リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第9話(ミラー)
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川*’ー’)<<胸の高鳴る方へ
前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第8話
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1213287202/
まとめサイト
PC:http://resonant.pockydiary.net/index.html
携帯:http://resonant.pockydiary.net/index.cgi
掲示板 (感想スレ、作品題名申請スレ、あとがきスレ他)
http://jbbs.livedoor.jp/music/22534/
テンプレ>>2-16ぐらいまで
黒服を来てダンス踊ってるのはモーニング戦隊リゾナンターなんだよ
悪と戦う正義のヒーロー女集団なのさ
でも彼女達は普段は普通の社会で人間として暮らしてる
隊長の高橋は普段はジムで筋トレするOL、小春はアイドル、光井は女子高生、田中は孤独な不良
などみんなそれぞれ人間界で普通の生活を送ってんだよ
だけど悪の化身ダークネス邪鬼が街で暴れた時に
みんな集合して黒服を着て踊ってリゾナンター変身するわけよ
それを表現したのがあのPV
210 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/13(日) 20:08:59.27 0
ガキさん実は敵のスパイっていうのはどうだ?
でも悩んでるんだリゾナンダーたちの優しさに触れて
そして最終回で彼女は決断を迫られることになる・・・
259 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/13(日) 21:05:08.45 0
リゾナントイエロー(高橋)
リゾナントライトグリーン(新垣)
リゾナントオレンジ(亀井)
リゾナントピンク(道重)
リゾナントブルー(田中)
リゾナントレッド(久住)
リゾナントパープル(光井)
リゾナントインディゴ(ジュンジュン)
リゾナントグリーン(リンリン)
…
9人揃ってモーニング戦隊リゾナンダー
リーダー兼スカウトマン
新垣:
実は敵のスパイ
しかしリゾナンダーたちと共に過ごすうちその優しさに触れて悩み始めている
光井:
成績優秀の普通の女子高生だがいじめられっこ
エリートの両親は夜遅くまで帰ってこず家でも孤独
久住:
超人気売れっ子モデル
プライドが高く世の中は全てお金が解決すると言い放つ彼女はワガママな面もあり周囲を騒がせることもしばしば
田中:
幼い頃に事故で両親を亡くして孤児院で育つ
学校にも行かず不良仲間と遊ぶ荒れた毎日を送っていた
亀井:
道重とはとても仲の良い大親友
2人で将来一緒にケーキ屋を経営するという夢がある
しかし生まれつき重度の心臓病を患っていた為病室に閉じこもる日が多かった
道重:
亀井とはとても仲の良い大親友
2人で将来一緒にケーキ屋を経営するという夢がある
大学生
ジュンジュン・リンリン:
ビザが切れたけど日本に滞在したい謎の中国人
リゾナントイエロー
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リゾナントライトグリーン
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リゾナントオレンジ
リゾナントピンク
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リゾナントブルー
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リゾナントレッド
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リゾナントパープル
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リゾナントインディゴ
リゾナントグリーン
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9人揃ってモーニング戦隊リゾナンダー!!
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ロゴ
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リゾナントロボ…
発……
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↑このPVから妄想するスレ
強く・・・なりたいんだろ?
大切な人を守るために・・・
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あいぼん・・・れいなはもう昔とは違うと
守るべきものが見つかったけん
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・・・定期連絡です
特に変わった動きはありません
はい 何か動きがあればすぐ知らせます・・・
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ビザが無いのか
一つだけ日本で仕事を続ける方法がある
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そのハナシ・・・
ノッタアル!
さゆも・・・
絵里も・・・
一緒に戦う・・・!
2人の夢を守るため
同じような夢を持った人たちを守るため・・・
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こんな私でも誰かを救えますか?
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はあ?
何で小春が見ず知らずの人助けなきゃいけないわけ?
そんなの誰かに任せておけばいいじゃん
必殺!
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高橋愛:精神感応(リーディング) /瞬間移動(テレポーテーション)/光使い(フォトン・マニピュレート)
新垣里沙:精神干渉(マインドコントロール)
亀井絵里:傷の共有(インジュリー・シンクロナイズ) /風使い(ウィンド・マニピュレート)
道重さゆみ:治癒能力(ヒーリング)
さえみ(姉人格):物質崩壊(イクサシブ・ヒーリング)
田中れいな:共鳴増幅能力(リゾナント・アンプリファイア)
久住小春:念写能力(ソートグラフィー) /幻術(ハルシネーション)/発電(エレクトロキネシス)
光井愛佳:予知能力(プリコグニション)/心の浄化(ハート・プリフィケイション)
リンリン:念動力(サイコキネシス)/発火能力(パイロキネシス) ※手で掴める物限定
ジュンジュン:念動力(サイコキネシス)/獣化(メタモルフォシス(トゥ・ビーストorパンダ))
ジュンジュン獣化参考画像
http://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
リゾナントブルーRPG
ttp://www4.uploader.jp/dl/reinachan/reinachan_uljp00256.zip.html
上とは別物
ttp://www4.uploader.jp/dl/reinachan/reinachan_uljp00277.exe.html
リゾナントブルーRPG Ver:0.2
※「RGSS200J.dllが見つかりません」が出たらここからランタイムインストールね
ttp://www.famitsu.com/freegame/rtp/vx_rtp.html
間取り
http://resonant.pockydiary.net/data/upfile/142-1.gif
本日のランチ
http://resonant.pockydiary.net/data/upfile/155-1.jpg
http://resonant.pockydiary.net/data/upfile/156-1.jpg
http://jp.youtube.com/watch?v=pbHlnMj9r1E
リゾナンターEDイメージ(字なし)
http://jp.youtube.com/watch?v=6veKqzAYQI0
リゾナンターEDイメージ(字あり提供入)
http://jp.youtube.com/watch?v=ijT95qkTqfA&NR=1
まとめサイトの[検索]で「(1)」とか指定すると、第1話(1スレ目)の作品が投稿日順に並びます(降順)
(投稿日=まとめサイト掲載日時であり、スレ投下日時ではありません)
ただし、次回予告についてはシングルの順序と合わせるために
順番に並ぶように投稿日をいじってあるのでこの限りではありません
このスレに初めて来たから様子がわかんないよ、って人にはイイかも
※時々検索結果に違うスレの作品が混じりますが、本文中に張ったリンク(例:(1)123)を拾ってしまうためです
ノ|c| ・e・) < 登場人物の能力やストーリーの背景・設定は作者さんの自由なのだ
ノノ*^ー^) < シリアル路線でもコメディ路線でもお好きなものどうぞ
从*・ 。.・) < AAを使ったものや1レス完結ものでもOKなの
从*´ ヮ`) < 他の作者さんの設定を流用するのもありっちゃ
ノリo´ゥ`リ < 気に入った話の続きや繋ぎの話を書いてみるのもありカナ☆
川=´┴`) < プロットを書いて他の作者さんにストーリーを書いてっておねだりしてもええで
川*^A^) < アーでも書いてくれるかは作者さん次第ヨ
川´・_o・) < ソッカー
君の作品を待ってる
ついに9話目とはこれはすごい
1・14はまとめちゃんの依頼
10はカタカナ名を追加
ありがとうございます今後も多分作品で使うのでよろしくお願いします
再び復活 逆に勢いを上げ 9スレ目に突入しました
我々が思っているより危険な組織かと・・・
はい 分かりました・・警戒レベル引き上げ確認
潜入を続けます・・
ホゼナンターはそんな次のステージを確保するんだ・・・
残り14レス分ですが一度にはどうせ無理なので残りは夜・・・もしくは明日にでも
・・・覚えてもらってますかね?どんな話だったか
パンッパンパンッ
「・・・・・・!?」
乾いた破裂音が響き、それに続いて何かが倒れるような音が聞こえて、杏奈はゆっくりと目を開けた。
そこにあったのは思いもかけない風景だった。
かすかに白煙の立ち上るオートマチックを構えた一人の女。
そして床に倒れている“R”。
「奈津美・・・あんた・・・どうして?」
自分のことを“密告”したはずの部下―オートマチックを構えた奈津美に、杏奈は喘ぐように声をかけた。
呆然としたような表情をしていた奈津美は、その声で我に返ったように手を下ろし、杏奈の下へと駆け寄った。
「大丈夫ですか!?今すぐ治癒を・・・」
そう言いながら杏奈の砕けた右肩にそっと手を置き、癒しのチカラを行使し始める。
「やめな。あんたのチカラじゃとても治せないくらいコナゴナにされてる。それよりあんたこんなことしてただで済むと・・・」
一心に集中する奈津美に向かって言いかけた杏奈は言葉を止め、首を傾げた。
頭の芯まで突き抜けてくるようだった痛みが和らぎ始めている。
全く感覚がなかった右腕にも心なしか感覚が戻ってきている気がする。
粉砕骨折の治癒など、かなり高レベルな能力者でないと不可能のはず。
奈津美にそこまでの能力があるはずがない。
だが、実際ゆっくりとではあるが、自分の怪我が癒えつつあるのは目の前の事実だ。
「チーフ・・・行かれるんでしょう?・・・里沙のところに」
右肩の治療に集中している奈津美が、唐突にそう呟いた。
「行ってください、チーフ。ここから逃げてください。まだ間に合います」
初めて視線を上げ、目を見据えながらそう言う奈津美に対し、杏奈は言葉が出てこなかった。
自分のことを“密告”したとばかり思っていた部下がこうして自分を救い、力強く後押しをしてくれている。
「里沙のところには行かない」
「えっ?」
様々な思いが渦巻く中、口から出た言葉はそれだった。
里沙や愛の言葉は社交辞令ではなかっただろう。
彼女たちは本気で自分を受け入れてくれるに違いない。
でも、だからといってそんな言葉に甘えるわけにはいかない。
里沙のところに行くつもりは元よりなかった。
「逃げよう。2人で。どこか遠くへ。静かに暮らせるところへ」
次に口から出たのは、自分でも思いもかけない言葉だった。
だが、言った本人よりも言われた方がよっぽど驚いたらしい。
奈津美は呆然とした顔で杏奈の顔を見ていた。
「こんなことしてまさか無事でいられるとは思ってないでしょ?・・・逃げ切れるかは分からない。でも逃げるしかないじゃん2人で」
「チーフ・・・」
奈津美の顔にゆっくりと笑みが広がる。
杏奈の胸に痛みが走った。
自分はこの部下が組織に“密告”をしたと考えていたのだ。
そのことを言ったら奈津美はどんな顔をするだろう。
・・・だが、そんな懺悔と謝罪は後のことだ。
無事に逃げ切れた後の。
そう思い直し、杏奈はゆっくりと立ち上がった。
「肩、随分楽になった。助かったよ。さあ、早いところここを出ましょ」
「はい、チーフ!」
痛みはまだ残っているものの、かろうじて右腕を動かせるまでに回復していることに改めて驚きながら、杏奈は苦笑いを返した。
「“チーフ”はやめてくれる?もう組織とは関係なくなるんだから」
「あ、そうですね・・・。でもじゃあ何てお呼びすれば・・・」
「そうね・・・」
杏奈が考え込んだ瞬間―――それは起こった。
目の前の奈津美の体が弾け飛び・・・壁に叩きつけられ・・・床に崩れ落ちるまでをスローモーション映像のように感じながら、杏奈は何もできなかった。
「奈津美ぃッッ!」
その名前をただ叫ぶことしか。
だが、名前を呼べばいつでも即座に返ってきた「はい!」という返事はなかった。
先ほど自分に向けられていた笑顔も、もはやどこにもない。
この先ずっと・・・奈津美の顔に笑顔が浮かぶことはない。
二度と。
「想定外・・・だったわねこれは。あの人の予知もアテにならないな」
たった今、奈津美の命を奪い去った死神。
拳銃の弾も効かない化け物。
少し顔をしかめながらも悠然と立つ“R”のその姿に、杏奈は新たな恐怖とそれ以上の激しい憎悪を抱いていた。
だが、燃え上がるその憎しみの感情と同時に、杏奈の中には静かな決意が宿る。
――「勝てなくてもいい」じゃない。
――「逃げ切れなくてもいい」じゃない。
――こいつに勝って、そして組織から逃げ切らなければならない。
――奈津美のためにも。
とはいえ、真正面からぶつかっても勝ち目は万に一つもない。
無防備な相手にならともかく、自分のチカラでは全力で放ったところで一瞬の足止め程度にしかならないだろう。
短時間とはいえ高橋愛を失神させられたのは奇跡に近い偶然だった。
あのような奇跡を何度も期待することはできない。
ならば考えなければならない。
どうすればこの絶望的な状況を打破できるのか。
・・・実のところ一つだけ考えはあった。
実行可能かどうかも分からない頼りない望みではあったけれど。
でもやるしかない。
いや、やらなくてはならない。
心室細動・・・いわゆる心停止の一病態。
心臓が不規則な細動を起こすことにより、血液を体に送り出せなくなるその状態が、感電によっても引き起こされることがあるのは承知の通りだ。
それを起こさせてやれば、いかに“R”といえど無事では済まないだろう。
だが、自分の微弱なチカラでは心室細動を起こすほどの“感電”には程遠い。
ただ・・・一点集中した電撃で心臓を直接貫けば・・・あるいは。
奈津美が治癒してくれたおかげで動くようになった右腕。
その指先から“R”の心臓に向けて一直線に全力の電撃を放つ起死回生の必殺技。
奈津美と2人で放つアルティメットウェポン。
成功の保証さえない、頼りないことこの上ない必殺技だけれど。
「・・・そろそろ覚悟はできた?」
“R”が冷たい笑みを浮かべながら杏奈の方に向き直る。
杏奈はただ静かにチカラを指先に集中させた。
一瞬の隙を衝いて“R”の心臓を貫く“Lance of Longinus”を手にするために。
「ちょうどあの世への道連れもできたから淋しくないよね?」
そう言いながら、“R”はチラリと奈津美の方に視線をやった。
瞬間、杏奈の心に激情が燃え上がる。
同時に、静かに機を窺っていた心の一部が合図を出した。
――今ッッ!!
杏奈の指先から鋭い閃光がほとばしり、その光の矢は一瞬で“R”の左胸を貫いた。
「がッッ・・・・・」
“R”が呻き声を上げ、左胸を抑える。
杏奈は勝利を確信した。
自分の放った電撃は、確かに“R”の心臓を貫いた。
今現在“R”の心臓は激しく痙攣し、その役目を果たしていないはず。
脳への血流も遮断され、意識を失うまでは数秒もかからないだろう。
――勝った・・・!!
心の中でそう叫んだ瞬間・・・杏奈の体を激しい衝撃が襲った。
床に横たわる奈津美のすぐ隣で、口からあふれ出る血の味にむせ返りながら、杏奈は今起こったことを必死で考えていた。
いや、自分の身に起きたことは考えるまでもない。
自分は“R”のサイコキネシスによって致命傷を負ったのだ。
指一本動かすのさえ難しいくらいの深い傷を。
――でも何故?確かにあたしの電撃はあいつの心臓を貫いたはず・・・まさか・・・
杏奈は一つの結論にたどり着き、愕然とした。
「除細動」・・・痙攣した心臓を正常な動きに戻す処置。
本来除細動器を用いて行なうその処置を・・・“R”はおそらく自身のサイコキネシスで行なったのだ。
意識が途切れるまでの一瞬の間に。
――化け物・・・め・・・
改めてそう思う。
せっかく編み出した“必殺技”も、あの化け物の前では子どものお遊び程度だったことが悔しかった。
――ごめん・・・奈津美・・・
傍らに横たわる奈津美に心の中で謝罪する。
もしもあの世で奈津美に逢えたなら改めて懺悔しようと思う。
奈津美を疑っていたこと、巻き込んでしまったこと、そして・・・その仇も討てずに終わった情けない自分のことを・・・
視界が狭まっていく中、最後に杏奈が思い浮かべたのは里沙の笑顔だった。
友達になってくれると里沙は言ってくれたが、生きて再び会うことはやはり叶わなかった。
でもせめて・・・せめて最後に・・・・・・・・・
バリッ・・・
自らの発した小さな電撃の音を聞いたのを最後に、杏奈の意識は永遠に途切れた。
今回は以上です
「杏奈」視点はここまでとなり 残りはエピローグ的なものとなります
暗い話でごめんなさい
続きは今晩?わくわくして待ってます
オリジナルキャラでここまで面白い話をかけるのがすごいです
続き楽しみにしてます
ありがとうございます
投下予定があるのは分かっておりましたのでその意味で明日にするかも…と書きました
昼に上げておきたいところですがいかんせん出先から帰れなくて…
できれば夕方か夜の早い時間に上げてしまってお邪魔にならないようにします
すみませんです
『Remove the Betrayer ――裏切者は消去せよ――』
の続きを上げさせていただきます
これでようやく最後になります
10レス以内なので途中で規制されることはないと思いますが・・・
* * *
「・・・・・・・?」
杏奈が最後に小さな電撃を放った先を見上げながら、“R”は眉をひそめて軽く首を傾げた。
無機質な廊下の天井に付けられた無機質なダウンライト。
杏奈は最後のチカラを振り絞ってそこに向けて電撃を放った・・・ように見えた。
その行動に何の意味があるのか理解できなかったから。
「任務完了・・・ですね。お疲れ様です石・・・“R”さん」
そのとき、今まで命のやり取りがあった場所にはそぐわないのんびりとした声が背後から聞こえ、“R”はゆっくりと振り返った。
「別に疲れてもないけどさ。・・・あと、あたしの名前は“R”だから。昔の名前はもう捨てたんだからね?あんたもでしょ?DRマルシェ」
「これは失礼しました。・・・私は別に捨てたわけでもないんですけどね。まあどっちでもいいです」
DRマルシェの話を半分も聞かず、“R”は上着を脱ぎ、自分の左胸に付けられていた、長い糸のついた金属製の胸当てのようなものをはずした。
「はい。これ返す。でもほんと追い詰められたドブネズミは何するか分かんないよね。“神様”の予知と、これがなかったらさすがのあたしも死んでたかも」
そう言いながら“R”がDRマルシェに渡したのは、アースとなって電流から身を守るプロテクターだった。
元々、杏奈の裏切りを“神様”こと圭織が予知したことから始まったこの任務。
同時に圭織は、杏奈が“必殺技”を放つことも予知し、DR.マルシェはその対策に特製のプロテクターを作ったのだった。
「でもさあ、まさかピストルで撃たれるなんて思ってなかったじゃん?“神様”もそんなことひとっことも言ってなかったし」
「そうですねえ。丈夫に作っておいてよかったです」
ややへこんだプロテクターをまじまじと見ながら、DRマルシェはのんびりと言う。
杏奈の“必殺技”から身を守るためにつけていたプロテクター。
それが奈津美の銃弾を弾く役目も果たしたことは、運がよかったと言うしかない。
「たださあ、もうちょっと完璧に作ってよね。そりゃ心臓麻痺起こすほどじゃないけど結構ビリッときたんだから。ピストルで撃たれたときはしばらく息が詰まってさすがに動けなかったし」
「ええっー。そんなこと言われましても・・・。それに撃たれるのは想定外ですよ」
「まあいいわ。ともかくありがと」
「・・・・・・珍しいですね。石か・・・“R”さんがお礼言うなんて」
「・・・うるさい」
「珍しいといえば、相手を楽に殺してあげるのも珍しいですね」
「・・・・・・今日は面倒だっただけよ。もういいでしょ?あたし行くから後はよろしくね」
不機嫌にそう言い残して踵を返した“R”の後ろ姿を見送った後、DRマルシェ・・・紺野あさ美は、寄り添うようにして倒れている2人の元に歩み寄った。
思ったよりも安らかな死に顔の2人に心の中で手を合わせ、しばし黙祷する。
親しく言葉を交わしたこともなかった・・・おそらく今後もそうであったろう“同僚”。
言葉を交わす機会があったとしても、きっと互いに好感は持たなかっただろう。
だから、個人としての死を悼むには親密さが不足しているかもしれない。
だが、それ以前に彼女たちはあさ美にとって“同胞”だった。
同じ組織に属する者という意味ではなく、異端のチカラを持って生まれてきた者として。
社会から疎外されて生きなければならない者として。
日常茶飯事とまでは言わないが、これまでにもこういった形での“同僚”との別れは何度かあった。
だが、だからといって決してそれに慣れることはない。
慣れるわけがない。
「哀しいよね、杏奈さん、奈津美さん。どうして私たちはこんな思いをしないといけないんだろうね」
他の者とは違うチカラを持って生まれたばかりに、こんな風に死ななくてはならなかった2人。
他人の命を奪うことを“愉しむ”フリをしていなければ自己が保てないあの人。
そして、こんな思いをしながらも組織にすがりつかなくてはならない自分・・・
これからもそんな哀しみはずっと続いていくのだろう。
どこかで誰かが断ち切らない限り。
この哀しみを断ち切れるのならば、私は他に何も望まない。
たとえ何を犠牲にすることになっても躊躇しない。
自分の命が失われることになったとしても。
里沙や・・・愛の命を奪うことになったとしても。
短い黙祷を終え、あさ美は2人を“処理”するべく部下を呼んだ。
せめて2人が赴いた死後の世界にこの世界のような“差別”がないことを祈りながら。
* * *
パチパチパチッ
「ん?なんね?停電・・・やなかったか」
一瞬、喫茶リゾナントの照明が一斉に明滅し、田中れいなは目をパチパチさせながら天井を見上げた。
「・・・もう何も起こらんね。何やったんやろ・・・なあ愛ちゃん」
カウンターの向こうでカップを拭いている愛にそう声をかける。
だが、愛はカップを拭く手を止め、天井を見上げたまま固まったようになっていた。
「・・・愛ちゃん?ねえって。どうしたと?愛ちゃん?・・・なあガキさん、愛ちゃんがおかしく・・・ガキさん?」
愛から全く反応がないため、れいなは傍らの里沙に目をやった。
だが、そこにあったのは愛と全く同じ姿勢で固まる里沙の姿だった。
「ちょっと!2人ともどうしたと!?今のは何ね!?」
話しかけるだけでは埒が明かないと知り、れいなは2人の肩を交互に揺さぶった。
それにより、ようやく2人の金縛りが解ける。
だが、その目はどちらもれいなには向かず、愛と里沙の視線は互いに交差した。
深い哀しみの色を湛えて。
「『ありがとう、さよなら』・・・そう言ってたね」
「うん・・・・・・そう・・・聞こえた」
送電線に乗って運ばれてきたのであろう、杏奈の最後の言葉。
それは杏奈と里沙たちの間に起きた最初で・・・そして最後の共鳴だった。
「コーヒー・・・淹れよっか」
「うん、お願い」
れいなが何も聞けないでいる中、サイフォンの立てる音だけが店内に響く。
やがてカップに注がれたコーヒーが人数分並んだ。
愛の前と、里沙の前と、れいなの前と・・・それからもう一つ。
「こんな哀しい思い・・・もうしたくないよね。絶対に」
湯気の立つカップを両手で包むようにして、愛はそう呟いた。
「うん・・・・・・どこかで断ち切らなきゃ」
同じ体勢でカップの中を覗き込むようにしていた里沙が、小さく、それでいて力強くうなずく。
「ほやね。そのためにあっしらに何ができるかは分からんけど・・・」
「やらなきゃね。自分たちのためにも。他の人たちのためにも」
カップから立ち上る湯気を挟んで、愛と里沙は見つめ合った。
「なあ・・・れいなもおるの忘れとらん?さっきのは何ね?この余ったカップは何ね?れいなも一緒に闘っとーとよ?れいなも仲間じゃなかね?」
半泣きのれいなの声が店内に淋しく響き、愛と里沙は我に返った。
「ごっめ~んれいな!ちゃんと説明するから!ごめんね」
「あっひゃー!すっかり忘れとったがし」
「わ・・・忘れてない!忘れてないよれいな!少なくとも私は!ちょっと!愛ちゃん!」
「冗談やてー。ちゃんとコーヒーもれいなの分淹れたが」
「そういう問題じゃないから!ね?ほら今からちゃんと話すから」
カランカラ~ン
そのときドアベルが鳴り、それと同時にいきなり店内が騒々しくなる。
「あーのど渇いたー。愛ちゃんなんか飲みものー」
「あ、さゆみもー。・・・あれ?どうしたの?れいな泣いてるの?何かあったの?」
「べ・・・別に泣いとらんけん!コーヒーがちょっと熱くて・・・」
カランカラ~ン
「さっきやっと撮影が終わったんですけどちょっと聞いてくださいよ!」
カランカラ~ン
「見ロ!バナナがチョー安売りダッタ!コンナにタクサンでタッタノ498円ダ!チョーお買イ得ダロ!」
「1人2山までだからリンリンも行きマシタ!バッチリデース!バナナバッチリいっぱいデース!」
カランカラ~ン
「ちょっと今日もここで宿題やらせてもろていいですか?学校はうるさくて・・・って・・・はぁ・・・学校の方が静かやん・・・」
少しの間に、先ほどまでの静寂が嘘のように賑やかになる。
いつものその風景を笑顔で眺めながら、愛は再び考えていた。
哀しい思いを断ち切るために自分に何ができるかは分からない。
でも・・・この仲間たちがいれば・・・この仲間たちと一緒ならばきっと。
きっと何かが変えられる。
「みんなが幸せに生きられる世界を・・・あっしは仲間と一緒に見つけてみせるよ」
喧騒の中、まだかすかに湯気をあげるカップに向かってそう言うと、愛はそれをそっとカウンターの中に持ち帰った。
以上です
スレ跨ぎをしてまで長々とすみませんでした
視点が色々と飛びましたが・・・それぞれの思いを対比して読んでもらえればありがたいです
あとがきなしでは意味不明な部分も多いに違いないのでまた近いうちに書いてみたいなと思います
お分かりかとは思いますが特にDRマルシェ―紺野あさ美の立ち位置などは
他の作者様の作品にリゾナントさせていただいた上で自分流に改変しております
あ まとめの人さんへなのですがテキストファイルをそのままお送りした方が上げやすいでしょうか?
もしそうならばそうさせていただきます
大作乙でございました
確かにテキストいただけた方がいいかもしれないですね
その場合一番最初のレス番基準で一本の話としてあげてしまって大丈夫でしょうかね?
大作お疲れ様でした
それぞれの思いに何だか胸が締め付けられます
おつかれいなー
最後れいなかわええww
大作、乙です
愛ちゃんとガキさん、マルシェの各々の悲しみの連鎖を断ち切ろうという願いが、交錯しないのがちょっとやるせなく思いました
『里沙、孤島に囚われ』の後レスで杏奈がガキさんに「~友達になって」と話しかけるというプランがあったと書いておられるのを見たときは、蛇足だなあと思いました
でもこうして作品として纏まったものを読むと、改めて作者さんの創作力や、杏奈というオリジナルキャラにまで生命を吹き込む造形力に感嘆させられるばかりですw
まとめサイトにある[Koha-Mitsu](3)888 『守るべきモノ 前編-無垢な温もり-』 以降の作品を
テキトーに斜め読みしながらお待ち下さい
>>53
いつもありがとうございます
テキストファイルお送りしました・・・が、今読み直したらこれ文章おかしいだろところがそこかしこに・・・
ちょっと校正をして送りなおさせてもらってもよろしいでしょうか
ほんとゴメンナサイ
>>55
「それぞれの思い」を感じていただけたなら幸いです
>>57
そう言っていただけてよかった・・・
地味に嬉しい一言ですw
>>58
ああ、そこまさに今回の話の裏メインと言ってもいいテーマでしたので嬉しいです
今後互いの思いが交わるのかどうかは他の作者様の作品で読ませていただきたいなあと思っています
蛇足の件、思っても言わなかったところがさすが稀に見る紳士なスレの住人様ですw
でも正直前の話にそのシーンを実際に書いてたとしたら確かに蛇足感が強かったでしょうねえ
ともかく過分なお褒めのお言葉をありがとうございます
>>60
重ねずに済んでホッとしています
楽しみにしています!
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000019-rcdc-cn
最後の次回予告を投入する事を予告します
皆様よろしいでしょうか?
>>65 ありがとうございます!
