑みたい。
誰かの幸福は誰かの不幸の上に成り立っているってこと?
それがあなたの解答なの。
それとも人は生まれながらにして、与えられた運命に隷属するしかないとでも?
ふんっ、精々はしゃいでな!
もうすぐあんたの、あんた達の縋っている人生の定理ってやつをひっくり返してやるからさ。
「ドクターマルシェ! 奴らが、リゾナンターがやってきました」
何をそんなに慌てているのさ。
それは来るさ。
だって私が招待したんだから。
広大な廃工場の一角から潜入を果たしたようだ。
無駄のない動き。
密集と散開のフォーメーションを切り替え、索敵を行いながら潜行を続けている。
リーダーから最年少まで、その表情はプロそのもの。
彼女たちが共に過ごしてきた時間の重さを物語っていた。
愛ちゃんはまだ飽きずに正義の味方をやってるんだね、偉いね。
私はちょっと疲れちゃったかな。
だから遊ぼうよ、あの頃みたいに。
愛ちゃん達が勝てば、ダークネスに関して、私の知り得た情報を全て渡すからさ。
でも、もし私が勝てば、この世界を…太陽が照らすことは二度と無い。
だから、精々頑張ってね。
私の作ったオモチャ達は完璧だから。
TVの画面では何がそんなに嬉しいのかレポーターがはしゃいでる。
彼の手には晴天を願った特大のてるてるぼうず。
重量と紙の強度が折り合ってないのか、頭がだらんと下がってる。
まるで絞首刑みたい。
誰かの幸福は誰かの不幸の上に成り立っているってこと?
それがあなたの解答なの。
それとも人は生まれながらにして、与えられた運命に隷属するしかないとでも?
ふんっ、精々はしゃいでな!
もうすぐあんたの、あんた達の縋っている人生の定理ってやつをひっくり返してやるからさ。
「ドクターマルシェ! 奴らが、リゾナンターがやってきました」
何をそんなに慌てているのさ。
それは来るさ。
だって私が招待したんだから。
広大な廃工場の一角から潜入を果たしたようだ。
無駄のない動き。
密集と散開のフォーメーションを切り替え、索敵を行いながら潜行を続けている。
リーダーから最年少まで、その表情はプロそのもの。
彼女たちが共に過ごしてきた時間の重さを物語っていた。
愛ちゃんはまだ飽きずに正義の味方をやってるんだね、偉いね。
私はちょっと疲れちゃったかな。
だから遊ぼうよ、あの頃みたいに。
愛ちゃん達が勝てば、ダークネスに関して、私の知り得た情報を全て渡すからさ。
でも、もし私が勝てば、この世界を…太陽が照らすことは二度と無い。
だから、精々頑張ってね。
私の作ったオモチャ達は完璧だから。
586 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 10:52:30.17 O
今まさに隠れんとしていますね
太陽を…光を取り戻せリゾナンター!
太陽を…光を取り戻せリゾナンター!
587 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 11:11:51.27 0
588 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 12:36:59.17 O
ヴァリヴァリヴァリアント教室
作者ちゃんいらっしゃい!
作者ちゃんいらっしゃい!
589 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 13:31:55.86 0
590 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 13:33:53.76 O
>>585
てるてるぼうずのくだりも良かったけど、現実のこんこんと娘。の距離も感じたなあ
最年少でも、数々のパフォーマンスで鍛えられてきた娘。と、今はかつてのフリも
あやしくなっちゃったこんこん・・・
・・・マルシェ、君はどこに向かっているんだい・・・?
てるてるぼうずのくだりも良かったけど、現実のこんこんと娘。の距離も感じたなあ
最年少でも、数々のパフォーマンスで鍛えられてきた娘。と、今はかつてのフリも
あやしくなっちゃったこんこん・・・
・・・マルシェ、君はどこに向かっているんだい・・・?
591 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 15:27:04.39 0
現実のマルシェはマルシェなりに自分の信ずる道を突き進んでるのでしょうが
592 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 15:39:26.90 0
紺野さんは自分の往きたい道を往くでしょうねきっと
むしろモーニング娘。の皆さんがどこに向かわせられているのかが心配になることもw
むしろモーニング娘。の皆さんがどこに向かわせられているのかが心配になることもw
593 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 17:13:06.85 O
とりあえずガキさんの激ヤセが心配
594 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 18:24:18.60 0
まあそれは最新の動くガキさんを見てから判断したいかな
595 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 19:10:12.48 0
今夜渋谷にリゾナンダーが降臨するよ
■ モーニング娘。 ■ 最新ヒット ウエンズデー J-POP ■ 20:00~20:50 ■
http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1248252766/
■ モーニング娘。 ■ 最新ヒット ウエンズデー J-POP ■ 20:00~20:50 ■
http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1248252766/
596 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 19:44:49.94 O
危ない忘れてたありがとー
597 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 20:37:04.58 0
ぬぅん!40kgあるから大丈夫!
598 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 21:04:22.41 O
皆既日食!
光は失われ我ら闇の世界が広がる刻
奴らには気付かれてはいないあの時間に行われた計画を・・・
光は失われ我ら闇の世界が広がる刻
奴らには気付かれてはいないあの時間に行われた計画を・・・
599 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 21:42:41.44 0
ttp://img.20ch.net/idol/s/idol20ch9502.jpg
えりりんが京本政樹ばりの殺し屋の目をしてる
えりりんが京本政樹ばりの殺し屋の目をしてる
600 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/22(水) 22:58:37.59 0
みれれん
601 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 00:07:35.38 0
確かに
602 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 01:16:28.06 0
ミレター!!
603 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 01:35:04.36 0
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <ミーよ、おまえのWikiがもう更新されとるのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
{ :| .|:::::| |ノ (*゚ヮ゚) <うん、作者も幸せだよね!
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <ミーよ、おまえのWikiがもう更新されとるのう…
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| ) ハ ハ
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ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_) ~(,,u,,u
604 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 01:56:56.81 0
605 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 04:20:22.80 O
わたしにもなれるかしら…本物に……
606 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 06:31:34.16 O
あー太陽が返ってきたねー
青空だー
青空だー
607 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 07:59:57.19 0
>>599
よく読まないで開いたら、さゆみんのことだとオモタw …殺し屋の目
よく読まないで開いたら、さゆみんのことだとオモタw …殺し屋の目
608 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 09:41:22.09 0
609 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 09:49:15.10 0
今日も暑いからリゾナントで休憩っと
610 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 11:41:15.41 0
あづい・・
何もする気ない・・
何もする気ない・・
611 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 12:45:00.67 O
川o・‐・)<そんなに暑いなら永遠に太陽を奪って差し上げましょうか?
612 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 12:52:56.84 0
|v')<暑いなら凍らせて私の傍に居させてあげるよ
嬉しい?
嬉しい?
613 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 12:54:25.51 0
ミティ様!!!!!!!!!!
614 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 13:59:51.59 O
寒けりゃミティ様暑けりゃミティ様って、オマイラほんとミティ様好きだなw
最近オイラはミティ様とつるんでた「A」様の能力(ルックス的な)の高さに注目してるぜw
最近オイラはミティ様とつるんでた「A」様の能力(ルックス的な)の高さに注目してるぜw
615 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 14:54:21.97 0
それ以外の能力も高いんだから注目してやってくれぃw
616 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 15:39:41.45 O
今よりも少し昔のこと、戦場には確かに天使がいた。
愛らしいその容姿だけがそう呼ばせたのではない。戦い方すら、美しかった。
彼女は常に微笑みを浮かべながら、流れるように舞った。
華麗に彼女が腕を振りかざしたそのあとに残るものは、戦意を失った敵兵たち。
その実力は、圧倒的すぎた。並び立つものなどなかった。
それでいて、絶対に相手を殺すことはなかった。血は流さないことが、彼女の信条だった。
「―――平和のためには、戦う。でも、そこに殺戮はいらないでしょ?」
彼女は、やはり微笑んでそう言っていた。
天使は絶対の技を持っていた。すべてを消し去る、誰にも止められない技を。
けれど決して、その力を解放することはなかった。
時は過ぎ、荒れ果てた戦場で、天使はその身体をひどく傷付けていた。
「なぜ、力を使わない? なぜ、弱く醜い己を晒し続ける?
お前には、世界の主となり得る力があるのはわかっているだろう? …なぁ、戦場の天使、『a723』よ」
「…そんな呼び方、やめてくれないかな」
天使は相手を鋭く見据え、震える足で大地を踏みしめた。
「…なっちは、天使でも、『a723』でもない、一人の人間だっ…!」
けれど、振りかざした腕が相手を倒すことはなかった。
怒り狂う黒い竜巻に襲われて、天使は羽をもがれ、その力を失った。
その直後、辺り一面を真っ青な光が通りすぎ、彼女と、彼女を慕う少女だけを残して、すべてを消し去った。
『天使』と呼ばれた戦士はその光を見て少しだけ涙を流し、そしてまた、微かに笑ったようだった。
愛らしいその容姿だけがそう呼ばせたのではない。戦い方すら、美しかった。
彼女は常に微笑みを浮かべながら、流れるように舞った。
華麗に彼女が腕を振りかざしたそのあとに残るものは、戦意を失った敵兵たち。
その実力は、圧倒的すぎた。並び立つものなどなかった。
それでいて、絶対に相手を殺すことはなかった。血は流さないことが、彼女の信条だった。
「―――平和のためには、戦う。でも、そこに殺戮はいらないでしょ?」
彼女は、やはり微笑んでそう言っていた。
天使は絶対の技を持っていた。すべてを消し去る、誰にも止められない技を。
けれど決して、その力を解放することはなかった。
時は過ぎ、荒れ果てた戦場で、天使はその身体をひどく傷付けていた。
「なぜ、力を使わない? なぜ、弱く醜い己を晒し続ける?
お前には、世界の主となり得る力があるのはわかっているだろう? …なぁ、戦場の天使、『a723』よ」
「…そんな呼び方、やめてくれないかな」
天使は相手を鋭く見据え、震える足で大地を踏みしめた。
「…なっちは、天使でも、『a723』でもない、一人の人間だっ…!」
けれど、振りかざした腕が相手を倒すことはなかった。
怒り狂う黒い竜巻に襲われて、天使は羽をもがれ、その力を失った。
その直後、辺り一面を真っ青な光が通りすぎ、彼女と、彼女を慕う少女だけを残して、すべてを消し去った。
『天使』と呼ばれた戦士はその光を見て少しだけ涙を流し、そしてまた、微かに笑ったようだった。
617 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 15:40:33.46 O
>>616
どっかのナントカって作品の別視点というか何というか
日付を見たら7/23だったので唐突に考えてみました。
それにしても1レスにするには無理のある話だった
どうも安倍さんはこういう切ない系キャラの位置づけになっちゃったなぁ…
どっかのナントカって作品の別視点というか何というか
日付を見たら7/23だったので唐突に考えてみました。
それにしても1レスにするには無理のある話だった
どうも安倍さんはこういう切ない系キャラの位置づけになっちゃったなぁ…
618 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 16:38:38.70 0
傷だらけの天使・・
惚れた・・・・
惚れた・・・・
619 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 18:17:49.33 0
ナッチハテンシ
620 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 18:25:50.46 0
皆さんは定期的にリゾナントブルーAnother Ver.を見たりしていますか?
621 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 19:15:02.23 O
最近通常版みたら新鮮だた
622 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 19:28:15.16 0
全然見てませんね、そう言えば。
今見たらこの物語の主人公達にしか見えないんだろうな
今見たらこの物語の主人公達にしか見えないんだろうな
623 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 19:30:03.52 0
Another Ver.も勿論好きだけど
私は個人的にOne Cut Dance Ver.をよく見る
私は個人的にOne Cut Dance Ver.をよく見る
624 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 20:13:03.02 0
625 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 20:14:57.11 0
626 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 20:34:28.02 0
リゾナントブルーに関してはあのカメラ固定は生きてるね
正直セクシーボーイのカメラ固定にはガックリきたけど
正直セクシーボーイのカメラ固定にはガックリきたけど
628 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 21:31:26.00 0
>>627
そうだね♪ じゃぁ次は抱いてHold on meについて語ろうか 違うか!
そうだね♪ じゃぁ次は抱いてHold on meについて語ろうか 違うか!
629 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:00:30.54 0
「“潜入”は今日から?」
唐突に背後から掛けられたその長閑な声に足を止め、新垣里沙はゆっくりと振り返った。
声同様に悠然とした柔らかい笑顔と、その下で微かに揺らめく白衣が肩越しに視界に入る。
「その緊張した顔からするとどうやらそうみたいだね」
「……どうやらも何も知ってて声掛けたんでしょ?なんでもご存知のあさ美ちゃんのことだから」
苦笑を浮かべようとした里沙は、白衣の女性―紺野あさ美の言うように、自分の顔が思いのほか強張っていたことを知った。
初めて経験する類の“任務”に、自覚している以上に気が張りつめていたらしい。
“任務”に際して気を引き締めるのは当然のことだが、不必要な緊張感は逆に失敗に繋がりかねない。
里沙は小さく息を吐き、気持ちを静めながらあさ美の方に体を向けた。
「何言ってんの。わたしが知ってることなんて世の中のほんの一部だよ」
そんな里沙の内心は知っているのか知らないのか、あさ美はいつものように超然とした答えを返す。
「はいはい、もういいよ。…それでどうしたの?まさか見送りに来てくれたわけでもないんでしょ?」
肩をすくめるようにしながら、里沙は探るような目をあさ美に向けた。
「ううん。見送りに来ただけだよ。何かおかしい?」
表情も声のトーンも全く変えることなく、あさ美は屈託のない笑顔を里沙に向ける。
かといって、それが本心でないことは明らかだった。
…というよりも、あさ美が本心を露わにしたことなど恐らくないに違いないと里沙は思う。
ほぼ同時期に“組織”に入り、比較的気の置けない関係である自分に対してすら、常に“仮面”をつけて接していると。
もっとも、それはあさ美に限らず、里沙にしろ他の誰にしろ多かれ少なかれ同じと言えることではあるけれど――
「“潜入”は今日から?」
唐突に背後から掛けられたその長閑な声に足を止め、新垣里沙はゆっくりと振り返った。
声同様に悠然とした柔らかい笑顔と、その下で微かに揺らめく白衣が肩越しに視界に入る。
「その緊張した顔からするとどうやらそうみたいだね」
「……どうやらも何も知ってて声掛けたんでしょ?なんでもご存知のあさ美ちゃんのことだから」
苦笑を浮かべようとした里沙は、白衣の女性―紺野あさ美の言うように、自分の顔が思いのほか強張っていたことを知った。
初めて経験する類の“任務”に、自覚している以上に気が張りつめていたらしい。
“任務”に際して気を引き締めるのは当然のことだが、不必要な緊張感は逆に失敗に繋がりかねない。
里沙は小さく息を吐き、気持ちを静めながらあさ美の方に体を向けた。
「何言ってんの。わたしが知ってることなんて世の中のほんの一部だよ」
そんな里沙の内心は知っているのか知らないのか、あさ美はいつものように超然とした答えを返す。
「はいはい、もういいよ。…それでどうしたの?まさか見送りに来てくれたわけでもないんでしょ?」
肩をすくめるようにしながら、里沙は探るような目をあさ美に向けた。
「ううん。見送りに来ただけだよ。何かおかしい?」
表情も声のトーンも全く変えることなく、あさ美は屈託のない笑顔を里沙に向ける。
かといって、それが本心でないことは明らかだった。
…というよりも、あさ美が本心を露わにしたことなど恐らくないに違いないと里沙は思う。
ほぼ同時期に“組織”に入り、比較的気の置けない関係である自分に対してすら、常に“仮面”をつけて接していると。
もっとも、それはあさ美に限らず、里沙にしろ他の誰にしろ多かれ少なかれ同じと言えることではあるけれど――
630 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:01:11.40 0
「それはそれは忙しいのにわざわざありがと、Dr.マルシェさん」
そんな気持ちを込めながらわざとシニカルにそう返す里沙にも、「どういたしまして」と微笑むあさ美の表情は微動もしなかった。
「『高橋愛と田中れいなの監視及びその状況報告』だったよね、今回の“任務”は。いつまでなの?」
「期間はどうなるか分からない。ま、あちらさん次第だろうね」
「ふ~ん、じゃあ下手すると当分会えないんだね。淋しくなるなぁ」
「んなこと思ってもないくせに」
そう笑い返した里沙は、あさ美の笑顔に先ほどまでは見られなかった微かな翳のようなものを認めて少し驚いた。
だが、里沙がそれの意味するところを考える前に、その憂いの色は消えていた。
「餞別代り…と言っちゃあれなんだけど、一つ喩え話と質問をさせてもらっていいかな?」
「喩え話?質問?別にいいけど…なにさ藪から棒に」
身構えるような素振りを見せる里沙に「まあいいからいいから」と笑いかけ、あさ美は場面設定を語りだした。
あなたが操作し、線路上を走っているトロッコが、突然制御不能になりました。
どうやっても止められないままトロッコは分岐路に差し掛かります。
このまま真っ直ぐ行くと、その先で作業をしている5人の作業員が轢き殺されます。
遠隔操作でポイントを切り替えてもう1本の線路に入れば5人は助かりますが、その路線では1人の作業員が作業中です。
「さあ…あなたはこの場面でどのような選択をしますか?」
そう言いながら、あさ美は微かに首を傾ける。
穏やかな笑顔は先ほどまでと変わらないが、その目に笑いの色はもうなかった。
その瞳を見て、里沙はあさ美が突然こんな話をしだした意味を理解した。
おそらくこの喩え話は、自分の覚悟を問うているのだ。
多数の人間の利益を得るために少数―愛やれいな―を犠牲にすることを、躊躇ったりしないかどうかを。
「それはそれは忙しいのにわざわざありがと、Dr.マルシェさん」
そんな気持ちを込めながらわざとシニカルにそう返す里沙にも、「どういたしまして」と微笑むあさ美の表情は微動もしなかった。
「『高橋愛と田中れいなの監視及びその状況報告』だったよね、今回の“任務”は。いつまでなの?」
「期間はどうなるか分からない。ま、あちらさん次第だろうね」
「ふ~ん、じゃあ下手すると当分会えないんだね。淋しくなるなぁ」
「んなこと思ってもないくせに」
そう笑い返した里沙は、あさ美の笑顔に先ほどまでは見られなかった微かな翳のようなものを認めて少し驚いた。
だが、里沙がそれの意味するところを考える前に、その憂いの色は消えていた。
「餞別代り…と言っちゃあれなんだけど、一つ喩え話と質問をさせてもらっていいかな?」
「喩え話?質問?別にいいけど…なにさ藪から棒に」
身構えるような素振りを見せる里沙に「まあいいからいいから」と笑いかけ、あさ美は場面設定を語りだした。
あなたが操作し、線路上を走っているトロッコが、突然制御不能になりました。
どうやっても止められないままトロッコは分岐路に差し掛かります。
このまま真っ直ぐ行くと、その先で作業をしている5人の作業員が轢き殺されます。
遠隔操作でポイントを切り替えてもう1本の線路に入れば5人は助かりますが、その路線では1人の作業員が作業中です。
「さあ…あなたはこの場面でどのような選択をしますか?」
そう言いながら、あさ美は微かに首を傾ける。
穏やかな笑顔は先ほどまでと変わらないが、その目に笑いの色はもうなかった。
その瞳を見て、里沙はあさ美が突然こんな話をしだした意味を理解した。
おそらくこの喩え話は、自分の覚悟を問うているのだ。
多数の人間の利益を得るために少数―愛やれいな―を犠牲にすることを、躊躇ったりしないかどうかを。
631 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:01:52.73 0
「…分かってるよ、あさ美ちゃん。わたしは迷ったりしない。前に言ったでしょ?家族を“捨てた”あの日から、わたしはそんな感情に別れを告げたんだって」
今回の“任務”に就くに当たって聞かされた愛とれいなの境遇には、確かに同情すべき点が多いと言わざるをえない。
だが、それとこれとはまた全く別の話だ。
彼女らの犠牲の上に、他の多数の人間の幸せがあるのならば、そこに逡巡の余地などあろうはずもない。
自分は躊躇うことなくポイントを切り替え、分岐路へと乗り入れる決断を下す―――
その覚悟を映した瞳で、里沙はあさ美の目を見つめ返す。
一瞬、そこに正体不明の感情が過ぎったと感じた次の瞬間には、再び静かな湖面のような冷たい色が浮かんでいた。
「じゃあもう一つだけ質問」
「まだあるの?」と言いかけた里沙は、あさ美の瞳のあまりの静かさにその言葉を飲み込んだ。
その里沙に対し、あさ美は先ほどとまるで変わらない明るいトーンで再び状況設定を語りだす。
陸橋の上に立っているあなたは、無人のトロッコが線路上を暴走してくるのに気付きました。
このままだとトロッコは自分の立つ陸橋の下をくぐり、その先にいる5人の作業員を轢き殺してしまいます。
何か大きなものを線路に落としてトロッコを脱線させれば5人は助かりますが、残念ながらそういったものは周囲にありません。
しかし、そこであなたは気付きました。
「あなたのすぐ隣に……わたしが立っていることを」
「―――――っ!!」
言葉が出なかった。
少数の犠牲の上に多数の幸せがあるならば、そこに選択の余地などない――だけど――
先ほどと言わばまったく同じことを問われているにも関わらず……思考さえも一瞬完全に停止した。
「…迷ったらダメだよ。そこにたまたまわたしが立っていたことをラッキーだと思わなきゃいけない」
先ほどまでと変わらぬ静かな瞳と明るい声でそう言うと、あさ美は里沙に微笑みかけた。
あなたにはその覚悟がちゃんとあるよね?―――そう語りかけるように。
「…分かってるよ、あさ美ちゃん。わたしは迷ったりしない。前に言ったでしょ?家族を“捨てた”あの日から、わたしはそんな感情に別れを告げたんだって」
今回の“任務”に就くに当たって聞かされた愛とれいなの境遇には、確かに同情すべき点が多いと言わざるをえない。
だが、それとこれとはまた全く別の話だ。
彼女らの犠牲の上に、他の多数の人間の幸せがあるのならば、そこに逡巡の余地などあろうはずもない。
自分は躊躇うことなくポイントを切り替え、分岐路へと乗り入れる決断を下す―――
その覚悟を映した瞳で、里沙はあさ美の目を見つめ返す。
一瞬、そこに正体不明の感情が過ぎったと感じた次の瞬間には、再び静かな湖面のような冷たい色が浮かんでいた。
「じゃあもう一つだけ質問」
「まだあるの?」と言いかけた里沙は、あさ美の瞳のあまりの静かさにその言葉を飲み込んだ。
その里沙に対し、あさ美は先ほどとまるで変わらない明るいトーンで再び状況設定を語りだす。
陸橋の上に立っているあなたは、無人のトロッコが線路上を暴走してくるのに気付きました。
このままだとトロッコは自分の立つ陸橋の下をくぐり、その先にいる5人の作業員を轢き殺してしまいます。
何か大きなものを線路に落としてトロッコを脱線させれば5人は助かりますが、残念ながらそういったものは周囲にありません。
しかし、そこであなたは気付きました。
「あなたのすぐ隣に……わたしが立っていることを」
「―――――っ!!」
言葉が出なかった。
少数の犠牲の上に多数の幸せがあるならば、そこに選択の余地などない――だけど――
先ほどと言わばまったく同じことを問われているにも関わらず……思考さえも一瞬完全に停止した。
「…迷ったらダメだよ。そこにたまたまわたしが立っていたことをラッキーだと思わなきゃいけない」
先ほどまでと変わらぬ静かな瞳と明るい声でそう言うと、あさ美は里沙に微笑みかけた。
あなたにはその覚悟がちゃんとあるよね?―――そう語りかけるように。
632 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:02:34.15 0
* * *
「……分かった、肝に銘じておくよ」
里沙は僅かに複雑な表情を浮かべた後、静かに微笑んで頷き、そして再び表情を引き締めた。
「じゃあ……そろそろ行くね。見送りありがとう」
「いってらっしゃい。―――頑張ってね」
口から出かけた言葉を飲み込み、その代わりにあさ美は月並みながらどこか間の抜けた言葉を里沙に向けた。
そして、半ば無意識に片手を差し出す。
一拍の間をおいて、その手に里沙の温もりが伝わった。
「らしくない」と自分でも思ったし、きっと里沙もそう思っただろう。
だが、里沙は何も言わずに差し出した手を握り、もう一度「じゃあね」と小さく言うと踵を返した。
その背中を見送りながら、あさ美は抗い難い予感にとらわれていた。
里沙の温もりを感じることはもうないのではないかという、何の根拠もない予感に。
……いや、本当は“根拠”はある。
だからこそ、あさ美は里沙にあの喩え話をしたのだから。
つい先日、他ならぬ自分自身がそれと知らずに遭遇していた2人組――愛とれいな。
あの2人と日々接していて、里沙は果たして冷たい感情を貫き通せるだろうか。
―――そう信じたい。
哀しみの連鎖を断ち切るためには、その感情こそが不可欠なのだから。
もしもその感情が貫けないならばそのときは―――
* * *
「……分かった、肝に銘じておくよ」
里沙は僅かに複雑な表情を浮かべた後、静かに微笑んで頷き、そして再び表情を引き締めた。
「じゃあ……そろそろ行くね。見送りありがとう」
「いってらっしゃい。―――頑張ってね」
口から出かけた言葉を飲み込み、その代わりにあさ美は月並みながらどこか間の抜けた言葉を里沙に向けた。
そして、半ば無意識に片手を差し出す。
一拍の間をおいて、その手に里沙の温もりが伝わった。
「らしくない」と自分でも思ったし、きっと里沙もそう思っただろう。
だが、里沙は何も言わずに差し出した手を握り、もう一度「じゃあね」と小さく言うと踵を返した。
その背中を見送りながら、あさ美は抗い難い予感にとらわれていた。
里沙の温もりを感じることはもうないのではないかという、何の根拠もない予感に。
……いや、本当は“根拠”はある。
だからこそ、あさ美は里沙にあの喩え話をしたのだから。
つい先日、他ならぬ自分自身がそれと知らずに遭遇していた2人組――愛とれいな。
あの2人と日々接していて、里沙は果たして冷たい感情を貫き通せるだろうか。
―――そう信じたい。
哀しみの連鎖を断ち切るためには、その感情こそが不可欠なのだから。
もしもその感情が貫けないならばそのときは―――
633 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:03:15.42 0
里沙の姿が消えてからもなお、あさ美はその場に立ち尽くしていた。
落ちゆく陽によって紫に染められていた廊下はいつしか紫黒の中に沈み、白衣だけが微かに闇に浮かんでいた―――
里沙の姿が消えてからもなお、あさ美はその場に立ち尽くしていた。
落ちゆく陽によって紫に染められていた廊下はいつしか紫黒の中に沈み、白衣だけが微かに闇に浮かんでいた―――
634 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 22:04:12.45 0
>>629-633
『幕間 ―THE DIRENMA OF...』
以上です
ご存知の方も多いと思いますが、作中で紺野さんがしている話は心理学や倫理学において有名な「トロッコのジレンマ」です
抱いてHold on meの話じゃなくて申し訳ないです
>>629-633
『幕間 ―THE DIRENMA OF...』
以上です
ご存知の方も多いと思いますが、作中で紺野さんがしている話は心理学や倫理学において有名な「トロッコのジレンマ」です
抱いてHold on meの話じゃなくて申し訳ないです
635 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 23:01:11.48 0
636 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/23(木) 23:53:34.05 0
とても眠たいので明日読ませてもらいます
637 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 00:21:43.33 0
なんか最近続々と新作が出てきてない?
