まーどぅシャンデリア
「なんで……こんな、ことっ」
四方を壁に囲まれた空間
扉はひとつ
明かりもひとつ
白かった壁は所々が紅い
そうさせたのは
ハルの正面に居る、
「わかんないの? まさの事」
手を伸ばせば届く距離に居る、
佐藤優樹
ハルの、相方
のハズなんだけどな……
手が、伸ばせない
「痛っ……く」
たった今、ハルの手から落ちた紅が
白かった床をどんどん染めていく
「……ねえ、コレ……外してくんない?」
「嫌だ」
壁に刺さった、シャンデリアの一部
ハルの手も通さなくても良いんじゃね?
つうか、さ
「なんで、ハル、壁に張り付けな訳……」
右手も、左手も 右足も、左足も お腹にも シャンデリアで 白い壁にベッタリ張り付けられて──
あぁ 貼り付いてんのは、ハルの血か いや、むしろ ハルが磔か
もう、よくわかんないや 耳も、なんか遠いし 視界も、暗くなって
「こうでもしなきゃ、どぅーはどっかに行っちゃうから」
「……なに、嫉妬? まさ……ジェラってんの?」
カタカタカタ
「うっ、グ……」
シャンデリアが震える それが、ハルの身体に響く 流れる汗が、眼に沁みる
「ずーっと待ってんのに、全然まさんトコに戻って来ないから。もう近くに置いとく事にした」
「……まさが、ハルを必要って、言ってくれるなら……」
「ちゃんと眼を視て言えよ」
瞼を開く 暗い視界は、紅い 汗、だけじゃ無いな、コレ 紅の先に、まさの顔
「まさが……ハルを必要って──いや、違うわ……」
こんな事されて そんな事、言えないでしょ 普通は こんな事されても こんな事、思うなんて ハルは やっぱり
「ハルが、まさを必要って思ってる」
まさ 睫毛、長い まさ 肌、綺麗 まさ まさ
「ずっと……まさの側に、ハルを……置いて──」
途中なのに 喋れなくなった 目の前も 暗い
少ししたら 少し明るくなった 再び視えたまさ 笑顔
やっと 笑ってくれた 綺麗な歯を覗かせる唇は さっきよりも 紅くなっている
そうか ハルので 汚しちゃったんだ ごめんね
でも もう 声 出せな──
「やぁっと手に入れた──まさのシャンデリア」
寝落ちの神様からの有り難いお言葉
過去のチャット中に書いた内容の続きでした。
供養。
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