注意事項は以下の通りです
・短め(いつもと比べると
・こんなのジュンジュンじゃないやい
・鬱度150%(前作と比べると大変鬱で暗いですご注意を
それではしばしお付き合いください
皆と別れて帰る道は、雨のせいで余計に寂しく感じられる。
雨音以外は、たまにジュンジュンの側を追い越していく車の走り去る音しかしない。
静かすぎるくらい、静かな夜だった。
ここのところ、リンリンの様子がおかしい。
皆と一緒に笑っている時に、ふとリンリンの方を見ると。
仲間に向けるような視線とは言い難い、冷たささえ感じられる視線を皆に向けていることがある。
リンリンが実は誰よりも沈着冷静な人間であることは知っているが、それを差し引いても
あんな冷たい視線を皆に向けているのは不可解だった。
リンリンと共にダークネスの一員を撃退したあの日、リンリンはひどく悲しんでいた。
きつくきつくジュンジュンに縋り付いて、涙を溢れさせていたリンリン。
リンリンは何も語ろうとはしなかった、涙が止まった後でも。
ただ、その瞳には何かを決意したような強い光が宿っていた。
元々、リンリンは幼い頃からの訓練によって感情の制御が上手い。
誰が見たって、リンリンは普通に見えるだろう。
ジュンジュンだけがリンリンの異変に気付いていた、誰よりも深く
リンリンと共鳴することが出来るジュンジュンだけが。
(リンリン、あの時カラ何を考えテいる…何故、私に何モ言ってくれなイんだ)
今は何も言いたくない、そう言ったリンリンの意思を尊重してジュンジュンは何も聞かなかった。
今となっては、無理矢理にでも聞き出しておくべきだったのかもしれないと思う。
―――あの戦いの時以来、リンリンと共鳴することが出来ないのだから。
雨のせいでいつもよりも、夜の闇は濃い。
考え事に没頭していたジュンジュンは、自分がいつの間にか結界に取り込まれていることに気付く。
慌てて心の声をあげるも、その声に応える声は聞こえない。
1人でいる時に隙を見せた自分のうかつさに、ジュンジュンは唇を噛みしめた。
コツ、コツ、コツと、ジュンジュンの耳に聞こえてくる耳障りな足音。
「こんばんわ、ジュンジュンちゃん。今日は1人みたいだけどどうしたのかしら?」
「お前、あノ時リンリンの炎に焼かレたはず、何故ここにイる!」
ジュンジュンの前に立っているのは、先日の戦いでリンリンの緑炎に焼かれたはずの女だった。
緑炎に焼かれて燃え尽きたはずなのに、火傷の跡すらない褐色の肌にジュンジュンは戦慄く。
女はジュンジュンの震える様を見て、ニヤリと笑った。
妖しさを含む歪んだ笑顔に、ジュンジュンの背筋を冷や汗が伝う。
「何でここにいるのかっていうと、あの時焼かれたのは私であって私ではないからって言えばいいのかな」
「意味分かんナイ!お前の言葉、ジュンジュンには分かんナイよ!お前はお前、1人シかいない!」
「んー、これ以上詳しく話しちゃうと後で怒られちゃうからなー。まぁ、意味分かんなくてもいいよ。
そんなことは大したことないしね。さて、ジュンジュンちゃん…ちょっとおねーさんと遊ぼうか?」
言い終わると共に空を裂いて飛んでくる念動波を、ジュンジュンは横転で避ける。
横転してる瞬間も念動波は次々とジュンジュン目がけて放たれ、避けきれなかった念動波が
ジュンジュンの左臑に赤い線を生み出した。
傷から溢れ出す血に構う余裕はない、体勢を整えてこの攻撃を寸断せねば。
「ハァッ!」
気を吐くと共に、ジュンジュンの手から藍色の光が放たれジュンジュンの体を覆う壁となった。
ジュンジュンに向かって放たれ続けている念動波は、壁にぶつかって消滅する。
そのおかげで、ジュンジュンは体勢を立て直すことが出来た。
ジュンジュンは自分の周りを薄く覆う藍色の壁に手を添える。
瞬間、壁は光り輝き勢いを増して女の方へ飛んでいった。
その攻撃を、女は自分の念動波にこめる力を上げることによって相殺する。
「へぇ、念動力をこう使うんだね、ジュンジュンちゃんは。リンリンちゃんは私と同様波系で使うけど、
ジュンジュンちゃんは壁系なんだ。」
「自分ノ力を自分の使いやスイように使ウ、リンリンにしたってそレは同じコト。
同じ念動力使いナラ分かるだろウ、念動力は使い手ノ使い方次第デどんなことモ出来るとイウことは」
念動力は、使い手によって主に3つの能力タイプに分かれる。
一つは物質を媒介するタイプで、周りの物を飛ばして攻撃したりまたは防御するというもの。
もう一つは運動エネルギーそのものを能力に変換して扱えるタイプで、運動エネルギーそのものを
目に見える波状や弾状等にして攻撃や防御の手段にするという、物質媒介よりも攻撃性・防御性に富んだもの。
最後の一つは、上記2つを両方行使できるタイプである。
使い手の想像力がそのまま、見た目に反映されて具現化する。
ニヤニヤと笑う女を目にして、ジュンジュンは呼吸を整えた。
冷静にならなければ。相手のペースにのせられては、体力も精神力も無駄に疲弊してしまう。
「さすが、リーダーに次いで2番目に年上なだけはあるのね。さっきと比べると、随分
落ち着いてる。戦い方を知ってるっていうのは高評価だわ。でも、これを見て落ち着いていられるかしら」
ニヤニヤと笑う女の後ろの方に、金髪の女性が現れる。
その女性は、肩に何か担いでいた。まるで、人のような―――肩に担がれているのが何なのか
分かった瞬間、ジュンジュンの体を激しい怒りが駆け抜けた。
獣化したジュンジュンの咆吼が結界の空気を振るわせる。
「共鳴しないリゾナンターの強さを把握したくてね。仲間を呼べない状況にした上で、そこのRと
サシで戦わせたんだ。すまないね、Rは加減を知らないから」
「えー、加減したわよ、よっすぃーからみたらそうでもないんだろうけど。
さて、ジュンジュンちゃん。早く私を倒さないと、リンリンちゃん手遅れになっちゃうかも」
その言葉が引き金となり、ジュンジュンは女の方に突進した。
普通の人間であれば、避けることはほぼ不可能な速度で突っ込んでくるジュンジュンに
女は狂ったかのように念動波を撃ち続ける。
人間状態のジュンジュンであれば、その攻撃で体を切り裂かれていただろう。
獣化したことにより、ジュンジュンの体はある程度の念動攻撃では傷一つ付かない状態になっている。
リンリンを傷つけた女に対する怒りの衝動、それに突き動かされるジュンジュンにとって
女の念動波は蚊に刺された程度の痛みしかもたらさない。
その前足を、女は片腕で受け止めた。
数秒の押し合いの最中に、ジュンジュンはもう片方の前足を振るう。
それも、女は空いた方の片腕で受け止める。
力と力による、膠着状態。
「しかし、リンリンちゃんもなかなか馬鹿な子よね。1人で私に勝てるわけもないのに、
何度倒しても起きあがってきてさー、本当、うざかったわ。大人しく意識手放しておけば、
あそこまで傷つくこともなかったのに、本当、馬鹿過ぎて話になんない」
女の挑発は、ジュンジュンの怒りを増進するのには充分だった。
ジュンジュンの両前足にかかる力が瞬時に強くなり、女の両腕を押しのける。
両腕が押しのけられるのと同時に、女は素早く後ろに飛んでその鋭い爪を一旦は回避した。
だが、それを読んでいたジュンジュンは一瞬で距離を詰めて再び女に前足を振り下ろす。
爪の先が、女の胸の辺りから露出した腹にかけて赤い筋を数本描いた。
その前足が女に届くより前に、ジュンジュンはその場に足を付いた。
ニヤリと笑う女、ジュンジュンの背中から溢れ出す血。
「さっき自分で言ったこと、もう忘れちゃったの?念動力は使い手の使い方次第で何でもできるって
言ったのは、ジュンジュンちゃんなのに。獣化すると、頭が馬鹿になっちゃうのかしらね?」
ジュンジュンの背で鈍く輝くのは、血に濡れた大鎌だった。
女はジュンジュンに気付かれないようにあらかじめ大鎌を結界内に隠し、念動力によって
ジュンジュンの背中に加速をつけて引き寄せたのである。
物質媒介型の念動力、物質をエネルギーで自在に操る技がここにきて活きた。
一度リンリンと共闘し、先程も念動波でやりあった女。
ジュンジュンに、女が意図的に植え付けたイメージ―――エネルギー変換による念動力使い。
そのイメージを植え付けられたジュンジュンがこの攻撃を読むことは不可能だったに違いない。
ましてや、ジュンジュンはリンリンを傷つけられたことによって平静さを失っている状態。
この攻撃を回避することは、未来でも読めない限り不可能だった。
柔らかそうな肢体を一瞥すると、女は柄に手をかけて大鎌を一気に引き抜いた。
予想外の出来事に対するショックと傷の深さに、ジュンジュンはその場に膝をつく。
褐色の肌に、ジュンジュンの背中から吹き出した血がかかった。
顔に付いた血を手の甲で拭き取り、女は冷笑する。
「なかなかいい格好ね、まぁ、私と比べると幾分落ちる体つきだけど。この私に傷をつけた罪、
きっちり受けてもらおうかなー。殺さなきゃいいのよね、よっすぃー」
「あんまりやりすぎるなよ、ボスの今後のお楽しみを奪うようなことがあったら命がヤバイぜ」
「分かってるわよ、心配しなくても。私だって死にたくないしね」
「じゃあ、好きにしな。ヤバそうになったら、あたしが催眠でお前の動きは止めてやるから」
金髪の女性の言葉に、女は心底楽しそうに笑った。
闇に魅入られた者特有の、強力すぎるまでの破壊・殺戮衝動。
それに心を委ね、女は能力を開放する。
立派に用を成した大鎌を投げ捨て、手から闇色の念動波を撃ち出した。
「ああああああああああああ!」
意識を手放しかけていたジュンジュンの上肢に、鮮やかな赤い線が大きく一つ走る。
吹き出す鮮血に、女の体は再び赤に染まった。
それを気にとめるでもなく、女はジュンジュンの髪の毛を掴みその顔を自分の方へ無理矢理向けさせる。
多量の出血により、ジュンジュンの顔は血の気が引いて青くなっていた。
このまま、誰も助けを呼べない状態で放置されたら確実に死に至るであろう傷。
女は、ジュンジュンの顔を見ながらその傷に指を差し込みなでるように動かす。
傷口に走る熱い痛みに、ジュンジュンは意識を手放すことを許されない。
目尻を伝う涙が、闇に煌めいた。
「おいおい、あんまやりすぎるなって言っただろ。自慢のボディに傷つけられて腹立つのは分かるけど、
それ以上やったらそいつ死ぬぜ。」
「んー、分かってるんだけど。ちょっと止められそうにない感じだから、よっすぃーお願いね。」
「ったく、これだから攻撃系能力者は手間がかかるんだよ。」
闇色の光に包まれた女は、そのままその場に崩れ落ちた。
崩れ落ちた女を、金髪の女性は重さを感じさせないくらい軽々と持ち上げる。
金髪の女性は、ジュンジュンの方に視線を向けた。
地面に崩れ落ち赤く染まった肢体、両頬を濡らし続ける涙。
凄惨な姿を見ても、顔色一つ変えることなく金髪の女性はジュンジュンに言葉をかける。
「ジュンジュン、だっけ。まだ意識があるか分かんないけど、一応言っておくよ。
リンリンはまだ大丈夫だ。君よりもひどい状態だけど、睡眠状態にすることで体力の消耗を最低限にする
方向に持って行っておいたから。今ならまだ助かるはずだよ」
「…な、ぜ、そんなコト、を、すル?」
「ん、うちのボスの楽しみを奪わないためにってことでね。勝手に君達を殺すわけにはいかないんだ、
Rはともかく、あたしの仕事は報告されているデータと実際の君達との間にズレがないか確認することだから。
君のデータと実際の君にズレがないのは確認できたし、リンリン、久住、光井も確認がとれてるから
…次はやっと田中、亀井、道重の3人かな、予定だと君より先にやっておくことになってたんだけども」
「他ノ、皆を、こうイ、う目には絶対、遭わせ、ない、絶対にジュン、ジュン、お前達ノ、やるこト、止める」
今にも途切れそうな意識の中、ジュンジュンは必死に立ち上がって金髪の女性に手を伸ばす。
気力のみで手を伸ばすジュンジュンに、金髪の女性はその手を取って握り返した。
思ってもいない行動をされ、ジュンジュンは金髪の女性を訝しげな目で見つめる。
心なしか、金髪の女性の顔は悲しみの色が浮かんでいるような気がした。
「今の君達じゃどうやったって止めれないよ、共鳴や助けてくれる仲間に依存して
自分自身の元の力をさらに高いレベルへと引き上げようとしないのなら」
金髪の女性から闇色の光が放たれ、ジュンジュンはその場に崩れ落ちた。
2人はさすがに重いんだろうなと言いながら、金髪の女性は空いた方の肩にジュンジュンを担ぎ上げる。
ジュンジュンの血で服が汚れることを気にも留めず、金髪の女性は離れたところに横たえられていた
リンリンの側まで歩み寄り、ジュンジュンをその隣に横たわらせる。
ジュンジュンの頬に伝う涙を手の甲でそっと拭い、金髪の女性は闇へと消えた。
瞬間、共鳴の声を封じ切っていた結界は消えさる。
同時に、リンリンとジュンジュンから無意識のSOSが他のリゾナンター達へと放たれた。
その声の力のなさに、重大なことが起きたと判断した7人は声のする方へと走る。
声のする場所までたどり着いた7人が目にした光景は、あまりにも凄惨だった。
血に赤く染まり地面に横たわる2人に、誰も言葉を発することが出来ない。
敵との戦いで傷つくことはこれまでにも多々あったが、意識不明の重傷を負わされることは今まで一度もなかった。
今までにない緊急事態に、誰もが何かが起こるのだと予感せずにはいられない。
その場に座り込み震える自分の肩を抱きしめる絵里、2人に駆け寄り治癒能力を全開にするさゆみ、
その手を取ってさゆみの力を更に増幅するれいな。
愛は無意識のうちに、隣にいた里沙の手をキツくキツく握りしめる。
ジュンジュンとリンリンの容態に気を取られた愛は、気付かない。
そのキツく握りしめてくる手を、里沙はけして握り返そうとはしなかったことに。
糸のようだった雨はいつしか大雨にと変わり、9人を濡らしていく。
―――雨によって冷えていくのは、けして体だけではなかった。
更新は以上になります
ジュンジュンメインは自分には書けないので嬉しいです
しかしこれは確かに・・・きついですねえ・・・
でもこの独自の世界で展開していくストーリーの先が楽しみです
これ以上の称賛を私は考えつかない。
鬱展開、乙でした
しかもこの先更にヤバイ事になりそうなw
この作品は救いが無く闇色に満ちています
でもそれは希望の光と共鳴の青色に彩られた物語を描く為に必要なステップだと信じて作者さんの次作、次々作を待ってます
『 the revenger』の話で魔女狩りの代償として思考を調整されるという設定が出ていたが、それとも微妙にリゾナントしてるか
時系列は異なるけど
精神的にも肉体的にも痛めつける作者のドSっぷりw
…続き待ってます
>>84
初のジュンジュンメインなのにこんな話で申し訳ないです
今後も見守ってやってください
>>85
そう言っていただけて嬉しいような本当申し訳ないような不思議な気分です
>>86
この先ヤバイことになります断言します
希望の光と共鳴の青色に彩られた展開に持って行くまではもうしばらくかかりそうです
しばらく辛い展開が続きますがご容赦ください
>>87
言われてみればそうかもしれませんね
彼女の今後の動きにも注目してください
>>88
ダークネスの目的はもうしばらくは内緒です
ドSな作者と言われたのは心外です嘘ですドSと言われても仕方のない更新でした
続きはまったりとお待ち下さい
そろそろ投入させていただきます・・でわ
楽屋を出る なつみの顔に笑顔 手にはあの虫かご 長い廊下の先 メンバーは今 円陣を組む
『さッ 行ってらっしゃい! リゾ・・・いやモーニング娘。!あなた達と共に戦ったファンのもとへ』
リゾナンター・・そう人々は 協力した代償に【リゾナンター】の記憶が抜け落ちていたのだ
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17097.jpg
「リゾナンターはその役目を終えた・・そう・・これで良かったのよ・・・」
世界を悲しみから救う為に払った代償 9人の頭にもポッカリと穴が開いている様で・・
―――――その頃ファン達は何故か 同じ色のサイリウムを手に・・・
『もう 売り切れそうですっ! すみません 補充お願いします 急いで!!』
-もう 忘れている筈 だけど ねえねえ だけど まだ 覚えている筈 あのカラー-
何故か9人は今までに無い胸の高鳴りを感じていた 愛はあのテープの言葉を思い出すのだった・・
ttp://hello.uh-oh.jp/cgi-bin/aaa/img/hell57892.jpg
「『かなしき者達は胸の高鳴る方へ・・』この事だったのね 皆行くよ ファンのみんなの所へ」
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/15/toro15441.jpg
暗転 9人はステージ 幕が上がり 開演 一階 二階 三階 埋め尽くす 青青青
ステージの画面に映し出された 揺れるボードの文字 [忘れる訳 ないじゃないか!]
「愛ちゃん・・綺麗なリゾナントブルーだね」「うん 私達も忘れてなんかいないよ・・絶対に」
-ステージ中央 スポットライトは要らない みんなの思いが届くから-
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17097.jpg
「この曲はあの時のみなさんの思いを感じて出来た曲です それでは聞いてください・・・」
「モーニング娘。そしてリゾナンターの新曲・・・・」
次回かなしみ戦隊リゾナンターR最終話「Never Forget」
ttp://toromoni.mine.nu/up/files/data/17/toro17096.jpg
けして わすれない この むねのたかなりを・・・
「リゾナント・・・ブルー・・・・を」
最終話泣けた。・゚・(ノД`)・゚・。
最終話予告お疲れ様でした
涙が止まらないです…素敵な予告をありがとうございます
部屋で青いサイリウム振っとく
2周目完走乙彼さまでした! すげーよあんたほんとにすげーよ
そして泣いた。・゚・(ノД`)・゚・。
取りあえず今日名古屋で使った青サイを振ってみる
これ実際に放送されてたら100%泣いてます
今?泣いてないよこれは涙なんかじゃないんだから!
という事でリゾナンター&リゾナンターR 全71予告の私の妄想は終わりです
あくまで予告なので合間の内容などは 読んでくれた方がそれぞれ妄想してもらえると
人それぞれ違ったお話になって面白いと思いますし それが予告だけ書く良さだと思います
結構内容詰め込み過ぎて 予告じゃ無くなりそうな回もありましたが・・w
初期にひょっこりで予告をとレスされた時は正直苦しかったよw
けど今思うと それを作ろうと思ったから最後まで行けたんだと思います
今後は書けたら小説も書きたいし 本当は文より絵の方が得意?なので(最近まったく描いてない)
うpの仕方とか全然分かんないけど勉強して投稿したいです(出来たとしても当分先です・・かなり)
言える事は 自分は今まで他ではレス1つ返すぐらいだったけど 初めて作品を書いていく内
真剣になって考えていく自分がいて 何と言うか このスレのおかげでスキな娘。が
好きな娘。に変わりさらに大好きな娘。になっていた事です!
そして 皆さんもこの9人が大好きな事!!
・・・ >>95 自分も名古屋行っていましたw
・・・実はひょっこりで予告作ってとか言い出したの自分です申し訳
まさか本当に全作作ってくれるとは思ってませんでした 継続は力なりですね
小説でも絵でもまた期待してます! あ、かなしみ戦隊Sでもいいですよw
最後の最後まで気を抜かせないその構成力と表現力に脱帽です
最後がネバフォゲなのはわかってましたが(まとめサイトで穴を探して)こう絡めるとは…
まとめちゃんとしては全71作をキレイに並べることのできる喜びを噛みしめつつ
明日にでもうp作業をしたいと思います!
…でも最終話がどれだかまとめサイトじゃわかんないんだよなぁ( ;´д`)
確かにひょっこりから膨らますのは大変だったろなwww
乙です!絵も楽しみにしてます
しまったwので封印ですwサーセン!自分でもこれは・・と思っちゃいまして
まとめちゃんいつも乙かれですー!まあ・・探すのも楽しみと言うことで・・w
そしてかなしみさん超乙です
前スレ>>595 がすごく好きでした
>>103 ありがとう御座います!書いたかいがありました本当
合体事故・予定と異なる戦隊 暗黒神ダークネスが作成されました。w
羊でやれ
ガキさんにかけられた呪いが解ける
こんにちは巨乳ガキさん
そしてさようなら
さようなら
言い残すことはありますか?
さようなら・・・
守らねばならぬ 汚してはならぬ
今から読んできます
あのクオリティであの量はほんとすごいとしか言えません
お疲れ様でした!
次は全ストーリーの挿絵付けに挑戦なんですね
これまたすごすぎです!(鬼かw)
あー 聞こえない あーあーw
では今週夜勤なんで寝るっす・・アーッ!
ってゆーかやってるのか?
いやーしかし挿絵はほんと楽しみです
でも早く描いていかないと作品が増える一方で追いつけないですよw
最近泣ける&重い話ばかりなので笑える系orほのぼの系キボンヌ。
などと死語でリクいたします。
>>123さんには申し訳ないけどほのぼのにはほど遠いです
初めて愛が本格的に戦闘に参加するその作戦は、多方面連携してここで一気に敵を殲滅するものであった。
敵本陣に向かう先鋒に愛とあさ美、サポートに後藤と安倍。
他のメンバーはやはり数人ずつで敵の各拠点をそれぞれ向かう。
作戦は徹底的に練られ、穴がないか何度も慎重に検証された。
そして、いよいよ決行の日を迎える。
(おかしい、手応えがなさ過ぎる。)
敵のアジトに辿り着いたものの、愛は違和感を感じていた。
「ちょっとあっけなさ過ぎるよね。」
違和感を感じていたのはあさ美も同じだったようである。
「うん。見てみぃ。さっきから下っぱしかおらん。」
偵察部隊からの報告によればここが本部で間違いないはずだ。
なのにさっきから現れるのはまるで顔に下っぱだの二束三文だの書いてあるかのような下級戦闘員のみ。
何か重要な見落としがあるんじゃないかと言う想いが頭を掠めたその時-。
「愛ちゃん、あれ、、。」
そこは明らかにここの中枢と見られる空間。
だが人のいる気配は全くなく、代わりにそこにあったものは、
「あれは、ライトンR30!アサ=ヤン研究室で開発していた筈の新型爆弾が、なんでここに、、。」
あさ美が驚くのも無理はない。
自分達の組織内部で研究中、当然最重要機密だったものがここで稼働しているからである。
しかも、研究中だった筈なのにそこにあるのは完成形である。一体何が、、、。
突然鳴り響く警報に思考は遮られる。
背後の入口にはシャッターが下り、その禍々しい物体に取り付けられたパネルに表示された数字は、刻一刻と少なくなっていく。
「まさか!」
「うん、時限爆弾だと思う、、。」
「待って、逃げても無駄。これがほんとにあの爆弾なら、これが爆発したら周辺10kmには影響が、、。」
「えええぇ、どどどうしよ!そんなんが爆発したら、、。」
「落ち着いて。研究室にはあたしも出入りしてたから多少は分かってる。多分解除出来ると思う。」
ただし間に合えばの話。表示された時間はあと3分を切っている。
解除作業に集中するあさ美を見守りながら愛は考えていた。
誰がどう見てもこれは罠である。自分達をおびき寄せて一掃するための。
だが今回の作戦の決行タイミングは自分達ですら直前に教えられたのである。
加えてこの新型爆弾。どう考えても組織に内通者がいるに違いなかった。
一人か、もしくは複数、、。
そうこうしているうちにカウントは既に1分を切っている。
もし解除が間に合わないのであればそろそろ逃げなければいけない。
自分だけなら10km以上先までテレポートすればよい。だが、それではあさ美は助からない。
とはいえ迷うことはなかった。
あさ美なら必ずやってくれる。
普段はおっとりしているように見えるがここ一番という時にはやることはやると、そう信じていたから。
ようやく解除作業を終えた時は、カウントは既に「002」を表示していた。
「ふぅ。危機一髪やったね。」
ほっとしたその時、再び警報が鳴り響く。
壁のモニターらしき画面に流れる文字を読むあさ美。
「愛ちゃん。この基地崩壊するって。」
「ええぇやべーじゃん!」
ほどなく敵のアジトは地響きを立てて崩れ落ちた。
「愛ちゃん。」「うん」
自分達が罠に掛けられたと言うことは、他のメンバー達の身も危うい。
2人は早速各方面に飛んだメンバーと連絡を取った。だが、、。
通信機は軽いノイズが入るだけで何も応答しない。
とはいえもとよりこの状況で通常の通信など当てにしていない。意識のアンテナを広げて呼びかける。
(-誰か、答えて誰か-)
しかし、何度呼びかけても誰からも応答は帰って来なかった。
そういえばすぐそばでバックアップに付いているはずの安倍と後藤の姿もない。
諦めかけたその時、2人の頭にかすかな意識が飛び込んできた。
『-誰、、こちら本、、、後、、が、、』
「先に行って!愛ちゃん!あたしもすぐ追いかける。」
「おう!」
本部に何かあったと直感した愛は瞬時に光に姿を変える。
敵の狙いはこれだったのか。自分達をおびき寄せて手薄になった本部を叩く寸法。
基本と言えばあまりに基本過ぎる作戦だが、仮にもアサ=ヤン本部である。
M。が出払っているとはいえ能力者の一人や二人は迎え撃つ体制は整っているはず。
なのに、愛の胸騒ぎは止まらない。それは、愛の後を追うあさ美も同じであった。
生きているのか死んでいるのかそこここに倒れている本部達。
「あたしが敵なら狙うのは-」
愛は真っ直ぐに中央指令室に向かった。
「大丈夫!しっかり!一体何があったの!」
まだ僅かに意識のあるらしい隊員を見つけ、特に致命傷は無いことを確認して揺り起こす。
「ご、後藤が、、」「後藤さん!?」
後藤に何があったのか。そう問い質そうとした時、愛は視線を感じて頭を上げた。
大きな穴が空いた天井から見える満月。
外に燃えさかる炎に照らされて自分を見下ろす無表情な、しかしよく見知った顔。
身に纏ったオーラは微かに青く光り、背後にまるで蝙蝠の翼の様に形を取る。
まるでマンガに出てくる悪魔、いやあれは-。
「後藤さん、、。」
そこに立っていたのは紛れもない後藤真希、その人であった。
「安倍さん!」
しかし返事はない。安倍は意識を失っているようだ。
いつもよりも増して冷たい視線を投げ、彼女の口が開く。
「-やっぱりあんたが来たんだね。」
「なんで、これどういう事ですか!」
「ハッ」鼻で笑う。治らない癖なのだと言っていた。
「見てわかんないかな。そう、アタシがやったの。」
「・・・!」
「ダークネスへの手みやげっていうかね。これくらいはしていかないとね。」
「これも!この火も倒れてるみんなも全部!」
「そうだよ。じゃあね。アタシは行くよ。」
「どうして!一緒に戦ってきたじゃないですか!これからも一緒にって、、!」
「あぁーもう!」
半泣きで非難する愛に苛ついたように吐き捨てる。
「そういうのウザイから。飽きた。だからもう正義の味方ごっこはおしまい。」
気を失ったままの安倍を抱えて消え去ろうとする後藤に向かって叫ぶ。
「安倍さんを離せ!」
「そうはいかないよ。なっちは連れて行く。」
「させるか!」
咄嗟に能力を使うのも忘れ、思わず飛びかかる。
しかし能力戦ならともかく体術は圧倒的に後藤の方が上だ。
素早く背後に回り込まれ、当て身と念動力による衝撃波を至近距離からモロに喰らって、愛はそのままその場に崩れ落ちた。
薄れゆく意識の中、彼女は確かにそう言った。
「バイバイ、またね愛ちゃん。-いや、、、i914。」
忌まわしい記憶と共に封印した筈の名前。
アサ=ヤンの誰にも話したことのないその名を呼ばれたことで、愛は理解した。
後藤は闇に堕ちたのではない。
単に元来た場所へ帰っただけの事なのだ。-
(つづく)
3話構成の2話目後半(前スレ>>913-916が前半)というとこですが、
あと1話くらいできっちり終わるんかなこれ
続きが気になーる
客先での仕事が長引きに長引いて帰宅が0時ごろ予定_| ̄|○
明日は…明日こそは…。・゚・(ノД`)・゚・。
明日は誰にだってあるんスよ
いつもお疲れ様です
ダークネスな健康にならぬよう…
きっとそのお客さんはダークネスの…
いやいや身体最優先で頑張って下さい
もうまとめちゃん1人の身体じゃないんですからw
満月の下、炎に照らされ禍々しく、それでいてどこか美しく立っている後藤真希の映像が映画のワンシーンのように浮かびます
独自の世界のストーリーの今後に期待しています
続き楽しみにしております
「error!本文が長すぎます!」とか言われました
分けて上げてみて思いました
そらそう言われるわと
多分読みに行った人の半分以上は見ただけで読む気をなくすかと思われますが適当に流し読みをお願い致します
あとがき読ませていただきました
深いところまで考えて書いてらっしゃるんですね
凄く刺激になりました
自分もがんばらねば
こんなのガキさんじゃないやいシリーズ第4弾を23時くらいに投下したいと思います
注意書きはまた後ほど
乙でした
がきさんのスパイとは違い、全く何にも感化されず完璧に職務を遂行していったんですね。 恐るべし
デビルごっちん誰かイラスト書いて欲しいなぁ・・・
>>141
もしかしてあのブラックギャグの人ですか?楽しみにしてますw
注意事項は下記の通り
・ノーマルギャグ(ギャグになりきれてない気もします
・こんなのガキさんじゃないやい(今回ガキさん壊れてます
・微妙なところで続きます
それではしばしお付き合いください
己に自己暗示をかけるかの如く、里沙はひたすら心の中で任務を果たさないとと呟き続ける。
そうでもしないと、精神的疲労が激しすぎてパンクしそうなのだ。
バナナ1本でマジゲンカ寸前とか、加減して殴ろうとして気絶させちゃうとか、リアクション見たさに
転ばされたりとか、ささやかな胸を揉まれるとか、付き合ってもいないのに浮気とか言われるとか。
まぁ、とてもじゃないけれどふざけるなこの野郎って気分なのは仕方のないことだ。
凹まされてもくじけない、そうじゃないと世の中渡ってはいけない。
くじけてもすぐに気持ちを立て直さなければ、いつまで経ってもこの嫌な気分からは抜け出せないのだ。
そう、こんなことは慣れている、ダークネスで数年怖い先輩達に揉まれ続けたのだから。
「で、今から何しようってわけ?」
里沙の疑問の声が、9人いると若干暑苦しいリビングに響く。
いつの間にか、下にいたはずのリンリンも2階にあがってきたので全員集合と相成ったわけだが。
愛を上座にテキトーに座る面々を見る限りは、何か話し合いのようなものが開かれるようだ。
両手にさゆみと絵里をはべらせた愛が、無駄に爽やかに笑ってこう言った。
「第259回目くらい、リゾナンター会議を今から行うんやよー」
「へぇー、あ、そう」
会議なのは分かった、だが何故何回開いたかを正確に言えないんだこのリーダーは。
っていうか、何を話し合う必要があるのか全く分からない。
個人的に言いたいことなら沢山ありすぎるくらいなのだが、会議ともなるとやはり
そういう発言は出来ないし。
何を話し合うのかは知らないが、こういうところで思わぬ情報を得られる可能性もある。
里沙はツッコミモードから一気にスパイモードへと頭を切り換え、会議の開始を待つ。
「えーと、今日の会議の内容なんだけどもー、リゾナンターに入って日の浅い里沙ちゃんのために
今日は里沙ちゃんから皆に聞きたいことがあったら何でも聞いてねってことにするやよー」
「何でも聞いていいんだ…ふーん」
「あ、でも内容によっては答えがもらえないこともあるがし。これでも、超能力者組織やから
機密事項もあるんよ。まだ日が浅い里沙ちゃんにはちょっと話せないこともあるし、そこは
勘弁してほしいんやよ」
っていうか、これってかなりチャンスだよね。
質問の仕方さえちゃんとしてれば、貴重な掘り出し物クラスの情報が得られるかもしれない。
そう思ったものの、里沙はやはり自分が聞きたいことを聞こうと思った。
と、いうよりも機密事項はいずれ教えてもらえるだろうし、今は自分の主張を言っておかねば気が済まない。
スパイとしてしっかり任務を果たさないと、という思いは日頃の思いをぶちまけられるチャンスに跡形もなく消え去った。
「じゃあ、質問その1。何で、超能力組織なのに超能力戦隊って名乗ってるわけ?
組織なのに戦隊っておかしくない?」
「あー、それさゆが言い出しっぺなんです。オーラの色が、何だか戦隊物みたいだって話で盛り上がったから
じゃあ、組織の名前を超能力戦隊リゾナンターとかにしたら面白いかなぁって」
「言わせてもらってもいいかな、密かに戦隊物好きな女子として」
「どうぞなの」
「戦隊は5人しか認めません、9人とか多すぎ。4人は基地に待機して5人のバックアップとかなら
まだ許せるけど、全員がメインなのはおかしいと思う。学芸会で全員がシンデレラやるような
そんな違和感を覚えるので、戦隊って名乗るのはやめるべき。なお、超能力戦士リゾナンターに
改名するなら、9人でも何ら問題はないと思う、以上!」
一気に言い切って、里沙は少し息をつく。
以前から気になっていたことの一つに対する解答を得られた上、その解答に対する主張が出来たことで
里沙は小さな満足感に浸っていた。
ちなみに、戦隊物は5人じゃないと駄目なのに戦士となると9人でもいいという理屈は
里沙の好きなマンガ「美少女戦士モーニングムーン」の影響である。
モーニングムーンも最初のクールは5人+頭に太陽の模様のある猫という構成であったが、クールを
重ねる事に1人また1人と増えた。なので、戦士ならば5人以上いても問題ないというのが里沙の主張である。
1人満足げな里沙だが、他の8人はというと。
モーニングムーンを知っているのか、その主張にウンウンと頷いているリンリン。
後の7人はというと、惚けた顔で里沙を見つめている。
リゾナンターの中で唯一の常識人という認識が、この主張で崩れたことに里沙は気付かない。
気付かないまま里沙は一気に主張を続ける、さっき以上って自分で言い切ったというのに。
後、移動用のバイクとかさー。後、リーダーはレッドじゃないと駄目だし、イエローはカレー大好きじゃないと
許せないし、グリーンは陰が薄いんだけどいい人じゃないといけないし、ピンクがヒロインだけどピンクは
もうちょっと可憐さの中に気の強さが見えて欲しいし、後ブラックがいないのはおかしい!
ブラックのいない戦隊物なんて胡椒のかかっていない醤油ラーメンくらい味気ない!っていうか」
「ガキさん、落ち着くっちゃ。熱い思いは充分伝わったけん、とりあえずいつものガキさんに戻ってほしいっちゃ。
ブルーは沈着冷静・頭脳明晰キャラだけどれーなには合わんよね…」
「まさか、ガキさんが戦隊物オタだとは思わなかったの。とりあえずその理屈で行けばヒロインはさゆしかいないの。
唯一のヒロインだから皆にモテモテ…さゆにこれ以上ないぴったりな設定なの」
「えー、オレンジとかどうしたらいいのー?絵里だって何か役割欲しいよ、ピンチに颯爽と駆けつける憎い奴とかー、
決め台詞つきで超強い必殺技とか出しちゃって、一躍一番人気になるの」
「やった、小春がリーダー!やったやったー!主人公主人公!」
「…パープルとかどないしたらええねん。あれか、パープルはレッドとブルーを足した設定なら問題ないん?」
「ジュンジュンの色、何キャラになるダ?」
「リンリンは陰薄くないヨ?本当だヨ?バッチリデース?」
「あーし、別にカレーそこまで好きじゃないんだけどどうしたらいいわけ?里沙ちゃんの好みの女になるために、
好きでもないカレーを大好きって言いながら食べるべきなわけ?」
女3人で姦しいと書くが、女9人だとカオスなことになるもので。
第259回目くらい、リゾナンター会議(というより、里沙の主張大会)はまだまだ続く。
更新は以上になります
本当ブラックギャグにしてもただのギャグにしても難しいですねorz
ガキさんのヲタっぷり最高
仕事の疲れが一気に吹き飛びましたが
自分の作品ができあがるかどうかはまた別の話デスw
>ブラックのいない戦隊物なんて胡椒のかかっていない醤油ラーメンくらい味気ない!
これは戦隊物ヲタとしてはどうかと・・・
初期のにはブラック居らんし・・・
>女3つで姦しいと書く
ちょうど“姦”という字が9画
リゾナンターも9人w
正に収集が付かない訳ですねwww
更なるかしましさの続きを楽しみにしてますw
面白かった
このところヘビーな作品が続いて、勿論それはそれで読み応えがあって有り難いが、こういう作品もこのスレの魅力だと思う
ただ「戦隊は5人しか認めません」って現在放映中のゴーオンジャーは7人で、更に追加の噂があるし、マジレンジャーも最終的に小津ファミリーとして8人にまで膨れ上がったしw
…なるほど、リアクションだけでなく戦隊の知識も昭和だ
こういう作品が書けるのは本当にすごい
というか涙出てきましたw
のっけから重い話を上げてしまったのでその意味でもありがたいです
ブラックギャグだけではなーと思ってちょっと色気を出してみました
153さんのツッコミはネタとして使えそうなので次回にでもこっそり使わせてもらいます
作者が無知な故にこういうツッコミは助かりますありがとうございます
ガキさんの基本スペックは昭和です外せません
そしてジュンジュン話を書いた人物と同一人物で申し訳ありません
今後もぼちぼちとやらせてもらいます
ガキさんと違って昭和にだってボインはいますー
言ってやりましたよ、ガキさん!