30話になってピッチが早いw
30話になってピッチが早いw
638 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 00:37:23.05 0
さゆと小春の生誕で作者さんも頑張ったようだしね
639 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 01:19:05.98 0
流石記念すべき30話
640 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 02:43:06.71 0
リゾナンターちゃいこー
641 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 06:26:07.10 O
おっぱよんよん
642 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 06:26:11.23 0
643 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 08:00:57.38 0
朝から暑いわ
リゾナントでモーニングでも
リゾナントでモーニングでも
644 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 09:45:58.44 0
723=なつみ
これに気付くのに一晩かかった人が俺の他にいますか?
絶対いないよねorz
これに気付くのに一晩かかった人が俺の他にいますか?
絶対いないよねorz
645 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 09:56:15.03 0
なるほど気付かなかったw
646 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 09:56:36.15 0
いるわよ!ここに一人!悪かったわネ!なにさ=723
647 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 10:07:08.68 0
けんかは よしな
648 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 10:08:06.76 0
あっ 間違えた むしな=647って書くつもりだったのに
649 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 10:54:19.10 0
||c| +e+)|∩″<ぬぅん!!
650 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 12:29:36.51 O
ちょw ガキさん目がいってるw
暑いわ、>>634では過酷な選択を迫られるわで大変そうだけどなw
暑いわ、>>634では過酷な選択を迫られるわで大変そうだけどなw
651 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 12:57:47.56 O
723わかりづらかったか…w
まぁ完成度もアレだしとっさの思いつきってことでw
まぁ完成度もアレだしとっさの思いつきってことでw
652 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 14:41:56.82 0
654 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 16:34:56.53 O
>>653
博多弁じゃなくて?
博多弁じゃなくて?
655 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 16:41:35.18 0
えっれいな弁じゃないの?
656 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 17:19:42.13 O
福岡弁とマチガタ
657 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 17:32:35.80 O
闇に染まったれいなも見てみたい気はする
でも何故だろうあまりピンとこないなー
フラビージョ程度の「悪」なら想像つくんだけどw
でも何故だろうあまりピンとこないなー
フラビージョ程度の「悪」なら想像つくんだけどw
658 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 19:17:55.21 O
おっと
659 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 19:32:48.19 0
れいなの悪役見てみたいね
悪役ゆうてもどこか抜けてて人の良い
ジブリアニメに出てきそうな義賊の女親分みたいな感じかな
悪役ゆうてもどこか抜けてて人の良い
ジブリアニメに出てきそうな義賊の女親分みたいな感じかな
660 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 19:58:48.99 O
从*` ロ´)<誰がドーラっちゃ!
661 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 21:11:09.96 0
フラビたんかゲキレンのメレみたいな感じでお願いしたい
663 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 23:24:40.78 0
特撮の悪役だと拘束期間が長いからねえ
664 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 23:32:47.38 0
665 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/24(金) 23:46:40.97 0
>>664
すごいシャツ着てるなw
すごいシャツ着てるなw
666 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 00:22:40.89 0
>>662
胸のことかあああああああ
胸のことかあああああああ
667 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 01:18:04.08 0
私は孤独を憎めない
寂しいときはいつも傍にいてくれるから
私は友を愛せない
私の心を弱くするから
私は闇を愛してる
弱い私を包んでくれるから
私は光を憎んでいる
私の醜さを暴くから
寂しいときはいつも傍にいてくれるから
私は友を愛せない
私の心を弱くするから
私は闇を愛してる
弱い私を包んでくれるから
私は光を憎んでいる
私の醜さを暴くから
668 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:46:13.60 0
>>994
さすライオンやホワイトタイガー飼いたいって言ってるだけあるなw
さすライオンやホワイトタイガー飼いたいって言ってるだけあるなw
669 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 02:49:06.03 0
671 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 06:56:21.22 O
“未来”で待ってます
672 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 08:55:59.08 0
未来すぎるっちゅうねん
673 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 08:56:52.39 O
今日は26時間テレビにリゾナンター出るの?
なんかキャハハの人の応援するとか聞いたけど
なんかキャハハの人の応援するとか聞いたけど
674 : KD125028016049.ppp.prin.ne.jp[] 投稿日:2009/07/25(土) 09:23:45.11 0
どこかで出演する可能性は高いんじゃあ
675 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 09:51:17.92 O
ぬ・・・? ダークネスと連動とな?
・・・ガキさんヤセスギ戻ってるといいけど・・・
・・・ガキさんヤセスギ戻ってるといいけど・・・
676 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 10:30:43.66 0
今のガキさんは3人目だから
678 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 11:27:56.67 0
679 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 12:57:08.63 O
680 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 13:10:14.92 O
>>670
本当にここの人はよくミスするなぁwと思ったら自分だったorz
本当にここの人はよくミスするなぁwと思ったら自分だったorz
681 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 14:53:13.23 0
682 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 14:53:30.07 O
しかしそれが新たな可能性を呼ぶのがこのスレの素敵なところ
684 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 15:54:25.52 O
>>681-683
なんというホゼナントリゾナントw
なんというホゼナントリゾナントw
685 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 17:30:27.41 0
回転しってなに?
686 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 17:41:24.51 0
誰かのライブで回りにいったのか回転寿司に行ったやら
687 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 18:00:18.34 O
戒天使の誤変換かな
689 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:20:27.46 0
謎解きか……
「回転し」って言うのは「回転死」って事だろうな、きっと
回転して死ぬ……回転……ハッ!
回転とはでんぐり返しのことだ!
でんぐり返しをして死ぬ可能性がある人と言えば、あの人しか居ない!
森光子さんだ!
つまりこういう事だ。>>683は「放浪記」を観に行ったんだ!
「回転し」って言うのは「回転死」って事だろうな、きっと
回転して死ぬ……回転……ハッ!
回転とはでんぐり返しのことだ!
でんぐり返しをして死ぬ可能性がある人と言えば、あの人しか居ない!
森光子さんだ!
つまりこういう事だ。>>683は「放浪記」を観に行ったんだ!
690 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 19:24:58.50 0
回天といえば日本海軍の特攻兵器 つまり…
693 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:39:33.19 0
694 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 20:48:04.89 O
こちらダークネス本部 >>683 了解シタ
696 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 21:37:37.26 0
697 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 21:46:48.02 0
698 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 22:45:20.39 0
pepperのwikiやね
おもしろかった
おもしろかった
699 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 23:53:21.69 0
700 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 23:54:05.89 O
うむ いつの間にかじっくりWikiを読んでいる自分がいたですよ
701 : ぺっぱあ[] 投稿日:2009/07/25(土) 23:57:33.75 0
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
WIKIがWIKIがあああああああああああああああああああああああああああああああ
_| ̄|○もうゴメンナサイ(なんとなくあやまらないといけない気持ち)
鳥肌立っちゃいました… ホントありがとうございます… というかどれだけの時間を投入
されたのでしょう… もうビックリです 本当に感謝です!
WIKIがWIKIがあああああああああああああああああああああああああああああああ
_| ̄|○もうゴメンナサイ(なんとなくあやまらないといけない気持ち)
鳥肌立っちゃいました… ホントありがとうございます… というかどれだけの時間を投入
されたのでしょう… もうビックリです 本当に感謝です!
702 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/25(土) 23:58:44.53 0
ぺっぱあさんもちつけwwwww
703 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:00:11.49 0
亀井絵里 と 田中れいな の項目が最高ですね… w
704 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:00:52.96 O
たぶん回転寿司だよたぶん・・・
だが>>683亡き今、真相はもう誰にもわからない・・・
だが>>683亡き今、真相はもう誰にもわからない・・・
705 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 00:46:15.90 0
706 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:58:47.63 0
wiki更にキタねえ!
707 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 02:23:48.89 O
我々はウィキナンダーの能力を侮っていたようだな…
奴らの警戒レベルを上げる必要があるようだ
奴らの警戒レベルを上げる必要があるようだ
708 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 03:06:37.66 0
リゾナントプルルル
709 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 04:38:56.34 O
ガキさんのお団子と喫茶リゾナントが地震で揺れようハッ!ハッ!ハッ!
710 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 07:16:41.83 O
川*’ー’)<笑とる場合やないやよ
711 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 09:00:13.45 O
リーダーは落ち着き過ぎw
713 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 12:16:13.77 0
wikiって1人の人が全部作ってるの?
714 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 12:39:27.95 O
違うよ
ウィキナンターの人も何人かいると思う
この項目担当みたいなのは多少出来ちゃってるかもしれないけどWikiはいろんな人が編集出来るのがいいところだからね
ウィキナンターの人も何人かいると思う
この項目担当みたいなのは多少出来ちゃってるかもしれないけどWikiはいろんな人が編集出来るのがいいところだからね
716 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 12:43:29.75 0
717 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 12:54:25.75 0
相当このスレを熟知してないとwikiを編集できないだろなぁ
718 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 14:03:15.08 0
Wikiナンターたち凄いなぁ
719 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:35:24.12 O
Wikiもまとめサイトも素晴らしい、それがこのスレのスゴイとこ
720 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:57:57.59 0
――――AM 7:37 正門前
すっごい人。
それがこの場所に着いて最初の感想だった。
きっと小春だけじゃなく、みんなもおんなじ気持ちだったと思う。
開門と同時に入場しようってことになったから早めに出てきたのに、先客が何百人もいたんだもん。
前に撮影で来た時はこんなに人はいなかった。
あ。ひょっとして、あの時の順調な撮影はスタッフさんの人知れぬ苦労とかがあってこそなのかも。
今度一緒になったら差し入れでもしてあげようかな。
ここは、富士京DEZUNIE動物公園。
「いろんなテーマパークのいいとこどりをしたみたい」って評判の、国内有数の大型遊園地だ。
小春たち9人は、その遊園地の開門を待つ入場列の中にいた。
すっごい人。
それがこの場所に着いて最初の感想だった。
きっと小春だけじゃなく、みんなもおんなじ気持ちだったと思う。
開門と同時に入場しようってことになったから早めに出てきたのに、先客が何百人もいたんだもん。
前に撮影で来た時はこんなに人はいなかった。
あ。ひょっとして、あの時の順調な撮影はスタッフさんの人知れぬ苦労とかがあってこそなのかも。
今度一緒になったら差し入れでもしてあげようかな。
ここは、富士京DEZUNIE動物公園。
「いろんなテーマパークのいいとこどりをしたみたい」って評判の、国内有数の大型遊園地だ。
小春たち9人は、その遊園地の開門を待つ入場列の中にいた。
721 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 15:58:56.74 0
はじめこそ予想以上の人の多さに圧倒されたけど、そんなことでテンション下がるほど
うちらはヤワじゃない。
列が進むのを待っている間にすっかり調子を取り戻した。
今では、どこのアトラクションに行きたいとか、こんなグッズを買いたいとか、
もう何度も語り語られた話を繰り返している。
でも不思議。
同じ話を何度聞いても話しても、全然飽きることがない。
なんでだろって思って視線をずらすと、愛ちゃんと目が合った。
小春の目を見て、愛ちゃんはにっこり笑う。
・・・ああ、そうか。
なんにも言ってないのに、あの笑顔が小春に答えを教えてくれた気がした。
―――楽しいことは、何度繰り返しても楽しいんだよ。
みんなで遊園地に行こうって話になったのは結構前。
閉店後のお店で9人揃ってご飯を食べてる時だった。
うちらはヤワじゃない。
列が進むのを待っている間にすっかり調子を取り戻した。
今では、どこのアトラクションに行きたいとか、こんなグッズを買いたいとか、
もう何度も語り語られた話を繰り返している。
でも不思議。
同じ話を何度聞いても話しても、全然飽きることがない。
なんでだろって思って視線をずらすと、愛ちゃんと目が合った。
小春の目を見て、愛ちゃんはにっこり笑う。
・・・ああ、そうか。
なんにも言ってないのに、あの笑顔が小春に答えを教えてくれた気がした。
―――楽しいことは、何度繰り返しても楽しいんだよ。
みんなで遊園地に行こうって話になったのは結構前。
閉店後のお店で9人揃ってご飯を食べてる時だった。
722 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:00:10.98 0
年頃の女の子が9人も集まったんだ。
まじめな話、メルヘンな話、いろんな話題が飛び出した。
揺らいでる消費社会についてとか、笑顔と幸せはどっちが先なのかとか、
ギネスに載るくらいの夢ってどんだけ素敵なんだよ、とか、まあいろいろ。
それらのことを一通り語り合ったあと、話題は定額給付金の使い道へと移る。
「組織抜けたせいで仕送り止められてピンチなんだよねー。やっぱ生活費に消えちゃうかなー」
「絵里はねぇ、夏服とかぁサンダルとかぁバッグとかぁ・・・あれ?
ねえ、キューフ金っていくらもらえるの?」
「れいなは肉!絶対肉に使うと!」
「何?肉とな?おうれいな!メガマック食いに行こうぜ!ガハハ」
「特別欲しいもんもないし、やっぱ貯金かな~?はよ自立したいしぃ」
「貯金なんて夢がない人のすることだね!小春?小春は使うよ!それはもぉド派手に使っちゃうよ!」
「中国人お金もらえない。サベツだよ!顔みなおんなじじゃん!」
「国民すべテにお金バラまくなんて、日本てフトっ腹デスね。・・・チッ!」
こんな感じで話は和やかに進んだ。
だけど愛ちゃんだけはその輪に加わらず、何かをじっと考えてるような顔をしている。
そんなに使い道悩んじゃうのかな。宝塚のプレミアムDVD買うんじゃないのかな。
もしかしてお店の売り上げがピンチでお金はそっちに回さなきゃいけないほど家計が苦しいのかな。
なんて思って小春が話しかけようとした瞬間。
愛ちゃんは、突然立ち上がってこう言った。
「なあ。給付金使ってみんなで遊園地でも行かん?」
まじめな話、メルヘンな話、いろんな話題が飛び出した。
揺らいでる消費社会についてとか、笑顔と幸せはどっちが先なのかとか、
ギネスに載るくらいの夢ってどんだけ素敵なんだよ、とか、まあいろいろ。
それらのことを一通り語り合ったあと、話題は定額給付金の使い道へと移る。
「組織抜けたせいで仕送り止められてピンチなんだよねー。やっぱ生活費に消えちゃうかなー」
「絵里はねぇ、夏服とかぁサンダルとかぁバッグとかぁ・・・あれ?
ねえ、キューフ金っていくらもらえるの?」
「れいなは肉!絶対肉に使うと!」
「何?肉とな?おうれいな!メガマック食いに行こうぜ!ガハハ」
「特別欲しいもんもないし、やっぱ貯金かな~?はよ自立したいしぃ」
「貯金なんて夢がない人のすることだね!小春?小春は使うよ!それはもぉド派手に使っちゃうよ!」
「中国人お金もらえない。サベツだよ!顔みなおんなじじゃん!」
「国民すべテにお金バラまくなんて、日本てフトっ腹デスね。・・・チッ!」
こんな感じで話は和やかに進んだ。
だけど愛ちゃんだけはその輪に加わらず、何かをじっと考えてるような顔をしている。
そんなに使い道悩んじゃうのかな。宝塚のプレミアムDVD買うんじゃないのかな。
もしかしてお店の売り上げがピンチでお金はそっちに回さなきゃいけないほど家計が苦しいのかな。
なんて思って小春が話しかけようとした瞬間。
愛ちゃんは、突然立ち上がってこう言った。
「なあ。給付金使ってみんなで遊園地でも行かん?」
723 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:01:24.32 0
言われてみれば、名案だと思った。
9人で遊びに行くなんて今まであんまりなかったし、そもそも小春はロケとか取材ばっかで、
仲間同士で遊園地に行ったことがない。そんなのは別世界の話だと思ってた。
それから、みんなのお金を集めて9で割ればジュンジュンとリンリンも一緒に楽しめる。
何よりそういう使い方をすれば思い出まで残せちゃうわけだし。
反対する理由は、どこにもなかった。
「行くー!!!」
だけども年齢も職業も違う9人の予定を合わせるのには時間がかかった。
特に大変だったのは小春のスケジュール調整。
お休みちょーだいって言ってもらえるようなお仕事でもないから、
こうやってみんなと休日を合わせるのに今日までかかってしまった。
まったく。もうちょっと融通利かせてくれてもいいのに。
でも、もうそんなのどうでもいいんだ。
気分は上々、体調万全、ついでに降水確率10パーセント。
こうして、今日という日を最高の形で迎えることができたんだから!
9人で遊びに行くなんて今まであんまりなかったし、そもそも小春はロケとか取材ばっかで、
仲間同士で遊園地に行ったことがない。そんなのは別世界の話だと思ってた。
それから、みんなのお金を集めて9で割ればジュンジュンとリンリンも一緒に楽しめる。
何よりそういう使い方をすれば思い出まで残せちゃうわけだし。
反対する理由は、どこにもなかった。
「行くー!!!」
だけども年齢も職業も違う9人の予定を合わせるのには時間がかかった。
特に大変だったのは小春のスケジュール調整。
お休みちょーだいって言ってもらえるようなお仕事でもないから、
こうやってみんなと休日を合わせるのに今日までかかってしまった。
まったく。もうちょっと融通利かせてくれてもいいのに。
でも、もうそんなのどうでもいいんだ。
気分は上々、体調万全、ついでに降水確率10パーセント。
こうして、今日という日を最高の形で迎えることができたんだから!
724 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:02:14.09 0
「だいすきが~とまぁらないー」
「ちょ、久住さん。歌ったらさすがにヤバいですって」
気分が盛り上がって歌を口ずさんだら、みっつぃーに注意された。ちぇー。
まあ確かに、歌ったりなんかしたら子供が寄ってきちゃうかもしれないな。
声かけられるのは嫌いじゃないけど、今日だけはそういうの忘れて過ごしたい。
でもさあ、矛盾してるかな?
注目はされたくないのに、今のこの気持ちを大声で誰彼構わずに教えたいって思ってる。
私、世界一幸せです、って。
「ちょ、久住さん。歌ったらさすがにヤバいですって」
気分が盛り上がって歌を口ずさんだら、みっつぃーに注意された。ちぇー。
まあ確かに、歌ったりなんかしたら子供が寄ってきちゃうかもしれないな。
声かけられるのは嫌いじゃないけど、今日だけはそういうの忘れて過ごしたい。
でもさあ、矛盾してるかな?
注目はされたくないのに、今のこの気持ちを大声で誰彼構わずに教えたいって思ってる。
私、世界一幸せです、って。
725 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:04:02.48 0
>>720-724『Have a good day!1~はっぴーでらっきーなサンデー~』
「テーマパークで休日を過ごすリゾナンター」をテーマに書いてみました
メンバーの視点を入れ替えて全9話にする予定です
まずは小春視点からでした
まだ全員分書き終わってないので更新は遅くなると思いますがご容赦ください
「テーマパークで休日を過ごすリゾナンター」をテーマに書いてみました
メンバーの視点を入れ替えて全9話にする予定です
まずは小春視点からでした
まだ全員分書き終わってないので更新は遅くなると思いますがご容赦ください
726 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 16:12:50.48 0
727 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:30:50.53 0
給付金の使い道で笑っちゃったよ
特にさゆw
次の更新待ってますね
特にさゆw
次の更新待ってますね
728 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:56:55.94 O
にぎやかですごく楽しいお話だったよー!
自然に笑みがこぼれてきましたでーす
自然に笑みがこぼれてきましたでーす
729 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:58:27.12 O
730 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:07:31.20 0
おっとおちるがし
731 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:12:30.33 0
リゾナンターとダークネスの共闘ってやっぱラブマなのね
732 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:24:16.10 0
733 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:29:20.99 0
さてどんなアトラクションがあるのやら
734 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:57:10.03 O
お化け屋敷は任せてくれw小春を怖がら、、
いやホゼナンターとして静かに待機しておくから
いやホゼナンターとして静かに待機しておくから
735 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 20:14:39.30 O
かなしみランドへようこそ!!
リゾナントコーヒーカップ
超共鳴回転ジェットコースター「ウエエ・オエエ」
が大人気でございます!!!w
テーマパーク面白そうっすね!今度予告に入れてみようニヒヒ
リゾナントコーヒーカップ
超共鳴回転ジェットコースター「ウエエ・オエエ」
が大人気でございます!!!w
テーマパーク面白そうっすね!今度予告に入れてみようニヒヒ
736 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:10:12.80 0
お化け屋敷も出して欲しいな
737 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:07:15.63 0
リゾリゾ
738 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:07:37.65 0
記念すべき第30話も残すところ四分の一
739 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:30:27.45 O
あといくつ来るかなー
結構密度高いよね!
結構密度高いよね!
740 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:35:57.59 0
ジュンジュンだけはお化け屋敷はへっちゃら
741 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:55:26.71 O
作者さんが考えてるネタと被ったら気の毒だからその辺で…w
743 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 23:14:08.59 0
>>742
かめいるね~
かめいるね~
744 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/26(日) 23:15:24.44 0
富士急のDVDマガジンは最高だったね
あれ今だに何度もリピートして見返してるw
あれ今だに何度もリピートして見返してるw
745 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 00:09:42.35 0
まあ作者さんには自由に書いて頂きたいです
746 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 00:43:15.87 0
リゾナンダーお台場に来襲
http://www.youtube.com/watch?v=6OiLIydzYsY
http://www.youtube.com/watch?v=6OiLIydzYsY
747 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 01:36:49.56 0
時に埋もれた記憶の彼方
そうさ、僕たちは天使だった
空の上から愛の種を撒き散らして
この星から悲しみ消したかった・・・
そうさ、僕たちは天使だった
空の上から愛の種を撒き散らして
この星から悲しみ消したかった・・・
748 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 03:19:01.05 0
>>746
昨日は2回も活躍したね
昨日は2回も活躍したね
749 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 06:24:00.10 0
ねえ 広い青空を
見上げていると 勇気が湧かないか...今でも
背中の羽根は失したけれど
まだ 不思議な力 残ってる
見上げていると 勇気が湧かないか...今でも
背中の羽根は失したけれど
まだ 不思議な力 残ってる
750 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 06:25:00.08 O
751 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 08:06:08.62 0
詩人がいるなあ
754 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 12:50:53.75 0
(~^◇^)<キャハハ >>753の執筆能力を阻害してやるぜ
755 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 13:42:05.00 O
(オ-_-) <これは未確認なのだが、ダークネスに
高速移動する三輪の乗り物が開発されたと聞いたが?
(ヤ-_-) <ああ、長時間のテスト走行も終わっているらしいな。
(ジ゙-_-) <作ったのは幹部らしいぞ。
(;オ-_-) (;ヤ-_-) (;ジ゙-_-) <おそろしい
高速移動する三輪の乗り物が開発されたと聞いたが?
(ヤ-_-) <ああ、長時間のテスト走行も終わっているらしいな。
(ジ゙-_-) <作ったのは幹部らしいぞ。
(;オ-_-) (;ヤ-_-) (;ジ゙-_-) <おそろしい
756 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 13:59:08.63 O
噂は聞いています
話によるとエンジンがないと言う事です
だとすればどうやって走るというのでしょう・・・恐ろしい
話によるとエンジンがないと言う事です
だとすればどうやって走るというのでしょう・・・恐ろしい
757 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 14:01:29.65 0
何の奇跡か立て続けに長編が投稿されて今日中に第30話が終わってしまい涙目になる>>753
758 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 14:07:43.35 P
そういやドクター中松が常温核融合炉を作ったって言ってたな その後姿を見ないが
759 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 15:39:38.18 0
川*’ー’)<新作の夏カレーやよー
ノノ*^ー^)<いただきまーす……ん~“スパイ”シーだねぇ
||c| ・e・)|<(ビクッ)
从 ´ ヮ`)<ガキさんどうしたと?
||c| ・e・)|<う、ううんなんでもない
川*’ー’)<さゆはどうやー?
从*・ 。.・)<う~ん、少し“スッパイ”気がするの
||c| ・e・)|<(ビクッ)
リo´ゥ`リ<どうしたんですかにーがきさん?
||c| ・e・)|<べ、別に?
川*’ー’)<あーちょっと“シッパイ”やったかのー
||c| ・e・)|<(ビクツ)
川*^A^)<ニイガキサンドウシマシタカ?
||c| ・e・)|<何でもないってば!(まさか…みんな気付いてる?)
川´・_o・)<ニイガキ……ジュンジュンハワカッテルゾ
||c| ・e・)|<(ビクッ)な、何を!?
川=´┴`)<こらっ!ジュンジュン!しっ!
川´・_o・)<スマン…ニイガキ気ニスルナ
||c| ・e・)|<………(やっぱりスパイってことバレてるぅー!?)
川=´┴`)<(新垣さん…人間の価値は“オッパイ”の大きさで決まるんとちゃいますよ…ファイトです)
能力阻害なんかに負けるかと思ったがやっぱり勝てなかった
反省はしている
ノノ*^ー^)<いただきまーす……ん~“スパイ”シーだねぇ
||c| ・e・)|<(ビクッ)
从 ´ ヮ`)<ガキさんどうしたと?
||c| ・e・)|<う、ううんなんでもない
川*’ー’)<さゆはどうやー?
从*・ 。.・)<う~ん、少し“スッパイ”気がするの
||c| ・e・)|<(ビクッ)
リo´ゥ`リ<どうしたんですかにーがきさん?
||c| ・e・)|<べ、別に?
川*’ー’)<あーちょっと“シッパイ”やったかのー
||c| ・e・)|<(ビクツ)
川*^A^)<ニイガキサンドウシマシタカ?
||c| ・e・)|<何でもないってば!(まさか…みんな気付いてる?)
川´・_o・)<ニイガキ……ジュンジュンハワカッテルゾ
||c| ・e・)|<(ビクッ)な、何を!?
川=´┴`)<こらっ!ジュンジュン!しっ!
川´・_o・)<スマン…ニイガキ気ニスルナ
||c| ・e・)|<………(やっぱりスパイってことバレてるぅー!?)
川=´┴`)<(新垣さん…人間の価値は“オッパイ”の大きさで決まるんとちゃいますよ…ファイトです)
能力阻害なんかに負けるかと思ったがやっぱり勝てなかった
反省はしている
760 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 17:11:45.51 0
ガキさん落ち着けw
みっついwww
みっついwww
761 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 19:09:22.97 0
川=´┴`)<ぬぅん!!
762 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 19:28:42.88 P
アゥアゥでしょうが
763 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 20:49:41.01 0
おっぱいの価値も大きさで決まるものではないのだ
764 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 21:51:50.98 0
ぬぅん!!!!!!
765 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 22:40:04.21 0
今日のぬぅん!はいつもより気合が入ってるなあ
何があったんだろう
何があったんだろう
766 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/27(月) 23:46:19.56 0
川*’ー’)<ぬぅん!
