(125)250 『Chelsy』9
「ご協力ありがとうございます」
「いえいえ、私にできることがあったら何でもするわよ」
私とクラスメイトは頭をあげると、そこには心から心配そうなクリーニング店の女店長の顔
「私もあなた達と同じくらいの娘がいるのよ。もし自分の子供に同じことが起きたら気が気でいられないと思うわ
ほら、この入口の一番目立つところに張らせてもらうわね」
クラスメイトとこうして商店街巡りをしているのは、あの事件のためだ
『標千佳が行方不明』、マスコミは名前の響きから「シルベチカの失踪」なんて騒ぎ立てている
家族からするとそんなマスコミの騒ぎ立ては情報を多く手に入れるための手段として好ましいものかもしれない
しかし私からすると、そんな面白可笑しく名付けることがナンセンスと思わざるをえない
事件はマスコミが連日こぞって報道するため、誰も知らない人はいないようになっていた
しかし、依然としてシルベチカの有力な情報は得られていない
これはマスコミが報道していない、という意味ではない。
・・・ハッキングした、からだ。警察の内部に
ジョニーにこのことを言ったら、『チェルシーは悪い子だね』なんてからかわれるに違いない
しかし、私にハッキングの方法を指導したのは、彼だ。
『いつか使うかもしれないからね』なんて悪魔みたいな笑顔で教えられた技術、使うまいと思っていたが使うことになろうとは
それよりも大事なことは本当に情報が入っていない、ようであった
注目されたい感情に溢れた野次馬が多量に送る情報、そのほぼ全てが偽物
駅前で歩いているのをみた、そんな些細な情報も今の時代では監視カメラの解析をしなくてはならない
そして、解析の結果、人違いであった。そんなことばかりなのであろう
怪しい男に連れ去られた―そんな情報もあるが、それはどうやって真偽を確かめる?
眉唾ものの情報に踊らされているばかりのようだけど、仕方ないのであろう
そして今日も私はこうやってクラスメイトに「チラシ張るの手伝って」と巻き込まれたのだ
・・・次はこの喫茶店にお願いか。でも大事なことだから誠心誠意頑張ろう。
カランコロン
「すいませ~ん」「チラシ張らせてもらえませんか?」 (Chelsy
投稿日時:2016/07/18(月) 20:32:26.50