え?なんすか自分の首のこの縄…え、あ、ちょっと…
そしてそれはなんだかとてつもなくエロい響き
ガキさん お試しあれ
「8番テーブル、ドンペリはいりまーす」
「あーりがとーございまーす!!」
これ、たぁのしぃぃ!早く次の注文はいらないかな、入らないかな!!早く言いたい!
「おい!ご指名だ!」
「はい、行ってきます!」
こんにちわ、みなさーん!久住小春です。
今、ホストクラブに潜入してまーす。別にダークネスは関係ありませーん
最近、高橋さんの様子がおかしいんです。小春は思わないんですけどね。
どうも、夜遅くに帰ってきたり、ちょっとお酒臭かったりするらしくて。
みんな心配してるんですけど、
ほら、高橋さんって溜め込むタイプなんですよ。これ、新垣さんの言葉ですけど。
とりあえず、どこに行ってるかだけでも調べようって話になったんですが、
何せ高橋さんは消えますからね、消えてぴゅんです ぴゅんできゅいんです
だから、足取りを追うのは田中さんでも無理なんです
そこで、小春の出番ですよ。もうむっちゃくちゃ念写しまくりました。
今までの人生で一番、苦労しました。一番小春が頑張りました。
「ちょ、小春、これって…」
その中の一枚、それに驚愕の事実が…
って、もう冒頭で言いましたからわかりますよね。
そう!高橋さんが人目を忍んでこのホストクラブに入ってくる写真でした
もう、田中さんとミッツィと三人でとにかく焦っちゃってー
新垣さんに見られないように、いつものロフトでこしょこしょ話ですよ
何かの間違いであって欲しかったですけど、
小春が一番自分の力、わかってますからね
ざんねんむねんです おしいひとをなくしました
「ど、どうします…」「どうしよ…」
慌てふためく2人のために、小春は宣言しました
「小春が、潜入します。高橋さんをー、説得しまーす」
反対2票賛成1票で見事に可決。
今小春は、顔の表面にナンバー2の人の顔をくっつけてます。
だいじょぶです、ホントのナンバー2の方も接客してると思います、幻覚の中で。
本当はそこ、おトイレです。
うーん、でも今日ナンバー1になっちゃうかもなー
小春こういう話術むちゃくちゃ得意ですからね、一番得意ですから
でもさっきから、人の名前がわからなくて困ります やたら太ももに手をおかれてこしょばいです
アルマジロ買ってあげるって言われるんですがなんですかね?
ジャガーとかこの人はアニマル好き?アニマルって動物ですよ。
小春それよりチョコが良いんですけど…
きゃー!!!
悲鳴が聞こえました。出撃?出撃?!
そうワクワクしたのに、現実は残酷です。
ナンバー1の人の机で何人かのハートが打ち抜かれただけでした。
さっきからこんなのばっかりです。
あの人そんなカッコ良い人なんでしょうか?
小春のテーブルとちょうど背中合わせで、まだ顔見れてないんですよ。
よくわからない会話ばかりで、小春疲れてきました。はいはい、好きです、好きです
あーもう、いつまでこんな調子でしょうか?
ぎゃー!!!
また、ナンバー1か………
「我らはダークネス!地上に絶望を齎す至高の集団だ!」
さすがナンバー1は言う事がカッコいい…って、え!?敵襲!?
慌てて入り口を見ると、見知った制服の団員達が銃器を掲げています。
脇に転がる血まみれのボディーガード。縮み上がるおねーさんたち。
震えるホスト。
銃なんて見せかけです。わからない人たちにわかりやすくするため。
本当の凶器は彼ら自身です。かなり、強い。
さすがにこの顔でやるのはマズいので、一度おトイレに戻ろうとしました
でも、隣のおねーさんに腕を掴まれそれが叶いません
「行かないでー、あたしと一緒にいてー」
逃げるんじゃないよー小春闘いたいよー
はーなーしーてー
店のパニックは留まるところを知りません。
どうしよう、落ち着け小春、おーちつけーーー
「おいおい、無粋だな。」
喧騒の中で、凛と場を静まり返らせた、その一言。
それは、ナンバー1さん。
まだ後頭部しか見えてないけど、別におかしくなったわけじゃないみたいです
あ、ああ、あぶないですよー
「なんだと、テメー、死にたいのか!?」
「ここは終わりなき、宴の場。それを邪魔する権利は、誰にも無い…ハズだぜ。」
それともなにかい?
お嬢さんたちのエスコートに慣れていないが故の過ちかい?
「そんな野蛮な出で立ちじゃ、レディのハートは射止められないよ」
うわーお!かっこいい!
でもでも、相手は能力者…このままじゃナンバー1さんが、危ない!
「死にたい奴が一人増えたぞ!」
ナンバーワンさんの米神に銃が突き付けられました。
「いいだろう!まずお前みたいな綺麗なにーちゃんを見せし…ぐふ!」
でも、言い切る前に、そいつは床に倒れこみました。
「悪い悪い、捨て台詞は最後まで言わせてやるべきだったね、雑魚サン」
首筋に埋め込まれたのは、彼の手刀。
「でもキミはボクに銃を向けた、それは重罪だ。何故かわかるかい?」
-ボクを失う悲しみを、彼女たちから誰が奪ってくれるんだい?-
「タカァァァァァ!!!」「きぃゃぁぁぁぁぁ!!!!」
耳をつんざく様な、おねーさんたちの黄色い声 一斉に彼を取り囲む、狂気の黒い筒
戦況は圧倒的不利なのに、その人はむしろ、この状況を楽しむかのようです
「そうか、生き急ぐのか。どうしても、というのならお相手しよう。
お代はそうだな、キミたちが大切にしない、その命で」
ダダダダダ…
拳銃の弾は全て、彼をすり抜けます。
彼は涼しげにステップを踏みます。ショーです。まるで、ダンスショー
「グッバイ、ブラザー。良い夢を。」
彼は小春にウインクすると、目にも止まらぬ速さで、ダークネスをなぎ倒しました
いえ。
実際、目に止まるはずは無いのです。人の眼は見得るものしか映さないから
彼…いや、彼女は、元いた場所からどこも経由することなくうごいた。ふつーの人は瞬間移動と呼ぶ、あれです。
そう、ナンバーワン、それはうちのリーダー高橋さんでした。
どうも、背の低い人だとは思ってたんですよー
にしても「タカ」って高橋の「タカ」ですか?なんにせよ、大事に至らず良かったです。
と、言うのもー、彼女の動きが滑らかに、
また人としての許容範囲に見えるように細工をしたのはこの小春です。
残像を作って貼り付けました、店にいる全員の網膜に。小春やっるー!
その後オーナーが警察に電話して、変な強盗事件として処理されることになりました
「高橋さん、どうしてあんなことを…」
聞くに、一ヶ月前に高橋さん、おじさんと道でぶつかって、骨折させて、
慰謝料1億用意しろって言われて、泣く泣くホストクラブで働くことになったと言うではありませんか
むむむ、高橋さん、それ絶対なんか騙されてます。
小春、こう見えてニュースよく見てますから、ピンときました
「よくあんなにスラっと男のフリできましたね…」
「…宝塚名場面集より抜粋やよ…」
あー道理でなんか楽しそうだった…
「帰りましょ、高橋さん。タカは今日の事件を機に悪を打ち倒す旅に出たんです!」
「なんやの、そんなどっかの戦隊ものみたいな…あ、あーしリゾナンターやったわ」
けらけら笑う高橋さん。でも、1億…なんてまだ心配そうにしています
大丈夫、事務所の住所わかってるんですもんね。コハハハハハ…
「行ってくるっちゃ!」「晩御飯までには、戻る」
やる気まんまんの田中さんと
驚くほど無表情の新垣さんがアップ始めました
「ごめんなー。あーしが行くと話し合いがこじれるんやろ?
お相手に悪いから、これ、渡しといて?」
それは喫茶リゾナント永年無料コーヒー券
「にしし…飲みにくる勇気あるっちゃろか?」
「一生忘れるなって意味になって良いんじゃない?」
田中さんと新垣さんは、不敵な笑みを配りながら、戦地に赴いていきました。
「久住さん…」
そう呼ばれて、横を見るとミッツィが一筋の涙をその頬に流しています
「あかん…今までいろんな闘いを視てきたけど、
こんなに一方的で容赦のないもんは、初めて視ました…」
詐欺、ダメ、絶対
ノリo´ゥ`リ<小春が念写した高橋さんの生写真オークションはじめまーす
从*・ 。.・)<全財産下ろしてきたの
以上>>171-177です
悪乗りしました。反省してます。
タカ カッコヨスw
ところどころ「?」と思う箇所もありつつ
リアルタイムの深夜テンションなんで笑いながら見ました
永年無料コーヒー件欲しいんすけど どうすればもらえるん
おやホゼ~
これは良い保全を見せてもらえた
我がホゼナンターも負けてはいられないな トォッ!
みっついーはひき肉とトマトソースが飛び散る18禁映像見たのか
小春念写しておくれよ
旅立つ時が訪れるのだろうか・・
と突然一人で妄想にふけつつ ホゼナント
書いてあるじゃないか
永年無料コーヒー券が欲しかったらリーダーに因縁をつければ良いんだよ
最終的には無料券が手に入るぞ
朝から爆笑しました
愛ちゃんのカッコよさと人間味あふれる間抜けさが堪能できました
タカスレは存在だけは知ってましたが・・・こんな愛ちゃんだらけなら覗いてみようかなw
だとしたら詐欺師たちは地獄を見るだろうなあ
これとか宝塚台詞なんですか?
かっけーわー
>「ここは終わりなき、宴の場。それを邪魔する権利は、誰にも無い…ハズだぜ。」
>それともなにかい?
>お嬢さんたちのエスコートに慣れていないが故の過ちかい?
>「そんな野蛮な出で立ちじゃ、レディのハートは射止められないよ」
これとか完全に惚れたわー
こんなとこ見たら絶対通うわタカんとこ
男だけど
この小春の一人称クセになりそう
あぁ、誰かさんの胸もひっそり慎ましやかで品がいいことで評判でしたね
見ると、床にロープが撒かれている。
端は、無造作に里沙の手のひらの中に納まっていた。
もう少しで>>195の二の舞になるところだった
低価格な新メニューとしてリゾプリンを考えたのだけども
ガキさんのおっぱい
ヒントになったとか口が裂けても言えないな
この企画書は早いとこ処分しておかねば・・・
>>133-134 >>139-140 >>144
ありがとうございます
正直思いついた設定消化するのに手一杯なのでもしかしたら期待はずれに終わるかもしれませんが
出来るとこまで頑張ります
新しく追加した設定もなるべく既存のものと矛盾がないようにと思いながら既に設定も山ほどあるので
都合のいいところをつまみ食いしておりますが、どうかご容赦の程
続きは、、今週中にはできるかなぁ
トップに情報量が多くなっているのが
気になるといえば気になりますかねえ
・左側はもしかしたらすっきりレイアウト実現可能。
もしかしたら大失敗に終わるかもしれない(=現状のまま
・右側(メイン部分)は初期状態で、
(1)現状の通り、各分類ごとにズラズラと全作品が並ぶ
(2)各分類に1件ごと。ただしヘンテコレイアウトになる(※下記参照)
(3)まったく何も表示させない。左のリンクから選んだ時点でようやく何か表示
(4)各分類名のみ表示してリンクを張る?(左側メニューと同じ感じ)(※未検討)
※ヘンテコレイアウト(イメージ)
きっかけ&テンプレ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・ [Template](1)001 名無し募集中。。。 2008/04/13(日) 21:44:29.34 0
・ すべてを表示
このいずれかかなー
時間がある時と思いついた時にいじってみよう
比較用レイアウト図とかも作れたら作ってみます
早くまとめやれよという意見はゴモットモですけど見栄えいじりも大事なテンション源w
もちろん今日はまとめ最優先でやりますがw
深夜にホゼナント小説を書いたものです
暗いのや悲しいのばっかり書いてて自分で沈んでたのであのような凶行に躍り出てしまいました
むしろこっちのが得意なのかな…orz
みなさん温かい感想、ありがとうございました
…ちなみに宝塚は見たことがありません。タカが好きなだけです。
川*’ー’)<コラー!!
すでに里沙の処分者メニューに名が印されていた事を・・・
-決行の日は近い-
『GAKI NOTE』
それに名を掛かれたモノは例外なく・・・
俺は信じないね!ガキさんのまな板!
ほら何にもおきねー
・・・おっ! 出前が来たようだ 今日はいつもより早いな・・・
そらあ確かにガキさんの胸は薄いさ
でもその薄い胸の中は熱い正義の炎が燃え滾ってるんだ
俺はそんな薄い胸のガキさんが好きだ
言ってやりましたぜ、ガキさん、ガキさん、そ、そのロープは…
それがガキさんのクオリティ
たかが胸が小さいくらいで
私憤のために能力を乱用するなんて間違ってるよねガキさ
ガキさんはスパイとして狭い所へ隠れたり、男に変装したりするのに便利なように特注のボディスーツで胸を締め付けてるだけなんだよ
皆騙されてるんだよ
自室へ帰ってボディスーツを脱げば、ボンキュッボ(おや天井で何か音がするぞ…
♪今に見ててよ 小さくたって 胸は胸よ
男子にだって 間違えられちゃいられない
私にだって出来るの 谷間
今に見ててよ 小さくたって 胸は胸よ
男子にだって 間違えられちゃいられない・・・
(#・e・)<こっちはそれどころじゃないのだ!
そんなガキさんの仕事を減らす為に今日だけは
ガキさんの胸の無さは奇跡!なんて言わないいいぞぞぞぞ
おかしいなうでがおもうようにうごかない
それはリゾナンターたちを守ることにもなる
だから俺は敢えて叫ぼう
ガキさんの無乳微乳貧乳を
まずは第9話突入に伴い恒例の…
・現行スレ更新
・dat追加
過去ログは1~7話までの分はログまとめサイトに上がっていたのでそちらを
第8話は従来通りwww.23ch.infoから
てことで左側が若干すっきりしたかもしれない
みんなガキさんと仲良しさんなんだなぁハッハッハッ
その間にちゃちゃっとまとめてくるからまたあとで会おう ノシ
全滅しないうちに戻ってきてくださいw
>>857
・ログまとめページトップにリンク張る
これでお願いします。
時間を見つけてトップページも作り直しますので
863 まとめちゃんヽ( ゚∀。)ノ 2008/06/21(土) 00:48:33.27 0
>>862
イェッサー
明日にでもやっておきます
明日っていつだよまとめ…
『みかん』と『あたしがあたしでいられる場所』書いたものです。
パソコンクラッシュしてしまい、あたしが~が消えちゃいました。
待ってる人いないだろうけど、もしいたらごめんなさい。
書いてくれる危篤な人がいたらよろしくお願いします。
パソコン直り次第、また書いてみます。
でも…ちょっと苦しいwww
ステキなレクイエムになったわね・・・
>>220
もう言い残す事はない? じゃ サヨウナラ・・・
>>836-845他 『Remove the Betrayer ――裏切者は消去せよ――』を「ダークネス」
>>867 新垣イラストを「美術館」
>>893-900 高橋母子の話を「高橋愛」
>>913-916 [MM。](8)546の続きを「MM。」 同作とリンク
>>929-937、>>960-962 『the revenger 後編』を「ダークネス」
>>969 [Darkness](8)929リゾナントイラストを「美術館」 同作とリンク
第8話完結かな? 題名他は後ほど
すごいなあ・・・
乙です
>>68-82 『その声は届かない』を「ジュンジュン」 [Koha-Mitsu](8)156とリンク
>>91 次回予告R最終回「R18.Never Forget」 かなしみさん乙でした!!!
>>126 [MM。](8)913の続きを「MM。」 同作とリンク
>>146-150 ギャグ話を「番外編」
>>171-177 イケメンホスト・鷹を「番外編」
>>171-177 イケメンホスト・タカを「番外編」
ATOKこういうときアホだよATOK
その誤字はどうなのよwww
ともあれ更新お疲れ様です
といいながらすみません
[MM。](9)126は[MM。](8)913とつなげて1エントリにしてもらうことは可能でしょうか
一応それでひとまとまりのつもりなんですが、とはいえスレまたぎになってるし
まとめる側の考えと都合次第で構いませんが
鷹てw 職種変わってしまうw
ということで名前は戒めのためにもこれにしておく
ちなみにしたらばでも変な名前になっていたことが判明
>>232
了解っす
>>171-177 イケメンホスト・タカを「番外編」
どーしよーもねーなorz
題名スレ
>>41
タグスレ
>>20-21
・[Other](4)501 → [Mini](4)501 分類変更
自分のために「Link to~」「Link from~」等の表記をやめています
そしてこれ探してくれた方に超感謝 作業が楽です
本スレ>>232
>[MM。](9)126は[MM。](8)913とつなげて1エントリにしてもらうことは可能でしょうか
てことでつなげてみた
[MM。](9)126を削除してその分を(8)913につなげました
ありがとうございます
あんな感じで
タイトル考えないといけんかなぁ
[Template](9)001
第9話仕様に更新 ちなみに(6)のまま止まってた…
いつもいつも本当にありがとう
ほんと乙です
http://resonant.web.fc2.com/
重すぎるようならサムネイルの幅を200くらいまでさげてもいいかな
おつかれいな
こうやって見るのも面白いね~
博物館でリゾナンターの歴史を見てる気分
乙です!
ご苦労様でした
みんなおはようホゼナント
昨日はサイトすっきり計画まったくうまくいかなかったよ
1~8話分の過去ログについては同サイトへのリンクにまとめました
>>243乙でした
ガキπにもありがとう!
このままではまずいのでガキさん...いやガキΠさん
みんなに幸せを与え続けています
小学生の男の子が気になる女の子に「ブス!」とか思ってもないこと言っちゃうのと同じなんだよ
みんなガキさんが大好きなんだよ
ただ、思ってもいないことを言ってるわけじゃないとこが違うけど
もう名前書く!!『名無し募集中。。。』っと…
バカは 怯えているようだ
バカは 助けを呼んだ!
しかし 助けは現れなかった。
│助|
│け|
│に|
│来│
│た|
│. .│
└─┤ ●―●
且且且且且 | ( *´ ヮ`)
〔 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〕..( ●┬●
. ~ ◎-------◎--ヽJ┴◎ キコキコ
情けはもうかけない
そう決めた
あれ なんだか急に体が軽くなって・・・・
-昇天-
ついでに予告
できれば今日にでも別アドレスにテスト環境作って
別プログラム稼働テストします
\/ ヽ ( )
_/*+*`、 ( )
<_______フ )
||c| ・e・)| ~
/゛゛゛lll`y─┛
ノ. ノノ |
. `~rrrrー′
. |_i|_(_
_,,..-―'"⌒"~ ̄"~⌒゛゛"'''ョ
゛~,,,....-=-‐√"゛゛T"~ ̄Y"゛=ミ
T | l,_,,/\ ,,/l |
,.-r '"l\,,j / |/ L,,,/
,,/|,/\,/ _,|\_,i_,,,/ /
_V\ ,,/\,| ,,∧,,|_/
http://gakisan1020.asablo.jp/blog/img/2008/06/23/691c6.jpg
まあぶっちゃけありのままに近いけど
かなり洗脳されてる気がする
助けてガキさん
それは大きいおっぱいに流れそうという話ですか
俺も行ってきた
まさか粛清人Aに影武者がいたなんて…!
あれは強敵だ
大変だ! 見分けがつかない・・・・訳でもないかw
てか粛正人Aが実はロボットって設定忘れかけてたw
週末には完成できるかも
リーダーまたモデルのバイト中
>>293
楽しみにしてます
知識あるわけじゃないから改造は難しいなぁ…
何のアドバイスもできないけど
こないだも書いたとおりメニューすっきり化計画です
そのためにはCGIのプログラムを別のもの(同じサイトで扱ってるものですが)にする必要があるんですが
初期設定から先に進めないw 改造繰り返していたらあぼんしてしまったorz
わてはとりあえずガキπを拝んでおくよ・・・チーン
注意事項は後ほど
注意事項は下記の通り
・短め
・こんなの絵里じゃないやい
・ほのぼのなんだか切ないんだかはっきりしない
以上です
それではしばしお付き合いください
「あー疲れたぁ、って、あれ?」
「ガキさん、しーっ」
里沙が店に顔を出したのは、夕暮れ間近のことだった。
CLOSEDの札がかかっていたから、普通の客はいないだろうと少し大きめの声を出したのだが。
その声の大きさを窘めた絵里はというと、静かに微笑んでいる。
里沙はなるべく足音を立てないように、そっと絵里の側へと近づいた。
「何で皆寝てるのよ、亀、あんた何かしたの?」
「えー、絵里はただ風の力の練習を兼ねて、外が暑いからお店の中にそよ風を吹かせてただけですよ。
何かいつの間にか、皆寝ちゃったけど」
特に深い意味もなく、本当にただ暑いから風を吹かせてたのであろうということが絵里の言葉から感じられた。
絵里は寝ている皆を、ただ静かに、微笑みを浮かべながら眺めている。
その目の優しさに、里沙はただただ惹かれるしかなかった。
絵里の何も考えていないような顔を見ていると、どこかほっとする自分がいることに里沙は気付く。
いつも皆と笑い合いながらも、心の底からは笑うことが出来ない。
それは、自分がリゾナンターに真に所属することが出来ないから。
そんな自分だけれども、彼女と居る時はどこか気を抜くことが出来る。
もちろん、けして何も考えていないなんてことはないだろう。
ただ、彼女は何を考えているんだろうとか、そういうことを他人には悟らせない。
ただただ、穏やかな表情でいつも皆と一緒にいる。
「ガキさんは手厳しいなぁ、皆起きてても騒いでても可愛いじゃないですか、もちろん絵里も」
「勝手に人の口癖取らないの、まったく。しかもさりげなく自分をアピールしてるし」
「まぁまぁ、そこは大事ですから。ガキさんもよかったらお昼寝したらどうですか?
少し眠るだけでも、疲れ取れますしね」
そう言って、絵里はポンポンと自分の座っている椅子の隣の椅子を叩く。
これは、彼女の隣で眠ってほしいということだろうか。
里沙は少し迷ったが、素直に彼女の隣の席に座りその肩に自分の頭をのせる。
誰かにこうして寄りかかるのは随分久し振りで、少しくすぐったい。
絵里から仄かに香る、花の匂い。
触れているところから伝わってくる温もりに、何故か目の奥が熱くなる。
それを知ってか知らずか、絵里は穏やかな微笑みのまま風を吹かせていた。
「こういう日がいつも、いつまでも続いていけばいいのにな」
絵里の一言に、里沙は目を閉じながら心の中で同調する。
こういう、穏やかな日々が続いていけばいい。
出来るなら、この中に彼女も一緒に居させたいと思うけれども、それは過ぎた願い。
―――いつかは、ここを離れる日が来るのだと分かっているから。
里沙の心が、微かに揺れたことに気付いたのか。
絵里は触れ合っている手を動かし、里沙の手をそっと包む。
その手から伝わってくる優しさに、涙が頬を伝ったのが分かって。
里沙は、声を上げないように唇を噛みしめる。
「ダークネスとの戦いがいつまで続くのか、絵里には分かんないけど…それが終わったら、
皆でこうして、ゆっくりと一日を過ごす日々が続いたらいいなぁ。きっと、皆笑顔で、
うるさくって、でも、それってすごく楽しくって素敵な毎日になると思う。その時には、
ガキさんも笑顔ですよ、きっと」
「…うるさい、バカ亀。寝れないでしょーが」
「うへへ、怒られちゃった。でも、そうなると素敵だと思いません?」
「そうだね、分かったから、亀も寝なさい。でないとあたしが寝付けないし」
ちょっと乱暴な言い方になったけれど、絵里ははーいと言って口を閉じる。
静かになった店内に、優しくそよぐ風。
胸の中にひたひたと溢れてくる温もりが、里沙の心を少しずつ癒していく。
絵里が寝付いた気配はなく、里沙はつい口を開いてしまった。
「てか、あんた寝ないの?」
「えー、ガキさんが寝てから寝ます。だからちゃっちゃと眠ってくださいね、絵里もー超眠いんです」
「あたしが寝付くの待たないで寝ればいいじゃん、何でそんな最後まで起きてるのに拘るのよ」
里沙の一言に、絵里はふわっとした笑顔を見せる。
絵里が微笑んでる気配を感じて、里沙は思わず目を開けて絵里の方に顔を向けた。
視界に飛び込んでくる、絵里の瞳はどこまでも穏やかな光を湛えている。
里沙の頬に残る涙の跡に手を伸ばしながら、絵里は口を開く。
「皆の寝顔を守るのが、絵里の役割ですから。だから、寝るのは一番最後なんです。分かったら、さっさと
寝ちゃってください、肩じゃ寝にくいなら絵里の膝、特別に貸し出しますから」
「…膝枕とか勘弁して。おやすみ、アホ亀」
再び絵里の肩に頭を預けて、里沙は目を閉じる。
いつもとぼけたことばっかり言って里沙を困らせるくせに、こういう時だけ無駄に優しい。
何で泣いてるとか聞かないくせに、その手から伝わってくるのは里沙を心配する気持ちと、
里沙の心を少しでも癒したいという気持ち。
(寝顔守るとか…恥ずかしいことばっかり言って)
里沙は心の中でさんざん悪態をつく、もちろん、絵里には聞こえないように。
睡魔に飲み込まれる前に、里沙は一言だけ絵里に聞こえるように大きく心の声をあげる。
(寝顔守るどころか、皆を守ってるよ、亀は。だから、そのままの亀でいなさい)
その声に絵里が驚いた気配を感じて、里沙はしてやったりと思いながら睡魔に飲み込まれる。
絵里は里沙の手をそっと包み込むように握り、いつものように微笑んだ。
夕日が差し込むリゾナントの店内を、優しい風はいつまでも吹き続ける。
里沙の寝息が聞こえてきたことに、絵里は安堵した。
彼女が何を思って泣いたのかは分からないけれど、少しは役立てたみたいだった。
そのことが無性に嬉しくって、絵里の眠気は飛んでいく。
皆の眠りを守る風を吹かせながら、絵里は静かに祈り続けた。
―――いつまでもこうして皆と楽しく過ごす日々が訪れますように、と。
更新は以上になります
ほのぼのとか癒しとか鬱展開やギャグ書いてる人には難しいねorz
ほのぼのしました
俺まで一緒に寝たい気分
素晴らしい!!!文章うまいよねー
ほのぼのというか切ないというかすごく優しい感じが伝わるよ
たぶん作者さんが思いやりのある優しい性格だから書けるんだと思う
ガキさんにいずれメンバー達との別れを意識させることで、優しさと切なさを同時に感じさせる作品に仕上がりましたね
っていうか亀の優しさがガキさんを切なくさせたのか
>皆起きてても騒いでても可愛いじゃないですか
ガキπは起きてても寝てても平坦ですけどねw
ttp://pict.or.tp/img/63380.jpg
俺気合入りすぎワロタw
>>312
すごいじんわりとくる話でしたね~
亀さんじゃないやい系ということでしたが私のなかの亀さんイメージまんまでしたよ
平坦な乳もある
――新垣里沙
本編の方で6期話を書く前に6期の面々を書く練習がてら本編の補足的意味合いで書かせてもらいました
こういう話を書くのは初めてだったのですが何とかまとめられてよかったなと思います
そよ風のような亀の優しさとその優しさが身に染みすぎて切なくってでも幸せなガキさんっていうのを
表現したかったのですがなかなか思うようにはいきませんね
思いやりのある優しい性格になれたらと思います本当
>>317
れいにゃああああああああああああ
今回も気合い入ってますねー素敵な作品にテンションあがりました
ついにれいなキタ━━━━ヽ(・∀・` )ノ━━━━!!!!
待ってました!!
待ってました!
憶えてる方いらっしゃいます?
一週間近く間があったもんだから不安になっちゃって…
楽しみじゃない作品なんてありません!w
楽しみだ
( *・e・)<あ・・・あっ・・・痛い・・・食い込んで・・・ああっ・・・
http://www.recordchina.co.jp/group/g20807.html
<驚>パンダ、女性の指かみちぎる!―江蘇省蘇州市
2008年6月24日、江蘇省の「揚子晩報」は蘇州市の蘇州動物園で人気者のジャイアントパンダ
「蘇蘇(スースー)」が22日午後、女性客にかみつき大ケガを負わせたと報じた。
被害者の女性は同市内に住む李さん。夫と子供の3人で動物園を訪れ、パンダ舎の後ろにある
檻のそばで記念写真を撮った。
そこを離れようとした時に突然パンダに襲われ、右手親指の第1関節をかみちぎられたという。
李さんはただちに病院へ搬送された。
スースーはもともと野生のパンダで、今年25歳。自然寿命が30歳のパンダの中ではすでに高齢者だ。
そんなスースーが人間にかみついたと聞いて関係者は一様に驚いている。
同紙記者が同園を取材したところ、パンダ舎は現在改装工事中の猛獣ゾーン東側にあり、
エサやりや清掃時に使用する職員専用通路に沿ってパンダの檻がある。職員の1人は事故当日、
李さん家族がこの職員専用通路からパンダ舎の中に入ろうとしているのを目撃。
入らないよう彼らに声をかけたが無視されたと証言した。
この職員はさらに、「李さんが指をかまれたのは檻の中に手を入れてパンダをからかったから
ではないか」と話している。(翻訳・編集/本郷)
2008-06-25 07:19:45 配信
ジュンジュンはほんとに愛くるしいけどな
ジュンジュンは自制が効いて良かったヨネ
でもこの件に関してはどう考えてもパンダは悪くないなw
まあでも李さんなんて日本で言う佐藤や鈴木の比じゃないくらいいるだろうしな
>>331が失踪してしまうとは・・・
自分は念願のガキπに噛み付くとするかな・・・
んん? 困ったな 絶壁すぎて噛み付けねぇや!
指にバナナを・・・不謹慎でしたすみません
「あいつら全員ホゼナンターの名を騙るダークネスの下っ端よジュンジュン。いいからやっちゃって」
http://resonant.pockydiary.net/file/panda.jpg
「ぐるるるるる・・・ぐわおおぉぉ~~ん!」
ちょw いて! ちょっと強すぎだよジュンジュン・・・
リゾナントって普通に書くより時間かかるね その分楽しいんだけど
↓
読んで目が肥える
↓
そのぶんだけ自分の書いたものにあらが見える
↓
余計に出せない
という無限ループ・・・ヘルミー
言いたいことは分かります
分かりますが自作の出来を省みず上げてしまっている者の立場を考慮していただきたいw
巧いヘタじゃないさ
そこに愛があれば・・・って自分に言い聞かせている言葉を贈ります
巧い下手とかそういう問題じゃないんだよね
そういうところに捕らわれて大事な「リゾナンター愛」ってやつを見失っちゃいけないさ
がんばってみる
そちらのクラスは明らかに元から書いてた人たちだと思うので・・・
まるっきりの素人から見ると雲の上の人
でもアイデアだけは負けたくない
どの作品もすごくいい
それにスゴイの書いてる作者さんだって「この作風は自分には無理だな」って思ってるかもよ
作風が違ってもそういう刺激に変わりはないと思う
このスレが好きだからもっと頑張りたい
このスレが好きでこのスレで話を書きたいから書いてるだけ
そこに誰かに負けたくないとかそういう意識はないな
リゾナンターの彼女達を書くのが心の底から楽しいだけ
ほんと平和にここまできてるよねえ
リゾナント愛に溢れたいいスレだと心から思います
二、三人いるんじゃないかな
懐が広いよねほんと
人の作品読んで楽しんで書いて楽しんでとメチャクチャ楽しませてもらってるなぁ
いつも本当楽しんでるし楽しませてもらってるし大好きだみんな
でもここは飼育では絶対味わえない感覚を体験できる
作品にリゾナントするっていうこのスレ最大の特徴は本当に新しい
パクったパクってないでうるさかったりするしなぁ
競争はするつもりないけど競作共作はしたいって感じ?w
レベルの高いところもいろいろあるんですね
以前ちょこっと話出てた同じテーマで書くってのやってみたい
前スレのガキさん対粛清人の決着編を0時ごろに投下します
お目汚しかもしれませんが読んでいただければありがたいです
何より大きいのが他メンヲタの人に忌憚ない感想を貰える点
反応が早い・普段書くことは絶対ないだろう娘達の話を書ける・名無しで書けるのもあります
このスレに居るとモチベーション上がります
>>378
楽しみにしてました!