川*’ー’)<・・・・
川;’ー’)<ちょ、ちょっと言ってみたかっただけがし・・・
川*’ー’)<・・・・
川;’ー’)<ちょ、ちょっと言ってみたかっただけがし・・・
767 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 00:33:53.26 0
おやすみなさい
768 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 01:54:39.53 0
>>766
かわいいなあオイ
かわいいなあオイ
769 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 01:54:40.29 0
...そして闇へ...
えっまた上げた?
えっまた上げた?
770 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 04:33:22.27 O
_, ,_
ノ|c| ・З・)∩"<ぬぅん!!!!
ノ|c| ・З・)∩"<ぬぅん!!!!
771 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/07/28(火) 06:36:44.86 0
( `.∀´)<時間よ止まれ!
772 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 06:38:51.21 O
ノリo´ゥ`リ<しゅびしいっっっ!
773 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 07:27:59.43 0
774 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 07:45:36.73 0
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <…やあ、おはよう
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| )
{ :| .|:::::| |ノ
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_)
i\,,,,,,,,-------;,,,,,,/7
ヽ,;'''_ ノ ヽ、 ''''';,ノ
/ ⌒ ⌒ \
| 三 (__人__) 三 | <…やあ、おはよう
ヽ ` ⌒' ,,ノ
'',ー ,,_,, ー ,,,, -'''
/ ヽ__"ノ )
/ l Θ .|
l :| | :::l .| )
{ :| .|:::::| |ノ
ヽ^)(_(_,_(__) (ハ_)_)
775 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 07:54:36.36 0
ハ ハ
(,,^0^) <オハヨー!
~(ou,,uっ
ハ ハ
(,,^0^) <オハヨー!
~(ou,,uっ
777 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 08:13:57.17 P
ttp://fresh-breeze.net/hpimg/img/hpimg1433.jpg
一番下 殺し屋の目をしてる 病院で何かされたのか!?
一番下 殺し屋の目をしてる 病院で何かされたのか!?
778 : 名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 08:44:16.51 P
779 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 10:18:21.37 O
新曲の衣装は処刑執行専用の物
PVの廃工場で師匠から最終試験を指示される
その内容とは・・・
PVの廃工場で師匠から最終試験を指示される
その内容とは・・・
780 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 10:21:29.27 0
>>776
こっちみんな団子ズ
こっちみんな団子ズ
781 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 11:39:36.61 0
>>778
ミティ師匠!
ミティ師匠!
783 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 12:00:58.63 0
>>782
小春が入ると違う理由でのグループ分けだと曲解されるおそれがあるからやめときなさい
小春が入ると違う理由でのグループ分けだと曲解されるおそれがあるからやめときなさい
784 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 12:19:07.16 0
川=´┴`)<フッw
785 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 14:33:28.61 O
あいかはよゆうのえみをうかべている
786 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 15:53:25.76 0
リンリン ランラン ジュンジュン
787 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 16:22:09.23 0
川*’ー’)<真ん中におるの誰やよ?
789 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 17:53:16.08 O
>>788
まんなかーーー!!!
まんなかーーー!!!
790 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 18:03:51.52 0
パンダにしても双子の一方にしてもおっさんしか分からないネタだなw
他に何かあるのかな?
他に何かあるのかな?
791 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 19:25:38.39 O
ハッハッハ そろそろ落ちるなホゼナンタアども!
・・・アレ?
・・・アレ?
792 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 19:47:09.02 0
銭 琳が刃千吏の使者というのは作り話だ
中国中央政治局が送り込んだ工作員それが奴の正体
本名は郎朗(ラン・ラン)年齢は24歳だ
中国中央政治局が送り込んだ工作員それが奴の正体
本名は郎朗(ラン・ラン)年齢は24歳だ
793 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 21:04:25.32 0
ハッハッハ そろそろ落ちるなホゼナンタアども!
・・・アレ?なんかデジャヴ
・・・アレ?なんかデジャヴ
794 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 22:04:03.27 0
よっこらしょっと
795 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 22:04:14.19 0
なあ落ちちゃうってばホゼナンターども…
聞けよ話をさあ…
聞けよ話をさあ…
796 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 22:18:23.64 0
よしじゃあじっくり聞こうじゃないか
話してごらんなさい
スッキリするから
話してごらんなさい
スッキリするから
797 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 23:02:27.04 0
(ダ-_‐) <いや! だ か ら !! 落ちるっつうの!!
クルッ _, ,_
( ・e・ )9m <…あなたが保全するのよ!…さあ!!
クルッ _, ,_
( ・e・ )9m <…あなたが保全するのよ!…さあ!!
798 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 23:05:18.08 0
こっち見んな
799 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/28(火) 23:47:05.68 0
静かだ
800 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 00:18:22.42 0
もうすぐ8月だね
真夏がやってくるね
真夏がやってくるね
801 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 01:21:49.10 0
こういう静けさの後には作品ラッシュが来る事多いよね
リゾスレの事は大体知ってる
ダブルクリックとか
リゾスレの事は大体知ってる
ダブルクリックとか
802 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 01:25:23.39 0
れいな乙w
俺もそれを待ってる
俺もそれを待ってる
803 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 03:16:58.62 0
ダブルクリックじゃねーよれいにゃwwwww
804 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 05:41:26.84 O
まさかれいなにリゾスレが監視されていようとは…
805 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 07:12:47.02 O
おはようれいな
806 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 08:04:57.29 0
从*` ロ´) <ダブルクリック!!
从;´ ヮ`) <ドラァグ… あんど… クイーン…?
从;´ ヮ`) <ドラァグ… あんど… クイーン…?
807 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 09:34:02.23 O
自信あるのはダブルクリックだけなれいなカワユス
808 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 11:46:17.18 O
そういえば最近れなの出番へっとるっちゃ!!
809 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 12:57:57.37 O
そうでもなくない?
もっと出番の少ない人にも気を遣いなさいw
もっと出番の少ない人にも気を遣いなさいw
810 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 14:25:39.50 0
そうだミュン
811 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 15:44:07.63 O
しばた乙 ・・・つうかこの前出番あったべさ
812 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 15:58:35.69 0
どなたもご予定がなければ18時前頃見当で一つ上げさせてください
加えてれいなさんもミュンさんもまったく出てこないKYさをお許しいただけるのであれば
加えてれいなさんもミュンさんもまったく出てこないKYさをお許しいただけるのであれば
813 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/07/29(水) 17:07:29.15 0
おk
お待ちしてます
お待ちしてます
814 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:50:36.20 0
「もうすぐ……かな…」
沈みゆく夕陽に照らされたオレンジ色の街を見下ろしながら、道重さゆみは小さく呟いた。
「んぅー?なぁんか言ったぁ?さゆぅ」
背後からあくび混じりの声が聞こえ、さゆみは慌てて窓の外から部屋の中へと視線を移した。
白い壁に囲まれた白いベッドの上で、いつものように退屈そうな顔をしている亀井絵里の姿が目に入る。
「ううん、別に。ただ、なんだか夕方って切なくなるなーって思って」
心のうちを悟られまいと、さゆみは両手を胸に当てて殊更に大げさな身振りでおどけてみせる。
「さゆが切なくなる理由、当ててあげよっか」
不意に絵里がそう言いながら悪戯っぽく笑い、さゆみは一瞬ぎくりとした。
だが、絵里の口から出たのは思いもよらない言葉だった。
「お腹が空くからでしょ?『ああ、お昼に食べたベーグルサンドさんは一体どこへ消えたの?お腹がせつな~い』……みたいな?」
「ひどーい!さゆみそんなに食いしん坊じゃないし。それにモノマネも全然似てない」
内心で胸を撫で下ろしながら、さゆみは絵里を睨みつけて膨れてみせる。
「冗談だってばー。…だけどさ、お腹が空くのは生きてる証拠だよ。いいこといいこと」
「なるほどー、それはまあ言えてるかも」
顔を見合わせて笑いながら、さゆみはその言葉を噛み締めていた。
おそらくは絵里自身もそうに違いない。
冗談っぽく言っているが、今生きていることの幸せを誰よりも感じているに違いないから。
だから……自分は“ここ”にいるのだ―――
「もうすぐ……かな…」
沈みゆく夕陽に照らされたオレンジ色の街を見下ろしながら、道重さゆみは小さく呟いた。
「んぅー?なぁんか言ったぁ?さゆぅ」
背後からあくび混じりの声が聞こえ、さゆみは慌てて窓の外から部屋の中へと視線を移した。
白い壁に囲まれた白いベッドの上で、いつものように退屈そうな顔をしている亀井絵里の姿が目に入る。
「ううん、別に。ただ、なんだか夕方って切なくなるなーって思って」
心のうちを悟られまいと、さゆみは両手を胸に当てて殊更に大げさな身振りでおどけてみせる。
「さゆが切なくなる理由、当ててあげよっか」
不意に絵里がそう言いながら悪戯っぽく笑い、さゆみは一瞬ぎくりとした。
だが、絵里の口から出たのは思いもよらない言葉だった。
「お腹が空くからでしょ?『ああ、お昼に食べたベーグルサンドさんは一体どこへ消えたの?お腹がせつな~い』……みたいな?」
「ひどーい!さゆみそんなに食いしん坊じゃないし。それにモノマネも全然似てない」
内心で胸を撫で下ろしながら、さゆみは絵里を睨みつけて膨れてみせる。
「冗談だってばー。…だけどさ、お腹が空くのは生きてる証拠だよ。いいこといいこと」
「なるほどー、それはまあ言えてるかも」
顔を見合わせて笑いながら、さゆみはその言葉を噛み締めていた。
おそらくは絵里自身もそうに違いない。
冗談っぽく言っているが、今生きていることの幸せを誰よりも感じているに違いないから。
だから……自分は“ここ”にいるのだ―――
815 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:51:50.33 0
――いや、それは言い訳だ。
なんて卑怯なのだろうとさゆみは思う。
全てを「知って」いるのに、何も知らないフリをして“ここ”にいる自分が。
本当に何も「知らない」絵里を口実にして、みんなを裏切っている自分が。
光井愛佳が告げた“未来”――それは皆に大きな衝撃を与えた。
だが、誰も決してそれを怖れてはいなかった。
9人ならばどんな“未来”にも立ち向かえると、全員がそう思っていた。
だけど――高橋愛はその“未来”を選ばなかった。
その理由については想像するしかない。
ただ、愛のことだから、仲間を信用しなかったなどということはありえない。
むしろその逆――愛が選んだ選択が、おそらくはその全てを物語っている。
さゆみと絵里は、記憶を“消され”た。
新垣里沙の手によって。
愛佳が告げた“未来”の記憶だけではなく、みんなと過ごした記憶の全てを――
あまりにも酷いと思う。
自分にとって―そして絵里にとって―リゾナントでみんなと共に過ごした時間は、何にも代えられない大切な宝物だ。
その“過去”を勝手に奪ってしまうなんて絶対に許せない。
かけがえのない仲間と共に歩むはずだった“未来”から追い出すなんて絶対に……許せない。
でも―――同時に分かってもいる。
そんな決断を下した側の方が遥かに心が痛いのだと。
それでも、愛や里沙はその道を選んだのだと。
そうすることが、さゆみと絵里にとって最善だと判断して―――
――いや、それは言い訳だ。
なんて卑怯なのだろうとさゆみは思う。
全てを「知って」いるのに、何も知らないフリをして“ここ”にいる自分が。
本当に何も「知らない」絵里を口実にして、みんなを裏切っている自分が。
光井愛佳が告げた“未来”――それは皆に大きな衝撃を与えた。
だが、誰も決してそれを怖れてはいなかった。
9人ならばどんな“未来”にも立ち向かえると、全員がそう思っていた。
だけど――高橋愛はその“未来”を選ばなかった。
その理由については想像するしかない。
ただ、愛のことだから、仲間を信用しなかったなどということはありえない。
むしろその逆――愛が選んだ選択が、おそらくはその全てを物語っている。
さゆみと絵里は、記憶を“消され”た。
新垣里沙の手によって。
愛佳が告げた“未来”の記憶だけではなく、みんなと過ごした記憶の全てを――
あまりにも酷いと思う。
自分にとって―そして絵里にとって―リゾナントでみんなと共に過ごした時間は、何にも代えられない大切な宝物だ。
その“過去”を勝手に奪ってしまうなんて絶対に許せない。
かけがえのない仲間と共に歩むはずだった“未来”から追い出すなんて絶対に……許せない。
でも―――同時に分かってもいる。
そんな決断を下した側の方が遥かに心が痛いのだと。
それでも、愛や里沙はその道を選んだのだと。
そうすることが、さゆみと絵里にとって最善だと判断して―――
816 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:52:32.02 0
さゆみの心の底の怯えを、愛は知っていたのではないかと思う。
戦いなんて怖い、誰とも争いたくなんてないという、意気地のない身勝手なこの心を。
――愛は優しい。里沙も優しい。みんな優しい。優しすぎるほどに。
さゆみと絵里の記憶を“消し”たのは、そうすることが2人の幸せに繋がると判断してのことだろう。
おそらく、愛は自分たちが無事で戻ってこられるとは思っていないのだ。
そうなったとき、“置いて”いったさゆみたちの中に“過去”があれば、そのことがさゆみたちを苦しめることになる。
だから―――愛は、そして里沙は、さゆみと絵里の記憶を“消す”ことを選択したのだ。
唯、さゆみと絵里の幸せだけを願って。
自分たちの記憶がさゆみと絵里の中から“消え”てしまうことに、きっと引き裂かれるような思いを抱きながら。
さゆみと絵里の記憶を“消す”際の、あの愛と里沙の悲痛な表情は生涯忘れることができないだろう。
――そう、忘れることなどできない。
さゆみにはちゃんと記憶がある。
“消され”たはずの“過去”も“未来”も――全部。
ヒーリング――あらゆる傷を治すチカラ。
物心ついたときには既に備わっていた優しいチカラは、その優しさが逆に心を切り裂く刃となり、さゆみをずっと苦しめてきた。
しかし、やがて訪れた絵里との出逢い、そして愛との…みんなとの出逢いが、そのチカラに本来の優しさと安らぎを与えた。
だけど今――再びさゆみはそのチカラ故に苦しむこととなってしまっている。
セルフ・ヒーリング――自己治癒能力。
生物に本来備わっている自然治癒能力とは意味合いを異にする、特殊なチカラ。
おそらくは――
治癒能力者故に備わっていたそのチカラが、“消され”たはずの記憶を再生したのだ。
さゆみの心の底の怯えを、愛は知っていたのではないかと思う。
戦いなんて怖い、誰とも争いたくなんてないという、意気地のない身勝手なこの心を。
――愛は優しい。里沙も優しい。みんな優しい。優しすぎるほどに。
さゆみと絵里の記憶を“消し”たのは、そうすることが2人の幸せに繋がると判断してのことだろう。
おそらく、愛は自分たちが無事で戻ってこられるとは思っていないのだ。
そうなったとき、“置いて”いったさゆみたちの中に“過去”があれば、そのことがさゆみたちを苦しめることになる。
だから―――愛は、そして里沙は、さゆみと絵里の記憶を“消す”ことを選択したのだ。
唯、さゆみと絵里の幸せだけを願って。
自分たちの記憶がさゆみと絵里の中から“消え”てしまうことに、きっと引き裂かれるような思いを抱きながら。
さゆみと絵里の記憶を“消す”際の、あの愛と里沙の悲痛な表情は生涯忘れることができないだろう。
――そう、忘れることなどできない。
さゆみにはちゃんと記憶がある。
“消され”たはずの“過去”も“未来”も――全部。
ヒーリング――あらゆる傷を治すチカラ。
物心ついたときには既に備わっていた優しいチカラは、その優しさが逆に心を切り裂く刃となり、さゆみをずっと苦しめてきた。
しかし、やがて訪れた絵里との出逢い、そして愛との…みんなとの出逢いが、そのチカラに本来の優しさと安らぎを与えた。
だけど今――再びさゆみはそのチカラ故に苦しむこととなってしまっている。
セルフ・ヒーリング――自己治癒能力。
生物に本来備わっている自然治癒能力とは意味合いを異にする、特殊なチカラ。
おそらくは――
治癒能力者故に備わっていたそのチカラが、“消され”たはずの記憶を再生したのだ。
817 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:53:13.31 0
大学の講義で記憶のメカニズムについて学んだことを思い出す。
記憶の記銘や保持、再生のメカニズムについては、おおよそ分かっているもののまだまだ分からないことも多いのだという。
というよりも、脳の働き自体が21世紀となった今も完全には解明されていないのだと先生は言っていた。
さゆみはその言葉を聞いたときに一種の諦観を抱いたものだ。
「普通の人間」の能力さえ解明されていないのだから、自分たちが「正体不明」でなくなる日はまだまだ遠い先のことなのだろう――と。
…こういった、実際に自分が経験し、見たり聞いたり感じたりしたことに関する記憶は「エピソード記憶」と呼ばれるそうだ。
つまり、一人の人間の“過去”はこのエピソード記憶があってこそ存在すると言っていい。
たとえ記憶のメカニズムについての知識があろうとも、それをどんな気持ちで学んだのか覚えていなければそれは“過去”とは呼べない。
おいしいコーヒーの淹れ方を知っていたとしても、それがどこで誰が淹れるのを見て自然と覚えたことなのか分からなければ…それは想い出ではない。
精神干渉――里沙の能力は、その名の通り精神に干渉し捻じ曲げることのできるチカラだ。
里沙はそのチカラを使い、さゆみと絵里の記憶の一部を…想い出を“消去”した。
――ただ、「精神に干渉する」とは言ったものの、それはあくまで観念上の表現であり、現実には「精神」というモノは存在しない。
精神―感情や思考といったものを実際に司っているのは、言うまでもなく脳だ。
つまり、里沙の能力は「脳への干渉」を行なうチカラであると解釈するのが妥当だろう。
一般に“記憶喪失"などと呼ばれる“過去”の喪失の原因は、大きく分けて外因性のものと内因性のものがあるそうだ。
前者は、事故等により脳が損傷することで物理的に記憶野が破壊されることによる、言葉の意味どおりの“喪失”。
後者は、記憶そのものは“喪失”されていないはずであるのに、主として心因性の原因でその想起が妨げられている状態。
里沙がさゆみと絵里に行なったのは、おそらく前者による“完全喪失”だったのだろう。
自分たちと関わった記憶に関する脳細胞だけを里沙は丹念に“破壊”し、改竄したのだ。
ただ、里沙は“破壊”を意図的に行なっていたわけではないに違いない。
海馬や大脳皮質――記憶を司っているとされる場所の詳細もまた、完全には解明されていないのだから。
里沙が望んだのは唯一つ。
さゆみと絵里が、この先も決して自分たちのことを思い出すことのないように――
――きっとそれだけだったのだろう。
大学の講義で記憶のメカニズムについて学んだことを思い出す。
記憶の記銘や保持、再生のメカニズムについては、おおよそ分かっているもののまだまだ分からないことも多いのだという。
というよりも、脳の働き自体が21世紀となった今も完全には解明されていないのだと先生は言っていた。
さゆみはその言葉を聞いたときに一種の諦観を抱いたものだ。
「普通の人間」の能力さえ解明されていないのだから、自分たちが「正体不明」でなくなる日はまだまだ遠い先のことなのだろう――と。
…こういった、実際に自分が経験し、見たり聞いたり感じたりしたことに関する記憶は「エピソード記憶」と呼ばれるそうだ。
つまり、一人の人間の“過去”はこのエピソード記憶があってこそ存在すると言っていい。
たとえ記憶のメカニズムについての知識があろうとも、それをどんな気持ちで学んだのか覚えていなければそれは“過去”とは呼べない。
おいしいコーヒーの淹れ方を知っていたとしても、それがどこで誰が淹れるのを見て自然と覚えたことなのか分からなければ…それは想い出ではない。
精神干渉――里沙の能力は、その名の通り精神に干渉し捻じ曲げることのできるチカラだ。
里沙はそのチカラを使い、さゆみと絵里の記憶の一部を…想い出を“消去”した。
――ただ、「精神に干渉する」とは言ったものの、それはあくまで観念上の表現であり、現実には「精神」というモノは存在しない。
精神―感情や思考といったものを実際に司っているのは、言うまでもなく脳だ。
つまり、里沙の能力は「脳への干渉」を行なうチカラであると解釈するのが妥当だろう。
一般に“記憶喪失"などと呼ばれる“過去”の喪失の原因は、大きく分けて外因性のものと内因性のものがあるそうだ。
前者は、事故等により脳が損傷することで物理的に記憶野が破壊されることによる、言葉の意味どおりの“喪失”。
後者は、記憶そのものは“喪失”されていないはずであるのに、主として心因性の原因でその想起が妨げられている状態。
里沙がさゆみと絵里に行なったのは、おそらく前者による“完全喪失”だったのだろう。
自分たちと関わった記憶に関する脳細胞だけを里沙は丹念に“破壊”し、改竄したのだ。
ただ、里沙は“破壊”を意図的に行なっていたわけではないに違いない。
海馬や大脳皮質――記憶を司っているとされる場所の詳細もまた、完全には解明されていないのだから。
里沙が望んだのは唯一つ。
さゆみと絵里が、この先も決して自分たちのことを思い出すことのないように――
――きっとそれだけだったのだろう。
818 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:54:02.61 0
――でもそれはあまりにも酷い
改めてそう思う。
もしも記憶が“消され”たままであったら、自分は何も知らずに幸せに過ごしていたのだ。
自分でも意識しないままに発動し、里沙によって“破壊”された“過去”を再生した自己治癒能力がなければ。
そう思うと、泣きたいような気持ちになる。
みんなと出逢ってさゆみは変わった。
絵里に命を救われ、生きる意味を見出せはしたけれど、その世界には結局2人だけしかいなかった。
だけど――愛に出逢い、みんなと出逢ってようやく世界はその表情を変えた。
本当の意味で、未来へと歩んでいくことの素晴らしさを理解することができたのだ。
きっと、それは絵里も同じだろう。
かつての絵里は、今と変わらない明るい笑顔を浮かべてはいても、その奥にはいつもどこか暗い翳がちらついていた。
でも、今は本当の意味での明るい笑顔で周囲を癒してくれている。
そんな笑顔ができるようになったのは、リゾナントのみんなと出逢えたからこそだ。
なのに―――絵里にはその想い出がない。
明るい笑顔はできるようになっても、それができるようになった理由が抜け落ちている。
それはあまりに切なく――哀しい。
…確かに何も知らないことは幸せなのかもしれない。
でも、同時にこの上なく残酷だ。
だけど―――だけど―――
――なんて卑怯なのだろう。
幾度となく嫌気が差す。
絵里に真実を伝えることをせず――そればかりか、そんな絵里の側にいなければいけないという口実を盾に“知らない”ふりをしている自分に。
自分達を置いていった愛や里沙のことを酷いと言いながら、記憶が戻っても結局戦いの場に駆けつけようとはしない自分に―――
――でもそれはあまりにも酷い
改めてそう思う。
もしも記憶が“消され”たままであったら、自分は何も知らずに幸せに過ごしていたのだ。
自分でも意識しないままに発動し、里沙によって“破壊”された“過去”を再生した自己治癒能力がなければ。
そう思うと、泣きたいような気持ちになる。
みんなと出逢ってさゆみは変わった。
絵里に命を救われ、生きる意味を見出せはしたけれど、その世界には結局2人だけしかいなかった。
だけど――愛に出逢い、みんなと出逢ってようやく世界はその表情を変えた。
本当の意味で、未来へと歩んでいくことの素晴らしさを理解することができたのだ。
きっと、それは絵里も同じだろう。
かつての絵里は、今と変わらない明るい笑顔を浮かべてはいても、その奥にはいつもどこか暗い翳がちらついていた。
でも、今は本当の意味での明るい笑顔で周囲を癒してくれている。
そんな笑顔ができるようになったのは、リゾナントのみんなと出逢えたからこそだ。
なのに―――絵里にはその想い出がない。
明るい笑顔はできるようになっても、それができるようになった理由が抜け落ちている。
それはあまりに切なく――哀しい。
…確かに何も知らないことは幸せなのかもしれない。
でも、同時にこの上なく残酷だ。
だけど―――だけど―――
――なんて卑怯なのだろう。
幾度となく嫌気が差す。
絵里に真実を伝えることをせず――そればかりか、そんな絵里の側にいなければいけないという口実を盾に“知らない”ふりをしている自分に。
自分達を置いていった愛や里沙のことを酷いと言いながら、記憶が戻っても結局戦いの場に駆けつけようとはしない自分に―――
819 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:54:44.30 0
「さゆ、絵里のことはいいからさ…行っていいよ」
「―――!?」
そのとき――不意に絵里の口から発された言葉に、さゆみは目を見開いた。
「行っていいって……どこに?」
驚きに掠れる声で訊ね返すさゆみに、絵里は「何を当たり前のことを訊くんだ」という表情で答えた。
「どこって……そんなの決まってるじゃん。ご飯食べにだよ。絵里は明日検査だから今夜から絶食だしね」
「………ご飯……?」
その言葉に、固まったようになっていたさゆみの体から力が一気に抜ける。
だが――それと同時に、不思議にも揺れていた心がすっと静まり、胸の中に確固たる思いが宿った。
――自分はずっと絵里の側にいる。何があろうとも。
愛は、里沙は、みんなは…そのために辛い思いを断ち切ってさゆみと絵里に無言の別れを告げたのだ。
そのみんなの思いを無駄にすることは、それこそ裏切りに等しい。
「さゆみはどこにも行かないよ、絵里を置いては……絶対にどこにも行かない」
真剣な顔でキッパリとそう言うさゆみを、絵里はしばらく口を開けてポカンと見つめていた。
そして笑い出す。
「もうさゆ~。ご飯くらいで何オーバーなこと言ってんのさ~。ウケる~」
「いいの!絵里が食べられないならさゆみも我慢する!」
「ふ~ん、まあそれもいいかもだね。ちょうどダイエットした方がいい頃だし」
「あ~!絵里ひどーい!」
「さゆ、絵里のことはいいからさ…行っていいよ」
「―――!?」
そのとき――不意に絵里の口から発された言葉に、さゆみは目を見開いた。
「行っていいって……どこに?」
驚きに掠れる声で訊ね返すさゆみに、絵里は「何を当たり前のことを訊くんだ」という表情で答えた。
「どこって……そんなの決まってるじゃん。ご飯食べにだよ。絵里は明日検査だから今夜から絶食だしね」
「………ご飯……?」
その言葉に、固まったようになっていたさゆみの体から力が一気に抜ける。
だが――それと同時に、不思議にも揺れていた心がすっと静まり、胸の中に確固たる思いが宿った。
――自分はずっと絵里の側にいる。何があろうとも。
愛は、里沙は、みんなは…そのために辛い思いを断ち切ってさゆみと絵里に無言の別れを告げたのだ。
そのみんなの思いを無駄にすることは、それこそ裏切りに等しい。
「さゆみはどこにも行かないよ、絵里を置いては……絶対にどこにも行かない」
真剣な顔でキッパリとそう言うさゆみを、絵里はしばらく口を開けてポカンと見つめていた。
そして笑い出す。
「もうさゆ~。ご飯くらいで何オーバーなこと言ってんのさ~。ウケる~」
「いいの!絵里が食べられないならさゆみも我慢する!」
「ふ~ん、まあそれもいいかもだね。ちょうどダイエットした方がいい頃だし」
「あ~!絵里ひどーい!」
820 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:55:27.37 0
頬を膨らませて絵里を叩くフリをしながら、さゆみは心の中で静かに別れを告げた。
リゾナントで過ごしたかけがえのない時間に。
短い間ではあったが、確かに心から繋がり合えた大切な仲間達に――
――だけど、さゆみの…そして絵里の心は今もみんなと共にある。
ただの比喩ではない。
記憶を“消され”る前にこっそり投入した“秘密兵器”が、さゆみと絵里の代わりだから。
絵里の発案で、さゆみと絵里のチカラを注いで作った“自動治癒装置”。
一見ただの小さいシールに見えるそれは、一回限りではあるが超遠隔治癒の力を発揮するはずだ。
――絵里も、さゆみも……みんなと一緒だよ。ずっと……
たとえ遠く離れても ―たとえもう二度と会うことがなかったとしても― 胸の奥に鳴り響く共鳴が途切れることは決してないのだから。
オレンジから灰青へとその色を変えてゆく街に視線を移し、さゆみはそっと胸に手を当てる。
傍らの絵里も、いつしかさゆみと同じ姿勢で静かな表情を窓の外に向けていた―――
頬を膨らませて絵里を叩くフリをしながら、さゆみは心の中で静かに別れを告げた。
リゾナントで過ごしたかけがえのない時間に。
短い間ではあったが、確かに心から繋がり合えた大切な仲間達に――
――だけど、さゆみの…そして絵里の心は今もみんなと共にある。
ただの比喩ではない。
記憶を“消され”る前にこっそり投入した“秘密兵器”が、さゆみと絵里の代わりだから。
絵里の発案で、さゆみと絵里のチカラを注いで作った“自動治癒装置”。
一見ただの小さいシールに見えるそれは、一回限りではあるが超遠隔治癒の力を発揮するはずだ。
――絵里も、さゆみも……みんなと一緒だよ。ずっと……
たとえ遠く離れても ―たとえもう二度と会うことがなかったとしても― 胸の奥に鳴り響く共鳴が途切れることは決してないのだから。
オレンジから灰青へとその色を変えてゆく街に視線を移し、さゆみはそっと胸に手を当てる。
傍らの絵里も、いつしかさゆみと同じ姿勢で静かな表情を窓の外に向けていた―――
821 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 17:56:10.08 0
>>814-820
『過去との別れ/明日への誓い』
唐突かつ意味不明でごめんなさい
何かと繋がっていると考えていただいても単発だと考えていただいてもいいです
“自動治癒装置”に関しては[Michishige](06)258『メメントモリは姉との約束』のエピソードを取り込ませていただいています
また その際勝手に設定を大きく改編しておりますが 何卒寛大に受け止めていただきたく思います
作者様ありがとうございました
>>814-820
『過去との別れ/明日への誓い』
唐突かつ意味不明でごめんなさい
何かと繋がっていると考えていただいても単発だと考えていただいてもいいです
“自動治癒装置”に関しては[Michishige](06)258『メメントモリは姉との約束』のエピソードを取り込ませていただいています
また その際勝手に設定を大きく改編しておりますが 何卒寛大に受け止めていただきたく思います
作者様ありがとうございました
822 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 19:13:15.88 O
823 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 19:20:25.71 O
それぞれの思いやりが逆に悲しいですね
10年後に再会って感じで続いてほしい
10年後に再会って感じで続いてほしい
824 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 20:15:26.29 0
825 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 21:18:01.38 0
愛ちゃんたちとはもう逢えないんだろうな
826 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 22:13:38.29 0
ダークネスの集会に愛佳が現れて蒼き正義に共鳴せよって言う作品あったけど
俺的にはあれに繋がるイメージ
残念ながら小春と愛佳以外のメンバーは死んじゃうんだな
俺的にはあれに繋がるイメージ
残念ながら小春と愛佳以外のメンバーは死んじゃうんだな
827 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 23:03:29.21 0
[Sayu-Eri](30)814 『過去との別れ/明日への誓い』 さゆ絵里が離脱
[Jun-Lin](28)182 『不能再見/請忘記我』 ジュンジュンを残してリンリンが愛ちゃんたちに合流
[MM。](09)542 『~To the prologue again~』 十五年後、愛佳がダークネスの集会に突入
こんな感じですかね
[Jun-Lin](28)182 『不能再見/請忘記我』 ジュンジュンを残してリンリンが愛ちゃんたちに合流
[MM。](09)542 『~To the prologue again~』 十五年後、愛佳がダークネスの集会に突入
こんな感じですかね
828 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 23:03:47.21 0
>>821
さゆみがずっと絵里の傍にいようと決意したその心の機微が素晴らしい
話の都合ではなく登場人物が本当にそう思ったのだと伝わりました
いや…これはなかなか書こうと思っても書けるもんじゃないっすね
凄いですマジで
さゆみがずっと絵里の傍にいようと決意したその心の機微が素晴らしい
話の都合ではなく登場人物が本当にそう思ったのだと伝わりました
いや…これはなかなか書こうと思っても書けるもんじゃないっすね
凄いですマジで
829 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/29(水) 23:31:30.93 0
泣けた~
830 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 00:47:38.58 O
d从*T 。.T)b <かなしみを胸に抱いて、あげあげなの
831 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 00:49:48.63 0
いつかこういうの自分も書いてみたいな~
無理だけどねw
無理だけどねw
832 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 01:55:49.01 0
ホゼンナント!
