(130)44 Rs『ピョコピョコ ウルトラ』9 side D-Kudo

走る 
走る! 
走る!! 

リゾナントを飛び出した黒髪ロングの客を探す為に、ハルは1人で街の中を走る 

それにしても 

「新垣にはマジでビビった……」 

さっき新垣が、ハルの事を呼んだ時 
声のトーンがマジ過ぎて 
ハルの目的がバレるかと思った 

「大丈夫、だよな? 怪しまれてたりしたら、こうして1人で動けてないだろうし」 

アイツは調査対象ではないんだけど 
見つけちゃったんだから、ほっとけないでしょ 
さて、どこに行ったんだ 

──透視──トランスペアレント 

商店街の方は……居ない 
公園の方は……居ない 
川の方は──見つけた! 
堤防の上だ! 



── 

「おい! アンタ!」 

黒髪ロングの後ろから声をかける 

「ひいっ!?」 

かなり高い声を出した 
と思ったら、 

「ごめんなさーいっ!」 

いきなり逃げ出した 
しかも、変な走り方で 

「え、ちょ、待てよ!」 

土手の一本道で、追いかけっこかよ! 

ハルも慌てて追いかける 

身長ってか脚の長さは負けてる 
けど、小学生を舐めんなよ! 

「うおぉぉぉぉっ!」 

あっという間に追いついた 

「話を……聞けぇ!」 

黒髪ロングも背中に向かって、タックル! 

「うらぁ!」 
「はうっ!」 

ズザザザッ! 

「なあぁぁぁぁっ!?」 
「きゃあぁぁぁぁっ!?」 

タックルしたらバランスを崩して、2人一緒に土手を転がり落ちた 

「……痛ってぇ」 

怪我は、擦り傷くらいか 
日頃の行いのおかげかな 

「痛たた……」 

黒髪ロングも大丈夫みたいだな 

「おい」 
「ひいっ!?」 

思いっきり目を見開いて、飛び上がる黒髪ロング 

ビビり過ぎだっての! 
ま、仕方ないか 

「あ、あの……?」 
「ん」 

新垣から渡された2千円を差し出す 

「え? もしかして……足りませんでしたか!?」 

財布を取り出し、お金を出そうとする黒髪ロング 

「多分だけど違う。でも、店長にコレをアンタに返して連れて戻って来てって言われたんだよ」 
「戻るんですか? あのお店に……」 

黒髪ロングは、ネガティブな感情が全部まとめて出た様な暗い表情になった 
そのまま俯き、身体を震わせる 

「なあ、そんなに怖いのか?」 
「え……」 

だって 

「アンタ、能力者だろ」 


投稿日時: 2016/09/11(日) 00:01:19.00







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