探し出すのは野暮ですかねw
>>378さんの後に保全代わりに一本投下します
っても皆寝てる時間にこっそりとってことになりそうですがw
娘。小説書いて4年経つけど6期なんてここで初めて書いたし
>>378
待ってまーすw
>>317 れいなイラストを「美術館」
今回は手早く更新
でも明日にはもう2本上がってるわけですねwktk
このバカも一応自サイト持ちなわけでテヘヘ
まとめさんのサイトと知らずに拍手コメントした者がここにw
ちょっと長くて話が重いですが…
「あら、怯えちゃって、可愛いとこあるじゃない」
黒衣の粛清人の冷たい視線が、里沙の全身を嬲る。
「誰が怯えてるって?ちょっと意味分かんないですけど」
精一杯の演技力を駆使して、里沙は余裕を装った。
――呑まれるな、考えろ。
押し潰されそうになりながら、必死に思考をめぐらせる。
考えろ、考えるんだ―
―精神干渉も鋼線も通じない相手とどうやってたたかうんだ私が田中
がちがちっちみたいにケンカが強かったら話はがちがち違うんだろう
けどそんなこと考えてもしょうがないがちがちどうする考えろどこか
に弱点ががちがちあるはずだ粛清人だってがちがち無敵じゃがちがち
ないがちがちがちがち煩いな何の音だ気が散るなもうがちがちどこか
ら音がするんだ近いぞどこだ私だ!私の奥歯が鳴ってるんだ――
―違う、全身だ。震えているんだ私は。
そう気付いたとき、体中から冷たい汗がふきだした。
里沙の肉体がたたかいを拒絶している。
―バカ、うろたえるな。
必死に肉体を叱咤して構えをとろうとした時
突風のような蹴りが里沙を襲った。
―!!
わき腹を乱暴に蹴り上げられ、里沙の体が宙に浮く。
「なーにをボンヤリしてんのよアンタ」
里沙は見た。粛清人の暗く、黒く、冷たい瞳を。
そして理解した。
―これはたたかいではない。粛清だ。
粛清するものはR。粛清されるのは私。
絶望的な現実は、Rの繰り出す怒涛のような連撃と姿を変えて
里沙の体に叩きつけられる。
数瞬、意識を失った。
気が付いたとき、里沙はぼろきれのようにコンクリの床にうずくまっていた。
里沙を見つめる粛清人の表情からは、どのような感情も読み取ることが出来ない。
濃厚にたちこめる死の気配。
恐怖が、里沙の心を塗りつぶしていく。
「安倍さんにね」
意外な名前がRの口から発せられた。
「アンタとやりあうって言ったのよ、そしたらあの人、なんて言ったと思う?
お願いだから命だけは助けてやってくれって、だからうーんまあ、しょうがないからさ、今日のところは見逃してあげる」
「え?」
「嘘よ」
黒のボンテージに身を包んだ悪魔は、そう言って笑みを浮かべた。
―馬鹿にしている
ふいに視界がぼやけた。見ると、床に水滴の跡がある。涙だ。
里沙は泣いていた。悔しくて、恐ろしくて、なによりあの女の言葉に
一瞬でも心を動かされた自分が情けなくて。
恐怖と絶望に押しつぶされて、また涙がぽろぽろと溢れ出した。
しかしこの少女は、これ程まで追い詰められても、己の死を濃厚に
予感しながらも、それでも尚、死神に背を向けはしない。
―新垣里沙
かつて闇の組織のスパイとして
闇と光の狭間でたった一人、孤独なたたかいを続けてきた。
誰にも知られてはならない秘密を抱えて、
いつだって心は孤独にむせび泣いていた。
それでも、必死に生きて、生き抜いて、立ち向かう。
新垣里沙。彼女の真の強さは肉体や精神にはない、魂だ。
魂にこそ、この少女の凄みがある。
決して揺るがないものが、そこにある。
―たとえ勝てなくても、相討ち、それが無理ならば腕の一本くらいは
里沙の瞳は凛とした輝きをたたえ、粛清人を見据えていた。
「なめるな!」
里沙の放った鋼線を黒衣の粛清人はいとも簡単にかわした。
―避けた?
「何よ、まだやる気なの?アンタ、本当しつこいわね」
女の声に苛立ちが混じる。
―何故こいつは屈服しないんだ―
最大の恐怖と苦痛と屈辱を与え、屈服させて、殺す。
それでこそ粛清が完成するのだ。なのに、なんだってこのガキは…!
「ダークネスが誇る恐怖の象徴、粛清人Rともあろうものが、随分イラついてんじゃない」
里沙の声が挑発的に響く。
「ネズミが一匹ちょろちょろ煩わしくてね。共鳴とかいうまやかしに憑りつかれたネズミがさ」
「ふーん、ネズミ一匹殺すのにもてこずってるんだ」
「何だとテメエ」
ブーツの踵から、しゃきんと無機質な音をたてて刃がとびだした。
「ネズミに噛まれんのが怖いのかって言ってんのよ!」
里沙は賭けに出ている。
「うぜえんだよ!死ねえ!」
死神が夕日の中を跳躍した。
よほど里沙の言葉が頭に来たのか大技を繰り出す。
粛清人R伝家の宝刀、かかと落し。
刃は空気を切り裂いて、里沙に襲い掛かる。
―命を燃やせ、焼き尽くすまで
里沙の瞳に炎が宿った。
腕
腕の一本
腕の一本くらい
腕の一本くらいは―
くれてやる!
左腕で頭部を守り右手で支える。
―止める。
止められなければ、死ぬ。
自分が死ねば粛清人の恐怖は仲間に向けられることになる。
それだけは絶対に、小春や愛佳達をこんなに恐ろしい目に遭わせるわけにはいかない。
粛清の鉄槌が振り下ろされた。
―衝撃
粛清人の踵は骨を砕き、ブーツに仕込まれた刃は里沙の腕を貫く。
刃は腕を貫いて、里沙の眉に触れて、止まった。
一瞬の隙をつき、里沙は鋼線をRの首に巻きつけた。
「こんなもんが私に通用すると思ってんの」
「アンタさっき、私の鋼線避けたわよね。何で避けたのかしらね?」
「何」
「アンタの鋼質化能力はある程度の集中力が必要なはずだわ。だからさっき、アンタは私の放った鋼線を避けたんだ。油断して、鋼質化していなかったから」
「それがどうした!」
「今、鋼質化が解けたらどうなるかって事よ!」
里沙は、意識の触手を結集して、粛清人の心をおもいきり、押した。
すべての力を振り絞った里沙の魂の一撃に、Rの鉄の心が揺らぐ。
―どうして、こんな力が―
揺らいだ心から恐怖が生まれ、黒衣の粛清人を守る鋼鉄の城塞が崩れた。
そして、粛清人Rの首に血の首飾りが咲いた。
―もう、殺さなくていいのか
殺戮の日々から解放されたRは眠るようにその人生に幕を下ろした。
「勝った…」
ぽつりと里沙は呟いた。
ダークネス最強の一角、粛清人Rを倒したという高揚感は無く
里沙のこころには不思議な寂しさと悲しみがあった。
「つらかったんだろうな、この人も」
鋼鉄だって、疲労する。
本当に倒すべきなのは人の心を省みない組織。
そして、組織が生み出すかなしみと孤独。
―そうだ、私がやらなきゃならないのは悲しみを断ち切ることなんだ
たたかいの後には、少女の決意があった。
「そうだ、愛ちゃん」
共鳴者のリーダーである高橋愛も近くでもう一人の粛清人と死闘を繰り広げているはずだ。
―行かなければ
里沙はぼろぼろの体をひきずって、夕日に染まる廃ビルを後にした。
以上です
タイトルは…「RとR」でお願いします
>>394
更新、乙です
冗談はさておきバトルは心理描写が命だってことを認識させてくれる作品でした
最後の決着も説得力があって、血の首飾りという表現もセンスを感じました
…「AとA」をおねだりしてもいいのかな
ガキさんと“R”の対決を最初に書いた者です
前にも書きましたが絶対に自分では書けないような躍動感に溢れた戦闘シーンに感嘆しました
あと・・・あの痛々しさも絶対に自分には出せないですねえ
リアルでした
これが初めての作品なんですよね?すごいなあ
バトル!おもしれえ!
他の小説スレかな
長編乙でした
ダークネスの中でも一際濃い闇を纏った彼女の、最後に見せた悲しみ
誰かに倒される事でしか解放されない孤独というのも切ないですね…
http://m-seek.net/
更新乙です
毎回ハラハラしながら読んでいました
ガキさんに勝ち目なんてあるんだろうかって思うことも正直ありました
まさかこういう形で決着がつくとは…
緊迫したバトルで自分には書けないものですね
>>398
ハローの小説サイトというか…説明しづらいのでぐぐって下さいw
親切な>>400がいましたw
シラナンダー
ものすごいボリュームだ…
http://omame.dnsalias.net/offgaki/dat/offgaki1371.jpg
やっぱり天使はナイスバディじゃ違和感あるもんな
ん?なんだこの銅線
>>405の首と胴体が離れるのも時間の問題だな
立ち上がった瞬間に頭が落ちるんだよ
ガキさんのネタレスも好きだから読んでいたい気もするしねw
後で合流するから>>409は俺にかまわず行け!行ってネタを投下するんだ!
とりあえず、2時くらいに投下するよ
さるさんとかバーボン食らわないことを祈っててくれ…
せめて連投がひとつでも和らぐようにレスしておこう
>>411さん頑張って!
注意事項は下記の通り
・短め
・こんなのれいなじゃないやい
・バトル成分なし
・ほのぼのを目指して撃沈
以上です
それではしばしお付き合いください
自分の「城」からそっと、れいなは抜け出した。
夜明けの気配はまだ遠くて、この時季特有の湿り気を含んだ空気がれいなの肌を震えさせる。
肌にまとわりつくような湿気に、れいなは舌打ちしたくなるのを堪えた。
足音を立てないように、れいなはリゾナントから外へと出る。
いつも着ている服とは違う、地味な色のジャージ姿。
店の前で軽くストレッチを始めたれいなの瞳には強い意志が感じられる、見る者が思わず言葉を失う程に。
10分程かけて入念に体をほぐしたれいなは、軽く深呼吸した。
(さて、今日もやるっちゃ。もっともっと体力つけんと、長期戦に持ち込まれた時に不利やけんね)
れいなは夜明け前の街に飛び出していく、その足取りはどこまでも軽い。
毎日の日課のロードワークは愛には内緒のつもりだが、愛は知っている。
夜が明けた頃に帰ると、いつもれいなのベッドには着替え一式とタオル類がおいてあるのだ。
それなのに、愛は何も知らないよって顔でリゾナントの開店準備をしている。
知っているのに何も言わずにいてくれる愛に、れいなはいつも心の中で感謝していた。
皆にはあまり、陰でこっそり努力していることは知られたくないから。
いつも飄々としたれいな、そう思われていたいのだ。
―――それは、れいななりの自己形成。
まとわりつく湿気が、走るれいなの肌をじわりじわりと冷やそうとしても。
そんなことは気にも留めず、れいなはひたすら走る。
昨日よりも今日、今日よりも明日。
ほんの少しでもいいから、強くなりたい。
戦闘系能力を持たない以上、この体しか頼れないのだから。
ならば、自分の限界まで鍛えてやる。
単純な思考からの行動でも、一日一日欠かさずに続ければそれはいつか大きな力になるのだ。
背伸びかもしれないけれど、背伸びしてたらそのうち背伸びしなくてもそこに手が届くようになる。
そう、強く信じているからこそ。
普通の人なら続ける意思を持ち続けるのが困難な、早朝のロードワークを続けられるのだ。
一息つくことさえせず、れいなは街の外れまで走って。
そこから、またリゾナントの方へと戻ろうと踵を返そうとしたら。
「田中っち、こんな時間に何やってるの?」
「ガキさん?ガキさんこそこんな時間に何やってるっちゃ?仕事に行くにはまだ早いっちゃよ」
れいなの方を見て、とても驚いた顔をしている里沙。
その里沙に負けず劣らず、自分も驚いた顔をしている自覚はあった。
夜明け前という時間から動き出すような仕事じゃないのは、社会人経験のないれいなでも分かる。
そして、自分もまたこんな時間からトレーニングをしているような人間には見られていないということも。
里沙は小さく笑うと、れいなの方に近づいてくる。
里沙の笑顔に釣られるように、れいなも笑った。
心と心が響きあう感覚は、いつも少しの気恥ずかしさと大きな嬉しさを伴う。
手を伸ばせば触れられるくらいの距離まで近づいた里沙は、れいなの方に手を差し出した。
その手には、れいなもよく知っている清涼飲料水の缶。
受け取った缶は少し温くて、買ってから少し時間が経ってるのかなと思う。
「ありがと、ガキさん。何でこんなの持っとーと?ガキさんってお茶とコーヒーしか飲まんと思ってたっちゃ」
「何よー、あたしだってこういうの飲むってば。で、こんな時間からトレーニング?」
「そうっちゃ、れーなは戦闘能力使えんけん、代わりに身体能力を鍛えてるっちゃ。少しでも強くならんと、
皆のこと守れんし。戦闘能力使える子はまだしも、使えん子もおるから…」
れいなの言葉に、里沙は一瞬驚いた顔を見せた後優しく笑う。
里沙の笑顔が照れくさくて、れいなはそっぽを向いた。
そんなれいなの態度に気を悪くすることもなく、里沙は持っていたバッグからハンカチを取り出す。
手を伸ばし、れいなのおでこや頬にハンカチを押し当てて汗を拭き取っていく。
「ガキさん、ハンカチ汚れるっちゃ。れーな、自分でタオル持っとーし」
「ん、もう拭いちゃったし。汚れるとかそんなこと思わないし、てか、田中っち照れちゃって可愛いー」
里沙の方を向けないが、きっとニヤニヤと笑っているんだろう。
耳まで赤くなってるのが里沙にはしっかり見えているんだろうなと思うと、それだけで背中の辺りがむずむずする。
こういうことをされると、無性に照れくさいというのが里沙には分からないのだろうか。
常識人に見えて、意外と里沙は大らかな行動をすることもあるんだなと思った。
「田中っちは、本当頑張り屋さんだね。まったく、絵里や小春にも見習って欲しいよ。
あの子達ったら騒いでばっかりなんだから」
「そんなこと言って、ガキさん、絵里や小春が静かになったら寂しいっちゃろ?
れーなには目に見えるっちゃ、静かになった2人を見て寂しそうな顔をしてるガキさんの顔が」
れいなの絶妙な返しに、今度は里沙が顔を赤くする番だった。
そんな里沙を見てれいなはニヤニヤと笑う、まるで猫が笑っているような顔で。
いつもぶつくさ言うくせにその目の奥が笑っていることくらい、れいなにだって分かる。
素直に感情を表現しないところがある里沙は、自分と少し似ているとれいなは常々思っていた。
多分、素直に感情を表に出さないのは気恥ずかしいからで。
ちょっと、斜めに構えて皆のことを見ていたいからなのだと思う。
里沙の場合は、斜めに構えるというより少し離れたところからと言うべきかもしれないが。
ともあれ、どこか似ている2人。
「っていうか、ガキさんはこんな時間に何しとったと?」
「それがさー、聞いてよ、田中っち。職場の後輩がありえないミスしちゃって、それのフォローで
隣街まで行って今の時間まで缶詰状態だったのよ、本当、ありえないよね。その子途中でどうしても
外せない用事があるって言って帰っちゃうしさー、本当、勘弁して欲しいよ」
「社会人も色々大変っちゃね。れーなは愛ちゃんが雇ってくれとるけん、最高の状態で働いてるけど。
てか、ガキさんもリゾナントで働けばいいと思うっちゃ」
「んー、リゾナントは2人もいれば充分事足りるだろうし、何だかんだで好きでやってることだしねー」
そう言って笑っているのに、里沙はどこか辛そうな顔をしている。
仕事の疲れだろうか、お世辞にもいい笑顔とは言えない。
そういう顔をする里沙を見たくなくて、れいなは里沙の手を引っ張って歩き出す。
突然のことに里沙は足をもつれさせながらも、れいなの歩みに付いていく。
「ちょっと、田中っち、どこに連れてく気?」
「秘密、っていうか、時間ないから、ガキさん、走るよ!」
「え、ちょ、田中っちー!」
手を繋いだまま走るのって、意外と難しいなと走りながられいなは思った。
それでも、里沙はれいなの速度と変わらない速度で走ってくれる。
間に合うだろうか、そう思う自分の思考すら削ぎ落としたい。
そう思いながら、れいなは里沙を連れてうっすらと明るくなってきた街を走る。
10分も走っただろうか、れいなと里沙は街のある丘の上にたどり着く。
地元の人間でもない限り、来ないような寂れた児童公園が一つ、その丘にはあった。
肩で息をしながら、れいなはゆっくりと街を一望できる位置へと里沙を誘導する。
眠りから目覚める前の街がそこにはあった。
「いいから、ここに立ってれば分かるっちゃ」
そう言ったきり、れいなは口を閉ざして街の方を見つめる。
釈然としないものを感じながらも、里沙もれいなに倣うように口を閉ざして街の方を見る。
走って火照った2人の体を冷ますように、柔らかな風が吹いた。
少しずつ、明るくなっていく空。
「うわ…綺麗…。」
「いつもトレーニングついでに、ここに寄るっちゃ。この朝焼けを見ると、頑張ろうって思えると。
れーな、口下手やけん、ガキさんに上手いこと何か言ってあげれんけど…これ見せたら、
ガキさん笑ってくれるかもって思ったら、走り出してた。ごめんなさい、いきなり何も言わんと走り出して」
「田中っち、ありがと。そりゃ、びっくりしたけど…田中っちは何の考えもなしに動くような子じゃないって
あたし知ってるから。元気ないの察して、こうしてくれたんだよね。すごく、嬉しいよ」
2人の前には、朝日に照らされる街。
眠っていた生命が動き出す、暖かな時間の始まりを告げる朝日。
普通に生活していたらまず見ることのない光景に、自然と里沙の口元には笑みが浮かぶ。
里沙とれいなの胸にこみ上げてくる、優しい気持ち。
朝日に照らされる街を見つめながら、れいなは里沙の手をしっかりと握る。
「れーなのとっておき見せたけん、ガキさん、れーながあんな時間からトレーニングしてたのは
皆には内緒にして欲しいっちゃ」
「いいよ、こんな素敵な風景見せられたら嫌って言えないしね。さて、田中っち、そろそろ帰らないと
愛ちゃん心配しちゃうよ。それに、あたしお腹減ったんだよねー、リゾナントってモーニングやってたっけ?」
「やってなくても、愛ちゃんなら作ってくれるっちゃ」
そう言いながら、2人は丘の上の公園を後にする。
柔らかな日差しの降り注ぐ街。
里沙と手を繋いで歩きながら、れいなは小さく笑った。
似てるから上手く接することが出来ない部分もあるけど、そのことは大した問題じゃない。
こんな簡単なことで、気持ちって伝わるんだから。
―――眩しいくらいの日差しに負けないくらい、2人の笑顔は輝いていた。
みっついーがさりげなく詩的に恐ろしいことをw
しかし自分も眠たくて撃沈しそうなので明日じっくり読みます…
更新は以上になります
ってのを書き込もうとして最後にさるさん食らったよorz
携帯新しくしてくるついでに今度から間に休憩レス入れようかな…でないと本編の長文が大変なことになるorz
とりあえず寝るわ
知らなかったよぅ
乙です
良作乙
「似てるから上手く接することが出来ない~」の件が朝陽のように光ってた
確かに二人は似てるよねえ
努力家なところとか、可憐な胸とか(グフッ
おつかれいな
気持ちのいい朝を迎えられたよ
それにしてもバーボンの条件がよくわからないね
更新乙
朝から優しい気持ちになれますた
でもがきさんホントは仕事じゃ(ry
>>426
いらっしゃい
テンプレにまとめサイトがあるからそこで読んでみるといいよ
>>429
从´ヮ`)がきさ~んお仕置き役一名追加とぉ♪
別スレで書いてますが7レスくらいまではさるさん大丈夫かな・・・
あとがき含めてそれを超えるなら4レスくらいで前後半にわけるといいかも
ガキさんの胸なんか支える必要もないのに・・・
あんな事を言ってしまったから寝たきりになっちまったんだ!
・・でも ほんと必要ないよな 重力かかってなさそうだもん!
寝てても起きてても形 変わんなそうだ・・・て なんか体が重いゾ・・・
乙です
どうも携帯の休憩レスもそんな意味ないみたいですよ
最初から区切ること前提で書かなきゃいけないのかもorz
今までは大丈夫だったのにね
ないやいの人です(違
6期練習編第2弾ということで今回はれいなを書かせてもらいました
博多弁が難しすぎて台詞のところがおかしいと思いますがそこはスルーしてください
朝に読む分にちょうどいい内容になったのはたまたまです(ちなみにBGMはみかん推奨
皆さん何となく察してくださってると思いますがガキさんは仕事は仕事でもスパイの方です
似てるんだけど若干ベクトルが違うから上手く接することが出来ない感じを現実の2人を見てると感じます
そこが上手いこと伝わってくれてると嬉しい限りです
仕様が変わってめげそうですが第3弾はさるさん食らわないように頑張りますw
ガキさんの言葉や表情は描かれていますがその心情は詳細に描かれていないために
会話中どのような思いでいたのかに色々と思いを馳せました
この話単体で見ればとてもあたたかい話なのに、何故か胸が苦しくなるような切なさがあります
本編ときちんとリンクして読んでいただけてるみたいで嬉しいです
単体で見ればあたたかく見えるように頑張ったつもりですがリンクして読むと
より一層あたたかさと切なさが混じり合って木霊するのかもしれませんね
自分の幅を広げたくて取り組んでみたほのぼの系ですが書いて良かったなとつくづく思います
沖ノ鳥島のように
川'v')<だよねぇ
並の能力者では回復不可能なレベルで
怖い怖い
他人事みたいにw
したらばに規制対策スレを立てました
さるさんバーボン頻発してるから何か考えないとなぁと
ただ、本スレのここでその話をするとそれでスレ消費になっちゃうし
好き勝手書きなぐってもらっていいように、基本したらばで進めたいなと
てことで思い付きを適当に書いてあります
何かあったらぜひあちらにドゾー
でもお疲れ様です
川*’ー’)つ うええおええ丼
いただきます
愛ちゃんありがと おいしいよ・・・ぅ うん・・
さるさんには引っかからないはず…
推敲中だから多分普通に日付は変わる
2時くらいまでにはと思ってるけど何か投下するならお先にどうぞ
その時間なら・・・申し訳ないけど読ませてもらうのはまた明日の昼かなあ
注意事項は下記の通りです
・短い
・こんなのさゆじゃないやい
・名前は出ないけどとあるOGメンを想起させる一文あり
・何路線か分からない
以上です(さるさん避けもかねて注意事項を今書かせてもらいました
世の中うまくいかないもんですな
愛とれいながお昼休憩を取る時間である。
愛が表の札をCLOSEDにしてきたのを確認して、れいなは2階へと上がっていった。
「さゆもよかったら上で何か食べる?」
「お昼食べてきましたから。愛ちゃんもれいなもゆっくり食べてきてください、さゆみが店番してますから」
「あっひゃ、まぁCLOSEDにしてきたから皆以外誰か来るってことはなさそうやけどの。」
そう言いながら、愛も2階へと消えていく。
愛が見えなくなったところで、さゆみは盛大にため息をついた。
つきたくてついたわけでもないし、ましてやため息をついたら幸せが逃げるなんて迷信、
信じているわけでもない。
でも、吐いた息と共に何だか力が抜けてしまったような気がした。
きっかけは、些細なことだった。
絵里が風邪をひいて寝こんでいたから、さゆみは看病しようと絵里の携帯に電話したのだが。
絵里に冷たくあしらわれてしまったのだ、風邪がさゆみにうつると大変だからと言って。
『絵里は1人でも大丈夫だからー。さゆが風邪ひいて寝こんじゃったら、皆に何かあった時に困るじゃん。
もう昔みたいに、心臓の弱い絵里じゃない。だから、来ないで、お願い』
その言葉の真摯さに、さゆみは何も言えずに通話を打ち切るしかなかった。
1人で食べるお昼ご飯は味気なかったし、ここに来ても愛もれいなも忙しくしてる。
この何とも言えない気持ちを話したくても、まだ誰もリゾナントを訪れない。
絵里の言葉は正しい。さゆみが倒れてしまったら何かあった時には取り返しの付かないことになる可能性がある。
そんなことは、絵里に言われなくっても分かっているのだ。
ただ、すごくもどかしかった。
傷を治す力はあっても、風邪のような病気を治す力までは持ち合わせていない。
今、この瞬間も絵里は熱に浮かされて辛い思いをしているのに。
その苦しみを取り除けない自分の無力さが辛かった。
取り除けなくても、せめて側で絵里が楽になるまで看病してあげたいのに。
その手を拒絶されては、どうしようもなかった。
「あぁ、もう、何なの」
「何なのって、さゆこそ何なのよ。人が話しかけても返事しないでー」
「あ、ガキさん…いつの間に来てたんですか?」
「ついさっきだけど、本当、どうしたのよ」
いつの間にリゾナントに来たのだろう、まったく気付かなかった。
里沙はさゆみの額と自分の額に手を交互にあて、熱はないみたいだねと呟いた。
失礼なことを言われてるのに、ムッとしないのは。
―――触れた手から伝わってきた、さゆみを心の底から心配する気持ち。
その優しさが痛いほど伝わってくるから、さゆみは里沙を抱きしめる。
何だかよく分からないまま里沙もさゆみを抱き返して、その背中をとんとん、と叩いた。
里沙の頭にフラッシュバックする思い出。
『ほら、ガキさん、おいで』
辛いことがあった時、あの人はいつもそう言って里沙を抱きしめてくれた。
優しく背中を叩かれて、その腕の中で涙を流したこと。
あの人のように、自分はさゆみの心を癒してあげれるんだろうか。
分からないまま、里沙はさゆみの背中をなで続けた。
「すいません、何か甘えちゃいましたね」
「気にしなくてもいいのに。で、さゆ、何でそんな暗い顔してるのか話してくれるよね?」
里沙の言葉に、さゆみは思っていたことを素直に話した。
時々相づちを打ちながら、里沙は真剣な顔で話を聞いてくれる。
里沙のこういうところを愛は頼っているのだろうなと、一つ一つ話しながら思った。
思ったことを整理しないで話したから、大分まとまりのない感じになったけれど。
「複雑だね、本当。うちにはさゆしか回復能力使える子いないから、亀の言い分はもっともだし。
だけど、治してあげることが出来なくても側にいて、看病してあげたいっていうさゆの気持ちも分かるよ」
「自分でも分かっているんです、絵里の言ってることに間違いはなくって。さゆみが勝手にいじけてるだけだって」
「亀も頑固だからね、ああみえて。ちょっと側にいたくらいで風邪なんてそうそううつるもんじゃないんだけど。
まぁ、念には念をってことなんだろうね。しっかし、さゆは亀大好きだよね」
里沙の言葉に、さゆみは苦笑いするしかなかった。
傷の共有という能力を持つ絵里と、傷を治す力を持ったさゆみ。
その能力の特性上、絵里とさゆみは一緒に戦うことが基本で。
リゾナンターの誰よりも絵里の側にいると自負しているからこそ、こんなに自分はダメージを受けている。
さゆみが再び暗い顔をしたことに、里沙は眉をひそめたかと思うと。
里沙は両手をさゆの頬に伸ばし、思いっきりその柔らかい頬をつねった。
余りの痛さに、痛いと抗議しようと思ったさゆみの目に飛び込んできたのは。
鋭い眼差しでさゆみを見つめる、里沙の顔だった。
「あのね、さゆの気持ちは分かるけどさ。さゆ、大事なことを忘れちゃってるよ。
自分の心の辛さばかりに目がいって、本当に見なきゃいけないこと忘れちゃってるんじゃないの?」
「ガキさん…」
「風邪ひいて辛い亀が、どんな思いでさゆにそんなこと言ったと思ってるの?しんどくって辛くって、
本当はさゆに側にいて欲しいって思ってると思う。それでも、亀は皆のことを思って、自分が感じる
辛さや寂しさを我慢してそう言ったんだよ。それなのに、さゆは自分のことにしか目がいってない。
自分が自分が、じゃないでしょーが。何のために仲間がいると思ってるのよ」
里沙の容赦ない言葉は、さゆみの心を深く強く揺らす。
目の奥が熱くなってくるのを堪えて、里沙の真摯な瞳をさゆみは見つめ返した。
けして、里沙はさゆみを傷つけるために言っているのではない。
それが分かるから、ここで自分が涙を流すのは反則だと思った。
しばし無言の時が続いて、里沙はフッと息をつく。
「さゆが看病しにいけないなら、他の皆がいけばいいだけのことだよ。
それじゃ、さゆの気持ちは収まらないのかもしれないけど…でも、分かるでしょ。側に居たい辛さよりも、
側にいて欲しいのにそれを拒絶しなきゃいけない辛さの方が何倍も痛いって」
「ごめんなさい、ガキさん」
「謝る暇があるなら、さゆ、今すぐやんなきゃいけないこと、あるでしょ?」
その言葉に弾かれるように、さゆみは財布を持ってリゾナントを飛び出していく。
自分がいけなくても、代わりに行ってくれる人がいる。
ならばその人に託せばいい、看病に必要なものと―――自分の思いを。
看病に必要なものを頭の中に思い浮かべながら、さゆみは絵里に手紙を書こうと思った。
そして、大事なことに気付かせてくれた里沙には後でお礼を、と。
さゆみが居なくなった店内で、里沙は小さく苦笑いした。
もっと上手く言ってあげれない自分の口下手さに、ただただ苦笑するしかない。
あの人のように、もっと優しく言ってあげれたらいいのだけれど。
なかなか、自分の思うようには出来ないものだなと里沙はため息をつく。
ため息をついたきり目を伏せて考え込んでしまった里沙を、愛とれいなは優しい目で見つめていた。
更新は以上になります
何とかさるさんに引っかからない範囲で書けました
从*・ 。.・)なんとかは風邪をひかないっていうの
更新、乙
傷心のさゆを癒そうとすることによって、あの人への思いが蘇ってくるという構成が上手いです
さゆに使った強い言葉を悔やむガキさん
そんなガキさんを見守る愛ちゃんとれいな
いろんなかたちがあっても、優しさという気持ちは同じなんだなと思った
優しく切なくそれぞれの不器用さと純粋さが伝わってくる
そんな素敵なお話ですねえ
好きです。こうゆうの・・・
ガキさゆの話ってもしかして初めてかもしれませんね
色んな思いが交錯している感じであたたかくも切ないです
この話を含め このスレは全部あったかいなぁ
ガキさんの胸は涼しいけど
スクープとられてるぞジュンジュン
ガキさんは谷間に汗かかないから楽でいいよねとかさあ
要は言い方だよ言い方www
魔女の儀式の生贄が2人ほど見つかったから
汗も言い訳も出なくなるから楽ね・・・
要はやり方よね 殺リカタ・・・
ヽ( ゚∀。)ノ<あ、リゾナンター(青・西武)対ダークネス(黒・ロッテ)
って思っちゃってもう末期だなと思ったよ
どこまでもI LOVEリゾナンター!
本拠地観戦4連敗だからテンションおかしいヨ!アヒャ
そういやリゾナンターはちょうど9人ですねえ
・・・ダークネスも事務所やめたり休業中の人除くと9人だw
バッカさんはぬこファンなんですかw 自分はパの別のチームのファンなんでw
さて今日もガキπに願いを込めるとするか
投 亀井 風を味方に七色の変化球を駆使、DHで体力温存
捕 新垣 チームの頭脳、どんな荒れ球も逸らさない
一 リン 献身的な姿勢で味方のどんな送球も受け損なわない
二 光井 予知能力で万全の守備位置取り
三 ジュン 獣の本能でライン際のライナーに対応
遊 久住 運動能力とセンスに長けた☆
左 道重 体力面、運動能力には難あり、打棒で貢献
中 高橋 圧倒的な移動能力で↑をカバー
右 田中 現代野球の花形ポジション、盗塁王
指 杏奈 リゾナントしたことで抜擢も死球で退場
ガキさんは心のささやき戦法で相手打者を翻弄できるなw
みっつぃが渋すぎるw
愛ちゃんはその気になればどんなボールでも処理出来る訳だがw
そうか、万能プレイヤーの愛ちゃんの正体は中日の森野だったのか
そしてガキさんは八重ガキさん打法なんですねわかります
>>509
YESぬっこぬこ!