833 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 03:51:02.83 O
从*T 。.T)<お腹空いたの 食べないとか言うんじゃなかったなの
834 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 06:47:28.70 0
>>821
ノノ*^ー^) < うへへ、絵里ちゃんね、最近心から、生きてるって楽しい! …って感じるんですよ!
ノノ*^ー^) < …でも、ときどき…たまらなく寂しくなる時があるんですよ…?
ノノ*^ー^) < …変だよね… さゆ… どうしてかなあ…?
ノノ*^ー^) < うへへ、絵里ちゃんね、最近心から、生きてるって楽しい! …って感じるんですよ!
ノノ*^ー^) < …でも、ときどき…たまらなく寂しくなる時があるんですよ…?
ノノ*^ー^) < …変だよね… さゆ… どうしてかなあ…?
835 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 07:47:03.75 O
マジ泣けるわこの話すげえ
836 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 08:10:52.47 0
838 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 10:18:45.14 0
839 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 12:40:32.38 O
静けさが終わって嵐がきはじめたかな?
楽しみ!
楽しみ!
840 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 12:59:24.52 0
>>836
楽しみし過ぎて今すげー緊張wwww
楽しみし過ぎて今すげー緊張wwww
841 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 14:10:52.48 O
>>836
どういう結末になるのかとても楽しみです
どういう結末になるのかとても楽しみです
842 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 15:57:58.01 O
ホゼナントなの
843 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 17:38:29.63 O
ホゼナントしますよ?
844 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:05:32.96 0
何時ごろの投下なのかねえ
845 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:45:07.87 0
投下予定のある方がいらっしゃらないようなので「復讐と帰還」の続きを投下したいと思います
分量が多くなってしまったので二回に分ける事になってしまいましたがお付き合いいただければ幸いです
分量が多くなってしまったので二回に分ける事になってしまいましたがお付き合いいただければ幸いです
846 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:46:47.05 0
刹那という言葉がある。
元は時間の最小単位を表す仏教用語で、その長さは諸説あるが、要するにきわめて短い時間の事を指す。
その刹那を、ジュンジュンは体感した。
吉澤の袖口から伸びた刃が、彼女の喉元に突き立てられるまでの間に、夥しい刹那が脳裏を駆け巡った。
それは言葉であり、光景であった。
―純、私達一族の力は、ただ獣の姿になる事がその本質ではないのだよ。
お父さん―
―私達の力は、命の力だ。地上にある生命が辿ってきた進化の道を、己の命の中から見つけ出すのだ。
どういう事?―
―いずれ分かる時が来る。純、お前ならば、獣人のあたらしい有様を見つけられるだろう。
父の笑顔
白い嵐 獣
屍 屍 屍
屍の向こう 闇色の瞳
恐怖、そして、復讐
――生きろ、純
―あたしは高橋愛。一緒に、たたかおう。
リゾナンター?―
―私が新垣さんを守る。
9人 9人で、私たちは生きてきた
喫茶リゾナント コーヒーの匂い
空の青 海の青 山下公園
―新垣サン、お昼ゴハン、何がイイですか?
考え直せ、ニーガキ。食事とは楽しむもので決して挑戦するものでは―
脈絡を無視して走り抜ける刹那に凝縮された、言葉と光景が折り重なっていく。
それ等は折り重なり、紡がれ、一つの道を作る。一人の獣化能力者が新しい扉を開くための、道を作る。
元は時間の最小単位を表す仏教用語で、その長さは諸説あるが、要するにきわめて短い時間の事を指す。
その刹那を、ジュンジュンは体感した。
吉澤の袖口から伸びた刃が、彼女の喉元に突き立てられるまでの間に、夥しい刹那が脳裏を駆け巡った。
それは言葉であり、光景であった。
―純、私達一族の力は、ただ獣の姿になる事がその本質ではないのだよ。
お父さん―
―私達の力は、命の力だ。地上にある生命が辿ってきた進化の道を、己の命の中から見つけ出すのだ。
どういう事?―
―いずれ分かる時が来る。純、お前ならば、獣人のあたらしい有様を見つけられるだろう。
父の笑顔
白い嵐 獣
屍 屍 屍
屍の向こう 闇色の瞳
恐怖、そして、復讐
――生きろ、純
―あたしは高橋愛。一緒に、たたかおう。
リゾナンター?―
―私が新垣さんを守る。
9人 9人で、私たちは生きてきた
喫茶リゾナント コーヒーの匂い
空の青 海の青 山下公園
―新垣サン、お昼ゴハン、何がイイですか?
考え直せ、ニーガキ。食事とは楽しむもので決して挑戦するものでは―
脈絡を無視して走り抜ける刹那に凝縮された、言葉と光景が折り重なっていく。
それ等は折り重なり、紡がれ、一つの道を作る。一人の獣化能力者が新しい扉を開くための、道を作る。
847 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:48:19.82 0
獣。
―新しい有様とは?
力。
―それは獣?
否。
―違う?では…
源。
―命を動かす力?
応。
―獣の力に乗せるには?
純。
―!
ロロロォォォゥ!!
喉元に刃が振り下ろされた瞬間。
命の奥から轟く声があった。
魂を揺さぶる、美しく、勇壮な咆哮であった。
「…倉庫?横浜にいるのか…」
現実の空間を映し出す愛の表層意識を飛翔しながら、里沙は呟いた。
「ここまで来れば、後は出口を見つけるだけ―」
その時、愛の精神に、ある“異変”が起きた。
恐らく精神の深奥で起こったであろうそれは、ほんの僅かに愛の表層意識の質感を変えた。
ほんの僅か。愛自身、まだその変化に気づくにはもう少しの時間を要するだろう。
しかし、極限にまで研ぎ澄まされた里沙の感覚は、いち早くその“異変”を察知した。
―新しい有様とは?
力。
―それは獣?
否。
―違う?では…
源。
―命を動かす力?
応。
―獣の力に乗せるには?
純。
―!
ロロロォォォゥ!!
喉元に刃が振り下ろされた瞬間。
命の奥から轟く声があった。
魂を揺さぶる、美しく、勇壮な咆哮であった。
「…倉庫?横浜にいるのか…」
現実の空間を映し出す愛の表層意識を飛翔しながら、里沙は呟いた。
「ここまで来れば、後は出口を見つけるだけ―」
その時、愛の精神に、ある“異変”が起きた。
恐らく精神の深奥で起こったであろうそれは、ほんの僅かに愛の表層意識の質感を変えた。
ほんの僅か。愛自身、まだその変化に気づくにはもう少しの時間を要するだろう。
しかし、極限にまで研ぎ澄まされた里沙の感覚は、いち早くその“異変”を察知した。
848 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:49:51.10 0
「この感じは…アイちゃん…」
猛禽の翼を折りたたみ、意識の壁にそっと手を触れ、深奥へ語りかける。
表層から深奥へ声を届ける事など、熟練のサイコ・ダイバーでも不可能事であるが、里沙にはある種の確信があった。
己の力の高鳴りは、新たな絆がもたらすものだと。
「アイちゃん…聞こえるでしょ?」
―お姉ちゃん?
「もうすぐ愛ちゃんの中から出るわ。だから、その前に」
―お別れを言おうと思ったの?
「うん、声が届いて良かった」
―お姉ちゃん、ずっと私と一緒だったから、少し混ざっちゃったのね。
「アイちゃんと?」
―ほんの少しだけど、でも、お姉ちゃんならきっと使いこなせるわ。
意識の色が、また少し表情を変えた。もうすぐ、愛も変化に気づくだろうか。
―最後にお姉ちゃんの声が聞けて良かった。
「愛ちゃんに還るのね」
―もうすぐ、完全に私はあたしになる。
「もう、会えない?」
―さよなら、お姉ちゃん。これからは、ずっと傍にいるわ。
「さよなら」と呟き振り向いた里沙の目に、光を放つ出口が映った。
ガキィン!と乾いた音が倉庫に響いた。金属が硬い物にぶつかる音だ。
吉澤が振り下ろした刃の先から、ジュンジュンの姿が消えていた。
猛禽の翼を折りたたみ、意識の壁にそっと手を触れ、深奥へ語りかける。
表層から深奥へ声を届ける事など、熟練のサイコ・ダイバーでも不可能事であるが、里沙にはある種の確信があった。
己の力の高鳴りは、新たな絆がもたらすものだと。
「アイちゃん…聞こえるでしょ?」
―お姉ちゃん?
「もうすぐ愛ちゃんの中から出るわ。だから、その前に」
―お別れを言おうと思ったの?
「うん、声が届いて良かった」
―お姉ちゃん、ずっと私と一緒だったから、少し混ざっちゃったのね。
「アイちゃんと?」
―ほんの少しだけど、でも、お姉ちゃんならきっと使いこなせるわ。
意識の色が、また少し表情を変えた。もうすぐ、愛も変化に気づくだろうか。
―最後にお姉ちゃんの声が聞けて良かった。
「愛ちゃんに還るのね」
―もうすぐ、完全に私はあたしになる。
「もう、会えない?」
―さよなら、お姉ちゃん。これからは、ずっと傍にいるわ。
「さよなら」と呟き振り向いた里沙の目に、光を放つ出口が映った。
ガキィン!と乾いた音が倉庫に響いた。金属が硬い物にぶつかる音だ。
吉澤が振り下ろした刃の先から、ジュンジュンの姿が消えていた。
849 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:50:43.38 0
―どこだ!?
ぞわり、と吉澤の背中に何かが走った。ただならぬものが放つ気配が、悪寒となって吉澤を襲ったのだろう。
「ここだ」
振り向いた吉澤の目に飛び込んできたものは…獣?
違う。これは…人?
いや、人とも違う。ただ、リゾナンター李純である事は確かだ。
「その姿は…何だ」
その目は、口は、鼻は、人間のそれだ。
二つの足で地面を踏み締めるそのプロポーションもまた、人間のそれである。
しかし、人ではない。
ジュンジュンの全身を覆う毛は、両手から伸びる爪は、獣だけが持つものだ。
肉の奥から溢れる質感、力の物量もまた、獣だけが持つ。
―人の姿をした獣?
そう、吉澤の脳裏によぎった時、ジュンジュンが言葉を発した。
「私はいつも、力を獣の器に入れていた」
「器?」
「でも力は、獣の器に入れると獣の力でしかなくなってしまう。もっと純粋に、力を宿すべきだった」
「器を使うのを止めたという訳か」
「知っているか?もんじゃ焼きは、土手を作らなくても美味しく作れるんだ」
「フン、覚えとくよ」
その言葉が終る瞬間、吉澤はジュンジュンの顔面に袖口の刃を投げつけた。
避けるか、弾くか、どちらの行動をとるにしても、その隙に先手を取る。
身を屈め刃をかわした一瞬を突いて、ジュンジュンの側頭部に狙い澄ました回し蹴りを放つ。
ぞわり、と吉澤の背中に何かが走った。ただならぬものが放つ気配が、悪寒となって吉澤を襲ったのだろう。
「ここだ」
振り向いた吉澤の目に飛び込んできたものは…獣?
違う。これは…人?
いや、人とも違う。ただ、リゾナンター李純である事は確かだ。
「その姿は…何だ」
その目は、口は、鼻は、人間のそれだ。
二つの足で地面を踏み締めるそのプロポーションもまた、人間のそれである。
しかし、人ではない。
ジュンジュンの全身を覆う毛は、両手から伸びる爪は、獣だけが持つものだ。
肉の奥から溢れる質感、力の物量もまた、獣だけが持つ。
―人の姿をした獣?
そう、吉澤の脳裏によぎった時、ジュンジュンが言葉を発した。
「私はいつも、力を獣の器に入れていた」
「器?」
「でも力は、獣の器に入れると獣の力でしかなくなってしまう。もっと純粋に、力を宿すべきだった」
「器を使うのを止めたという訳か」
「知っているか?もんじゃ焼きは、土手を作らなくても美味しく作れるんだ」
「フン、覚えとくよ」
その言葉が終る瞬間、吉澤はジュンジュンの顔面に袖口の刃を投げつけた。
避けるか、弾くか、どちらの行動をとるにしても、その隙に先手を取る。
身を屈め刃をかわした一瞬を突いて、ジュンジュンの側頭部に狙い澄ました回し蹴りを放つ。
850 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:51:46.46 0
―もらった!
しかし、その蹴りはむなしく空を切った。
吉澤の想像を遥かに掻い潜り、地を這うようにして人のかたちをした獣は吉澤の側面に回りこむ。
―このスピードは…!
吉澤のみぞおち目がけ、“純なる獣”の左足が跳ね上がった。
それは、駆け昇る流星であった。
跳ね上がったと思った瞬間には、吉澤のみぞおちに蹴りが叩き込まれていた。
―この蹴りは…!
―こんな蹴りを撃てる奴がいるなんて。
―ああ、そういえば、一人いたなあ…
突き抜ける衝撃の中、吉澤の目に一滴の涙が光る。
―石川だ。
―アイツの蹴りも、強かった。
―こいつの蹴りと、梨華ちゃんの蹴りと、どっちが凄えかな…
思い出が、かろうじて意識を繋ぎ止める。
しかし、純なる獣の放った流星は、意識を断ち切りはしなかったものの、吉澤ひとみの戦意を寸断した。
吉澤程の戦士が、たたかいの中でたたかいを忘れた。
ごく瞬間的なものではある。一秒を満たすかどうか、だが、この状況での戦意喪失は自殺に等しい。
純なる力で駆動する獣の爪が、必殺の一撃となって吉澤の一秒へ振り下ろされた。
―とどめだ!
パァン!と乾いた音が倉庫に響いた。吉澤の頬にジンジンと熱が走る。
―ビンタ?
しかし、その蹴りはむなしく空を切った。
吉澤の想像を遥かに掻い潜り、地を這うようにして人のかたちをした獣は吉澤の側面に回りこむ。
―このスピードは…!
吉澤のみぞおち目がけ、“純なる獣”の左足が跳ね上がった。
それは、駆け昇る流星であった。
跳ね上がったと思った瞬間には、吉澤のみぞおちに蹴りが叩き込まれていた。
―この蹴りは…!
―こんな蹴りを撃てる奴がいるなんて。
―ああ、そういえば、一人いたなあ…
突き抜ける衝撃の中、吉澤の目に一滴の涙が光る。
―石川だ。
―アイツの蹴りも、強かった。
―こいつの蹴りと、梨華ちゃんの蹴りと、どっちが凄えかな…
思い出が、かろうじて意識を繋ぎ止める。
しかし、純なる獣の放った流星は、意識を断ち切りはしなかったものの、吉澤ひとみの戦意を寸断した。
吉澤程の戦士が、たたかいの中でたたかいを忘れた。
ごく瞬間的なものではある。一秒を満たすかどうか、だが、この状況での戦意喪失は自殺に等しい。
純なる力で駆動する獣の爪が、必殺の一撃となって吉澤の一秒へ振り下ろされた。
―とどめだ!
パァン!と乾いた音が倉庫に響いた。吉澤の頬にジンジンと熱が走る。
―ビンタ?
851 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:52:51.46 P
吉澤の命を刈り取るはずの獣の爪が、ジュンジュンの右手から消えていた。
何故、止めを刺さないのか。不可解、というより驚きですらある。
ジュンジュンの表情にも、似たような驚きの色があった。
ジュンジュンの姿を視界に捉えた吉澤の方が一瞬早く、次の行動に移った。
頬に入れられた平手打ちが丁度“喝”を入れた格好になったのかもしれない。
里沙は、ゆっくりと、瞼を開いた。
愛は、そっと、顔を上げた。
頬に鮮やかな色彩を纏ったかけがえのない友の顔が、互いの視界に飛び込んできた。
見つめ合う二人の視線が、空中でひとつになった時、二人は同時に、全く同じ言葉を口にした。
「私が…帰って来た…」
独特の、ちょっと困った様な微笑みと、少し照れた様な微笑を浮かべ、ぎゅっ、と手を握りしめて、そして
「ありがとう」
再び、同じ言葉を口にした。
「危ない所だった…」
吉澤の念動力が、ぎりぎりとジュンジュンの喉を締め上げている。
ジュンジュンの姿は、生まれたままのそれに戻っていた。
「ぐっ…!」
「まだ、その力は不安定なようだな」
何故、止めを刺さないのか。不可解、というより驚きですらある。
ジュンジュンの表情にも、似たような驚きの色があった。
ジュンジュンの姿を視界に捉えた吉澤の方が一瞬早く、次の行動に移った。
頬に入れられた平手打ちが丁度“喝”を入れた格好になったのかもしれない。
里沙は、ゆっくりと、瞼を開いた。
愛は、そっと、顔を上げた。
頬に鮮やかな色彩を纏ったかけがえのない友の顔が、互いの視界に飛び込んできた。
見つめ合う二人の視線が、空中でひとつになった時、二人は同時に、全く同じ言葉を口にした。
「私が…帰って来た…」
独特の、ちょっと困った様な微笑みと、少し照れた様な微笑を浮かべ、ぎゅっ、と手を握りしめて、そして
「ありがとう」
再び、同じ言葉を口にした。
「危ない所だった…」
吉澤の念動力が、ぎりぎりとジュンジュンの喉を締め上げている。
ジュンジュンの姿は、生まれたままのそれに戻っていた。
「ぐっ…!」
「まだ、その力は不安定なようだな」
852 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:53:47.54 P
後一秒、純なる獣の姿を維持できていれば、吉澤の命は断たれていただろう。少なくとも戦闘不能には陥ってた筈だ。
しかし、そうはならなかった。
その原因をジュンジュンの未熟さに求める事は出来ない。彼女は誰も開いた事のない扉を開けたのだ。その先を誰が予想出来ようか。
ただ、そうはならなかった、という現実が横たわるのみである。
―もう少し…あともう少しの所で…!
ジュンジュンは唇を噛みしめて吉澤を睨みつける。
手の中に入りかけていた勝利が、指の間からするりと逃げてしまった。
吉澤ひとみさえ倒しておけば――里沙達を取り囲む戦獣どもは、単純な命令を実行するだけの知能しか持たない。
頭さえ潰せれば無力化出来た筈なのだ。
口惜しさが、後から後から湧き起こる。後、ほんの一秒持てば…!
「強かったよ。お前」
そういった吉澤の声に、疲れの色が窺えた。リゾナンターとの連戦で相当の疲労がある。
振り絞るように、吉澤は念動の見えざる腕に込める力を強めた。
ジュンジュンの呼吸が止まる。
―このままでは…
意識が薄れていく。必死に抵抗を試みるが、このままでは徒労に終わるだろう。
念動に対抗するには“あるべき自分の姿”を強くイメージすることが必要なのだが、ジュンジュンはそれが不得手だ。
獣の姿に変わるという獣化能力者の特性上、念動への抵抗力が弱いというのは宿命的な事であった。
―諦めて、たまるか
ジュンジュンの思いを握りつぶすように、吉澤は更に念動力を強めていく。
執念と執念がせめぎ合う。
しかし、ジュンジュンがいかに奮闘しようと、獣化能力者は念動に対する相性が悪いという事実は動かせない。
みしり、と首が軋んだ。
しかし、そうはならなかった。
その原因をジュンジュンの未熟さに求める事は出来ない。彼女は誰も開いた事のない扉を開けたのだ。その先を誰が予想出来ようか。
ただ、そうはならなかった、という現実が横たわるのみである。
―もう少し…あともう少しの所で…!
ジュンジュンは唇を噛みしめて吉澤を睨みつける。
手の中に入りかけていた勝利が、指の間からするりと逃げてしまった。
吉澤ひとみさえ倒しておけば――里沙達を取り囲む戦獣どもは、単純な命令を実行するだけの知能しか持たない。
頭さえ潰せれば無力化出来た筈なのだ。
口惜しさが、後から後から湧き起こる。後、ほんの一秒持てば…!
「強かったよ。お前」
そういった吉澤の声に、疲れの色が窺えた。リゾナンターとの連戦で相当の疲労がある。
振り絞るように、吉澤は念動の見えざる腕に込める力を強めた。
ジュンジュンの呼吸が止まる。
―このままでは…
意識が薄れていく。必死に抵抗を試みるが、このままでは徒労に終わるだろう。
念動に対抗するには“あるべき自分の姿”を強くイメージすることが必要なのだが、ジュンジュンはそれが不得手だ。
獣の姿に変わるという獣化能力者の特性上、念動への抵抗力が弱いというのは宿命的な事であった。
―諦めて、たまるか
ジュンジュンの思いを握りつぶすように、吉澤は更に念動力を強めていく。
執念と執念がせめぎ合う。
しかし、ジュンジュンがいかに奮闘しようと、獣化能力者は念動に対する相性が悪いという事実は動かせない。
みしり、と首が軋んだ。
853 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:54:54.35 P
「このまま…首をへし折って…」
吉澤の体力も既に限界が近付いている。
この状況に至って尚、己の力だけで止めを刺そうとしているのは、吉澤なりのけじめなのだろうか。
せめぎ合う執念の均衡が動いた。
動かしたのは、炎であった。
「発火ァ!」
左方から、吉澤に向かってくる一陣の炎があった。
炎の向こう側には、リゾナンター銭琳の怒りに揺れる瞳があった。
「ちいい!」
咄嗟に吉澤は念動の矛先を炎に向け直し、それを防ぐ。同時にジュンジュンの喉を締めつけるくびきが去った。
「ゴメンなさい。不覚をとりました」
「琳!」
ジュンジュンがそう呼び掛けた瞬間、再度、吉澤の念動がジュンジュンの首に絡みつく。
あくまで、吉澤は目標を変えようとはしない。それが何を意味するか、ジュンジュンには容易に理解が可能であった。
―琳、手を出すな!