でも死球退場はヒドイw
日曜の早朝
河原のグラウンドで喫茶リゾナントの近所にある小さい企業の草野球チーム“ウルフ・ホゼナンターズ”と対戦している“リゾナント・ブルーズ”
小娘チームにどうしても勝てず、毎週のように試合を申し込む“ウルフ・ホゼナンターズ”
貧乳だからゴワゴワしなっグハッ!!!!←死球
ホゼナンダーズの捕手が、リゾナント・ブルーズ側の捕手を兼任するだろう
捕手ガキさんはあまりに華奢すぎて、特に胸が(…おや窓の外に誰かいるぞ
それがホゼナンダーズ
1番 右 田中 俊足強打併せ持つリードオフマン
2番 二 光井 バントに進塁打、渋い小技で勝利に貢献
3番 中 高橋 メジャーでは3番が最強打者
4番 左 道重 守備の拙さをヘルミー打法でカバー
5番 一 リン 大技小技使いこなす巧打者
6番 遊 久住 次代のクリーンナップ、まずはプレッシャーの少ない6番で実績
7番 左 ジュン ムラはあるが一発が怖い
8番 捕 新垣 投手のリードに専念、でもここ一番では亀の為に頑張る
9番 投 亀井 最弱打者、8番にして最強バッターの高橋と遠ざけることで得点力をアップさせる手もある
「パンダが訴えることを製造する」
って出るんだけど
野球に興味ない人は分かんないしw
このスレばかり覗いてて娘の動向をナイガシロにしてて忘れてたwww
今更ですが感想ありがとうございました
ガキさゆは地味に分類になかったんですが実はガキれなもないということで
一気に分類二つ制覇しちゃったのかと後から気付いて笑いました
不器用な優しさがテーマでしたが伝わったでしょうかねw
何路線か分からない話でしたが楽しんでいただけたようで幸いです
6期の試運転したので次スレ辺りで本編の方を投下したいと思います
今後ともよろしくお願いします
本編、楽しみにしてます!
7スレ目の『Love from Leader』は、ガキれなと呼んでもいい気がするが
何にせよ新ジャンル制覇おめでとうございます
作者さんの世界観に沿った新作、待ってます
目指せ全分類(違
前スレ>>376の件、改めてお願いしても良いでしょうか>まとめちゃん
・「[Niigaki](1)434 名無し募集中。。。 2008/04/15(火) 05:05:36.40 0 (+444他) 」を
前半部分と(『「安倍さん」と。 』まで)と後半部分(『しばらくして運転手が到着を告げる』以降)に分ける
・後半部分を「444 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2008/04/15(火) 10:30:04.49 O」として別ページに独立させ
(ガキれな)分類にする
・前半部分の題名を「[Niigaki](1)434 名無し募集中。。。 2008/04/15(火) 05:05:36.40 0」にし
後半部分と相互リンクさせる
次回更新のついでで構いませんのでよろしくおねがいします
前半作者サマこんばんは、後半作者ですw
分ける方向みたいなのでついでに自分も題名申請しておきます
[Niigaki](1)444 『暗闇の向こう側』
まとめ大先生、気が向いたら更新お願いします
個人的にはまたこんな風に勝手にコラボ投下してみたいなぁと思ったりして
ノリo´ゥ`リつttp://pict.or.tp/img/64010.jpg
※史上最高に似てないので雰囲気でお楽しみくださいませ
カラーとかwどんだけ気合入っとんねんwwワロスw
なんでホストww
描きたかったからw
絵の上手い人って憧れるわ~
よく、ありますでしょ?最終話が終わってエンディングテーマが流れだして
もう終わりかなと思うと、その何年後・・・みたいなヤツ。あれです。
保全代わりの遊びと捉えて、ご容赦下さい。
では・・・
第一部完
――その15年後――
この日、全国のダークネスの幹部、約2000名が本部の集会場ホールで一同に会した。
政界への進出も果たし、総裁を初めとする参与、副総裁たちの演説にも熱が入り、集会は活気に満ちていた。
主要な演説も終わり、参謀が各種、連絡事項を告げた後、あるゲリラ集団に対する報告をし始めた。
「幹部諸氏の中には、ご存知の方も多いとは思うが、
2008年に我々の手により壊滅状態に陥れた、リゾナンターと言う対抗組織の残党が、
昨今、再び暗躍し、 我々の活動の妨害をしているとの情報が各地より報告されている。
承知の通り、かつてのリゾナンターのリーダーであるi914こと高橋愛はすでに、死亡している。
おそらく、あのゲリラ集団は、新しいリーダーを立て、新たな構成員と共に活動を再開してるものと思われる。」
「以下、実際の被害ケースによる留意点を報告する。
・リゾナンターは、常に一人~数人による少数の構成員で活動する。
・リゾナンターは、白と黒の衣装を着用する。
・我々の活動を阻害する場合、いきなり接触はして来ず、予め、精神干渉による動作抑制を仕掛けてくる。
これに関しては、実際の被害レポートが詳細に伝えてるので抜粋を読み上げる。
(任務遂行途中、思考に霧が掛かったような感覚にとらわれ、不審に思った所、
いきなり、……お前達は動けない……との洗脳言語が脳内に響き、身動きが取れなくなった。)
もちろん、ここにお集まりの幹部諸氏の中に、精神防壁のスキルを持たない者など居るはずも無いので心配は・・な・・」
http://jp.youtube.com/watch?v=FCELMtd5CGo
参謀は、突然、喋るのを止め、フラフラと壇上を降り、会場の開いている席まで行くとストンと座った。
聴衆は、唖然としてその行動を見ていた。参謀の目に、意志の力は無かった。
すると、空(から)の壇上に、一人の女が、忽然と現れた。
年の頃なら30~32歳と言った感じの、醒めた目をした女だった。
黒いブラウスに白のアンサンブルをまとったその女は、流麗とした眼差しで会場を見渡し、だしぬけに言った。
「私は、リゾナンターのリーダー、光井愛佳……」
静まり返る、会場。
「すでに、ご承知とは思いますが……」女は片方の頬を微かに上げて笑うと、言った。「お前達は、動けない」
会場は誰一人として、身動きが取れずにいた。
「さて、…………」女は、一息置いて会場をゆっくりと見渡す。その聡明さをたたえた瞳は、見る者を取り込む魅力がある。
「私のような若輩者が、大宴の壇上で物申すのは、恐縮の極みでございますが、活動を再開するにあたって、
ダークネス諸君に一言ご挨拶をさせて頂きたく参上しました。
以下、主文。直接、脳内へ流入させることを、お許し下さいますよう……」
(( 心を研ぎ澄ませ。 聞こえるはず。胸のうちに鳴り響く、その共鳴が……))
(( 微かな、音を聞き逃してはいけない。))
((その響きは、次第に大きくなり))
((やがて、新たな共鳴を呼ぶ。))
((そして、共鳴の連鎖は、決して止むことが無い。))
((全ての者に告ぐ。 蒼き正義に、共鳴せよ。))
その声が脳内に流れてる間に、徐々に金縛りは解かれ何人かは動けるようになり、
銃を手にしている者達が、壇上の女に向かって発砲した。
しかし、その弾は女の身体をすり抜け、後ろの壁に穴を開けた。
「なお、この映像は念写によるものである。 では、いずれ、また何処かで……」
女は黒のロングブラウスをひるがえし、会場に背を向ける。
風をはらんでまくれあがったブラウスの裾から、不釣合いなパステルカラーの御守りを二つ覗かせると、女は消えた。
全ての者に告ぐ。 蒼き正義に共鳴せよ。
失礼しました
御守りのところが泣ける
何年経ってもこはみつが良いコンビで泣けた
リーダーの死で第一部が終わるというのはグレンラガンっぽいかw
壇上での愛佳の「~動けない」という台詞がカッコいいね
志は継承され、物語は続いていく…
(~^◇^)<汚物は消毒だぁ~!キャハハハハ!
とかやってる未来なんだろうな
大人光井かっこよすぎる!惚れるw
カッコイイですが・・・哀しいですね
どういう経緯を経てこうなっているのかを色々想像すると・・・
ところで小春はガキさんのおっぱいを受け継いだか・・・そうかそうか
娘。のCDは集められてハンマーで打ち割られる
ホゼナンダーは捕まえられて、愛ちゃんの写真集を踏む事を強要される
「で、出来ないよ」と写真集を抱きしめて泣くホゼナンダーに向けて
(~^◇^)<汚物は消毒だぁ~!キャハハハハ! と火炎放射器の炎が向けられるも、
一陣の風が舞い、(~^◇^)に炎が燃え移る
熱さに転げもだえる(~^◇^)の前に光井をリーダーとする新リゾナンターが降り立つ、
…てな感じの未来
ガキさんは愛ちゃんを庇って、敵の凶弾に倒れる
愛ちゃんは敵の首魁がその最期に引き起こした空間の歪からメンバーを救う為に、
i914の力を発動し行方不明に
れいなは愛ちゃんを探す旅に出る
亀は無事だがラストバトルのダメージで能力を発動できなくなったので、最前線からは身を引く
さゆは亀に同伴
ジュンリンは相変わらず一緒、っていう設定はどうだろうってまだ物語は終わってないしw
アレですよ
あなたが街でかわいそうな胸の女性とすれ違ったら、それはガキさん
(あれ、今家には俺1人の筈なのに、物音が…)
http://toromoni.mine.nu/haroga/files/data/hellogirls13083.jpg
それは>>556と>>560・・・
一つのストーリーから色んな未来の世界が出来上がっていく
このスレにふさわしい言葉だね
まだ推敲中ですが今日中にはなんとかあげたいと考えております
[Takahashi](2)539 『モーニング戦隊リゾナンター 希望の少女』 2008/04/23(水) 11:43:39.71 0
[Takahashi+6th](3)679 『モーニング戦隊リゾナンター 悲しみの少女』 2008/05/03(土) 00:13:56.13 0
[Niigaki](6)354 『モーニング戦隊リゾナンター 決意の少女』 2008/05/27(火) 13:58:18.62 0
これの続きです、覚えてる人がいれば嬉しいですが
リーダーがみっつぃだから一人だけ生き残ってると思ったけど
念写の描写があるから小春も生きてるのかな?
みっつぃが小春の能力を引き継いだとか考えても面白いけど
それはさて置き>>548乙でした!今回もBGM付きで楽しませてもらいました
お守りはKとAかな?それとも愛ガキの形見のAとR?
あぷろだ(L)にあっぷしました。とうとう5メガ越え。
今回はオリジナルストーリを作りました。
時間かかりました。
萌え洗脳されてください。
でわでわ。
早速やらせていただきました
あれは時間かかったでしょうねえ
・・・萌えましたw
本当は昨日あっぷ予定が、最後にテストしたらエラーが!
訂正に一日かかりました。おのれダークネス。
まとめちゃん!名前変わりましたか?予約が…
あと、皆さんの近くの町、店の写真を頂きたいです
リゾナンターの背景に使わせて下さい。
まずわエンディングとリゾナント2階の寝る部屋を!
ストーリにシックリくる背景探すのに時間がかかっております、たすけてヘルミー
でわでわ
カボチャシフォンの画像もほしいです!
できれば、切り分けてなくてかじってあるやつを
リゾナントお願いします
なんて付けようとしてたのか忘れた
どの分ですかー?
つ保全
それはどこにあるんですか?
読んでみたいです!
「娘。RPG」でぐぐって一番上のサイト、ろだのLにあるよ
ありがとう!行ってくる!
同じく
帰ったらまとめやりますぜ
ていうか天使様マジヤバいっすよすげぇっすよ
おお、そうですか
私は昨日近隣で行われたミティ様の公開黒ミサに参席してきました
顔が小さかった…胸も(おや、急に肌寒くなってきたぞ
えっと・・・ごめんなさい
っていうか無茶言うなw
プレイさせて頂きました…素晴らしいの一言ですね
喫茶リゾナントの話はスレで読んだ時はそんなに印象に残らなかったけど、
サウンドノベルとしてプレイすることで、その魅力に気付かされました
[Ai-Rena-Mitsu](3)947は好きな話だったので、ノベル化嬉しかったです
また美味しいかき氷が食べられそうちゃね!
これは、面白い!
ニヤケながら全部読みました
メンバーの写真がカワイイですね
乙です
こいつは凄い!
それではゆっくりと貼っていきます
最近規制が多いようなので不安、途中休憩いれるかも
彼女がそう言い終わると、周囲が再び騒がしくなった。撮影が終了し、番組のスタッフ達が慌しく動き回る。
彼女はそんな者達を横目に一息ついていると、後ろから声をかけられた。
「おつかれさん。しかし舞子は本当に器用だな、幾度と無く感心させられるよ。
今日みたいに小さな仕事はもちろん、バラエティ番組の司会進行も簡単にこなす。
私も上司として、そして君の父親としても鼻が高いよ。今すぐにでも報道でやっていけるんじゃないかね」
「ありがとうございます。でも報道局にはお養父様をはじめ、もっと立派な方達がいますからね。
それに私は今の仕事の方が好きです」
舞子と呼ばれた女はそう言って、義理の父である男に小さく笑みを浮かべた。
「そうかい。舞子がこの仕事に就きたいと言ったときは驚かされたがね。血が繋がっていなくても、子は親に似るものだな。
それより早速で悪いんだが、その好きな仕事の話だ」
「そう来るだろうと思っていました。でもわざわざ部署の違うお養父様を経由しなければ頼めない仕事だなんて。
そういうやり方は感心しません」
「まあそう言ってやるな。君の評価が上がっているからこそ、易々と物を頼めなくなっているんだよ。
君は気に入らないかもしれないが、これは名誉なことだ。ここは素直にそう受け取ってくれ。
それで、次の仕事というのがな・・・」
そういうと男は舞子に説明を始め、彼女もそれに黙って耳を傾けた。
大方、昔の知り合いに依頼された仕事だろう。彼女はそれを聞かずとも予想がつく。
養父はとても情が深く、義を尊ぶ人だった。
彼女はそれが嫌いではない。そんな人に育てられたからこそ、今の自分があると思っている。
舞子は小学生の頃、かつて親だった者に捨てられ、児童養護施設に引き取られた。
そんな彼女を養子に迎え入れ、育てたのが、今彼女の目の前に立つ男・・・斉藤だった。
彼女は恩返しをするべく勉学に励み、今や立派なアナウンサーとなった。
養父がかつて同じ職だったことは後に聞かされ驚いたが、
それは彼女が気付かぬうちに尊敬する養親の影響を受けて育った証だった。
血が繋がっていなくても、そのとき初めて本当の娘になれた気がして、とても嬉しかった。
彼女はそんなことを思い出し、再び頬が緩んだ。彼女は幸せというものが再び訪れ始めていたのだった。
しかしそんな彼女の心にも、今なお一つだけ影を落とすものがある。
それは彼女をいまだ悲しませ、後悔を抱かせる。遠い昔の出来事だった。
舞子はかつて『4』だった。それは彼女が捨てられる前の話だ。
父が母を捨て『3』になり、母は彼女を捨て・・・彼女の家族は『2』になった。
この時点では、まだ複数。
彼女には8つほど年の離れた妹がいた。
――いや、妹などとはもう呼べないだろう。
彼女は妹を守れなかった。
彼女もまた、妹を捨てたのだ。自分を捨てた者達と同じように。
舞子は時々考える。
妹はまだ愛情に恵まれることなく、今も孤独だったとしたら。
舞子にとって、いまだ家族は『2』のままだった。
その『2』の中で、自分だけが幸せになってしまっているとしたら。
どんなに貧しくなっても、妹と離れるべきではなかった。
妹を、守るべきだったのだ。
「どうした?聞いているのかね?」
「え、ええ。月島きらりちゃん・・・あの有名な、トップアイドルのことですね」
舞子はすぐに思考を切り替えた。この思考の速さこそが、彼女の最大の武器だ。
月島きらりは――スタイルと容姿はもちろん、歌、演技、そして最近では声優としての素質も開花させ、
人気、知名度ともに絶大なトップアイドルのことだ。
彼女が芸能界にデビューしてから数年で、その名を知らない者はいなくなった。
「そのトップアイドルがどういうわけだか、今回の仕事を引き請けたんだ。
企画の制作者というのが私の知人なんだが、まさかこんな企画が彼女に通ると思っていなかったらしくてね。
かくいう私も、正直言って驚いているよ」
「どういう企画なのですか?」
「局のアナウンサーとゲストの2人で、今話題になっている店のメニューを紹介する、というものだ。
君にこんなことを言うのは失礼かもしれないが・・・」
「ええ、わかります。大した内容ではないと、そう思ったのでしょう?私が先程終えたばかりの仕事ですけどね」
舞子はそう言ってくすくすと笑った。
「確かに、とてもきらりちゃんのようなトップアイドルが出演してくれるような企画ではないですね。
もしかしたら、何か理由があるのかしら」
だが、そのことは今回はあまり関係が無い。我々にとって、店の紹介なんて無くてもいいくらいだ。
月島きらりが出演するというのはそういうことなんだよ」
「月島きらりに何を言わせるのか。それが重要だということかしら」
「ああ、そうだ。彼女はたしかに有名だが、その素性は彼女がデビューして3年が経った今でも、謎のままだ。
テレビや他のメディアが映し出す彼女は飄々としていて、いつもどこか掴みどころが無い。
彼女は完璧すぎるんだ。もしかしたら、今回初めて彼女の本質に迫れるかもしれない。目的はそれだ」
「なるほど。たしかに彼女には、手から雷を出すとか、霊が周りについているとか、
そういうおかしな噂が立つほどですからね」
「そう、噂だが・・・その店も、実は不思議な噂が絶えないんだ。
訪れた客の心を読んでいるように、不自然なほど気の利く店主がいるとか、
味は今一つだが食べたら傷や怪我が瞬時に治るリゾットがあるとか」
「本当なのですか?それは・・・何だか、楽しくなってきました。
そんなお店であれば、月島きらりが興味を示すのも当然かもしれませんね。それは、何というお店なのですか?」
「『喫茶リゾナント』だ」
高橋愛は愛想良く、打ち合わせ通りに2人を一番奥の席へ座らせる。
テレビカメラが彼女の姿を捉えているが、緊張はしていなかった。
撮影の訪れたスタッフ達には普段通り振舞うよう言われていたし、
それ以外は何も自分に求められていないことを、彼女は知っていたからだ。
彼等が撮影しにきたものは、高橋でも喫茶リゾナントでもない。
見るからに聡明で、優秀なアナウンサー。
彼らの目的はその反対の椅子に座っている、月島きらりという少女だ。
そう、少女。彼女はスタイル、風格ともに大人びていたが、高橋が彼女に感じた印象は少女だった。
だが、彼女に関してそれ以上は高橋にも分からない。高橋が持つ、その不思議なチカラを使っても。
月島きらり、彼女はおそらく――能力者なのだ。高橋はそう考えた。
それも、かなりの実力者だろう。
高橋の持つ、他者の心を読み取る力――精神感応――が効かないとなると、自分と同じレベルの能力者。
高橋は自分が月島きらりと戦う姿を思い浮かべた。
自分のもう一つの能力、瞬間移動だけで彼女を倒せるだろうか。
彼女の能力は?それに対抗する術は?
だがそんなことを考えて、すぐにそれを打ち消した。こんな想像は無意味だ。
月島きらりはダークネスではない。彼女と戦う必要はまるで無い。
――自分の心は、少し戦いに傾きつつある。
度重なる戦いの連続で、戦いの亡霊のようなものに憑りつかれてしまったのかもしれない。
それとも自分が、i914として戦うために生まれ、生きてきたからか。
半ば自嘲気味にそんなことを思いながらカウンターに戻ると、入り口に人影が見えた。
新垣里沙。その後ろに、田中れいな、道重さゆみ、亀井絵里の姿もある。
「これ、何かの撮影と?」
「テレビだよ、テレビ!」
「うそ、あれ月島きらりちゃんじゃない!?」
「何で秘密にしよると!言ってくれれば遊びに行かんでお店手伝ったのに!」
「愛ちゃん・・・自分だけテレビに映りたいからってそれはダメなの」
「リーダーの裏切りによるリゾナンター分裂の危機だよ、さゆ」
「あー!わかった、わかったって!じゃあ3人とも、早く着替えてきな」
高橋がそう言うなり、3人はそれぞれ2階へ上がっていった。
撮影スタッフの何人かが高橋を睨んでいた。静かにしろということだろう。
それに気が付いた高橋がばつの悪そうにしていると、新垣が店の入り口で厳しい顔をしたまま立ち尽くしていた。
「・・・まさか、里沙ちゃんまでテレビに映りたいとか言うんか」
「ねえ、あれが・・・月島きらりなの?」
新垣から小声で発せられた予想外の質問に高橋は少し驚きつつも、それに答えた。
「ん、ああそうみたい。私はそんなに知らないけど」
ふーん、そうなんだ。新垣は大して興味もなさそうに言った。
「やっぱり里沙ちゃんも怒ってるんか・・・」
「いや、そうじゃないから!・・・私テレビとか苦手だし、ここで働いてるわけでもないし」
スタッフの1人がこちらに近付いて来る。そろそろ限界か。確かに今は撮影中だ。
「じゃあ愛ちゃん、またね」
「うん、またやよ」
新垣が店を出て行った。しばらくして、2階から警報ブザーが鳴り響く。
ダークネスが現れたときに鳴るようにしてある警告音だった。
しかし最近は誤報が多い。まだ昼間という時間帯を考慮すると、今回もおそらくそうだろう。
ダークネスの悪事が増え、反応しすぎて壊れたのかもしれない。
――それにしても、音量はもう少し絞っておくべきだった。
撮影スタッフ達の視線を感じていたが、そちらに振り向く勇気は無い。
装置を止めて、出動しよう。高橋は2階へ駆け上がった。
舞子は、れいな達がリゾナントに訪れたことも気が付かないほど、月島きらりとの会話に集中していた。
舞子が今、月島きらりと共演しているこの番組の真の目的は、彼女の謎に包まれた素性を暴くというものだったが、
制作スタッフ達の思惑通りには上手くいかず、その場にいる者達は皆、
今回の企画が凡庸なものになりつつあることを理解し始めていた。
ただ1人、舞子だけを除いて。
舞子だけは、月島が――月島きらりとしての生き方意外のものを持っていることを感じていた。
月島きらりは、あくまで月島自身が演じている姿に過ぎない。
月島は全て自身のことしか話そうとしなかった。
家族や友達、人にとって心の支えとなる他者の存在が、彼女にはないのだ。彼女が演じている月島きらりには。
舞子にはそれが分かる。
舞子にも演じているものがあったからだ。
斉藤の子。聡明で落ち着きのある、優秀なアナウンサー。妹を愛していた自分。
このどれもが舞子を表しているが、全て本当の自分と言えるか、舞子には定かではない。
自分も目の前にいる彼女も、どこか似ているところがあるのかもしれない。舞子はそう考えていた。
だとすれば、偽者の自分を演じなければならない理由が、そしてそのきっかけが、自分と同じようにあるはずだ、と。
そう、自分と同じように。月島きらりの過去にも、何かきっかけが――。
過去の出来事は変えることは出来ない。
だからこそ、人は過去から目を背け、忘れようとする。それは至極当然なこと。それが舞子の考えだった。
月島きらりも辛い記憶を抱えているのかもしれない。おそらく、そうなのだろう。
だからこそ一点の曇りも無いトップアイドル、月島きらりを演じている。
そのことに思い立った今、目の前にいる女の無垢な笑顔が、舞子には怖く感じた。
この仮面を剥いではいけない気がする。だが、今日はこの場にいないが、私に仕事を斡旋した養父の面子というものもある。
舞子が逡巡していると、2階から赤い光と、けたたましい警告音が聞こえてきた。
女性店主が2階へ駆け上がる。
突然の出来事にスタッフ達も対応しきれない。女性店主が再び現れ、弁解することを誰もが望んでいたが、
それは叶わなかった。
こんなことでは、もはや月島きらりの素性を暴くどころか、放送することさえ難しいかもしれない。
舞子はそんな風に思い始めた。
小柄な店主の代わりに現れたのは、さらに一回り小さな少女だった。
その少女は店主がもう戻らないことを簡潔に、スタッフ達に述べた。
舞子はその内容を聞き取れなかった。内容が、頭に入ってこない。
それには理由がある。スタッフ達がその少女の姿を見たのは、数分前とあわせて2度目。
舞子はそのとき見ていなかったから、初めて見る顔だ。
そのはずだった。
それなのに、初めてではなかったのだから。
忘れるはずは無かった。
特徴的な、鋭いその目。
養父に手を引かれ、立ち去る私を見つめる目を――。
規制されました
流石に何も考えず貼りすぎ、しかも話長すぎですね
待って頂いた方いたら申し訳ない、残りはまた後程
生き別れの姉妹キター!?
舞子おねえちゃん燃えですね
規制解けるまでいつまでもお待ちしてます
規制されるって散々言ってたのにw
ともかく大作乙です 続き待ってます
笑うとこじゃないのですが舞子お姉ちゃんが聡明キャラなのについ笑ってしまいましたw
したらばの経験談見ても一貫性ない感じではあったけど
ともあれ大作乙です
続きを楽しみに待っています
舞子お姉ちゃんがれいなにあんなことやそんなことをするという展開は望めそうにないな・・・ざんねん
ちょうど10レスで規制を喰らいましたねw
仰ってたように時系列的に過去の話になるようですが、それが新鮮に感じられます
何というか欠けていたパズルのピースが見つかったような
更新お待ちしていますが、無理をなさらないように
規制のバカバカバカぁ
規制を考えると一言でも何でも合いの手を入れた方が良さそう
いつぞやのCMみたく
ありえない例えはやめよう
今はもう根本的に「ひとつのスレに対して8連投(?)」するとバーボンだと思ってます
違うかなぁ
あ、まとめテッカイシテモイイカナ
バーボンは2時間運営板以外読めない書けないだしさるさんは1時間そのスレに書き込みができないだし
うまいこと避ける方法があればいいんですけどね
読み応えのある話はどうしても難しいね
確かにそうですね
間に別レスが入っても無駄な気がします
ところで名前がサボりちゃんになっちゃいますよw
いやいや冗談です いつもありがとうございます
手が空いたときにゆっくりお願いします
>>574
>まとめちゃん!名前変わりましたか?予約が…
これどういう意味でしょう?
読み手さんのこと考えると本当まとめて一気にがっつり上げたいって思うけれども
サウンドノベルの中に出てくるんですよまとめちゃんが
喫茶リゾナントに大人数の予約電話入れる役でw
ttp://resonant.pockydiary.net/file/matome.jpg
把握シマスタ(画像ネタバレ注意
まさか作中に出てくるキャラになるとはおもわなんだwww
ありがとーございます
さるさんなので書けるみたいですが、このまま続けていいのでしょうか
システムのこととかあまり詳しくないものでして
問題はあと8連投してもたぶん終わらないってことです
『おう、ガキさんか』
「お久しぶりです」
通信に答えたのは、新垣がダークネスの部隊に編入されたとき、その部隊長を務めていた女だった。
その時代に培われた信頼と上下関係は、新垣が彼女と対等になった今もなお続いている。
『何かあったか?・・・あったんだろうな、めんどくせぇなあ』
「そんな事言わないで下さいよ。・・・あの『月島きらり』が彼女達と接触を図ったようです」
『ああ、やっぱカオリンの言った通りになったか』
「飯田さん、です。階級はあなたより上ですよ」
『いいだろ、別に。お前だって私にまだ敬語使うじゃねーか』
通信の相手である彼女の豪放な性格を思い出し、新垣は小さくため息をついた。
「わかりましたよ。しかし、月島は仲間を求めるような性格ではなかったはず。目的は何です?」
『お前がスパイだってことをリゾナンターに言うつもりなんじゃないか?』
そう言って通信相手の女は笑い出した。
『ああ、待てって!冗談だろ?それに、可能性はある。月島は念写能力者だ。何か‘視た’のかもな』
「それは有り得ません。私の偽装は、愛ちゃ・・・いえ、i914ですら見抜くことは出来ない」
新垣が吉澤と呼んだ女は、再び笑い出した。
――何がおかしいのだろう。新垣はその声を聞いて一層不機嫌になった。
新垣は吉澤を尊敬していた。その戦いぶりは勿論、部下への思慮、リーダーとしての資質。
そのどれをとっても、ダークネスでありながら見習うべき点は多い。
しかし、今の言動は軽率すぎる。
新垣里沙――つまり私がリゾナンターのスパイだという事実は、軽々しく口にするべきではない。
計画が少しでも狂うことがあれば、ダークネスという組織の存亡に関わる可能性だってある。
そうなったら、私の目的も――。
『推測しただけだ。何にしても、月島きらりをこれ以上野放しにしておくのは危険だな。あいつには下位の構成員達が
何人もやられてる。仕事が増えちまったってことだ』
「殺しは、得意分野でしょう」
『・・・そうだったな。めんどくせぇけど』
帰り支度を済ませながら、一日を振り返る。どれも退屈な仕事だったと、きらりは思った。
都会に出る前、どこにでもいる只の田舎の学生だった頃は、もっと楽しいことがたくさんあった。
――どこにでもいる、だって?こんなことが出来るのに?
きらりはそう考えながら、持っていたデジカメを覗き込む。
彼女には、不思議な能力があった。
元々霊感の強い家系で育った彼女は、先祖代々受け継がれる除霊や交霊の術を身に付けていた。
そんな彼女が最も得意としている能力がある。念写の術。
意識を霊界に漂わせ、媒体を介しそこで見たものを写し出す、チカラ。
きらりは帰宅することにした。
夜の深いこの時間には、いつもタクシーで自宅まで送ってもらうことになっている。
しかし今日からはそれを全て断るつもりだった。
高橋愛。きらりのデジカメに何度か映り込んでいた女。ダークネスの最大の敵。
そんな女と接触したのだ。――能力者の私が。奴らが黙って見ているはずはない。
異変は既に、きらりの周囲に起きていた。
きらりは素早く細い路地に入り、辺りを見回す。
辺りには、生物の存在のかけらさえ感じられなくなっている。
夜の闇が際限なく深まり、彼女自身の存在すら消し去って行く。
まるで霊界とこの世界が1つになったかのようだった。
きらりはそんな感覚に眩暈がし、近くの壁にもたれかかった。
――もう来たか。思っていたより早い。
闇の中に目を凝らすと、遠くから女が一人、こちらに近づいてくるのが見えた。
きらりが女の動作に気付くと同時に、顔のすぐ横の壁が音を立てて吹き飛んだ。
「お前、避けんなよ!あの魔女だったら、そう言いそうだな」
女。女がきらりに話しかけている。
女は再びバレーボールの『スパイク』の動作をとった。
動作だけだ。手には何も持っていない。
いや、きらりにはそれが見えている。圧縮されたエネルギーの光球。
きらりは反射的に身を翻す。背後でアスファルトの砕ける音がした。
――ダークネスだ。ダークネスの、能力者。きらりは、自分が笑っていたかもしれないことに気付く。
このために、高橋愛と接触したのだ。ダークネスの能力者を、殺すために。
「ダークネスの『粛清人』ってのは、あなた?」
「答える必要は無いね。それよりお前、月島きらりだろ?悪いけど、死んでくれよ」
手には彼女がいつも護身用に持ち歩いているスタンガンを構えている。
きらりは女めがけてあらゆる角度からそれを突き出す。
だが、ダークネスの女には当たらない。
女はスタンガンの放つ青い光に導かれるように、それを回避する。
女は久しぶりに相手の攻撃をかわすという感覚を思い出していた。
思い出さなければならないほど、女にとってこの動作は新鮮だった。
今まで戦った相手は、女のその能力の高さゆえに、攻撃を仕掛ける暇も無く死んでしまったからだ。
女が体を動かすたびに、つま先から頭の先まで、戦いが本来もたらす恐怖と緊張が、女を満たしていく。
――少しでも何かを間違えれば、たちまち死が訪れる。
女が今まで、そしてこれからも歩もうとしている道と、同じだった。
きらりは相手の動作に合わせ、空いたほうの手のひらを女の顔の前にかざした。
いつも通り。いつでもそうしてきた。
彼女は戦闘の経験が無いわけではなかった。
霊力者の家系に育った彼女は、その能力を最大限に発揮させる方法を学んでいた。
彼女は1人で戦い、生き抜いてきた。自らを守るため、そして――家族の仇、『粛清人』を倒すために。
きらりは頭の中に黒い霧をイメージする。
次にその霧が、女の眼球を覆うように、『念写』し、貼り付ける。念写能力を戦闘に応用した、高度な技。
この短い時間では、視界を一瞬だけ奪う程度の効果しか得られなかったが、それで十分だった。
きらりは動きの止まった女の背後に素早く回り込んだ。
狙いは、女ではない。女の霊体。生物の持つ命の源泉――きらりだけが見えているそれ――に、直接電流を流し込む。
そう、いつでもそれで十分だったのだ。きらりが今まで戦った相手には。
女にとってそれは容易いことだった。
暗闇は確かに予想外だったが、スタンガンでの攻撃方法は突きの一手しかない。つまり、あとはタイミングだけだ。
女はきらりの手首を掴み、そのまま腕をねじ切る勢いで捻り上げた。
きらりが手に持っていた物を放したことを、地面に落ちたスタンガンの音だけで確認し、
次にきらりの体を宙に蹴り上げた。
その頃には視界が元に戻っていたので、きらりが地面に叩き付けられる瞬間は目で見ることが出来た。
女はスタンガンを足で払い、そのままうつ伏せに倒れたきらりの頭を踏みつけながら言った。
「ダークネスに逆らうから、痛い目見るんだよ」
――痛い目、だって?このダークネスの能力者は、この後自分の身に何が起こるのか、少しも理解していないらしい。
きらりはうんざりしていた。この世界のことも、この愚かなダークネスの能力者のことも。
この短い時間で、人生で・・・何度そう思ったことか、数えられない。
「・・・あんた、油断しすぎだよ」
きらりはまだかろうじて動くその手で女の足を掴んだ。
辺り一面が赤く煌く。赤い電撃。それは彼女が最も嫌いな、血の色だった。
だが、確かな手応えを感じた。
女は縦と横に回転しながら数メートル吹き飛び、コンクリートで出来た壁にぶつかった。
あんたの仲間は全員、あのスタンガンでやられてたんだから。って、もう聞こえてないか」
女は倒れたまま動かない。
辺りに散らばったコンクリートの破片、女の流している血。
それから女の着ている黒いボディスーツの所々が焼け焦げた臭いが、電撃の威力を知らせていた。
きらりは辺りに散乱した荷物――スタンガンや自分のバッグ――を拾い上げた。
だが――無い。バッグに入れておいたはずのデジカメが。いや、入れたのはズボンのポケットの方?