「ジュンジュンを放せ!」
蘇生したばかりのリンリンは周りの状況がよく呑み込めていない。ただ、ジュンジュンが危ないという事だけが分かった。
リンリンの手から再び炎が生み出され、吉澤にぶつけられようとした時、吉澤の声が倉庫に響いた。
ジュンジュンはその後に繰り広げられる光景を拒むように、きつく瞼を閉じた。かなしみと絶望が胸の中で渦を巻いていく。
「やれ!戦獣ども!」
遂に、引き金が引かれた。ダークネスの歪んだ科学力によって生み出された生物兵器が、殺戮の怒号を上げる。
吉澤の体力も既に限界が近付いている。
この状況に至って尚、己の力だけで止めを刺そうとしているのは、吉澤なりのけじめなのだろうか。
せめぎ合う執念の均衡が動いた。
動かしたのは、炎であった。
「発火ァ!」
左方から、吉澤に向かってくる一陣の炎があった。
炎の向こう側には、リゾナンター銭琳の怒りに揺れる瞳があった。
「ちいい!」
咄嗟に吉澤は念動の矛先を炎に向け直し、それを防ぐ。同時にジュンジュンの喉を締めつけるくびきが去った。
「ゴメンなさい。不覚をとりました」
「琳!」
ジュンジュンがそう呼び掛けた瞬間、再度、吉澤の念動がジュンジュンの首に絡みつく。
あくまで、吉澤は目標を変えようとはしない。それが何を意味するか、ジュンジュンには容易に理解が可能であった。
―琳、手を出すな!
「ジュンジュンを放せ!」
蘇生したばかりのリンリンは周りの状況がよく呑み込めていない。ただ、ジュンジュンが危ないという事だけが分かった。
リンリンの手から再び炎が生み出され、吉澤にぶつけられようとした時、吉澤の声が倉庫に響いた。
ジュンジュンはその後に繰り広げられる光景を拒むように、きつく瞼を閉じた。かなしみと絶望が胸の中で渦を巻いていく。
「やれ!戦獣ども!」
遂に、引き金が引かれた。ダークネスの歪んだ科学力によって生み出された生物兵器が、殺戮の怒号を上げる。
854 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 19:56:35.66 P
グロロロロォォゥゥゥ!!!
獰猛な、血に飢えた獣どもの咆哮が轟くと同時に、猛り狂った異形の獣が一斉に里沙達四人に襲いかかった。
圧倒的な破壊が、黒の奔流となって押し寄せる。
ジュンジュンが最も恐れていた事が、現実となった。
十二体もの戦獣に対抗するだけの戦力など、望むべくもない。
リンリンは、強く唇を噛んだ。血が、滲みだした。
目前に迫る異形の者どもがもたらす恐怖が彼女の心臓を締め上げる。
吉澤の目には、複雑な色が浮かんでいた。
せめてこうなる前に、ジュンジュンにだけは決着を付けてやりたかったという思いがある。
思いが、交錯する。
もう、すぐそこまで獣が迫ってきている。
圧倒的な物量を前に、リンリンは身動き出来ずにいた。
締めつけられるジュンジュンの喉から、うめき声がこぼれ落ちる。
声は言葉にならなかったが、心は悲鳴を上げていた。張り裂ける心の絶叫があった。
―やめろ、やめて、お願いだから私の大切な人を殺さないで!もう二度とあんな思いは
獰猛な、血に飢えた獣どもの咆哮が轟くと同時に、猛り狂った異形の獣が一斉に里沙達四人に襲いかかった。
圧倒的な破壊が、黒の奔流となって押し寄せる。
ジュンジュンが最も恐れていた事が、現実となった。
十二体もの戦獣に対抗するだけの戦力など、望むべくもない。
リンリンは、強く唇を噛んだ。血が、滲みだした。
目前に迫る異形の者どもがもたらす恐怖が彼女の心臓を締め上げる。
吉澤の目には、複雑な色が浮かんでいた。
せめてこうなる前に、ジュンジュンにだけは決着を付けてやりたかったという思いがある。
思いが、交錯する。
もう、すぐそこまで獣が迫ってきている。
圧倒的な物量を前に、リンリンは身動き出来ずにいた。
締めつけられるジュンジュンの喉から、うめき声がこぼれ落ちる。
声は言葉にならなかったが、心は悲鳴を上げていた。張り裂ける心の絶叫があった。
―やめろ、やめて、お願いだから私の大切な人を殺さないで!もう二度とあんな思いは
855 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 20:07:56.92 0
その時、忌まわしき獣どもが上げる、空間を揺るがし耳をつんざくような咆哮の中で、一つの声が滑り込んできた。
一瞬、静寂があったのか。ある筈がない。
だが、その声ははっきりと、ジュンジュンとリンリンの耳に届いた。
「大丈夫」
その声は、新垣里沙の、声。
そして、光が走った。
一瞬、静寂があったのか。ある筈がない。
だが、その声ははっきりと、ジュンジュンとリンリンの耳に届いた。
「大丈夫」
その声は、新垣里沙の、声。
そして、光が走った。
856 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 20:09:06.39 0
857 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 20:12:39.62 0
とりあえず・・・メチャメチャ面白い!!!
続きスゲー待ってます!
続きスゲー待ってます!
858 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 20:25:33.18 0
凄い
規制が解除されるまで待ってます
1時間かな
規制が解除されるまで待ってます
1時間かな
859 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 21:12:23.30 0
リo´ゥ`リ<まだかな まだかな
860 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 21:42:05.21 0
さるさんだと2時間くらい書き込めないんじゃなかったっけか
861 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 21:42:18.28 O
読んでてハラハラドキドキするなあ
862 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:00:29.08 0
吉澤ひとみは、信じられない、としか言いようのない光景を目の当たりにしていた。
十二体の戦獣が二十四の肉塊になっている。
全く理解を超えた光景であった。
十二体の戦獣、そのことごとくが、胴体を両断され息絶えているのである。
―何が起こった?
戦獣が里沙達に殺到したその一瞬に、一体何が起こったというのか。
吉澤ひとみを見つめる目があった。
吐き気をもよおす大量の血の臭気に包まれながらも、その目は、吉澤を凝っと捉えていた。
その目には、強い輝きがあった。かつて自分が知っていたその目よりも、輝きを増していた。
―新垣…!
新垣がやったのか?どうやって?鋼線か?違う。
鋼線では戦獣の硬い皮膚を切り裂く事など出来ない。
どんな鋭い刃をもってしても、一瞬で十二体を切り裂くなど不可能だ。
しかし、それは現に起こった事なのだ。
吉澤は見た。里沙の指先から糸のように伸びる二本の光の筋を。
ゆらゆらと里沙を守るように漂う二本の光の糸。
鋼線ではない。これは…『光』
―光だと?
里沙の精神――その中で、高橋愛をはじめとする仲間達への思い、そして組織への思い、能力者である己の身への思い。
そういった里沙の心の最も“濃い”部分は、一週間に渡って高橋愛の精神の一番深い場所にあった。
本来ならば愛の精神に飲みこまれ、消え去る筈であったが、i914の力を司るもう一人のアイが里沙を守り抜いた。
その際に、光の力がごく僅かながら、里沙に混ざったのだ。
運命はそれをもたらした。
吉澤ひとみは、信じられない、としか言いようのない光景を目の当たりにしていた。
十二体の戦獣が二十四の肉塊になっている。
全く理解を超えた光景であった。
十二体の戦獣、そのことごとくが、胴体を両断され息絶えているのである。
―何が起こった?
戦獣が里沙達に殺到したその一瞬に、一体何が起こったというのか。
吉澤ひとみを見つめる目があった。
吐き気をもよおす大量の血の臭気に包まれながらも、その目は、吉澤を凝っと捉えていた。
その目には、強い輝きがあった。かつて自分が知っていたその目よりも、輝きを増していた。
―新垣…!
新垣がやったのか?どうやって?鋼線か?違う。
鋼線では戦獣の硬い皮膚を切り裂く事など出来ない。
どんな鋭い刃をもってしても、一瞬で十二体を切り裂くなど不可能だ。
しかし、それは現に起こった事なのだ。
吉澤は見た。里沙の指先から糸のように伸びる二本の光の筋を。
ゆらゆらと里沙を守るように漂う二本の光の糸。
鋼線ではない。これは…『光』
―光だと?
里沙の精神――その中で、高橋愛をはじめとする仲間達への思い、そして組織への思い、能力者である己の身への思い。
そういった里沙の心の最も“濃い”部分は、一週間に渡って高橋愛の精神の一番深い場所にあった。
本来ならば愛の精神に飲みこまれ、消え去る筈であったが、i914の力を司るもう一人のアイが里沙を守り抜いた。
その際に、光の力がごく僅かながら、里沙に混ざったのだ。
運命はそれをもたらした。
863 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:01:20.66 0
i914の力と、新垣里沙の特性が生み出した新たな武器。
闇を切り裂く光。
『光』線。
断ち切るのではなく、消し切る。
どんな装甲も、この力の前には無力であった。
「吉澤さん、もう終わりにしましょう」
里沙は言った。透き通るように落ち着いた声だった。
「新垣ィ!」
吉澤は吠えた。痛切に焦がれた復讐の対象が、ついに目の前に姿を現したのだから。
瞬時に己の心を黒く染め上げる。
もうどうでもいい。こいつさえ、こいつさえ殺れれば、それでいい。
喉が裂けても構わない。全身から憎悪を総動員して、吉澤は吠えた。
憎悪で駆動する、いっぴきの魔性になろうとした。
ふと、里沙は吉澤から視線を外した。
視線は、リンリンからジュンジュンへ移り、傷つき倒れている久住小春の顔を見つめる。
そしてその視線は、隣に立つ高橋愛へ「私がやる」という意思を伝えた。
見つめ返す愛の瞳には、静かな肯定の色があった。
復讐者は拳を握りしめる。血が出るほど強く。
これを新垣里沙にぶつける事だけを考えてきたのだから。
地を蹴って走りだした。
帰還者は心を研ぎ澄ます。空の青よりも青く。
かなしみの向こうへ到達する事が己の使命だと知ったから。
高鳴る力を解き放った。
二人のサイコ・ダイバーは同時に動いた。
たたかいは、意外なほどあっけなく、その決着を見た。
闇を切り裂く光。
『光』線。
断ち切るのではなく、消し切る。
どんな装甲も、この力の前には無力であった。
「吉澤さん、もう終わりにしましょう」
里沙は言った。透き通るように落ち着いた声だった。
「新垣ィ!」
吉澤は吠えた。痛切に焦がれた復讐の対象が、ついに目の前に姿を現したのだから。
瞬時に己の心を黒く染め上げる。
もうどうでもいい。こいつさえ、こいつさえ殺れれば、それでいい。
喉が裂けても構わない。全身から憎悪を総動員して、吉澤は吠えた。
憎悪で駆動する、いっぴきの魔性になろうとした。
ふと、里沙は吉澤から視線を外した。
視線は、リンリンからジュンジュンへ移り、傷つき倒れている久住小春の顔を見つめる。
そしてその視線は、隣に立つ高橋愛へ「私がやる」という意思を伝えた。
見つめ返す愛の瞳には、静かな肯定の色があった。
復讐者は拳を握りしめる。血が出るほど強く。
これを新垣里沙にぶつける事だけを考えてきたのだから。
地を蹴って走りだした。
帰還者は心を研ぎ澄ます。空の青よりも青く。
かなしみの向こうへ到達する事が己の使命だと知ったから。
高鳴る力を解き放った。
二人のサイコ・ダイバーは同時に動いた。
たたかいは、意外なほどあっけなく、その決着を見た。
864 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:02:48.51 0
吉澤ひとみは膝をつき、その場にうずくまった。
全身から汗が噴き出している。
その姿は、恐るべき力に抑えつけられているようであった。
―何だこの力は…!
新垣里沙の精神干渉能力。
自分を打ち負かしつつあるその力の正体がそれである事は、吉澤自身精神干渉能力の使い手であるから、すぐに分かる。
その強さが桁違いなのだ。かつての新垣里沙、いや、いかなるサイコ・ダイバーもこれ程の力を発動出来る筈がない。
辛うじて類型を求めるとすれば、能力の系統は違うが後藤真希の念動が近いと言えるかもしれない。
それ程までに圧倒的であった。
吉澤も、一流と呼ばれるサイコ・ダイバーである。
精神干渉能力から身を守る術は当然心得ていた。
「精神のロック」と呼ばれる技術である。
つまり心に鍵をかけ、意識の触手の侵入を阻むのだ。
しかし、里沙の力はとても意識の触手と形容できるような物ではなかった。
意識の津波であった。
いくら外界からの攻撃をシャットアウトしようとも、心を丸ごと押し流してしまうような強大な力の前にどれほどの抵抗ができようか。
―何でこんな…
段々と思考力が低下していく。憎悪も、かなしみも、戦意も、全て押し流されて行きそうだった。
圧倒的な力に心を丸裸にされるように、ちっぽけな自分が姿を現していく。それは感動的ですらあった。
心を揺さぶる感動を伴った悪夢を見ているのかもしれない。と、吉澤はふと思った。
しかしこれは夢ではない。奇跡だ。
吉澤ひとみは一個の奇跡に直面しているのだ。
共鳴とは、心が通じ合い、響き合う事でその力(主に超能力)を増幅させる現象であると言われている。
里沙と愛に起こった共鳴は、その強さその長さにおいて段違いであった。
一番大事な人と、一番深い所で、一週間ずっと心は鳴り響き続けていたのだ。
全身から汗が噴き出している。
その姿は、恐るべき力に抑えつけられているようであった。
―何だこの力は…!
新垣里沙の精神干渉能力。
自分を打ち負かしつつあるその力の正体がそれである事は、吉澤自身精神干渉能力の使い手であるから、すぐに分かる。
その強さが桁違いなのだ。かつての新垣里沙、いや、いかなるサイコ・ダイバーもこれ程の力を発動出来る筈がない。
辛うじて類型を求めるとすれば、能力の系統は違うが後藤真希の念動が近いと言えるかもしれない。
それ程までに圧倒的であった。
吉澤も、一流と呼ばれるサイコ・ダイバーである。
精神干渉能力から身を守る術は当然心得ていた。
「精神のロック」と呼ばれる技術である。
つまり心に鍵をかけ、意識の触手の侵入を阻むのだ。
しかし、里沙の力はとても意識の触手と形容できるような物ではなかった。
意識の津波であった。
いくら外界からの攻撃をシャットアウトしようとも、心を丸ごと押し流してしまうような強大な力の前にどれほどの抵抗ができようか。
―何でこんな…
段々と思考力が低下していく。憎悪も、かなしみも、戦意も、全て押し流されて行きそうだった。
圧倒的な力に心を丸裸にされるように、ちっぽけな自分が姿を現していく。それは感動的ですらあった。
心を揺さぶる感動を伴った悪夢を見ているのかもしれない。と、吉澤はふと思った。
しかしこれは夢ではない。奇跡だ。
吉澤ひとみは一個の奇跡に直面しているのだ。
共鳴とは、心が通じ合い、響き合う事でその力(主に超能力)を増幅させる現象であると言われている。
里沙と愛に起こった共鳴は、その強さその長さにおいて段違いであった。
一番大事な人と、一番深い所で、一週間ずっと心は鳴り響き続けていたのだ。
865 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:04:03.80 0
共鳴を超えた共鳴。
里沙も愛もこうなる事は予想していなかった。
二人を導いたのは運命。
しかし紛れもなく、運命を引きよせたのは二人の力である。
いや、二人だけではない。
リンリンが、小春が、ジュンジュンが、希望のかけらを守り通したからこそだ。
翻って言えば、愛佳が愛の危機を予知し、さゆみとれいながいたからこそ愛は命を長らえた。
そして、絵里の言葉が仲間達を勇気づけた。
リゾナンターと呼ばれる9人の戦士が紡いだ希望の糸が、運命という名の奇跡を引きよせたのだ。
運命という巨大な織物の中で、縦糸になる人間もいれば、横糸になる人間もいる。
視点を変えれば、安倍なつみと後藤真希の思惑、粛清人A並びにRのたたかい。
小川麻琴の振る舞い、そして何より、吉澤ひとみの復讐も、この奇跡を引き起こした大きな要因の一つになっている。
さらに視野を広げてみれば、二人に関わった全ての人間の行動が生み出した奇跡だとも言える。
人の手で運命を自由にする事は出来ないかもしれない。しかし、運命を作るのは人なのだ。
リゾナンターとダークネス。光と闇のたたかいは、この時、一つの転換点を迎えた。
―このまま…心を…
もう、抗う気持ちすら湧き上がってこなくなった。
このまま新垣里沙に全てを委ねてしまうのも悪くないかもしれない。
吉澤の心に芽生えたものは奇妙な安らぎであった。
吉澤がその感情を己の中に発見したその時、足元に銀色に光る輪っかのようなものが口を開けた。
―ゲート?
転送孔と呼ばれる一種のワープホールだ。恐らく行き先はダークネス本部施設の転送室に違いない。
瞬時に吉澤の姿が転送孔に飲みこまれていく。ほどなくして、転送孔も消えた。
里沙も愛もこうなる事は予想していなかった。
二人を導いたのは運命。
しかし紛れもなく、運命を引きよせたのは二人の力である。
いや、二人だけではない。
リンリンが、小春が、ジュンジュンが、希望のかけらを守り通したからこそだ。
翻って言えば、愛佳が愛の危機を予知し、さゆみとれいながいたからこそ愛は命を長らえた。
そして、絵里の言葉が仲間達を勇気づけた。
リゾナンターと呼ばれる9人の戦士が紡いだ希望の糸が、運命という名の奇跡を引きよせたのだ。
運命という巨大な織物の中で、縦糸になる人間もいれば、横糸になる人間もいる。
視点を変えれば、安倍なつみと後藤真希の思惑、粛清人A並びにRのたたかい。
小川麻琴の振る舞い、そして何より、吉澤ひとみの復讐も、この奇跡を引き起こした大きな要因の一つになっている。
さらに視野を広げてみれば、二人に関わった全ての人間の行動が生み出した奇跡だとも言える。
人の手で運命を自由にする事は出来ないかもしれない。しかし、運命を作るのは人なのだ。
リゾナンターとダークネス。光と闇のたたかいは、この時、一つの転換点を迎えた。
―このまま…心を…
もう、抗う気持ちすら湧き上がってこなくなった。
このまま新垣里沙に全てを委ねてしまうのも悪くないかもしれない。
吉澤の心に芽生えたものは奇妙な安らぎであった。
吉澤がその感情を己の中に発見したその時、足元に銀色に光る輪っかのようなものが口を開けた。
―ゲート?
転送孔と呼ばれる一種のワープホールだ。恐らく行き先はダークネス本部施設の転送室に違いない。
瞬時に吉澤の姿が転送孔に飲みこまれていく。ほどなくして、転送孔も消えた。
866 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:06:04.81 0
「転送ゲートか…」
呟いた里沙の声は、まだ緊張の色を失っていない。
このタイミングで正確な場所にゲートが出現したという事は、誰かが近くで座標を送ったに違いないからだ。
この倉庫のどこかに、まだ誰かがいる。
「あそこにおる」
愛が示した方向に、人影があった。
愛の言葉に誘い出されたように、人影が歩み寄って来た。女のようだ。
「あら、あっさり見つかっちゃったわね。自信なくすわ」
飄々とした足取りで近づいてくるその女に、苦笑を浮かべながら愛が言った。
「声が聞こえた」
「声?ああ、心の」
薄暗い照明が、ようやく女の容貌を照らし出した。どこか愛嬌を感じさせる顔立ちをしていた。
「あなた、確か生化研の」
「よく知ってるわね私の事。流石は新垣里沙ってとこかしら」
「お前は…」
「また会ったわね。ジュンジュンさん」
「何の用ダ」
ジュンジュンの棘を制するように、愛が口を開く。
「少なくともあたし等に敵意は無いようね」
「それはどうかしら?」
「全部聞こえとるよ。…小川麻琴さん」
呟いた里沙の声は、まだ緊張の色を失っていない。
このタイミングで正確な場所にゲートが出現したという事は、誰かが近くで座標を送ったに違いないからだ。
この倉庫のどこかに、まだ誰かがいる。
「あそこにおる」
愛が示した方向に、人影があった。
愛の言葉に誘い出されたように、人影が歩み寄って来た。女のようだ。
「あら、あっさり見つかっちゃったわね。自信なくすわ」
飄々とした足取りで近づいてくるその女に、苦笑を浮かべながら愛が言った。
「声が聞こえた」
「声?ああ、心の」
薄暗い照明が、ようやく女の容貌を照らし出した。どこか愛嬌を感じさせる顔立ちをしていた。
「あなた、確か生化研の」
「よく知ってるわね私の事。流石は新垣里沙ってとこかしら」
「お前は…」
「また会ったわね。ジュンジュンさん」
「何の用ダ」
ジュンジュンの棘を制するように、愛が口を開く。
「少なくともあたし等に敵意は無いようね」
「それはどうかしら?」
「全部聞こえとるよ。…小川麻琴さん」
867 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:07:01.58 0
愛は軽く口角を吊り上げて言った。
超共鳴によって更なる力を得たのは里沙だけではない。
僅かな間に、小川の心の声を全て読み切っていた。
「あらら…じゃあこちらの目的も筒抜けな訳ね」
「あんたに手を貸すかどうかは、みんなと話してから決める」
「そう、いい返事を期待してるわ」
「…そろそろさっきのアレがまた出る頃かな?」
「私の思考先回りしないでよ…まあいいわ。じゃ、まだ向こうでやる事があるから」
小川が愛嬌のある笑顔を見せ、軽く手を振ると同時に、小川の足元に銀色の光の輪が出現した。
「新垣さん、やっぱりあなたはそっちにいる方が生き生きしてる。良かったわね」
「…ありがとう」
里沙が言葉を返したころには、小川の姿も転送孔に吸い込まれ、倉庫から消えていた。
静寂が訪れた。それは、長いたたかいがようやく終わりを告げた事を意味していた。
深い安堵に包まれながら、仲間達が里沙に声をかける。
「ニーガキ、よく帰って来たな。信じてたぞ」
「新垣サン。本当にヨカッタデース」
「ジュンジュン、リンリン、ごめんね…ずっと心配かけて…あっ」
里沙は急いで小春のもとへ駆けて行き、傍らにしゃがみこんだ。
「小春…小春、ねえ、起きれる?」
「…ん?ああ、新垣さん」
「いっぱい怪我しちゃったね…」
「あいつは…?」
「もう、大丈夫だよ。小春が頑張ってくれたから」
「小春頑張りました?」
「うん、ありがとう。ずっと守ってくれて」
超共鳴によって更なる力を得たのは里沙だけではない。
僅かな間に、小川の心の声を全て読み切っていた。
「あらら…じゃあこちらの目的も筒抜けな訳ね」
「あんたに手を貸すかどうかは、みんなと話してから決める」
「そう、いい返事を期待してるわ」
「…そろそろさっきのアレがまた出る頃かな?」
「私の思考先回りしないでよ…まあいいわ。じゃ、まだ向こうでやる事があるから」
小川が愛嬌のある笑顔を見せ、軽く手を振ると同時に、小川の足元に銀色の光の輪が出現した。
「新垣さん、やっぱりあなたはそっちにいる方が生き生きしてる。良かったわね」
「…ありがとう」
里沙が言葉を返したころには、小川の姿も転送孔に吸い込まれ、倉庫から消えていた。
静寂が訪れた。それは、長いたたかいがようやく終わりを告げた事を意味していた。
深い安堵に包まれながら、仲間達が里沙に声をかける。
「ニーガキ、よく帰って来たな。信じてたぞ」
「新垣サン。本当にヨカッタデース」
「ジュンジュン、リンリン、ごめんね…ずっと心配かけて…あっ」
里沙は急いで小春のもとへ駆けて行き、傍らにしゃがみこんだ。
「小春…小春、ねえ、起きれる?」
「…ん?ああ、新垣さん」
「いっぱい怪我しちゃったね…」
「あいつは…?」
「もう、大丈夫だよ。小春が頑張ってくれたから」
「小春頑張りました?」
「うん、ありがとう。ずっと守ってくれて」
868 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:07:55.81 0
その時里沙の唇に浮かんだ微笑みを見て、小春は照れくさそうに言った。
「新垣さんが小春を褒めるなんて、頭打ったんですか?」
「もう、バカなこと言わないの」
里沙はしゃがんだまま小春に背を向け直し、ポンポンと自分の背中を叩いた。
「何すか」
「歩けないでしょ?そんな怪我じゃ。乗りなさい」
「いいんですか」
「当たり前でしょうが」
とは言っても、小春は長身で、里沙は小柄な方である。流石の小春にも遠慮はあった。
「大丈夫よこれでも鍛えてるんだから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言って小春は里沙の頭を挟むように足を回し、里沙の首の後ろに腰を下ろした。
ずしり、と小春の体重が里沙の肩にのしかかる。
「コラー!小春!これじゃ肩車でしょーが!」
「え?違うんですか?」
「普通こうやったらおんぶでしょおんぶ!」
いつものやかましい二人のやり取りを微笑ましく見つめる愛に、ジュンジュンが申し訳なさそうな声で話しかけた。
「タカハシ…」
「どうした?」
「服…ないか?」
「服?」
「着替えも破れた」
「そりゃ、まずいね」
「新垣さんが小春を褒めるなんて、頭打ったんですか?」
「もう、バカなこと言わないの」
里沙はしゃがんだまま小春に背を向け直し、ポンポンと自分の背中を叩いた。
「何すか」
「歩けないでしょ?そんな怪我じゃ。乗りなさい」
「いいんですか」
「当たり前でしょうが」
とは言っても、小春は長身で、里沙は小柄な方である。流石の小春にも遠慮はあった。
「大丈夫よこれでも鍛えてるんだから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言って小春は里沙の頭を挟むように足を回し、里沙の首の後ろに腰を下ろした。
ずしり、と小春の体重が里沙の肩にのしかかる。
「コラー!小春!これじゃ肩車でしょーが!」
「え?違うんですか?」
「普通こうやったらおんぶでしょおんぶ!」
いつものやかましい二人のやり取りを微笑ましく見つめる愛に、ジュンジュンが申し訳なさそうな声で話しかけた。
「タカハシ…」
「どうした?」
「服…ないか?」
「服?」
「着替えも破れた」
「そりゃ、まずいね」
869 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:09:06.12 0
ジュンジュンは今生まれたままの姿である。
そしてジュンジュンにもこのまま横浜の街を歩いたら自分が社会的に相当まずい事になる、と予測出来るだけの知識はあった。
「あたしもパジャマのまんまやし…」
「そうか…琳は?」
「ナイデース」
愛は、小春をおぶった里沙に向き直って声をかける。
「ガキさん。ジュンジュンこのままじゃ外に出られんから、あたしがリゾナントまで連れてく」
「うん、分かった」
「じゃあ、またリゾナントで」
「うん、リゾナントで」
愛はジュンジュンの手を握りながら精神を集中し、行き先のイメージを固める。
喫茶リゾナント。帰るべき場所。
イメージが確固たるものになるのに、殆ど時間はかからなかった。
そして、もう一度里沙に声をかけた。ちょっと恥ずかしそうな響きがあった。
「おかえり…里沙ちゃん」
ふわり、と里沙はそこに一輪の花が咲いて風に吹かれているような笑顔を浮かべた。
この笑顔の為に、ずっとこんな笑顔でいられるように、私達はたたかっているのかもしれない。と、愛は思った。
鮮やかな驚きの中にいる愛の目を見つめながら、里沙は心の声で返事をした。
―ただいま。
そしてジュンジュンにもこのまま横浜の街を歩いたら自分が社会的に相当まずい事になる、と予測出来るだけの知識はあった。
「あたしもパジャマのまんまやし…」
「そうか…琳は?」
「ナイデース」
愛は、小春をおぶった里沙に向き直って声をかける。
「ガキさん。ジュンジュンこのままじゃ外に出られんから、あたしがリゾナントまで連れてく」
「うん、分かった」
「じゃあ、またリゾナントで」
「うん、リゾナントで」
愛はジュンジュンの手を握りながら精神を集中し、行き先のイメージを固める。
喫茶リゾナント。帰るべき場所。
イメージが確固たるものになるのに、殆ど時間はかからなかった。
そして、もう一度里沙に声をかけた。ちょっと恥ずかしそうな響きがあった。
「おかえり…里沙ちゃん」
ふわり、と里沙はそこに一輪の花が咲いて風に吹かれているような笑顔を浮かべた。
この笑顔の為に、ずっとこんな笑顔でいられるように、私達はたたかっているのかもしれない。と、愛は思った。
鮮やかな驚きの中にいる愛の目を見つめながら、里沙は心の声で返事をした。
―ただいま。
870 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:11:00.16 0
>>846-855
>>862-869
『復讐と帰還(11) R-again(後)』お目汚しでございました
最後の最後までバタバタしちゃって申し訳ありません
これで「RとR」から続くお話は一応第二章完結と言う事になります
長くて遅いお話にお付き合い下さった方本当にありがとうございました
正直自分でも最後まで書き上げられるかどうか自信なかったのですが
こんなのでも読んでくださってる方がいると思うと励みになりました
最後になりますが作中に多数の作者さんからリゾナントさせていただいた設定やフレーズがあります
流石に数が多すぎて列挙できないのですが何か別のかたちで改めて紹介できればと思います
どうもありがとうございました
>>862-869
『復讐と帰還(11) R-again(後)』お目汚しでございました
最後の最後までバタバタしちゃって申し訳ありません
これで「RとR」から続くお話は一応第二章完結と言う事になります
長くて遅いお話にお付き合い下さった方本当にありがとうございました
正直自分でも最後まで書き上げられるかどうか自信なかったのですが
こんなのでも読んでくださってる方がいると思うと励みになりました
最後になりますが作中に多数の作者さんからリゾナントさせていただいた設定やフレーズがあります
流石に数が多すぎて列挙できないのですが何か別のかたちで改めて紹介できればと思います
どうもありがとうございました
871 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 22:25:46.71 0
凄い・・・・
感動してます、今。
感動してます、今。
872 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:02:13.38 0
>>870
面白いものを賞するのには相応しい言葉はやっぱり面白い、しかないですな
各々の登場人物の抱えているもの
痛みの伝わってくる戦闘シーン
大切なものに懸ける真情
抑制の効いたちょっとした遊び心
色んなものが絡まりあって本当に面白かった凄かった
いいものを見せてもらった
面白いものを賞するのには相応しい言葉はやっぱり面白い、しかないですな
各々の登場人物の抱えているもの
痛みの伝わってくる戦闘シーン
大切なものに懸ける真情
抑制の効いたちょっとした遊び心
色んなものが絡まりあって本当に面白かった凄かった
いいものを見せてもらった
873 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:36:11.04 0
874 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:46:27.58 0
>>870
32行では到底納まりきらないであろう様々な思いが胸を支配しています
しかし逆に言葉にしようとしても上手く言葉にならない…
もうまずは本当に面白かったですという他ありません
それにしても一体どこまで計算して書かれているんだろうこの物語は
これまでの全ての要素があまりにも美しく集束していくこの完結編には言葉を失くしました
もんじゃの話までもが布石になっていたことを知らされたときのあの感覚をなんと表現すればいいか分かりません
そしてついに訪れる吉澤ひとみと新垣里沙の一対一の“果し合い”
ようやく訪れたそれはあまりにもあっさりと終わります
しかしそれはガッカリさせられるどころかむしろ鳥肌の立つ思いを抱かせてくれました
ここまで連綿と綴られてきた物語が一気に押し寄せてくるような錯覚に襲われて…
それと同時に9人全員がいたからこそというのがこれ以上ないくらいに伝わりました
なんだろうこれほんと
一体何をどうやったらこんなものスゲーことになるんだろう…
ごめんなさい既に手遅れですけどいい加減やめます
本当に素晴らしかったです
次章のスタートをお待ちしています!
32行では到底納まりきらないであろう様々な思いが胸を支配しています
しかし逆に言葉にしようとしても上手く言葉にならない…
もうまずは本当に面白かったですという他ありません
それにしても一体どこまで計算して書かれているんだろうこの物語は
これまでの全ての要素があまりにも美しく集束していくこの完結編には言葉を失くしました
もんじゃの話までもが布石になっていたことを知らされたときのあの感覚をなんと表現すればいいか分かりません
そしてついに訪れる吉澤ひとみと新垣里沙の一対一の“果し合い”
ようやく訪れたそれはあまりにもあっさりと終わります
しかしそれはガッカリさせられるどころかむしろ鳥肌の立つ思いを抱かせてくれました
ここまで連綿と綴られてきた物語が一気に押し寄せてくるような錯覚に襲われて…
それと同時に9人全員がいたからこそというのがこれ以上ないくらいに伝わりました
なんだろうこれほんと
一体何をどうやったらこんなものスゲーことになるんだろう…
ごめんなさい既に手遅れですけどいい加減やめます
本当に素晴らしかったです
次章のスタートをお待ちしています!
875 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:51:43.53 0
お久しぶりですまとめが大変なことになってました
>>28-33 『07.恵みの雫』を「雨シリーズ」
>>40 ダクネチュ様
>>40の画像は「イラスト館」にも
>>59-67 >>74-80 『Wavered two “MIND”』を「MM。」
リゾナンター×ダークネスの分類はリゾナンターが優先するの法則です てか強いていえば愛ガキれなだけどね
>>105-113 『復讐と帰還(10) R-again(前)』を「R&R」
>>134 『マルシェの秘密』を「番外編」
>>158-166 『小さな巨人』を「Darkness1-3」
>>174-178 本来なられいな分類ですが上作のリゾナントってことで「Darkness1-3」
>>194-202 『孤独を癒すもの』を「道重さゆみ」
>>258 『小春日和』を「久住小春」
>>269-270 『唯、蒼空を希う(ただ、そうくうをこいねがう)(五言絶句) 』を「久住小春」
>>276-278 『kiss of life』を「道重さゆみ」
>>284-289 『言ってはいけない』を「道重さゆみ」
>>293-296 『Friends』を「久住小春」
>>308 「久住小春」
>>321-331 『蒼の共鳴幕間-新たな光、深き闇-』を「青の共鳴特別編」
>>363-372 「道重さゆみ」
>>378-386 『光の抗争-5-』を「海上の孤島」
>>433-436 『小さな風使い』を「亀井絵里」
>>457-462 『ヴァリアントハンター外伝』を「ヴァリアントハンター」
>>482-491 『少年の瞳(3)』を「久住小春」
>>500-506 『狂犬は夕日に咆哮する』を「Darkness4-6」
>>516-518 「番外編」
>>546-552 『光の抗争-6-』を「海上の孤島」
>>563-574 『ヴァリアントハンター外伝(2)』を「ヴァリアントハンター」 勝手に通し番号つけました
>>584 「Darkness4-6」
>>616 『戦場の天使』を「Darkness1-3」
>>28-33 『07.恵みの雫』を「雨シリーズ」
>>40 ダクネチュ様
>>40の画像は「イラスト館」にも
>>59-67 >>74-80 『Wavered two “MIND”』を「MM。」
リゾナンター×ダークネスの分類はリゾナンターが優先するの法則です てか強いていえば愛ガキれなだけどね
>>105-113 『復讐と帰還(10) R-again(前)』を「R&R」
>>134 『マルシェの秘密』を「番外編」
>>158-166 『小さな巨人』を「Darkness1-3」
>>174-178 本来なられいな分類ですが上作のリゾナントってことで「Darkness1-3」
>>194-202 『孤独を癒すもの』を「道重さゆみ」
>>258 『小春日和』を「久住小春」
>>269-270 『唯、蒼空を希う(ただ、そうくうをこいねがう)(五言絶句) 』を「久住小春」
>>276-278 『kiss of life』を「道重さゆみ」
>>284-289 『言ってはいけない』を「道重さゆみ」
>>293-296 『Friends』を「久住小春」
>>308 「久住小春」
>>321-331 『蒼の共鳴幕間-新たな光、深き闇-』を「青の共鳴特別編」
>>363-372 「道重さゆみ」
>>378-386 『光の抗争-5-』を「海上の孤島」
>>433-436 『小さな風使い』を「亀井絵里」
>>457-462 『ヴァリアントハンター外伝』を「ヴァリアントハンター」
>>482-491 『少年の瞳(3)』を「久住小春」
>>500-506 『狂犬は夕日に咆哮する』を「Darkness4-6」
>>516-518 「番外編」
>>546-552 『光の抗争-6-』を「海上の孤島」
>>563-574 『ヴァリアントハンター外伝(2)』を「ヴァリアントハンター」 勝手に通し番号つけました
>>584 「Darkness4-6」
>>616 『戦場の天使』を「Darkness1-3」
876 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:52:30.69 0
>>629-633 『幕間 ―THE DIRENMA OF...』を「Darkness4-6」
>>667 「ミニレス」 ミニレスではないと思うんだがそうしてしまいました
>>720-724 『Have a good day!1~はっぴーでらっきーなサンデー~』を「Have a good day![Park]」(新分類)
全9話ってことで作成しました
>>814-820 『過去との別れ/明日への誓い』を「さゆえり」
>>846-855 『復讐と帰還(11) R-again(後)』を「R&R」
まさかの1レスで埋まらない作品の数々
序盤からメカ状態で機械的に処理していたので大いに間違いがあるかもしれませぬ
サボりすぎイクナイ
>>667 「ミニレス」 ミニレスではないと思うんだがそうしてしまいました
>>720-724 『Have a good day!1~はっぴーでらっきーなサンデー~』を「Have a good day![Park]」(新分類)
全9話ってことで作成しました
>>814-820 『過去との別れ/明日への誓い』を「さゆえり」
>>846-855 『復讐と帰還(11) R-again(後)』を「R&R」
まさかの1レスで埋まらない作品の数々
序盤からメカ状態で機械的に処理していたので大いに間違いがあるかもしれませぬ
サボりすぎイクナイ
877 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/30(木) 23:58:55.64 0
878 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 00:11:02.63 O
879 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 01:32:35.83 O
夜は更けてゆく
880 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 01:55:05.36 0
881 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 03:23:49.22 0
ダークネスにデスクトップパソコンを壊されて
ついにノートパソコンを購入したよ
画面小さいしキーボードとか使いにくいけどがんばる
ついにノートパソコンを購入したよ
画面小さいしキーボードとか使いにくいけどがんばる
882 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 07:10:36.89 O
大変だったですねでも今がホゼナンターの意地の見せ所!頑張
883 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 07:10:52.03 O
884 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/07/31(金) 09:06:03.89 0
( `.∀´)<時間停止!
885 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 11:01:11.05 0
886 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 12:37:12.11 0
ulala
887 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 12:58:33.33 O
テンプレもそろそろ軽く検討し始める季節かもねー
888 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:07:58.41 O
もうそんな時期ですか楽しみはあっという間に過ぎるねぇ
889 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 16:26:28.65 O
Wikiのシリーズの項目もいいね!
また読み返したくなった!
また読み返したくなった!
890 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 18:13:14.68 0
ガハハハハ!
891 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 18:34:55.48 P
ノノ*^ー^)<ねぇねぇ聞いてくださいよ~絵里ね~すごい発見しちゃったんですよ~
ノノ*^ー^)<リゾナントって・・・実は~・・・きょーめーって意味だったんですよ すごくないですか?ウヘヘ
ノノ*^ー^)<リゾナントって・・・実は~・・・きょーめーって意味だったんですよ すごくないですか?ウヘヘ
892 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 19:25:20.69 0
実際の娘。たちってコーヒーとか飲めるのかな?
893 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 19:40:19.67 O
えりりんは平和だなあw
コーヒー確かさゆは飲めないって言ってたね
コーヒー確かさゆは飲めないって言ってたね
894 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 20:06:01.47 P
酒は飲めるのにコーヒーが飲めないなんて
ごめんアンチっぽいこと言っちゃったw消されたりしないよねw
ごめんアンチっぽいこと言っちゃったw消されたりしないよねw
895 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 20:07:45.03 0
リゾナントブリーというたった一曲の歌でここまでスレ伸びるのって凄いね
あの曲以降もペッパー、泣いちゃうかも、夢追い人、なんちゃって恋愛など数曲出てるのに
そういうスレ立たないしね
あの曲以降もペッパー、泣いちゃうかも、夢追い人、なんちゃって恋愛など数曲出てるのに
そういうスレ立たないしね
896 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 20:44:20.67 O
リゾナントブリーだと?
お前…ダークネスのスパイだな?
お前…ダークネスのスパイだな?
897 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:00:30.53 0
確か夢追い人のPVの中でみっつぃがヒーコー飲んでたよ
898 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:22:20.70 O
>>895
電車の中でニヤニヤしちゃっただろw
電車の中でニヤニヤしちゃっただろw
899 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:28:56.00 0
あータイプミスw
昨日ノートパソコン購入してまだキー操作に慣れてないんだよね
デスクトップのキーボードと配列が違ってるから使いにくい・・
昨日ノートパソコン購入してまだキー操作に慣れてないんだよね
デスクトップのキーボードと配列が違ってるから使いにくい・・
900 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:30:51.09 0
30話といえば30000レスだもんなぁ
901 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/07/31(金) 21:31:28.78 0
亀はコーヒー好きとか言ってなかったか?
イメージ的にリーダー・ガキさん・亀・光井はブラックで飲みそう
残りが砂糖・ミルクたっぷり入れそう
イメージ的にリーダー・ガキさん・亀・光井はブラックで飲みそう
残りが砂糖・ミルクたっぷり入れそう
902 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:36:18.87 0
http://mitsui321aika.maxs.jp/321/img/aika1602.jpg
「高橋さんの入れてくれたコーヒー以外は飲めへんのです」
「高橋さんの入れてくれたコーヒー以外は飲めへんのです」
903 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 21:42:25.41 O
めちゃめちゃキュンとなったわー
904 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:26:11.90 0
このみっつぃーかわいいな
905 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:44:46.04 0
906 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:50:52.37 0
ガラス越しに人間の声が聞こえ、ソレはわずかに目を開けた。
ソレは粘性を持った液体の中、複数のチューブに繋がれて眠っていた。
一体いつからここにいたのか、ソレ自身には判らない。
目が覚めた時にはすでにこの場所にいた。
それ以前の記憶はない。
ただ、今はまだその時ではないと誰かに言い聞かせられるように、ソレは眠っていた。
静かに。
無音という静寂の中を。
静謐な闇の中をたゆたうように。
ソレはさながら胎児のようなものだった。
ソレは胎児のような存在であるがゆえに、この世に再び生まれ落ちるその時を待っている。
胎動は静かに、しかし力強く、ソレが生きた存在であることを証明している。
人間の声が遠ざかり、ソレは再びまぶたを閉ざす。
ガラス越しに人間の声が聞こえ、ソレはわずかに目を開けた。
ソレは粘性を持った液体の中、複数のチューブに繋がれて眠っていた。
一体いつからここにいたのか、ソレ自身には判らない。
目が覚めた時にはすでにこの場所にいた。
それ以前の記憶はない。
ただ、今はまだその時ではないと誰かに言い聞かせられるように、ソレは眠っていた。
静かに。
無音という静寂の中を。
静謐な闇の中をたゆたうように。
ソレはさながら胎児のようなものだった。
ソレは胎児のような存在であるがゆえに、この世に再び生まれ落ちるその時を待っている。
胎動は静かに、しかし力強く、ソレが生きた存在であることを証明している。
人間の声が遠ざかり、ソレは再びまぶたを閉ざす。
907 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:52:04.36 0
* * *
東京都千代田区霞ヶ関、警視庁。
廊下の窓から外を窺うと、あたりはすっかり夜の闇に沈んでいる。
田中れいなと紺野あさ美は、ヴァリアントの群を排除したその足で本庁へと戻ってきていた。
れいなはパワードスーツ装着用の黒いボディスーツ、あさ美はいつも通りに白衣を纏っている。
庁内のどの廊下を歩いても好奇の視線を集める異様な格好ではあるが、
そんなことを気に留めている場合でもない。
情報自体は届いているだろうが、現場に居合わせた人間として
先の異常事態の詳細を直接上司に報告する義務がある。
二人はある一室の前で足を止め、申し訳程度に居住いを正してから、扉をノックした。
「田中れいな巡査、紺野あさ美警部、両名戻りました」
「おう、入りぃ」
粗雑な関西弁に応じて足を踏み入れたのは、とあるキャリアの執務室である。
お偉いさんの執務室と聞いて、れいななどは最初に来たとき絢爛豪華な応接室を想像したものだが、
実態はその真逆と評して差し支えない。
広さは一応はそこそこあるものの、部屋の両脇に鎮座する巨大な本棚のおかげで窮屈さすら覚える。
本棚の中身も法学や政治学関連のハードカバーが数冊あるだけで、
残りはすべて味気ない事件のファイルの背表紙がのぞくばかりだ。
床は毛足の長い絨毯などではなく、リノリウム剥き出しの無愛想さ。
部屋の最奥には執務室らしく大きなデスクがあるが、
これも積み上げられた書類やファイル、PCのディスプレイがひしめき合い、座っている人間の顔も窺えない有様だった。
「お疲れさん。ま、ひとまず腰掛けぇや」
絶妙なバランスで林立するファイルの隙間から部屋の主の瞳がのぞき、
れいなとあさ美は言われるまま、申し訳程度に部屋の中央へ据えられた応接用のソファーに腰を下ろす。
* * *
東京都千代田区霞ヶ関、警視庁。
廊下の窓から外を窺うと、あたりはすっかり夜の闇に沈んでいる。
田中れいなと紺野あさ美は、ヴァリアントの群を排除したその足で本庁へと戻ってきていた。
れいなはパワードスーツ装着用の黒いボディスーツ、あさ美はいつも通りに白衣を纏っている。
庁内のどの廊下を歩いても好奇の視線を集める異様な格好ではあるが、
そんなことを気に留めている場合でもない。
情報自体は届いているだろうが、現場に居合わせた人間として
先の異常事態の詳細を直接上司に報告する義務がある。
二人はある一室の前で足を止め、申し訳程度に居住いを正してから、扉をノックした。
「田中れいな巡査、紺野あさ美警部、両名戻りました」
「おう、入りぃ」
粗雑な関西弁に応じて足を踏み入れたのは、とあるキャリアの執務室である。
お偉いさんの執務室と聞いて、れいななどは最初に来たとき絢爛豪華な応接室を想像したものだが、
実態はその真逆と評して差し支えない。
広さは一応はそこそこあるものの、部屋の両脇に鎮座する巨大な本棚のおかげで窮屈さすら覚える。
本棚の中身も法学や政治学関連のハードカバーが数冊あるだけで、
残りはすべて味気ない事件のファイルの背表紙がのぞくばかりだ。
床は毛足の長い絨毯などではなく、リノリウム剥き出しの無愛想さ。
部屋の最奥には執務室らしく大きなデスクがあるが、
これも積み上げられた書類やファイル、PCのディスプレイがひしめき合い、座っている人間の顔も窺えない有様だった。
「お疲れさん。ま、ひとまず腰掛けぇや」
絶妙なバランスで林立するファイルの隙間から部屋の主の瞳がのぞき、
れいなとあさ美は言われるまま、申し訳程度に部屋の中央へ据えられた応接用のソファーに腰を下ろす。
908 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:53:42.84 0
しばらくカタカタとキーボードを操作する音が続き、それが止んだところでようやく部屋の主が腰を上げた。
階級上、本来なら二人も立ち上がって敬礼のひとつでもすべき相手だが、
本人がそういう堅苦しい官僚主義を嫌うので目礼で済ませる。
「で、いよいよ敵が尻尾出したってとこか?」
ド派手な金髪に真紅のスーツ。
スーツのスカートからは豹柄のタイツが脚線に沿って伸びている。
口の端にはタバコをくわえ、第一印象は良くて場末のスナックのママ、悪ければヤクザ屋さんの関係者。
中澤裕子警視。
その実は東大法学部出身、
若くしてヴァリアント関連事案対策本部の管理官に任じられた一流のキャリアである。
「かつてないヴァリアントの同時出現数。意思を持ったかのように統率された動き。
地下共同溝をヴァリアントが通った痕跡も見つけられましたし、間違いないでしょうね」
「状況的には明らかに何者かがヴァリアントを操っていた、と。
記録も取れたし、またひとつ連中の目論見を潰すのに成功したわけやな」
二人の向かいのソファーに腰掛けた中澤の問いにあさ美がすらすらと自身の見解を述べ、中澤もそれに応じる。
が、れいなには二人が何を言っているのかさっぱりわからない。
「ちょ、ちょっと待ってください。話が見えないんですけど……?」
「ん? ああ、すまんすまん。田中にはまだ話してないんやったな」
そこで中澤は新しくタバコをくわえ直すと、ジッポのライターを軽快に操作して火をつけ、ひときわ大きく紫煙をくゆらせた。
「ええか、こっから先は知らん方がええって場合もある。
つまり、知れば多かれ少なかれ身に危険が及ぶ事態が想定されるってことや。
ついでに心理的ショックも大きいやろうな。
それでも聞く覚悟はあるか?」
階級上、本来なら二人も立ち上がって敬礼のひとつでもすべき相手だが、
本人がそういう堅苦しい官僚主義を嫌うので目礼で済ませる。
「で、いよいよ敵が尻尾出したってとこか?」
ド派手な金髪に真紅のスーツ。
スーツのスカートからは豹柄のタイツが脚線に沿って伸びている。
口の端にはタバコをくわえ、第一印象は良くて場末のスナックのママ、悪ければヤクザ屋さんの関係者。
中澤裕子警視。
その実は東大法学部出身、
若くしてヴァリアント関連事案対策本部の管理官に任じられた一流のキャリアである。
「かつてないヴァリアントの同時出現数。意思を持ったかのように統率された動き。
地下共同溝をヴァリアントが通った痕跡も見つけられましたし、間違いないでしょうね」
「状況的には明らかに何者かがヴァリアントを操っていた、と。
記録も取れたし、またひとつ連中の目論見を潰すのに成功したわけやな」
二人の向かいのソファーに腰掛けた中澤の問いにあさ美がすらすらと自身の見解を述べ、中澤もそれに応じる。
が、れいなには二人が何を言っているのかさっぱりわからない。
「ちょ、ちょっと待ってください。話が見えないんですけど……?」
「ん? ああ、すまんすまん。田中にはまだ話してないんやったな」
そこで中澤は新しくタバコをくわえ直すと、ジッポのライターを軽快に操作して火をつけ、ひときわ大きく紫煙をくゆらせた。
「ええか、こっから先は知らん方がええって場合もある。
つまり、知れば多かれ少なかれ身に危険が及ぶ事態が想定されるってことや。
ついでに心理的ショックも大きいやろうな。
それでも聞く覚悟はあるか?」
909 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:54:49.05 0
それ以前に、れいなの覚悟を中澤は知っている。
その意思をこめた瞳で見つめ返すと、中澤は苦笑を漏らした。
「すまん、愚問やったな。紺野」
中澤の指示で、あさ美が常に携帯しているノートPCのキーボードを操作した。
隣に座るれいなからも液晶が見える。
なにやら複数の認証画面にパスを打ち込み、静脈認証まで行っている様子だ。
『静脈認証終了。アクセス者を紺野あさ美警部本人と確認。内部資料の閲覧を許可』
PCからアルエの声が聞こえてくる。
どうやら警視庁地下にあるスーパーコンピュータ、つまりアルエの本体と繋がっているらしい。
アルエに守らせているということは、それだけ重要な極秘資料がそこに眠っていることを同時に意味する。
そうしてPCの液晶に現れたのは、複数のグラフと、画素は粗いがどこかの研究室の映像だった。
映像からは忙しくなく室内を動く白衣姿の人間達と、淡い緑色の光を放つ円柱型の水槽のようなものが確認できる。
巨大な水槽は室内に複数存在し、中で何かの影が蠢いているようだが、それが何なのかまでは判然としない。
「これは?」
「グラフの方はとある統計。映像はこっちの依頼で道重が持ってきたもんや」
道重さゆみ。
れいなが知る限り最も隠密行動に長けた情報屋。
彼女への依頼報酬は莫大だ。
つまり、この映像には警察庁の予算からそれだけの金額を支払ってまで得るべき価値があるということ。
沈黙で続きを促すと、中澤はその詳細を話し始めた。
「ヴァリアントは超能力者が突然変異した存在である。
風の噂程度でも、この話は聞いたことあるな?」
「え、ええ。何度かは」
「一応はどっか海外の学者が唱えた学説や。その根拠はなんやと思う」
「……ヴァリアントが、どの個体も超能力を保有しているから、ですか?」
その意思をこめた瞳で見つめ返すと、中澤は苦笑を漏らした。
「すまん、愚問やったな。紺野」
中澤の指示で、あさ美が常に携帯しているノートPCのキーボードを操作した。
隣に座るれいなからも液晶が見える。
なにやら複数の認証画面にパスを打ち込み、静脈認証まで行っている様子だ。
『静脈認証終了。アクセス者を紺野あさ美警部本人と確認。内部資料の閲覧を許可』
PCからアルエの声が聞こえてくる。
どうやら警視庁地下にあるスーパーコンピュータ、つまりアルエの本体と繋がっているらしい。
アルエに守らせているということは、それだけ重要な極秘資料がそこに眠っていることを同時に意味する。
そうしてPCの液晶に現れたのは、複数のグラフと、画素は粗いがどこかの研究室の映像だった。
映像からは忙しくなく室内を動く白衣姿の人間達と、淡い緑色の光を放つ円柱型の水槽のようなものが確認できる。
巨大な水槽は室内に複数存在し、中で何かの影が蠢いているようだが、それが何なのかまでは判然としない。
「これは?」
「グラフの方はとある統計。映像はこっちの依頼で道重が持ってきたもんや」
道重さゆみ。
れいなが知る限り最も隠密行動に長けた情報屋。
彼女への依頼報酬は莫大だ。
つまり、この映像には警察庁の予算からそれだけの金額を支払ってまで得るべき価値があるということ。
沈黙で続きを促すと、中澤はその詳細を話し始めた。
「ヴァリアントは超能力者が突然変異した存在である。
風の噂程度でも、この話は聞いたことあるな?」
「え、ええ。何度かは」
「一応はどっか海外の学者が唱えた学説や。その根拠はなんやと思う」
「……ヴァリアントが、どの個体も超能力を保有しているから、ですか?」
910 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:55:49.51 0
れいながこれまでに直接ヴァリアントの殲滅を行った回数は今日を含めて十。
能力殺しの前にはどんな能力も無に帰すのであまり気には留めていなかったが、
確かに連中は"障壁"を含め、それぞれが多種多様な超能力を保有していた。
「そや。しかし一般的にこの学説は学会じゃ根拠薄弱として否定されとる。その理由は?」
「え、と。……いえ、思いあたりません」
「ヴァリアントは唐突に出現する。今は予知能力者を使って出現を事前に察知し、
先んじて避難誘導するってシステムが稼動してるから無理もないけど、
それにしたってこれまで街中で人間がヴァリアントに変貌したなんて目撃証言がただのひとつも存在しない。
ええか、ヴァリアント出現当初から含めて、国内外問わずひとつもや。
もちろん、目撃証言自体はいくらかあるが、ひとつひとつ吟味すればどれも狂言、デマの類やな」
「じゃあ、その説はやっぱり根拠薄弱ってことになるんじゃ」
「それがそうとも言い切れないんだよね」
割って入ったあさ美が、PC上に表示されたグラフをれいなに示す。
グラフはヴァリアント出現件数を示したもので、種類も年代、国家、地域別と様々だ。
れいなは、その中にまぎれた不穏な記述を見つけて息を呑んだ。
「超能力者の行方不明、死亡、事故件数……?」
これらもやはり年代や国、地域といった基準でそれぞれにグラフが表示されていた。
「あくまでも客観的な分析だってことを前置いておくね。
この超能力者の死亡事例の中には真偽が怪しいものも多いんだ。
なにしろ死亡者の中には世界中の大量のヴァリアントハンターも含まれるから。
誰かがその気になれば、死体の偽装だって簡単だよ。
国によっては公式の記録が非開示なところもあるから割り出しは難しかったけど、
人口比率っていうマクロな視点、加えてそれぞれの行方不明、死亡事案っていうミクロな視点の両方を使って
調べてみると、興味深いデータが浮かび上がってきた」
能力殺しの前にはどんな能力も無に帰すのであまり気には留めていなかったが、
確かに連中は"障壁"を含め、それぞれが多種多様な超能力を保有していた。
「そや。しかし一般的にこの学説は学会じゃ根拠薄弱として否定されとる。その理由は?」
「え、と。……いえ、思いあたりません」
「ヴァリアントは唐突に出現する。今は予知能力者を使って出現を事前に察知し、
先んじて避難誘導するってシステムが稼動してるから無理もないけど、