「これを探してるんだろ?」
女はきらりの後ろで、既に立ち上がっていた。きらりはその事実を受け入れられない。
――まさか、何で生きてるの?それより、いつ私のデジカメを?
きらりは明らかに動揺していた。理由は女が彼女の電撃を受けても生きているからではない。
デジカメ――今あの女が持っているそれ――には、彼女が大切にしている全てが記録されている。
家族や、友人。月島きらりには存在しないものが。
それだけは、渡せなかった。
――落ち着け・・・もう一度、カミナリを食らわせてやるだけだ。
きらりは再び、構えた
女の構えが変わる。フットサルの『シュート』。
きらりはそのことに気付いたが、女の狙いまでは気付かなかった。
女が放った『シュート』は、道の壁に、アスファルトに、様々な角度で打ち付けられた。
その全てが不規則に跳ね返り、きらりはその軌道を見失う。
1球目は勘だけでかわしたが、2球目がきらりの太股に当たった。
一瞬にして足の感覚が無くなる。
動くことの出来なくなったきらりの腹部に、3球目が音を立ててめり込んだ。
きらりはゆっくりとうずくまるようにして、その場に倒れた。
――私、何をやってるんだろ。デジカメなんかに気を取られて。情けない。
きらりはこの状況にあって、なぜかまだ自分が中学生だった頃のことを思い出した。
家族はすでに失われていた。その時はまだ、他者からの愛に飢えていたのかもしれない。
彼女は芸能界へ入ることにした。
しかし彼女はすぐに自分の選択を疑うことになった。
彼女はその優れた容姿から、誰にでも褒められ、煽てられたが――それは家族が注いでくれた真実の愛とは程遠いものだ。
そんな世界にも、次第に染まっていく。そんな自分のことが許せなくなり、自分自身ですら、愛せなくなった。
きらりは更に孤独を深めていった。
最後に笑ったのはいつだろう。最後に、本当の自分――久住小春――だったのは。
きらりは死ぬ前に、そのことを確認したかった。
撮影が始まりスケジュールが埋められた。友達とも会えなくなった。
そんな中、中学校最後に行われた遠足。
皆が暖かかった。
――穂村君、小春のこと忘れてないかなあ。
思えばあれからもう誰とも会っていない。
あれが最後の、笑顔だった。
出来ればもう一度皆に、会いたかった。
でももう、動けない。もう、疲れたよ・・・。
「久住・・・久住小春」
唐突に自分の名を呼ばれ、小春が顔を上げる。
高橋愛が、そこにいた。
デジカメに写っていた女。喫茶リゾナントの店長。ダークネスの最大の敵。
その全てが、目の前の女を表す記号だ。
だが小春には分かった。その女が高橋愛だということが。
月島きらりではない、久住小春には。
そこで小春の意識は途切れた。
高橋は女にそう言った。
女は黙ったままだ。だが、声に出さなくとも、高橋には聞こえる。
女の思考全てが。
(こいつが高橋愛、i914)
(新垣の――)
一瞬、親しい者の名を女が呼んだ気がするが、今はもう聞こえなくなった。女の思考が切り替わっていく。
女は戦う事に全てを集中させた。狙いは、久住小春だ。
高橋は女の心を読み取り、そう理解する。
女の足が光る。再び『シュート』が次々に放たれる。
高橋はその場から動かない。
後ろの久住小春をかばう必要があった。
高橋とて、乱反射する光球の軌道全てを見切れるわけではない。
いや、特に見切る必要は無い。高橋には相手の狙いが分かるのだから。
手に持った刀で次々とエネルギーの光球を切り裂いていく。
女が隙を見せたときが、攻撃のチャンス。高橋はそう考えた。
しかし、すぐに女の攻撃が止まった。
何かを迷っている。
高橋が女の思考を読み取ろうとした瞬間には、すでに女はダークネスの使う転移装置を作動させていた。
逃がすものか。
高橋は女との距離を瞬間移動で一気に詰め、女の心臓を狙って刀を突き出した。
だがわずかに狙いがそれ、刀は女の肩口を貫いた。同時に女は姿を消した。
辺りには深い闇と静寂と――それからデジカメが残った。
高橋愛は、意識を取り戻した久住小春に話しかけた。
「・・・一晩寝れば治ります。私はそういう体質なんです。それより、あの女は?」
小春は立ち上がりながら、突き放すように言った。それなりに重傷だったが、今は誰の力も借りたくなかった。
「ええ、残念ながら逃げられたわ。でも、これ」
高橋は小春にデジカメを手渡した。女が逃げる前に置いて行ったのだった。小春は何も言わずにそれを受け取る。
「大事なものなんでしょ?それ。そう聞こえたから」
「あなたには関係ありません。それより、聞こえたって?さっき私のことも『久住小春』って言ってましたけど」
「それがあなたの本当の名前、でしょ。月島きらりちゃん。私少し変だからさ。聞かなくても分かるんだ。
でもこのチカラで、人を救えることもある。あなたもそれが分かっているから、戦っているんでしょ?」
「人を救う?私にそんな資格は、ない。私のチカラのせいで、私の家族は殺されました。私のせいです」
「きらりちゃん・・・いえ、久住小春。それは違うわ。悪いのはダークネス。チカラを悪用して人を傷つける奴等。そうじゃない?」
高橋はそう問いかけた。少しの間があって、小春はそれに答える。
「私がやっていることは、復讐です。家族の仇を見つけて、殺す。――ただそれだけ。
高橋さん――あなたがやっていることとは違うんですよ」
小春がリゾナントを訪れていた時には見えなかった心が。
彼女が月島きらりを演じているときには、心がなかったのだ。
「――私は、失うのが怖い。もう何も失いたくないんです。だから仲間も友達も、もう必要ない。
私には、思い出だけで十分です」
小春の心の声が、高橋に流れ込む。心と心が高橋の精神の内で重なり合い、1つになっていく。
そうして出来た心が、高橋に遠い過去の映像を映して見せた。
どこにでもある田舎の風景。少女が自転車を漕いでいる。
自転車を漕いでいるのは小春だ。
家では小春の誕生日祝いの準備が済んだころだろうか。
小春はまだ小さな体で、村中が見渡せる丘を登った。ここを通ったほうが近い。小春は少しでも早く家に帰りたかった。
だが何か様子がおかしい。小さな村で、異変はすぐに村中に伝わる。
大きな事件が起きたことなど過去に1つもない。平和だけが取り得の、素晴らしい村だった。
ましてや殺人事件など――。
自転車などどこかに置いて来てしまった。村の大人達の声だけが聞こえる。
小春ちゃん、危ない。小春ちゃんが中に入ったぞ。外に連れ戻せ。
家中が炎に巻かれ、ありとあらゆる場所に血がまみれている。泣き叫ぶ小春。
父、母、姉、ペットのなーさんまで。
彼女の全てが一瞬で失われた。
別れはいつも唐突にやってくる。
――だから悲しい。
そう言われるまで、高橋は自分の涙に気付いていなかった。高橋はその涙を拭うことも忘れ、言った。
「私もダークネスに大切な人を殺された。あなたと同じようにね。
でも・・・それでも、過去に囚われていては前に進めない。小春、あなたも本当は分かっているはず――」
過去に囚われていては、前に進めない、か。小春は高橋の言葉を噛み締めた。
――なぜこの人の言葉は心に響くのだろう。小春の心が揺れる。ずっと止めていた心が、大きく揺れ動く。
そして次の瞬間には――弾けそうになった。
これ以上の会話を、小春は望まなかった。
「――助けてくれて、ありがとうございました」
それだけ言うと、久住小春は再び月島きらりとなり、高橋の前から姿を消した。
「あっ、愛ちゃん。今日は遅かったけど、どこ行ってたんです?」
「ん、きらりちゃんに会ってきた」
さゆみと絵里は高橋の言葉を聞いて、顔を見合わせた。
「ひどーい!愛ちゃんまた抜け駆け?」
「リゾナンター分裂の危機が再び迫ってるよ、さゆ」
騒ぎ立てる2人を横目にしながら、高橋は2階へ上がって行った。
2階にはれいながいた。1人で大好きなテレビを見ている。
そんなれいなに気付かれないよう、自分の部屋に戻ろうとしたが、彼女は既にこちらを向いていた。
「・・・愛ちゃん、またダークネスと戦ったんやろ?ケガは?大丈夫だったと?」
「うん。・・・まあ、いつものことやし」
「・・・無理はせんでね」
れいなは勘が鋭い。彼女の真っ直ぐな目に射抜かれると、自分の心が読まれているような気さえしてくる。
高橋はそうされる前に、吐き出すことにした。
すみません、またさるさんになってしまいました
あと残り数レスなので一時間後にあげます
今日は長々とお付き合い頂いて有難うございました
明日改めて感想等頂ければ幸せです
楽しみにしてます!
ともあれ楽しみにしております
あの手この手ですり抜けて投稿している作者さん達の様子を見てる
と、ダークネスに支配されてる世界でのレジスタンス活動のように見えるね
頑張って倒さないといけないような気がしてくるよね
リゾナンターみたく華麗にはいきませんがwww
>>628-641
続きです
「それはきらりちゃんのこと?でも死んでしまったら永遠に孤独になるとよ。そっちのほうが寂しいけん。愛ちゃんだって、そう思っとうやろ?」
「・・・今、私が助けた女の子。久住小春っていうんだけど。その子も、能力者だった。
その子は1人で、ダークネスと戦っている。その子がダークネスと戦う目的は、復讐だった。
私もその子も、大切な人をダークネスに殺された。昔の話だけど」
れいなは黙って聞いている。
「なあ、れいな・・・私も本当はダークネスに復讐したいのかもしれない。人を救うために――戦っているつもりだったけれど」
少しの間を置いて、れいなが口を開く。
「れいなは、愛ちゃんに救われたよ。愛ちゃんと会えてから、毎日が楽しいよ。テレビ、見れるし」
そう言ってれいなは1人で笑った。
「愛ちゃん。次はれいなも戦うよ。仲間がいるってこと、愛ちゃん忘れてる」
絵里とさゆみが、二人の気づかないうちに二階に上がってきていた。
「二人で勝手に愛を深められても困るの」
「高橋さんは1人でいると、色んな人の悲しみを覗いてしまうから。少しは私達にも、お手伝いさせて下さい」
「みんな・・・」
「そんな目をしないで下さいよ。絵里もさゆみも、ガキさんにチカラの使い方を学んでいるんですから」
さゆがそう言うと、1階から聞き慣れた声が聞こえた。その声には、大げさな動作がついているに違いない。
「噂をすれば、ですよ?」
三人の視線が、高橋にそそがれた。高橋の言葉を待っているのだ。
――この小さくて泣き虫で、頼りないリーダーの私を。
ならばせめてと、声が震えないようにして、高橋は言った。
「よし。じゃあ今日は皆で鍋パーティにしよう!」
――過去の復讐のためにダークネスを倒す。それでは、ダークネスを倒したあとに何が残るのだろう。
小春はそのことを分かっていなかった。
私も分からなかった。戦うために生み出された呪いの子が、ダークネスを倒したところで――。
でも今、理解した。
ダークネスを倒せば、私には仲間が残る。仲間には、平和が訪れる。
――それが私の戦う理由だ。
「いらっしゃいませ」
先日と同じ女性店主が、先日と同じように挨拶をした。
舞子は再び一番奥の席に案内される。
だが今日は月島きらりもテレビカメラも、撮影スタッフ達もいない。
今日はプライベートだった。
「先日は済みませんでした。本当に急な用事が出来てしまって・・・」
女性店主が近くに来て、舞子に頭を下げる。
「いえ、とんでもない。私達こそ、急にお店を借りて撮影だなんて」
結局、舞子は月島きらりの過去を暴くことは出来なかった。
それで正しかったのだと、舞子は心からそう納得していた。
「ええ、でもきらりちゃんに会えたんで。それだけで、うちの子達は皆喜んでますよ。
あ、そうだ、ご注文は?この前は迷惑かけちゃったんで、サービスしますよ」
「サービス?そうだ、ねえ、あなた、お客さんの心が読めるって噂があるみたいだけど」
『訪れた客の心を読んでいるように、不自然なほど気の利く店主がいる』。
養父が言った言葉を、舞子は忘れていなかった。
それから、小柄な少女の、あの目のことも。
「じゃあ、私が何を注文するか、当ててみて。何だかとても楽しみだわ、こういうの」
舞子が言うと、店主が舞子の目をじっと見つめた。しばしの沈黙があって、店主が口を開いた。
「すぐに、お持ちしますよ。・・・おーい、れいな!」
その声に反応し、奥の厨房から1人、女の子が出てくる。それはこの前の少女だった。
――れいな・・・?この店主は今、れいなと言ったのか?
そんな舞子の心の声に答えるように、店主はもう一度声に出して言った。
「ご注文の『田中れいな』です」
「あれ、お姉さん、この前の・・・って、ちょっと愛ちゃん、これ何と!?」
愛ちゃんと呼ばれた先ほどの店主はそそくさとカウンターに戻っていく。
舞子もこのランチメニューは予想していなかった。望んでいたのかもしれないが・・・。
「・・・あなた、田中れいなさん?」
「あ、いえ・・・ハナタレーナです。鼻水が垂れちゃって」
そう言ってれいなは舞子に背を向け、鼻に手を当てながら逃げるように厨房に戻ろうとする。
「あ、待って!私、斉藤舞子っていうんだけど。ある家の養子になって、斉藤になったの。その前の姓は田中だった。
その頃は私には可愛い妹がいて。妹の名前は、れいな」
れいなは振り向かず、黙って聞いている。
そのときは、自分のことしか頭になかったの・・・。そのことは悔やんでも悔やみきれないほど、今でも本当に後悔してる。
今更とか、虫がいいとか思うかもしれないけど、できれば・・・許されるなら、私はもう一度妹に、れいなに会って謝りたい。
私は一生をかけて、れいなに謝りたい。本当に、ごめんなさい」
舞子はそこまで言うと、たまらずに窓の外に視線を移した。少女のことをそれ以上見ることが耐えられなかった。
本当に、今更だった。今更謝ったところで、何になるというのか。
れいなは振り向かずに、ゆっくりと、言った。
「・・・私は妹さんじゃないから、何を言ってるのか分からないけど。あの頃は生きるだけで精一杯やったし。
そっちのれいなって人も、そんなことはもう許してると思うよ。
その子は今、十分幸せになったんだから。どんなに辛い過去があっても、大切なのは今、この時やけんね」
それが舞子にとって一番望んでいた答え。
私の妹は過去を振り切り、愚かな姉を許せるほど、成長したのだ。
あんなに小さかったれいなが。
舞子の目から涙が溢れた。それから、抑えていた感情が。
「・・・ありがとう、もう1人のれいなちゃん。そうだ、もう一つだけ、私のわがままを聞いて。
れいなちゃん、あなたを本当の妹だと思って、今までしてあげたかったこと、してもいいかな」
れいなは、ずっと大好きだった姉のほうへ振り向いた。
捨てられたということについて、家族に負の感情を抱いたことはない。
ただ、孤独なれいなにとって、別れだけが悲しく、辛かったのだ。
れいなは、泣いていた。本当に鼻水が出ていたかもしれない。化粧も流れて、おそらく――ひどい顔だ。
「うん。でも・・・舞子お姉ちゃん、こんなれいなだけど、大丈夫・・・?」
「もちろん。でも本当は、肩掛けのショルダーをして欲しい。あとポシェット」
舞子が小声で言ったそれは、れいなには聞こえていないようだった。
そうして、舞子はれいなを抱きしめた。
姉が妹にするように。本当の、姉妹のように。
過去の出来事は変えることは出来ない。
だからこそ、人は過去から目を背け、忘れようとする。それは至極当然なこと。舞子はそう考えていた。
今日という、この日があるまでは・・・。
>>628-641
>>650-655
何とか完投しました
二度目の規制についてですが、ずっと5分おきに更新していたものの、
いけるだろうと思って間をおかずにすぐに更新したら規制されました
なので5分間隔効果があったのかはよく分かりません、おやすみリゾナント
時事ネタ(って言い方もあれだけど)を上手く盛り込んで
綺麗にまとめてるのがすごいなと思います
愛ちゃんがれいなに問い掛けた言葉が何だか胸に刺さりました
仲間っていいなぁ羨ましいなぁ
でもこの話には無駄なものなど何一つ無いと思った
今となっては懐かしい小春の自転車通学姿から斉藤アナの嗜好に至るまで、
あらゆる出来事がこの話の為に最初から存在してるかのように配置する筆力は凄いよ
超大作乙です
>「・・・なんで、あなたが泣くんですか」
>そう言われるまで、高橋は自分の涙に気付いていなかった。
「人の悲しみを覗いてしまう」リーダーにみんな心を惹かれていくんだね
小春ネタと舞子ネタは別の作品にすれば長くならなかった様な気も
何はともあれ大作お疲れ様でした
すごい大作ですね
小春と高橋との出会い
れいなと舞子のの再開
二つの巡り合いが絡み合っているんですね
面白かったです
夜中の完投乙でした
なんていうか・・・深い
過去と現在、未来へと繋がる道が見えた気がしました
あとこんなお姉ちゃんでも~は途中から読めましたw 上手いですなぁ
今度は舞子おねえちゃんとれいながお風呂に入るシーンを(ry
“未来”が自分の力で変えられるように過去もある意味「変えられる」のかもしれませんね
起こってしまった事実そのものは動かせなくとも
舞子姉さんの心情の変化によって表されているのが上手いなあと思いました
荒唐無稽とかもっとオブラートに包んだ言い方すればよかったのにね
続き放置してる間にれいなに実の姉が出来てる
どうせ自分の番外編気味だし矛盾する設定とかじゃないからいいけどw
世界は一つじゃないですよ
自分の書いた設定思いっきり無視されることもあるしその逆もあるし・・・ですw
それがこのスレのいいところの一つじゃないですかね
むしろ自由度の方が重要みたいです
このスレのいいところだよね
作者さんがそれをしながら書いているからこそここまで世界が大きくなりながら混乱せずに来てるんでしょうね
よろしくです
昨日のなちコンを見たら唐突に書きたくなったお話
勢いだけで突っ走ったのでおかしなところは笑い飛ばしてください
一目見た時からあなたに憧れて
あなたのようになりたいと思っていた
あなたに追いつきたいと思っていた
あなたを追い越すなんて、考えたこともなかった
真っ白な光が、枯れ木で作った摸擬標的をなぎ払う。
あまりにも一瞬の出来事で、そして想像以上の威力で、
あたしは声を出すことも忘れていた。
「なっちの、とっておきの技。びっくりした?」
そんな技をたった今使った人とは思えないとても柔らかな笑顔で見つめられて、
ただ首をコクコクと上下することしかできないでいた。
「でもね、この技はいつだって使っていいってわけじゃないんだよ?
どうしても、どうしても使わなきゃピンチだよって時だけ、なっちは使うことにしてるんだ」
安倍さんはあたしの頭の上に手を置いて、そのまま軽くぽんぽんと叩く。
何となくくすぐったくて身体をよじったら、安倍さんは笑いながら青い空へ視線を移した。
あたしは、この偉大にして強く優しい戦士のことを本当に慕っていた。
だから、この人のようになりたいと、この人に追いつきたいとずっと思っていた。
「どうしてですか?」
「ん?」
「どうして、ピンチの時だけにしか使わないんですか?
その技があれば、いつだって絶対に簡単に勝てそうなのに」
あたしは、感じた疑問をそのまま口にしていた。
「…ガキさん、戦いってのはね、無駄な血は流しちゃいけないんだよ。
相手の命を奪うなんて、それこそ一番やっちゃいけないことなんだ」
相手に勝つ。勝つために、戦う。戦う者のために、この能力で支える。
そればかりを考えていたあたしには、思いがけない言葉だった。
「なっちは本当は、この技は一生使いたくないんだよ」
ホワイトスノー。
そう呼ばれた光線が作り出した枯れ木の残骸を、安倍さんは見つめていた。
「じゃあ、安倍さん」
あたしは安倍さんの視界を遮るように、その前に立った。
「あたしがピンチになったらその技で切り抜けられるように、
安倍さんのその技を、あたしに教えてください!!!」
安倍さんは一度驚いたような顔をして、それから曖昧に笑った。
「…コツだけ教えてあげるよ。
使えるようになるかは、ガキさんの持って生まれた能力と、それから、努力次第」
―――目が覚めたら、あたしは泣いていた。
ここは、喫茶「リゾナント」のカウンター。フロアに人の気配はない。
いつの間にか肩にかけられていたカーディガンの袖をつかみ、額に当てる。
また、あの日の夢。
安倍さんが教えてくれた「コツ」は、ごく単純なものだった。
でも、それを教えてくれた時の安倍さんの淋しそうな横顔が、どうしても忘れられなかった。
実戦で安倍さんが「ホワイトスノー」を使うことはなかった。
どこまでも心優しき戦士だったあの人は、自らの絶体絶命の危機ですら、その技を使わなかった。
瀕死のあの人に代わって、我を忘れたあたしががむしゃらに放った青い光線。
あらゆるものを一瞬で消したそれは、確かにあの日のホワイトスノーと同じで。
「…ガキさん、強くなったんだねぇ…」
あたしは、強くなんてない。あなたを守ることができなかった。
あなたが絶対に使わなかった技を使わざるを得なかったのは、あたしが弱いから。
「…なっちよりも、もう、立派な、戦士だよ…」
夏の青い空は、微笑んでくれない。
ゆっくりと目を閉じた安倍さんの身体を抱きしめながら、あたしは大声で泣いていた。
あの人はもう、戦えない。
普通の人間として暮らせるまでに回復した一方で、一切の能力は失われた。
でも、それでよかったのかもしれないとも思う。
安倍さんは、強かった。それ以上に、優しすぎた。
―――会いたい。
たまには、他愛もない話もしてみたい。
あの笑顔に触れて、思い切り笑って、思い切り泣いてみたい。
カーディガンを丁寧に畳んでカウンターの上に置き、その上に出掛ける旨のメモを置いた。
ありがとう、と、カーディガンの持ち主―――愛ちゃんへの感謝の言葉も添えて。
外は青く晴れ渡った空が広がっていた。
まるで、あの日のように。
もうすぐ、夏がやってくる。
『自分のふるさとのことを思い浮かべてごらん。
なっちは、白い雪。ガキさんにとっては何かなぁ?』
安倍さんの言う「コツ」は、技と直接関係があるとは思えないイマジネーションから。
だけど確かにあの時、真っ青な光が辺りを駆け抜け、消していった。
あたしのふるさとは、青い空と海の輝く街並み。
安倍さんのように、汚れのない純白の光ではないけれど。
人を助けるために初めて使った、攻撃系の能力。
そして自分が放った光線の威力を目の当たりにして、もう二度と使わないと決心した能力。
今なら、安倍さんの言葉もわかる。この力は、あまりにも強大すぎるから。
あなたのような心優しき戦士に、あたしもなれるでしょうか?
あの日放った真夏の光線は、その鮮やかな青とは対照的な、切ない色の思い出。
以上、『真夏の光線』でした
なちコンで見たときにキターってなってしまったのでw
あらゆる作品の設定にリゾナントしているようなしていないような
色んな意味で
素敵でした!
うまいなw
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* * * *
我らがリゾナンターの牙城、喫茶リゾナントは、いつになくどんよりとしています
あ、こんにちは、ミッツィーでーす!!
…すみません、ちょっとでも明るくなればと…反省してます。お恥ずかしいです。
それというのも、大きなトラブルに巻き込まれ、実は今、経営危機なんです…
「こっんにっちわーっ!!」
がだんと大きな音でドアを開けながら、どんよりから最も遠い女、久住さんが来られました
「やー今日は、収録が、早 くすみ ましたー!!」
それはこないだ終わったコーナーですやん。久住さんのせいじゃないでっすって。
え?見てましたよ、久住さんの出るもんは何でも見てます
「なんか、暗くありませんかー?どうしたんですかー?」
新垣-高橋-田中の梅雨前線に果敢に突っ込むその姿はまさに英雄です。
ジャンヌ・ダルクも真っ青です。
でも、これ以上厄介事になってはいけません。新垣さんの額の筋を見ましょう、久住さん。
愛佳は、お茶がありますよ、と言って久住さんを2階に誘い込みました。
集まったのは、やはりいつものロフト。所有者なしに入るのは気が引けましたが、仕方ありません。
何も動かしたりしなければ、問題は何も…
「ミッツィー、田中さん、棚にチョコ隠してたよー」
あ、それ、愛佳がこないだあげたのと同じやつ。気に入ってくれはったんや。良かったー
自分でまた買いはったんやなぁ…そう思ってた隙に、久住さんはそれを食べ始めました。
一個くらい、バレないよ。と、一気に三袋開けたのを見て、愛佳は何も見なかったことにしました。
「で、で、どうしたの、みんな…」
口の周りのチョコをマジマジと見ながらも、
愛佳はこの店…いや、高橋さんの身に起こったことを説明しました。
-4時間前(再現VTR)-
鳴り響く固定電話 れいな買出し中につき、受話器を取ったのは、愛
「もしもし、愛ちゃん、あたし。あたしあたし…」
「おー、ガキさんかぁ?」
「…うん、そう、…ガキぃ」
「どうしたん?なんかいつもと声ちょっとちゃうけど…」
「実はね、仕事でちょっと、ミスーしちゃって。今、警察」
「な、だいじょぶなんか?!」
「先方からは、示談金で済ますって言われてるの…」
「じ、示談金って、お金!?」
「愛ちゃんお願い、絶対返すから、今から言う通帳に急いで振り込んで欲しいの…」
「水臭いでガキさん!すぐ送るがし!!」
「そ、それ詐欺でしょ!?オレオレ詐欺!」
今は、振り込め詐欺って言うんだよ!あたし、こないだニュース見たもん!!
でもあれってだいぶ前だよね、めちゃくちゃ流行ったの!
ケーサツには!?電話したの!?
愛佳は久住さんの愛(チョコ)を顔に受けながらも、真摯に対応しました
「はい…一応警察には届けたんですけど…時間が経ち過ぎて何も…」
おそらく、きちんとした捜査さえなされなかったようです…
振込み金額は、約一ヶ月の店の売り上げ。これじゃ、店が立ち回っていきません…
愛佳も考えれる限り、対策を考えましたけど、どうすればいいか。
悔しいです。このままじゃ、人の悪意によって、また私達の居場所が…
「ミッツィ…」
知らない間に、泣いてしまってました。下では我慢できてたのに…
あかんなぁ…泣きたいのは愛佳だけじゃないのに…
そんな愛佳の手をぎゅっと握ってくれる、久住さん。
優しいんですね、ありがとう―そう言おうと思ったのに…
「くよくよとか、してらんない!!さがそう、犯人!!」
久住さんはぐいっと愛佳の手を握り、立たせると、店の外まで引っ張り出しました。
な、なんなんですか、急にーどこ行くんですかー
「持ってきましたよ…久住さん…」
やってきたのは保全銀行。高橋さんが振り込んだ銀行です。
久住さんは振込み時の高橋さんを念写するために、
トイレットペーパーを拝借してこいなんてムチャ振りを。いじめです、普通なら。
でも、久住さんですから。きっと、何かやってくれる。この人はそういう人です。
おトイレに、200円置いておきました。相場かどうかは分かりませんが、気持ちです。申し訳ありません。
真剣に念写し始める久住さんを自分の身体で人の目から隠しました。
次々現れる、不鮮明な白黒写真の中で、高橋さんが動きます。
酷く、焦った表情。本当に新垣さんを心配してた。
わかってるから、誰も責められない。
「これだね!ミッツィ!!」
私はクーラーガンガンの銀行内で一人汗だくの久住さんにハンカチを差出し、紙を見ました
コンマ数秒での念写で、浮かび上がる高橋さんのATM入力
「よっし、もうひと仕事…」
久住さんは鞄からインクジェットの用紙を出し、手元を拡大コピーしました
今度はカラーで鮮明に現れる、数桁の悪意への扉。
「高橋さんに聞いても良かったんだけどね、今はそっとしといてあげなきゃね」
貴方は、ホントにさりげなく優しすぎる。
そのポーカーフェイスの裏にどれだけの感情を隠してるんですか?
「よっし、ATMに電気流して、相手の引き出し先、探すよ!
そしたらあっちでも念写しまくって、相手のヒント、探す!
リゾナントは奪わせない、誰からも。」
それは普段はなかなか表に出ない、久住さんのリゾナントへの深い愛情。
いつだって気持ちは一つだったんですよね?
一回でもしんどい念写を何度も繰り返す、そんなこと興味や好奇心だけじゃ、できない。
取り戻すと言う、信念…久住さんの希望に満ち溢れた目に、愛佳は惹かれました。
いつだってこの人は、革命を起こすんです。今だって、きっとそう。
「じゃあ、またトイレットペーパーが、要りますね?」
愛佳の目にも灯った希望に、久住さんは頷き返しました
「よろしく、相棒!頼りにしてる!!」
相棒、その言葉で愛佳の頬は上がりました。
自分も諦めません。リゾナントは奪わせません。
再び申し訳ない気持ちで、200円を置き、トイレを後にすると、
もわもわとATMから煙が出て、銀行がパニックになってました。
久住さんの姿は、当然のようにありません。防犯カメラも不審な壊れ方をしています。
愛佳はくるっとUターンして、トイレの窓から銀行を後にしました
授業料の振込み銀行の換え方を今度教務課に聞きに行きます。
どうやら破天荒な久住さんの相棒は、愛佳以外に勤まらないみたいですね。
「青い、スポーツカー…」
その後幾度となく繰り返された念写によって、
金を下ろした女が、共犯の男のスポーツカーで逃げていくのが分かりました。
「あかん…これ、4時間前ですよね?」
この写真からの4時間全ての足取りを久住さんが念写していくなんて到底無理です。
「や、やる!!」
「ダメですよ!!」
足元、ふらふらじゃないですか?
「ここまで来たのに…やだ!絶対にやだ!!」
「仮に出来たとしても、今現在も動いてるんですよ!?」
それをも全部、撮るなんて…
「…わかった。」
頭垂れる久住さんに愛佳はわかってくれた安堵と少しの悲しみを覚えました。
もう打つ手は打った。なんとかしてお金、集めましょう…何も思いつかないけど…
「ミッツィ、あたし…」
小さな声で、久住さんが何かを話始めました。
「あたしに見れるのは、過去と未来の一部…つまり、切り取り写真」
久住さんは鞄を探ると渾身の力で、何かを念写しました
裏面の念写は見せず、表面を愛佳に見せました
「ミッツィ、これ…」
それは写真。だいぶ前にみんなで撮った、記念写真。
喫茶リゾナントの前、共鳴の9人…
皆笑顔で、心底幸せそう…
「あたし、リゾナントが好きだよ?
仕事で苦しいことがあっても、みんなといたら忘れる」
この性格も、この能力だって、包み込まれる…
「あたしたちにとって、店はただの建物じゃない。」
あたしたちの喜びも、悲しみも、見守ってくれた、10番目のリゾナンター
「あたしには、ここまでしかできない…」
写真の裏に念写された、悪意の青いスポーツカー
それは、久住さんの決意。大切な写真を使うほどの決意。
「この写真は、大事な写真だよ。でも、ホントに大切なのは、未来だよ
あたしはこの場で、みんなと笑いあいたい。」
ミッツィ。あたしには、ここまで。でも、ミッツィには、この先が視得る。
「この続き。こいつらを捕まえるための、未来が…」
手渡された、写真。こんな風に写真から未来を視ようとしたことはなかった。
でも、やらなきゃいけない。きっとやれる。
私を見つめる、久住さんの瞳は、どこまでも透き通っていた。
目を閉じ集中する
心の奥深くで 紫のもやの中 いつもみたく 笑いあう私達がいる
愛佳のこれ、成功するんや―そう確信して、より深く、未来を探った
「たっかはしさん!飛びたい!飛びたいんです!!飛んでください!」
喫茶リゾナントに駆け込む、愛佳と久住さんに大きく目を見開く高橋さん
「インターチェンジに、あと5分で行かなきゃいけないんです!」
私に視得たもの。
青い悪魔が高速道路の看板の下を走り抜ける映像。後部座席にはお金。
その車内時計の指す時間は、今から5分後。
あまり車に乗らない自分にはそれがどこなのかわからない。
わかったとしても、行く事はできない。私には、ここまで。
「ミッツィが、犯人の車を見つけました!読み取って、そこに行って捕まえて下さい!」
高橋さんは、愛佳に触れて、映像を読み取りました。
久住さんから愛佳に渡った情報は今高橋さんに…高橋さんにはこれからが、できる。
「ごめん、小春、ミッツィ。あーし、大事なこと、忘れてたね。」
諦めんよ。間に合わせる。
高橋さんの目に再び灯ったのは、久住さんと同じ、あの光。
「行ってくるわ。仮を返しにね」
光に包まれ始めた高橋さんの両肩に手を置いたのは田中さんと新垣さん
「愛ちゃん、ここはフツー倍返しっちゃろ?」
「当然、私の名前を使うなんて…愛ちゃんを騙すなんて、万死に値するわ…」
この先は少し視たくないものになる、本能がそう叫びました。
「うーうーつーかーれーたー」
額に冷やしタオルをあてながらソファで寝そべる久住さん。
無理もないです。あんな長時間、何枚もの念写を重ねたんですから。
私は黙って、タオルを絞りなおしました。
「ありがとーミッツィーああああ、でも何とかなって良かったー」
お金は無事に戻ってきました。
…無事、という言い方は些か間違っています。相手方の立場に立った場合。
「ねーミッツィ。」
チョコでも欲しいのかな、そう思って身構えていたら、ぎゅっと手を握られました
「あのさ、ホントにミッツィのこと、相棒だって思ってるんだよ」
みちしげさんとーかめーさんとか、ジュンジュンリンリンみたいに戦闘での連携は難しいかもしれないけどー
「それだけじゃ、ないよねー。あーうーん…小春こういうこと言うの苦手だなー」
こうやって手を繋いだら、全部伝わったら良いのにね
苦手、なんて言葉、貴方から聞けるとは思いませんでした。
それほど、大切に思ってくれてはるんですね。愛佳にかける言葉を。愛佳との関係を。
「伝わりますよ。手繋いでるだけで、伝わります。」
声を震わせないように注意して言いました。貴方の相棒なんですから、泣いてばかりはいられません。
相手に合わせるのも、相棒としての大切な役割です。
「そっか…えへへ…良かった…」
久住さんは静かに、タオルを目にずらしました。
泣いてええんですよ…久住さんは泣き虫な愛佳の相棒やから。
今日は久住さんの色んな面を見つけました。
普段は隠れてるリゾナントへの愛や、わたし信頼を寄せてくれてること。
こんなこともう起こって欲しくはありませんけど、大切な思い出になったのも事実です。
自分でもここまでしかできないって思ってた線が、久住さんの力で一つ進んだ気がします。
久住さんに信じてもらえるなら、どこまででも行ける気がする。
久住さんを支えれるなら、何だって出来る気がする。
ひらりと舞い落ちた、裏に今日の成果を纏ったあの写真。
久住さん、これ、持ち歩いてはったんですね。
ねぇ、久住さん。今度また写真撮りましょう?
写真一枚一枚に残される、今を重ねて未来に行きましょう?
2人で、一緒に。
みんなと、共に。
* * * *
以上>>690-699です
くだらない詐欺シリーズ第2弾でした
振り込め詐欺に関して昨今いろいろ整備されましたが、
そういうことは気にしないで頂ければ幸いです。
>>533
タカァアァァアァァ!!!!!なんとゆうイケメン…参考になります。
ありがとうございました。マジにやけました。励みになります。
萌えました
話そのものの素晴らしさにももちろん感動なのですが何より作者さんのウデに心酔しました
前作といい今作といい上手すぎます
笑わせるわ泣かせるわジンとこさせるわ・・・
中でもコミカル描写は抜群ですねえ
「勉強になる」などというレベルではなく完全に「参りました」レベルです
次作を心から楽しみにしています
愛ちゃん今度は何に騙されるんだろうw
テンポよさとコミカルな描写が楽しかったです!
こはみついいコンビですねえ
自分も久々に何か書きたくなったw
いたずらでシール貼られてたな
『共鳴者~Darker than Darkness~』の続きを載せたいと思います
投稿開始は20:40から
よろしければお付き合いくださいませ
楽しみにしてました
古代シャーマニズムを始め、
平安の世の陰陽師、神道や仏教、民間呪術などその足跡らしきものを挙げればきりがない。
国内では他に恐山のイタコ、沖縄のユタ、世界に目を向ければ西洋の魔女に、一神教の根拠となる奇跡の数々。
いずれも深く国家や共同体の中心に寄り添い、その異能を行使してきた。
吉凶を占い、政を助け、そして何より必要とされたのが魔の調伏――つまりは"闇"の排除である。
中心に"闇"を伴い不定期に現れる空間、異界。
その内部には瘴気が渦巻き、生物は生存を拒まれやがて息絶える。
黄泉の具現。死の権化。
放置すれば原生生物の絶滅に直結する脅威である。
その内部にあって唯一、平時と変わらぬ活動を許されるのが共鳴者だった。
"闇"を討てば異界は消える。
ゆえに彼らは古来より、世界を侵すその闇を祓う宿命を背負い続けている。
だが、当然といえばそうなのか。
人の身に余る奇跡には、代償となる供物が必要だった。
元来"闇"しか存在できないはずの異界。
その内部で平然と息づくことができる者。
翻せばそれすなわち、その者自身も"闇"に近しい存在であることの証明に他ならない。
――共鳴者とは、"闇"に共鳴する者を呼ぶ。
共鳴者とは人の身でありながらその実、中身が"闇"に親しい存在。
つまるところ、彼らもまた現界に在っては永くその身を保てぬ存在なのだ。
早ければ齢二十を過ぎる頃。
遅くとも三十を越えるより早く。
共鳴者という存在はその内に湛えた闇と、外に満ちる光との狭間に息絶える。
彼女達の不幸であり幸福は、その事実を未だ知らされていないということだ。
戦前までは今のような事態はあまりなかった。
共鳴者の素質は遺伝により直系に受け継がれることが多く、
旧宮内省は国内すべての共鳴者の家系を把握し、管理していた。
当然、成長の過程で共鳴者自身もその役目と末路を教育され、受け入れていく。
しかし戦後、戦火に紛れ共鳴者についての多くの知識は失われていた。
宮内省が宮内庁へと移行し、その権限を縮小されたことも相まって、
長く続いてきた管理形態は完全に瓦解したのだった。
高度経済成長期を経て国内の情勢も変革を経験し、
当の共鳴者の血も全国に散らばり、その伝統と共に薄れていった。
それでも、依然として異界という現象は存在し続けている。
その脅威の大きさに危惧を抱いた行政府は残ったわずかな情報から
共鳴者の末裔を集め、組織し、管理体制の再建を推し進めていった。
防衛省外局、
共化防衛委員会代執行機関、
共化特務機関所属、特殊強襲部隊1号――通称"黎明"。
喫茶リゾナントの面々が知らず所属するその部隊もまた、その再建の中に興ったひとつである。
* *
「いらっしゃいませー!」
喫茶リゾナントの客入りは今日も、悪くない。
料理やコーヒーの味には店主の高橋自身、さして自信があるわけではないものの、
オフィス街に面した立地と、何より若い女子店員の存在が常連客を呼ぶ理由に貢献しているのだろう。
比較的容姿の良い面子が揃っているし、
久住小春という芸能人がいることもあって雑誌の取材を受けたこともある。
一般社会に溶け込み、それを守るという己の役割を自覚する…確かそれを目的に開店したのが始まりだったか。
上の思惑はともかく、緊張の連続である日常にあって、店員たちはこの副業に安らぎを見出している様子だ。
高橋自身、客の笑顔に救われたことも、それを守りたいと想ったこともある。
だが。
今の彼女にはそれも、既に遠い思い出だ。
『死体はこちらで処理しておくよ』
そう請け負い、追って連絡をよこすと残した紺野と別れ、三日が経つ。
紺野あさ美。
元は高橋と同じこの"黎明"所属の共鳴者であり、その離反者だ。
ダークネス――"闇"の名を冠した結社を組織し、
"黎明"を始め公的な全共鳴者関連機関の敵対勢力として数々の違法行為に手を染めている。
組織としてどんな目的を掲げているのかまでは高橋の預かり知るところではないが、
紺野個人の行動原理はひとえに"復讐"にある。
それはおそらく、すでに彼女の側についた新垣とも同じ。
あの事件の、憎悪。
「ちょっと用事。店お願いね」
道重の声にそう返し、鈴を鳴らして扉を出て行く。
今や日常となったこの平穏も、そう長くは続かないだろうと思いを馳せつつ。
* * *
部屋には畳と、線香特有の香りが染みついていた。
仏壇に手を合わせ目を閉じる。
高橋にとってもう珍しくなった、安らぎを感じることのできる一瞬だった。
「いつもごめんなさいね、お忙しいのに」
「いえ。出動のない時は案外暇なんですよ、あーし」
初老の女性は膝を折り、目の前の卓上に湯のみとお茶請けを置いてくれた。
目元の辺りが遺影の中で笑う彼女とよく似ていると、高橋は懐かしく想った。
「こちらこそ返って気を遣わせてしまって、ごめんなさい」
「あら、気にすることないわ。
おばさんの一人暮らしだから、お客様は大歓迎よ」
娘同様、共鳴者であったご主人は彼女が生まれてすぐ亡くなったと聞いている。
遺された唯一の肉親を失って、女性は目に見えて若々しさを失ってしまった。
この家にはまだ、遠い日の彼女と、この女性との笑い声の残響が木霊し続けているように思えてならない。
同じような境遇の人々は日本中、世界中に大勢いる。
日本では自衛隊員と同じ扱いで保障金こそ出るものの、
死亡状況や死因などは防衛上の機密として明かされることはなく、
遺族の訴えなどなかったものとされるのが現実だった。
公にしてやると騒いだところで三流誌すら取り上げてくれないオカルトな事案だ。
それゆえ何人の殉職者が出ようと責任を問われる人間はいないし、体制が改められることもない。
ダークネスの組織構成員をこうした遺族が多く占めるのも頷ける話だ。
「今日はお別れを言いに来たんです」
「お別れ……?」
「ええ。ちょっと遠くへ出向することになって。
しばらくはこちらへ顔を出すこともできなくなるかと」
「まあ、大変ねえ。……そうよね、高橋さんももう、管理職なんだものね」
驚きは、流れた時間の早さに対してのものだろう。
もう、彼女が死んでから何年が過ぎたのか。
正確に思い出すことはできない。
時間の区切りになど意味はない。
高橋と目の前の女性にとって、
時間が解決してくれた事柄など何ひとつなかった。
「あーしも、もうあまり時間のある身体ではなくなりました」
「……そう」
「けど約束します。
――もうこれ以上、マコトと同じことは繰り返させない。絶対に」
その瞳の中に何を見たのか、女性は何も言わず、高橋もそれ以上何を言うこともなかった。
そのままいくらかの時を過ごし。
やがて、高橋は帰路についた。
短い上にあんま話進んでないですが規制も厳しいようなので今日はこのくらいで
確約できないので次回予定は未定としときます
>>709
光栄です(´Д⊂)
更新乙
相変わらずの筆力で書かれる独自の世界観を楽しませてもらいました
これからどうなるのか非常に気になります
貴兄の文章はそれ自体がある種の呪術というか、言霊使いの能力だね
これは褒めているつもり
いつもながらあっという間に独自の世界の中に取り込まれる感じがします
正直めっちゃ待ってましたよ
次はこんなに待たせないでくださいねw
5期好きとしても今回のは特にきましたねえ
さて作業始めるかな…
待ってましたよ!
今から、まとめサイト行って
前作を読み返してから更新分を読みます
お昼に上がってた作品ですね
戦士たちが攻撃系の能力を語ってる話なのに、溢れる清涼感。
不思議な読後感でした。
作業がんばってください!
あんな話が書けるならなちコン行こうかな
直後にも書きましたが色んな意味で美しくまとまった作品でした
能力の設定的にはあまり好みではないのですがwそれはまた別の話
ストーリーとしては非常に綺麗で好きですねえ
でも贅沢な悩みだな
嬉しい悲鳴だすw
作業してきたぜゴルァー
>>387-393 『RとR』を「新垣里沙」 前作品とリンク
>>414-422 『朝焼けの街』を「ガキれな(新分類)」
>>476-481 ガキさゆinリゾナントを「ガキさゆ(新分類)」
>>530と>>532 [Niigaki](1)434 と [Gaki-Rena](1)444 に分割
>>542-547 15年後の話を「MM。」
>>571 サウンドノベル更新(リンク集より)
>>595-603、628-641、>>650-655 田中×舞子姉さんを「田中れいな」
>>678-681 『真夏の光線』を「新垣里沙」
>>690-699 売上奪還作戦を「こはみつ」
>>710-714 『共鳴者~Darker than Darkness~ -3-』を「共鳴者」
題名スレ>>44-45
あとなんかないですかね見落としとか見落としとか見落としとか
したらば更新スレに書いた方は下の行消し忘れたんで内容重複してますがスルーしてくだしあ
まとめたり作品書いたりとお忙しそうですが体調にはお気をつけて
ほんと巨大になってきましたねえ
序盤にまとめていただけたからこそですね
注意事項は下記の通りです
・短い
・こんなのこはみつじゃないやい
・きっとほのぼの
以上です(さるさん避けで書いておきます
・・・ごめんなさいw
泣いた彼女の顔を見たことがないわけじゃない。
でも、その涙は愛佳の心を揺らすのには充分すぎるくらい、重い。
その涙を止めたくて、手を伸ばす―――
「…どうせ視るなら、もっといいもん視たかったわ」
のそっと、愛佳はベッドから身を起こす。
時刻は夜の3時過ぎ、まだまだ目覚めるのには早い時間。
背中を伝う汗が気持ち悪くて、愛佳はシャワーを浴びに風呂場へと向かった。
肌くらいの温度のシャワーが、愛佳を濡らしていく。
熱すぎず、冷たすぎず。
気持ち悪さの原因となっていた汗を洗い流しながら、愛佳は物思いに耽る。
愛佳の得意能力と言ってもいい、予知能力。
その名の通り、これから起こりうる事態を予め知ることが出来る能力だ。
普段、愛佳はその能力を必要な時にしか使わない。
その能力で予め視たいものを指定して視ることが出来るようになったものの、
未だに愛佳を困らせることもあった。
それが、予知夢である。
愛佳本人の意思とは無関係に予知能力が発動して、夢うつつの中でこれから起こりうる事態を視てしまう。
こういう形で視えてしまうことは大概、愛佳にとって思わしくないことだったりするのだ。
愛佳本人の意思とは無関係に予知能力が発動して、夢うつつの中でこれから起こりうる事態を視てしまう。
こういう形で視えてしまうことは大概、愛佳にとって思わしくないことだったりするのだ。
現に、今さっき視た夢の中で小春は泣いていた。
思い返すだけで、胸が締め付けられて身動きできなくなるくらいに。
リゾナンター全体に影響があるような大きなことは今のところ見えてはいないので、
おそらくリゾナンターの小春ではない、普通の久住小春に何かが起きるのではないだろうか。
そこまで考えて、愛佳はシャワーを止める。
視えてしまったものは仕方がない、もう視えなかった自分には戻れないのだから。
今の自分が考えるべきことはただ1つ。
―――小春の涙を止めてみせる、何があっても。
今度は何も視ませんようにと願いながら、愛佳は布団へと潜り込んだ。
* *
授業が終わると、愛佳はダッシュでリゾナントへと向かう。
小春からメールが着ていたのだ。
みっつぃーに見て欲しいものがあるから、学校が終わったらリゾナントへ来てください。
そう書かれたメール。
ちょうど小春に会いたいと思っていた。
見せたいものが何なのか気にならないわけじゃないが、こっちも言いたいことがある。
駅へと走る今この瞬間も、小春の泣き顔が頭から離れない。
ミーを失ったあの日から少しずつ築き上げてきた、2人なりの絆。
―――小春の涙を拭うのは、自分。
早くリゾナントに行きたい、その思いとは裏腹に。
救護人が出たり、ドアに荷物を挟まれて引きずられそうになる人がいたりで、電車はどんどん遅れる。
リゾナントの最寄り駅に着く頃にはぐったりとしてしまった。
それでも、愛佳は駅に着いてからダッシュする。
早く、1秒でも早く。
あんな未来は変えてみせる、自分の力で。
「こんにちわー」
「あ、みっつぃー、来てくれたんだね、遅かったからちょっと心配しちゃった」
「久住さん、こんにちわ」
小春は、リゾナントの店内に置かれているテレビに近い席に座っていた。
その片手には、湯気が立ち上るマグカップ。
制服姿なところを見ると、高校から直接リゾナントへと来たのだろう。
いつもは私服で来ている小春の制服姿は見慣れなくて、でも何だか嬉しい。
そんなことを考えている場合じゃなかった。
小春の涙を止めなきゃいけない。
愛佳は神妙な顔で小春の隣へと腰掛ける、と同時にテーブルに置かれるマグカップ。
視線を上げると、愛がにっこり笑っていた。
愛佳の好きな、ちょっぴりほろ苦いキャラメルマキアート。
愛にありがとうございますと言って、愛佳はマグカップを手に取る。
口に広がるキャラメルの仄かな甘みと、ほろ苦さ。
甘い味が苦手な愛佳のために、甘さ控えめで作ってくれたのだろう。
自然と微笑んでしまった愛佳を見て、小春も小さく笑った。
「ええでー」
そんな会話を耳にしながら、愛佳はどうやって小春に話を切り出そうかと思う。
少なくとも、今の小春はとても何か泣いてしまうような何かを抱えているようには見えない。
だけど、自分は確かに視たのだ、涙を流す小春の姿を。
このままだと、切り出すタイミングを失ったまま時間が流れてしまう。
テレビに見入る小春に、愛佳は意を決して話しかけた。
「久住さん、愛佳、視たんです」
「…見たって、何を?」
「愛佳がたまに予知夢を視るって話は、前にしましたよね?
昨日…日付的には今日なんですけど。
視たんです、久住さんが泣いてるところ」
「へ?本当に?」
本当にと言った小春の横顔は、いつもと変わらない平然としたもので。
こんなにも自分は小春のことを心配しているのに、小春は何も思わないんだろうか。
悔しくて悲しくて、涙が溢れてくる。
愛佳が言葉を発しないことに気付いた小春は、愛佳の方を向いて驚いた。
慌てて鞄からハンカチを取り出して、愛佳の頬へと小春は手を伸ばす。
その手を払いのけながら、愛佳は小春を睨み付けた。
なのに、テレビの方ばっかり見て愛佳の話なんか全然聞こうとしてくれへん。
久住さんが泣いてる夢を見たから、愛佳、学校終わってからすぐにここまで来たのに、
久住さんはヘラヘラしとるし…愛佳じゃ、頼りないですか?
泣くようなことがあっても教えられんくらい愛佳は久住さんにとって頼りにならん存在なんですか?」
「みっつぃー?
あたしはみっつぃーのことすごく頼りにしてるよ。
本当、何か泣くようなことがあったら
真っ先にみっつぃーに相談する。
何でみっつぃーがそんな夢見ちゃったのか分かんないけど、
あたし、泣くようなことはここ最近…あ!」
何か思い当たることがあったのだろう。
小春は1人で納得したような顔をしている、それが気に食わなくて愛佳はさらに言葉を続けようとしたが。
いいからテレビ見てと言われ、愛佳はぶすっとした顔でテレビの方を見る。
何かの特撮物だろうか、怪人とヒーロー達が戦っていた。
怪人は敗れ、変身を解くヒーロー達。
その瞬間、愛佳は声をあげそうになる。
ヒーロー達の1人に小春がいた、黒いフード付きのロングコートに、黒いインナー、黒いブーツ姿で。
小春の顔がアップになる。
『ごめんね、もっと早く助けてあげれたらこんな目には遭わせなかったのに…』
画面の中の小春が、泣いていた。
怪人との戦いに巻き込まれたと思われる、もう動かない女性を抱きしめながら。
そのまま、番組はエンドロールが流れ始めた。
「多分、みっつぃーが見た小春の泣き顔ってのは、これなんじゃないかなー。
本当、泣くようなことってこれくらいしか小春には思い当たらないんだけど」
「…穴があったら入りたいですわ、ほんまに」
「ふふ、心配してくれてありがとう、みっつぃー」
そう言って優しく微笑む小春に、愛佳もぎこちない笑顔を返す。
確かに予知夢は当たっていた、小春は泣いていたのだから―――画面の中だけれど。
冷めてしまったキャラメルマキアートを口にしながら、愛佳はホッとした。
演技の涙でよかった、と。
あの後はというと。
せっかくの小春の晴れ姿を見てくれなかったとぶーぶー言う小春を宥めたり、
一連のやり取りを見ていた愛とれいなに冷やかされて大変だった。
―――もう、予知夢は見たくない。
更新は以上になります
みっつぃーがキャラメル系の甘さが苦手かは知りません
こはみつ萌え最高
ほのぼのするね
何だかコーヒーが飲みたくなってきた
ないやいの人ですがコピペミスした箇所があるのでサイトに載せる際に修正をお願いします
>>736の最初3行をサイトに載せる際に削ってください
夜中に投下するもんじゃないねorz
テスト前なのにこんな時間まで見ちゃって軽く後悔してますw
今日もいいお話がいっぱい見れて幸せです
こはみつの相手に対する信頼の形が表れていますね
同じ信頼でもその形は人それぞれなんだなぁと改めて感じました
慌てんぼうさんなみっつぃーが何だか新鮮でかわいかったですw
出だしの予知夢のくだりは拙作の意図的なパロディ・・・ですよね?
自分の書いたものが重かっただけにラストの(いい意味での)拍子抜け具合が効果的でした
>―――もう、予知夢は見たくない。
には萌えましたねえそのときの光井さんの表情とか内心を想像して
・・・ただ 自分のときはシャワーシーンは敢えてカットしたのにその描写があってもう朝から目のやりどころに困りましたw(←脳内では映像化されてるのでw)
作者さんの人柄も出るのでしょうかね
ところでシャワーシーン要員と言えば誰か忘れていませんか...ガキさんとか
ガキさん朝から乙です
必ず誰かのシャワーシーンが入るようにして欲しい
水戸黄門の由美かおるのお風呂シーンみたいな扱いで
バカッそこはスルーだろ!
おや?何か首に鋼線が
まずは>>750から!
立て板に水なんてなwww
無差別テロリストになるところだったよ
私のオーディオコメンタリー付きだからね
-初回限定銅線付き-
サーバにすごい負荷がかかって実況スレが1063まで行きましたw
拒乳ガキさんならこの記録を軽々と追い抜けるはず
道理で・・・
∥c|●e●)|つ お前らはもう・・・死んでいる
自分はコンコンの生み出した細菌のせいでグターリ中orz
まぁ大抵 ガキさんの乳が
ゾッとするほど無いくらいだろうな
あれっ 咳がとまらない・・
売り上げ奪還作戦のこはみつが可愛かったのでついついこはみつ短編を書いてしまいました
短いレス数の中でどれだけのものが書けるのかただいま実験中だったりします(本編は鋭意妄想中
ほのぼのしていただけてよかったです
>>749さんの作品に無意識リゾナントしていたようです無意識って怖いですねw
次スレにいくまでに後1本か2本くらいはこういったほのぼの系を投下したいとは思ってるのですが
誰と誰の組み合わせにしたもんかなぁと…リクエストとかあったら遠慮無くどうぞw
※ガキさんの乳ネタはダークネスの呪いによる体調不良を引き起こすのでそれ以外なら…w
>>749ですが・・・自意識過剰っぷりが恥ずかしすぎますw
忘れてください・・・
ちなみに個人的にはジュンジュンとみっつぃーとかが読みたいです
ジュンジュンリンリンと他の人の絡みが少なめで寂しいので
http://image.blog.livedoor.jp/blv42/imgs/3/d/3db92568.jpg
ジュンジュンやリンリンと他メンですね
了解しました
ほのぼのになるかは分かりませんが頑張ってみます
忘れないでリゾナンカー・・・走れ! 1㍑180円のこの世の中を・・
リゾナントレインとかリゾナントエアーとか
注意事項というほどではないですが暗い、ひたすら暗い話になってます
時系列的にはリゾナンター加入前と思ってください。
ではどうぞ。
―――私を見て下さい
小春は今日も一つ、心に傷を負っていく。
流れ続ける血を無視して、最大限の虚勢を張って。
悲痛な叫びは誰にも届かない。
いや、例え届いたとしても小春がその手を取ることはできない。
我侭と言われても、そんな生き方しかできなくなっていた。
「おはようございまーす!」
「おっ、きらりちゃん今日も元気だね。悩みなんてなさそうだよね本当。
じゃ早速、今日のスケジュールなんだけど……」
芸名、月島きらり。本名、久住小春。
デビューからわずかな時間で芸能界におけるトップアイドルの座に上り詰め、今やテレビや雑誌で見ない日はない。
まさに時代の寵児といえた。
普通の田舎者の女の子がトップアイドルへ。
そのシンデレラストーリーに見る者は憧れ、求め、希望を見い出す。
だが、完璧なアイドルきらりを演じる小春の心中はいつも何処かが冷めていた。
マネージャーが資料を指で示したポーズで顔をあげた。
「んー?聞いてなかった☆ごめんなさーい」
「もう、しっかりしてよ」
「……悩みの一つや二つ、あるもん……」
信じられるものは自分自身だけ。
目に見えないモノなんていつこの手から零れ落ちるかわからないのだから。
誰も最後は己の保身が大切。助けてはくれない。
だから一人で戦い抜くしかないんだ。
泣くな、前だけを見ろ。
自分の後ろに戻るべき道は無いのだから。
そう自分自身に言い聞かせる。
それはこの少女に限らず誰にでも常に心の中にあることだ。
但し、この少女の場合。
『私』とは「月島きらり」ではなく、本名の「久住小春」であった。
魅了という小春に備わった能力は天性のもの。
誰からも注目を浴び、愛される。
だが芸能界という特殊な世界では接する人全てが、小春のことをきらりと呼び、作られたキャラクターを求めている。
嘘が上手になっていく小春。
偽りの笑顔。偽りの言葉。
それらは全てきらりを構成するものであり、決して小春ではない。
だんだんと1日の中で小春が小春自身で居られる場所が無くなっていく。
何処に居ても、何をしても。
一体、「私」はどこにいるんだろう……
もし、芸能界からきらりが居なくなった時、この身に「小春」としての価値は残るのだろうか……
一度生まれた疑問は小春の中だけで共鳴し、誰にも救いを求めることはできない。
「私」は……「きらり」は、強くないといけない。
そう思い込むことで、己を追い立てていく。
いつも通り、仕事は完璧にこなす。
あんな場所でも、誰かに必要とされているのは嬉しい物だし
何より一度やると決めたことだ。
帰り道、一人になって、ようやく肩の錘を落とせる時間。
暗闇が心地よく感じてしまう己に薄ら寒さすら感じてしまう。
特に欲しいものはない。
だけどつい明かりに引き寄せられるようにコンビニに吸い込まれていく。
ただ誰かに「ありがとうございました」と言ってもらうだけの為に。
一瞬だけ空洞が満たされ、また奈落の底に引きずり込まれるような、
言いようのない寂しさが襲ってくるのに気付かないふりをして歩き出す。
光の中では決して気付かなかった、闇に接するまで己が光に包まれていたことを。
誰も知らない儀式。
そうでもしないと心が折れてしまいそうだった。消えてしまいそうだった。
「なーさん、ただいま。あのね、小春ね……」
いつしか一人称は「私」から「小春」に戻る。
なーさんの写真を胸に抱き、今日会ったことを報告する。
この時間だけが、小春に許されたただ一つの心休まるものであった。
「なーさん……いつか、小春にも出来るのかな……
心から信じる事のできる人が……」
―――私を見てください
―――私自身を見てください
小春はまだ知らない。
自分の運命を左右する出会いを。
心から信じられる、魂が共鳴する者達との出会いを。
これはまだ幼い少女が、高橋愛と出会う前の物語。
以上です。暗いっすね暗いですよねごめんなさい
明るい話でないのは確かですが だからこそ最後の一文が効いてくると思います
やがて高橋愛という光に導かれて闇を抜け居場所を見つける未来があるのだと思えますから
暗作、乙です
暗いといえば暗いし、派手な展開があるわけでもないのに、
何か訴えかけてくるような作品でした
僅か数レスで小春の真情を見事に描かれていると思います
小春がリゾナンターに加入する経緯を描いた作品って無かった気がする
暗闇と光の狭間で小春が愛ちゃんと出会う話も読んでみたい
特にコンビニのくだりが好きです、でも全部の描写が上手い
短いのにぐっとくる話書けるのって凄いな・・・
なーさんの写真に話し掛けてる姿を想像すると悲しい
何だか>>656の作品に繋がって行きそうな作品ですね
あとは小春がリゾナントするのを待つだけ
10レス以上に渡るためこちらへの転載は方法を考えなければなりませんがひとまず皆様にお知らせを
以下作者様より
[Darkness](7)338 『未来はこの手の中に ―SIDE Darkness―』
に大リゾナントさせていただき勝手に続編を書かせてもらいました
『未来はこの手の中に ―SIDE Darkness―』が好きで、何度か読み返しているうちに
色々と妄想が膨らんで勝手に登場人物や設定をこねくり回しているうちに出来てしまった話です
お話は、ダークネス側の予知能力者・圭織の物語です。
******************!注意事項!********************************
・ダークネス側のお話です。
・オリジナルの登場人物が出てまいります。
・現メンが出てきません。
・欝展開
*好まれない方は申し訳ございませんが、スルーをお願いします*
99 名前:名無し募集中。。。 投稿日: 2008/07/01(火) 19:28:04
『RとR(4)』の中身が(3)になってますよ
ってことですんませんでしたorz 直しておきました
次いで
>>797さんありがとうございました
で、今回こうしてアク禁スレに書いていただいたわけなんですが、
実は上げたモノをどうしてほしいかとかそういうご指示が一切なかったわけです
規制食らっちゃったから転載してくれということなのか
レス数多いからここから手伝ってねということなのか
本スレにもアク禁スレにも詳細がないので実は手の打ちようがなかったのです
今回は>>797さんに機転を利かせていただき、誘導という形になりました
まとめ時には「ダークネス」分類に含めたいと思います
今後、このような場合はせめて、どうしてほしいかはご指示願います
でないと、誰も手を出せないままに時間が経ってしまいます
どうかご協力を! って、別に自分はこのスレの主でも何でもないんですけどねw
アク禁スレを作成したものとして提案してみました
ご協力を!
どうするかはしたらばでやりますか?
みなさんの協力体制に感謝感謝です
テンプレさんですか?