それにしたってこれまで街中で人間がヴァリアントに変貌したなんて目撃証言がただのひとつも存在しない。
ええか、ヴァリアント出現当初から含めて、国内外問わずひとつもや。
もちろん、目撃証言自体はいくらかあるが、ひとつひとつ吟味すればどれも狂言、デマの類やな」
「じゃあ、その説はやっぱり根拠薄弱ってことになるんじゃ」
「それがそうとも言い切れないんだよね」
割って入ったあさ美が、PC上に表示されたグラフをれいなに示す。
グラフはヴァリアント出現件数を示したもので、種類も年代、国家、地域別と様々だ。
れいなは、その中にまぎれた不穏な記述を見つけて息を呑んだ。
「超能力者の行方不明、死亡、事故件数……?」
これらもやはり年代や国、地域といった基準でそれぞれにグラフが表示されていた。
「あくまでも客観的な分析だってことを前置いておくね。
この超能力者の死亡事例の中には真偽が怪しいものも多いんだ。
なにしろ死亡者の中には世界中の大量のヴァリアントハンターも含まれるから。
誰かがその気になれば、死体の偽装だって簡単だよ。
国によっては公式の記録が非開示なところもあるから割り出しは難しかったけど、
人口比率っていうマクロな視点、加えてそれぞれの行方不明、死亡事案っていうミクロな視点の両方を使って
調べてみると、興味深いデータが浮かび上がってきた」
911 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:56:56.93 0
紺野あさ美の言う"興味深い"に穏当な物事が絡んだ記憶はない。
知らず、れいなは再び息を呑んだ。
「ヴァリアントの出現場所が世界をまたにかけてるからね、それだけでもかなり混乱させられたよ。
けどじっくり検証を重ねていくと――」
「紺野、まわりくどいんは悪い癖や」
「あ、すいません。まあ単刀直入にいっちゃうとね、
この"いなくなった超能力者"の数と"出現したヴァリアント"の数。
もちろん多少の誤差はあるけどこれ――おおよそ一致しちゃうんだよね」
れいなは軽い目眩を覚えた。
その数値が一致するということはつまり、そのまま先の学説の裏づけになる。
れいなはこれまでヴァリアントを単なる"怪物"、あるいは人類の"敵"として殲滅してきた。
無論、この程度のことでれいなの信念が揺らぐことはない。
しかし確かに中澤の言う通り、いくらかの心理的ショックは隠せなかった。
先の学説が正しいのなられいなはこれまで、――"元人間"をその手にかけてきたことになるのだから。
「流石に動揺してるとこ悪いが、話はまだ終わっとらん。
さっき言った通り、街中で超能力者がヴァリアントに変容する姿を見た者はおらん。
にも関わらず、連中は現れる。唐突に。あまりにも突然にな」
「加えて、どう考えても何かの隠蔽工作としか思えない事案の数々。
ここから導き出される結論はひとつ」
知らず、れいなは再び息を呑んだ。
「ヴァリアントの出現場所が世界をまたにかけてるからね、それだけでもかなり混乱させられたよ。
けどじっくり検証を重ねていくと――」
「紺野、まわりくどいんは悪い癖や」
「あ、すいません。まあ単刀直入にいっちゃうとね、
この"いなくなった超能力者"の数と"出現したヴァリアント"の数。
もちろん多少の誤差はあるけどこれ――おおよそ一致しちゃうんだよね」
れいなは軽い目眩を覚えた。
その数値が一致するということはつまり、そのまま先の学説の裏づけになる。
れいなはこれまでヴァリアントを単なる"怪物"、あるいは人類の"敵"として殲滅してきた。
無論、この程度のことでれいなの信念が揺らぐことはない。
しかし確かに中澤の言う通り、いくらかの心理的ショックは隠せなかった。
先の学説が正しいのなられいなはこれまで、――"元人間"をその手にかけてきたことになるのだから。
「流石に動揺してるとこ悪いが、話はまだ終わっとらん。
さっき言った通り、街中で超能力者がヴァリアントに変容する姿を見た者はおらん。
にも関わらず、連中は現れる。唐突に。あまりにも突然にな」
「加えて、どう考えても何かの隠蔽工作としか思えない事案の数々。
ここから導き出される結論はひとつ」
912 : ヴァリアントハンター外伝[] 投稿日:2009/07/31(金) 22:57:46.81 0
二人に見つめられ、れいなの背筋を冷たい汗が流れる。
ここまでの話と、先に見た映像。
想像は容易にその結論に繋がっていく。
「……ヴァリアントは、誰かが人為的に造り出している」
沈黙が室内を支配する。
その沈黙は、れいなの想像を肯定するものだった。
気づけば、中澤が指に挟んだタバコがじりじりと長い灰になっている。
灰はやがて自重に耐え切れず床に落ちた。
まだ微かな火種を残して燻る灰は、今すぐ燃え上がり焔となって襲いかかってくるような錯覚をれいなに与えた。
ここまでの話と、先に見た映像。
想像は容易にその結論に繋がっていく。
「……ヴァリアントは、誰かが人為的に造り出している」
沈黙が室内を支配する。
その沈黙は、れいなの想像を肯定するものだった。
気づけば、中澤が指に挟んだタバコがじりじりと長い灰になっている。
灰はやがて自重に耐え切れず床に落ちた。
まだ微かな火種を残して燻る灰は、今すぐ燃え上がり焔となって襲いかかってくるような錯覚をれいなに与えた。
913 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/31(金) 23:01:13.19 0
>>906-912
今回は以上です。
一レス目にタイトル入れ忘れたorz
しかし相変わらず漢字ばっかで読みにくい文章ですね。
もうちょっと平易な文体で、
すらすらと読者様の頭に入っていくような文章を書きたいものです。
それでは本日はこれにて。お目汚し失礼致しました。
今回は以上です。
一レス目にタイトル入れ忘れたorz
しかし相変わらず漢字ばっかで読みにくい文章ですね。
もうちょっと平易な文体で、
すらすらと読者様の頭に入っていくような文章を書きたいものです。
それでは本日はこれにて。お目汚し失礼致しました。
914 : 共鳴者作者[] 投稿日:2009/07/31(金) 23:06:24.69 0
915 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 00:08:14.32 O
ドンマイですwいやあ続きがとても気になりますねえ
916 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 00:25:11.45 O
917 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 00:53:49.61 0
918 : 【大吉】 de サボティ∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/08/01(土) 01:42:00.80 0
8月になりましたな
そしてこのカキコは920前後です
スレの完走までもうすぐ、ということでテンプレアイディアをぜひしたらばへ
(上でもちょっと話に出てたけど)
980くらいまで加速→真夜中に失速して新スレどうしたらいいのやら という前スレ終盤の微妙な事態の再来は避けたいw
そしてこのカキコは920前後です
スレの完走までもうすぐ、ということでテンプレアイディアをぜひしたらばへ
(上でもちょっと話に出てたけど)
980くらいまで加速→真夜中に失速して新スレどうしたらいいのやら という前スレ終盤の微妙な事態の再来は避けたいw
919 : 【大吉】 [] 投稿日:2009/08/01(土) 01:53:03.53 O
今月のリゾナンターの運勢はどうだっ!
920 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 03:28:24.79 0
深夜のホゼナンター参上!
○/
.<コ
八
○/
.<コ
八
921 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:28:07.59 O
かなり間が空いて超久々なんですが保全変わりに[ORE](27)の続き投下します。
お暇な時にでも読んでやって下さい。
お暇な時にでも読んでやって下さい。
922 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:30:38.26 O
「…もうあのコ達には近づかないことね…。でないと皆、死ぬわよ…。」
出た、また出たよこの女のインチキ予言が…。
此奴、二言目には死ぬわよとか不吉な事ばかり言いやがって馬鹿じゃねぇ?
…と、昼間の俺ならインチキ女の“お告げ”に失笑していただろう。
だがリゾナンターの恐ろしさをまざまざと見せつけられた今となっては悔しいがインチキ女に同意せざるを得まい…。
そう、俺の本能が告げている。“リゾナンターには絶対に手をだすな”と。
「近付くな、か…。おもしれー。かおりんにそんな事言われたらさ、益々戦いたくなってきたぜ。」
「大体ダークネスがあんな子供の集団に負けっぱなしで引き下がれるかっての。オイラの手で全員血祭りにあげないと絶対に気がすまないし。」
…多分、身長的にはお前の方が子供だと思うんだがな…。
そんなチビへのツッコミは俺の胸の内に仕舞っておこう。口に出したら今度こそ殺されるし。
しかし、本当に血の気の多い二人だな。今回ばかりはインチキ女に素直に従っていた方がお前らの身の為にもなるってのに。
「待ちなさい、二人とも。」
そんな俺の思考が伝わったのだろうか、俺の隣の席の『天使』が二人を諭す。
「貴方達、圭織の言葉が聞こえなかったの?これ以上あのコ達と関わると今まで以上に無駄な犠牲者が沢山出るのよ。そんな事私は見過ごせないわ。」
先程までニコニコ笑っていた『天使』とは思えない程のシリアスな面持ち。
好戦的なあの二人とは対照的に『天使』は争い事は好まない性格なのだろうか。
「ちょっと待ってよ。まさか、なっちまでアイツらにビ…」
ビビってるんじゃ…。きっとチビはそう言いかけたのだろう。
だが、チビが言いかけたその言葉は次の瞬間『天使』から発せられた圧倒的な威圧感によって飲み込まれてしまった。
出た、また出たよこの女のインチキ予言が…。
此奴、二言目には死ぬわよとか不吉な事ばかり言いやがって馬鹿じゃねぇ?
…と、昼間の俺ならインチキ女の“お告げ”に失笑していただろう。
だがリゾナンターの恐ろしさをまざまざと見せつけられた今となっては悔しいがインチキ女に同意せざるを得まい…。
そう、俺の本能が告げている。“リゾナンターには絶対に手をだすな”と。
「近付くな、か…。おもしれー。かおりんにそんな事言われたらさ、益々戦いたくなってきたぜ。」
「大体ダークネスがあんな子供の集団に負けっぱなしで引き下がれるかっての。オイラの手で全員血祭りにあげないと絶対に気がすまないし。」
…多分、身長的にはお前の方が子供だと思うんだがな…。
そんなチビへのツッコミは俺の胸の内に仕舞っておこう。口に出したら今度こそ殺されるし。
しかし、本当に血の気の多い二人だな。今回ばかりはインチキ女に素直に従っていた方がお前らの身の為にもなるってのに。
「待ちなさい、二人とも。」
そんな俺の思考が伝わったのだろうか、俺の隣の席の『天使』が二人を諭す。
「貴方達、圭織の言葉が聞こえなかったの?これ以上あのコ達と関わると今まで以上に無駄な犠牲者が沢山出るのよ。そんな事私は見過ごせないわ。」
先程までニコニコ笑っていた『天使』とは思えない程のシリアスな面持ち。
好戦的なあの二人とは対照的に『天使』は争い事は好まない性格なのだろうか。
「ちょっと待ってよ。まさか、なっちまでアイツらにビ…」
ビビってるんじゃ…。きっとチビはそう言いかけたのだろう。
だが、チビが言いかけたその言葉は次の瞬間『天使』から発せられた圧倒的な威圧感によって飲み込まれてしまった。
923 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:33:38.02 O
そして『天使』は立ち上がり、この日一番の大きな声を室内に響き渡らせた。
「みんな、よく聞いて。ダークネス最高幹部安倍なつみが貴方達全員に厳命します。今後一切、リゾナンターと接触する事を禁止とします。この命令を違えた者は厳罰に処します!」
『天使』の言葉に沈黙する室内。
あれ程血気盛んだったイケメン女もチビも納得した表情こそしていないものの、『天使』の命令には従わざるを得ない様子だ。
無理もない。この『天使』が醸し出す圧倒的なオーラを目のあたりにして彼女に物言える人間など皆無であろう。
「残念だったわね。なっちにここまで言われたらリゾナンターの事は諦めるしかないわね。今日の会議はこれで終了でいいかしら?マルシェ。」
聖母が帰り支度を始めている。リゾナンター対策が本日の議題だ。
『天使』からあの“お達し”があった以上もう議論の余地はないだろう。
嗚呼、今度こそ俺の長い一日が終わりそうだ…。
「待って下さいよ。申し訳ありませんが安倍さんのその命令に従う訳にはいきませんね。」
やっとこの場から解放される…。そんな俺の淡い願望は『天使』の威光にも屈しない一人の女の発言によって、再び打ち砕かれた。
「ハハ、安倍さんに逆らうなんてマルシェはロックだなぁ。」
異様なムードを察してか、イケメン女が茶化すように間に割って入るが、どうやら張り詰めたこの重い空気を変えるまでには至らなかったようだ。
「リゾナンターは我がダークネスの強力な戦力になる逸材ばかりです。そんな一級品を目の前にして黙って見過ごすなんて私には出来ませんね。」
「あなたの私的な欲求の為に組織の兵士を犠牲になんて出来ないわ。」
「心外ですね。私は常に組織の利となる提案以外しませんよ?」
ヤバい、ヤバいよ…。『天使』の顔付きが明らかに変わっているぞ…。
「みんな、よく聞いて。ダークネス最高幹部安倍なつみが貴方達全員に厳命します。今後一切、リゾナンターと接触する事を禁止とします。この命令を違えた者は厳罰に処します!」
『天使』の言葉に沈黙する室内。
あれ程血気盛んだったイケメン女もチビも納得した表情こそしていないものの、『天使』の命令には従わざるを得ない様子だ。
無理もない。この『天使』が醸し出す圧倒的なオーラを目のあたりにして彼女に物言える人間など皆無であろう。
「残念だったわね。なっちにここまで言われたらリゾナンターの事は諦めるしかないわね。今日の会議はこれで終了でいいかしら?マルシェ。」
聖母が帰り支度を始めている。リゾナンター対策が本日の議題だ。
『天使』からあの“お達し”があった以上もう議論の余地はないだろう。
嗚呼、今度こそ俺の長い一日が終わりそうだ…。
「待って下さいよ。申し訳ありませんが安倍さんのその命令に従う訳にはいきませんね。」
やっとこの場から解放される…。そんな俺の淡い願望は『天使』の威光にも屈しない一人の女の発言によって、再び打ち砕かれた。
「ハハ、安倍さんに逆らうなんてマルシェはロックだなぁ。」
異様なムードを察してか、イケメン女が茶化すように間に割って入るが、どうやら張り詰めたこの重い空気を変えるまでには至らなかったようだ。
「リゾナンターは我がダークネスの強力な戦力になる逸材ばかりです。そんな一級品を目の前にして黙って見過ごすなんて私には出来ませんね。」
「あなたの私的な欲求の為に組織の兵士を犠牲になんて出来ないわ。」
「心外ですね。私は常に組織の利となる提案以外しませんよ?」
ヤバい、ヤバいよ…。『天使』の顔付きが明らかに変わっているぞ…。
924 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:35:12.91 O
先程チビが俺を殺そうとした時より数倍恐ろしい視線を白衣の女に向けている。
だが、『天使』をそんな形相にさせた張本人は、全く臆することなく相変わらずニコニコした表情で呑気にお茶を啜っているではないか。
「もう一度だけ言うわ。リゾナンターと接触する事は私が絶対に許しません。」
「すいません。安倍さんのお言葉と言えども今回ばかりは従えませんねぇ。」
あの女、一体何を考えているんだ?ダークネスの研究員は全員非戦闘員の筈。
どんな強力な能力者でも平伏すだろう『天使』に逆らうなんて、正気の沙汰とは思えない。
いや、それ以前にこの組織では上官の命令は絶対だ。逆らえば即刻粛清の対象になる事はあの女も重々承知している筈なのに…。
「マズいってマルシェ…。今のうちに謝ったほうがいいよ。」
チビもこの緊迫感に耐え切れないのか、白衣の女に『天使』への謝罪を促す。
するとチビの蚊の鳴くような声に応えるかの如く白衣の女は一つ息を吐き、こう切り出した。
「実は内密にしていたのですが、リゾナンター捕獲計画はもう始まっています。既に『救世主G』には彼女達の勧誘に向かって貰いました。」
白衣の女から突然飛び出した“爆弾発言”に会議室内は騒然となった。
先程まで鬼のような形相をしていた『天使』も驚きの表情を隠せない様子だ。
そんな中、聖母がある一つの重大な事実に気付く。
「ちょっと待って。『G』が動いたという事はつまりそれって…。」
「何だそれ。マルシェの計画にボスが加担してるって事じゃねぇか!」
…そうだ。そういえば俺も噂で聞いたことがある。
『救世主G』の戦闘能力は余りに強力すぎて危険な為、出撃の際には必ずボスの“認可”が必要なのだと…。
だが、『天使』をそんな形相にさせた張本人は、全く臆することなく相変わらずニコニコした表情で呑気にお茶を啜っているではないか。
「もう一度だけ言うわ。リゾナンターと接触する事は私が絶対に許しません。」
「すいません。安倍さんのお言葉と言えども今回ばかりは従えませんねぇ。」
あの女、一体何を考えているんだ?ダークネスの研究員は全員非戦闘員の筈。
どんな強力な能力者でも平伏すだろう『天使』に逆らうなんて、正気の沙汰とは思えない。
いや、それ以前にこの組織では上官の命令は絶対だ。逆らえば即刻粛清の対象になる事はあの女も重々承知している筈なのに…。
「マズいってマルシェ…。今のうちに謝ったほうがいいよ。」
チビもこの緊迫感に耐え切れないのか、白衣の女に『天使』への謝罪を促す。
するとチビの蚊の鳴くような声に応えるかの如く白衣の女は一つ息を吐き、こう切り出した。
「実は内密にしていたのですが、リゾナンター捕獲計画はもう始まっています。既に『救世主G』には彼女達の勧誘に向かって貰いました。」
白衣の女から突然飛び出した“爆弾発言”に会議室内は騒然となった。
先程まで鬼のような形相をしていた『天使』も驚きの表情を隠せない様子だ。
そんな中、聖母がある一つの重大な事実に気付く。
「ちょっと待って。『G』が動いたという事はつまりそれって…。」
「何だそれ。マルシェの計画にボスが加担してるって事じゃねぇか!」
…そうだ。そういえば俺も噂で聞いたことがある。
『救世主G』の戦闘能力は余りに強力すぎて危険な為、出撃の際には必ずボスの“認可”が必要なのだと…。
925 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:36:36.52 O
相変わらず抜け目がない女だな。いつの間にボスにそんな話つけたんだ?」
怒りとも呆れとも取れるイケメン女の言葉に満足そうに白衣の女は微笑んだ。
「先日、偶然ボスとお会いできる機会がありましてね。この計画の話をしたら、二つ返事で承諾して頂けましたよ。『面白そうやん、アンタの好きにしたらええ。』ってね。」
成る程、この女が『天使』に対してここまで強気な理由が漸く分かった。
そりゃそうだ。『天使』と互角の力を持つ『G』、更にはダークネスの頂点に君臨するボスまで味方につけているんだから。
「ボスからの命令書も預かっています。今からボスのお言葉として代わりに読ませて頂きますので、皆さん心して聞いて下さいね。」
白衣の女が内ポケットからボスからの命令書を取り出すと、幹部全員が起立し、敬礼した。
チビも、イケメン女も、聖母も、そして『天使』までも…。
慌てて俺も立ち上がり頭を下げると、白衣の女は声高々と文を読み上げた。
「ダークネス総帥・中澤裕子が皆に厳命する。必ずリゾナンター全員を我が軍門に迎え入れよ。任務に失敗した者、更には我の意に反する者は厳罰に処する。」
怒りとも呆れとも取れるイケメン女の言葉に満足そうに白衣の女は微笑んだ。
「先日、偶然ボスとお会いできる機会がありましてね。この計画の話をしたら、二つ返事で承諾して頂けましたよ。『面白そうやん、アンタの好きにしたらええ。』ってね。」
成る程、この女が『天使』に対してここまで強気な理由が漸く分かった。
そりゃそうだ。『天使』と互角の力を持つ『G』、更にはダークネスの頂点に君臨するボスまで味方につけているんだから。
「ボスからの命令書も預かっています。今からボスのお言葉として代わりに読ませて頂きますので、皆さん心して聞いて下さいね。」
白衣の女が内ポケットからボスからの命令書を取り出すと、幹部全員が起立し、敬礼した。
チビも、イケメン女も、聖母も、そして『天使』までも…。
慌てて俺も立ち上がり頭を下げると、白衣の女は声高々と文を読み上げた。
「ダークネス総帥・中澤裕子が皆に厳命する。必ずリゾナンター全員を我が軍門に迎え入れよ。任務に失敗した者、更には我の意に反する者は厳罰に処する。」
926 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 04:42:40.38 O
927 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 07:09:01.09 0
相変わらず良い味出してるなあ
続き待ってますね
続き待ってますね
928 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 07:45:53.44 O
929 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 08:02:23.66 O
930 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 10:31:23.61 0
とりあえずホゼナント
931 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 12:03:50.94 0
932 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 14:01:26.93 0
今日は過ごしやすいね
933 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 14:05:22.63 0
934 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 14:34:49.76 0
この週末で1000いくかな
935 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 15:32:55.17 0
できれば今スレ中に上げたい話がありますので夕方頃にお時間と数レスをいただきたいです
936 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 16:05:36.98 0
楽しみですね
待ってます
待ってます
937 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 16:45:13.79 0
したらばの方にテンプレの候補も挙げてった方がいいかな
938 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:19:20.48 0
傷つき倒れた野良猫一匹、身体は泥と血で汚れても瞳の光は失われていない。
「何故抗うの?」
「お前らが! お前らみたいな奴らが人の暮らしを平気で踏みつけようからや!!」
「勝てないことが判ってるのに戦うつもり?」
「そんなん、やってみんとわからんちゃ」
野良猫の前には女が一人。 取り立てて目立つところがないのが女の特長だというのは失礼か。
「いいこと、田中れいな。 あなたは高橋愛に利用されてる、新垣里沙に騙されているのよ。
i914という生体兵器として、この世に生を受けた高橋愛。
任務を忘れて組織を裏切った新垣里沙。
この二人に巻き添えにされているだけ。
あの二人に関わらなければ、
あなたやあなたの友人の亀井絵里、道重さゆみは戦いに巻き込まることも、傷つくことも無かった。
あなたたち三人があの二人の運命に付き合うことはない。
今からでも遅くはないわわ、私たちの軍門に下りなさい。
私たちのリーダーは寛大な人よ。
あなたが過ちを認めて私たちの組織に忠誠を誓うなら、
あなたのことを幹部として迎え入れる用意がある。 これは破格の待遇よ。」
野良猫が首をもたげた。
「 幹部かぁ。 ヒーローの出てくるドラマの悪の組織の女幹部みたいのに憧れとった。
なってみたいとずっと思ってた。
やれるもんならやってみたい…
でも幹部なんかよりも、もっとなりたいと思うものがある。 それは、リゾナンターのリーダー」
「何故抗うの?」
「お前らが! お前らみたいな奴らが人の暮らしを平気で踏みつけようからや!!」
「勝てないことが判ってるのに戦うつもり?」
「そんなん、やってみんとわからんちゃ」
野良猫の前には女が一人。 取り立てて目立つところがないのが女の特長だというのは失礼か。
「いいこと、田中れいな。 あなたは高橋愛に利用されてる、新垣里沙に騙されているのよ。
i914という生体兵器として、この世に生を受けた高橋愛。
任務を忘れて組織を裏切った新垣里沙。
この二人に巻き添えにされているだけ。
あの二人に関わらなければ、
あなたやあなたの友人の亀井絵里、道重さゆみは戦いに巻き込まることも、傷つくことも無かった。
あなたたち三人があの二人の運命に付き合うことはない。
今からでも遅くはないわわ、私たちの軍門に下りなさい。
私たちのリーダーは寛大な人よ。
あなたが過ちを認めて私たちの組織に忠誠を誓うなら、
あなたのことを幹部として迎え入れる用意がある。 これは破格の待遇よ。」
野良猫が首をもたげた。
「 幹部かぁ。 ヒーローの出てくるドラマの悪の組織の女幹部みたいのに憧れとった。
なってみたいとずっと思ってた。
やれるもんならやってみたい…
でも幹部なんかよりも、もっとなりたいと思うものがある。 それは、リゾナンターのリーダー」
939 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:20:01.97 0
女の貌に冷たい笑みが走る。
「お笑い草ね。
無様に地面を這いつくばっている人間の言う台詞じゃない。
本来なら私にすがりついて命乞いをしてもおかしくない状況だというのに。
ひょっとして高橋や新垣のマインドコントロールの影響下にあるのかしら」
立ち上がろうとした野良猫が崩折れた。
「そんなんやない。
愛ちゃんもガキさんも関係ない。
れいなが愛ちゃんやガキさんと一緒に戦っとるんは、
巻き込まれたんでも、 利用されとるんでもない、
ましてや騙されたんでもない。 自分で選んだっちゃ。」
野良猫を見下ろす女の口が言葉を紡ぎ出す。
「聞き分けの無い子ね。
あなたの意気込みだけは認めてあげるわ。
根拠のない自信には何の意味もないってことを、
あなたの身体に思い知らせてあげたつもりだけど、全然足りなかったようね。
私の力の前には、あなたの共鳴増幅の力なんて何の役にも立たなかった」
「お笑い草ね。
無様に地面を這いつくばっている人間の言う台詞じゃない。
本来なら私にすがりついて命乞いをしてもおかしくない状況だというのに。
ひょっとして高橋や新垣のマインドコントロールの影響下にあるのかしら」
立ち上がろうとした野良猫が崩折れた。
「そんなんやない。
愛ちゃんもガキさんも関係ない。
れいなが愛ちゃんやガキさんと一緒に戦っとるんは、
巻き込まれたんでも、 利用されとるんでもない、
ましてや騙されたんでもない。 自分で選んだっちゃ。」
野良猫を見下ろす女の口が言葉を紡ぎ出す。
「聞き分けの無い子ね。
あなたの意気込みだけは認めてあげるわ。
根拠のない自信には何の意味もないってことを、
あなたの身体に思い知らせてあげたつもりだけど、全然足りなかったようね。
私の力の前には、あなたの共鳴増幅の力なんて何の役にも立たなかった」
940 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:20:43.21 0
「ふん、あんたの力はさっきので大体判った 」
口の中の赤いものを吐き出すと、野良猫はうそぶいた。
「一つ、あんたの力が時間を止めれるってこと」
「そうよ、時間操作が私の能力。 時の流れが止まった空間の中では誰もが無力。
まして、あなたのように私を直接攻撃できる能力を持たない者にとっては・・・ 」
「二つ、でもあんたはれいなの腕一本とアバラを二、三本折るぐらいの時間しか、止めれんかった」
「あなたを生きて連れてこいという指令があったから、それだけの傷で済ませてあげたのよ」
「三つ、あんたの拳はそれほど強くない。」
「だから、それはあなたを・・」
「わかる、れいなには わかるよ。 れいなは伊達にケンカばっかりしてたわけやない。
この身体に受けた傷で、感じる痛みであんたの拳がどれぐらい強いんか強くないんかがわかる」
「…だったらどうだというの?