したらばにテンプレ投稿規制対策用にスレ作ろうかなぁと思うんですがいかがでしょ
・次スレに投下予定のテンプレを載せる
・次スレ立てます宣言
あたりの掲載用に
>>801
いいんじゃないでしょうか
テンプレの修正内容についてもしたらばでやったほうがいいでしょうかね
明け方から降り出した雨は、次第に勢いを増し、会議室のガラス窓を強く叩いている。
この日、圭織は永田町の議員会館の一室で行われていた、ある会議に参加していた。
ここ数年、組織の政界進出は目覚しく、十数名の議員を国会に送り込み、ひとつの党派を成していた。
圭織はその予知能力によって、組織の政党を、政権の中枢へと導くことを期待されていた。
会議の議題は専ら、与党との連立政権に関する、細かい条項の取り決めだった。
圭織はうわの空で、窓を叩く雨ばかりを見ていた。
すると、会議にざわめく周囲の声は消え、 雨音だけが耳に響く。
心は、雨音に引きずられて、妹を失ったあの日へと立ち戻る。
――――――――――14年前の6月――――――――――
その日もどしゃ降りの雨だった。
圭織は母親に、“お使い”を頼まれ、玄関で長靴に足を通す。
すると、突然、視界が白く飛んで、脳裏に不吉なイメージがよぎる。
自分が乗ったバスが事故に会い、血だらけになりもがき苦しむ自分の映像が見える。
その時の圭織にはそれが何を意味するのか、分からなかったが、
募る恐怖心に煽られた圭織は、お使いを拒み、部屋に閉じこもる。
―――それは先程、見たバスの事故現場の映像―――
先程とは違い、その映像の中に自分の姿は無く、代わりに絶命した妹の姿があった。
圭織は、慌てて部屋を飛び出し、母親の所に行くと妹の居場所を尋ねた。
母親は、不機嫌そうに言った。
「もうバスに乗ってる頃かしら?……あなたの代わりに、お使いに行ってもらったのよ」
そのバスには、自分が乗るのはずだった。
だが、実際にそのバスに乗り、そして事故によって命を落としたのは・・・妹だった。
圭織は、幼い妹の命を死神に差し出したのだ。
自分の命の身代わりとして。
雨の降る日は、何も手に付かなくなる。
心の奥底に閉じ込めようとも、雨が降れば、あの日の光景は鮮明に蘇り、意識は惨劇の現場へと、立ち尽くす。
血だらけになった妹の死体。
自分が見殺しにした小さな命が、雨に濡れ、転がっている。
妹の左腕はあらぬ方向に曲がり、右足は膝から下が無い。
右手で、胸の前に一冊の絵本を抱きしめ、それを守るように背中を丸めていた。
画用紙をホッチキスで留めた、手作りの絵本。
圭織が妹に書いてあげた絵本だ。
お話の最後が思いつかずに、書きかけのまま渡した絵本。
妹はその絵本が大好きだった。
何処へ行くのにも、持って行き、何度も読み返しては、早く続きを書いてくれと圭織にせがんだ。
圭織が机に向かいペンを握っていると、必ず飛んできては 「続きを書いてるの?」 と聞いた。
圭織は結局、続きを書いてやれずに、妹は死んだ。
生々しく再現されたその光景の中で、血だらけになった妹に握り締められた未完の絵本は雨に濡れていた。
圭織は、ハッとして我に返り、慌ててバックをまさぐると、
予め用意しておいた、政局を予知したレポートを黒崎に渡した。
黒崎孝雄。この政党の党首を務める切れ者。微力ではあるが精神感応力を持つ。
圭織は、目的の為には手段を選ばないこの策略家を、好きになれなかった。
黒崎は圭織に、矢継ぎ早に質問を投げかける。
「で、どっちの党派につけば良いんだ?」「それは、いつ起きる?」「俺の得になる選択は?」
圭織はそのスピードに狼狽しながらも答える。
ひと通り予知を聞くと、黒崎は言った。
「じゃあ、その事務次官を失脚させれば、我が党に有利な流れになるな……」
その刹那、圭織の脳内に新たな未来視(ビジョン)がなだれ込んで来た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
黒崎の足元に倒れる事務次官。 黒崎は、銃を突きつけている。 事務次官は何事か叫ぶ。
発砲。 額を撃ちぬかれる。 事務次官の瞳にもう、生命の光は無い。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
圭織は今しがた見た、未来視(ビジョン)の生々しさに眩暈を覚えながらも答える。
「彼を失脚させたいのなら、いくらだって方法はあるわ。殺すことは無い」
黒崎が興奮して尋ねる。
「奴の死が見えたのか?」
「マインドコントローラーを使って、政治的失策をいくつか演じさせればいいわ」
黒崎がイラッとして言う。
「俺に指図をするな。あんたは予知した事だけ言えば良い」
黒崎は、普段から『予知能力者は神だ』などと、うそぶく圭織を疎ましく思っていた。
しかし、利用価値の高い予知能力者を、怒らせるのは得策ではないと思い直し、慌てて言葉を付け加える。
「まあ、考えて置くとしよう。今日は大変、参考になった。また、力を貸して欲しい」
圭織のおざなりに差し伸べられた手が、黒崎の手に触れた。
すると、突然、視界が白く失われ、
今までに見たことも無いほどはっきりと、未来視(ビジョン)が見えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《十数年後の未来》
《首相官邸》
総理執務室の長テーブルに大臣達と、幕僚達が席につき、
その主席には、黒崎が深々と腰を下ろしている。
テーブルの上には、乱雑に新聞が置いてある。【日本の核兵器保有量が米国についで2位】
【黒崎首相、共産圏各国に宣戦布告】【黒崎政権、亜細亜諸国より孤立】
立ち上がる黒崎。 幕僚たちに、 敵国への 核攻撃 を命じる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
黒崎が、抜け殻となった圭織の肩を、揺すって言った。
「ちぇ!また、未来と交信してやがる」
「ええい!離せっ!」
黒崎が乱暴に指をこじ開け、圭織の肩を突き飛ばした。
すると、またもや、圭織の脳内に未来視(ビジョン)が
強烈な生々しさを伴って、なだれ込んできた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
網膜を灼く一瞬の閃光 きのこ雲 焼け爛れた世界が現われる 何万と言う死体
血膿の焦げる臭い その修羅場 凄惨のうめき 子供の内臓を抱いて泣き叫ぶ母
倒壊した建物からもがき苦しむ手が見える 人間が燃えていた 子供が その母が全てが燃えていた
無限に続く夥しい、死 死 死 死 死
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
意識が圭織の身体に戻ると、全身がガタガタと震えだした。
黒崎が何か声を掛けたが、耳には入らなかった。
圭織は逃げるように、その場から走り去った。
組織の幹部会議の席で、黒崎は頭を抱えていた。
党内から、政治スキャンダルがマスコミにリークしてしまい、
ここ数年来、内密に話を進めてきた与党との連立政権の話が白紙に戻ってしまったのだ。
今はまだ、巨大政党の議席かせぎの連立の盟約ではあったが、
将来、政権を取るにあたって、重要な過程であると、黒崎は考えていた。
黒崎は、マスコミにスキャンダルを流したのは、圭織であると確信していた。
漏洩した情報を知る者は限られていたし、圭織以外の者には全てリーディングを行い潔白が証明されていた。
何よりも、圭織はここ数日、姿を消し、消息がつかめない。
黒崎は圭織の顔を思い浮かべると、怒りが腹の底から湧き上がった。
黒崎は立ち上がり、幹部たちを前に演説をはじめた。
「私は、能力者がこの社会のトップに立つべきだと考えている。そのために、これまで尽力してきた。
我が党は、あと少しのところで与党に名を連ねるはずであった。
それを、あの女が潰した……自らを神と称し、未来を改ざんする事に無常の喜びを得る、あの女がだ!
これは、許すまじ行為である。死を持って償うのが妥当と思われる。
どうか、幹部の皆様の同意を頂きたい!」
幹部たちから、同意の声が上がり、圭織の処刑は決定した。
黒崎を失脚させたにも関わらず、あの日、見た未来視(ビジョン)が変わること無く、見え続けるのだ。
被爆し、焼けただれた、この世の終わりの風景が、依然として未来に鎮座している。
黒崎の未来から首相の座を奪ったとしても、奴は黒幕となり、あの未来を実現させるのであろう。
奴は何度、失脚させようともその度、這い上がり自らの意思を貫くであろう。
圭織は静かに眼を閉じると、意識を未来へと解き放つ。
(私は未来を予見できる。そして、予見した未来を人為的に改変することも。
でも、私という変数によって未来は無限に分岐し、霧散してしまう。
私に視えない未来の死角を無数に過去へと流しつつ、また新たに生まれた未来を視る。)
無数の立ち現われては、消える未来を覗き込み、
疲れ果てた意識が、身体に舞い戻ってきたその時
圭織の目から、もう迷いの色は消えていた。
「あなたにとって重要な未来が見えたの。明日、時間を空けてもらえるかしら?」
「わかった。朝から党本部で待っているよ」
「それじゃあダメなの。前にも説明した通り、予知にはそれに関わる場所と人物が重要なの。
私の指定する場所に来てもらわなければ意味が無いわ」
「場所は?」
「日野原市に自衛隊演習所があるでしょ?そのすぐ側に廃村があるわ」
「自衛隊に関する予知か?」
「そうね、まだ確固たるものではないけど、軍とあなたの行く末に関わること。
詳しくは、明日。その場所で、ひとまずの予知を話して、あなたがその未来を知ってどのような
選択を望むかで、また未来は違う顔になるわ。」
「わかった。必ず行く」
「詳しい場所を言うわ。日野原市の……」
長い間、放置され、朽ち果てた無音の風景に、時折、遥か上空を軍用ヘリコプターが横切る。
捨て去られた民家が点在する田舎道を抜けると、廃校となった小学校跡がある。
その廃校の体育館の中で、圭織は一人、奴らが来るのを待っていた。
【これより先はこちらのBGMと共にお読み下さい】
http://jp.youtube.com/watch?v=ZmqGvvMsA0Y
体育館の片隅に積み上げられていた、机と椅子を一組運んできた圭織は、光の差す場所を選んで座った。
圭織は机の上に画用紙を広げ、色鉛筆を顎に当て、物語の最後を考えていた。
すると、圭織はふいにペンを走らせ、女の子の顔を描いた。
描き上がった絵を満足そうに眺めると「さあ、今度はドレスを着せてあげる」と言って鉛筆の色を変えた。
圭織は色鉛筆を置いて、奴らが入ってくるはずの扉を眺めた。
(入ってくるのは18人)
(その内、ピストルを持っているのが6人)
(はじめに撃つのは、先頭に居る背の低い男)
(でも、それは威嚇射撃だから当たらない)
(次に、黒崎がこう言う)「お前の処刑が、幹部会議で決定した」黒崎のドスの利いた声が、体育館に響いた。
予知した事と寸分違わぬ奴らの行動に圭織は、思わずクスリと笑う。
その笑顔を見て、先程、威嚇射撃してきた男が「舐めてんのか!コラッ!」と言いもう一度、引き金を引く。
(しかし、これは偶然、不発に終わる)
(だから、私はこう言う)
「あなた達の銃に予め、細工をして置きました。勇気のある方は引き金を引いて下さい」
男達は、慌てて自分の銃を見る。
「私の予知では、三人の手が、吹き飛ぶのが見えました」そう言って手をヒラヒラさせて見せる。
「そう思うのなら、どうぞ」
(私はこの若者に肩を撃たれる)
「コノヤロウ!」怒声と共に若い男は、発砲する。圭織の肩が撃ち抜かれる。
身体を貫く衝撃に、圭織は気絶しそうになるが、どうにか踏みこたえる。(今はまだ)
黒崎が笑って言った。「撃たれるのを、予知できなかったのか?……俺によこせ」銃を若い男から取り上げる。
(もう、少し……あと、少しだけ)
圭織は、男たちの顔を確認する。あの総理官邸の長テーブルに、座っていた“未来の大臣たち”が揃っていた。
(一人も、生きて未来には行かせない)
黒崎が嬉しそうに言う。「予知能力者は、神じゃなかったのか?」
圭織はゆっくりと顔を上げて、黒崎を見ると言った。
「結末を知っているのは、神様と私だけ。でも、未来を変えられるのは……私しか、いない」
圭織は痛みに顔をしかめながら、天を見上げた。
すると、突然、体育館の天窓の日が遮られて、暗くなった。外からは空気を切り裂くような轟音が聞こえる。
男達が何事かと、天井を見上げた。天窓からプロペラが停止したヘリコプターが、落下してくるのが見えた。
次の瞬間、爆音と共に天井を突き破り、軍用ヘリコプターが落下してきた。
一瞬の出来事だった。体育館に居た男達はヘリコプターの下敷きになった。
全員、即死だった。
圭織は腕時計を見た。ヘリの墜落は、予知した時間と一致していた。
予知に誤差が無いとすれば、まだ少し時間がある。
圭織は、這うようにして光の差す場所まで行くと、
握り締めてしわくちゃになった画用紙を手で伸ばし、物語を綴りはじめる。
初夏の日差しが、割れた天窓を抜け、体育館の床にまだら模様を揺らしている。
もう、未来は見えなかった。
圭織はふいにペンを止めて、陽だまりの中に何かを見つけ、愛しげに微笑むと、もう 二度と動かなくなった。
「続きを書いているの?」
「そうだよ」
―完―
終わりです。
BGMのアドレスなんですが、
直接リンクが貼れなかったので頭のhttp:を取ってアドレスを張りました。
オリジナルの[Darkness](7)338 『未来はこの手の中に ―SIDE Darkness―』
の作者様、ありがとうございました。失礼します。
→張るとき勝手ながらアドレス修正しました。
>>803-818
俺このBGMシリーズ大好きwwww
この作者さんって小春の時もBGM付けてた人だよね
センスあるよなー
正直初めてダークネスサイドの人を応援したよw
きっと素敵な絵本が出来上がったんだろうな
ガキさんの胸で泣かせて下さい
もっと泣きたくなるけどな
背中と間違えるなよ
(ダークネス)<新垣…個人的行動は自重しろ…
_,,_
(#・e・)<………止めないでほしいのだ
胸もだが・・
作者さん、転載なさったお二方、お疲れさまでした
したらばを見て、お二方のボランティア精神あふれるリゾナント作業に感動すら覚えました
ほんとこのスレっていいスレだなぁ…と昼間からしみじみしてしまいました
それからこれもしたらばを見ていて思ったのですが、作者さんは「胸の高鳴る方へ」の名言を生み
亀井の傷の共有、道重の治癒能力、光井の予知能力を最初に書き
物語の分岐点とも言える新垣失踪のエピソードを書いた方ですよね?(間違っていたらすいません)
しばらく書いておられなかったようですが、創成期の作者さんの作品がまた読めるようになって本当に嬉しい限りです
各スレの冒頭に導入するテンプレのためのスレです。
・貼り付ける予定のテンプレ追加更新
(スレ立て前に全テンプレ貼り付け推奨?)
・スレ立て宣言&規制時の支援宣言他
使い道はこんなところでしょうか
テンプレの追加修正依頼などは本スレで
スレ立て宣言は念のため本スレにも
規制に引っかかったらこのスレ(と、可能であれば本スレにも)へ
こんな感じでしたらばに立てようかと思うんですが加筆修正あればお願いします
『未来はこの手の中に ―SIDE Darkness―』を書いた者です
素晴らしすぎるリゾナントをありがとうございました
「圭織」が“過去”や“未来”から解放されるのは滅びのときだろうという思いでいました
その漠然としたイメージに違わぬ・・・どころか想像を絶する美しく悲しい物語となっていますね
この感動をどんな言葉で表わしていいかが分かりません
また近いうちに感想を書かせてください
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1214956601/
このスレ立てたのここの人か?w
誰とは言いませんが...
誰からとは言いませんが・・・
二度と覚めることのない夢の世界へと
リゾナントブルーとうまく融合できる新曲を楽しみにしてたのに
_, ,_
||c| ・e・)|<誰の胸が半分だって?
というかいつ頃なのかな
あと2曲このメンバーで出したら同一メンバーによる枚数新記録だよね
9月半ばごろらしい
ペース惜しすぎだよね・・・
下手すると今年たったの2枚
それだけは覚えとっての
リゾナントブルーが3月頭だったのが1ヵ月遅れたせいもあるね
9月半ばに1枚、11月終わりか12月頭に1枚で3枚と予想
ベリのカバー続きからして曲作りがうまく回ってないんじゃないかと思うけど
この9人でアルバム出してほしいなあ
リゾブルも待った甲斐があったもの
次の曲もこれくらい深い世界を感じさせてくれるものだといいな
誰かマジでテンプレスレのことも思い出してあげてください
ここまで胸ネタばっかりでまったく誰もコメくれないんだもん。・゚・(ノд`)・゚・。
寝るまでにはしたらばに立てておきたいと…
まあスレ立て前には差分だけ張るのでもいいと思います
・・・ごめんなさい冗談です
>>834で 川o・-・)<完璧です! だと思います
よろしくお願いします
差分だと入れ忘れる・修正分がわからなくなるとかありそうだから
いっそ毎回全部貼ってもいいんじゃないかなぁと思ったり
テンプレの歴史みたいにもなるし…
今日はテンプレさん(勝手に命名)いないのかな
全テンプレだとテンプレばっかになりそうですが
そういう趣旨のスレですから問題は無いですね
ではそれでいきましょう
恒例のホゼナントクイズの時間だ!
問題:ガキさんの禁断の必殺技「真夏の光線」はどこから出るでしょう
A:もちろん眉毛
B:「あの人」を想う心
C:その豊かな胸
D:ど・・・うわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・
豊かな胸ってとこなんですけどー
だからガキさんのカップに合わせてE
あれ?EないのかじゃあしょうがないからAだ
アヒャヒャヒャ!
胸も含めて
真夏の(ry発射の瞬間には0.01nsだけ胸が隆起するのだ
だから正解は豊かな胸
瞬きしているうちに貧しい胸に戻るから誰も関知できないのさ
从;` -´)<…ns…えぬえすってなんね?きらりちゃんやん。
>>884-885
∥c|・e・)|・・・命知らずめが・・・
何と検索結果の2件目にヒットした(このスレ)
ちょっとうれしいw
顔文字なしでも11件目でした(第8話スレ)
2スレ目あたりの時「リゾナンター」の検索結果50件くらいだったのが今や722件ですから
リゾナントパワーは凄い
e・)フフフッ
脹れ上がるとも思わなかった・・・w
これから投下するものは
・軽くCPものです
・軽く痴話喧嘩です
・軽くホストです
ご注意ください。
そんな、小学生でも理解できるようなことに、私たちは何故
気付けなかったのだろう。
ある日から愛ちゃんは、黄色いセルフレームの眼鏡をかけて
喫茶店の仕事をするようになった。
今はファッションで伊達眼鏡をかけることが流行しているから、
自分もやってみたのだ、と愛ちゃん。
誰もが納得していた。
似合っているよ、という皆の言葉に、照れ笑いの我らがリーダー。
気付いてしまったのは絵里だけ。
あれは伊達眼鏡ではなく、度入りの、本物の眼鏡だったのだ。
愛ちゃんとばったり店の前で鉢合わせしたので、絵里は世間話の
つもりで眼鏡のことを聞いた。
「……誰にも言わんでくれな」
愛ちゃんはすっと真顔になり、ゴミを出した後絵里を手招いて
リゾナントを離れた。ついて来い、ってことのようだ。
訳がわからなかったけど、自分は何かしてはいけないことを
してしまったらしい……それだけはわかった。
無言のまま一緒に歩いて、着いた先は近所の公園。
小さな子が何人か遊んでいて、お母さんらしき人も目に入る。
「あっこに、犬の散歩しとる人がおるやろ」
「ほんとだ、いますね」
愛ちゃんが示す先には、言うとおり犬のマルチーズを連れて
散歩しているおじいさんがいた。
距離は二十メートルくらいだろうか?
「眼鏡外すと、見えんのよ、犬が」
「……え?」
「や、犬は犬ってわかるかな、種類がわからん」
「マルチーズ……」
「うん、……ああ、あかんわ。やっぱ見えんくなっとる」
絵里は知っている。視力の悪い人は目を細めれば少し見える
ようになるから、よく見ようとすると顔をしかめてしまう。
実は絵里も目が悪くて、病院や自宅では眼鏡をかけて過ごしている。
外に出る時はコンタクト。
愛ちゃんはもともと目が良かったはずなのに、ここ何週間かで
急激に視力が落ちたんだそうだ。
「能力の使いすぎかもしれん」
「瞬間移動で……ですか?」
「いや、多分できること全部のせい」
「精神感応も、光も?」
「やろうね」
淡々と話す愛ちゃん。
最近、昼夜を問わず戦いが多くなったのは事実だった。
リーダーが戦線から離脱することもほとんど無い。
絵里が傍にあったベンチに座るよう促すと、愛ちゃんは腰を
降ろした途端に大きな溜め息をついた。
中年の人がよっこいしょって座るのと違って、本当に疲れた人の
漏らす嘆息だった。
―――高橋愛は、疲れている。
だから、うわ言のように呟いているのが少し怖かった。
「光……のせいなんですか?」
「あっしの能力は光の力を借りとる。さけ、しょうないんよ」
「そうなんですか?」
「うん」
瞬間移動。
自分は一瞬光の道を通っているのだという。
瞬きなど当然間に合わない。その間、閃光が視界を満たす。
強力なストロボを焚かれているようなものだ、と。
精神感応。
これは最初感電に似た衝撃を受けるという。
やはり目の前が真っ白になるそうだ。
光を使う能力―――は、言うまでも無い。
強い光を何度も見てきた代償なのだ、とまた愛ちゃんは淡々と話す。
それがこれからも続くのならば、最悪、失明の恐れもある……
「いや多分、無理やろ」
「無理なんかじゃないですって!」
そんなすぐ決め付けないで欲しい。
愛ちゃんはきっとこのことを絵里に打ち明けるまで自分の中で
たくさん悩んできて、結局無理って答えに行き着いたんだろう。
でも、それじゃ何のために仲間をたくさん集めたんですか?
助け合って行くためじゃないんですか?
「リーダーだからって全部背負うつもりなら自惚れないでください!」
絵里は怒った。
絵里だって、皆の中では一番危険だと思う。
この心臓は鍛えてどうにかなるわけじゃないから……
でも、それを承知で戦うことを決めた。
仲間を信じているから、戦える、と思った。
「今の愛ちゃん、絵里に失礼すぎます」
「…………」
「絵里だって……傷の共有は危なくて滅多に使えなくなったけど、
風、だって、嵐だって、竜巻だって起こせるんだからぁ!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにした絵里を見て笑ってた。
絵里は突発的に頭にきて、そこの砂をほんのちょっと巻き上げた。
音もなく発生したミニミニトルネードに驚いた子供達が一斉に
逃げ出す。お母さーん! と叫びながら。
「うわわっ、こら絵里! やめぇ!」
「出来るんだからね!」
「わーった! よくわかったから!」
愛ちゃんが慌ててごめんごめんって言いながら、エプロンで
顔を拭いてくれてる。コーヒーの匂いが染み付いた黒いエプロン。
皆のいるお店の……リゾナントの……
少し気持ちが落ち着いてきたので、砂場の風を散らす。
顔にあてがわれたエプロンもゆっくりと離れた。
心配そうなリーダーの顔が見える。
「……愛ちゃん、守ってみせますから、皆で。信じてください」
「……うん。でもさ、ひとついいかな……」
「ナンデスカ」
「もし、もしもの話な。怒らんで」
よっぽど怒った絵里に恐れをなしたのか、愛ちゃんは何度も念を
押してからこう言った。
「目の良い悪いに関わらず、暗くて良く見えないようなところで
戦うことはあると思うんよ……その時は、絵里の風を使って
うちらを誘導して欲しい。ほやさけ、絵里を前線には出さん」
不満を言おうとしたら、むくれるなと先に言われてしまった。
しぶしぶ膨らんだ頬から空気を抜く。
ペコリと頭を下げられ、絵里はNOと言う権利を奪われた。
さっきは怒ったけど、やっぱりこの人はリゾナンターの、
私たちのリーダーなんだ。
そんな人に頭を下げられちゃあ、ねえ?
「もう、しょうがないなあ」
「納得してくれるか?」
「ほんっとーーーーーにどーーーーーしてもって言うなら、
仕方無いですけどぉ、んーまーいいですよ? ただし!」
「た、ただし……?」
「絵里は苦いコーヒーが飲めないので、苦くないコーヒーを
メニューに入れること!」
ビシッと決めたら、なぜか大爆笑をもらってしまった。
大人の女になろうと思って今まで我慢してきたけど、実は絵里、
苦いコーヒーが飲めない。
だからリゾナントでもカフェオレしか飲んだことがなくて、
ちょっと憧れてたのに。
「ほんまに駄目やったんかあ!
とか言って、好きな人が淹れたらグイグイいけたりせんの?」
「あ、愛ちゃん……なんかオヤジっぽいですよ言い方が」
「アヒャヒャ、絵里可愛いなあ」
「知ってたけどさ、もっと可愛いと思った」
今度はホストみたいなこと言うな。
「カフェオレが飲めるなら、わざわざ苦いコーヒー飲まんでも
ええと思うよ? 絵里に渋い顔させたくないしな」
だから、まっすぐ目を見てホストみたいなこと言うな。
……って、何だか急に色々恥ずかしくなってきた。
最初は深刻な話だったはずなのにな。
そういやここ来てどのくらい経ったんだろう。
愛ちゃんゴミ捨てに出ただけだったんだし、多分れいな辺りが
カンカンに怒ってる……ヤバイ!
絵里はベンチから立ち上がって、愛ちゃんの腕を引っ張った。
「帰りましょう! リゾナントに」
「ほやね、帰ろう」
「そうだ、今度コンタクト作りに行きましょう。
絵里が連れてってあげます」
「おお、ありがとの」
ついでにお店も戦いも休んじゃえばいい。
リーダーには、お休みが必要なんです。
「あー! 亀井さんの目が赤い! 泣かせたんですかっ?」
よりによって小春ちゃん……
「えっ、いや、これは」
愛ちゃんが露骨に慌てて絵里から手を離したので、余計あやし
まれたんだと思う。小春ちゃんは、泣ーかしたー泣ーかした!
と叫びながら(歌いながらじゃないよ。あれは叫んでたね)、
派手にドアを開けて中に入ってしまった。
あんなことをやられたら、続いて中に入れっこない。
結局私たちは、裏口から入ろうとして厨房に居たれいなに
見つかって、小一時間説教を食らい、翌日にはメンバーの間で
『愛ちゃんが絵里を振った』
という噂まで立てられてしまいましたとさ。
54 名前:900-908 投稿日: 2008/07/03(木) 20:46:06
毎度短いのばかりだからさるさんのことを失念してましたw
900-908で話終わってますのでご連絡まで。
サボリマちゃんは愛ちゃんが好きだなあ
ちがうよw
これは別の作者さんの書いたお話ですぜ
サボちゃんはアク禁スレの作者さんのお言葉を引っ張ってきただけですぜ
作者さんにも、サボリマちゃんにも失礼しました
自分も投稿の間隔が空いたので、したらばの方を覗いてみたのですがw
更新、乙です
冒頭の3行が寓話的というか、良い効果を出してます
何気に感じさせる暗い気配を、吹き飛ばしたのだから
亀の風使いの能力も本物だ
女性作者さんの作品・・・かな?なんとなく
深刻な内容でありながらとてもやわらかい印象を受けるお話でした
念写能力でカバーしてるという
リーダーを待つ運命が、光に近づいたことで身を滅ぼしたイカロスのように
ならない事を祈るばかり
次スレに作品は持ち越しだな…
ラストの3行ワロタですw
重いのにすっと入ってくるのはひとえに文章力や組み立て方が自分とは全然違うんだろうな、すごいなーと読ませ
果たしてアク禁が解けるまでに自分のが仕上がるのか...まだ前半しかできてません>_<
* * * *
営業を終え、店の疲れを労わる掃除をする
今日は酷く眠い一日だった
昨夜、飼い猫の帰宅を待ち、
それから、明け方まで語り合ってしまったから。
あくびを噛み殺してテーブルを拭っていたら、その手を止められた
「もう、ここはしますから、愛ちゃんはレジのことしちゃって下さい」
安易な感謝の言葉を重ねては、冗談に取られそうだから
深く一度感謝して、布巾を委ねる
「寝ぼけて間違わないで下さいね。愛ちゃんもれいなも!」
その能力に違わない、どこかふわりとした癒しの外見と
その中に隠された、棘のような言葉。
それが彼女の魅力に、マイナスだと表現する人もいれば、
プラスと表現する人もいる
自分は、そこに彼女…道重さゆみの本当の姿が隠されていると思っている
出会いはいつも突然
「よろしく」「ほや、あーしの能力は…」
仲間になったらすぐに自分の能力は話すことにしている
瞬間移動はまだいい。問題は精神感応だ。
どれだけ信頼できる間柄を作っても、この能力を持っていることがわかれば、
その全ては崩れていく。もろいものなのだ
だから、自分のことがわかったのか?
私の気持ち、読んでたの?
後からいくら弁解したってもう遅い。
この能力で得た、異能力者という仲間も、
この能力のせいで、消えていく
だから最初に、もう最初に 絶対に読まないことを確約する
それは、相手のため あるいは、自分のため
「すごーい」「便利ですね」
そうしていくと、次にかけられるのはこの言葉。
便利やで、確かによかったってことは多い。
けど…まったくそれだけじゃない。
人間の心はタールみたいで、深みに嵌ったらもう信じられなくなる
勝手に読みとるのはこちらなのに、それで相手を嫌うなんて、哀しい力だ
辛さなんて隠してきた
みんなに能力を持ってても生きてってほしいのに
自分がそれを出すのは違うと思ってたから
リーダーは強くなくちゃいけないって思ってたから
「大変だったんですね」
そんなどことなく気負いの中にいた自分に、
そう言葉をかけてくれたのは、さゆやった
同じ苦しみを味わっていた者しか出せない、眼差しと声で。
彼女の力は、癒し。
絶対的な生の力。命の肯定。活力。息吹。
そんな力が、どうして彼女を苦しめるのか。
皆が負の力を押さえ込む苦しみならば、
さゆは正にしかならない力を負とされて押さえ込まなければならない苦しみ
それは、二重の苦しみだった
彼女は自分の力に意味を求めていた。
そうしなければ、自分の力を憎み、飲み込まれる、
そんなどこか哀しげな目の求道者だった
同じだと、気付いた
周りから見れば、羨望される力
でも、そんな言葉とは真逆の苦しみに囚われて
それを表現することも出来ず、ただもがいてた
自分は、何も言わず、目を逸らしていた
彼女は自分を守る為、人から褒められる前に自分を褒めた
相手を攻撃して、褒められない環境を作り上げた
褒められたらわかってしまうから。
自分たちがそんな理想の中からは程遠いと気付かされてしまうから
「みんなには、ええって言われるけどな。結構大変やぁ。」
さゆに共感できるのは自分だと
わかっていても上手く言葉に出来なかった。
それでもさゆは頷いてくれた
「わかります」
短くて、すぐに元に戻ってしまったけど、
あの時確かにホントのさゆと触れ合えたと思ってる
自分も、そう。
あの時から少し、自分の辛さを表現できるようになった。
能力の肯定。
ダークネスの戦いの中でそれを見出す自分たち。
随分とさゆも喜んで能力の行使をするようになった。
表面上は最初から何も変わって無くても。
もし、さゆに能力の意味を問われたらなんて答えよう?
やめだ、自分が言葉にする必要も無い。
答えはもう、彼女自身が持っているし、
自分にそれを上手く表現する、力がないようだ。
「じゃあ、今日もお疲れさん。」
店の消灯後、玄関でさゆを送る
「愛ちゃん、ほっぺになにかついてます。取ってあげる」
そう言われたので、迷いなく頬を差し出すと
身に覚えのある、柔らかいものが当たった
「愛ちゃんのほっぺ、もーらいっ」
「ちょ、さゆ!!」
夜よりも一段鮮やかな黒髪を揺らしながら
彼女は走り去っていった
もっとも、走れていたのは最初だけで、途中からまるっきり徒歩だった。
こちらを振り返らないことでなんとか面目を保っているようだ
自分の頬が温かい。これは恋ではない。
体に溢れる、癒しの流れ。
彼女は普段は饒舌な唇で、何も言わずに私へこれを贈った。
ああ。わかった。うまく言えんのやけど
さゆの癒しの力は、優しすぎるその優しさを表現するためやない?
言葉や、態度じゃ伝わりきれない、その優しさを。
なんて、言ったらさゆはきっと照れてわざと肯定する。
そんな気遣いさせたくないから、
「ありがとう」と、書いたメールに彼女を追いかけさせた
我が使者は、走るのが苦手なウサギの頬をピンク色に染めるだろう
それも恋ではない
ある意味もっと大切な、そう、生きている証
* * * *
以上>>922-928です
まとめちゃんへ
お手数ですが[Ai-Rena](8)720とリゾナントさせて下さい
いつもありがとうございますです
>>769
うおお!とんでもないこはみつの前にこはみつ投下しちまったぜ!
と思ってたら、リゾって頂いてたとは光栄です!極みです。
ありがとうございます。
みなさま詐欺☆シリーズに感想ありがとうございましたw
幅広い文章にただただ感嘆しております
こはみつの可愛らしい感じから一転した愛さん視点の文章ですが
すごく優しい気持ちになりました
こはみつ好きなので作者さんが書いてくれた時思わずハァーンとなって
ついつい自分もこはみつを書かせてもらいましたが…そんな褒めていただけるような作者じゃないですよないやいの人はwww
今後も素敵な作品お待ちしております
暮らしを見つめる ホゼナンター
いつもながらレベルたっけーですねえ
着眼点といいその表現といい ただただ嘆息です
高橋愛という光に救われたリゾナンターのメンバー
でも愛自身も逆に救われているのだと改めて感じました
そして全てを包み込むような優しさを持つこのさゆみのキャラ造形が大好きです
一度書いたものを大幅に削ったりされているんですね
自分にはそんなことできそうもないです
ちなみに作者さんはまだ規制中なのでしょうかね
個人的にはBGMは今回のが一番ハマりました
「Memory~青春の光~」が流れると優しい笑みを浮かべた圭織が絵本を描く姿が目に浮かんでしまいます
これはしばらく続くでしょうねえw
絵を描く時に似ているね
なんじゃこりゃw って文章もあったりしてなかなかに面白いw
自分がここで書いた1作目と最近書いた作品じゃすでに作風みたいなのも違うもんなぁ
続く様な次スレであれ・・
片道2時間もかかるんで暇で困ってたから過去作品とか何度も見返してる
もうすぐ10話だもんなあ・・・
自分も通学に片道2時間だからいろいろ読んでる
そこから浮かんでくる物語もあるしね
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