確かに私とあなたが拳の力だけで雌雄を決したならば、私に勝ち目はない。
だが私はそんな愚かな真似はしない。
あなたの自慢の拳も、時間操作の能力を発動した私の前には無力だった。
身体能力をフルに発揮しても、あなたの拳は私に届かなかった。
その結果としてあなたはそこに無様に這っている。
腕を折られ、口から血を吐くぐらいのダメージを負って。
悪いことは言わないわ、降伏しなさい」
口の中の赤いものを吐き出すと、野良猫はうそぶいた。
「一つ、あんたの力が時間を止めれるってこと」
「そうよ、時間操作が私の能力。 時の流れが止まった空間の中では誰もが無力。
まして、あなたのように私を直接攻撃できる能力を持たない者にとっては・・・ 」
「二つ、でもあんたはれいなの腕一本とアバラを二、三本折るぐらいの時間しか、止めれんかった」
「あなたを生きて連れてこいという指令があったから、それだけの傷で済ませてあげたのよ」
「三つ、あんたの拳はそれほど強くない。」
「だから、それはあなたを・・」
「わかる、れいなには わかるよ。 れいなは伊達にケンカばっかりしてたわけやない。
この身体に受けた傷で、感じる痛みであんたの拳がどれぐらい強いんか強くないんかがわかる」
「…だったらどうだというの?
確かに私とあなたが拳の力だけで雌雄を決したならば、私に勝ち目はない。
だが私はそんな愚かな真似はしない。
あなたの自慢の拳も、時間操作の能力を発動した私の前には無力だった。
身体能力をフルに発揮しても、あなたの拳は私に届かなかった。
その結果としてあなたはそこに無様に這っている。
腕を折られ、口から血を吐くぐらいのダメージを負って。
悪いことは言わないわ、降伏しなさい」
941 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:21:24.67 0
「この服を見てみぃ。
皆で話し合って決めたリゾナンターの制服。
血と泥で汚れてしまっとるけど、この白いブラウス。
最初は愛ちゃんのだけが白かった。
愛ちゃんは皆を守るために、自分に敵の攻撃を引き付ける為にわざと目立つようにしたっちゃ。
愛ちゃんはおしゃべりは上手やないから、そんなことは絶対口にはせん。
でもれいなにはすぐわかった。
だかられいなのんも白いのにしてもらった。
愛ちゃんを一人にはさせん。
れいなは何があろうとも愛ちゃんの横で戦うと決めた。
この白い服はれいなの誓い。
この服に誓って、愛ちゃんのことは裏切らん。 」
「それがあなたの根拠というわけね。
でもそんな思いこみだけでは、乗り越えられない壁があることを思い知らせてあげる」
「壁を乗り越えるつもりなんてない。 ・・・ぶっ潰す。」
野良猫が立ち上がる、陽炎のようにゆらりと。
その瞳は…輝いていた、蒼く。
その輝きは野良猫の全身を覆い、その体から更なる蒼き輝きが発せられていた。
皆で話し合って決めたリゾナンターの制服。
血と泥で汚れてしまっとるけど、この白いブラウス。
最初は愛ちゃんのだけが白かった。
愛ちゃんは皆を守るために、自分に敵の攻撃を引き付ける為にわざと目立つようにしたっちゃ。
愛ちゃんはおしゃべりは上手やないから、そんなことは絶対口にはせん。
でもれいなにはすぐわかった。
だかられいなのんも白いのにしてもらった。
愛ちゃんを一人にはさせん。
れいなは何があろうとも愛ちゃんの横で戦うと決めた。
この白い服はれいなの誓い。
この服に誓って、愛ちゃんのことは裏切らん。 」
「それがあなたの根拠というわけね。
でもそんな思いこみだけでは、乗り越えられない壁があることを思い知らせてあげる」
「壁を乗り越えるつもりなんてない。 ・・・ぶっ潰す。」
野良猫が立ち上がる、陽炎のようにゆらりと。
その瞳は…輝いていた、蒼く。
その輝きは野良猫の全身を覆い、その体から更なる蒼き輝きが発せられていた。
942 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:22:07.63 0
「共鳴増幅で自分の身体能力を増進させて、一撃に賭けるつもりね。
確かに今のあなたにはそれしか無いわね。
どうやらあなたを生かして連れて来いっていう指令は果せそうに無いわね。
いいわ、来なさい。
さっきみたいな手加減は無しで相手してあげる。
あなたの屍は此処に討ち捨てておくことにするわ。
それがあなたみたいな野良猫の最期に相応しいわね」
そう言う女の体から闇色の光が放たれていた。
「あんたの名は?」
野良猫が吼える。
「そんなことを訊いてどうするの」
「あんたの墓石に彫っちゃる」
女は愉快気に笑った、そして言った。
「…K、アルファベットのK一文字でいいわ」
蒼色の光と闇色の光が交錯し、臨界点に達した。
時は止まり、やがて動き出した、蒼い輝きと共に。
確かに今のあなたにはそれしか無いわね。
どうやらあなたを生かして連れて来いっていう指令は果せそうに無いわね。
いいわ、来なさい。
さっきみたいな手加減は無しで相手してあげる。
あなたの屍は此処に討ち捨てておくことにするわ。
それがあなたみたいな野良猫の最期に相応しいわね」
そう言う女の体から闇色の光が放たれていた。
「あんたの名は?」
野良猫が吼える。
「そんなことを訊いてどうするの」
「あんたの墓石に彫っちゃる」
女は愉快気に笑った、そして言った。
「…K、アルファベットのK一文字でいいわ」
蒼色の光と闇色の光が交錯し、臨界点に達した。
時は止まり、やがて動き出した、蒼い輝きと共に。
943 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:22:51.47 0
944 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 17:38:08.86 0
945 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 18:26:40.33 0
946 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 19:34:00.84 0
涙が出るくらいに良いねぇこのれいなは
947 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 19:35:18.82 0
948 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 20:22:37.20 0
今日はまた早いっすな
949 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:00:32.76 0
スレ終盤に申し訳ないのですが今日を逃すと2週間程
ネットが出来なくなってしまうので作品を上げさせて頂きます
21時15分頃から開始します
ネットが出来なくなってしまうので作品を上げさせて頂きます
21時15分頃から開始します
950 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:01:27.17 O
卒業はつきものとはいえやっぱり淋しいね
この先9人の誰かがってなったときを思うと…
この先9人の誰かがってなったときを思うと…
951 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:15:45.23 0
愛ちゃんの要領を得ない指導のもと、なんとかオムライスを完成させることが出来た。
おいしく出来てるか心配だったけど、「私のよりおいしい」とか
「料理上手いなぁ」とか言いながら愛ちゃんは全て食べてしまった。
こんな夜中にオムライスなんて食べたら太ってしまうに違いない。
それでも嬉しそうにオムライスを食べてくれる愛ちゃんを見ていたくて、
私はそんなこと無いとは言いながらも止めることはしなかった。
また帰ったら練習しよう。
作り方を忘れないように。
忘れてしまったら、もう二度とこのオムライスは作れなくなってしまう。
「里沙ちゃん」
「ん?」
「また、会えるよな」
可能性は限りなくゼロに近かった。
もう一度スパイとして送られることはないだろうし、
何より…次に会う時は愛ちゃん達に私の記憶はないのだ。
「きっと…会えるよ」
だけど、本当のことなんて言えなくて、私は笑ってそう言った。
おいしく出来てるか心配だったけど、「私のよりおいしい」とか
「料理上手いなぁ」とか言いながら愛ちゃんは全て食べてしまった。
こんな夜中にオムライスなんて食べたら太ってしまうに違いない。
それでも嬉しそうにオムライスを食べてくれる愛ちゃんを見ていたくて、
私はそんなこと無いとは言いながらも止めることはしなかった。
また帰ったら練習しよう。
作り方を忘れないように。
忘れてしまったら、もう二度とこのオムライスは作れなくなってしまう。
「里沙ちゃん」
「ん?」
「また、会えるよな」
可能性は限りなくゼロに近かった。
もう一度スパイとして送られることはないだろうし、
何より…次に会う時は愛ちゃん達に私の記憶はないのだ。
「きっと…会えるよ」
だけど、本当のことなんて言えなくて、私は笑ってそう言った。
952 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:16:31.18 0
「絶対会いに行くから」
「え…?」
「里沙ちゃんが戻ってこれんのやったら、強くなって、絶対迎えに行くから」
「…!」
「やから、絶対また会える」
何の不安も無い様子で、愛ちゃんはそう言い切った。
それは自分自身に言い聞かせる為でもあるんだろう。
そうすることで愛ちゃんは自分を保とうとしているんだ。
努力家だけど、自信家じゃない愛ちゃんがよくすることだった。
「じゃあ、待っててもいい…の?」
なんでそこまでしてくれるの?
私はスパイなんだよ?
みんなのことを騙してたんだよ?
「大丈夫やから」
そんなに不安そうな顔をしていたのだろうか。
愛ちゃんは私の頭を1、2回叩くように撫でながら笑った。
「あんたはなんも心配せんと待っとけ」
「うん…」
訪れるはずのない未来なのに、私は何故か希望を持った。
それなら頑張ろうと思う自分がどこかにいたのだ。
「絶対会いに行くから」
「え…?」
「里沙ちゃんが戻ってこれんのやったら、強くなって、絶対迎えに行くから」
「…!」
「やから、絶対また会える」
何の不安も無い様子で、愛ちゃんはそう言い切った。
それは自分自身に言い聞かせる為でもあるんだろう。
そうすることで愛ちゃんは自分を保とうとしているんだ。
努力家だけど、自信家じゃない愛ちゃんがよくすることだった。
「じゃあ、待っててもいい…の?」
なんでそこまでしてくれるの?
私はスパイなんだよ?
みんなのことを騙してたんだよ?
「大丈夫やから」
そんなに不安そうな顔をしていたのだろうか。
愛ちゃんは私の頭を1、2回叩くように撫でながら笑った。
「あんたはなんも心配せんと待っとけ」
「うん…」
訪れるはずのない未来なのに、私は何故か希望を持った。
それなら頑張ろうと思う自分がどこかにいたのだ。
953 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:17:13.00 0
「そうだ…っ!お守り…なんだけど…」
私も慌ててカバンからお守りを取り出した。
「あの、頼みたいことがあって…」
最後に愛ちゃんに念じてもらいたかった。
どんな思いでもいいから、最後の愛ちゃんの思いを。
「ちょっと、愛ちゃんのお守り貸して」
「なんで」
何を疑っているのか知らないが、愛ちゃんはお守りを固く握って離そうとしない。
素直にお願い出来ないから、こうするしか私には浮かばなかった。
「愛ちゃんが無茶しないように、私が念じてあげるから」
私が茶化すように言うと、私の考えていることがわかったのか
愛ちゃんはしばらく考えた後に、嬉しそうに口元を緩めた。
「…じゃあ私も里沙ちゃんが泣かんように念じたるわ」
「はぁ?それ逆だから。愛ちゃんだから」
「もーどっちでもええからっ」
愛ちゃんは私の手からお守りを奪うと、自分のお守りを私に手渡した。
私は何も言わずにそっと目を瞑り、受け取ったお守りを握り締めた。
念じる思いは、ただ一つ。
「そうだ…っ!お守り…なんだけど…」
私も慌ててカバンからお守りを取り出した。
「あの、頼みたいことがあって…」
最後に愛ちゃんに念じてもらいたかった。
どんな思いでもいいから、最後の愛ちゃんの思いを。
「ちょっと、愛ちゃんのお守り貸して」
「なんで」
何を疑っているのか知らないが、愛ちゃんはお守りを固く握って離そうとしない。
素直にお願い出来ないから、こうするしか私には浮かばなかった。
「愛ちゃんが無茶しないように、私が念じてあげるから」
私が茶化すように言うと、私の考えていることがわかったのか
愛ちゃんはしばらく考えた後に、嬉しそうに口元を緩めた。
「…じゃあ私も里沙ちゃんが泣かんように念じたるわ」
「はぁ?それ逆だから。愛ちゃんだから」
「もーどっちでもええからっ」
愛ちゃんは私の手からお守りを奪うと、自分のお守りを私に手渡した。
私は何も言わずにそっと目を瞑り、受け取ったお守りを握り締めた。
念じる思いは、ただ一つ。
954 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:18:58.34 0
欲張りは言わない。
私の記憶が無くてもいい。
もう二度と会えなくてもいい。
この世界で、生まれてきて良かったと思えるような人生を送ってくれたら。
私はそれだけで十分だから。
―――愛ちゃんが、毎日笑って過ごせますように。
強く、強く念じて、私はそっと目を開けた。
「愛ちゃん…?」
隣を見たら、愛ちゃんはお守りを握ったまま机に突っ伏していた。
小さく呼びかけながら肩を叩いてみても、反応がない。
「もしかして、寝ちゃった…?」
まぁ、無理もないか。
今日も朝早くから仕事して、雨の中走って私を探してくれたんだから。
おまけに、オムライスもお腹いっぱい食べたし。
ちょうど私もそろそろ行かなきゃいけない時間だ。
私は愛ちゃんを起こさないように席を立った。
忍び足で部屋から毛布を持ってきて、静かに眠る愛ちゃんの肩に毛布をかけた。
何度もしたことがある動作だ。
その度に、華奢だなぁと思い、無理しないでよって思う。
欲張りは言わない。
私の記憶が無くてもいい。
もう二度と会えなくてもいい。
この世界で、生まれてきて良かったと思えるような人生を送ってくれたら。
私はそれだけで十分だから。
―――愛ちゃんが、毎日笑って過ごせますように。
強く、強く念じて、私はそっと目を開けた。
「愛ちゃん…?」
隣を見たら、愛ちゃんはお守りを握ったまま机に突っ伏していた。
小さく呼びかけながら肩を叩いてみても、反応がない。
「もしかして、寝ちゃった…?」
まぁ、無理もないか。
今日も朝早くから仕事して、雨の中走って私を探してくれたんだから。
おまけに、オムライスもお腹いっぱい食べたし。
ちょうど私もそろそろ行かなきゃいけない時間だ。
私は愛ちゃんを起こさないように席を立った。
忍び足で部屋から毛布を持ってきて、静かに眠る愛ちゃんの肩に毛布をかけた。
何度もしたことがある動作だ。
その度に、華奢だなぁと思い、無理しないでよって思う。
955 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:19:41.02 0
「じゃあ、行ってきます」
ここには最後に来よう。
本来は自分が持つべきではないお守りをカバンの中にしまって、私は店を出た。
自分のお守りは、愛ちゃんが強く握っていて取り戻せなかった。
まだ薄暗いけれど、雨は止んでいた。
数時間後には青空が広がるだろう。
その空を見る頃には、もう私はリゾナンターじゃないのか。
そう思ってから、すぐに私は自嘲した。
そもそも私はリゾナンターじゃなくてダークネスだ。
私はリゾナンターになりきっていたに過ぎない。
私はリゾナンターの“スパイ”なんだ。
だから、今からみんなの記憶を消すんじゃないか。
それ以外の理由なんてない。
深く考えるな。
ただ足が向かう方へ。
みんなのいるであろう場所へ。
ついにこの時が来てしまったという気持ちを消すことはできないまま、
軽くも重くもない足取りで仲間の元へ向かった。
「じゃあ、行ってきます」
ここには最後に来よう。
本来は自分が持つべきではないお守りをカバンの中にしまって、私は店を出た。
自分のお守りは、愛ちゃんが強く握っていて取り戻せなかった。
まだ薄暗いけれど、雨は止んでいた。
数時間後には青空が広がるだろう。
その空を見る頃には、もう私はリゾナンターじゃないのか。
そう思ってから、すぐに私は自嘲した。
そもそも私はリゾナンターじゃなくてダークネスだ。
私はリゾナンターになりきっていたに過ぎない。
私はリゾナンターの“スパイ”なんだ。
だから、今からみんなの記憶を消すんじゃないか。
それ以外の理由なんてない。
深く考えるな。
ただ足が向かう方へ。
みんなのいるであろう場所へ。
ついにこの時が来てしまったという気持ちを消すことはできないまま、
軽くも重くもない足取りで仲間の元へ向かった。
956 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:23:22.44 0
957 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 21:52:57.03 0
958 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 22:17:23.60 O
959 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 23:05:40.90 0
960 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/01(土) 23:43:03.71 0
あぶなあぶない
961 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:17:32.06 0
更に作品ラッシュきましたな
かなり作品数の多いスレになったね
かなり作品数の多いスレになったね
962 : 名無しじゃないやい[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:19:50.05 0
全部消えてしまえばいいのに。
そう思う、多分、世界中のどんな人間よりもそれを…世界の破滅を願ってる。
触れるだけで外傷を治すことが出来る、この力。
でも、向きを変えてしまえば―――触れるだけで、そこから全てを消し去る力。
大切なものがあるの。
でも、その大切なものはいつまでもそこにあるとは限らない。
今がピークだと言うのならば。
後から形を変えて、崩れ落ちて、大切だと思った時の姿から変わってしまうというのならば。
「―――全てを消し去っても、いいでしょう?」
紡ぐ言葉に返ってくるのは、理解不能と言わんばかりの困惑した視線。
そうね、分かるはずもない。
私だって、いつからこんな感情が生まれたのか分からないんだもの。
皆、皆大好きよ。
大好きだから―――これ以上は望めないのなら、今を終わりにしたっていいでしょう?
何が起こったか分からない、そんな視線を向けてくる仲間達に。
私は唇の端を釣り上げて微笑んで、溢れる衝動を力に変えて解き放つ。
さようなら、さようなら。
終わりにしましょう、どう足掻いても闇に勝てない光ならば。
いっそここで潰えてしまえばいいの、長引く苦しみに光が色を変えてしまうくらいならば。
―――闇に閃くのは、淡い桜色の光。
そう思う、多分、世界中のどんな人間よりもそれを…世界の破滅を願ってる。
触れるだけで外傷を治すことが出来る、この力。
でも、向きを変えてしまえば―――触れるだけで、そこから全てを消し去る力。
大切なものがあるの。
でも、その大切なものはいつまでもそこにあるとは限らない。
今がピークだと言うのならば。
後から形を変えて、崩れ落ちて、大切だと思った時の姿から変わってしまうというのならば。
「―――全てを消し去っても、いいでしょう?」
紡ぐ言葉に返ってくるのは、理解不能と言わんばかりの困惑した視線。
そうね、分かるはずもない。
私だって、いつからこんな感情が生まれたのか分からないんだもの。
皆、皆大好きよ。
大好きだから―――これ以上は望めないのなら、今を終わりにしたっていいでしょう?
何が起こったか分からない、そんな視線を向けてくる仲間達に。
私は唇の端を釣り上げて微笑んで、溢れる衝動を力に変えて解き放つ。
さようなら、さようなら。
終わりにしましょう、どう足掻いても闇に勝てない光ならば。
いっそここで潰えてしまえばいいの、長引く苦しみに光が色を変えてしまうくらいならば。
―――闇に閃くのは、淡い桜色の光。
963 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:21:47.71 O
今夜はあぶないな・・・ 梅さん・・・
964 : 名無しじゃないやい[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:21:54.12 0
何だか病んでるさゆみを書きたくなったので書いてみた
仲間達を大切に思う余りに闇に墜ちたみたいな感じで捉えて貰えれば幸い
ダークネスサイドに落ちたさゆみと絵里の戦いとか書いてみたいな…
仲間達を大切に思う余りに闇に墜ちたみたいな感じで捉えて貰えれば幸い
ダークネスサイドに落ちたさゆみと絵里の戦いとか書いてみたいな…
965 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:30:41.65 0
今話はさゆこはの誕生日があったのもあって本当にたくさんきましたねー
印象深いのはやはり『復讐と帰還』の完結でしょうか
これだけ長く書いてきてあのブレのなさは本当にすごいと思います
あと保全ネタからの派生作品の多さも印象的でした
更にそれへのリゾナントも起こったりで楽しませてもらいました
印象深いのはやはり『復讐と帰還』の完結でしょうか
これだけ長く書いてきてあのブレのなさは本当にすごいと思います
あと保全ネタからの派生作品の多さも印象的でした
更にそれへのリゾナントも起こったりで楽しませてもらいました
966 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 00:34:22.46 O
30話記念だけのことはある充実のスレだったね
かなしみさんのイラストも見られたし
かなしみさんのイラストも見られたし
967 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 01:17:06.26 0
俺シリーズの再開も嬉しい!
遊園地話も他のメンバーの視点がすごく楽しみ
遊園地話も他のメンバーの視点がすごく楽しみ
968 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 01:28:38.79 O
>>964
チカラで消し去ろうとするさゆみ、FFのエクスデスっぽいと思った。…サユスデスw
チカラで消し去ろうとするさゆみ、FFのエクスデスっぽいと思った。…サユスデスw
969 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 01:43:31.84 O
テンプレ案上げていただいていますがどうしましょうねー
970 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 02:42:22.94 0
青く、心を研ぎ澄ませ
青く、心を研ぎ澄ませ
971 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 04:44:26.88 0
もうすぐ朝ね
972 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 07:36:56.47 O
おはようリゾナンター
973 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 08:49:32.89 0
974 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 09:41:56.80 O
小さな巨人といい日食マルシェといいレスポンスタイムの速さがすごすぎるよね
個人的には『pepper』のWikiが嬉しかった
欲を言えばそろそろ続きも読みたいとこだけど…
個人的には『pepper』のWikiが嬉しかった
欲を言えばそろそろ続きも読みたいとこだけど…
975 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:21:02.33 0
印象に残ってる作品は、ダクネチュ様の30話記念イラストと『過去との別れ/明日への誓い』
嬉しかったのは俺シリーズの新作が読めたこと
心残りだったのは『絶対解ける問題』の続きが来なかったことかなw
嬉しかったのは俺シリーズの新作が読めたこと
心残りだったのは『絶対解ける問題』の続きが来なかったことかなw
976 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 11:05:01.67 O
午後の空いた時間に新スレ立てようかなと思います
テンプレ案ギリギリまで募集中です
テンプレ案ギリギリまで募集中です
977 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 12:14:04.04 O
保全ついでに白状
6月末から小春聖誕話を構想・執筆中で最早8月に入ったというのに未だに完結しないという筆の遅さw
さすがに次スレには上げられる…はず
なんか急に雷の音が近づいてきたな…
6月末から小春聖誕話を構想・執筆中で最早8月に入ったというのに未だに完結しないという筆の遅さw
さすがに次スレには上げられる…はず
なんか急に雷の音が近づいてきたな…
978 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 12:55:29.89 0
その雷は威嚇だけど次スレに上げなければ…落とされるね
979 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:58:11.47 0
おはようございます
980 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:16:26.50 O
遅いじゃないかホゼナンター
981 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:30:01.87 0
980に到達したので数分後に次スレ立てますね
テンプレはしたらばのものそのまま使わせてもらいます
テンプレはしたらばのものそのまま使わせてもらいます
982 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:48:40.01 0
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第31話
http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1249191592/
立てましたが…申し訳ない
立て直した方がいいですか?
http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1249191592/
立てましたが…申し訳ない
立て直した方がいいですか?
983 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:52:03.69 0
残り後ちょっと
感想大会盛り上げて次スレに急ごう!
感想大会盛り上げて次スレに急ごう!
984 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:58:38.14 0
985 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:14:40.06 0
では各自で透明にしておいて下さいm(_ _)m
986 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:17:05.89 0
何言ってるのか全然分からなくてしばらく悩んだぞ
最初から透明なんでw
最初から透明なんでw
987 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:19:17.03 0
いやあれはコードネームpepperに登場してくるロボット部隊ですよw
988 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:21:33.65 0
なるほどシリーズ再開の兆しなのかもw
989 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:26:42.64 0
続き物は完結した形で読みたいけど早く終わって欲しくないという気持ちもある
矛盾するようだけどね
矛盾するようだけどね
990 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:57:39.72 0
ホゼ埋め
991 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 16:26:12.49 0
そういや誰かがロングパスを投げてたな
992 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 16:52:45.80 0
しかし30話は話が大量だった
次スレも盛り上げていきたいねぇ
次スレも盛り上げていきたいねぇ
993 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:06:16.34 O
ロングパスあったねそういやw
995 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:28:20.21 0
>>994
自分でキャッチしとるやんwww
自分でキャッチしとるやんwww
996 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:33:42.78 O
携帯からですぐに確認出来ないから998ぐらいだったかなと思って言ったら…あれ…w
もうなんかすみません本当_| ̄|○
もうなんかすみません本当_| ̄|○
997 : サボリン∞ヽ( ゚∀。)ノ[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:43:51.66 0
998 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:46:03.24 0
999 : 名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:46:07.01 0
おつおつ
1000 : 名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/02(日) 17:49:40.51 0
>>1000なら光井愛佳写真集発売決定
1001 : 1001[] 投稿日:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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从#; 。.;)<アホやろ、小春ちゃん!そんな気の引き方しか、わからんの?
ノリo;´ゥ`リ<アホじゃないで…な、なんで、道重さんが泣くんですか?
『リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第11話 63 『月うさぎと雷鼓』 より』
ノノハヾヽ ||
ノリo´ゥ`リ Θ< 記念の第30話だよ!
( O ☆O) リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第29話
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